〇ニ番目の四季〇
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#100 [ゆり]
「ありがと…涙止まりました(笑)」

「そりゃよかった!」


帰りながら高橋さんの話しをした。

裕也は自転車を引きながら聞いていた。

「そっか…じゃあゆりはそいつが好きなんだ。」

「…うん」

「…でも俺待つから。話しくらいならいつでも聞けるし!あんま一人で抱えんなよ!」

「…ありがと」

⏰:06/05/28 20:05 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#101 [ゆり]
それから数日
無神経にもあたしは
裕也に高橋さんの相談をした。
愚痴ったり。


季節は秋になった。

高橋さんに初めて抱かれた日からもう1年だ。

欲求だけでも満たせるなら
あたしが傍にいる意味はあるのかな。
   

⏰:06/05/28 20:07 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#102 [ゆり]
マイは塾が忙しくなり、
あたしは裕也しか相談出来る人がいなくなっていた。

一人でいるといろんな想像が頭を回る。


慣れたハズなのに
痛みは消えない。


高橋さんは今頃彼女さんと何してるんだろう。

⏰:06/05/28 20:10 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#103 [ゆり]
「裕也、今日ちょっと話し聞いてくれない?」

「うんいいよ!ちょっと部活顔出すから体育館で待っててくれる?」

「わかった〜ありがと」

放課後あたしは
体育館の前に座って裕也を待った。

⏰:06/05/28 20:12 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#104 [ゆり]
高台にあるこの学校からは
町並みがよく見える。

あの日高橋さんと海で見た様な夕日が
赤く揺れていた。


あの時、まだ帰りたくないって言ったら
あたしの傍に居てくれたかな…

やっぱり彼女さんのところに行っちゃうよね。

小さな約束、
小さくても本気の愛。

全部あの夕日の様に鮮やかに蘇る。


裕也を待ちながら高橋さんの事ばかり考えていた。 

⏰:06/05/28 20:14 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#105 [ゆり]
「ゆり!おまたせ!」

「あっ…お疲れ様!」

「うん、行こっか」

近くの公園に向かった。
もう秋だからか
日が沈むのが早い。

木のベンチに腰を下ろした。

⏰:06/05/28 20:16 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#106 [ゆり]
「誰もいないね〜」

両手に息を吐きながら言うと
裕也があたしの手を握った。

「寒い?大丈夫か?」

「えっ全然大丈夫だよ!笑」

あたしは笑って答えた。
裕也の顔付きが変わった。

「…また…」

「ぇ?」

「なんで大丈夫じゃないくせに強がんの?」
  

⏰:06/05/28 20:19 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#107 [ゆり]
次の瞬間
ベンチに押し倒されていた。

何が起こってるかよくわからないまま
足を持ち上げられて
パンツをズラされて入れられた。


「いっ…」

痛くて、
それからはあんまり覚えてないけど
すぐにお腹にかけられたのは覚えてる。

⏰:06/05/28 20:22 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#108 [ゆり]
あたしは何故かとても冷静で、
カバンからティッシュを出して拭いた。

スカートにもかかっていたので
水道で濡らして拭いた。

裕也は焦った様な顔で謝っていたけど、
どうでもよかった。
  

⏰:06/05/28 20:24 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#109 [ゆり]
親切そうな顔をして
優しい言葉を吐いて
結局はこれだ。


高橋さんもそうなんだ。

そこに愛があるって信じるなんて、

あたしって本当どうしようもない馬鹿だ。
  

⏰:06/05/28 20:25 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#110 [ゆり]
「お前いつも強がって…見てて辛いよ!俺だったらこんな…」
「もういいよ」

裕也の言葉を遮ってあたしは言った。

多分笑顔で。

小さい希望が崩れた、

何かに諦めたんだ。

それからあたしはどこか変わった。

簡単に言えば瞳に色を失った感じだった。

⏰:06/05/28 20:27 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#111 [ゆり]
裕也に抱かれて
高橋さんに抱かれる日々を繰り返した。

何回も。

自分は終わってる、
だから満たされる事なんてもう二度とない。

クリスマスの日みたいな
綺麗で
鮮やかで
優しい輝きは
もう絶対に見れない。
     

⏰:06/05/28 20:30 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#112 [ゆり]
裕也はあたしとやった事を友達に言い触らしていた。

