禁断って何?
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#1 [シバ]
題名通りです。
シバ(♀)が経験した恋愛語ります。

シバは本名(名前)じゃないですが、名字にシバがつくんで&シバって呼ばれてるんで『シバ』で書いていきます。

荒らし、冷やかし、中傷はしないでください。

⏰:09/12/16 00:59 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#2 [シバ]
自己紹介させて頂きます。

シバ…現在21歳です。♀です。
今まで付き合った人数は2:2です。
見方は♂:♀です。


題名から分かると思いますが、自分…バイセクシュアルです。
つまり、男も女も好きになるっていう奴です。

へぇ〜→2割
キモい→8割
第三者から見て、こうやって分かれると思います。

⏰:09/12/16 01:05 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#3 [シバ]
最初は人に言えませんでした。

『女と付き合うとか、自分おかしいんだ…』

とか思って、自殺まで考えたことがあります。



でも、今はそういう話聞いてくれる人がいます。だから今、こうやって小説を書けるんだと思います。
こういう奴もいるんだ!って分かって頂けたら幸いです。

⏰:09/12/16 01:09 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#4 [シバ]
そういうワケで、話進めていきます。

この手の話苦手とか、キモいとか思われる人は見ないでください。
でも、興味本位で見ることは大歓迎です(笑)


ただ、中傷とかはしないで欲しいです。
完結目指して頑張ります。

⏰:09/12/16 01:13 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#5 [我輩は匿名である]
頑張れ

⏰:09/12/16 01:15 📱:P01A 🆔:iPMIoHCY


#6 [シバ]
小学校時代…

シバは普通の女の子だった。
でも、スカートを履いたのは入学式の時だけ…

男子と外で遊ぶことが大好きだった。
ドッジボールしたり、サッカーしたり、鬼ごっこしたり…

もちろん女子とも遊ぶことは多かった。

⏰:09/12/16 01:17 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#7 [シバ]
>>5
匿名さん

ありがとうございます元気出ました(笑)


(続き)
低学年の時は、とにかく楽しかったことの記憶しかない。
男女問わずみんな仲良しで、休み時間になるとクラス全員が外に出て一緒に遊んでた。

⏰:09/12/16 01:21 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#8 [シバ]
シバは今現在、根っからの体育会系です。
たぶんガキンチョの頃からわんぱく少女だった為、今に至るのでしょう。

春夏秋冬関係なく、外で遊んでた。
春夏秋冬関係なく、外でワーワー走り回って汗かきまくって茹でダコみたいになってニヤニヤしてた。

ニヤニヤしてた記憶があるってことは、きっとその瞬間を目一杯楽しんでいたんでしょう。

⏰:09/12/16 01:26 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#9 [シバ]
高学年に上がった!


休み時間…
あれ…?
女子、外行かないの?

ボールを持ったまま、シバは廊下に突っ立って教室を見渡した。

「ねぇ、ゆかり達外行かないの?ケイ君達もう先に行っちゃったよ!」

ゆかりは当時、仲の良かった友達。
ケイ君は当時、クラスのボス的存在だった男子。

⏰:09/12/16 01:32 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#10 [シバ]
ゆかりは微笑んだ。

「シバ外行くの?外寒いよ〜(笑)」

そう言うと、他の女子と戯れながら本を読んでいた。

確かに外は寒かった!
雪降ってるし、風強いなんてもんじゃないし…
しかも、そんな季節なのに長袖1枚しか着てないワタクシ…
他の女の子達は、クマさんみたいにモコモコ厚着してるのに…

⏰:09/12/16 01:37 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#11 [シバ]
シバのモットー…薄着で生活すること!
だって、厚着しちゃうと脇らへんがゴワゴワして気持ち悪いじゃないですか!
しかも動きづらいし…

だから、どんなに寒くても薄着でうろちょろしてました。


男子は半袖外でワーワー走り回ってるのに、女子はクマさんになって教室でまったり…

⏰:09/12/16 01:40 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#12 [シバ]
仕方なく男子19人の中に、女1人で混ざってドッジボールやってた。

休み時間が終わってクラスに戻ると、クマさん組はヒソヒソ話…

一瞬聞こえたのが、

「シバ、絶対ケイ君のこと好きだよ(笑)だって、寒いのにわざわざ女の子1人で男子と遊ぶとか考えられないじゃん(笑)」

っていう話…

⏰:09/12/16 01:47 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#13 [シバ]
あ?
こっちは外で遊びてぇ年頃なんだよ!
ガキのくせに室内で厚着して、ペチャクチャペチャクチャ喋ってるお前らは近所のババアかコラ!


