俺と幼なじみ２

俺等２人暫く無言やった。
回りで騒いどる奴等の声が耳障りで仕方なかった。

『俺は真剣に話とるんやぞ。だからお前も本気で答えろや、嘘付かずに。』
『･･･』
『･･･』

裕樹はかなりためらっとった様子やった。

けど、俺はちゃんと事実を確かめたい。

嘘付かれたりするのは嫌だ。

仲いい後輩が嫁に手ぇ出す理由ってのはなんや？

ちゃんと知りたい･･･

『すいません･･･』

謝るって事は、それが事実なんやんな･･･
イラッとしたもんでグラスをぶちまけてまった。
裕樹はビクッとして正座をしとった。

『マジなんや･･･？』
『はい･･･』
『何でそんなんするん？俺の嫁って分かっとるやろ？』
『分かってます･･･』
『だったら何でそんなんするんじゃ！』
『すいません･･･』

『謝って済むと思っとんの？お前俺等の仲をどうしたいんや？未知とヤってお前は一体何がしたいん？』
『･･･』
『俺と未知が離婚したらお前のせいやぞ。俺はお前から慰謝料取ったり出来るんやからな。』
『はい･･･』
『はいってお前なめとんのか？』
『そんなんじゃないです！』

『殴っていいか？』
『はい･･･』

殴っていいかと聞いた時、俺は昔の事を思い出した。
あれは確か、未知と裕樹が付き合っとるって知っときながら、俺は裕樹に未知が好きって伝えた時やったな･･･

その当時の事が俺と裕樹が逆になっただけか･･･
すげー殴りたかった。
けど殴った所ですっきりせんと思った。
浮気された事実は、これから先もずっと、俺に着いて回るんやからな･･･

『お前が昔俺に言った事覚えとる？』
『･･･何ですか？』
『それと俺は同じ気持ちやわ。』
『･･･』
『すげー腹立つしボコボコにしてやりたいけど、俺はお前の事大事な後輩やって思っとる･･･やからそんな事したくねぇわ･･･！』

『･･･』
『やけど何で未知なん？もっと他におるやろ･･･何で未知なんやて･･･』
『すいません･･･』

普通、嫁と連れが浮気をしとったら怒り狂うもんなんやろうか？

そんな気力もなかった。
ただ悲しくてさ･･･
必死で涙を堪えるだけやった。

『お前未知の事どう思っとんの？好きとか嫌いとか普通とかあるやろ。』
『･･･』
『答えろて。』
『･･･別に、何も･･･』