〇ニ番目の四季〇
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#320 [ゆり]
春も夏も秋も冬も
一緒に過ごした。

隼人との時間は大き過ぎて
埋め方がわかんない。

こんな雨の日も
二人で一つの傘に入って
結局隼人はいっぱい濡れちゃってたよね。

「だから一人づつ傘さそーって言ったじゃーん」
って言うと
「ラブラブっぽいからいーじゃん!」
って隼人は笑った。

本当笑えるくらい

毎日優しかったね。
 

⏰:06/06/03 20:48 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#321 [ゆり]
テレビを付ける気にもならなくて

無音の部屋で
ぼーっとしながら
おにぎりを食べた。


無意識に携帯を気にする自分がいる。

カチカチ…

画面に
隼人の名前を出して

少し眺めて
携帯を閉じた。
 

⏰:06/06/03 20:53 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#322 [ゆり]
ピリリリリ♪

あたしは携帯に飛び付く。

受信メールは迷惑メール。

「はぁ…」
溜め息。

それからもずっと携帯をいじってた。
自分から離したくせに、
来てくれるのを待ってる。

今度こそ出よう。

そう思ってると
夜遅く携帯が鳴った。
 

⏰:06/06/03 20:55 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#323 [ゆり]
着信

隼人


緊張して電話に出る。

「もしもし」

「あ、もしもし」

「何か用ですか?」

「あ、やー何してた?」

「別になんにも…」

「…そっか、えっと明日会えない?」

心臓がドキッとした。
 

⏰:06/06/03 21:48 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#324 [ゆり]
「いいよ、何時にどこ行けばいい?」

平常心を装って
答える。

「じゃあ…昼にいつものとこで。大丈夫?」

「分かった、じゃあね」

ずっと待ってたくせに
素っ気なく終わらせてしまう。
素直じゃないというか可愛くない。

でもこれだけは素直に認めるよ、

あたしはまだ
隼人が好き。
 

⏰:06/06/03 21:52 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#325 [ゆり]
次の日

曇り空の中
いつもの駅に降りた。

春なのに肌寒くて、
あたしは手に持ったバックを肩にかけ直し
ジャケットの前で腕を組んだ。

ホームの階段を上ると
見慣れた後ろ姿があった。
 

⏰:06/06/03 21:54 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#326 [ゆり]
「おまたせ」

後ろから声をかけると
隼人が焦った様に振り返る。


「あ、うん、いきなりごめんね」

「いいよ」


いつも通り歩き出す。

気まずい空気なのに

何故かすごく安心したのを今でも覚えてる。
 

⏰:06/06/03 21:58 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#327 [ゆり]
近くのファミレスに入り
禁煙席に座った。

「吸わないの?」

「煙草吸いながらする話しじゃねーし…」

その言葉で
あたしの心臓はまた早くなった。


メニューを開き
「アイスティー」
と言うと
すかさず隼人が
「ケーキは?」
と聞く。

いつもの会話。
それがなんか嬉しかった。
 

⏰:06/06/04 09:20 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#328 [ゆり]
「今日はいいや」

「珍しいじゃん」

隼人が少し笑った。

少しホッとした。


アイスティーとコーラがくると沈黙。
あたしは口を開いたけど
正直何言ったか覚えてない。
頭テンパってた。

隼人は
「…謝って済む事じゃないって分かってるけど
ごめん。
あの時、俺にお前引き止める権利なんてなかった。本当ごめんな」

そう言いながら
辛そうな顔をしてた。

⏰:06/06/04 09:23 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#329 [ゆり]
「ごめんはもういいよ…」

謝られるのはあんま好きじゃない

言われる度に自分が可哀相になってくるから。

「…でも俺、本気で好きだよ。お前の事」

「…」

「だから別れたくない」

「…」

あたしは下を向いてた。
正直どうしたらいいのか分からない。

好きだけど…
信じたいけど…
でも…恐い。
 

⏰:06/06/04 09:26 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#330 [ゆり]
「…これ…」

そういって隼人が
何かをあたしの前に置いた。

視線を上げると
あたしが投げ捨てた
指輪があった。

「…え」

静かに手に取る。

中に記念日が彫られてるシルバーリング。

確かにあたしのだ。

「お前の指輪そんな小さいんだな」

隼人が寂しそうに笑った。
 

⏰:06/06/04 09:30 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#331 [ゆり]
そして迷いない
いつもの瞳で言ってくれた。

「信じれなくても…俺は好きだから
それだけは分かって。」

その時の隼人の顔を見て

声を聞いて


あたしはもう一度
この人を信じようと決めた。
 

⏰:06/06/04 09:32 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#332 [ゆり]
理屈じゃない

ただあたしには
隼人が必要なんだ。


信じなきゃいけないって
気持ちじゃなくて

あたし自身が信じたいって
確かに思ったから。
 

⏰:06/06/04 09:35 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#333 [ゆり]
「つけて」

あたしは手を差し出して言った。

「え?」

「ゆーびーわ!
買った日も隼人がつけてくれたじゃん」

「えっあぁハイ」

隼人は焦って掌から指輪を取り、
震えた指先で薬指に指輪をはめる。
 

⏰:06/06/04 09:37 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#334 [ゆり]
「何震えてんの?(笑)」

「あ、すいません!」

「敬語だし(笑)」

「うんごめん…ゆり…本当ごめん」

指輪の光ったあたしの手を
両手で包んだ。

温もりは本物だ。

「次はないからね」

泣きそうなのを悟られない様に
強気で言った。
 

⏰:06/06/04 09:39 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#335 [ゆり]
「次やらかしたら
毛全剃りにするから」

「えッ下も?!」

「当たり前だし。
むしろ下を重点的にツルッツルにするから」

アイスティー飲みながら
真顔で言うあたしに
本気で恐怖感じた顔してた。

それ見て笑った。

「大変な彼女持ったね(笑」

「いえ、最高の彼女です…」

今度は二人で笑った。
また二人で笑い合えた。

⏰:06/06/04 09:45 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#336 [ゆり]
もう自分ばかり守る恋愛はやめるよ。

あたしも本気で
泣いてすがりつける様な
そんな恋がしたいから。


ファミレスを出て
手を繋いだ。

変わらない
あたしの
大好きな手。

二人少し恥ずかしくて
また笑い合ったよね。

愛してくれて
ありがとう。
 

⏰:06/06/04 09:49 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#337 [ゆり]
そして数日後
学校が始まった。

二人で登校すると
友達も一年も
驚いた顔してた。

「別れないっつーの」
隼人は小声でそう言って
あたしの肩を抱いて校舎に入った。

一年の女の子を見ると
まだ胸が痛んだ。
 

⏰:06/06/04 09:53 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#338 [ゆり]
その日から
1、2年合同の
男女別れた授業が中心になる。

クラス表を見て

「キッツ〜…」

あたしと隼人は苦笑い。
お昼一緒に食べる約束をして別れた。


教室に入ると
ありえない光景。

1年生の子が
いじめられてた。
漫画の世界みたいに
消しカス投げられたり。
 

⏰:06/06/04 09:59 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#339 [ゆり]
あたしは指定された1番後ろの席についた。

2年に知り合いの友達はいなかった。
皆静かで読書してるタイプ。

ハッキリ言って
浮いてるのが自分でも分かった。

「まぁいっか」

あたしは椅子にもたれて
とりあえず髪に逆毛立てて
髪だけでもテンション上げさせた。
 

⏰:06/06/04 10:04 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#340 [ゆり]
いじめられてるのは
本当普通の子。
ハデな訳でも
地味な訳でもない。


