ｰＡ&Ｒ-

｢それと,
人の物は盗むな。
これは友達の間でもそうだ。
友達だから...って
考えじゃ駄目だかんな。
あと,楽して金稼ごう
なんて甘ったれた
考えすんな。
お前もﾊﾞｲﾄやってんだから
わかんだろ？｣

｢うん。うん。｣

そう言って
涙目になる
沙千はまるで
目が朱い兎の様だった。

｢まぁうるさい説教は
この辺にして
ご飯食べるか。｣

｢‥…うんっ！｣

｢うんって言うな。
本当にうちの説教が
うるさかったみてぇ
じゃん。｣

｢｢あははは。｣｣

けど
沙千が起こす問題は
こんなもんじゃ
済まなかった。

次は
定期の期限切れを
使って捕まった。

今回も警察は
呼ばれなかったが
切れた日から
今までの
往復の料金を
払うことになり
その額は
結構なものだった。

一括払いが
条件だったが
到底払える訳もなく
頼みに頼みこんで
分割にしてもらったそうだ。

｢‥…どうしよう。｣

｢お前どうしよう
って言うならさ
こんなことやんなよ。｣

｢‥…仕方なかった。｣

｢は？｣

｢今までの定期代は
お母さんに払って
もらってたの。
でも今回は
払ってくれなくて
でもお金がないから
仕方なく。
捕まったのだって
あたしが
ﾄﾞｼﾞ踏んだからだって。
そんなのってひどい。｣

‥…正直呆れた。

それが親のすることかって。

人の親だけど
ぶん殴りそうになった。

大人ってやっぱり汚い。

そして次。

沙千が事故った。

病院に駆けつけたら
包帯が何重にも
巻かれた沙千が
ﾍﾞｯﾄﾞに横たわってた。