そう思ったけど、口には出さず席についた。
シバの机には、相合い傘が描かれていた。

相手はケイ君…

⏰:09/12/16 01:52 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#14 [シバ]
誰が書いたかは、すぐに分かった。
仲良しのハズだったゆかりだ…
ゆかりは小学生のクセに、めちゃくちゃ綺麗な字を書く。
だからすぐに分かった。

ゆかりはニヤニヤしながら消しゴムを渡してきた。

「シバ可哀想(笑)ほら、あたしの消しゴム使っていいよ」
偽善バレバレ。

⏰:09/12/16 01:57 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#15 [シバ]
「ありがと」

そう言って、ゆかりの目の前で落書きを消す作業に入った。
ギャラリーも集まってきた。
ゆかりはニヤニヤしながらそれを見ていた。


シバは思いっきり消しゴムを上下させた。
消しゴムが破壊して、みるみる小さくなっていくじゃありませんか!!

⏰:09/12/16 01:59 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#16 [シバ]
「あぁー!」

ゆかりは叫んだ。
1p弱になった消しゴムをゆかりに差し出した。ゆかりは泣いた。
泣いて茹でダコみたいに顔が赤くなった。

「先生に言うからぁ!」

ゆかりの言葉の後に、
「シバひっどーい!」
「ゆかりに謝りなよ!」

ああ、はいはい。

⏰:09/12/16 02:03 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#17 [シバ]
んで、この後は先生に目一杯怒られるんですけど、どうでもいいっすそんなもん…

女ってダルい…
この時、初めてそう思いました。

中学に上がる前に、ゆかりは転校した。
シバのクラスは、なんとなく明るくなった。
なぜなら、クラスの女ボスはゆかりだったから…
この前までゆかりにペコペコしてた連中も、シバちゃんシバちゃんって…

⏰:09/12/16 02:07 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#18 [シバ]
出た出た…
女特有の偽善的行動。


どうでもいいけど、中学校って制服じゃん…
あら、シバもスカート履かないとダメ…ですよねー?
あらあら、足下スースーして気持ち悪いんですけど…

シバのスカート姿に、小学校時代のシバを知る人は仰天していた。

⏰:09/12/16 02:11 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#19 [シバ]
そんなシバは、バスケ部に入部した。
まさに体育会系ですね。シバの中学のバスケ部は、県内で常に上位にいた。
監督はスパルタウーマン…
シバは常に、スパルタウーマンから怒られーの、殴られーのしてた。

強いチームによくある話。
今となっては、『あんなこともあったね(笑)』なんて話ながらスパルタウーマンと酒飲めるようになりました。

⏰:09/12/16 02:21 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#20 [シバ]
当時、女子バスケ部は周りからリスペクトされていた。

「先生怖いのに、女バスって凄いね〜♪」

何が凄いのかよく分かんないけど、とりあえず崇められるのは別にいっか♪とか思ってた。


そんな体育会系のシバだったけど、中2にもなると地味に乙女になってた。

⏰:09/12/16 02:25 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#21 [シバ]
周りは彼氏彼女が出来だして、シバはヒューヒュー♪とか言ってその場を盛り上げる役になっていた。

ヒューヒュー言えば言うほど虚しくなってくる。
あ〜、虚しい…

バスケット三昧の生活なんて嫌だ!
シバも彼氏欲しい!
一緒に登下校したい!
周りからヒューヒュー言われたい!

⏰:09/12/16 02:29 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#22 [シバ]
テスト休みの日…
忘れもしない。
まだ温かい風が吹いてる季節…



「柴崎さん!(シバの名字)」

名前呼ばれて振り返った。
陸上部のエース、楢木秀平(仮名)だった。

靴を履いて、慌てて走ってきた。

「楢木君じゃん。久しぶりだね」

⏰:09/12/16 02:36 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#23 [シバ]
楢木秀平は、同じ小学校だったけどクラスが一緒になることはなかった。

運動会のライバルとして、なぜか知ってた。

楢木は学年で一番足が早い(男子部門)、シバは学年で一番足が早い(女子部門)ってことを知ってるくらいで…


「女バス毎日忙しいからさぁ。今、大丈夫?」

⏰:09/12/16 02:40 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#24 [シバ]
「うん。今から帰るとこだよ♪一緒帰る?」

