うまく言えない

それを察してか、

「墓参り、行って来いな？」

って、宏樹が言った。

「えっ‥」

「行って来いよ。ちゃんと行け」

宏樹は笑って頭をなでた。

その何日か後にうちは地元に帰った。

即行佳基さんに連絡したら、次の日佳基さん仕事休んでまで来てくれた。

「佳基さんありがとう」

って言うと

「今更照れるやん」

って笑った。

うちは曜のお墓の前で手を合わせた。

曜、うちにも大切な人ができたよ。

こんなうちを受け入れてくれる、優しい奴やよ。

やけどな、うちの中ではやっぱ曜が一番なん。

それだけは、ほんまに変わらんのやて。

曜は笑うかな？怒るかな？

いつまで俺のこと引きずっとんや！そいつを一番に想ってやれよ！

って、曜なら言うやろうね。

やけど、曜は曜、宏樹は宏樹のええとこがあるんよ。

やからさ、いつまでたってもこんな中途半端な奴やけど‥見守っといてな‥？

曜‥愛しとるよ。

.

うちは曜に伝えたいこと全部伝えて立ち上がった。

「曜、よかったな」

って佳基さんが言った。

佳基さんはほんま良い兄さんや。

.

その後、夕方くらいに佳基さんに凌斗の家に送ってもらった。

佳基さんとバイバイしてから、うちは凌斗んちに入った。

「キャー!!!」

って美弥子の叫び声。

うち帰ってきたこと何も言ってなかったからめっちゃ驚いてた。

そんで美弥子は抱きついてきた。

落ち着いてから、凌斗もまぜて３人で話すことになった。

宏樹っていう彼氏ができたこと、すごい喜んでくれた。

絶対に大切にしいやって言われた。

うちは今までのこと全部話した。

曜のこと、宏樹のこと、泣きながら全部‥。

「もっとうちらに頼ってくれればよかったのに‥。」

美弥子はそう言って一緒に泣いてくれた。

美弥子も凌斗も、ほんまにうちにとって最高の親友や‥。

.

落ち着いた頃、凌斗が言った。

「俺ら結婚するから」

いきなりのことにまじで驚いた。

いや、でも逆にこんな長く同棲しとんのに籍入れるに至らんかったことも不思議やった。

「紗奈が落ち着いたら結婚しようなって言ってたんよ」

って、凌斗が言った。

「えっ‥なんでなん!?そんなん‥‥」

「違うでな。紗奈、自分のこと責めんで？あんな、俺らがうまくやってこれたんも、紗奈がおったからなんよ。やから俺らが決めたことやからそれでえーんよ。素直に祝ってーな！」