････幸せになれよ････

○月○日
4人で夏祭り

柊がとった金魚をあたしにくれた。柊の隣にいると昔を思い出して泣きそうになるの。

○月○日
大晦日。今年は４人で初詣。柊真剣な顔してなにかをお願いしてた。あたしは…今年も柊といられますように…って。それ以上はなにも望みません。だからお願いします。

○月○日
成人式。柊が突然倒れて…加奈が泣きながら｢柊死なないで…っ｣て言ってた。なんで…なんで!?もしかして柊…なにか病気なの…?死んじゃう病気なの…!?

○月○日
あたしなにも知らなかった…柊がｴｲｽﾞ?柊の気持ちなにも気付けなかった…っ…どうしたらいいかわかんないよ…っ柊が死ぬなんて信じたくない…どんな顔して柊に会えばいいの…

○月○日
明日病院に行く。柊と最後のお別れをしに。ﾎﾝﾄに好きだったら普通は側にいるのかな…あたしはずるい…あたしはきっと柊が死んだら柊の死を受け入れられない。辛すぎて好きすぎて。だから柊から離れる。いなくなる寂しさに耐えられない…だから柊からも加奈や篤からも離れて、あたしは一人で生きてく。柊が死ぬなんてあたし耐えられない。柊のいなくなる寂しさを考えたら、一人になる寂しさのほうが我慢できる…柊がこんな辛いときにあたしは自分のことばっかりだよ…ごめんね…

○月○日
柊の顔見たら涙が溢れた。あの時抱きしめられたぬくもりあたし一生忘れない。なんで柊なの?なんで病気になったのが柊なの…っ?

あたし…たった一つしか願い事しなかったのに…神様はそれも叶えてくれないんだね…

美紅の日記はこの日で終っていた。

俺は日記を読みながらﾊﾞｶみたいに泣いてた。

こいつらいつもいつも…どの場面でだってお互いおんなじこと思ってんじゃん。
ばかじゃねぇの…二人そろって素直じゃねぇじゃん…

美紅が柊の前から姿を消したこと、みなさんは、ひどいし自分勝手って責めたくなるんかな…

あのとき俺達みんな、柊が死ぬなんて現実受け入れられるわけがなかったんだ。
美紅の柊への気持ちがいい加減だったからじゃない、本気だったから怖かったんだ。柊を失ったあとの自分を想像するのが怖かったんだ。

日記を閉じようとしたとき最後のページに何かが挟まっていた。

柊が美紅に出した手紙だった。

そして日記の最後のページに…

そう書いてあった。

なによりも

これが美紅の素直な本心…

柊に美紅の日記を見せた。

柊は黙って読んでた。

｢お前ら、この3年間離れててもずっと想い合ってたんだよ｣

俺がそう言うと柊は泣いてた。