〇ニ番目の四季〇
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#43 [ゆり]
「ゆりちゃん?」

ベンチに座ってる高橋さんが声をかける。

笑顔で振り返ったけど
たぶん上手には笑えてなかったと思う。


何となく高橋さんも切ない表情で
「おいで」
と言った。


あたしは大人しく隣に座った。
  

⏰:06/05/28 15:31 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#44 [ゆり]
「寒くない?」

そう言って高橋さんは
あたしの肩に手を回した。

「え?ちょっ…」

いきなりで戸惑った。

いつの間にか煙草も消えていた。
   

⏰:06/05/28 15:32 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#45 [ゆり]
横を向くと指先であごを上げられた。


直感でキスされると思った。

「ちょッとと…ッ」

あたしは両手で拒んで下を向いた。

「彼女さんい」
るのにって言う前に回された手に力が入って
高橋さんに引き寄せられた。
   

⏰:06/05/28 15:34 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#46 [ゆり]
あごを上げられた瞬間唇が触れた。

「ん…ッ」


拒むほど引き寄せる力は強くなる。

舌が入ってきた。

深いキスは慣れてないのに
拒み切れないあたしは
きっともう手遅れで

完全に高橋さんを好きになってたんだ。
  

⏰:06/05/28 15:37 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#47 [ゆり]
唇が離れる。

「激しいね」

軽く笑って高橋さんが言った。


あたしを全部
見透かした様な仕種が
なんか悔しくて
苛立って

今度はあたしからキスをした。

  

⏰:06/05/28 15:39 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#48 [ゆり]
自分が自分じゃないみたい。


だけど指輪が見たくないの。


気持ちは伝えられないから

せめて

今だけ。  
  

⏰:06/05/28 15:40 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#49 [ゆり]
今まで生きてきた中で
1番長いキスをして

どうやって戻ったのかわからないけど、
あたしは助手席に座っていた。


「彼女さんいるのにいけないんだ〜笑」

あたしはわざと茶化す様に言った。


子供だけど本気にしちゃいけない事くらいわかってる
だから大丈夫だよ。
 

⏰:06/05/28 15:43 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#50 [ゆり]
高橋さんはあたしを抱きしめて何も言わなかった。


こんな切なさ

何て言うんだろう。



時計が夜中の3時を回った時、
またいつもみたいに軽く笑って
「そろそろ行こっか」
と高橋さんはあたしを離した。

家の前に着くともう一度キスをしてきた。

「今日はありがとうございました」

笑顔でそう言ってあたしは車を降りた。
  

⏰:06/05/28 15:45 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#51 [ゆり]
車が見えなくなって
溜め息が出た。

「あたし何やってんだ
ろ…」

唇を噛み締めた。


家に帰ってシャワーを浴びた。

高橋さんの香りを
消したくない様な、
早く消したい様な、
複雑な気持ちで。

  

⏰:06/05/28 15:47 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#52 [ゆり]
髪を拭きながら部屋に戻ると
メールが届いていた。

受信:高橋さん
「家着いたよ、また近いうちに会いたいな」


数時間前に家から出た時とは全く違う感情。

あたしは溜め息と一緒に携帯を閉じた。

その日は寝れなかった。
  

⏰:06/05/28 15:49 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#53 [ゆり]
次の日マイとマックで話した。

「どうした?なんかあった?」

席に着くと同時に
マイは心配そうな顔で聞いた。

「うん…」


あたしは昨日の出来事を全部話した。

マイは驚いた後、冷静に言葉をくれた。
  

⏰:06/05/28 15:53 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#54 [ゆり]
「彼女いるのに好きになっちゃったんでしょ?
ゆりは何も悪くないよ」


悪くない訳ない。

彼女がいるってわかってて
夜中に二人で会って、
キスもした。

完全に浮気だ。


「あたし浮気相手かぁ…」

冷たいウーロン茶を喉に通す。
  

⏰:06/05/28 15:55 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#55 [ゆり]
「だからゆりは悪くないって。
好きになった人にたまたま彼女がいただけだし。
うちは好きでいていいと思うよ?」


「…あたし…好きでいていいのかな…」

「うん!!」


マイはあたしが無理矢理否定してた気持ちを
簡単に肯定してくれた。

気持ちが少し軽くなったのを感じた。
  

⏰:06/05/28 15:57 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#56 [ゆり]
「マイ〜ありがと!!」

「ううん☆てか〜食え食え!」

「あーッポテトほとんどないじゃんッ」

「食べ出したら止まらない…マックのポテトって怖いね」

「あんたが怖い…」


夕方家に帰り
部屋で雑誌を読んでるとメールが届いた。 
  

⏰:06/05/28 16:00 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#57 [ゆり]
受信:高橋さん

「明日空いてる?」


あたしは少し迷った。

でも好きな人
会いたい人からの言葉を断れる程
大人にはなれなかった。

もう止められません。

あたし最低女でいい。
  

⏰:06/05/28 16:01 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#58 [ゆり]
送信

「明日は午前中、学校だからお昼からなら空いてますよ☆」

ピリリッ♪

受信

「そっか〜学校まで迎えに行こーか?」

(友達にバレて彼女さんにバレる可能性…ゼロじゃないよね。危ないかも。)

慎重過ぎる自分。
  

⏰:06/05/28 16:04 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#59 [ゆり]
送信

「本当ですか?でも学校の近くのコンビニでいいです☆学校の前、車停めれないかもだから」

受信

「うんわかった、じゃあ終わるくらいに連絡してね」

送信

「はぁい☆」
  

⏰:06/05/28 16:06 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#60 [ゆり]
−次の日

授業を終えて誰よりも早く教室を出て
コンビニまで走った。

(あった!)

高橋さんの車。

自然に笑顔になってしまう。


彼女さんの存在は気になるし消えない

でも会ってる時間を大事にしたい

素直に楽しもうと思ったんだ。

⏰:06/05/28 16:09 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#61 [ゆり]
コンコンッ

あたしはこの前と同じ様に助手席をノックしてドアを開けた。


「高橋さんだ♪」

「おっ女子高生だ!」

「うわ〜おじさん発言(笑)」

「俺おじさんだもん。あ、やっぱおじさまで。」

「何そのこだわり…笑」

笑いながら車は出発した。
 

⏰:06/05/28 16:11 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#62 [ゆり]
「どこ行くの?」

「俺映画見たいー」

「あ、いいね♪」


こうして映画館に向かった。

車から降りるとどちらからともなく、普通に手を繋いで歩いてた。

身長が20センチ違う高橋さんに手を引かれるあたしは
本当に子供みたいだ。

⏰:06/05/28 16:13 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#63 [ゆり]
映画はあたしの好きな恋愛系…
じゃなくてホラーだった。

怖いというより気持ち悪い。

(全然ロマンチックじゃないし〜ッ)

でもずっと手を握っていた。

映画が終わって外に出たらもう夕方。

「なんか食べる?」
と聞かれたけど
正直ドキドキで食べれそうにない。
 

⏰:06/05/28 16:16 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#64 [ゆり]
「ん〜あんまりお腹すいてなぃ」

「そっかぁ〜じゃあどっか行く?」

(まだ一緒にいれるんだッ)

「うんっドライブしたい♪」


はしゃぐあたしの頭をよしよしして
助手席のドアを開けてくれた。

高橋さんは王子様みたいで、
自分がお姫様みたいな気分になっちゃう。

お姫様は他にいるのにね。
  

⏰:06/05/28 16:17 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#65 [ゆり]
車を走らせて海に来た。

近付く秋を知らせる様に
冷たい風が髪を揺らした。


「あ〜ちょっと寒かったか、ごめんね」

「ううんっ綺麗♪見て見て!夕日がすごいよ!」

広がる地平線に夕日が沈む。

あの日の夕日は本当に鮮やかで
本当に綺麗だった。
  

⏰:06/05/28 16:20 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#66 [ゆり]
他愛ない話しをしながら、あたしは波際に近付いた。

「ゆりちゃん靴汚れるよ(笑)」

「大丈夫大丈夫!」


はしゃいでないと苦しい。

やっぱり手放しには楽しめない。

  

⏰:06/05/28 16:22 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#67 [ゆり]
少しずつ想い出が増えて
どんどん好きになって

高橋さんで頭がいっぱいになる。


同時に彼女の存在がよぎる。

(この場所にも二人で来たのかな…)


気を張ってないと涙が溢れそうだった。 
  

⏰:06/05/28 16:24 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#68 [ゆり]
沈みかけてる夕日の映る水面を眺めていた。

「ゆりちゃん!」

ぐいっと後ろに引っ張られた。

「わッ」

足が縺れて高橋さんの胸によろけてしまった。

「危ないな〜思いっきり波来てたよ?濡れてない?」


「大丈夫…」

胸に顔を埋めた。
高橋さんの匂いがした。
高橋さんは何も言わずに抱きしめてくれた。

⏰:06/05/28 16:27 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#69 [ゆり]
胸が苦しくて苦しくて、
だけど涙だけはこらえた。


ピリリリリッ

びっくりして体を離す。

高橋さんの携帯だ。

「…ちょっとごめんね」

少し離れて高橋さんは電話に出た。

彼女さんだろうな、と思った。

話しを聞かない様にわざと波の音に集中した。

辺りはすっかり暗くなっていた。
  

⏰:06/05/28 16:29 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#70 [ゆり]
高橋さんが戻ってきた

「ごめんね、そろそろ行こうか」

「うん!」

あたしは笑顔で答え
手を繋いで車まで戻った。

帰る間、
ずっと窓の外を見てた。
泣きそうだったから。

車の中でキスをしてバイバイした。
  

⏰:06/05/28 16:31 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#71 [ゆり]
あの後高橋さんは
彼女を職場まで迎えに行ったみたい。


(あーぁ…やっぱキツイな)


それでも傍に居たかった。
本当
バカみたいだけど。

昼間にデートしたのはこれを入れて数回。

あたしはどんどん都合のいい女になった。   

⏰:06/05/28 16:33 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#72 [ゆり]
10月の半ば

「俺んち行こっか〜」

「行こ行こ〜♪」

学校帰り
相変わらず高橋さんの助手席に乗ってあたしははしゃいでいた。


「今日誰もいないから」

ガチャッ

そう言って鍵をあける。

「おじゃましまーす」

あたしはローファーを脱いであがった。
 

⏰:06/05/28 16:35 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#73 [ゆり]
部屋は8畳くらいで
コンピューターとかベースとか置いてあってやっぱりかっこよかった。

「おー!綺麗〜」

「だろ?(笑)ジュース持ってくるから座ってて」

(律義だな(笑))

あたしは床に座ってそわそわしてた。

ガチャッ

「はい、ゆりちゃんはオレンジジュースね」

「わぁーい☆ありがとう」

コップを両手で持って飲んだ。

⏰:06/05/28 16:37 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#74 [ゆり]
「ほんと子供みたいだな(笑)」


あたしは子供らしさを演じてた。

彼女とは全く別のタイプでいたかったから。



それからベタだけどアルバムとか見せてもらった。
写真には彼女さんも映ってた。

⏰:06/05/28 16:39 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#75 [ゆり]
「わ〜彼女さん綺麗だね〜♪」

精一杯の強がりだった。

ベットにもたれて写真をめくる。


あたしの知らない場所
知らない顔
知らない高橋さん。

(あたしって一体なんなんだろ…)

急に虚しくなってきた。
 

⏰:06/05/28 16:40 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#76 [ゆり]
そんなあたしを分かり切った様に
肩を引き寄せてキスをする。

高橋さんお得意の黙らせ方。


「んん…」

口にジュースが入ってきた。

ごくんッごく…

数回に分けられて飲まされたジュース。

「上手に飲むね」

唇を離すと相変わらず軽く笑って
なにかしら言うんだこの人は。
 

⏰:06/05/28 16:45 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#77 [ゆり]
苦しくて息が上がる。

あたしばっかりドキドキして馬鹿みたい。


床には彼女さんとの写真、
指には彼女さんとお揃いの指輪。

…ほんと無神経な男。

あたしは苛々した。
  

⏰:06/05/28 16:47 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#78 [ゆり]
もともとかわいらしい性格なんかじゃない。

浮気する男なんて許せない。

なのに…



あたしはこの日
初めてを高橋さんにあげた。

いつかこうなるとは思ってた。

でもこれで完全に二番目になってしまった。

もうどうしようもない。

先にも進めないし
後にも戻れないんだ。
   

⏰:06/05/28 16:49 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#79 [まにャ]
隼人サンの小説読みま∪た(∩▽∩*)

すッごくよかったあ!隼人サンわゆリサンに出会うことによって、変われたンですね〜
人を愛することッて
難∪いけど…
素晴ら∪いですね!あた∪もい⊃か心から愛する人を見つけその人にいッぱいの愛を注ぎたい…

ゆリサンどうかこれカラも隼人サンとお幸せに応援∪ています!