これだからガキは…
卒業と同時にあたしは裕也との関係を切った。

別れ際
「セフレになってよ」
って冗談っぽく言われた。


男自体に失望したけど、
所詮あたしがその程度の女だったって事だ。
  

⏰:06/05/28 20:32 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#113 [ゆり]
それでも高橋さんの事はまだ好きだった。

どんなに勝手でも、
辛くても、
身体だけでも、
彼女がいても、

高橋さんには何も求めず
ただ好きでいられた。
  

⏰:06/05/28 20:34 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#114 [ゆり]
形は間違っていたかもしれないけど、

今思えばあの頃の自分が
1番強くて
1番かっこよかったと思える。


見返りを求めずに

人を愛せたんだから。
    寒い冬の日、あたしは本気で高橋さんと別れる事を決めた。  送信:「話があるから今夜会えないかな?」 初めて自分からメールをした。いつも(彼女といたらどうしよう)と思ってしなかったから。 ピリリッ 受信:高橋さん「もう少し遅くていいなら大丈夫だよ」  あたし
は携帯を閉じるのと同時に今までを振り返っていた。 たぶん出会った時から好きだった。だってめちゃく

⏰:06/05/28 20:35 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#115 [ゆり]
形は間違っていたかもしれないけど、

今思えばあの頃の自分が
1番強くて
1番かっこよかったと思える。


見返りを求めずに

人を愛せたんだから。
    

⏰:06/05/28 20:36 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#116 [ゆり]
連続書きしちゃいました(*´ω`*)
ごめんなさい。
2コ上のわなかった事にして読んで下さい☆

もうちょっと書きマス☆

⏰:06/05/28 20:38 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#117 [ゆり]
寒い冬の日

あたしは本気で高橋さんと別れる事を決めた。

送信:「話があるから今夜会えませんか?」

初めて自分からメールをした。

いつも
(彼女といたらどうしよう)
とか思ってしなかったから。

⏰:06/05/28 20:40 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#118 [ゆり]
ピリリッ

受信:高橋さん
「もう少し遅くていいなら大丈夫だよ」


あたしは携帯を閉じるのと同時に
今までを振り返っていた。


たぶん出会った時から好きだった。
だってめちゃくちゃときめいたもん。

二人で見た景色は全部が輝いて見えた。
   

⏰:06/05/28 20:42 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#119 [ゆり]
何気ない一言が
眠れないくらい嬉しかったり、

些細な出来事に
眠れないくらい悩んだり。


夢中で前だけを見てた。
5歳年上の背中を追い掛けて、
頑張って背伸びしたりして。


あたしなりの2年間、

毎日が真剣だったんだ。

⏰:06/05/28 20:44 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#120 [なみ☆]
隼人サンの小説が大好きでユリさんのも楽しみにしてました(>_<)失礼かもしれなぃけど、隼人サンとユリさんの恋は私と彼の恋に本当によく似ていてすごく共感しちゃいます(>_<)最後まで読むので頑張ってくださいね☆

⏰:06/05/28 23:37 📱:N900iS 🆔:dybPR8Wo


#121 [ゆり]
なみ☆さん
ありがとォ嬉しいデス(ё^▽^ё) 隼人の小説とかぶったらごめんなさいだけど、隼人との話も少し書くつもりなんでまた見て下さい☆

⏰:06/05/29 07:47 📱:V703SH 🆔:M24sDOFU


#122 [我輩は匿名である]
頑張ってください

⏰:06/05/30 01:08 📱:N900iS 🆔:Kj6408mU


#123 [ゆり]
ピリリリ〜♪


いつもは嬉しいワン切りが

今日は別れの音。


「これで最後だ…」

あたしは呟く様に口にしてブーツを履いて家を出た。

ヘッドライトが光る。

やっぱり走って車まで行く。

もう癖になってる。
  

⏰:06/05/30 05:58 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#124 [ゆり]
コンコンッ

初めて車に乗った日から
ずっと変わらずやってきた助手席のノック。

あたしなりの彼女さんへのざんげだった。

貴女の場所に座ってごめんなさいって。


ガチャッ

「おじゃましまーす!」

「どーぞ♪」

何の変わりもない
いつも通りの会話がやけに愛しい。

今日で最後なのに。
  

⏰:06/05/30 06:01 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#125 [ゆり]
「高橋さ…
「さて!行くか」