いじめてる子達は
新歓では関わりなかった
これまた普通の子達。
リーダーだけはギャルだった。


面倒臭そうなクラスだな…

そう思ったと同時に
先生が入ってきた。
 

⏰:06/06/04 10:08 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#341 [ゆり]
「オラッ!てめぇら席着け!!」

うわァ〜…
ゴリラ先生だよ。

あたしはまた面倒臭そうなキャラの登場で
溜め息が出た。

「今日から授業始めるから気合い入れろよ!!」

声でかいよ〜
頭ガンガンするよ〜
 

⏰:06/06/04 10:12 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#342 [ゆり]
みんな大人しい。

あたしの前の前の席にいじめられてる子が座ってた。

黒髪に消しカスいっぱいつけて
下を向いてた。

(可哀相だな…)

そう思っても
あたしは所詮
大衆の中の一人。

知り合いじゃない子を助けて
面倒な事になるのが嫌。

冷めてた。
 

⏰:06/06/04 10:16 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#343 [ゆり]
授業は無事に終了して
先生が出てった瞬間、
1番前の席のリーダーギャルが立ち上り後ろに歩いてくる。

「あーうぜー!まじうぜーし!」

そしていじめられ子チャンの机をガンッと蹴った。

「お前もうぜぇんだよ!消えろよ!!」

あたしは
怖ぇ〜ッと思いながらバックを持って教室を出た。
 

⏰:06/06/04 10:21 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#344 [ゆり]
食堂で隼人や友達と合流。
見慣れた顔に安心する。

なんかクラス変えでビビッてた高校の時みたいだ。

隼人と席について
あたしはAランチを食べながら話始めた。

「うちのクラスいじめあんの」

「は?まじで?」

「すごいよ!本当ドラマの中みたい」

「ゆりが一発言えば終わるんじゃね?笑」

⏰:06/06/04 10:25 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#345 [ゆり]
「なにそれ、どーゆー意味?」

「お前が1番怖いって意味(笑」

「あ?」

「ほら怖い(笑」

「そんな事ないし。
ねぇ隼人〜♪ゆりグリンピース嫌いなの〜食べて♪」

「出た。」

「ね?可愛いやら?」

「可愛いっす!」

こんな会話してたらいじめの話もどっかいっちゃってた。
 

⏰:06/06/04 10:30 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#346 [ゆり]
チャイムが鳴り教室に戻る。

相変わらずいじめられ子チャンの周りはぐちゃぐちゃ。

あたしが席に着くと同時にゴリラ登場。

やっぱりうるさい。

お腹いっぱいでいい気分が台なしだよ。
 

⏰:06/06/04 10:34 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#347 [ゆり]
しかも
いじめは見てみぬフリ。

これもよくあるパターンだ。


あたしは苛々を押さえながら
うるさい授業を真面目に受けて

その日を終えた。


それから数日もずっと
いじめは続くし
ゴリラはうるさかった。

あたしの苛々も限界。
 

⏰:06/06/04 10:37 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#348 [ゆり]
いつの間にか貧乏ゆすりとかしちゃってる。
やばいです。


でもこのクラス授業もあと3日だし、
堪えよう。


そう思ってた矢先
ゴリラがあたしを切れさせた。

あれは梅雨のじめじめした日で
余計苛々してたってのもあった。
 

⏰:06/06/04 10:40 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#349 [ゆり]
「この問題解いてみろ!!」

今日はやたら機嫌が悪いらしく
ゴリラは遠吠えのごとく吠えていた。

あたしの列の1番前
ギャル子ちゃんが当てられる。

「わかりません」

そう言うと
高速で教科書を丸めて
机をバーンッッ!!!!

「んなもんもわからんのか!!」

でた。こうゆうの嫌い。

その後ろも順に当てられ叩かれてく。

苛々ピーク。

⏰:06/06/04 10:45 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#350 [かな]
初めてします
隼人サンの四季からゆりサンの四季まで、楽しく読ませてもらってます
人の小説を読んでると、何かあたたかい気持ちになります
人の幸せ願ってます
頑張ってさい

⏰:06/06/04 10:53 📱:P901iS 🆔:AtWozpH2


#351 [ゆり]
かなチャン☆
感想嬉しぃですッありがとォ(´∀`*)
○二番目の四季○ってコトで、
二番目の女として越えた四季と
二番目に本気で好きになった隼人と越える四季、って意味を込めて書いてます。
もうちょっと続きますがよかったらまた読んでみて下さいo(^-^)o

⏰:06/06/04 11:05 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#352 [あやぽん]
今日も読んでまーす
頑張れ

⏰:06/06/04 11:11 📱:SH700i 🆔:BJgc3oN2


#353 [ケン]
マジ読んでてワクAしてます自分も女とかに対してメチャ冷めてて一定の距離とか置いちゃって相手を信用したことがないです…一度でいいからこんな恋愛をしてみたいです

⏰:06/06/04 11:58 📱:N900i 🆔:VWgddD0c


#354 [ゆり]
あやぽんチャン☆
いつもありがとぉッ(●^ε^●)♪
ケンサン☆
信じたいって心から思えるヒトに出会ッて欲しいです♪感想ありがとうッ(ё^▽^ё)

⏰:06/06/04 13:52 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#355 [ゆり]
ゴリラはいじめられ子チャンの横に立った。

「お前ら好い加減にしろよ…
お前はわかるだろーな?」
と言った。

彼女は怯えている様で
何も答えない。


こりゃーヤバイよ。

周りを見れば
か弱い女の子達が下を向いて
青ざめてる。
 

⏰:06/06/04 13:58 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#356 [ゆり]
ゴリラが静かにボロボロになってる教科書を丸める。

本当に獣の目付きだった。

あたしは席を立った。

一斉注目!!

今思うとかなり恥ずかしかったな…

でもその時は苛々して仕方なかった。
 

⏰:06/06/04 14:02 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#357 [ゆり]
あたしはゴリラの前に立って言った。
身長は負けてた。

「先生〜あんた好い加減にしやーよ」

普段は出ないけど
あたしはキレると名古屋弁が出る。

ゴリラは一瞬躊躇った顔をして
すぐ絡んできた。

「なんだと?
お前そんなチャラチャラした頭で学校に何しに来とるんだ?!」
 

⏰:06/06/04 14:07 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#358 [ゆり]
「先生は何しに来てるんですか?」

ゴリラの目付きはますます鋭くなった。

「何言っとるんだ?勉強を」
「教えてないよね」

「わかりませんって言ったらバシーンッ!!ガミガミ〜!!
そんなんで教えとるって言える?」

「…うるさい席に着け!!」

「図星なんやら?
でら適当だが(笑」

あたしは馬鹿にするように笑った。
 

⏰:06/06/04 14:14 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#359 [ゆり]
「じゃあお前、前の問題やってみろ」

ゴリラの顔
怒りで真っ赤。
なんでこの人教師になれたんだろって思った。

じゃあの意味がわからん…

そう思いながら黒板の前に行き
問題を解いた。

すごいねあたし。
この問題、本当にたまったま出来たの。
 

⏰:06/06/04 14:19 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#360 [ゆり]
「先生〜できました」

チョークを置いて振り返る。

「…正解だ」


よっしゃー勝ったッ!!

