キャバ嬢、のちヘル嬢。

すると
父親が言った言葉‐
「そんな会社やめなさい。
自分の体を
傷付けてまで
働きたい会社なのか？」
確かにそう思った。
そして
事実上クビ。

あたしのこの体が
変わらない限り
あたしの夢は
無理なんだ

こんな体に
生まれたくなかった

あたしの体は
汚い。

お父さんお母さん
あたしは
二人の余分な所を
受け継いだんだね

何で
お姉ちゃんたちは
綺麗な体なの？

ヤル気も夢も
なくなったあたしは
家を出た。

家にいてもつまらない
親や姉と喧嘩になるし

その頃
同じ職場で
同期のｱｽﾐも
仕事を辞めた
と言う連絡が来た。
理由はあたしと同じ。

そんなこんなで
意気投合した。
あたしは
ｱｽﾐの家に
住ませてもらい、
毎晩の様に
ｱｽﾐの男友達と
毎晩遊んだ。

今さえ楽しければいい
その頃のあたしは
そんな馬鹿な
考えしか持たず

お金がなくても
働かなくても
男に甘えれば
すぐ迎えに来る。
ご飯に
連れて行ってくれる

女って楽じゃん

‐6月に入り‐
あたしたちは
相変わらずの
毎日を送っていた。

ある日
中学時代からの友達
友里から
メールが来た。

「おひさぁ
元気
よしかお金欲しくない
一緒に
キャバクラの一体しない」

一体とは
一日体験の略語。
キャバクラに入店(在籍)する前に
一日働いてみる事。
色々なお店に
一体に行って、自分に合った
お店を探したりする。

「元気だよぉ
一体行く
お金欲しい」

迷わず返事をした。

「マジ
じゃあ土曜日の
P.M.6:00に駅前ね
お姉系で来てよ」

「わかったぁ」

‐これがあたしの
夜の始まりだった‐

舞台は名古屋の錦。
約束の時間に
友里を
待っていると
友里が長身の
ホストっぽい男と歩いて来た。

「おまたせぇ！
この人今日一体行く
お店のキャッチの人だよ」

「こんばんは、斎藤です。
宜しくね。
早速だけど、お店に行こうか」