高橋さんはあたしの言葉を遮ってアクセルを踏んだ。

「え?どこに?」

「内緒♪」


それから高橋さんは息つくヒマもないくらい
ずっとしゃべり続けていた。


着いたのは最初、二人で行った場所。

丘の上の宝石箱。

⏰:06/05/30 06:02 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#126 [ゆり]
バタンッ

高橋さんは降りて、
助手席のドアを開けた。

そしてあの日と同じ笑顔で言った。

「着きましたよお姫様♪」


…離れられなかったのはこれかもしれない

⏰:06/05/30 06:04 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#127 [ゆり]
毎日が目まぐるしく変わっていく中で

高橋さんと会う夜だけは
時間が止まっているみたいだった。

変わらない時間が心地良かった。

そんな日々がずっと
変わらない様に願っていたのに

変わらないんじゃなくて
変えられないんだと気付いてしまった。

もう時間は動き出してるんだ。
 

⏰:06/05/30 06:06 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#128 [ゆり]
「…ありがとう…王子様♪」

あたしは手を重ねて下りた。

最後くらいお姫様と王子様の夢が見たい。

丘の上に着くと
ポツポツと雨が降ってきた。

「あー雨だ…」

あたしは空を見上げて言った。
  

⏰:06/05/30 06:10 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#129 [ゆり]
高橋さんは何も言わなかった。

いつもそうだったよね

何も言わないで抱きしめてくれる。

どんな言葉を言われるより安心できた。

こんな偽りだらけの二人でも
鼓動だけは本物だから。

苦しいくらい高橋さんの抱きしめる腕に力が入る。
 

⏰:06/05/30 06:12 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#130 [ゆり]
「高橋さん…あたし…」


「…うん…」


今日は唇塞がないの?

自分に都合悪くなると
すぐにキスして黙らせるくせに。

「…塞がないと言っちゃうよ…?」

あたしはこの日初めて高橋さんの前で泣いた。
  

⏰:06/05/30 06:14 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#131 [ゆり]
高橋さんの肩が震えてるのがわかった。


完璧な高橋さんが
初めて見せた弱さだった。


あたしが言おうとしてる事気付いてるんだ…

あたしが最後を口にするのが恐くて、
あたしの言葉を遮ったの?

あたしが話すヒマないくらい
ずっとしゃべり続けていたの?

初めて来た場所に、
連れてきてくれたの?
 

⏰:06/05/30 06:16 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#132 [ゆり]
「高橋さん…今日は天気悪いから…キラキラ見えないじゃん…」

胸に顔を押し付けて
声にならないような声で言った。

切なくてたまんなかった。

「うん…」
また強く抱きしめられる。

高橋さんだけ雨に濡れていて、
あたしは守られてるみたいだった。
 

⏰:06/05/30 06:18 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#133 [ゆり]
だんだん雨脚が強くなる。


「車…戻ろ?」


あたしの声で高橋さんは身体を離して
コートを脱いであたしの頭にかぶせた。

「え?」
「いいから」

足早に車まで行き、
後部座席に乗り込んだ。
  

⏰:06/05/30 06:19 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#134 [ゆり]
高橋さんは後部座席から体を乗り出し
エンジンをかけて暖房を入れた。

雨は本降りだ。

ザァーザァー

窓ガラスに雨が当たる。

「高橋さん…大丈夫?」

「うん…てか、俺いつもゆりちゃんにそーやって聞いてきたよね、
大丈夫な訳なかったよな」

雨なのか涙なのかわからない雫が落ちる。
 

⏰:06/05/30 07:19 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#135 [ゆり]
「…大丈夫だったよ、
…あたし幸せだったから」


ただの強がりじゃなかった

幸せを守る為に強がってたんだよ。


「おいで」

あの日と同じ
優しい声と切ない表情。

あたしは素直に首に腕を回して抱き着いた。


二人共最後だってわかってた。
 

⏰:06/05/30 07:21 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#136 [ゆり]
「あー…ゆりちゃんだ」