そんなん思いながら席に戻った。

「おい、お前名前は?」

きた。

「2年の高原ゆりです
単位落としたきゃ好きにしてください」

喧嘩売ったのあたしだもんな〜
自業自得だ。
 

⏰:06/06/04 14:27 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#361 [ゆり]
でもそれから
ゴリラは全くあたしに絡んでこなかった。

しかもバシーンッ!!も吠える事もなくなって
普通にいい先生になってた。

後で聞いたんだけど
前の学校で生徒にいじめられてたらしい。

だからナメられない様にあんな風になっちゃったんだって。

まぁよかったね。
 

⏰:06/06/04 14:31 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#362 [我輩は匿名である]
>>43-360

⏰:06/06/04 14:31 📱:P902i 🆔:7s6mL/Xk


#363 [ゆり]
そして次の日

先生は大人しくなったけど
いじめっ子チャン達がまだうるさい。

朝から「うぜー」だの
「消えろ」だの「ブス」だの
本当に18歳かッて思うくらい
低レベルないじめです。

でも言われてる方は
きっとすごい痛い。

辛さって自分のものさしで測れるものじゃないから。
 

⏰:06/06/04 15:00 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#364 [ゆり]
外は相変わらず
じめじめと小雨。

あたしは机にひじ付いて
下向いて携帯いじってた。
その時。


バシャッ

あらららら
水ですね。

あたしにまでかかっちゃってますね。


「あ、すいませんッッ」

⏰:06/06/04 15:05 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#365 [ゆり]
きょどりながら
謝ってきたのは
いじめっコのリーダー。

あたしが無言でいると
いじめられっ子チャンの方を向いて叫んだ。

「オラッあんたが水かけて欲しいっつったんだろーが!
てめぇも謝れよ!」


いやいやいや。
そりゃないよリーダー。
 

⏰:06/06/04 15:15 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#366 [ゆり]
「すいません…」

ご丁寧に謝りに来る。

髪から水滴垂れてるし
(あたしもだけど)
さすがに可哀相。


あたしは言った。
「ギャル子ちゃん、ストレス溜まってるならあたしが話聞くよ?」

「えッ?」

「だからまぁ簡単に言うと、やめなね
こーゆうの」

リーダ-は下を向いて黙った。
 

⏰:06/06/04 15:22 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#367 [ゆり]
すると隣にいた茶髪ショートの子が言った。

「まゆみの彼氏…この子に取られたんですよ
だから…」

男関係かぁ。
ますますドラマの世界みたい。

「ふーん…それは辛かったね…」

正直どーーでもよかった。
この騒がしい面倒臭い状況から早く抜け出したかった。

気付いたけど
もうあさっててこのクラス終わりなんだ。
 

⏰:06/06/04 20:49 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#368 [ゆり]
「ギャル…まゆみちゃん!
まだ好きなら、ライバル落とすんじゃなくて
自分が上行きたまえ」

あたしは何故か殿口調で言った。


キーンコーン…
チャイムが鳴り普通に授業が始まり
その日はそのまま終えた。

帰りはいつも駅まで隼人と帰る。
 

⏰:06/06/04 20:54 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#369 [ゆり]
「ゆーりちゃん♪」

「おせーよ」

「ごめんごめん!」

まるで男と女が逆の会話。
でもこれがあたし達。

「あ〜ゆりはいい匂いだな〜
まじ臭いもん男だけのクラスとか。高校思い出すし」

「あー臭そうだね(笑」

二人で校舎を出る。

隼人と手を繋げる瞬間が
1番好き。
 

⏰:06/06/04 21:01 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#370 [ゆり]
「雨やんだね〜」

「そーだな〜
もうすぐ梅雨明けるんじゃねぇ?」

「だといいなぁ」

「あーてかコンビニ寄っていい?」

「うんッ」

セブンに入って二人で立ち読みをしてた。

するといじめられ子ちゃんが店の前を歩いて行った。

そえばいつも長袖だな〜こんな暑いのに。

そう思い
少し気になったけど
紫外線対策か、と思いすぐに雑誌を読み始めた。
 

⏰:06/06/04 21:11 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#371 [ゆり]
ジュースを取った隼人が声をかける。

「ゆり〜チョコは?」

「えッ待って!!」

「好きなの持ってこや〜」

「今日はグミな気分!
これ〜♪」

普段と変わらない
当たり前みたいな幸せ。

やっぱり素直になってよかった。
別れなくてよかった。

あたしは強く
そう思った。
 

⏰:06/06/04 21:17 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#372 [ゆり]
次の日

いつもの場所で隼人と別れ
あたしは教室への階段を登っていた。

(今日も暑いな〜)


カツカツカツ
あたしのヒールの音に混じって
スニーカーの音がした。

「あの…」

か弱い声に振り返ると
3段下に
いじめられ子ちゃんがいた。
 

⏰:06/06/04 21:27 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#373 [ゆり]
「あ、おはよ〜☆」

一瞬戸惑ったけど笑顔で言った。

「おはようございます…
あの、昨日はありがとうございました」

頭を下げられる。

「えッ全然いいよ、あたし余計な事しちゃったりした?」

その言葉に焦って顔を上げる。
「そんな事ないですっ」

「ならよかった!
一緒に教室行こか」
 

⏰:06/06/04 21:32 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#374 [ゆり]
少し笑顔を見せてくれて
隣にきて一緒に歩き出した。

身長は155aくらいで
少しぽっちゃりしてて
セミロングの黒くて綺麗な髪。

いつも男視点なあたしは
まさに萌え〜タイプの子だな、
と思った。

「えーと、下の名前なんてゆーの?
ごめんね、あたしほとんどの子知らなくて(笑」

「下は淳子です」

「淳ちゃんかぁ☆可愛いね♪」

恥ずかしそうに笑った。
萌え〜だねこりゃ。
 

⏰:06/06/04 21:42 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#375 [ゆり]
「高原先輩はなんで私の事助けてくれたんですか…?」

(や、助けるつもりではなかったよ。)

「ん〜…あーゆうの好きじゃないから…かなぁ」

曖昧に答える。

「いいなぁ…強くて」

彼女が呟いたと同時に教室に着いた。

もう彼女の席は綺麗だった。

「よかったね」

あたしが笑うと彼女も安心した様に笑った。
 

⏰:06/06/04 21:47 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#376 [ゆり]
席に着くとギャル子ちゃんグループが集まってくる。

「先輩、昨日はすいませんでした」

「あ〜いいよ〜
どーせ湿気で髪ペタんこだったし(笑」

今日は晴れてるから気分がいい。
自然にニコニコしてる自分。

「先輩って髪どーやってるんですかぁ?
まゆもそんな風にしたいです〜」
 

⏰:06/06/04 21:53 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#377 [ゆり]
「あーあたしはコテとカーラーを…」

いつの間にか巻き髪レッスンが開かれてた。

みんなとも仲良くなれて
満足にこのクラスでの授業を終わろうとしてた。

でも
帰りに教室を出ようとすると
呼び止められた。
 

⏰:06/06/04 21:59 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#378 [ゆり]
「淳ちゃん…どーしたの?」

「あの…ちょっと時間ありますか?」

「んん〜…」

隼人と帰る約束をしてる。

「今日はちょっと…」

断ろうとした瞬間、一気に罪悪感に襲われた。

「あッやっぱ大丈夫!ちょっと待ってね」

ピリリリッ

「はーい」

「あ、隼人?ごめんけど今日友達と用あるで
先帰ってて〜」
 

⏰:06/06/04 22:06 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#379 [我輩は匿名である]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400

⏰:06/06/04 23:58 📱:N900iS 🆔:jupj/QHQ


#380 [ゆり]
「え〜!!…分かったよ〜」

「まじごめんね」

「帰ったらちゃんと連絡しろよ!」

「分かったぁ〜隼人も気をつけて帰ってね☆」

ピッ

携帯を閉じる。

「すいません…約束あったのに…」

淳ちゃんが俯く。

「全然大丈夫だよ☆
どこで話す?」

校舎を出るのも暑いので空いてる教室に入った。

⏰:06/06/05 22:56 📱:V703SH 🆔:tPdHa1I.