小説も読んでいます頑張って下さい★

⏰:06/05/28 18:33 📱:W32H 🆔:C3rmoVpg


#80 [ゆり]
まにャさん☆
ありがとォです!!嬉しい(;ω;)
愛する事わ難しいケド愛せる人に出会えた事に意味があるから。 大切にしていきたいです☆思い出も、これからもo(^-^)o

⏰:06/05/28 19:19 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#81 [ゆり]
それからはいつも高橋さんのペース。

夜に彼女を職場まで迎えに行き、
家まで送っていった後に
あたしに会いに来る。

こっちからは連絡しないようにしてたから、
来るか来ないかはその時までわからない。

⏰:06/05/28 19:21 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#82 [ゆり]
でもあたしは毎晩携帯を気にして
夜中まで連絡を待った。


連絡がない日は諦めて
シャワーを浴びて寝た。

連絡がきた日は走って車まで行き、
ドライブをして車でえっちしてっていうコースだった。

⏰:06/05/28 19:23 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#83 [ゆり]
毎晩飽きずに続けた。

明け方に帰って
寝ないまま学校なんて日もよくあった。


それが苦じゃないくらい、

あたしは高橋さんが好きだったんだ。   

⏰:06/05/28 19:24 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#84 [ゆり]
12月25日
クリスマス


街はあたしの大好きなキラキラで、
でも大好きな人は隣にいない。


「あーあ!!」

「ゆり〜そんな叫ぶみたいに溜め息つくなよ(笑)」


只今マイの家でまったり中。

⏰:06/05/28 19:30 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#85 [ゆり]
「だって〜!高橋さんは昨日から彼女さんとお泊りだよ?
付き合ってんだから当たり前だけどさぁ〜」

クッションに顔を押し付けてうなだれる。

「よしよし!うちだって一人もんじゃんか!一緒に慰め合お!」


「ぅがー!!虚し過ぎるー!!笑」

「うっせーよ笑」


マイがいてくれてよかった。
一人だったら絶対泣いてたもん。

⏰:06/05/28 19:33 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#86 [ゆり]
ご飯をご馳走になって、
いつの間にか夜の10時を回っていた。


だいたいいつもこれくらいに高橋さんから連絡がくる。


「…あたしそろそろ帰るわ〜」

「え、泊まってかないの?」

マイが心配そうな顔で聞く。

「…」

こんな時にまであたしは
まだどっかで高橋さんが来てくれる事を期待してる。

馬鹿だな。

⏰:06/05/28 19:36 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#87 [ゆり]
「ん〜今日はいっぱい愚痴ってすっきりしたし大丈夫♪ありがとね!」

「そっか〜気をつけて帰りなよ〜!」

「近いし大丈夫だよ♪じゃあね☆」


こうしてあたしは家に帰った。

時計の針は10時半を指していた。

  

⏰:06/05/28 19:38 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#88 [ゆり]
(あと1時間半か…)

クリスマスに会いたい。

声だけでも聞きたい。

祈る様に
鳴るはずのない携帯をにぎりしめていた。

無常に時間は過ぎていく。

 

⏰:06/05/28 19:40 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#89 [ゆり]
11時半

ピリリリリ〜

「!!」

携帯を開くと
着信:
高橋さん。

涙が溢れた。

ピッ

「…もしもし…」

「あ、ゆりちゃん?あと15分くらいで着くから!」

(…ほんと自分勝手。
でも好き。
会いたい。)

⏰:06/05/28 19:42 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#90 [ゆり]
電話を切ったあたしは
待ち切れずマンションの前で高橋さんを待った。

冷たい風と白い息が鼓動を早くした。


見慣れたヘッドライト。

あたしは車まで走った。

ドアをノックして
乗り込んだ瞬間おもいっきり抱きしめられた。

「…!?」

「ゆりちゃーん」

⏰:06/05/28 19:45 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#91 [ゆり]
「…?苦し…どうしたの?」

「会いたかった」


…言葉が出なかった。

高橋さんがこんな風に言ってくれたのは初めてだった。

しばらく抱き締められた後、体を離した。


「イヴとクリスマス楽しかったですかぁ?」

二日分の辛さのお返しに、いじわるく聞いてやった。
あたし可愛いげないから。 

⏰:06/05/28 19:47 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#92 [ゆり]
「あんまり…ゆりちゃんの事ばっか考えてたから、
や、まじで。」

少し恥ずかしそうに高橋さんは言った。


高橋さんはクールでかっこよくて
大人だと思ってたけど、
実際めちゃくちゃ自己チューでわがままで
照れ屋な人だった。

だからこそ気持ちを言葉にしてくれたのが
胸に響いた。

⏰:06/05/28 19:49 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#93 [ゆり]
「そっかーあたしに夢中だね♪笑」

照れ屋な高橋さんの為に茶化して返す。

「ほんとだよ〜やばいなぁ…笑」


そう言ってエンジンをかけた。


車でイルミネーションのトンネルを潜って

ツリーを見て

26日にかかったあたし達のクリスマスは終わった。

⏰:06/05/28 19:50 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#94 [ゆり]
疲れてたはずなのに
会いに来てくれた。

恥ずかしそうに伝えてくれた。

抱きしめてキスしてくれた。

とてもとても幸せだった。


冬が過ぎて
春がきて、
あたしは高校3年になった。
 

⏰:06/05/28 19:53 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#95 [まにャ]
ゆリさ〜ン!
そうですよね〜
愛せる人に出会えたコトが素晴ら∪いですよね(*∩∀∩)

あた∪、ゆリサン・隼人サンを見たこともないけど、2人が好きです(*≧∪≦)
応援∪たくなる!

ゆリサンも隼人サンもツライ思いいっぱい∪てきたと思うけど…これカラも2人で支えあって頑張って下さいね!
これカラも陰ながらであリますが、応援∪てますね!
そンぢゃあ…この話∪が完結∪たときまた感想させてもらいます!ファイト〜

⏰:06/05/28 19:55 📱:W32H 🆔:C3rmoVpg


#96 [ゆり]
高橋さんとの関係は続いていた。

何度もこのままじゃダメだと思いながら、
結局離れられずにきた。


身体を重ねて、
都合の良い愛を貰って、
だけど指輪は輝いたままで、

あたしに腕枕をしながら彼女と電話する事もあった。

⏰:06/05/28 19:55 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#97 [ゆり]
来るか来ないかわからない連絡を
夜中まで待つのも

平気な顔も
強がりも

もう精神的に限界だった。


そんな時同じクラスの裕也に告白された。

バスケ部のキャプテンで人気のある奴。

1年の時にも告白されて断っていた。

今回も…
やっぱり無理だ。
  

⏰:06/05/28 19:58 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#98 [ゆり]
「ごめん…」

「なんで?彼氏いるん?」

「…彼氏…はいないけど」


あたしは泣いていた。
誰の前でも泣かなかったのに。


「どーした?!大丈夫!?」


…何度大丈夫って言ってきただろう。

本当は大丈夫なんかじゃないよ。

本当は2番なんか嫌だよ。
 

⏰:06/05/28 20:00 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#99 [ゆり]
涙が止まらないあたしに
裕也はユニフォームを押し付けた。


「これで拭け!」

「ぅん………うわ!くっさ!!!」

「あ?!なに?(笑)」

「汗臭いわっ!!」

「仕方ねーだろハンカチなんて持ってねーんだから!」


裕也は恥ずかしそうにユニフォームを奪った。

その姿に一瞬惹かれた自分がいた。

⏰:06/05/28 20:03 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#100 [ゆり]
「ありがと…涙止まりました(笑)」

「そりゃよかった!」


帰りながら高橋さんの話しをした。

裕也は自転車を引きながら聞いていた。

「そっか…じゃあゆりはそいつが好きなんだ。」

「…うん」

「…でも俺待つから。話しくらいならいつでも聞けるし!あんま一人で抱えんなよ!」

「…ありがと」

⏰:06/05/28 20:05 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#101 [ゆり]
それから数日
無神経にもあたしは
裕也に高橋さんの相談をした。
愚痴ったり。


季節は秋になった。

高橋さんに初めて抱かれた日からもう1年だ。

欲求だけでも満たせるなら
あたしが傍にいる意味はあるのかな。
   

⏰:06/05/28 20:07 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#102 [ゆり]
マイは塾が忙しくなり、
あたしは裕也しか相談出来る人がいなくなっていた。

一人でいるといろんな想像が頭を回る。


慣れたハズなのに
痛みは消えない。


高橋さんは今頃彼女さんと何してるんだろう。

⏰:06/05/28 20:10 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#103 [ゆり]
「裕也、今日ちょっと話し聞いてくれない?」

「うんいいよ!ちょっと部活顔出すから体育館で待っててくれる?」

「わかった〜ありがと」

放課後あたしは
体育館の前に座って裕也を待った。

⏰:06/05/28 20:12 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#104 [ゆり]
高台にあるこの学校からは
町並みがよく見える。

あの日高橋さんと海で見た様な夕日が
赤く揺れていた。


あの時、まだ帰りたくないって言ったら
あたしの傍に居てくれたかな…

やっぱり彼女さんのところに行っちゃうよね。

小さな約束、
小さくても本気の愛。

全部あの夕日の様に鮮やかに蘇る。


裕也を待ちながら高橋さんの事ばかり考えていた。 

⏰:06/05/28 20:14 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#105 [ゆり]
「ゆり!おまたせ!」

「あっ…お疲れ様!」

「うん、行こっか」

近くの公園に向かった。
もう秋だからか
日が沈むのが早い。

木のベンチに腰を下ろした。

⏰:06/05/28 20:16 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#106 [ゆり]
「誰もいないね〜」

両手に息を吐きながら言うと
裕也があたしの手を握った。

「寒い?大丈夫か?」

「えっ全然大丈夫だよ!笑」

あたしは笑って答えた。
裕也の顔付きが変わった。

「…また…」

「ぇ?」

「なんで大丈夫じゃないくせに強がんの?」
  

⏰:06/05/28 20:19 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#107 [ゆり]
次の瞬間
ベンチに押し倒されていた。

何が起こってるかよくわからないまま
足を持ち上げられて
パンツをズラされて入れられた。


「いっ…」

痛くて、
それからはあんまり覚えてないけど
すぐにお腹にかけられたのは覚えてる。

⏰:06/05/28 20:22 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#108 [ゆり]
あたしは何故かとても冷静で、
カバンからティッシュを出して拭いた。

スカートにもかかっていたので
水道で濡らして拭いた。

裕也は焦った様な顔で謝っていたけど、
どうでもよかった。
  

⏰:06/05/28 20:24 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#109 [ゆり]
親切そうな顔をして
優しい言葉を吐いて
結局はこれだ。


高橋さんもそうなんだ。

そこに愛があるって信じるなんて、

あたしって本当どうしようもない馬鹿だ。
  

⏰:06/05/28 20:25 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#110 [ゆり]
「お前いつも強がって…見てて辛いよ!俺だったらこんな…」
「もういいよ」

裕也の言葉を遮ってあたしは言った。

多分笑顔で。

小さい希望が崩れた、

何かに諦めたんだ。

それからあたしはどこか変わった。

簡単に言えば瞳に色を失った感じだった。

⏰:06/05/28 20:27 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#111 [ゆり]
裕也に抱かれて
高橋さんに抱かれる日々を繰り返した。

何回も。

自分は終わってる、
だから満たされる事なんてもう二度とない。

クリスマスの日みたいな
綺麗で
鮮やかで
優しい輝きは
もう絶対に見れない。
     

⏰:06/05/28 20:30 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#112 [ゆり]
裕也はあたしとやった事を友達に言い触らしていた。

これだからガキは…
卒業と同時にあたしは裕也との関係を切った。

別れ際
「セフレになってよ」
って冗談っぽく言われた。


男自体に失望したけど、
所詮あたしがその程度の女だったって事だ。
  

⏰:06/05/28 20:32 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#113 [ゆり]
それでも高橋さんの事はまだ好きだった。

どんなに勝手でも、
辛くても、
身体だけでも、
彼女がいても、

高橋さんには何も求めず
ただ好きでいられた。
  

⏰:06/05/28 20:34 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#114 [ゆり]
形は間違っていたかもしれないけど、

今思えばあの頃の自分が
1番強くて
1番かっこよかったと思える。


見返りを求めずに

人を愛せたんだから。
    寒い冬の日、あたしは本気で高橋さんと別れる事を決めた。  送信:「話があるから今夜会えないかな?」 初めて自分からメールをした。いつも(彼女といたらどうしよう)と思ってしなかったから。 ピリリッ 受信:高橋さん「もう少し遅くていいなら大丈夫だよ」  あたし
は携帯を閉じるのと同時に今までを振り返っていた。 たぶん出会った時から好きだった。だってめちゃく

⏰:06/05/28 20:35 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#115 [ゆり]
形は間違っていたかもしれないけど、

今思えばあの頃の自分が
1番強くて
1番かっこよかったと思える。


見返りを求めずに

人を愛せたんだから。
    

⏰:06/05/28 20:36 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#116 [ゆり]
連続書きしちゃいました(*´ω`*)
ごめんなさい。
2コ上のわなかった事にして読んで下さい☆

もうちょっと書きマス☆

⏰:06/05/28 20:38 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#117 [ゆり]
寒い冬の日

あたしは本気で高橋さんと別れる事を決めた。

送信:「話があるから今夜会えませんか?」

初めて自分からメールをした。

いつも
(彼女といたらどうしよう)
とか思ってしなかったから。

⏰:06/05/28 20:40 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#118 [ゆり]
ピリリッ

受信:高橋さん
「もう少し遅くていいなら大丈夫だよ」


あたしは携帯を閉じるのと同時に
今までを振り返っていた。


たぶん出会った時から好きだった。
だってめちゃくちゃときめいたもん。

二人で見た景色は全部が輝いて見えた。
   

⏰:06/05/28 20:42 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#119 [ゆり]
何気ない一言が
眠れないくらい嬉しかったり、

些細な出来事に
眠れないくらい悩んだり。


夢中で前だけを見てた。
5歳年上の背中を追い掛けて、
頑張って背伸びしたりして。


あたしなりの2年間、

毎日が真剣だったんだ。

⏰:06/05/28 20:44 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#120 [なみ☆]
隼人サンの小説が大好きでユリさんのも楽しみにしてました(>_<)失礼かもしれなぃけど、隼人サンとユリさんの恋は私と彼の恋に本当によく似ていてすごく共感しちゃいます(>_<)最後まで読むので頑張ってくださいね☆

