・・・・幸せになれよ・・・・
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#75 [柊]
「…やだ…やだぁ…!」



声で美紅が泣いたのが分かった。


それから美紅は泣きながらずっと「別れたくない」って言い続けた。



俺は

「もう好きじゃない」


「別れたい」


「きらい」


なんて嘘の言葉を並べた。

⏰:08/02/19 20:10 📱:W43S 🆔:☆☆☆


#76 [柊]
胸が苦しかった。


美紅を泣かせてるのは自分なんだと思ったら、俺まで涙が出てきた。


電話して2時間が経った。



美紅はもう俺に何を言ってもダメだと諦めたのか、静かにこう言った。

「…わかった…もう柊の気持ちが変わらないならいい…」

⏰:08/02/19 20:13 📱:W43S 🆔:☆☆☆


#77 [柊]
静かに美紅から電話が切られた。

その瞬間一気に涙が溢れてきた。


俺はこんなに美紅が好きだったんだ。



美紅を失ったという現実が俺を追い詰めていく。




なんで俺なんだ。



なんで俺が感染してしまったんだ。

⏰:08/02/20 21:46 📱:W43S 🆔:☆☆☆


#78 [柊]
美紅を失った虚しさが、よりいっそう自分を責めた。


美紅というたった一人の人間を失っただけなのに、俺は生きていく力を全て失ったような気がした。

病気になったことよりも


美紅を失った事がただただショックだった…

⏰:08/02/20 21:55 📱:W43S 🆔:☆☆☆


#79 [柊]
次の日、俺は一人で車学へ書類を出しに行った。



「あれ?柊!」


名前を呼ばれて振り向くと篤がいた。

「…篤」


「お前も今日書類出しに来たんか?」

「…おぅ」

「てか…加奈から聞いたけど…美紅の事振ったんだって?どうしたんだよ。ケンカでもした?」

⏰:08/02/20 22:21 📱:W43S 🆔:☆☆☆


#80 [柊]
きっと昨日美紅が加奈に電話でもしたんだろうな…


「ケンカとかじゃねぇよ。美紅の事もう冷めたから」

俺はまた嘘をつく。


「冷めたぁ!?あんな仲良かったじゃん」



…やべぇ…泣きそ…



「まぁ美紅の話はもういいじゃん!終わった事だし!てか俺書類出してくるわ!じゃな!」


俺は精一杯の笑顔を作ってその場を後にした。

⏰:08/02/20 22:40 📱:W43S 🆔:☆☆☆


#81 []
続き気になる
頑張って書いて〜

⏰:08/02/20 22:56 📱:SO903iTV 🆔:☆☆☆


#82 [柊]
書類を出して帰ろうとすると、出入口の方から見覚えのある声が聞こえた。



加奈と…美紅…

きっと二人も書類を出しに来たんだろう…

篤もいて三人で話している。



俺はどうしたらいいんだ…


今まで通り話せばいいのか…

もう知らない人のように避ければいいんだろうか…

⏰:08/02/20 23:23 📱:W43S 🆔:☆☆☆


#83 [柊]
そんな事を考えていたら加奈に見つかった。

「柊!」

加奈に呼ばれた。


美紅も俺を見る。

思わず美紅から目を反らしてしまった。

加奈も俺に言いたいことがいろいろあっただろうけど、気を使ってくれたのか俺と美紅の事には触れなかった。

⏰:08/02/20 23:26 📱:W43S 🆔:☆☆☆


#84 [柊]
「柊も書類?」
加奈が話しかけてきた。
「おぅ。お前らも?」

「うん!」




ふと美紅と目が合った。

「…おはよ」

美紅はニコッと笑うと俺に向かって言った。

いつもの美紅だ。

…でもどことなく暗い気もした。

「…おはよ」

俺も挨拶を返す。

⏰:08/02/20 23:29 📱:W43S 🆔:☆☆☆


#85 [柊]
「…加奈、書類出しに行こ?」

そして美紅は俺を避けるように行ってしまった。