#381 [ゆり]
いきなり二人きりで話すなんて
数日前から想像出来ない。

本当
些細なことで
人との繋がりって出来るものだ。

淳ちゃんは窓際の席に座った。

あたしはその隣の椅子に横向きに座った。

「先輩って…人生嫌になる事ってないですか?」

いきなりの質問に驚いた。
でも真剣な横顔だったから
真剣な質問なんだ
と思った。
 

⏰:06/06/05 23:01 📱:V703SH 🆔:tPdHa1I.


#382 [ゆり]
「嫌になる事かぁ…
そりゃあるよ」

あたしはかなりの幸せ者だけど
全て嫌になる事もある。

家事も
恋愛も
学校も
将来も
全部捨ててしまいたくなる事もある。

でも全て捨てて自由になっても

あたしはきっとまた
その捨てたものを探し始めるんだろうって
思う。
 

⏰:06/06/05 23:07 📱:V703SH 🆔:tPdHa1I.


#383 [ゆり]
淳ちゃんは下を向いたまま何も言わない。

あたしは聞いた。

「淳ちゃんは…人生が嫌になったの?」


「はい…」

右手で長袖の上から
左手首を強く握った。

瞬間になんとなく分かった。
この子リストカットをしてるんだ
って。
 

⏰:06/06/05 23:11 📱:V703SH 🆔:tPdHa1I.


#384 [ゆり]
あたしにも経験がある。

お母さんが家を出てく前に
激しい夫婦喧嘩が
毎日毎日毎日繰り返されてた。

お皿は何枚も割れて
叫び声が響き渡ってた。


あたしは誰も憎めない
やり場のない気持ちを傷として残した。

死にたかった訳じゃないから
肩の辺りを切って
血を見て
落ち着いたりしてたんだ。


この事は誰も知らない。

⏰:06/06/05 23:16 📱:V703SH 🆔:tPdHa1I.


#385 [ゆり]
どう聞いたらいいのか分からなかった。

でも何か訴えてるのは感じた。

「…痛い?」

普通に聞いてしまった。
淳ちゃんの横顔を見てたら
気付いてあげなきゃいけないって
気持ちになったから。

「…」

黙ったまま
小さく首を横に振った。

 

⏰:06/06/05 23:20 📱:V703SH 🆔:tPdHa1I.


#386 [ゆり]
「リスカすると落ち着くんです…
だから痛みなんてない…」

蚊の鳴く様な声で呟く。

「そっか…」


「…気持ち悪いとか…思わないですか?」

「え〜?思いませんよ(笑
ほら」

あたしはTシャツの袖を捲くった。

深くはないけど
今も残ってる消えない傷痕。


淳ちゃんの目が一気に開いた。
 

⏰:06/06/05 23:35 📱:V703SH 🆔:tPdHa1I.


#387 [ゆり]
傷を舐め合って
癒し合えるなんて思わないけど

少しでも
何か変われるなら


あたしはあっさり簡単に
初めて傷痕を人に見せた。


「もう切ってないんですか?」

「切ってないよ」

「どうやってやめられたんですか?私も強くなりたい」


強さかぁ。
そんなものあたしにはないな。
 

⏰:06/06/06 07:23 📱:V703SH 🆔:Ks2JUYQU


#388 [ゆり]
ねぇ隼人

隼人はいつも
あたしが欲しがる言葉を
くれた訳じゃないけど

あたしが離れていかないようにと
いつも懸命に伝えてくれたね

その揺るがない想いを
時に疑い
時に信じた

あたしが持っていない強さを

隼人は持っていたよね
 

⏰:06/06/06 07:30 📱:V703SH 🆔:Ks2JUYQU


#389 [ゆり]
傷付いても

好きだと言ってくれたよね

あんた懲りないねって
笑ってやったけど


その強さに
数え切れない程
救われてた。


あたしにもそんな強さがあったなら

過去を責めて

何度も隼人を苦しめなかったよね。

 

⏰:06/06/06 07:32 📱:V703SH 🆔:Ks2JUYQU


#390 [ゆり]
「先輩?」


「…あ、ごめん!
あたしは原因が分かってたから…
問題が解決したら自然にやめられたよ」


「そうですか…」

寂しそうに俯く。


その時教室のドアが勢いよく開いた。

「お前らもう学校閉めるから帰れよ〜」

「あッはーい!」

二人で焦りながら教室を出る。
 

⏰:06/06/06 07:43 📱:V703SH 🆔:Ks2JUYQU


#391 [あやぽん]
毎回更新_楽しみにしてま
あと超読みやすいデス頑張ってネ

⏰:06/06/06 09:19 📱:SH700i 🆔:aIOGq3rw


#392 [ひLI]
フムX02(・ε・`)゙

⏰:06/06/06 15:45 📱:N901iC 🆔:XRCh60kQ


#393 [ゆり]
あやぽんチャン☆ひいチャン☆
いつもありがとう(;ω;)

⏰:06/06/06 20:35 📱:V703SH 🆔:Ks2JUYQU


#394 [ゆり]
校舎から出ると
外はもう暗くなっていた。

「先輩って地下鉄ですか?」

「あ、うん…淳ちゃんは?」

「私あっちのマンションなんです」

「近いね〜!じゃぁ逆だぁ…残念。
ひとりで大丈夫?」

「私は全然大丈夫です!今日はいきなりすみませんでした。
よかったらまた一緒にお話してください」

淳ちゃんが可愛く笑った。
 

⏰:06/06/06 20:40 📱:V703SH 🆔:Ks2JUYQU


#395 [ゆり]
「うん☆またゆっくり話そぉね!
じゃあほんと気をつけてね」

「ありがとうございます☆じゃあ」

小さく手を振って
歩いて行った。

少し見送って
あたしも歩き出した。

久しぶりにリスカの事思い出したなぁ…

自分は独りなんだって
訴えるみたいな痛み。
 

⏰:06/06/06 20:45 📱:V703SH 🆔:Ks2JUYQU


#396 [ゆり]
ブーブー…

携帯が振動。
隼人から電話だ。

「はいもしもーし」

「ゆり?無事か〜?」

「無事よ〜今駅向かってる〜」

「お前まじ気をつけろよ」

「はいはーい(笑
心配ありがと☆」

電話の後ろからお母さんが
ご飯だよって呼んでるのが聞こえた。
 

⏰:06/06/06 20:57 📱:V703SH 🆔:Ks2JUYQU


#397 [ゆり]
「ほらママが呼んでるよ☆ご飯食べてこい♪」

「あぁ〜うん…お前大丈夫か?着いたら絶対連絡しろよ!」

「わぁかったって(笑
じゃーね☆」

「はーいじゃあな〜」

携帯を閉じる
同時に溜め息。

隼人の家族は本当に仲が良い。
暖かくて
愛情に満ちてるのが
話を聞いてるだけのあたしにも分かる。

「いいなぁ…」

何度言っただろう。
 

⏰:06/06/06 21:02 📱:V703SH 🆔:Ks2JUYQU


#398 [ゆり]
あたしは親に遊んでもらった記憶も

家族で食卓を囲んだ記憶もない。

でも親を恨んだ事はない。
お母さんもお父さんも好きだから。


ただ寂しいのは消えなくて

もうハタチになるのに
まだ夢見てる。

家族みんな仲良く
一緒にご飯が食べたい。

どんな感じなんだろう。
きっとすごく楽しくて
笑顔で
温かいんだろうな。
 

⏰:06/06/06 21:08 📱:V703SH 🆔:Ks2JUYQU


#399 [あやぽん]
がんばッ

⏰:06/06/07 02:33 📱:SH700i 🆔:2yUQ4X92


#400 [ぴょ]
ゅりさんはじめまして三時ぐらぃから一気に読み出したらまぢハマりましたけーたぃで小説ょんだのはぢめてなんですけろ、ゅりさんまぢ凄ぃですねぁたし、今の彼氏とかぶってるとこ超ぁってまぢ感激ですねっぅちも今見てたでしょってなりますてか毎日ですだって妬ぃちゃぅんですもん見て何がゃなのトカゅってくるんですけどね、そーぢゃぁねーょみたぃな これからも頑張ってくださぃ〃読み続けますからと同時に横で寝てる彼氏にこの小説読ませます