⏰:06/05/28 23:37 📱:N900iS 🆔:dybPR8Wo


#121 [ゆり]
なみ☆さん
ありがとォ嬉しいデス(ё^▽^ё) 隼人の小説とかぶったらごめんなさいだけど、隼人との話も少し書くつもりなんでまた見て下さい☆

⏰:06/05/29 07:47 📱:V703SH 🆔:M24sDOFU


#122 [我輩は匿名である]
頑張ってください

⏰:06/05/30 01:08 📱:N900iS 🆔:Kj6408mU


#123 [ゆり]
ピリリリ〜♪


いつもは嬉しいワン切りが

今日は別れの音。


「これで最後だ…」

あたしは呟く様に口にしてブーツを履いて家を出た。

ヘッドライトが光る。

やっぱり走って車まで行く。

もう癖になってる。
  

⏰:06/05/30 05:58 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#124 [ゆり]
コンコンッ

初めて車に乗った日から
ずっと変わらずやってきた助手席のノック。

あたしなりの彼女さんへのざんげだった。

貴女の場所に座ってごめんなさいって。


ガチャッ

「おじゃましまーす!」

「どーぞ♪」

何の変わりもない
いつも通りの会話がやけに愛しい。

今日で最後なのに。
  

⏰:06/05/30 06:01 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#125 [ゆり]
「高橋さ…
「さて!行くか」

高橋さんはあたしの言葉を遮ってアクセルを踏んだ。

「え?どこに?」

「内緒♪」


それから高橋さんは息つくヒマもないくらい
ずっとしゃべり続けていた。


着いたのは最初、二人で行った場所。

丘の上の宝石箱。

⏰:06/05/30 06:02 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#126 [ゆり]
バタンッ

高橋さんは降りて、
助手席のドアを開けた。

そしてあの日と同じ笑顔で言った。

「着きましたよお姫様♪」


…離れられなかったのはこれかもしれない

⏰:06/05/30 06:04 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#127 [ゆり]
毎日が目まぐるしく変わっていく中で

高橋さんと会う夜だけは
時間が止まっているみたいだった。

変わらない時間が心地良かった。

そんな日々がずっと
変わらない様に願っていたのに

変わらないんじゃなくて
変えられないんだと気付いてしまった。

もう時間は動き出してるんだ。
 

⏰:06/05/30 06:06 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#128 [ゆり]
「…ありがとう…王子様♪」

あたしは手を重ねて下りた。

最後くらいお姫様と王子様の夢が見たい。

丘の上に着くと
ポツポツと雨が降ってきた。

「あー雨だ…」

あたしは空を見上げて言った。
  

⏰:06/05/30 06:10 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#129 [ゆり]
高橋さんは何も言わなかった。

いつもそうだったよね

何も言わないで抱きしめてくれる。

どんな言葉を言われるより安心できた。

こんな偽りだらけの二人でも
鼓動だけは本物だから。

苦しいくらい高橋さんの抱きしめる腕に力が入る。
 

⏰:06/05/30 06:12 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#130 [ゆり]
「高橋さん…あたし…」


「…うん…」


今日は唇塞がないの?

自分に都合悪くなると
すぐにキスして黙らせるくせに。

「…塞がないと言っちゃうよ…?」

あたしはこの日初めて高橋さんの前で泣いた。
  

⏰:06/05/30 06:14 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#131 [ゆり]
高橋さんの肩が震えてるのがわかった。


完璧な高橋さんが
初めて見せた弱さだった。


あたしが言おうとしてる事気付いてるんだ…

あたしが最後を口にするのが恐くて、
あたしの言葉を遮ったの?

あたしが話すヒマないくらい
ずっとしゃべり続けていたの?

初めて来た場所に、
連れてきてくれたの?
 

⏰:06/05/30 06:16 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#132 [ゆり]
「高橋さん…今日は天気悪いから…キラキラ見えないじゃん…」

胸に顔を押し付けて
声にならないような声で言った。

切なくてたまんなかった。

「うん…」
また強く抱きしめられる。

高橋さんだけ雨に濡れていて、
あたしは守られてるみたいだった。
 

⏰:06/05/30 06:18 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#133 [ゆり]
だんだん雨脚が強くなる。


「車…戻ろ?」


あたしの声で高橋さんは身体を離して
コートを脱いであたしの頭にかぶせた。

「え?」
「いいから」

足早に車まで行き、
後部座席に乗り込んだ。
  

⏰:06/05/30 06:19 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#134 [ゆり]
高橋さんは後部座席から体を乗り出し
エンジンをかけて暖房を入れた。

雨は本降りだ。

ザァーザァー

窓ガラスに雨が当たる。

「高橋さん…大丈夫?」

「うん…てか、俺いつもゆりちゃんにそーやって聞いてきたよね、
大丈夫な訳なかったよな」

雨なのか涙なのかわからない雫が落ちる。
 

⏰:06/05/30 07:19 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#135 [ゆり]
「…大丈夫だったよ、
…あたし幸せだったから」


ただの強がりじゃなかった

幸せを守る為に強がってたんだよ。


「おいで」

あの日と同じ
優しい声と切ない表情。

あたしは素直に首に腕を回して抱き着いた。


二人共最後だってわかってた。
 

⏰:06/05/30 07:21 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#136 [ゆり]
「あー…ゆりちゃんだ」

そう言って軽く笑った。

「なにそれ?笑」

「香水の香り、
抱きしめると微かにするんだよね」


普段は普通に香水をつけてるけど、
高橋さんに会う事になったら付けた場所洗ったりした。

助手席に香りが残るといけないと思ったから。 
 

⏰:06/05/30 07:22 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#137 [ゆり]
「いっぱい気遣わせたね、ごめんね」


気付いてくれてると思わなかった。

涙が溢れた。

今日はもう堪えずに泣いた。


高橋さんはただあたしを強く抱きしめて、

それ以上は何もしなかった。
  

⏰:06/05/30 07:24 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#138 [ゆり]
正直、
別れを告げたら無理矢理抱かれると思ってた。
好き勝手に…
それで嫌いになれたらいいって思ってたの。

でもあたしは高橋さんを何も分かってなかったね。

辛いのはきっと
あたしだけじゃなかった。

高橋さんがくれた愛は本物だった。

あたしは一瞬でも、
確かに満たされたんだから。
 

⏰:06/05/30 07:31 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#139 [ゆり]
何分くらい経っただろう、
二人黙ったままずっと抱きしめ合ってて、
雨音だけを聞いてた。

高橋さんの濡れた髪が
愛しくてたまらなかった。


バッテリーが上がる前に
車のエンジンを切った。

いつもエンジンが切られると
まだ一緒にいられるんだって
嬉しくなったっけ。


でも今日は苦しいよ。
 

⏰:06/05/30 07:34 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#140 [ゆり]
あたし達は後部座席に手を繋いで座った。

さっきよりよく聞こえる雨音に合わせて、

あたしは口を開いた。


「もう…今日で最後にするね」


しばらく沈黙が続いた。

あたしは言葉を続けた。
  

⏰:06/05/30 07:35 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#141 [ゆり]
「てか高橋さんさ、ひどいよね!笑
いっつも待たせてさ〜自分は女二人もいるなんて!
ひど過ぎるッ笑」


傷付けて遠ざけようと思ったんだ。

不器用だから、

上手にさよならが言えない。


「彼女さん大事にしなきゃ〜いつか痛い目みるよ!
あたしも都合良い女疲れちゃったし!もう高橋さんなんて懲り懲りッ笑」

⏰:06/05/30 07:39 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#142 [ゆり]
繋いだ手に力が入る。

高橋さんからの力だ。


「…ほんと、ゆりちゃんは優しいな」

軽く笑った。

頭をよしよしされた。

この大きな掌も、
出会った時から大好きだった。


あたしは今日で消えるから

もうそんな悲しそうに笑わないで。
  

⏰:06/05/30 07:43 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#143 [ゆり]
「高橋さんの事
本当に本当に大好きでした。
…いっぱい、ありがとう」

笑いたいのに笑えなかった。

涙声で精一杯伝えた。

「うん…」

頭に置かれた掌が
髪をなぞって顔に触れる。
  

⏰:06/05/30 07:44 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#144 [ゆり]
「ほんと小っちゃい顔だな(笑)」

「それ褒めてる?」

「褒めてるよ」

そう言って唇が触れた。

息が苦しいくらい。

想いをぶつけ合う様に重ねた。

 

⏰:06/05/30 07:46 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#145 [ゆり]
今まで高橋さんのあたしへの気持ちを疑わなかったのは、

キスに愛があったからだ。


好きだって言葉より信じられる、
不思議な力があったんだ。
 

⏰:06/05/30 08:17 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#146 [ゆり]
こうして最後のキスをした。


そしてあたし達は別れた。


寒い2月の終わりだった。
  

⏰:06/05/30 08:18 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#147 [ひLI]
今日初めて読みました
マヂ切なすぎッッ
でも、ゆりサンの気持ちが
痛LIぐらLI伝わッてきて…高橋サンの気持ちも
すごLI切なLI
高橋サンもゆりサンの事
大切にしてくれてたンですよね(pc_q`。)
なンか数年前の自分と
かぶッて思わず
読み耽ッてしまLIましたあと、文章作るのうますぎッ(゚Д゚;)

⏰:06/05/30 16:27 📱:N901iC 🆔:fPhEhBco


#148 [ゆり]
ひいサン感想ありがとデス(;ω;)
こういう恋愛って周りに反対されたり、イイ思い出にならなぃ事が多いケド
あたしの中でわ本当に大切な思い出になってるので書いてみました☆

⏰:06/05/30 20:10 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#149 [ゆり]
それから何度も高橋さんから電話があったけど
あたしは一度も出なかった。

もう繰り返す訳にはいかない。

だけどやっぱり
好きな気持ちは消えなかった。

⏰:06/05/30 20:14 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#150 [ゆり]
そして専門学校に入り
稲葉隼人という男と知り合った。

見た目、
チャラ男。

女の子を物色する、
あたしが1番嫌いなタイプ。


それでもあたし達は何故かよく話すようになった。

高橋さんの事も話していた。

⏰:06/05/30 20:26 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#151 [ゆり]
そして入学して2ヵ月ちょっと、
隼人の友達の岩田くんに告白された。

あたしの頭をよぎったのは高橋さんと…
隼人だった。


「ごめんね…」

「なんで?彼氏いないんじゃないの?」

どっかで聞いた台詞。

彼氏いない=付き合うって方程式なの?

「…いないけど…」

「じゃぁなんで?タイプじゃない?俺まじゆりちゃんタイプなんだけど」

⏰:06/05/30 20:28 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#152 [ゆり]
「…好きな人いるから…」

「…そいつと付き合わないの?」


段々めんどくさくなってきた。

今はあんまり思い出したくないのに。


「わかんない!」

ひどい女だけど、それで終わらせた。

帰り道、隼人に引き止められた。

⏰:06/05/30 20:30 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#153 [ひLI]
頑張ッてね(p*VωV)q
これからも読むし

⏰:06/05/30 21:11 📱:N901iC 🆔:fPhEhBco


#154 [ゆり]
「ゆりちゃん!」

「わッ…稲葉くんか…なに?」

「この後予定ある?」

「…帰宅ですけど」

「じゃあちょっと散歩しよ!」

「えぇ?」


こうして帰りの駅まで
遠回りしながら二人で歩き出した。
 

⏰:06/05/30 21:53 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#155 [ゆり]
ひいサンありがとォ♪頑張りマスッ(●>∩<●)☆

⏰:06/05/30 21:55 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#156 [ゆり]
その間にも、
あたしがヒールだから
「足痛くない?」
だの
「カバン持とうか?」
だの
気を遣ってくれた。


(さすがチャラ男…女慣れしてる。)


あたしは危険人物リストにコイツを入れた。
  

⏰:06/05/30 21:57 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#157 [ゆり]
「ゆりちゃんさ〜アイツふったでしょ」

「アイツ?あぁ…うん」

「やっぱり先輩が好きなんだ…?」


「うん…」


「…じゃあ男避けに指輪すればいーのに」


あたしの指には今まで指輪が光った事なんてない。

 

⏰:06/05/30 21:59 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#158 [ゆり]
「いいよ…別に」

あたしは口を閉じて俯いた。

高橋さんで頭がいっぱいになる。

別れてからも
思い出さない日はなかった。

でももうダメなんだよ。
戻れない。
好い加減大人にならなきゃ。
 

⏰:06/05/30 22:01 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#159 [ゆり]
「ごめん、俺お節介言ったわ、ごめんね?」

隼人が心配そうに顔を覗き込む。

「あっううん!ごめん、大丈夫だよ」

あたしは笑顔で答えた。


その日は駅まで送ってもらい帰宅した。


でも隼人と話してると
少しずつだけど
高橋さんを思い出に出来てる気がした。
 

⏰:06/05/30 22:03 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#160 [ゆり]
それからも隼人はあたしの話しを聞いてくれて、
とにかく優しかった。

(まぁどうせ下心ありだもんな…
ヤレりゃいいんだよ)

裕也との出来事であたしは冷めてた。

でも隼人は違った。

二人きりで居ても手を出してこなかった。

イメージがイメージだっただけに意外で
どんどん隼人が気になる存在になっていった。
 

⏰:06/05/30 22:07 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#161 [ゆり]
だけどやっぱり彼はチャラ男で、
ある日の放課後
金髪ギャルと歩いてるのを目撃した。

あの時の光景はまだ目に焼き付いてる。


(はぁ〜?何やっとんの…ッ)