そう言って軽く笑った。

「なにそれ?笑」

「香水の香り、
抱きしめると微かにするんだよね」


普段は普通に香水をつけてるけど、
高橋さんに会う事になったら付けた場所洗ったりした。

助手席に香りが残るといけないと思ったから。 
 

⏰:06/05/30 07:22 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#137 [ゆり]
「いっぱい気遣わせたね、ごめんね」


気付いてくれてると思わなかった。

涙が溢れた。

今日はもう堪えずに泣いた。


高橋さんはただあたしを強く抱きしめて、

それ以上は何もしなかった。
  

⏰:06/05/30 07:24 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#138 [ゆり]
正直、
別れを告げたら無理矢理抱かれると思ってた。
好き勝手に…
それで嫌いになれたらいいって思ってたの。

でもあたしは高橋さんを何も分かってなかったね。

辛いのはきっと
あたしだけじゃなかった。

高橋さんがくれた愛は本物だった。

あたしは一瞬でも、
確かに満たされたんだから。
 

⏰:06/05/30 07:31 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#139 [ゆり]
何分くらい経っただろう、
二人黙ったままずっと抱きしめ合ってて、
雨音だけを聞いてた。

高橋さんの濡れた髪が
愛しくてたまらなかった。


バッテリーが上がる前に
車のエンジンを切った。

いつもエンジンが切られると
まだ一緒にいられるんだって
嬉しくなったっけ。


でも今日は苦しいよ。
 

⏰:06/05/30 07:34 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#140 [ゆり]
あたし達は後部座席に手を繋いで座った。

さっきよりよく聞こえる雨音に合わせて、

あたしは口を開いた。


「もう…今日で最後にするね」


しばらく沈黙が続いた。

あたしは言葉を続けた。
  

⏰:06/05/30 07:35 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#141 [ゆり]
「てか高橋さんさ、ひどいよね!笑
いっつも待たせてさ〜自分は女二人もいるなんて!
ひど過ぎるッ笑」


傷付けて遠ざけようと思ったんだ。

不器用だから、

上手にさよならが言えない。


「彼女さん大事にしなきゃ〜いつか痛い目みるよ!
あたしも都合良い女疲れちゃったし!もう高橋さんなんて懲り懲りッ笑」

⏰:06/05/30 07:39 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#142 [ゆり]
繋いだ手に力が入る。

高橋さんからの力だ。


「…ほんと、ゆりちゃんは優しいな」

軽く笑った。

頭をよしよしされた。

この大きな掌も、
出会った時から大好きだった。


あたしは今日で消えるから

もうそんな悲しそうに笑わないで。
  

⏰:06/05/30 07:43 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#143 [ゆり]
「高橋さんの事
本当に本当に大好きでした。
…いっぱい、ありがとう」

笑いたいのに笑えなかった。

涙声で精一杯伝えた。

「うん…」

頭に置かれた掌が
髪をなぞって顔に触れる。
  

⏰:06/05/30 07:44 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#144 [ゆり]
「ほんと小っちゃい顔だな(笑)」

「それ褒めてる?」

「褒めてるよ」

そう言って唇が触れた。

息が苦しいくらい。

想いをぶつけ合う様に重ねた。

 

⏰:06/05/30 07:46 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#145 [ゆり]
今まで高橋さんのあたしへの気持ちを疑わなかったのは、

キスに愛があったからだ。


好きだって言葉より信じられる、
不思議な力があったんだ。
 

⏰:06/05/30 08:17 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#146 [ゆり]
こうして最後のキスをした。


そしてあたし達は別れた。


寒い2月の終わりだった。
  

⏰:06/05/30 08:18 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#147 [ひLI]
今日初めて読みました
マヂ切なすぎッッ
でも、ゆりサンの気持ちが
痛LIぐらLI伝わッてきて…高橋サンの気持ちも
すごLI切なLI
高橋サンもゆりサンの事
大切にしてくれてたンですよね(pc_q`。)
なンか数年前の自分と
かぶッて思わず
読み耽ッてしまLIましたあと、文章作るのうますぎッ(゚Д゚;)

⏰:06/05/30 16:27 📱:N901iC 🆔:fPhEhBco


#148 [ゆり]
ひいサン感想ありがとデス(;ω;)
こういう恋愛って周りに反対されたり、イイ思い出にならなぃ事が多いケド
あたしの中でわ本当に大切な思い出になってるので書いてみました☆