⏰:06/06/07 05:39 📱:N901iC 🆔:rey/ILzM


#401 [我輩は匿名である]
>>400の人ちょっと文がわかりにくいかも

⏰:06/06/07 07:05 📱:P901iS 🆔:PLtcPfwM


#402 [我輩は匿名である]
四季と、この小説って同一人物が書いてるっぽい

⏰:06/06/07 07:12 📱:SH902i 🆔:☆☆☆


#403 [ゆり]
あやぽんチャン☆本当いつもありがとッ優しいな(>∀<*)
ぴぃチャン☆共感してもらえて嬉しいですッ好きな人だと小さい事で妬いちャうから困るよね(*´д`*) よかったらまた読んで下さい☆

⏰:06/06/07 07:45 📱:V703SH 🆔:3EvGXM3k


#404 [ゆり]
匿名さん☆同一人物っぽいですか?!やめて〜(●>□<●)笑
違いますけど何か気に触ったならすみません(*´`*)

⏰:06/06/07 07:48 📱:V703SH 🆔:3EvGXM3k


#405 [我輩は匿名である]
失礼
>>300-400

⏰:06/06/07 10:06 📱:D701iWM 🆔:4g3sc4yE


#406 [通りすがリ]
同一ちャうゃろ
ウチの妄想的に...

仲良いから同じ
多分ボーダフォンの
ラブ定額使うてはルンゃろ

⏰:06/06/07 12:45 📱:P902i 🆔:Ze.2q3U6


#407 [ひLI]
隼人サンの【四季】
今、一気に読みました
(*´艸`)
すごLIよかッた

⏰:06/06/07 23:08 📱:N901iC 🆔:tU1fhTQ2


#408 [あやぽん]
あげェ(・3・)ノ
書かないのォ_

⏰:06/06/08 10:14 📱:SH700i 🆔:5nITnLqw


#409 [ゆり]
更新します。
よかったら読んで下さいm(__)m

⏰:06/06/08 21:41 📱:V703SH 🆔:PKNwmvDo


#410 [ゆり]
家に着き
鍵を開けドアを開ける。


玄関の電気をつけて
「ただいま」
って言ってみた。

いつも通りの静まり返った家。

今日はやけに
寂しく感じた。
 

⏰:06/06/08 21:42 📱:V703SH 🆔:PKNwmvDo


#411 [ゆり]
リビングに行き
にゃんこの皿にエサを入れる。

「遅くなってごめんね…
寂しかった?」

お皿に顔を沈める頭を撫でながら聞いた。

意味わかんないけど
何故か涙が出た。


寂しいって言葉に出すと
ダメだなやっぱり。


あたしは自分の情けなさに少し笑った。
 

⏰:06/06/08 21:45 📱:V703SH 🆔:PKNwmvDo


#412 [ゆり]
部屋に入って
隼人に「家着いたよ」ってメールする。

おかえりって返事をくれる。


そんな毎日の日課が
あたしの涙を止めてくれた。
 

⏰:06/06/08 21:47 📱:V703SH 🆔:PKNwmvDo


#413 [ゆり]
次の日

携帯のアラームより早く目が覚める。
起こしてくれる人がいないから
自然に目が覚める体になったみたい。

「よッしゃ、起きよ」

顔を洗って
歯を磨いて
にゃんこにエサをあげて
夜に干した洗濯物をたたむ。

部屋に戻るとテレビを付けて
化粧をして髪をセットする。

毎日同じ繰り返し。

こんな当たり前の毎日の中に
隼人が現れたんだ。
 

⏰:06/06/08 21:51 📱:V703SH 🆔:PKNwmvDo


#414 [ゆり]
あたしの存在を願ってくれる人がいる。

あたしの存在を求めてくれる場所がある。


それだけで

あたしは眠れず
自分の体に傷を刻んだ夜を

越える事ができたのかもしれない。
 

⏰:06/06/08 21:53 📱:V703SH 🆔:PKNwmvDo


#415 [ゆり]
人は所詮孤独だし
ひとりだって思う事はきっと
仕方ない。

それでも誰かを求めて
求めてもらえた時

絶対にどこかが埋まる。

諦めなければ変わる。

綺麗事が嫌いなあたしが
自分で見つけた答え。

傷は酷く痛むけど
意外に浅いかもしれない。
 

⏰:06/06/08 21:55 📱:V703SH 🆔:PKNwmvDo


#416 [ゆり]
「ゆり〜おはよ〜」

「う〜わ眠そうだね」

爽やかな気分が
隼人の寝ぼけた顔で笑いに変わる。

駅から学校までの道を二人で歩いていると
後ろから声がした。

「隼人〜!?」

ビクッとする。
振り返ると

忘れもしない

あの金髪ギャルが立っていた。
 

⏰:06/06/08 21:57 📱:V703SH 🆔:PKNwmvDo


#417 [ゆり]
隼人と付き合う前
二人が一緒に歩いてるのを見た事がある。

あえて聞いてないけど
多分元カノ…かな。



今すぐこの場を去りたい。

でも動けない。


「まい…」

隼人は驚いた声で言った。

絶対に聞きたくなかった。

違う女の子の名前を呼ぶ声。
 

⏰:06/06/08 22:01 📱:V703SH 🆔:PKNwmvDo


#418 [ゆり]
「まいだよ〜ッ♪めっちゃ久しやない!?
何してんのー!?」

ショートパンツにビーサンで
黒い肌に痛んだ髪を指でいじりながら近付いてくる。

あたしはとりあえず笑顔だったと思う。

「友達?」

隼人を見上げて聞く。

「あ…うん」

隼人は焦った様に答えた。
 

⏰:06/06/08 22:04 📱:V703SH 🆔:PKNwmvDo


#419 [ゆり]
「あたし先行ってるね」

「え…ちょっと待って」

笑顔でそう言って
隼人の言葉を聞かずに
彼女に軽く頭を下げて
学校に向かって歩き出した。

背筋を伸ばして歩く事が
精一杯。

「もーやだ…」

青い空と白い雲が滲む。
涙を堪える。

隼人の過去が
まだあたしに纏わり付く。
振りほどけない。
 

⏰:06/06/08 22:07 📱:V703SH 🆔:PKNwmvDo


#420 [ゆり]
あたしは一人で校舎に入った。

涼しさで
少し溜まってた涙が引いた。


「あれ〜先輩今日一人ですか?」


階段を上ろうとしたあたしに
話しかけてきたのは

新歓で話した爽やかボーイだった。
 

⏰:06/06/08 22:09 📱:V703SH 🆔:PKNwmvDo


#421 [ゆり]
「あぁ…うん」

あたしは少し戸惑いながら答えた。


「彼氏さんと喧嘩ですか〜?」

笑いながら聞く顔が
なんかムカついた。

「喧嘩じゃないよ〜」

ほっといて欲しい時に限って
こーやって話しかけてくる奴っている。
 

⏰:06/06/08 22:33 📱:V703SH 🆔:PKNwmvDo


#422 [ゆり]
「てかメール下さいよ!」

(そいやメアド教えてくれたっけ。)

「…名前は?」

「今更っ?!笑」

「爽やかボーイとしかインプットしてない」

「けいたです。笑
横井慶太。慶太って呼んでください!」

「そっか〜…」

「何がそっか〜なんですか?笑」

「ん〜…」
 

⏰:06/06/08 22:37 📱:V703SH 🆔:PKNwmvDo


#423 [ゆり]
正直めちゃくちゃ上の空。

だって隼人が来ない。

まだあの子といるの?
何してるの?