あたしは苛々してる自分に気付いた。

明らかに嫉妬だ。


だけどあんなチャラ男
好きになる訳ない。

自分に言い聞かせてた。
 

⏰:06/05/30 22:09 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#162 [ゆり]
6月の半ば
雨が降る夜。

あたしは高橋さんを思い出していた。

こんな夜は特に記憶がクリアに蘇る。
まるで昨日の事みたいに。


傘を忘れたあたしは
近くの本屋の前で雨宿りをしていた。

(あーぁ…どうしよ)

迎えに来てくれる人もいないし、
家までは30分かかる。
 

⏰:06/05/30 22:12 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#163 [ゆり]
(濡れるしかないか)

そう思って行こうとすると
見慣れたヘッドライトが見えた。

本屋の前に停まり、
助手席の窓が開いた。


「やっぱりゆりちゃんだ」

中からは懐かしい…
高橋さんの顔と声。


あたしはびっくりして声が出なかった。
 

⏰:06/05/30 22:15 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#164 [ゆり]
「風邪ひくよ?乗って」

その声に誘導される様に
助手席のノックも忘れ
香水も香ったまま
車に乗り込んだ。


「久しぶりだね、学校帰り?」

「…あっハイそうです」


いきなりの事態にあたしは困惑していた。

「髪巻き巻きじゃん〜大人っぽくなったね」

そう言って自然に左手であたしの髪に触れる。
 

⏰:06/05/30 22:28 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#165 [ゆり]
「エクステ付けたから…」

「そーなんだ〜高校の時はギャルって感じだったのにね(笑)」


会ってなかった時間が嘘みたいに
高橋さんとの距離が埋まる。

でも何かが違う。
そう思ったんだ。
 

⏰:06/05/30 22:32 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#166 [ゆり]
やっぱり薬指には証が光っていた。

「高橋さんは変わらずかっこいーですね(笑)」

「まぁね〜」

「否定しないとこも変わってないし!笑
彼女さんとは仲良くやってる?」

「ん〜まぁ…」


彼女さんの話題になると言葉を濁すとこも、変わってないな。

そうやって少しは気遣ってくれてたんだよね。
 

⏰:06/05/30 22:34 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#167 [ゆり]
他愛ない話しをしながら
軽くドライブをして
家の前に着いた。


「ありがとうございました☆」

シートベルトを外すと
同時に高橋さんも外した。

次の瞬間
抱き寄せられて唇が重なった。
 

⏰:06/05/30 22:36 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#168 [ゆり]
本当に不意打ちだった。
あの頃と変わらないキスだった。


唇を離すと
下を向いて呟く様に高橋さんが言った。

「あー…やっぱ好きだわ…」


あたしは聞こえないフリをしてドアを開けて外に出た。

「おやすみなさい♪」

そう言って走ってマンションに入った。

また繰り返してしまいそう。

どこまであたしは馬鹿なんだろう。
 

⏰:06/05/30 22:39 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#169 [ゆり]
次の日−

あたしは昨日の事を考えながら机にひじを付き、ボーッとしていた。

「ゆりちゃん?」

話し掛けてきたのは隼人だった。

「元気ないじゃん、何かあった?」


あたしは金髪ギャルの事がよぎった。

だから挑発する様に言った。
 

⏰:06/05/30 22:42 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#170 [ゆり]
「昨日先輩に会った」

一瞬時間が止まった感じがした。

「え…?」

「偶然会って、傘なかったから送ってもらったの」

明らかに隼人が不機嫌になるのがわかった。

「ふーん、そうやって繰り返してなんか意味あんの?」

そう言って教室を出て行った。

今思えば
お互い想い合ってたから
傷付け合ってたんだ。
あの時は気付けなかった。

⏰:06/05/30 22:45 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#171 [ケン]
電車男を読んだ時くらいワクAしてます(・∀・)

⏰:06/05/30 22:45 📱:N900i 🆔:qGJlRvR.


#172 [ゆり]
ケンさん☆読んで貰えて嬉しいです(*´∪`*)本当にありがとデス☆★

⏰:06/05/30 22:48 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#173 [ゆり]
だからあたしは
その夜かかってきた高橋さんからの電話に出てしまった。


「もしもし」

「あ、ゆりちゃん?今仕事終わったんだけど少し会えない?」


隼人の言葉が頭を回った。

繰り返す?
意味があるか?

でも、
だって、

あんただって女の子と遊んでるじゃん。
 

⏰:06/05/30 22:51 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#174 [ケン]
マジハマったし(☆。☆)更新楽しみに待ってます♪♪

⏰:06/05/30 22:52 📱:N900i 🆔:qGJlRvR.


#175 [ゆり]
「…うん、いいよ」


こうしてその夜、
高橋さんに会った。


後部座席でキスをして、
シートを倒した。


首筋を舌でなぞられた瞬間
高橋さんの伸びたえりあしが
隼人に見えた。


気付いたら高橋さんを拒んでた。
 

⏰:06/05/30 22:53 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#176 [ゆり]
「ごめんなさい…」

あたしはそれ以上出来なかった。

「あたし…好きな人がいる…」

言葉にしたら
涙が溢れてきた。


高橋さんは頭を撫でて、
寂しそうに、
だけど優しく笑ってくれた。

「本当にもう会わない…ごめんなさい」
 

⏰:06/05/30 22:56 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#177 [ゆり]
帰り
初めてキスをせずに車を下りた。

「さよなら」

今度は笑顔で言えた。


こうして本当の意味で愛を教えてくれた人と、
永遠に別れた。
  

⏰:06/05/30 22:58 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#178 [ゆり]
あたしは昔から
無い物ねだりはしないタイプで

多くは求めず生きてきた。

だから高橋さんにも
「彼女と別れて」
とは言わなかった。

言ったら今は変わっていたのかな。

自分が傷付くのが恐くて、
代わりに誰かを傷付けてきた。

それは今も変わらない、
あたしの悪い癖だね。
 

⏰:06/05/30 23:00 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#179 [ゆり]
部屋に入ると携帯が鳴った。

ピリリリリッピリリリリッ

着信:稲葉隼人

ピッ

「…はい」

「あ、ゆりちゃん?」

「…うん、どうしたの?」

「会いたいんだけど…」

なんか様子がおかしいのは分かった。

声が細く震えてたから。
 

⏰:06/05/30 23:04 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#180 [なみ☆]
気になる(*人´∀`)☆+゜*:。

⏰:06/05/30 23:45 📱:N900iS 🆔:Kj6408mU


#181 [ゆり]
なみチャンありがとォ〜★少し書きます☆

⏰:06/05/31 07:39 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#182 [ゆり]
あたしは彼に今居る場所を聞いて、

終電ギリギリに滑り込み急いだ。


心配で胸が痛かった。


改札を抜けると
切符売り場の所に
見慣れたメッシュ頭が見えた。

 

⏰:06/05/31 07:40 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#183 [ゆり]
「稲葉くん!」


走って行き顔を覗き込むと
なんとも言えない、

傷付いたような顔をしてた。


「大丈夫?」


瞬間、腕を掴まれて抱きしめられた。


意味がわかんなかった。
 

⏰:06/05/31 07:42 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#184 [ゆり]
「ちょッ…どーした…」

次の瞬間にはキスされてた。

なんで男ってこういきなりするんだろう。

深くて
長くて
切なくて

あたしは唇を離した。

「苦し…」

静かな改札で
上がった息だけ響いてた。
 

⏰:06/05/31 07:45 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#185 [ゆり]
隼人は黙ったまま
俯いていた。


息が整ったと同時に
「寒くない?」
とあたしは聞いた。


大丈夫と言ったけど
風邪引きそうで心配で…

でも終電はもうなかった。
 

⏰:06/05/31 07:49 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#186 [我輩は匿名である]
>>140-185

⏰:06/05/31 10:36 📱:D902i 🆔:3Mn76otg


#187 [ゆり]
「どうしよう…」

呟く様に隼人が言った。

帰れない。

「シャワー浴びなきゃ風邪引くよ?」

この時二人に[タクシーで帰る]って答えはきっとなかった。

隼人が迷ってるのは分かった。

ホテルに連れ込む訳にもいかないって
思ってくれたんだろうな。
 

⏰:06/05/31 13:24 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#188 [ゆり]
だけどあたしはもう隼人の事が好きだって認めていたし

躊躇はなかったんだ。

だから隼人の言葉より早く
「いいよ」
と少し笑って言った。


隼人は少し混乱した顔をしながら
冷えた掌であたしの手を握った。
 

⏰:06/05/31 13:25 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#189 [ゆり]
「ゆりちゃんワックスもってる?」

「ケープしか持ってないよ」

「まじ?じゃあ俺サラサラヘアになっちゃうじゃん」

「見物だね(笑」

そんな会話をしながら
ホテルに入った。


さっきまで高橋さんに会ってたはずなのに

もう隼人だけでいっぱいだった。

誰も乗り越えさせてくれなかった
壁を

隼人は簡単に越えさせてくれたんだ。
 

⏰:06/05/31 13:26 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#190 [ゆり]
当時のあたしは
ラブホなんて数回しか行った事なかったから

なんか慣れた手つきで部屋選んで
エレベータ-に乗る隼人を見て

本気で妬いたの覚えてる。


あたしって自分から元カノの話聞いといて
本気でキレるタイプだから。笑

⏰:06/05/31 13:29 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#191 [ゆり]
部屋に入った。

それなりに気まずかったりする。

「早くシャワー浴びなよ」

あたしの言葉で
混乱した顔のまま
隼人はお風呂に入って行った。

あたしはソファーに座ってテレビのチャンネルを持った。

夜に慣れたあたしでも
やっぱり緊張していた。

⏰:06/05/31 13:32 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#192 [ゆり]
タイミング良くエロ番組(あれはPLAYBOYだった)が映る。

「うわッ外人すごッ」

あたしは苦笑いで見ていた。

外人って本当に「イエス!」とか「カモン!」って言うんだって
初めて知った。笑


飽きたあたしはまたチャンネルを変えて
普通の番組を見てた。

するとバスローブ着た隼人登場。

「バスローブだ!」

叫ぶあたし。

だって憧れだったんだもん。
お風呂上がりにバスローブ☆

⏰:06/05/31 13:33 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#193 [ゆり]
「えっあ、うん」

戸惑った隼人がなんか可愛かった。

焦った様に
「ゆりちゃんはシャワー浴びる?!」
って聞いてきた。

一瞬ドキッ。

だけどすぐに興味はバスローブへ…

⏰:06/05/31 13:37 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#194 [ゆり]
「女の子用のバスローブかな?!」だの
「似合うかな!?」だの
ぎゃーぎゃー言いながらあたしは洗面所の方へ行った。


シャワー室に入り
溜め息。

「はぁ〜〜…」

(なんか…展開早くないかな?…あたし軽く見られるかな?)

そんな事考えてた。
 

⏰:06/05/31 13:40 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#195 [しず☆]
文章つくるの上手ですね

⏰:06/05/31 15:58 📱:N900iS 🆔:9.uaI6gA


#196 [ひLI]
うンX02…
(pq・ω・o)゙ドキX02

⏰:06/05/31 18:38 📱:N901iC 🆔:epfGqGAg


#197 [ゆり]
しずサン☆ひいサン☆ありがとォ♪(;ω;)
今から書くので、良かったらまた読んで下さいネ☆

⏰:06/05/31 19:09 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#198 [ゆり]
「まァ〜いっか」

悩む事じゃない。

好きなんだから。
いいんだ。

ガチャッ

あたしは棚からバスローブを取った。

(うわッ意外に可愛い系じゃないッ?)

洗面所のやたらでかい鏡の前でくるくる回ってみるアホな自分。
 

⏰:06/05/31 19:13 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#199 [ゆり]
「あーッあたしスッピンじゃん!」

隼人に化粧ポーチを取って〜と頼むと

「スッピンでいーよ!笑」

と言われたので
まぁいっか〜と思い洗面所を出た。

隼人はなんかきょどってる。
お陰であたしの緊張は消えた。
 

⏰:06/05/31 19:17 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#200 [ゆり]
ソファに座る隼人の隣に少し距離を空けて座る。

「暑いなぁ〜」
あたしは女らしさも忘れ
頭にタオルを乗せたままチャンネルをいじる。

隼人は落ち着かない感じで
「何か飲む?」って
冷蔵庫の方へ行った。

これは彼なりのじらしなんだろうか…

あたしはまじでそんな事を思っていた。
 

⏰:06/05/31 19:26 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#201 [ゆり]
ウーロンを取ってもらい
隼人はコーラを飲みながらまた隣に座った。

それと同時に
あたしはずっと気になってた事を聞いた。

「今日どうしたの?」

「え…あぁ…別に」

視線を落として気まずそうな横顔を見て
女関係だな、と思った。

「そっか…」
それ以上聞くのはやめた。
あたしも辛いから。

⏰:06/05/31 19:32 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#202 [ゆり]
すると話題を変えるように隼人が口を開いた。

「ゆりちゃんは?先輩とどうなの?」


高橋さんの話になっても
動揺しなかった。

自分で思ってるよりずっと
ケジメは付いてたみたいだ。

「今日、もう会わないって言ったよ」
 

⏰:06/05/31 19:39 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#203 [ひLI]
なンかねえ-
ゆりチャンの文章読ンでるとその絡みとかが
頭のでポワー…ンて
自然と思LI浮かぶと
すごLIねえ-ッて思うよ
最初から最後まで
一気に読ンぢやLIたLI

⏰:06/05/31 19:41 📱:N901iC 🆔:epfGqGAg


#204 [ゆり]
ひいサン☆ほんとにィー!?(*≧□≦*)
なんか説明不足のとこが多いで分かりにくぃかな…って思ってたァ。いつも読んでくれてほんとありがとォッ♪

