うまく言えない
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#601 [紗奈]
そんな状態がずっと続いてた。
気付いた頃にはもう夏休み前。
うちはいつものように広場のすみの方に座っていた。
:09/05/20 19:44 :D905i :☆☆☆
#602 [紗奈]
「なあ」
後ろから声をかけられた。
「‥はい?」
背が低くて目がクリっとした男が立っていた。
‥誰?
:09/05/20 19:46 :D905i :☆☆☆
#603 [紗奈]
「いっつも何してんの?」
「‥は?」
「いきなり何?って感じやんな!!俺の名前は‥」
「自己紹介とかいらん。気安く声掛けんといて。」
うちは立ち上がってその場を去った。
‥鬱陶しい。
:09/05/20 19:51 :D905i :☆☆☆
#604 [紗奈]
だけどそいつはなぜか毎日毎日話しかけてくるようになった。
うちは完全にシカトしてるのに1人で勝手に横で喋ってた。
うちが立ち上がれば
「またな!」
って言ってた。
:09/05/20 19:55 :D905i :☆☆☆
#605 [紗奈]
名前も歳もしらない。
お互いのことを話すこともない。
別に何かあるわけでもない。
うちの中では
"勝手に話しかけてくる男"
:09/05/20 19:57 :D905i :☆☆☆
#606 [紗奈]
夏休みに入ってから、うちは相変わらずぼーっとしてた。
すると佳基さんからの着信
「もしもし?」
「あ、久しぶり」
「うん。何?」
「夏休みやん、帰って来やんの?」
「特に予定は無い」
:09/05/20 20:28 :D905i :☆☆☆
#607 [紗奈]
「帰っておいで。一緒に曜の墓参り行こうか」
「‥‥」
曜のお墓にはまだ行ってなかった。
行けなかった。
心と体がついていかなくて‥。
:09/05/20 20:29 :D905i :☆☆☆
#608 [紗奈]
「‥行くよ」
そろそろちゃんと曜に向き合うべきだ。
5ヵ月も向き合えずに、うちは何してるんだろうって思ったから。
「帰ってきたら連絡してな」
佳基さんはそう言って電話を切った。
:09/05/20 20:31 :D905i :☆☆☆
#609 [紗奈]
3日後、うちは地元に帰った。
佳基さんに連絡をして、迎えに来てもらった。
「痩せたな」
「そーかな」
それだけの会話。
そのまま無言で曜のところに向かった。
:09/05/20 20:50 :D905i :☆☆☆
#610 [紗奈]
曜のお墓の前に立つと、自然と涙が出てきた。
曜に言いたいことがたくさんあって、座って手を合わせた。
たくさんのありがとうと
たくさんのごめんね
そして
「愛しています」
:09/05/20 20:54 :D905i :☆☆☆
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