「どうしよ…」

「え?何が?」

そう聞かれて
声に出てたんだって気付いた。
  

⏰:06/06/08 22:39 📱:V703SH 🆔:PKNwmvDo


#424 [ゆり]
「なんでもないよっ
ほら授業始まるから教室行きな〜」

「先輩は〜?」

「あたしは…あたしも行くから!
じゃーね」

小さく手を振って

入り口が気になりながらも

あたしは慶太に背を向けた。
 

⏰:06/06/08 22:41 📱:V703SH 🆔:PKNwmvDo


#425 [ゆり]
「先輩!連絡待ってまーす」

笑顔でそう言って歩いて行った。

気付けばやたら周りの生徒に注目されてたから
あたしは気まずくて
早足で階段を上り切った。


振り返っても
隼人はいない。


チャイムが鳴るギリギリまで
教室の外で待ってたけど
隼人は来なかった。
 

⏰:06/06/08 22:42 📱:V703SH 🆔:PKNwmvDo


#426 [ゆり]
「ゆりちゃん今日稲葉は?」


岩田くんが
一人で席に座るあたしに聞く。


あたし達は毎日一緒だから
二人でいないと変なんだね。


あたしも落ち着かないよ。

どうしよう。

また一人ぼっちになったら。
 

⏰:06/06/08 22:44 📱:V703SH 🆔:PKNwmvDo


#427 [ゆり]
「遅刻じゃないかな〜?」

笑いながら言うと
岩田くんは安心した様な顔で
席に戻って行った。


ブーブー…
メールだ。

あたしは先生に気付かれないように
机の下で静かに携帯を開いた。

隼人からだった。

「ゆりごめん。
今日ちょっと学校行けないかも。
さっきの奴友達なんだけど、いきなり泣き出して話聞く事になって…また詳しく話すから!
心配しないでな、本当こいつとはなんもないから。」
 

⏰:06/06/09 07:44 📱:V703SH 🆔:S4w5v86Y


#428 [ゆり]
あたしはしばらくそのメールを眺めてた。


なんかあたし見事に傷付いてる。


泣き出したって事は
きっと肩とか抱いて
なぐさめてるんだよね?

こいつとか言うって事は
それだけ親しいんだよね?