⏰:06/05/31 20:50 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#205 [ゆり]
「えッ?」

隼人は驚いて少しコーラを拭いた。

あたしは笑った。

「いや笑い事じゃないから…で、どうなったの?」

「ん〜押し倒されたりしたけど、最後までは出来なかったの。」

あたしは言わなくてイイ様な事まで話していた。
隠したりしたくなかったから、
あえて言葉は選ばなかったんだ。
 

⏰:06/05/31 20:55 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#206 [ゆり]
隼人は戸惑った様に聞いた。

「…なんで出来なかったの?」


あたしは即答した。
「先輩のえりあしが稲葉くんに見えたから」


ほんと、えりあしが全て気付かせてくれたんだもん。

先輩に被る程、隼人の存在はあたしの中で大きくなってたんだよ。

 

⏰:06/05/31 21:15 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#207 [ゆり]
意味がわからん、みたいな顔をするから
とりあえず説明した。
だけど
隼人が好きとは言えなくて
「あたしもよくわかんない」って言葉で
気持ちを濁した。

けど隼人にだけは軽く見られたくなかった。

「でも…なんとも思ってない人とホテルなんて入らないよ」

あたしは少し笑って言った。
 

⏰:06/05/31 21:22 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#208 [ゆり]
目が合った。

隼人は持っていたコーラを机に置いた。

あたしはその手を目で追った。

缶を置いた手はあたしの肩に回って、抱き寄せられた。

身体が触れる。

あたしは内心ドキドキで、
だけど唇が触れた瞬間
スイッチが入った。
 

⏰:06/05/31 21:49 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#209 [ゆり]
キスをして
唇を離す。

隼人の手が少し震えてるのが分かった。

緊張した息遣いがめちゃくちゃ意外だった。

「ドキドキしてるね(笑」

隼人の胸に右手を当てて言うと

「ゆりちゃんってSなの?笑」
と言われたのを覚えてる。

「ん〜どーだろ笑」

そう言って今度はあたしからキスをした。

⏰:06/05/31 21:53 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#210 [ゆり]
首に手を回して、
さっきまでの距離感を埋めるみたいに
唇を重ねた。

いつの間にか見てた番組も終わってた。

隼人はあたしの腰に回した手を延ばして
テレビを消した。

無音の部屋に
荒い息がやけに響いて聞こえた。
 

⏰:06/05/31 21:58 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#211 [ゆり]
「こっち…」

隼人は呟く様にそう言って
あたしの手を優しく引いてベッドに連れて行った。


キスをしながら
髪や身体に触れる指先にいちいち反応する。

まだ少し濡れてる髪から
シャンプーの香りがする。


急に隼人の手が止まった。
 

⏰:06/05/31 22:06 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#212 [ゆり]
「やべー…めっちゃ緊張する…」

隼人は手で顔を隠して言った。

その姿でやられた。
あんた可愛過ぎだよ。

「アハハ大丈夫?」
あたしはバスローブの襟元を掴み
上半身を起こして聞いた。
 

⏰:06/05/31 22:10 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#213 [ゆり]
「だってゆりちゃんだよ?…どうしよう」

ブツブツ言い続ける隼人。


「じゃあ電気消そ!あたしも恥ずかしいし」

まるで初体験の二人
みたいな会話をしてた。


「ごめん…俺まじ情けねーじゃん」

「アハハ!大丈夫ッそんな反応あたしは嬉しい!」
 

⏰:06/05/31 22:15 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#214 [ゆり]
電気を消して
枕元の薄暗い電気だけを付けた。

あたしはベッドの上で正座をしてる隼人にキスをした。

攻めない優しいキス。

「お前キス上手いな…」

隼人はしみじみと呟いて
押し倒しながらあたしのバスローブを脱がせた。

 

⏰:06/05/31 22:22 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#215 [ゆり]
あたしは出会った時から隼人の手が大好きだった。

黒くて指が長くて血管が程よく浮いてて
手フェチのあたしのストライクの手。笑


その手に触られてるって思うだけで
かなりやばかった。

でも入れる直前
極度の緊張で隼人が萎えた。笑
 

⏰:06/05/31 22:26 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#216 [ゆり]
「やべ!ちょっと待ってッ笑」

「あはは!!まじウケるし!さっきまでの元気はどこへ?」

「頑張れ俺!!」


めちゃくちゃ面白かった。
ムードはゼロだけど、なんか愛が溢れてる感じがしたんだ。


まぁそれから無事にひとつになれて
二人の初えっちは成功。笑
 

⏰:06/05/31 22:31 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#217 [ゆり]
隼人の腕枕で横になる。

なんかこんな穏やかな気分は初めて。

いつも心は満たされなかったのに。


愛して愛される幸せって
こんな気持ちを言うのかな。
 

⏰:06/05/31 22:35 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#218 [ゆり]
あの時
あんたがいきなり真顔で言った言葉、

今も忘れてないよ。

「生まれ変わってもまた
お前の事、好きになると思う。」


恥ずかしくて
茶化してごまかしちゃったけど

本当はとても嬉しかった。
 

⏰:06/05/31 22:38 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#219 [ゆり]
付き合い始めた6月から
あたし達は学校でも放課後でも
毎日ずっと一緒にいた。


世間で言うラブラブってやつ。
乙女チックな響きに寒気するけど
ラブラブだった。

でも喧嘩もかなり多かった。
 

⏰:06/05/31 22:43 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#220 [ゆり]
やっぱり遊び人だった男だから
女の子を目で追う。

ミニスカとか
綺麗なお姉さんとか
大好物。

「あんた…また見てたでしょ?」

「見てねーって!!」

こんなくだらない内容でしょっちゅう喧嘩。

まぁあたしが一方的に不機嫌になってるだけだけど…

 

⏰:06/05/31 22:47 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#221 [ゆり]
あたしと隼人の過去は違い過ぎて
たまに泣けるくらい辛くなる。

過去なのに。

気にしても意味ないって分かってるのに。

あたしこんなヤキモチ妬いた事ないのに。

「ごめんね、あたしが心狭いんだわ」

いつもこんな風に自分に言い聞かせてた。

⏰:06/05/31 22:51 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#222 [ゆり]
そんなある日

生理が遅れてる事に気が付いた。


あたしは毎月ちゃんと決まった週に来るから
急に不安になった。

心辺りは一度だけあったから…
 

⏰:06/05/31 22:54 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#223 [ひLI]
LIやあッッ(゚)

マヂ、ドキX02するッて
でもゆりチャンみたLIな
高橋サンの時みたLIな
相手を想う恋愛、
隼人クンのよお-な
愛し愛される恋愛…。
してみたLI
相手を想う気持ちッてのをゆりチャンの小説読ンで
改めて気付かされた
ありがと(ー∀ー)

⏰:06/05/31 23:37 📱:N901iC 🆔:epfGqGAg


#224 [あやぽん]
失礼
ゆリサン頑張って
>>40ー100

⏰:06/06/01 01:28 📱:SH700i 🆔:Yk04/EkE


#225 [ゆり]
ひいサン☆あやぽんサン☆いつもありがとォ(*≧m≦*)読んでくれてほんと嬉しいわァ〜ッ☆

⏰:06/06/01 06:20 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#226 [ゆり]
あたしは隼人に遅れてる事を言う前に
いろいろ考えた。

もし出来てたら…

うちはお母さんが出てっちゃって、お父さんも仕事で居ないって家だったけど

学費は払ってもらってた。

だから学校はちゃんと卒業しなきゃいけないって気持ちが
常にあった。

⏰:06/06/01 06:24 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#227 [ゆり]
こんなちゃらんぽらんな外見だけど

成績も良かった。

だからかえって
妊娠して全てを失う事が怖い
と感じてしまった。


予定日から一週間過ぎた頃
あたしは誰にも話せないまま学校を早退した。
 

⏰:06/06/01 06:28 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#228 [ゆり]
学校でもいつも一緒にいる隼人が
あたしが早退した事を気付かない訳ない。

学校から出て
とぼとぼ歩いていると携帯が振動した。

着信

隼人

一瞬ためらった。
すぐに言い訳を考えて
電話に出た。
 
「もしもし?」

「あ、ゆり?帰ったの?どうした?」
 

⏰:06/06/01 06:33 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#229 [ゆり]
「あ〜ちょっと体調悪くなっちゃってさァ」

演技混じった嘘をついた。

「まじで?大丈夫?」

「だいじょぶだよ〜帰って寝るわ」


「うん…気をつけて帰れよ」

そう言われて電話を切った。

電車とバスを乗り継いで家に帰った。

その間もずっと
妊娠の事を考えていた。
 

⏰:06/06/01 06:40 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#230 [ゆり]
おろす事になるのかな…


産んだとしても
赤ちゃんが幸せになれないとか
言うつもりは全くない。

隼人と二人なら
幸せなんて簡単に見せてあげられるって
思うから。


だけど
じゃあ隼人は?

幸せ感じられる?

 

⏰:06/06/01 06:44 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#231 [ゆり]
あたしは泣いてた。

なんで涙が出るって

自分が情けなくて
ズルくて
無力だから。

誰かの為って言いながら
結局自分の為。

やる事やって
責任取れないなんて

ありえないよ。

 

⏰:06/06/01 06:47 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#232 [ゆり]
携帯が鳴った。

隼人だ。

涙を拭いて
咳ばらいで声を整えた。

「もしもし」

「家着いた?大丈夫?」

「うん着いたよ〜大丈夫だからそんな心配しんで(笑」

「だって心配だもん…」

「女の子みたいに言うなよ笑
ありがと!まじ大丈夫だから。もうすぐ講義始まるでしょ?」

あたしは時計をチラ見して言った。
 

⏰:06/06/01 06:53 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#233 [ゆり]
てっきりそれで終わると思った。
でも隼人は続けた。

「…お前生理きた?」


正直めちゃくちゃびっくりした。

「なんで…?」

「だって今月腹痛いとか言わねーじゃん」

あたしは生理痛がキツイから毎月痛い痛い悶えてた。
その度隼人は腰さすってくれたり
バック持ってくれたりしてた。
 

⏰:06/06/01 06:58 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#234 [ゆり]
「きてねーんだろ?」

隼人は少し怒った声になった。

あたしはまた泣いていた。

「ゆり?」

涙で言葉が出ない。

だって
どうしたらいいのか分からない。

「お前泣いてんの?なんで俺に言わねーんだよ!」

珍しく隼人が声を荒げた。
 

⏰:06/06/01 07:02 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#235 [ゆり]
「…ごめん…」

やっと出た言葉がこれだった。


あたしは電話を切った。


ベッドに潜り込んで泣いた。

なんでもっと上手に

生きられないんだろ。

 

⏰:06/06/01 07:05 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#236 [ゆり]
1時間半くらい経った頃

また携帯が鳴った。

隼人からのメールで
「出てきて」って内容だった。

あたしはどこに?と思いながら
階段を下りて外に出た。


汗だくの隼人がいた。
  

⏰:06/06/01 07:08 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#237 [ゆり]
泣き過ぎで頭がぼーっとしてる。

「隼人…もう秋だよ?」

あたしは真顔で言った。


「うるせーよ!笑
チャリで来たんだから仕方ねーだろ」

息が上がってた。

「学校からチャリで来たの?」

「うん、全力疾走で笑」

隼人は笑顔で顔を流れる汗を拭いた。
 

⏰:06/06/01 07:12 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#238 [ゆり]
「…なんでぇ?」

あたしはアホな子みたいに
首を傾げて聞いた。
全然頭が働かない。


「ゆりに会いたかったから」

隼人はまた笑顔でそう言い
あたしの手を握った。


「検査するやつ…検査薬っつーの? 買ってきたから。
出来るか?」

 

⏰:06/06/01 07:16 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#239 [ゆり]
検査薬…
その言葉でようやく頭が働き出した。

「恐い…」

あたしは俯いた。

握られる手に力が入る。

「やらないままでも不安なだけだろ?
俺待ってるから」


しばらく俯いて
あたしは頷いた。

「わかった…」

 

⏰:06/06/01 07:19 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#240 [ゆり]
自転車にかけてあった袋を外し
あたしに渡す。

中にはポカリとプリンとポッキーも入ってた。

「ちゃんと出来たらポッキー食わせてやるよ」

笑って隼人が言った。

「それ新商品の苺のやつ?絶対食べたい」

「じゃあ頑張れ!俺ここにいるからな」

優しく笑ってくれた隼人に後押しされて

あたしは家に入った。 

⏰:06/06/01 07:25 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#241 [ゆり]
トイレに入って
箱を開けて
説明書を簡単に読んで

検査した。

何を祈る訳でもなく、
時間が過ぎるのを待った。





結果は
陰性。

妊娠してなかった。
 

⏰:06/06/01 07:27 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#242 [ゆり]
あたしは無言のまま
検査薬を袋に入れて
ごみ箱の奥の方につっこんで
家を出た。


外には落ち着かない様子で煙草を吸う隼人がいた。

あたしに気付き煙草を消す。

「ゆり!どうだった?ちゃんと出来たか?」


「…出来た。だからポッキー」

あたしは右手を出した。

その手を強く握って
「後だよバカ!結果は!?」
と言った。
 

⏰:06/06/01 07:35 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#243 [ゆり]
「妊娠してませんでした…
お騒がせしてごめんなさい」

あたしは頭を下げた。

隼人は気が抜けた顔を見せた。

「まじで?」

その後に両手であたしの手を握って

大きな溜め息を吐いて言った。


「ゆり…ごめんな…」
 

⏰:06/06/01 07:39 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#244 [ゆり]
「…なんで?」