ニヤリとしたつもりだったけど、楢木は茹でダコ未満レベルに顔が真っ赤になった。

「柴崎さんって…可愛い…よね♪」

「はぁ?」

モジモジしてる楢木にイラッときた。

「何が言いたいの?」

⏰:09/12/16 02:44 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#25 [シバ]
普通の女の子だったら素直に喜ぶ言葉だ。

でも、シバは変な所でひねくれてるのか知らないけど、可愛いと言われてイラッときた。
実際女の子らしい容姿じゃないから、お世辞もいい所だわ…

楢木のモジモジは最高潮に達した。

「あのさ、俺…柴崎さんのこと、ずっと好きだったんだよね」

⏰:09/12/16 02:48 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#26 [シバ]
「え?///////」

好き…?
シバのこと好きなの?
うっそ…
ホントに?
え〜?
でも、シバとか…
え〜?
マジで?


ひねくれ者の自分だけど、好きとか言われたのは初めて!
シバは照れくさいやら恥ずかしいやらで、モジモジしてしまった。

お互いモジったまま、しばらく沈黙が続いた。

⏰:09/12/16 02:52 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#27 [シバ]
可愛いはお世辞にしても、「好き」というストレートな言葉が嬉しかった。

顔が赤くなってることは、自分でも分かった。
茹でダコとは違った赤らみだったと思う。

「俺と付き合ってくれない?」

「はい!」

恥ずかしながら、ノリで即答してしまった。

⏰:09/12/16 15:09 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#28 [シバ]
楢木と付き合うことになった。
翌日、学校中が騒がしい…

シバが教室に入るなり、同じバスケ部やらバレー部やらハンド部やらサッカー部やら野球部やらの連中が飛びかかってきた。

「シバ彼氏できたの?」
「楢木でしょ?そうでしょ?」
「どっちから?」
「シバに彼氏とか、超ウケるんだけど(笑)」

⏰:09/12/16 15:13 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#29 [シバ]
びっくりして当然だと思う。

シバはショートカット一筋で生きてきた女だし、1日1回は、

「柴崎!股を閉じろ!」

って授業中に先生に怒られるくらいだし…

授業中に退屈を感じると、シバは足を開いてデーンと座るからだ。
無意識なんだけどなぁ…

⏰:09/12/16 15:18 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#30 [シバ]
まぁ、とりあえず

「ヒューヒュー♪」

と言われる立場になったワケだ。


いざ周りからヒューヒュー言われると、照れくさいし恥ずかしい。
…けど地味に嬉しい(笑)

廊下で楢木とすれ違う時は、お互いニヤニーヤ。

⏰:09/12/16 15:22 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#31 [シバ]
楢木秀平…

みんなからはナラッキーって呼ばれてる。
中学に上がってから身長がグーンと伸びて、180近くある。
陸上部のエースで、細マッチョboy。

顔はタイプじゃないけど、全体的にはかっこいいオーラが出てる。

それからは、楢木がものすごくカッコ良く見えた。
恋の力なのかな?

⏰:09/12/16 15:29 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#32 [シバ]
キャラ的に言えば、ワンピースのルフィみたいな奴でした。


でも、お互い部活が忙しくて2ヶ月で別れた。
楢木のことを、1度も『秀平』って呼んだことがなかった。

名前で呼び合うことがこの時の夢だったのに…

なんとまぁ、純粋な恋をしていたのだろうか。

⏰:09/12/16 15:34 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#33 [シバ]
中3になり、また彼氏ができた。
3年生は部活を引退してる時期だった。

男子バスケ部の原口宏哉(はらぐち ひろなり・仮名)

宏哉も身長が高い。楢木に比べればだいぶ厳つい体格だけど、かなり純粋で優しい男。

毎日一緒に下校したり、休み時間に話したり…
あ〜、ホント純粋な恋しかしてないなぁ…

⏰:09/12/16 17:59 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#34 [シバ]
宏哉とは6ヶ月付き合った。
キスもしなかった。
お互いそんなキャラじゃなかったから、仕方がない。


高校に上がった。
シバはまたバスケ部に入部した。
毎日がバスケ三昧…

これじゃあ、中学の時と変わらない生活…
いい加減、女らしく生きたいよ…

⏰:09/12/16 18:02 📱:F902iS 🆔:shz8Uqh.