そんな美紅の後ろ姿を見つめながら、“もう俺達は元には戻れないんだ”そんな風に思い知らされたような気がした。










そして1ヶ月後…

⏰:08/02/21 00:16 📱:W43S 🆔:☆☆☆


#86 [柊]
俺は無事高校を卒業した。


4月からは美容の専門学校へ通う。


篤は地元の工場に就職、加奈は居酒屋でバイト、


そして美紅は、保育の短大に行くというのを加奈づたいに聞いた。美紅は子どもが好きだから、幼稚園の先生になりたいって付き合ってた頃よく言っていた。


4月になりそれぞれ新しい生活も始まれば、俺も少しずつ美紅を忘れられると思った。

⏰:08/02/21 01:52 📱:W43S 🆔:☆☆☆


#87 [柊]
高校卒業してからも篤とはずっとつるんでた。


篤と加奈は相変わらず付き合ってたから加奈にもたまに会ったりしてた。


でも美紅とは会わなかった。




専門学校は楽しかった。自分がやりたい興味ある事だったから勉強も楽しかった。友達も出来たし、毎日充実してた。

だけどなんか足りなかった。

ふとした時に美紅を思い出した。
学校や街でロングヘアの女を見ると、違うって分かってるのに目で追ってしまう。

⏰:08/02/21 11:44 📱:W43S 🆔:☆☆☆


#88 [柊]
そんな日々が続き、5月のGWがやってきた。


GW一日目、俺は朝から病院へ定期検査へ行った。

2月に感染が分かってから俺は毎月一回検査をするように医者から言われている。

今のところ発症はせずに落ち着いている。でも風邪を引いて抵抗力が落ちると発症する可能性もあるらしく、体調管理には気を付けていた。

一日朝晩の体温測定で平熱より一度でも高いとすぐに病院に行って検査をしたりの毎日だった。

⏰:08/02/21 16:43 📱:W43S 🆔:☆☆☆


#89 [柊]
そんなこともあり毎日ストレスの溜まる生活が続いた。

病院での検査が終わると、丁度篤から電話がかかってきた。

「もしもし柊クン〜?今日の夜ヒマ〜?♪」

コイツは常にテンションが高い…(笑)

「夜?ヒマだけど」

「じゃあ和也んちで飲も―ぜ♪」
和也は高校の時俺や篤と同じクラスだった奴で、よくつるんでた仲間の一人。

⏰:08/02/21 16:52 📱:W43S 🆔:☆☆☆


#90 [柊]
「和也?久々じゃん!東京から帰ってきてんの?」

和也は東京の専門学校へ行っている。

「昨日帰ってきたっぽい!」

「まじかぁ〜じゃあ久しぶりに騒ごうぜ〜篤今日仕事?」

「そだよん♪今昼休み♪今日仕事6時までだから終わったら迎え行くわ!」

「はいよ〜」

和也に会うのは卒業式ぶりだ。久々に会えんのが嬉しかったし俺は飲みをおっけーした。

⏰:08/02/21 17:11 📱:W43S 🆔:☆☆☆


#91 [柊]
夕方、篤からの連絡を待ちながら出かける準備をした。


あ、やべ…コレ忘れるとこだった。

俺は美紅とお揃いのあのネックレスをつけた。


美紅と別れても俺は毎日それを身につけていた。

女みたいで女々しいかもしれんけど、コレをつけてるとなんだか別れても美紅と繋がっていられるような気がして嬉しかった。

美紅はきっと付けてないだろうけど…もう捨てられたかもしんねぇな…

⏰:08/02/21 18:03 📱:W43S 🆔:☆☆☆


#92 [柊]
篤の迎えが来て、二人で和也んちに向かった。


「あ、コンビニ寄ってい?タバコ切れたわ」

途中篤はそう言ってコンビニに寄った。

俺は車の中で篤を待った。

すると隣に車が一台止まった。

「え、柊じゃん!」

突然名前を呼ばれて隣を見ると、加奈がたっていた。隣に止まったのは加奈の車だった。
俺が窓を開けると、加奈が近づいてきた。

⏰:08/02/21 18:27 📱:W43S 🆔:☆☆☆


#93 [柊]
「なんか篤の車に似てるなぁって思ったんだよね!超偶然!柊何気に久々じゃない?てか何してんの?篤はぁ?」

あいかわらず篤と同じでテンションが高い加奈が一気に話しかけてきた(笑)