⏰:06/05/30 20:10 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#149 [ゆり]
それから何度も高橋さんから電話があったけど
あたしは一度も出なかった。

もう繰り返す訳にはいかない。

だけどやっぱり
好きな気持ちは消えなかった。

⏰:06/05/30 20:14 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#150 [ゆり]
そして専門学校に入り
稲葉隼人という男と知り合った。

見た目、
チャラ男。

女の子を物色する、
あたしが1番嫌いなタイプ。


それでもあたし達は何故かよく話すようになった。

高橋さんの事も話していた。

⏰:06/05/30 20:26 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#151 [ゆり]
そして入学して2ヵ月ちょっと、
隼人の友達の岩田くんに告白された。

あたしの頭をよぎったのは高橋さんと…
隼人だった。


「ごめんね…」

「なんで?彼氏いないんじゃないの?」

どっかで聞いた台詞。

彼氏いない=付き合うって方程式なの?

「…いないけど…」

「じゃぁなんで?タイプじゃない?俺まじゆりちゃんタイプなんだけど」

⏰:06/05/30 20:28 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#152 [ゆり]
「…好きな人いるから…」

「…そいつと付き合わないの?」


段々めんどくさくなってきた。

今はあんまり思い出したくないのに。


「わかんない!」

ひどい女だけど、それで終わらせた。

帰り道、隼人に引き止められた。

⏰:06/05/30 20:30 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#153 [ひLI]
頑張ッてね(p*VωV)q
これからも読むし

⏰:06/05/30 21:11 📱:N901iC 🆔:fPhEhBco


#154 [ゆり]
「ゆりちゃん!」

「わッ…稲葉くんか…なに?」

「この後予定ある?」

「…帰宅ですけど」

「じゃあちょっと散歩しよ!」

「えぇ?」


こうして帰りの駅まで
遠回りしながら二人で歩き出した。
 

⏰:06/05/30 21:53 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#155 [ゆり]
ひいサンありがとォ♪頑張りマスッ(●>∩<●)☆

⏰:06/05/30 21:55 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#156 [ゆり]
その間にも、
あたしがヒールだから
「足痛くない?」
だの
「カバン持とうか?」
だの
気を遣ってくれた。


(さすがチャラ男…女慣れしてる。)


あたしは危険人物リストにコイツを入れた。
  

⏰:06/05/30 21:57 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#157 [ゆり]
「ゆりちゃんさ〜アイツふったでしょ」

「アイツ?あぁ…うん」

「やっぱり先輩が好きなんだ…?」


「うん…」


「…じゃあ男避けに指輪すればいーのに」


あたしの指には今まで指輪が光った事なんてない。

 

⏰:06/05/30 21:59 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#158 [ゆり]
「いいよ…別に」

あたしは口を閉じて俯いた。

高橋さんで頭がいっぱいになる。

別れてからも
思い出さない日はなかった。

でももうダメなんだよ。
戻れない。
好い加減大人にならなきゃ。
 

⏰:06/05/30 22:01 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#159 [ゆり]
「ごめん、俺お節介言ったわ、ごめんね?」

隼人が心配そうに顔を覗き込む。

「あっううん!ごめん、大丈夫だよ」

あたしは笑顔で答えた。


その日は駅まで送ってもらい帰宅した。


でも隼人と話してると
少しずつだけど
高橋さんを思い出に出来てる気がした。
 

⏰:06/05/30 22:03 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#160 [ゆり]
それからも隼人はあたしの話しを聞いてくれて、
とにかく優しかった。

(まぁどうせ下心ありだもんな…
ヤレりゃいいんだよ)

裕也との出来事であたしは冷めてた。

でも隼人は違った。

二人きりで居ても手を出してこなかった。

イメージがイメージだっただけに意外で
どんどん隼人が気になる存在になっていった。
 

⏰:06/05/30 22:07 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#161 [ゆり]
だけどやっぱり彼はチャラ男で、
ある日の放課後
金髪ギャルと歩いてるのを目撃した。

あの時の光景はまだ目に焼き付いてる。


(はぁ〜?何やっとんの…ッ)

