バツイチ子持ちの君へ
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#34 [けん]
本当なら後部座席でチャイルドシートに乗せるけど、この日は特別に助手席に乗せてあげた。
ジッーと窓の外を見入る蒼汰。
いつもなら携帯のゲームに夢中になっているけど、この日は窓から顔を離さなかった。
ドライブが好きな蒼汰。
俺はそう勘違いしていた。
本当はドライブではなく、窓から見える景色が好きだったんだ。
「蒼汰は景色が好きやねんなぁ・・・じゃあこれからもいっぱい綺麗な景色を見せたるからな!」
「うん!」
と言って蒼汰と指切りゲンマンをした。
:09/06/22 23:45
:F905i
:gzc.ziZ.
#35 [けん]
俺と蒼汰のこんな約束なんて知るはずもない絵美。
なぁ絵美。
ドライブをしている時、寝ている蒼汰をわざわざ起こしていたのは、意地悪なんかじゃないんだ。
蒼汰と約束していたから少しでも多くの景色を見せたかっただけなんだ。
何も知らない絵美はいつも「蒼汰をイジメて何が楽しいん?!」って、冷めた目で言ってたよな。
今更遅いけど・・・
それは誤解なんだよ。
:09/06/23 11:24
:F905i
:8Qssq5mI
#36 [けん]
話しは少し遡るけど
夏休みに三人でキャンプをした。
絵美は虫が嫌いだから、最初は反対していた。
でも、1番はしゃいでいたのは絵美だった。
俺がキャンプをしたかった理由・・・
それは
絵美に「男として格好良い所」を見せるため。
蒼汰に「頼れるパパ」として見てもらうため。
その為に
一生懸命テントを張った。
一生懸命火をおこした。
一生懸命汗をかいた。
:09/06/23 11:32
:F905i
:8Qssq5mI
#37 [けん]
夜、眠っている絵美が突然呻きだした。
熱がある・・・
慣れない外での暮らしで体調を崩したんだろう。
俺は一晩中、絵美の横で看病した。
この時思った。
「やっぱこいつには俺しかおらんわ。」
普段は強気な絵美が見せた、弱い部分に俺は愛おしく思えた。
:09/06/23 17:00
:F905i
:8Qssq5mI
#38 [けん]
次の日、蒼汰と一緒に近くの川で泳いだ。
もちろん蒼汰は浮き輪。
絵美はそんな仲むつまじい風景を、岸辺でカメラに残していた。
すると
「けんちゃん!!蒼汰が・・・!」
その声につられて、ふと後ろを振り向くと・・・蒼汰の姿がなく、浮き輪だけ浮かんでいた。
「蒼汰っ!!」
俺は慌てて潜った。
間一髪だった。
泣きわめく蒼汰。
ゴメンな。俺が目を離したばっかりに怖い思いをさせてしまって・・・
この時、蒼汰を失う事は自分にとっても悲しい出来事だと実感した。
蒼汰は他人の子ではない。
紛れもなく俺の子だ。
:09/06/23 17:08
:F905i
:8Qssq5mI
#39 [けん]
楽しかった思い出ばかりが鮮明に蘇ってくる・・・
こういうのを美化っていうんだろう笑
でも、悪い意味で俺にとって「一生忘れる事はない日」がやって来た。
季節は冬。
仕事中に、突然絵美から電話が掛かってきた。
なんだろう?
:09/06/23 21:38
:F905i
:8Qssq5mI
#40 [けん]
絵美の次の言葉に絶句した。
「また妊娠したみたい」
呆れるといった感じに、笑って絵美は話した。
中絶をしてから、まだ3ヶ月しか経っていない。
それなのに、俺は・・・
絵美には返す言葉が見つからなかった。
「帰ってゆっくり話そう」
そう言って電話を切った。
:09/06/24 14:22
:F905i
:90qVDZ0c
#41 [けん]
家に帰って俺達は話し合った。
絵美の表情は前回と違って何故か明るい。
「私達、ほんまバカやな〜産めるわけないのにまた同じ過ちを繰り返して・・・すぐ手術の予約入れとくね!」
絵美は俺の返事を聞く前に、堕ろす覚悟をしていた。
正直、心の中で(助かった)と思う自分がいた。
:09/06/24 14:27
:F905i
:90qVDZ0c
#42 [けん]
この時、強がってしまった。
「まだ堕ろすとは言ってないやん。もう少し考えよう。二回目やし、俺も男としての責任があるからさ・・・」
この言葉は絵美に、過大な期待をさせるものになっていた。
そして・・・決断を下せないまま1ヶ月が経とうとしていた。
:09/06/24 15:31
:F905i
:90qVDZ0c
#43 [けん]
産んでいいの?
絵美がそう言った。
俺は首を横に振った。
落胆する絵美。
当時を思い出して、今ここに書き綴っているが、やっぱりどうしようもない男だと改めて思う。
:09/06/24 22:48
:F905i
:90qVDZ0c
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