うまく言えない

でも、怖がる心配も、気を使う意味もなかったんだ。

周りには沢山の味方がいて

みんなみんな、良い人ばっかだから。

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もう怖がらない。

遠慮もしない。

曜と幸せになるんだ。

そう決めた4月3日。

うちと曜の記念日。
これからがうちと曜のスタート。

うまく言えないけど

溢れてくる

この声も

この泪も

君を思えば…

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うちは３年生になった。

風が吹き、桜が舞い、

少し肌寒く、少し暖かい

そんな時季。

真新しい制服を着て

校門をくぐる1年生たち。

うちは志乃とまた同じクラスになった。

２階の教室の廊下から中庭を覗く。

初々しい1年生たちが騒いでいる。

「可愛らしいねぇ」

「あの中でカップルが誕生するんやろうね」

「志乃も彼氏作りなさい」

「あんた自分が幸せやからって…」

「あはっ」

「紗奈せんぱぁーいっ！」

１年生の集団の中の1人がうちを呼んだ。

…誰？

その子は階段を駆け上がってきた。

「先輩!２中の美優です!覚えてますか?」

２中って同中…。

こんな奴おったっけ？

美優<みゆう>と名乗るその子は、少し赤っぽい髪で背は多分160センチくらい。

可愛いわけではないけどぶさいくではない。でも少し頑張ってる感がある、いわゆるパギャルって感じの子。

…２中にこんな奴おったか？

てか後輩と特別仲良くなかったし

ましてや２個下なんて。

「ごめん、覚えてない」

「えぇ～。じゃあこれから覚えてください!真中美優です」

「あぁうん。よろしくね」

「紗奈先輩!アドレス教えてください!」

「…うん」

美優にアドレスを教えると、美優は礼をして中庭に戻っていった。

「紗奈、後輩？」

「いや、知らん。」

「何か凄い勢いある子やね」

「ほんまに誰かわからん」

「高校ﾃﾞﾋﾞｭｰかなんかやろ。紗奈みたいに笑」

「うちのは高校ﾃﾞﾋﾞｭｰって言わん!うちのはただのｲﾒﾁｪﾝや!」

「はいはいっまあ確かにそうやね笑」

話は少し変わって、うちは曜の家から学校に通うことにした。

まあいわゆる同棲ってやつ。

親は特に何も言わなかった。

ただ、
「ちゃんと大学受験しなさいよ」

とだけ言われた。