「おぅ!加奈!」

その時丁度タバコを買った篤がコンビニから出てきた。

「篤〜!何してんの?今日飲みとか言ってなかった?」

「柊と今から行くとこ♪」

俺は二人の会話を聞きながら、ふと加奈の車を見た。

⏰:08/02/21 18:32 📱:W43S 🆔:☆☆☆


#94 [柊]
…美紅がいた。


助手席に美紅が座ってた。




…会ったのは久しぶりだ…3ヶ月近く会ってなかった。美紅と話したい…声が聞きたかった…



俺は車を降りて美紅の座っている助手席の窓をコンコンと軽く叩いた。

⏰:08/02/21 18:36 📱:W43S 🆔:☆☆☆


#95 [柊]
美紅は俺に気付くと窓を開けてくれた。俺はその瞬間ハッとしてネックレスを服の中に隠した。美紅に見られたらどう思われるか分かんねぇから…

俺は自分で行ったくせに、なんか気まずくなった。

でも美紅は俺の予想とは反対に明るかった。

「柊〜!久々だね!こんなとこで会うなんてびっくり!」

昔の明るい美紅のままでなんだか懐かしく感じた。

「久しぶり。元気してた?」

前よりまた少し明るなった髪が白いワンピによく似合っていた。たった数ヵ月会わなかっただけなのに美紅は一気に大人っぽくなったような気がした。

⏰:08/02/21 19:12 📱:W43S 🆔:☆☆☆


#96 [柊]
「加奈とどっか行くのか?」

「うん、これからゴハン食べに!柊は?」

「友達んちで飲む」

「そうなんだぁ」


そしてしばらくの沈黙…


「柊…美容の学校行ってるんでしょ?髪の毛いじるの好きだったもんね。なんか柊が美容師とか似合ってる」

美紅はそう言って俺の好きなあの優しい笑顔で笑った。

⏰:08/02/21 20:19 📱:W43S 🆔:☆☆☆


#97 [柊]
「お前は〇〇短大だろ?前から行きたいって言ってたよな」

「うん。でも結構勉強タイヘン〜」

そんな風に美紅と話していると、篤と加奈が来た。

「柊そろそろ行こ〜」
「美紅〜うちらも行こ〜」

ホントは美紅とまだずっと話していたかった。

だけどそういうわけにはいかない…

「…じゃあな」

「あ…柊…っ」

その場を離れようとすると美紅に呼び止められた。

⏰:08/02/21 21:55 📱:W43S 🆔:☆☆☆


#98 [柊]
「なに?」

「あ…あのねっ」

真っ直ぐ見つめられて美紅から目がそらせなかった。

「…なんだよ」

「…柊…っ…あたし…」

美紅が俺の袖をきつく握り締めた。


とその時…

「美紅早く〜行こぉ〜」

加奈の声で俺も美紅もハッとした。

⏰:08/02/21 22:35 📱:W43S 🆔:☆☆☆


#99 [柊]
「ゴメン…なんでもない。じゃあね、バイバイ」

そう言うと美紅は窓を閉めてしまった。


加奈の車が出発するのを見送って俺も篤の車に乗った。

「美紅と何話してたん?」
篤が聞いてきた。
「別に…久しぶりだなって」

「ふ〜ん。てかお前まだ美紅の事好きだろ」

「は?別に好きじゃねぇよ」

「俺ナメんなよ?3年以上もお前の友達やってんだぞ。見てれば分かるし」

⏰:08/02/21 23:11 📱:W43S 🆔:☆☆☆


#100 [柊]
「何言ってんだよ。もう好きじゃねぇって」

「…まぁお前がいいならいいけど。何があったか知らねぇけど、ホントに好きなら好きって言わなきゃ後悔するぞ。お前も美紅も俺にとっては大事な友達だからさ…二人が辛いのとかイヤなんだよ。俺に出来ることあったら言えよ」


…篤はやっぱ親友だと思った。
いつもバカやってフザケてる奴だけど、誰よりも友達思い。


篤には病気の事言ってもいいんじゃないかって思った。でもやっぱ怖かった。病気の事知ったら離れてくんじゃないかって。

⏰:08/02/21 23:20 📱:W43S 🆔:☆☆☆


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