あたしは苛々してる自分に気付いた。

明らかに嫉妬だ。


だけどあんなチャラ男
好きになる訳ない。

自分に言い聞かせてた。
 

⏰:06/05/30 22:09 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#162 [ゆり]
6月の半ば
雨が降る夜。

あたしは高橋さんを思い出していた。

こんな夜は特に記憶がクリアに蘇る。
まるで昨日の事みたいに。


傘を忘れたあたしは
近くの本屋の前で雨宿りをしていた。

(あーぁ…どうしよ)

迎えに来てくれる人もいないし、
家までは30分かかる。
 

⏰:06/05/30 22:12 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#163 [ゆり]
(濡れるしかないか)

そう思って行こうとすると
見慣れたヘッドライトが見えた。

本屋の前に停まり、
助手席の窓が開いた。


「やっぱりゆりちゃんだ」

中からは懐かしい…
高橋さんの顔と声。


あたしはびっくりして声が出なかった。
 

⏰:06/05/30 22:15 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#164 [ゆり]
「風邪ひくよ?乗って」

その声に誘導される様に
助手席のノックも忘れ
香水も香ったまま
車に乗り込んだ。


「久しぶりだね、学校帰り?」

「…あっハイそうです」


いきなりの事態にあたしは困惑していた。

「髪巻き巻きじゃん〜大人っぽくなったね」

そう言って自然に左手であたしの髪に触れる。
 

⏰:06/05/30 22:28 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#165 [ゆり]
「エクステ付けたから…」

「そーなんだ〜高校の時はギャルって感じだったのにね(笑)」


会ってなかった時間が嘘みたいに
高橋さんとの距離が埋まる。

でも何かが違う。
そう思ったんだ。
 

⏰:06/05/30 22:32 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#166 [ゆり]
やっぱり薬指には証が光っていた。

「高橋さんは変わらずかっこいーですね(笑)」

「まぁね〜」

「否定しないとこも変わってないし!笑
彼女さんとは仲良くやってる?」

「ん〜まぁ…」


彼女さんの話題になると言葉を濁すとこも、変わってないな。

そうやって少しは気遣ってくれてたんだよね。
 

⏰:06/05/30 22:34 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#167 [ゆり]
他愛ない話しをしながら
軽くドライブをして
家の前に着いた。


「ありがとうございました☆」

シートベルトを外すと
同時に高橋さんも外した。

次の瞬間
抱き寄せられて唇が重なった。
 

⏰:06/05/30 22:36 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#168 [ゆり]
本当に不意打ちだった。
あの頃と変わらないキスだった。


唇を離すと
下を向いて呟く様に高橋さんが言った。

「あー…やっぱ好きだわ…」


あたしは聞こえないフリをしてドアを開けて外に出た。

「おやすみなさい♪」

そう言って走ってマンションに入った。

また繰り返してしまいそう。

どこまであたしは馬鹿なんだろう。
 

⏰:06/05/30 22:39 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#169 [ゆり]
次の日−

あたしは昨日の事を考えながら机にひじを付き、ボーッとしていた。

「ゆりちゃん?」

話し掛けてきたのは隼人だった。

「元気ないじゃん、何かあった?」


あたしは金髪ギャルの事がよぎった。

だから挑発する様に言った。
 

⏰:06/05/30 22:42 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#170 [ゆり]
「昨日先輩に会った」

一瞬時間が止まった感じがした。

「え…?」

「偶然会って、傘なかったから送ってもらったの」

明らかに隼人が不機嫌になるのがわかった。

「ふーん、そうやって繰り返してなんか意味あんの?」

そう言って教室を出て行った。

今思えば
お互い想い合ってたから
傷付け合ってたんだ。
あの時は気付けなかった。

⏰:06/05/30 22:45 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#171 [ケン]
電車男を読んだ時くらいワクAしてます(・∀・)

⏰:06/05/30 22:45 📱:N900i 🆔:qGJlRvR.


#172 [ゆり]
ケンさん☆読んで貰えて嬉しいです(*´∪`*)本当にありがとデス☆★

⏰:06/05/30 22:48 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#173 [ゆり]
だからあたしは
その夜かかってきた高橋さんからの電話に出てしまった。


「もしもし」

「あ、ゆりちゃん?今仕事終わったんだけど少し会えない?」


隼人の言葉が頭を回った。

繰り返す?
意味があるか?