心配するしないの次元なんて

とっくに越えてる。
 

⏰:06/06/09 07:45 📱:V703SH 🆔:S4w5v86Y


#429 [ゆり]
携帯をバックにしまって
あたしは授業に集中しようとした。

ノートが滲みそうになるのを
必死で堪えた。

こんなのばっかり。

隼人はいつも
好きだ好きだって言うけど
結局
あたしの方が好きなんだって
こういう時に思う。

あたしばっかり
こんな事で泣きそうになって
馬鹿みたいじゃん。

どうしたらいいの。
 

⏰:06/06/09 07:46 📱:V703SH 🆔:S4w5v86Y


#430 [ゆり]
やっと1限の講義が終わり
休み時間になった瞬間

あたしは早足で教室を出た。


途中で友達に話しかけられたけど
上手く受け答えられなくて
そのまま学校を出た。 

⏰:06/06/09 07:50 📱:V703SH 🆔:S4w5v86Y


#431 [ゆり]
何かをしようと思ってた訳じゃない。

ただ
隼人がいないから
一人になった気がして
恐くて。


駅までの道を
スピードを落として歩いた。

隼人を見つけたいけど
あの子には会いたくない。
心臓が鳴ってるのが分かった。


でもやっぱり二人の姿はなかった。
 

⏰:06/06/09 07:51 📱:V703SH 🆔:S4w5v86Y


#432 [サキ]
ずっと読んでるョ
頑張って書いてください

⏰:06/06/09 08:10 📱:N701i 🆔:D4FPn5Rk


#433 [我輩は匿名である]
あたしもずッと読んでマス毎日この小説チェックするのが日課になッてます
これからも応援してます

⏰:06/06/10 11:35 📱:P902i 🆔:JMxXjc1o


#434 [我輩は匿名である]
>>100-500

⏰:06/06/10 16:27 📱:D902i 🆔:P0b1hd.M


#435 [ひLI]
げX02´з`)(´ε`

⏰:06/06/10 20:54 📱:N901iC 🆔:4fgX6Wcg


#436 [あやぽん]
がんばあ

⏰:06/06/10 21:15 📱:SH700i 🆔:qhfpIJNs


#437 [ゆり]
サキチャン☆匿名サン☆ひいチャン☆あやぽんチャン☆ありがとうッ(;ω;)
最近いろAあって…遅くなってすみません。少し更新します☆

⏰:06/06/10 23:45 📱:V703SH 🆔:VZSgLcbs


#438 [ゆり]
空は急に曇りだして
あたしは携帯を開いた。

メールが来ていた。

隼人?
そう思って急いで見ると
「ゆりチャ〜ンどこ行ったぁ?
隼人クンと何かあったか〜?」
友達からだった。

心配してくれてありがとーと
大丈夫だよーって返信した。

涙が溢れた。
 

⏰:06/06/10 23:45 📱:V703SH 🆔:VZSgLcbs


#439 [ゆり]
あたし何泣いてんだろ。
涙が溢れた事で
笑えた。

「帰ろ…」

鼻をすすって涙を拭いた。

顔を上げたら
少し息が上がってる

慶太がいた。


「やっぱり先輩だ」

「は…」

慶太はいきなりあたしを抱きしめた。
身長はそんなに高くないけど
胸にすっぽり入った。

⏰:06/06/10 23:48 📱:V703SH 🆔:VZSgLcbs


#440 [ゆり]
ウルトラマリンの香りがした。

出会った夏に
隼人がつけてた香水。

止まった涙がまた出てきた。

もう最悪だ。
こんな姿
絶対誰にも見られたくなかった。

嫉妬深いとか
泣き虫とか弱虫とか
情けなさを越えて
アホだ。

でも涙が勝手に出てくる。
やっぱりめちゃくちゃ辛い。
 

⏰:06/06/10 23:50 📱:V703SH 🆔:VZSgLcbs


#441 [ゆり]
「先輩が出てくの見えたから
講義抜けて来ちゃった」

普通の声でそう答える。
でもあたしの事抱きしめてる。

あんま人も車も通らないけど
そうえばここ道端だよ。

俯きながら慶太の体を両手で押して離す。

「ごめん。
少し鼻水付けた」

「いいよ(笑」
 

⏰:06/06/10 23:53 📱:V703SH 🆔:VZSgLcbs


#442 [ゆり]
慶太の右手は
あたしの左手を握って離さない。

「なんでもないから…ありがと」

あたしはそう言いながらまた鼻をすすった。

「またまたぁ〜
そんな事言っちゃって(笑」

はー
なんなの
朝からいちいち
カンに障る言い方。

笑い事じゃないのに。 

⏰:06/06/10 23:54 📱:V703SH 🆔:VZSgLcbs


#443 [ゆり]
「あたし帰るから慶太も学校戻ってね」

「やだ〜先輩といる」

「…」

あたしは何も言わずに180度方向を変えて
駅に向かった。

「やっぱり彼氏と喧嘩したんでしょ〜笑」

「…」

ほんとムカつく男だな。
お陰で悲しみが怒りに変わったよ
ありがとう。
 

⏰:06/06/10 23:57 📱:V703SH 🆔:VZSgLcbs


#444 [ゆり]
「先輩歩くの早ぇ〜笑」

その笑いを含んだ無神経な言葉に
イラッとして舌打ちした。

「怒った〜♪笑」

「…」

よし。
もう無視しよう。

あたしはさらに歩くスピードを上げた。

その瞬間に
慶太が言った。
 

⏰:06/06/11 00:02 📱:V703SH 🆔:tJhX7XgE


#445 [ゆり]
「センパ〜イ。
先輩の彼氏浮気してましたよ」


「…」


「さっき駅と逆に歩いてたの見た〜
寄り添いながら女と二人で。」


「…」


「先輩がいるのにね〜
まぁ遊んでそうだし」


「…」
 

⏰:06/06/11 00:04 📱:V703SH 🆔:tJhX7XgE


#446 [ゆり]
駅到着。
定期を出して
改札を通る。


頭の中は
さっきの言葉が具体化された映像。

隼人が
他の人と…ね。


まぁ予想はしてたし。
平気だよ
全然。
 

⏰:06/06/11 00:05 📱:V703SH 🆔:tJhX7XgE


#447 [我輩は匿名である]
>>400-500

⏰:06/06/11 01:57 📱:SH902i 🆔:wCn1e0/Y


#448 [ゆり]
「先輩〜どっか行こーよ」

「…まだいたの」

「あれ?もしやショック受けてるんですか?」


「…余裕だよ」

慶太はにこっと笑ってあたしの手を取った。
その行為も
なんかどうでもいい感じだった。
だから慶太に引かれるまま電車に乗った。

 

⏰:06/06/11 22:24 📱:V703SH 🆔:tJhX7XgE


#449 [ゆり]
「雨降りそーだし〜俺ん家行く?」

「…なんでだよ(笑」

「あ、笑った!よかった」

子供みたいに笑う。
くしゃくしゃの茶色い髪と
少し長めのえりあし
ウルトラマリンの香り

結局頭は隼人の事ばっかりだ。
 
今何してるんだろう。 

⏰:06/06/11 22:26 📱:V703SH 🆔:tJhX7XgE


#450 [ゆり]
「どこでもいーよ」

呟く様に言った。

席に座ったのにまだ手は握られていた。

同じ手なのに
隼人とこんなに違うんだ。

大きさも
体温も。
 

⏰:06/06/11 22:28 📱:V703SH 🆔:tJhX7XgE


#451 [ゆり]
隼人が浮気なんてする訳ない

って気持ちより

マイナスの想像が頭を支配してた。


全部見なかった事に出来たらいい

何も聞かなかった事に出来たらいいのに。
 

⏰:06/06/11 22:32 📱:V703SH 🆔:tJhX7XgE


#452 [ゆり]
「次下りますよ」

慶太の事で顔を上げた。


手を引かれるままついて行く。

瓦屋根が多い
古きよき町並みを少し歩くと

恐ろしくボロボロのアパートの前で
慶太の足が止まった。 

⏰:06/06/11 22:34 📱:V703SH 🆔:tJhX7XgE


#453 [ゆり]
「ここ」

「ふーん」

「ボロ過ぎて引いた?笑」

「ううん」

ポツ…ポツ…

雨降ってきた。

「あー洗濯物やべぇ!」

あたしの手を強く引き
一階の1番奥の部屋の鍵を開けた。


てかあたし何ノコノコ男の部屋入ってんだろ…
 

⏰:06/06/11 22:37 📱:V703SH 🆔:tJhX7XgE


#454 [ゆり]
中は意外に綺麗だった。

キョロキョロするあたしに
洗濯物を引っ張り込みながら慶太が
適当に座っててと言った。

あたしは部屋を見渡してパイプベットの前に座った。

爽やかボーイらしい
爽やかな部屋。

雨音が強くなり
ザーがドォーって音に変わった。
 

⏰:06/06/11 22:39 📱:V703SH 🆔:tJhX7XgE


#455 [ゆり]
「すげー雨…」

慶太は洗濯物を押し入れに投げ込んで
台所からお茶を持ってきてくれた。

「ありがとー…」

「先輩暑くないですか?」

「だいじょぶです…」

「あ、座布団いりますか?」

「だいじょぶです…」

「緊張してるんすか?笑」

「してないです…」

慶太はベットの上に座った。

⏰:06/06/11 22:40 📱:V703SH 🆔:tJhX7XgE


#456 [我輩は匿名である]
頑張ッて
めちャ続き気になる

⏰:06/06/12 15:47 📱:P902i 🆔:uxTBNr/Q


#457 [ゆり]
匿名さんありがとうございますo(^-^)o

⏰:06/06/12 21:37 📱:V703SH 🆔:enZ4xznQ


#458 [ひLI]
げX02(*´艸`)