「不安だったよな、もっと早く気付いてやれなくて
ほんとごめん」


「…隼人って優しいね」

あたしはしみじみ感じた。

2時間くらいかかる距離をチャリで走ってきてくれた。

検査薬買うのも
恥ずかしかっただろうな。

あたしが好きなチョコレートもちゃんと買ってきてくれて

本当に嬉しかった。
 

⏰:06/06/01 07:45 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#245 [ゆり]
「ゆり、体調大丈夫?」

「うん大丈夫!ありがとッ」

隼人は右手で自転車を引き
左手であたしの手を握って歩き出した。

「公園でポッキー食おうぜ」

「食おう食おうッ♪」

あたしが笑ってるのを見て
隼人も笑ってくれた。 

⏰:06/06/01 07:51 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#246 [ゆり]
公園に着いて
ベンチの近くにチャリを止める。


「こっち綺麗だよ」

そう言って綺麗な方のベンチに座らせてくれる。

自然に出る優しさが
ほんと凄いなっていつも思う。

こんな優しさに慣れてしまわないように

「ありがとう」は忘れない。

⏰:06/06/01 07:52 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#247 [ゆり]
座ると隼人はポカリをがぶ飲み。

「飲んでれば良かったのに(笑」

「お前が辛い思いしてる時に
のんきにポカリなんて飲めないっしょ」

「いやいや子供産んでた訳じゃないんだから…笑」


隼人は少し視線を落とした。
 

⏰:06/06/01 07:56 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#248 [ゆり]
「俺さ〜ずっと考えてたんだけど
子供出来てたら学校辞めて働くつもりだったよ」

真剣な横顔が
すごく嬉しかった。

「ありがと…」

「俺まじでお前と結婚するって誓ったし!」

「…誰にだよ笑」

「自分に誓ったの!」

一生懸命な隼人が愛しくて
本当に優しい気持ちに包まれた。

少し冷えた秋の風が

とても温かく感じたんだ。
 

⏰:06/06/01 08:02 📱:V703SH 🆔:c.8GcieI


#249 [ひLI]
隼人クン優しスギ
ゆりチャンもちゃンと
考えてて偉LI
なンか見てて
ドキX02したり
1囚でニヤX02したり
自分怖LIンです`(・З・)笑

⏰:06/06/01 13:05 📱:N901iC 🆔:feSxTEu.


#250 [ケン]
俺も読んでてニヤAしちゃってヤバいです

⏰:06/06/01 13:19 📱:N900i 🆔:HDd5zafM


#251 [ひLI]
ケンサン
やばイよねッッ(゚)更新されるの
すごLI楽しみなンだあ

ゆりチャン
がむばれ+゚

⏰:06/06/01 14:07 📱:N901iC 🆔:feSxTEu.


#252 [ゆり]
ひいチャン☆ケンサン☆
感想ありがとォ〜(*´∪`*)
ニヤAしちャうッ?(*≧□≦*)すいませんッ!!

⏰:06/06/02 13:47 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#253 [ゆり]
周りから見たら
幸せな二人に見えるはず。

でもあたしは
隼人の過去が乗り越えられずにいた。


あたしは
こんな茶髪に巻き髪で
軽そうに見られるだろうけど
頭は堅い。

今までコンパもした事ないし
ナンパについてった事もない

簡単に言えば
そんな真面目な道を歩いてきた自分が少し嫌だった。
 

⏰:06/06/02 13:48 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#254 [ゆり]
こんなあたしだから

隼人は好きになってくれたのかもしれないけど

隼人はコンパもして
ナンパもして
紹介とかもしてて


自分でも子供だなって思うけど

そんな過去の距離が
どうしようもなく嫌だった。
 

⏰:06/06/02 13:50 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#255 [ゆり]
「ゆり、寒くない?」


季節は冬。
あたしは相変わらず薄着。

「お前何枚着とんの?」
「2枚」

「ありえん!!もっと着ろって!風邪引くぞ!」

「大丈夫。皮下脂肪があたしを守ってるから」

「すぐあー言やこー言うなお前は(笑」

いつものやりとりが
幸せなのに
こんな寒い日は余計切なくなるんだ。

隼人は過去に何人とこうやって冬を越えてきたんだろう。
 

⏰:06/06/02 13:52 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#256 [ゆり]
あたしは昔から臆病だから

失った時に大袈裟に傷付いたりしないように
少し距離を空けて付き合ってきた。

だけど毎日一緒にいる隼人とは
上手に距離間が保てなくて
隼人ばっかりになる自分が
少し恐い。

こんな気持ちきっと
隼人には分からないかもしれないけど。


綺麗事で馴れ合う様な関係なんて
あたしは求めてないのに。
 

⏰:06/06/02 13:56 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#257 [ゆり]
雪が溶けて


桜が咲いて

春が来た。

あたし達が出会った季節。


毎日一緒にいるから
まだ1年なんて
なんか信じられないよね。
 

⏰:06/06/02 13:59 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#258 [ゆり]
そんな中

新入生歓迎会があった。


全部が崩れてしまった日。


今もまだ
辛い。

 

⏰:06/06/02 14:01 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#259 [ゆり]
その日
あたしはいつも通りで

髪を巻いて
香水をつけて
時計をはめて家を出た。

バスと地下鉄を乗り継いで学校へ向かった。

いつもは少し遅れてくるくせに
珍しくホームで隼人が待ってた。

 

⏰:06/06/02 17:32 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#260 [ゆり]
「おはよ〜♪」

「おはよ♪
朝からずいぶんご機嫌ですね☆」

あたしはこの瞬間から嫌な予感はあったんだ。

やたら髪はバッチリセットされてるし
香水はクロームだし。
お兄臭ムンムン。

(こりゃなんかやらかすな)

そう思いながら二人で学校に行った。

⏰:06/06/02 17:35 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#261 [ゆり]
午後の講義も終えて

夕方の6時から
新歓開始。

あたしは友達に「また後でね〜」と言って
隼人と会場まで向かった。

入口では4年の先輩が費用を集めてた。

「1年以外は3500円ね〜」

(高ッ!!食べ放題行けるじゃん)

そう思いながら財布から4000円を出した。

⏰:06/06/02 17:43 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#262 [ゆり]
「あッCHANELの財布かわい〜♪ ハイッお釣り500円ね〜♪」

その時なぁんか嫌な気分になった。

後で聞いたんだけど
この先輩、隼人がお気に入りだったんだって。

あたし宣戦布告されてたっぽい。
 

⏰:06/06/02 17:53 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#263 [ゆり]
なんも気付かないあたしは
愛想笑いで交わして
店に入った。

店は座敷で、10人ずつくらい仕切られてる所だった。


「ゆりちゃ〜ん!!こっちこっち☆」

遠くから友達が呼ぶ。

あたしは隼人に
「ごめん、ちょっと行くね!」
そう言って友達の所に座った。
 

⏰:06/06/02 17:57 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#264 [ゆり]
いつも隼人と一緒にいるから
友達と飲むのも久しぶり。

「今日は隼人クンじゃなくて、うちらと飲んでよね〜!」

「わぁかってるよ(笑」

あたしは友達に両端を固められて
軽い監禁状態だった。
 

⏰:06/06/02 18:02 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#265 [ゆり]
横には友達、
前にはカッコイイって騒がれてた
一年男子が数人がいた。


「先輩ってあのギャル男っぽい先輩と長いんすか〜?」

「ん〜もうすぐ1年だよ〜」

「長いっすねー!いいな〜」

「てか付き合ってんの知ってるんだ?笑」

「だって先輩達目立ちますもん(笑」
 

⏰:06/06/02 18:06 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#266 [ゆり]
そんな会話をしながら、
あたしはカクテルを飲んでた。
隼人はどこかな?
とか気にしながら。


「先輩〜」
いつの間にか隣には
一年ナンバーワンボーイが。

爽やか系。
色が黒い隼人に見慣れてたから
なんか新鮮だった。

「なに?」
 

⏰:06/06/02 18:18 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#267 [ゆり]
「メアドとか聞いたらヤバイっすか?」

「ん〜ヤバイっすね(笑」

「えー!!彼氏厳しいんですか?」

「厳しいってか、泣いちゃう(笑」

あたしはただ単純に
隼人が嫌がるだろう事はしたくなかった。

爽やかな顔して以外にしつこかったから
「ちょっとトイレ〜」
そう言って席を立った。 

⏰:06/06/02 18:23 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#268 [ゆり]
あたしは素足でペタペタ歩いてトイレに向かった。


そこで見たのが
隼人と4年の先輩だった。


(うわッ)
あたしは見ちゃいけないものを見てしまった、
そんな感じでまだ多少余裕はあった。

 

⏰:06/06/02 18:27 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#269 [ゆり]
「隼人くん〜ケー番教えてよ〜♪」

「やー…」

「就活とかの相談乗るしさ♪いーぢゃん♪」

「ん〜じゃあコレ」

そう言って隼人は携帯を開き
先輩に渡した。


あたしのさっきまでの余裕は
木っ端みじんになった。

前に進めばいいのか
戻ればいいのか
分からない。
 

⏰:06/06/02 18:33 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#270 [ゆり]
結局あたしは
静かに回れ右をして
席に戻った。

「先輩おかえり〜♪」
「ゆりチャンおかえり〜♪」
爽やかボーイと友達がお出迎え。

「ただいま〜混んでて入れなかったぁ」

やばい、泣きそう。

そう思いながら
笑った。

 

⏰:06/06/02 18:37 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#271 [ゆり]
「まぢかぁー!また後で行っといで♪」

周りは楽しい雰囲気。
こんなとこで泣けないし、帰ったりして雰囲気壊せない。

話して
笑って
はしゃいでいても
頭ん中は
さっきの光景ばかり。


普段のあたしなら
飛び蹴りでもアッパーでもかましてやるのに

実際
ただ頭が真っ白になるだけ。

平気なフリでいっぱいいっぱいだった。
 

⏰:06/06/02 18:41 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#272 [ゆり]
次の瞬間
追い打ちをかける様に
ベロベロに酔った隼人が来た。

「みんな飲んでるー!?」
ビール瓶を両手に持って、
ありえんくらいのハイテンション。

周りは盛り上がってたけど
あたしはそんな隼人見たくなかった。

「ゆりちゃん!ちょー来て〜♪」

そう言うと同時に
隼人はあたしの腕を掴んで違う席に連れていった。
 

⏰:06/06/02 18:44 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#273 [ゆり]
その席には
一年の女の子ばっかり。

あたしは強引に隼人に肩を抱かれた。

「俺の彼女のゆりちゃんでーすッッ♪」

「いえーぃッッ♪」
「綺麗〜♪お似合い〜♪」

女の子達はきゃぁきゃぁ盛り上がる。

無理矢理席に座らされ
皆に見られて
あたしは人形か。


屈辱感でいっぱいだった。
 

⏰:06/06/02 18:49 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#274 [ゆり]
雰囲気だけは壊さないように
笑顔で席を立って
戻ろうとした。

裏で隼人に手を掴まれた。

「どうした?」

「何が?」

「なんか機嫌悪い?」

「別に」

実際隼人はそこまで酔ってなかった。

だからかえってムカついた。
酔ったフリしてあれだよ。
 

⏰:06/06/02 18:52 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#275 [ゆり]
「離して?
あたし向こうで飲むから」

「…わかった」

手の力が緩んだ瞬間
あたしは隼人から離れた。

トイレに入り
少し泣いた。

なんかよくわかんないけど

涙が出た。
 

⏰:06/06/02 18:54 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#276 [ゆり]
上を向いて
中指で涙を拭いて
鏡でチェックして
あたしは席に戻った。


友達は完全に潰れてて
隣に岩田くんがきた。
岩田くんは隼人の友達で、クラスメイト。

「ゆりちゃん、あいつちょっとヤバくない?」

あたしはカシスソーダを一口飲んだ。

「なんで〜?」

「やり過ぎっつーか、さっき一年の子の腰に手回してたし」

「…」

 

⏰:06/06/02 19:01 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#277 [ゆり]
「先輩とケー番も交換してたよ?」

「…ふ〜ん…やるね〜アイツも(笑」

何かごまかす様に
あたしは近くのグラスのお酒を飲み込んだ。

「苦いッ」

「あ〜それ俺のっすよ〜」

「あ、爽やかボーイの?いいじゃんいいじゃん!追加頼もうッ」

あたしはよくわかんないまま
夢中で違う事を考えようとしてた。

岩田くんは心配そうに
あたしを見ててくれた。
 

⏰:06/06/02 19:06 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#278 [ゆり]
それからあたしは
隼人の行く先も
行動も
聞こえてくる騒ぎ声も
全部見ないフリした。


午後9時。
「そろそろお開きだよ〜!!皆気をつけて帰ってね〜♪」

4年の先輩の声が響き渡る。

あたしは靴箱の鍵を手に取って
席を立った。
 

⏰:06/06/02 19:10 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#279 [ゆり]
「先輩!彼氏さんに飽きたら連絡下さい♪」


爽やかボーイはそう言って
アドを書いた紙をあたしに押し付け帰っていった。


「ゆ〜りチャン♪」

ご機嫌なテンションで肩を組んできた隼人。

あたしは
「酒臭い」
と一言言って手を払いのけた。

その時見たのが隼人と一年生の子のアイコンタクト。
 

⏰:06/06/02 19:16 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#280 [ゆり]
「彼女怒っちゃったんですかぁ?」

「なんかそうみたい」

そんなやりとりが
目だけで行われてた。


そして違う一年生の女の子軍団が

「先輩かっこい〜♪」
とかはしゃぎながら帰ってく。

それに「お疲れね〜♪」とか笑顔で手を振る隼人。



こんな気持ち

なんて言えばいいの?
 