でも、
だって、

あんただって女の子と遊んでるじゃん。
 

⏰:06/05/30 22:51 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#174 [ケン]
マジハマったし(☆。☆)更新楽しみに待ってます♪♪

⏰:06/05/30 22:52 📱:N900i 🆔:qGJlRvR.


#175 [ゆり]
「…うん、いいよ」


こうしてその夜、
高橋さんに会った。


後部座席でキスをして、
シートを倒した。


首筋を舌でなぞられた瞬間
高橋さんの伸びたえりあしが
隼人に見えた。


気付いたら高橋さんを拒んでた。
 

⏰:06/05/30 22:53 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#176 [ゆり]
「ごめんなさい…」

あたしはそれ以上出来なかった。

「あたし…好きな人がいる…」

言葉にしたら
涙が溢れてきた。


高橋さんは頭を撫でて、
寂しそうに、
だけど優しく笑ってくれた。

「本当にもう会わない…ごめんなさい」
 

⏰:06/05/30 22:56 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#177 [ゆり]
帰り
初めてキスをせずに車を下りた。

「さよなら」

今度は笑顔で言えた。


こうして本当の意味で愛を教えてくれた人と、
永遠に別れた。
  

⏰:06/05/30 22:58 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#178 [ゆり]
あたしは昔から
無い物ねだりはしないタイプで

多くは求めず生きてきた。

だから高橋さんにも
「彼女と別れて」
とは言わなかった。

言ったら今は変わっていたのかな。

自分が傷付くのが恐くて、
代わりに誰かを傷付けてきた。

それは今も変わらない、
あたしの悪い癖だね。
 

⏰:06/05/30 23:00 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#179 [ゆり]
部屋に入ると携帯が鳴った。

ピリリリリッピリリリリッ

着信:稲葉隼人

ピッ

「…はい」

「あ、ゆりちゃん?」

「…うん、どうしたの?」

「会いたいんだけど…」

なんか様子がおかしいのは分かった。

声が細く震えてたから。
 

⏰:06/05/30 23:04 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#180 [なみ☆]
気になる(*人´∀`)☆+゜*:。

⏰:06/05/30 23:45 📱:N900iS 🆔:Kj6408mU


#181 [ゆり]
なみチャンありがとォ〜★少し書きます☆

⏰:06/05/31 07:39 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#182 [ゆり]
あたしは彼に今居る場所を聞いて、

終電ギリギリに滑り込み急いだ。


心配で胸が痛かった。


改札を抜けると
切符売り場の所に
見慣れたメッシュ頭が見えた。

 

⏰:06/05/31 07:40 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#183 [ゆり]
「稲葉くん!」


走って行き顔を覗き込むと
なんとも言えない、

傷付いたような顔をしてた。


「大丈夫?」


瞬間、腕を掴まれて抱きしめられた。


意味がわかんなかった。
 

⏰:06/05/31 07:42 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#184 [ゆり]
「ちょッ…どーした…」

次の瞬間にはキスされてた。

なんで男ってこういきなりするんだろう。

深くて
長くて
切なくて

あたしは唇を離した。

「苦し…」

静かな改札で
上がった息だけ響いてた。
 

⏰:06/05/31 07:45 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#185 [ゆり]
隼人は黙ったまま
俯いていた。


息が整ったと同時に
「寒くない?」
とあたしは聞いた。


大丈夫と言ったけど
風邪引きそうで心配で…

でも終電はもうなかった。
 

⏰:06/05/31 07:49 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#186 [我輩は匿名である]
>>140-185

⏰:06/05/31 10:36 📱:D902i 🆔:3Mn76otg


#187 [ゆり]
「どうしよう…」

呟く様に隼人が言った。

帰れない。

「シャワー浴びなきゃ風邪引くよ?」

この時二人に[タクシーで帰る]って答えはきっとなかった。

隼人が迷ってるのは分かった。

ホテルに連れ込む訳にもいかないって
思ってくれたんだろうな。
 

⏰:06/05/31 13:24 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#188 [ゆり]
だけどあたしはもう隼人の事が好きだって認めていたし

