うまく言えない
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#182 [サな]
夏休みも終わりに近づく。
日が経つごとに曜の態度が変化していくのがわかる。
物にやつあたりしたり、イライラして煙草の量が増えたり…。
そんなの見てもうちはどうすることもできない。
曜も何もできない自分にイライラしてたんだと思う。
:08/12/12 23:16 :D905i :☆☆☆
#183 [サな]
「なあ曜、うちはどうしたらいいん?」
曜がうちにどうしてほしいのかわからなかった。
「俺は…出て行ってほしくない。H市におれば何もされんし、何も知られん。でも、そんなに紗奈を縛っても仕方ない。自分でもどうしたらいいんかわからんし、どうしてほしいんかもわからん…」
「うちは学校に行かないかん。家にも帰らないかんよ。やから結局はM市に戻らんといかんやん。これからは毎日一緒におれるわけやないし、うちはM市で過ごすしかないよ。」
:08/12/12 23:22 :D905i :☆☆☆
#184 [サな]
「うん。…またH市まで来てな?」
「来るよっ」
「もしなんかあったら絶対言えな?」
「うん」
うちはちゃんと学校に行く。
土日はちゃんとH市に行く。
それが条件になった。
:08/12/12 23:27 :D905i :☆☆☆
#185 [サな]
夏休みも終わり、うちはM市に帰った。
普通にいつも通りの学校生活。
土日はちゃんとH市に行った。
駅をなるべく通らないようにするために、駅から離れたところに佳基さんが迎えに来てくれる。
そんな日が何日も続いた。
…でも、そんな毎日がずっと続くわけがない。
狭いM市の中では、情報がおもしろいように回った。
:08/12/12 23:50 :D905i :☆☆☆
#186 [サな]
紗奈に男がいる。と。
それが誰なのかは知られてなかった。
ただ、佳基さんの車に乗り、H市に向かう姿が目撃されて、七瀬のもとに情報が届いた。
学校で、志乃にも他の人にも恋バナなんかしなかった。
うちの学校にはM市の人もH市の人も少なくて、基本O市の集まり。
だけど、どこで誰が何を聞いてどう情報が流れるかわからないから、学校でそういう話は一切しなかった。
:08/12/13 00:01 :D905i :☆☆☆
#187 [サな]
それでも、うちの学校の人間に少し手を回せばすぐにわかることだった。
うちの学校のH市の人間は、何かしらのかたちで曜に言われてると思うから。
でももしそれが気が弱い人であれば、少し脅されればすぐ言ってしまうと思う。
その噂を聞いてからは、毎日不安で仕方なかった。
曜を傷つけたくなかった。
:08/12/13 00:06 :D905i :☆☆☆
#188 [サな]
「しばらく会うの止めよう」
うちは電話で曜に言った。
「は?何で?」
「うちがH市に男がおるって噂が広がって七瀬の耳にも入っとる。このままだったら曜も、曜の周りの人もみんな巻き込んでしまう。うち、やっぱそんなの耐えれん」
「俺は紗奈に会えんくなるほうが耐えれん。俺ら付き合ってないやん。やましいことなんか何もない」
「そんなの七瀬に通用せんよ。とりあえず2週間は会わんとこう」
:08/12/13 00:14 :D905i :☆☆☆
#189 [サな]
「わかった」
これで解決するわけがない。
この2日後、七瀬がうちの高校にやってきた。
うちを待ち伏せるように、校門の前に5人くらいで溜まっていた。
:08/12/13 00:19 :D905i :☆☆☆
#190 [サな]
「紗奈、七瀬くんや」
志乃が言った。
「…どうせうちのことやろ。もううちが行くしかないやん」
「絶対やめとき!何されるかわからんで!?」
「大丈夫。行くでな。志乃は帰っといて」
:08/12/13 00:21 :D905i :☆☆☆
#191 [サな]
うちが七瀬のほうに向かっていくと、七瀬もうちに向かってきた。
「うちに話しでもあるんやろ?こそこそせんと言うてみ」
「わかっとんやん。お前男おるらしいな」
「それただの噂。うち彼氏おらん」
「H市の奴やろ?大体見当ついた」
「嘘やん。誰な?言うてみ?」
「水野 曜やろ」
:08/12/13 00:27 :D905i :☆☆☆
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