⏰:06/06/02 19:23 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#281 [ゆり]
あたしは友達に笑顔でバイバイを言って

足早に店を出た。

早く誰もいない所に行きたかった。

歩きながら
涙は出てた。


(あたし涙腺緩過ぎ)

涙を拭いて
スピードを上げた。

交差点を渡ってる途中で
手を掴まれた。
 

⏰:06/06/02 19:32 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#282 [なみ☆]
頑張って

⏰:06/06/02 21:21 📱:N900iS 🆔:piV1i12I


#283 [ひLI]
頑張れえー(ハ)+

⏰:06/06/02 22:39 📱:N901iC 🆔:edp75stM


#284 [ゆり]
なみチャン☆ひいチャン☆いつも応援してくれてほんとありがとッ(´∀`*)♪ちょっと更新するからよかったら読んで下さい☆

⏰:06/06/03 10:48 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#285 [ゆり]
「離して」

あたしは冷たい声でそう言った。

それでも隼人は手首を強く握り
離さなかった。


あたしはもう
言葉で言えない感情に支配されてて

涙を堪える事だけに必死だった。


「何怒ってんの?」

息が整わないまま隼人が言う。

「…もういいから、離して」
 

⏰:06/06/03 10:50 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#286 [ゆり]
不快。

この無神経な言葉も

強く握られる手の感触も

1年の女の子達も

メアド交換してた先輩も

今向けられてる視線も

街のネオンも
車のクラクションの音も
排気ガスの匂いも

全部が不快。
 

⏰:06/06/03 10:55 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#287 [ゆり]
崩れちゃったね

二人に1番必要だった

二人を繋いでた

信頼が。


「話し聞けって…」

そう言って隼人はあたしを裏道に連れて行った。

不快な音や匂いが消えた。

だけど手の感触だけが残ってる。

「あたしは話す事なんてないよ」
 

⏰:06/06/03 10:57 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#288 [ゆり]
その言葉に
最初隼人は逆切れした。

何もしてない、だとか
楽しめって言ったのはお前だろ、とか。

あたしは黙って聞いた。
聞くだけ情けなくなった。


何も言わないあたしに
今度は謝りだした。

調子乗りすぎた、だとか
皆を盛り上げたかったんだ、とか。
 

⏰:06/06/03 10:59 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#289 [ゆり]
あたしは黙って聞いてたけど、

もう馬鹿馬鹿しくって、


薬指の証を外した。

生まれて初めてのペアリングだった。


別れの言葉と一緒に
隼人に投げた。
 

⏰:06/06/03 11:01 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#290 [ゆり]
悲しい?
虚しい?
ううん、何より悔しい。

あたしにだって女としてのプライドがあるから。


隼人はコンクリートに落ちた指輪を無視して
背を向けたあたしの手を取った。


離して、と言う言葉も無視して
無理矢理キスをした。
 

⏰:06/06/03 11:13 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#291 [ゆり]
唇を重ねて
全部なかった事にできたなら
どれだけ楽だろう。


あたしは涙が堪えられなかった。


もうどうしようもない

あたしだってなんとか出来るなら

なんとかしたい。

でももう戻れないよ。
 

⏰:06/06/03 11:16 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#292 [ゆり]
子供みたいに泣くあたしを
隼人が無理矢理引っ張って
連れて入ったのはホテルだった。

適当に部屋番号を押して
エレベーターに乗った。


手は強く握られたままで、
目は合わさない。

隼人がこんなに強引になったのは初めてだ。

あたしはもう抵抗する気もなくなって、
黙って部屋に入った。
 

⏰:06/06/03 11:19 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#293 [ゆり]
部屋に入ると
隼人は重い溜め息を吐いて
ベットに腰を下ろした。

「本当…ごめん」

その謝罪の言葉が
現実を連れて来て

あたしは唇を噛んだ。

ただ涙を堪えた。
 

⏰:06/06/03 11:21 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#294 [ゆり]
こんな事くらいで泣きたくない

うるさく言いたくない

傷付いたなんて思いたくない。


これ以上涙を流さない事が
あたしのくだらないプライドを守る
精一杯だった。


さっきまでとは別人の様に
頭を抱えてうなだれる隼人がいた。

隼人は自分の隣を手で叩き、
来いと催促した。
 

⏰:06/06/03 11:22 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#295 [ゆり]
あたしは黙って彼の隣に座った。

どうせ強引に抱かれるんだろう
と思いながら。


すると手を握られた。

強かったけど、
とても優しく感じた。


「許してもらうつもりはないけど…
また信じさせるから」

下を向いたまま、
隼人はそう言った。
 

⏰:06/06/03 11:26 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#296 [ゆり]
また信じさせる?

たった3時間で

一年間積み上げたものを
簡単に壊したくせに。

チャラ男だった隼人を
あたしは信じてなかった。

どうせ浮気するんだろうって諦めてた。

やっぱり裏切られた時に
傷付くのが恐かったから。

だけど隼人は本当に変わって、
毎日あたしを想ってくれてた。

だからいつの間にか信じていたんだ。
 

⏰:06/06/03 11:28 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#297 [ゆり]
別に内緒で会った訳でも

キスした訳でも

体の関係があった訳でもない。

こんなの世間じゃ
浮気なんて言わないのかもしれない。

こんな些細な事で…って
周りだって思うだろうし
自分だって情けないよ。


だけどそれだけ信じてた。

信じてたから。
 

⏰:06/06/03 11:30 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#298 [ゆり]
あたしは隼人にキスをして
舌を絡ませながら上にまたがった。

「…早くやれば?
どうせ最後にもう一回やってから別れたいんでしょ?」

あたしは冷めた声で言った。


こんな最後に
感動的な馴れ合いなんて必要ない。
 

⏰:06/06/03 11:33 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#299 [ゆり]
男はそんなもん…

あたしはそれだけの女。

そうやって割り切っていた方が楽。

心まで求めるから、
こんな風に傷付く。

あたしはもうこんな生き方しか出来ないし、
きっとこんな愛し方しか出来ないんだ。

ごめんね。

いつからこんなに弱くなったんだろう。  
 

⏰:06/06/03 11:35 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#300 [ゆり]
「…待って…話し」

隼人の声が少し震えた。

胸が痛んだ。

だけどもう無理じゃん。

戻れないじゃん。


あたしは苛立ちとか
切なさとか
ぐちゃぐちゃな感情で
隼人にキスをした。

隼人は何かをぶつけるように
あたしを抱いた。
 

⏰:06/06/03 11:37 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#301 [ゆり]
あたしの大好きな手で
どうして他の子に触れたの?

あたしの大好きな声で
どうして他の人の名前を呼ぶの?

あんな隼人の姿
見たくなかった。



「…じゃああたし帰るね」

「ゆり」

服を着てベットを下りようとするあたしを
呼び止める隼人の声。

何か伝えなきゃいけない、
そんな気持ちが伝わってきた。
 

⏰:06/06/03 11:40 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#302 [ゆり]
「俺別れたくない」

「…」


あたしは立ち上がって
バックを手に取った。

もう涙が溢れていた。

隼人に背を向けて言った。

「…好きになってくれてありがと」

ドアノブに手をかけた。

「待って…俺はまだ愛してる」
 

⏰:06/06/03 11:43 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#303 [ゆり]
やっぱり隼人の声は少し震えていた。

愛してる?
そうだね、きっと
あたしから隼人への気持ち。

こんな理解出来ないくらいの想いを
愛って言うんだろうね。

「あたしも…」

少し笑って言った。

これだけしか言えなくて、

あたしはホテルを出た。
 

⏰:06/06/03 11:44 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#304 [ゆり]
許せなくてごめんね。

たいした女じゃないのに
プライドばっかり高くてごめんね。

上手に愛せなくて、
ごめんね。


ホテルから出た道端で
思いっきり泣いた。

息が出来ないくらい、
声を上げて泣いた。


あたしの指に、
もう二人の証は

光っていなかったから。
 

⏰:06/06/03 15:33 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#305 [我輩は匿名である]
>>100-200 >>201-300 >>301-400

⏰:06/06/03 16:56 📱:N901iS 🆔:ukRFxzBU


#306 [我輩は匿名である]
あれ(゚∀。ラg?)
>>201-300
>>301-400

⏰:06/06/03 16:57 📱:N901iS 🆔:ukRFxzBU


#307 [ひLI]
ゆりチャンの気持ちわかる愛してるッて感情やッたら、些細な事でも自分壊れてしまうモン…
どおでもよかッたら氣になンてしなLIし(・ε・`)
頑張れ…

⏰:06/06/03 18:14 📱:N901iC 🆔:IVv8d/LA


#308 [あやぽん]
頑張ってネ
マヂ泣ける(P`q)

⏰:06/06/03 18:53 📱:SH700i 🆔:kqHl5OAQ


#309 [ゆり]
匿名サン☆ひいチャン☆あやぽんチァン☆
読んでくれてありがとぉデスッ(*´`*)続き書きますネ☆

⏰:06/06/03 19:50 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#310 [ゆり]
次の日−

重い瞼を開ける。
ベッドから手を伸ばし
バックの中から鏡を取り出し顔を見る。

「うわぁ〜…ブサッ」


腫れた目が
昨日の事は夢じゃないんだって

あたしに思い知らせた。
 

⏰:06/06/03 19:55 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#311 [ゆり]
毎日の日課だから

携帯を開く。


何件もの隼人からの着信。


友達や
岩田くんからの心配のメール。

みんながあたし達の別れを心配するくらい

誰の目から見ても
隼人はやり過ぎてたって事なんだね。

メールを読めば
有り触れた
励ましの言葉。
 

⏰:06/06/03 19:58 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#312 [ゆり]
男なんていっぱいいるよなんて
簡単に言わないで

ゆりチャンは強いからって
お願いだから決め付けないで


雨音が
こんなあたしを責める様に
窓を叩く。


あたしは
隼人だけを求めてた訳じゃないけど

失いたくないのは
隼人だけだったんだよ。
 

⏰:06/06/03 20:02 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#313 [ゆり]
「あーお腹すいたッ!!」

自分を立ち上がらせる様に

大きな独り言を言って
部屋を出た。


外は雨だから
昼間なのに暗い。

相変わらず誰もいない家。

世界に一人になった。

本当

そんな感じ。
 

⏰:06/06/03 20:09 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#314 [ゆり]
「なんもないなぁ…」

冷蔵庫を開けて
呟いて
閉める。

足元に飼ってるにゃんこが
喉を鳴らしながら
擦り寄ってくる。

「お前のご飯はあるからね」

あたしはキャットフードとミルクをお皿に入れた。
 

⏰:06/06/03 20:13 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#315 [ゆり]
しゃがんで
撫でながら
美味しそうに食べる姿をただ眺めてた。

「あたしもさぁ…お前みたいに可愛かったらよかったのにな」

ちょっと笑って
あたしは言った。



高1の時に付き合ってた人に
言われた事があった。

[ゆりって捨て猫みたいだな]
って。
 

⏰:06/06/03 20:18 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#316 [ゆり]
拾って拾ってって
鳴いてばっかいるくせに

いざ抱き上げようとすると
噛み付く
って。


妙に納得したんだ。
甘えるのが
苦手だったから。


「あたしあの頃から
なーんも変わってないね」

あたしはそう言って
リビングを出た。
 

⏰:06/06/03 20:22 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#317 [ゆり]
髪にワックスをつけて
寝癖アレンジして
軽くファンデつけて
でかサングラスつけて
コンビニに向かった。

雨は本降り。

なんか
空が代わりに泣いてくれてるみたいだった。

ご飯買って
家に帰った。

使い慣れた鍵を出して
ドアを開ける。

いつからだろう
「ただいま」って
言わなくなったのは。
 

⏰:06/06/03 20:30 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#318 [ゆり]
あたしはこんな性格だから

不幸自慢みたいなのが嫌いで
自分はこんなに辛いんだよって
言うのが嫌で

平気な顔をする事が
強さだと思ってた。


だけど隼人を見てて思った。

自分の弱さを認めて
全部さらけ出せる

それ以上の強さって
きっとない。
 

⏰:06/06/03 20:36 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#319 [ゆり]
それからのあたしは
隼人にだけ
弱音が吐ける様になった。

過去にあった辛い事も
本当は家に一人で
寂しい事も。


そしたら隼人は
毎日あたしが帰る時間に
「おかえり」のメールをくれた。

毎日。

それだけであたし
めちゃくちゃ救われたんだ。
 

⏰:06/06/03 20:41 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#320 [ゆり]
春も夏も秋も冬も
一緒に過ごした。

隼人との時間は大き過ぎて
埋め方がわかんない。

こんな雨の日も
二人で一つの傘に入って
結局隼人はいっぱい濡れちゃってたよね。

「だから一人づつ傘さそーって言ったじゃーん」
って言うと
「ラブラブっぽいからいーじゃん!」
って隼人は笑った。

本当笑えるくらい

毎日優しかったね。
 

⏰:06/06/03 20:48 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#321 [ゆり]
テレビを付ける気にもならなくて

無音の部屋で
ぼーっとしながら
おにぎりを食べた。


無意識に携帯を気にする自分がいる。

カチカチ…

画面に
隼人の名前を出して

少し眺めて
携帯を閉じた。
 

⏰:06/06/03 20:53 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#322 [ゆり]
ピリリリリ♪

あたしは携帯に飛び付く。

受信メールは迷惑メール。

「はぁ…」
溜め息。

それからもずっと携帯をいじってた。
自分から離したくせに、
来てくれるのを待ってる。

今度こそ出よう。

そう思ってると
夜遅く携帯が鳴った。
 

⏰:06/06/03 20:55 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#323 [ゆり]
着信

