禁断って何?
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#571 [シバ]
後ろから声がする。
振り向くと、黒い大きな椅子に、だらんともたれかかって座っている理彩ちゃんがいた。
理彩ちゃんは、自分の事を『リィ』と呼んでいる。
首にはカラフルなタオルをかけていた。
「ね、シバ!リィにも何か買って♪」
「いいけど…試合終わったんですか?」
「さっき終わった!もうすぐ由香の試合だよ♪」
:10/08/03 22:14 :F02B :8mVFIB7c
#572 [シバ]
ピョンっと椅子から飛び降りて、ニコニコしながらシバの方に近付いてくる。
その様子は、まるで幼い子供のよう…
「炭酸炭酸〜!試合中は甘ったるいポカリしか飲めないから、今ガンガン飲みたい気分♪」
シバは自分のサイダーを買って、理彩ちゃんの分の小銭を入れた。
「どうしよっかな〜…ペプシも飲みたいけど、やっぱコカ・コーラだね」
:10/08/03 22:19 :F02B :8mVFIB7c
#573 [シバ]
勢いよくボタンを押して、コーラを取り出した。
「ありがとうシバ♪座って一緒に飲もう」
シバの手を引いて走り出す様子も、幼い子供のよう。
「シバが買ってくれた初めてのコーラだから大事に飲むよ♪」
そう言って勢いよくプシュっと開け、勢いよく飲みだした。
どう見ても、大事に飲んでるようには見えないけど…
:10/08/03 22:23 :F02B :8mVFIB7c
#574 [シバ]
「由香の試合一緒に見ようよ!リィのチームの人みんな帰るみたいだから、1人は寂しいよ…」
泣きそうな顔を作る理彩ちゃん。
「別にいいですよ」
「ってかさぁ、敬語とか遣わなくていいよ!リィなんかに敬語遣ったってリィ、先輩に見えないでしょ?」
「確かに…でも、先輩は先輩だから」
「あ〜、そんなん全然気にしなくていいよ」
:10/08/03 22:27 :F02B :8mVFIB7c
#575 [シバ]
「はぁ…」
「あと、理彩ちゃんじゃなくて『リィ』でいいよ!ってか、そう呼んで♪理彩ちゃんって呼ぶ人ほとんどいないし」
「はぁ…」
圧倒された。
何に圧倒されたかというと、理彩ちゃんという人間の人柄。
よく分かんないけど、すべてが圧倒的だった。
顔は可愛いけど、多少怖そうなイメージがあった。
:10/08/03 22:31 :F02B :8mVFIB7c
#576 [シバ]
そんな人が、こんな子供みたいな笑顔を見せるなんて…
人間、見た目だけじゃ分からないってもんだ。
2人でしばらくまったりしていると、由香ちゃん達が体育館に入っていった。
「あ、ゆーちゃん!」
「シバ〜!来てたんだ♪また後でゆっくり話そ!」
ゆーちゃんが行ってしまうと、隣から強烈な視線を感じた。
:10/08/03 22:35 :F02B :8mVFIB7c
#577 [シバ]
「ホント仲良しだね、あんた達(笑)由香が来た瞬間、シバめっちゃ嬉しそうだったね」
「そうかな?」
「由香も由香で、リィの前でよくシバの話するんだよ」
「へぇ」
「なんかいいね。仲良し姉妹かぁ」
ダラダラ話しながら、体育館へと入った。
:10/08/03 22:39 :F02B :8mVFIB7c
#578 [シバ]
久しぶりに見るゆーちゃんのバスケ姿。
最近は仕事が忙しくて、ほとんど練習出来ていなかったらしい。
そのせいか、終盤で足が吊り、途中退場となってしまった。
その姿を見た理彩ちゃんは、隣で大爆笑。
「足吊ってるし。無理しすぎ(笑)」
ゆーちゃん大好きなシバだから、普通はこんな場面で爆笑する奴を見たら「何だコノヤロー」とか思ってしまう。
:10/08/03 22:44 :F02B :8mVFIB7c
#579 [シバ]
だけど、シバは知っている。
高校時代、由香ちゃん・シバのチームがAコート、理彩ちゃんのチームがBコートで試合をしていた時の事…
絶好調だった由香ちゃんが、突然膝を抱えて倒れ込んだ。
その姿を見ていたのか理彩ちゃんは、自分達も試合中だったにも関わらず、Aコートに走ってきて由香ちゃんに駆け寄ったのだ。
これには会場も騒然となった。
:10/08/03 22:51 :F02B :8mVFIB7c
#580 [シバ]
一番に駆け寄ってきたのが、隣で試合中の4番を着たキャプテンだったからだ。
シバはその姿をはっきりと覚えている。
怪我を負ったキャプテンに、別のチームのキャプテンが試合中に駆け寄ってくる…
病院に運ばれたゆーちゃんだったけど、軽い怪我で済んだようだ。
体育館に戻ってきたゆーちゃんに、一番に駆け寄ってきたのはやっぱり理彩ちゃんで、ゆーちゃんを見るなり泣きながら抱きついたのだ。
:10/08/03 22:56 :F02B :8mVFIB7c
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