⏰:06/06/12 21:44 📱:N901iC 🆔:/cEUooT2


#459 [ゆり]
「煙草いる?」

慶太が煙草をくわえながら聞く。

「吸わないから…」

「あ、そーなんだ」

そいや新歓でも吸ってなかったねって話しになった。

「あの日ってどーなったんですか?
彼氏さんかなり盛り上がってたけど。笑」

「ん〜別に」

新歓の事はあんまり触れて欲しくない。

まだ痛い。

だけど信じたいって思ったのに。
 

⏰:06/06/12 21:47 📱:V703SH 🆔:enZ4xznQ


#460 [ゆり]
ブーブー…

「先輩の携帯?鳴ってますよ」

「あぁうん…」

画面には着信で
隼人の名前。

あたしは携帯を閉じた。

やっぱりプライドが邪魔して
出てたまるかって感じだった。

慶太は何も言わずに

煙草を灰皿に押し付けながら口を開いた。
 

⏰:06/06/12 21:49 📱:V703SH 🆔:enZ4xznQ


#461 [ゆり]
「彼氏さんどーせ遊び人なんでしょ?
別れればいーじゃん」


…簡単に言うな。
そんなん出来たら
とっくにしてるよ。


「あんたに言われたくない」

あたしはお茶を飲んだ。
雨音は静まらない。

慶太はベットに寝転がって
からかう様にあたしの頭をくしゃくしゃした。
 

⏰:06/06/12 21:51 📱:V703SH 🆔:enZ4xznQ


#462 [ゆり]
可愛い女の子ならきっと
「やだぁ〜♪」とかはしゃぐんだろーけど
あたしは本気でキレる。

「ちょッぐしゃぐしゃになるだろーが!」

「アハハ顔が本気だし!」


なんかコイツ
あたしに似てる。

全部わかった様に笑うし
性悪ッ。
 

⏰:06/06/12 22:06 📱:V703SH 🆔:enZ4xznQ


#463 [ゆり]
「慶太くんさ〜モテるからって調子乗ったらかんよ?」

髪を直しながら言う。

「だって先輩可愛いんだもん(笑」

「あ〜よく言われる」

性格悪い者同士の
どっちもどっち対決が始まって

あたしは普通に笑ってた。

さっきまで泣いてたのに
人間って不思議だ。
 

⏰:06/06/12 22:07 📱:V703SH 🆔:enZ4xznQ


#464 [ゆり]
「先輩お昼食べてないよね?何か食う?」

笑いながら慶太が起きた。

「何か作って〜」

「いいよ〜チャーハンとかでいい?」

「うん!」

「じゃーちょい待ってて(笑」

慶太は台所に向かった。
あたしも後ろから付いてった。
 

⏰:06/06/12 22:09 📱:V703SH 🆔:enZ4xznQ


#465 [ゆり]
「何でついてくんのよ〜」

「だって料理見るの好きなんだもん」

「じゃあ先輩が作ってよ」

「やーだよー」

慶太は笑いながら冷蔵庫を開けて
手際良くチャーハン完成。

「うまいッ!!」

本当感動した。

「よかった〜」

テレビを付けて
二人で見ながら食べた。
なんでいきなりこの子とご飯食べてんだろう、みたいな気持ちで。
 

⏰:06/06/12 22:11 📱:V703SH 🆔:enZ4xznQ


#466 [ゆり]
「あ〜お腹いっぱい!ごちそうさま!」

「ごちそうさま〜!」

あたしは慶太と自分の食器を持って立ち上がり台所に向かった。

洗っていると急にテレビの音が消えた。

振り返ると慶太がリモコンを持ってた。

「なんで消すの〜あたしニュース聞いてたのに」
食器を拭きながら言う。

「先輩早くこっち来て」
いつもより少し低い声に驚いた。
 

⏰:06/06/12 22:12 📱:V703SH 🆔:enZ4xznQ


#467 [ゆり]
「なに?」

食器をしまい
手を洗って慶太のところに行くと

ベットに座った慶太があたしの手を思いっきり引っ張った。


次の瞬間にはもう慶太が上にいて

両手はすごい力で押さえられてた。
 

⏰:06/06/12 22:14 📱:V703SH 🆔:enZ4xznQ


#468 [ゆり]
時間が止まったみたいに
何秒か目が合ってた。

目が反らせないってこういう感じか。

「コラ何してんの」

自分でも謎だけど
妙に落ち着いてた。


「抵抗しないの?笑
しないならやっちゃうよ?」

目は笑ってなかった。
 

⏰:06/06/12 22:16 📱:V703SH 🆔:enZ4xznQ


#469 [ゆり]
手を振り離そうとしても

ビクともしない。

男ってこんなに強いの?


「まじでやめて」

そう言った瞬間

セットされてたかの様に
バッグの中であたしの携帯が振動した。
 

⏰:06/06/12 22:20 📱:V703SH 🆔:enZ4xznQ


#470 [ゆり]
ブーブー…

あたしは助かった!と思った。

「ちょ…携帯鳴っとる。出なきゃ…」

顔を背けた。


「だーめ」

慶太は静かにそう言って
あたしの首筋にキスをした。

嫌でも体が反応する。

足をバタバタさせても
慶太はやめない。
 

⏰:06/06/12 22:23 📱:V703SH 🆔:enZ4xznQ


#471 [ゆり]
いつの間にか携帯も鳴り止んでた。

隼人だったと思うと
なんとも言えない気持ちになった。


「先輩…もう俺にしときなよ」

手が胸に触れた。

弱い首筋を舐められて
胸も触られて
感じない訳なかった。

隼人が他の女といた光景が頭をよぎると

やけになろうとする自分もいた。
 

⏰:06/06/12 22:27 📱:V703SH 🆔:enZ4xznQ


#472 [ゆり]
部屋に上がったんだから
何かある事くらい
予想してたじゃん。

顔もいいし一回くらい
いいじゃん。

隼人だってやってるんでしょ?




でも嫌だ。
彼氏に浮気されて
他の男に付け込まれて
当て付けみたいにヤルなんて

あたしそこまで弱くないはず。
 

⏰:06/06/12 22:30 📱:V703SH 🆔:enZ4xznQ


#473 [ゆり]
今なら戻せるものも

きっと戻せなくなる。

それくらい好い加減
身に染みて分かってるから。
 

⏰:06/06/12 22:33 📱:V703SH 🆔:enZ4xznQ


#474 [ゆり]
「ねぇほんとにやめて」


あたしの真剣な声に
慶太が顔を上げた。


「離して」

その言葉で
強めていた手を緩め
あたしから体を離した。

あたしも体を起こした。

慶太は下を向いたまま
何もしゃべらない。

あたしも言葉が見つからなかった。
 

⏰:06/06/12 22:34 📱:V703SH 🆔:enZ4xznQ


#475 [ゆり]
雨音だけが部屋に響いて聞こえた。


隼人と付き合った日も

隼人をもう一度信じようと決めた日も


こんな雨の日だった。 

⏰:06/06/12 22:36 📱:V703SH 🆔:enZ4xznQ


#476 [ゆり]
ねぇ隼人

今どこで誰といるか知らないけど

証は外してない?


あたしの指には

ちゃんと光ってるよ。
 

⏰:06/06/12 22:39 📱:V703SH 🆔:enZ4xznQ


#477 [ゆり]
「なんで…?」

「え?」
慶太の声でハッとした。

「なんであの人なんですか?
…浮気してんのに」

「…」

隼人が誰とヤッたとか
それが嘘とか本当とか
実際もうどーでもいい。
 

⏰:06/06/12 22:40 📱:V703SH 🆔:enZ4xznQ


#478 [ゆり]
頭では分かってるよ。

そんな男ほんとは捨てたい。

でもどうしようもない。


こんなに誰かを失いたくないなんて

初めて思ったから。
 

⏰:06/06/12 22:41 📱:V703SH 🆔:enZ4xznQ


#479 [ゆり]
「なんでだろ…
あたしもわからん。
だから困ってる」

「困ってるんだ(笑」

慶太が優しく笑った。

「本当になんであいつなんだろうね」

溜め息混じりに言うと

「俺なら幸せにしてあげるのに」

慶太はそう呟いた。
 

⏰:06/06/13 07:19 📱:V703SH 🆔:LVTpf/zg


#480 [ゆり]
「…」

あたしは隼人に

幸せにしてもらえる自信なんてない。

あたしが隼人を

幸せにしてあげられる自信もない。

でも未来に

二人なら幸せになれるって確信がある。


だからあたしは
隼人じゃないと
ダメなんだ。

きっと。
 

⏰:06/06/13 07:22 📱:V703SH 🆔:LVTpf/zg


#481 [ゆり]
「あたしは今でも
じゅーぶん幸せだよ」


当たり前の幸せに慣れちゃいけない。

それは高橋さんとの恋愛で
あたしが学んだ事。

何かを貰うとか
そうゆんじゃなくて

ただ名前を呼んで貰える
あたしとの時間を過ごしてくれる

それだけで
十分。
 

⏰:06/06/13 07:27 📱:V703SH 🆔:LVTpf/zg


#482 [ゆり]
「やっぱりあたしは
あいつじゃなきゃダメだ」

「…あっそ」

「…うわ〜ムカつく言い方」

「俺のがムカついてるし。
女なんて誰でも簡単に落ちたのに」

「そーやって女見下してるからダメなんだっつーの」

「確かに(笑」

「…あたしも部屋上がったりしてごめん」
 

⏰:06/06/13 07:33 📱:V703SH 🆔:LVTpf/zg


#483 [ゆり]
「ほんとだよ。(笑
でもあんだけマジに拒否られたの初めてだから…
どうしたらいいかわからんくなった(笑」


「うん…ごめん」

何故か頭を下げて謝る自分。

それを見て慶太が笑った。

「なんか全然イメージと違いますね(笑」

 

⏰:06/06/13 07:37 📱:V703SH 🆔:LVTpf/zg


#484 [あやぽん]
すげぇ頑張って
応援しとるよォ

⏰:06/06/13 13:44 📱:SH700i 🆔:hNDxLBss


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