うまく言えない

「前岡ちゃん何歳？」

「前岡ちゃんは今年17歳」

「んなら俺とタメやんー」

「まじかー、何高？」

「高校とか普通に行ってないし。つかこの携帯の持ち主はブサイクやけど俺そんなブサイクやないからな!格好いいお兄さんやから!笑」

「自分で言う時点でありえんわー笑」

そんなこんなで気付けば1時半。
水野くんのわかったことと言えば、

中卒で現場職。
住みはＨ市、
今年17歳で自称きもくない笑
出●哲朗似(19歳)はパシリ。
その日職場の人に怒られた。

そんな感じだった。

まあ眠たいし寝るってことで、お互い電話番号を交換して電話を切った。

Ｈ市の水野…

聞いたことある。

七瀬の連れだったっけな？

とか思ったけど、考えるのが面倒になってやめた。

まあどうせその辺の奴は七瀬の連れだろうって。

そんな電話したことなんか忘れて２週間がたった。

久しぶりに家に帰ってゆっくりしていたときだった。

～♪～♪
着信"水野くん"

水野…水野…あぁ、水野!

って感じで思い出して電話に出た。

「お前電話してこいやー」

水野くんが言った。

「いやいや、自分がしてこい」

「待っとったのにしてこんし」

「待つくらいならしてこい」

「てか今から遊ぼー」

「はい無理ー」

「うわ。即答かい！ちょっとは悩め」

「すっぴんとスエットとかキモイやん」

「大丈夫可愛い可愛い」

「見たこと無いくせに」

「俺の妄想やし」

「妄想すんなきもちわるい笑」

「絶対前岡ちゃんＳやろ」

「よく言われるー」

「で、遊ぼー！」

「いや、無理やって」

そんなやりとりをしつつ、世間話も交えつつ、なんだかんだで３時間も話してた。

切るﾀｲﾐﾝｸﾞも無いし話がつきるわけでもないし。

どんなタイミングで切ったか忘れたけど、電話切って即行寝た。

それから毎日電話が来るようになった。

毎日毎日、遊ぼーって言われた。

毎日毎日、うちは断った。

顔も知らんのに、こいつ誰でもいいんやろうなって思った。

あれだけ電話しても、メールしようなんて話にはならなかった。

「いい加減遊べば良いやん」

志乃が呆れるように言った。

「あいつ絶対チャラいし。」

「あんたが言えることやないやん笑」

「失礼な」

「遊んでみるくらいええんやない？前向きにとらえれば顔を気にせん人やってことやろ？」

「もし七瀬の連れやったらどーすん!?」

「大丈夫やって」

そんな話をしていると着信。

水野くんだった。

「今回誘われたら絶対遊びーよ。じゃないと家おいだすよ」

志乃に若干脅されつつ電話に出た。