うまく言えない

「俺がおりたいから一緒におるんやし誘うんや。あんな、俺まだ紗奈のこと‥‥‥」

「曜っ‥言わんで‥あんな、うち聞いたんよ。佳基さんから‥。やから今日曜にどう接して良いかわからんかった。」

これ以上一緒にいれば曜にまた惹かれていく。

だけど、そうしたら曜を傷つけることはわかってる。

曜を傷つけたくない。曜には幸せになってほしいって思ったから‥。

ただのうちの自分勝手な考えだった。

「‥俺は紗奈が好きや」

曜はそう言ってうちを抱き締めた。

そんなこと言わんで。

また、その曜の優しさに

甘えてしまうから‥。

真人のことだって忘れてない。

佑太だってまだ付き合っとる。

だけど‥‥‥

曜の優しさに惹かれていく

曜の優しさに甘えてしまう

最低な自分。

このときうちがちゃんとしてれば

誰も傷つかなくてすんだのかもしれない。

平凡な毎日が過ごせていたのかもしれない。

曜をもっと突き放してればよかった？

佑太をもっと愛せばよかった？

正しい答えなんて、何年たっても出てこない。

曜は車を出した。

「どこ行く気？」

「どっか。まだ帰したくない」

そう言う曜を見てうちは笑ってしまった。

うちらはしばらくドライブした。

ふと見た携帯。

沢山の着信と沢山のメール。

全てが佑太からのものだった。

再び光る携帯。

もうすでに朝の5時くらいだったのに、携帯は光り続けた。

うちは携帯をかばんの奥にしまった。

そしてまた曜とのドライブを楽しんだ。

「また遊ぼう」

そう約束してうちは家に帰った。

携帯を開くとまだ光り続けていた携帯。

迷ったあげくうちは電話に出た。

「もしもし？」

「紗奈!?お前っ!!!!!何で連絡せんのや」

「ごめん。友達んとこ行っとってさ」

「男やろ」

「‥は？」

「絶対男やろ？」

「信用ないんやね。まあええけど」

自分のこと棚に上げてよく言えたよ、自分(笑)

図星つかれて逆ギレした自分。

電話を切って寝た。

それからうちは佑太からの連絡に一切対応せずに、曜と遊んだ。