躊躇はなかったんだ。

だから隼人の言葉より早く
「いいよ」
と少し笑って言った。


隼人は少し混乱した顔をしながら
冷えた掌であたしの手を握った。
 

⏰:06/05/31 13:25 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#189 [ゆり]
「ゆりちゃんワックスもってる?」

「ケープしか持ってないよ」

「まじ?じゃあ俺サラサラヘアになっちゃうじゃん」

「見物だね(笑」

そんな会話をしながら
ホテルに入った。


さっきまで高橋さんに会ってたはずなのに

もう隼人だけでいっぱいだった。

誰も乗り越えさせてくれなかった
壁を

隼人は簡単に越えさせてくれたんだ。
 

⏰:06/05/31 13:26 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#190 [ゆり]
当時のあたしは
ラブホなんて数回しか行った事なかったから

なんか慣れた手つきで部屋選んで
エレベータ-に乗る隼人を見て

本気で妬いたの覚えてる。


あたしって自分から元カノの話聞いといて
本気でキレるタイプだから。笑

⏰:06/05/31 13:29 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#191 [ゆり]
部屋に入った。

それなりに気まずかったりする。

「早くシャワー浴びなよ」

あたしの言葉で
混乱した顔のまま
隼人はお風呂に入って行った。

あたしはソファーに座ってテレビのチャンネルを持った。

夜に慣れたあたしでも
やっぱり緊張していた。

⏰:06/05/31 13:32 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#192 [ゆり]
タイミング良くエロ番組(あれはPLAYBOYだった)が映る。

「うわッ外人すごッ」

あたしは苦笑いで見ていた。

外人って本当に「イエス!」とか「カモン!」って言うんだって
初めて知った。笑


飽きたあたしはまたチャンネルを変えて
普通の番組を見てた。

するとバスローブ着た隼人登場。

「バスローブだ!」

叫ぶあたし。

だって憧れだったんだもん。
お風呂上がりにバスローブ☆

⏰:06/05/31 13:33 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#193 [ゆり]
「えっあ、うん」

戸惑った隼人がなんか可愛かった。

焦った様に
「ゆりちゃんはシャワー浴びる?!」
って聞いてきた。

一瞬ドキッ。

だけどすぐに興味はバスローブへ…

⏰:06/05/31 13:37 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#194 [ゆり]
「女の子用のバスローブかな?!」だの
「似合うかな!?」だの
ぎゃーぎゃー言いながらあたしは洗面所の方へ行った。


シャワー室に入り
溜め息。

「はぁ〜〜…」

(なんか…展開早くないかな?…あたし軽く見られるかな?)

そんな事考えてた。
 

⏰:06/05/31 13:40 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#195 [しず☆]
文章つくるの上手ですね

⏰:06/05/31 15:58 📱:N900iS 🆔:9.uaI6gA


#196 [ひLI]
うンX02…
(pq・ω・o)゙ドキX02

⏰:06/05/31 18:38 📱:N901iC 🆔:epfGqGAg


#197 [ゆり]
しずサン☆ひいサン☆ありがとォ♪(;ω;)
今から書くので、良かったらまた読んで下さいネ☆

⏰:06/05/31 19:09 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#198 [ゆり]
「まァ〜いっか」

悩む事じゃない。

好きなんだから。
いいんだ。

ガチャッ

あたしは棚からバスローブを取った。

(うわッ意外に可愛い系じゃないッ?)

洗面所のやたらでかい鏡の前でくるくる回ってみるアホな自分。
 

⏰:06/05/31 19:13 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#199 [ゆり]
「あーッあたしスッピンじゃん!」

隼人に化粧ポーチを取って〜と頼むと

「スッピンでいーよ!笑」

と言われたので
まぁいっか〜と思い洗面所を出た。

隼人はなんかきょどってる。
お陰であたしの緊張は消えた。
 

⏰:06/05/31 19:17 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#200 [ゆり]
ソファに座る隼人の隣に少し距離を空けて座る。

「暑いなぁ〜」
あたしは女らしさも忘れ
頭にタオルを乗せたままチャンネルをいじる。

隼人は落ち着かない感じで
「何か飲む?」って
冷蔵庫の方へ行った。

これは彼なりのじらしなんだろうか…

あたしはまじでそんな事を思っていた。
 

⏰:06/05/31 19:26 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


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