ｰＡ&Ｒ-

その出来事があって
一週間後。

僕はまた沙千の家にいた。

｢んで？
どうなった？｣

｢やっぱりって所かな？
予感的中。｣

｢そっか。｣

｢うん。｣

｢別れんの？｣

｢まだ考え中。
もうしないなんて
信用できないけど
信じてみたいって
思ってる自分も
いるの。｣

｢へ～。｣

沙千はなんだか
いつもの様子と違ってた。

携帯をこまめに見たり
僕に今日は何時に
帰るの？
と聞いたり,
遠回しに
僕に帰ってほしい
感じだった。

｢この後なんか
予定でも入ってた？｣

僕がそう聞くと
沙千は言いにくそうに

｢う～ん。
まぁね。｣

なんて言った。

｢彼氏？
だとしたらごめん。｣

｢だとしたら
どんなにいいか。｣

沙千は
乾いたような
ははっと笑いを吐いた。

｢どういう意味？｣

｢‥…………。｣

｢言えよ。｣

｢‥………あたし
今から浮気する。｣

沙千は
決心をしたかのように
言った。

｢本気で言ってんの？｣

｢浮気するっていうのに
本気っておかしいけど...
‥…ずっと
連絡を取ってた
男の人がいるの。
彼氏の相談とかも
のってくれてね,
あたしのことね
親身になって
考えてくれるの。｣

｢‥……沙千はさ
それを下心とは
考えないの？｣

｢分かってるよ。
今日だって
何もなしで
じゃあﾊﾞｲﾊﾞｲってなる
って思う程
子供じゃない。｣

｢じゃあなんで｢あっちが悪いんだよ。｣

｢‥……。｣

｢あっちが先に
浮気したんだから
あたしが浮気しても
あっちは何も
言えないじゃない。
浮気された時の気持ちを
あの人に味あわせて
やりたいの。｣

｢‥………はは。｣