隼人


緊張して電話に出る。

「もしもし」

「あ、もしもし」

「何か用ですか?」

「あ、やー何してた?」

「別になんにも…」

「…そっか、えっと明日会えない?」

心臓がドキッとした。
 

⏰:06/06/03 21:48 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#324 [ゆり]
「いいよ、何時にどこ行けばいい?」

平常心を装って
答える。

「じゃあ…昼にいつものとこで。大丈夫?」

「分かった、じゃあね」

ずっと待ってたくせに
素っ気なく終わらせてしまう。
素直じゃないというか可愛くない。

でもこれだけは素直に認めるよ、

あたしはまだ
隼人が好き。
 

⏰:06/06/03 21:52 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#325 [ゆり]
次の日

曇り空の中
いつもの駅に降りた。

春なのに肌寒くて、
あたしは手に持ったバックを肩にかけ直し
ジャケットの前で腕を組んだ。

ホームの階段を上ると
見慣れた後ろ姿があった。
 

⏰:06/06/03 21:54 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#326 [ゆり]
「おまたせ」

後ろから声をかけると
隼人が焦った様に振り返る。


「あ、うん、いきなりごめんね」

「いいよ」


いつも通り歩き出す。

気まずい空気なのに

何故かすごく安心したのを今でも覚えてる。
 

⏰:06/06/03 21:58 📱:V703SH 🆔:ip8fjOhw


#327 [ゆり]
近くのファミレスに入り
禁煙席に座った。

「吸わないの?」

「煙草吸いながらする話しじゃねーし…」

その言葉で
あたしの心臓はまた早くなった。


メニューを開き
「アイスティー」
と言うと
すかさず隼人が
「ケーキは?」
と聞く。

いつもの会話。
それがなんか嬉しかった。
 

⏰:06/06/04 09:20 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#328 [ゆり]
「今日はいいや」

「珍しいじゃん」

隼人が少し笑った。

少しホッとした。


アイスティーとコーラがくると沈黙。
あたしは口を開いたけど
正直何言ったか覚えてない。
頭テンパってた。

隼人は
「…謝って済む事じゃないって分かってるけど
ごめん。
あの時、俺にお前引き止める権利なんてなかった。本当ごめんな」

そう言いながら
辛そうな顔をしてた。

⏰:06/06/04 09:23 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#329 [ゆり]
「ごめんはもういいよ…」

謝られるのはあんま好きじゃない

言われる度に自分が可哀相になってくるから。

「…でも俺、本気で好きだよ。お前の事」

「…」

「だから別れたくない」

「…」

あたしは下を向いてた。
正直どうしたらいいのか分からない。

好きだけど…
信じたいけど…
でも…恐い。
 

⏰:06/06/04 09:26 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#330 [ゆり]
「…これ…」

そういって隼人が
何かをあたしの前に置いた。

視線を上げると
あたしが投げ捨てた
指輪があった。

「…え」

静かに手に取る。

中に記念日が彫られてるシルバーリング。

確かにあたしのだ。

「お前の指輪そんな小さいんだな」

隼人が寂しそうに笑った。
 

⏰:06/06/04 09:30 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#331 [ゆり]
そして迷いない
いつもの瞳で言ってくれた。

「信じれなくても…俺は好きだから
それだけは分かって。」

その時の隼人の顔を見て

声を聞いて


あたしはもう一度
この人を信じようと決めた。
 

⏰:06/06/04 09:32 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#332 [ゆり]
理屈じゃない

ただあたしには
隼人が必要なんだ。


信じなきゃいけないって
気持ちじゃなくて

あたし自身が信じたいって
確かに思ったから。
 

⏰:06/06/04 09:35 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#333 [ゆり]
「つけて」

あたしは手を差し出して言った。

「え?」

「ゆーびーわ!
買った日も隼人がつけてくれたじゃん」

「えっあぁハイ」

隼人は焦って掌から指輪を取り、
震えた指先で薬指に指輪をはめる。
 

⏰:06/06/04 09:37 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#334 [ゆり]
「何震えてんの?(笑)」

「あ、すいません!」

「敬語だし(笑)」

「うんごめん…ゆり…本当ごめん」

指輪の光ったあたしの手を
両手で包んだ。

温もりは本物だ。

「次はないからね」

泣きそうなのを悟られない様に
強気で言った。
 

⏰:06/06/04 09:39 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#335 [ゆり]
「次やらかしたら
毛全剃りにするから」

「えッ下も?!」

「当たり前だし。
むしろ下を重点的にツルッツルにするから」

アイスティー飲みながら
真顔で言うあたしに
本気で恐怖感じた顔してた。

それ見て笑った。

「大変な彼女持ったね(笑」

「いえ、最高の彼女です…」

今度は二人で笑った。
また二人で笑い合えた。

⏰:06/06/04 09:45 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#336 [ゆり]
もう自分ばかり守る恋愛はやめるよ。

あたしも本気で
泣いてすがりつける様な
そんな恋がしたいから。


ファミレスを出て
手を繋いだ。

変わらない
あたしの
大好きな手。

二人少し恥ずかしくて
また笑い合ったよね。

愛してくれて
ありがとう。
 

⏰:06/06/04 09:49 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#337 [ゆり]
そして数日後
学校が始まった。

二人で登校すると
友達も一年も
驚いた顔してた。

「別れないっつーの」
隼人は小声でそう言って
あたしの肩を抱いて校舎に入った。

一年の女の子を見ると
まだ胸が痛んだ。
 

⏰:06/06/04 09:53 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#338 [ゆり]
その日から
1、2年合同の
男女別れた授業が中心になる。

クラス表を見て

「キッツ〜…」

あたしと隼人は苦笑い。
お昼一緒に食べる約束をして別れた。


教室に入ると
ありえない光景。

1年生の子が
いじめられてた。
漫画の世界みたいに
消しカス投げられたり。
 

⏰:06/06/04 09:59 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#339 [ゆり]
あたしは指定された1番後ろの席についた。

2年に知り合いの友達はいなかった。
皆静かで読書してるタイプ。

ハッキリ言って
浮いてるのが自分でも分かった。

「まぁいっか」

あたしは椅子にもたれて
とりあえず髪に逆毛立てて
髪だけでもテンション上げさせた。
 

⏰:06/06/04 10:04 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#340 [ゆり]
いじめられてるのは
本当普通の子。
ハデな訳でも
地味な訳でもない。


いじめてる子達は
新歓では関わりなかった
これまた普通の子達。
リーダーだけはギャルだった。


面倒臭そうなクラスだな…

そう思ったと同時に
先生が入ってきた。
 

⏰:06/06/04 10:08 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#341 [ゆり]
「オラッ!てめぇら席着け!!」

うわァ〜…
ゴリラ先生だよ。

あたしはまた面倒臭そうなキャラの登場で
溜め息が出た。

「今日から授業始めるから気合い入れろよ!!」

声でかいよ〜
頭ガンガンするよ〜
 

⏰:06/06/04 10:12 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#342 [ゆり]
みんな大人しい。

あたしの前の前の席にいじめられてる子が座ってた。

黒髪に消しカスいっぱいつけて
下を向いてた。

(可哀相だな…)

そう思っても
あたしは所詮
大衆の中の一人。

知り合いじゃない子を助けて
面倒な事になるのが嫌。

冷めてた。
 

⏰:06/06/04 10:16 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#343 [ゆり]
授業は無事に終了して
先生が出てった瞬間、
1番前の席のリーダーギャルが立ち上り後ろに歩いてくる。

「あーうぜー!まじうぜーし!」

そしていじめられ子チャンの机をガンッと蹴った。

「お前もうぜぇんだよ!消えろよ!!」

あたしは
怖ぇ〜ッと思いながらバックを持って教室を出た。
 

⏰:06/06/04 10:21 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#344 [ゆり]
食堂で隼人や友達と合流。
見慣れた顔に安心する。

なんかクラス変えでビビッてた高校の時みたいだ。

隼人と席について
あたしはAランチを食べながら話始めた。

「うちのクラスいじめあんの」

「は?まじで?」

「すごいよ!本当ドラマの中みたい」

「ゆりが一発言えば終わるんじゃね?笑」

⏰:06/06/04 10:25 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#345 [ゆり]
「なにそれ、どーゆー意味?」

「お前が1番怖いって意味(笑」

「あ?」

「ほら怖い(笑」

「そんな事ないし。
ねぇ隼人〜♪ゆりグリンピース嫌いなの〜食べて♪」

「出た。」

「ね?可愛いやら?」

「可愛いっす!」

こんな会話してたらいじめの話もどっかいっちゃってた。
 

⏰:06/06/04 10:30 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#346 [ゆり]
チャイムが鳴り教室に戻る。

相変わらずいじめられ子チャンの周りはぐちゃぐちゃ。

あたしが席に着くと同時にゴリラ登場。

やっぱりうるさい。

お腹いっぱいでいい気分が台なしだよ。
 

⏰:06/06/04 10:34 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#347 [ゆり]
しかも
いじめは見てみぬフリ。

これもよくあるパターンだ。


あたしは苛々を押さえながら
うるさい授業を真面目に受けて

その日を終えた。


それから数日もずっと
いじめは続くし
ゴリラはうるさかった。

あたしの苛々も限界。
 

⏰:06/06/04 10:37 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#348 [ゆり]
いつの間にか貧乏ゆすりとかしちゃってる。
やばいです。


でもこのクラス授業もあと3日だし、
堪えよう。


そう思ってた矢先
ゴリラがあたしを切れさせた。

あれは梅雨のじめじめした日で
余計苛々してたってのもあった。
 

⏰:06/06/04 10:40 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#349 [ゆり]
「この問題解いてみろ!!」

今日はやたら機嫌が悪いらしく
ゴリラは遠吠えのごとく吠えていた。

あたしの列の1番前
ギャル子ちゃんが当てられる。

「わかりません」

そう言うと
高速で教科書を丸めて
机をバーンッッ!!!!

「んなもんもわからんのか!!」

でた。こうゆうの嫌い。

その後ろも順に当てられ叩かれてく。

苛々ピーク。

⏰:06/06/04 10:45 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#350 [かな]
初めてします
隼人サンの四季からゆりサンの四季まで、楽しく読ませてもらってます
人の小説を読んでると、何かあたたかい気持ちになります
人の幸せ願ってます
頑張ってさい

⏰:06/06/04 10:53 📱:P901iS 🆔:AtWozpH2


#351 [ゆり]
かなチャン☆
感想嬉しぃですッありがとォ(´∀`*)
○二番目の四季○ってコトで、
二番目の女として越えた四季と
二番目に本気で好きになった隼人と越える四季、って意味を込めて書いてます。
もうちょっと続きますがよかったらまた読んでみて下さいo(^-^)o

⏰:06/06/04 11:05 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#352 [あやぽん]
今日も読んでまーす
頑張れ

⏰:06/06/04 11:11 📱:SH700i 🆔:BJgc3oN2


#353 [ケン]
マジ読んでてワクAしてます自分も女とかに対してメチャ冷めてて一定の距離とか置いちゃって相手を信用したことがないです…一度でいいからこんな恋愛をしてみたいです

⏰:06/06/04 11:58 📱:N900i 🆔:VWgddD0c


#354 [ゆり]
あやぽんチャン☆
いつもありがとぉッ(●^ε^●)♪
ケンサン☆
信じたいって心から思えるヒトに出会ッて欲しいです♪感想ありがとうッ(ё^▽^ё)

⏰:06/06/04 13:52 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#355 [ゆり]
ゴリラはいじめられ子チャンの横に立った。

「お前ら好い加減にしろよ…
お前はわかるだろーな?」
と言った。

彼女は怯えている様で
何も答えない。


こりゃーヤバイよ。

周りを見れば
か弱い女の子達が下を向いて
青ざめてる。
 

⏰:06/06/04 13:58 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#356 [ゆり]
ゴリラが静かにボロボロになってる教科書を丸める。

本当に獣の目付きだった。

あたしは席を立った。

一斉注目!!

今思うとかなり恥ずかしかったな…

でもその時は苛々して仕方なかった。
 

⏰:06/06/04 14:02 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#357 [ゆり]
あたしはゴリラの前に立って言った。
身長は負けてた。

「先生〜あんた好い加減にしやーよ」

普段は出ないけど
あたしはキレると名古屋弁が出る。

ゴリラは一瞬躊躇った顔をして
すぐ絡んできた。

「なんだと?
お前そんなチャラチャラした頭で学校に何しに来とるんだ?!」
 

⏰:06/06/04 14:07 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#358 [ゆり]
「先生は何しに来てるんですか?」

ゴリラの目付きはますます鋭くなった。

「何言っとるんだ?勉強を」
「教えてないよね」

「わかりませんって言ったらバシーンッ!!ガミガミ〜!!
そんなんで教えとるって言える?」

「…うるさい席に着け!!」

「図星なんやら?
でら適当だが(笑」

あたしは馬鹿にするように笑った。
 

⏰:06/06/04 14:14 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#359 [ゆり]
「じゃあお前、前の問題やってみろ」

ゴリラの顔
怒りで真っ赤。
なんでこの人教師になれたんだろって思った。

じゃあの意味がわからん…

そう思いながら黒板の前に行き
問題を解いた。

すごいねあたし。
この問題、本当にたまったま出来たの。
 

⏰:06/06/04 14:19 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


#360 [ゆり]
「先生〜できました」

チョークを置いて振り返る。

「…正解だ」


よっしゃー勝ったッ!!

そんなん思いながら席に戻った。

「おい、お前名前は?」

きた。

「2年の高原ゆりです
単位落としたきゃ好きにしてください」

喧嘩売ったのあたしだもんな〜
自業自得だ。
 

⏰:06/06/04 14:27 📱:V703SH 🆔:Ecxpdyi.


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