#35 [シバ]
2年生になった…

自分で言うのもなんだけど、シバにモテ期が訪れた。

告られたりしたけど、なぜか興味が湧かなかった。
そのうちの2人は体の関係があった。
…でも、本当に好き!って思えなかったから、すぐに切った。
好きでもないのに付き合うとか、相手に悪いから…

⏰:09/12/17 00:15 📱:F902iS 🆔:f0gtwbQA


#36 [シバ]
そして3年目…


シバの中の何かが大きく変わる出来事が起こる…

バスケの遠征で、よその県に行くことがあった。かなり遠い道のりだった。

約1週間の合宿…
相手チームは、「やる気あんの?」って言いたくなるような態度の連中ばかりだった。
地味にチャラチャラしてた。

⏰:09/12/17 00:22 📱:F902iS 🆔:f0gtwbQA


#37 [シバ]
3日経ったある日…

「先輩、名前なんて言うんですか?」

相手チームの子に名前を聞かれた。

「え〜っと…」

「先輩のチームの人達みんなシバって呼んでるから、なんていう名前なのかな〜って思って♪」

「本名?柴崎だけど…」

⏰:09/12/17 00:25 📱:F902iS 🆔:f0gtwbQA


#38 [シバ]
その女の子は、ニッコリ笑った。
シバのことを『先輩』って呼ぶってことは、年下なのかな?


「じゃあ、アイリも先輩のこと『シバさん』って呼んでいいですか?」

「別にいいけど…ねぇ、何年生?」

「アイリですか?1年です」

⏰:09/12/17 00:28 📱:F902iS 🆔:f0gtwbQA


#39 [シバ]
1年生かぁ…若っ!


「アイリちゃんっていう名前なの?」

「はい!先輩もアイリのこと、『アイリ』って呼んでください♪」

「分かった(笑)じゃあ、アイリって呼ぶね」

「はい、やったぁ♪」

アイリと名乗った子は、走ってチームの輪の中に入っていった。

⏰:09/12/17 00:31 📱:F902iS 🆔:f0gtwbQA


#40 [シバ]
軽く見上げて話してた。シバよりも、少し目線が高かった。
シバが165pだから、アイリは170pはあったんじゃないかなぁ…

川田アイリ(仮名)…
なんかウサギみたいな子だった。
目が細くて、細身でスタイルよくて…
笑った顔が可愛い。

アイリと同学年の子達には、かなり懐かれた。

⏰:09/12/17 00:38 📱:F902iS 🆔:f0gtwbQA


#41 [シバ]
ご飯食べてる時も、よく目が合った。
その都度アイリは変顔したり、ニッコリ笑っていた。

練習中もアイリは傍にいた。

ミーティング後に廊下をウロウロしていると、アイリに捕まって2人になっていろいろ話してた。

そしてお互いの部屋に戻る。
これの繰り返し。

⏰:09/12/17 00:41 📱:F902iS 🆔:f0gtwbQA


#42 [シバ]
部屋に戻ると、仲良しの真希に聞かれた。

「シバ、またあの女の子と話してたの?」

「うん、また捕まっちゃってさ(笑)」

「あんた好かれてるね」

「どうかな?なんか同レベルって思ってるんじゃないかな?(笑)」

「ふ〜ん…あんたら、デキてんの?」

⏰:09/12/17 00:45 📱:F902iS 🆔:f0gtwbQA


#43 [シバ]
シバは歯ブラシを落とした。

「なんでそうなる?(笑)」

「だってさぁ、いつも一緒じゃん(笑)」

「懐いてくれたみたいだしね(笑)別にこの時間暇だし」

「なぁ〜んだ!そうなんだ」

「そりゃあ、そうだよ。バーカ(笑)」

⏰:09/12/17 00:48 📱:F902iS 🆔:f0gtwbQA


#44 [シバ]
「ごめんごめん(笑)あ、シバ歯みがきでしょ?一緒行こうよ♪」


ってなワケでこの日は就寝…


翌日昼休み…

「シバさん!食堂一緒行きましょうよ♪」

着替えを済ませたアイリが走ってきた。

⏰:09/12/17 00:51 📱:F902iS 🆔:f0gtwbQA


#45 [シバ]
「えっと、アイリちゃんだっけ?」

隣にいた真希が聞く。

「はい!川田アイリっていいます♪」

「アイリちゃんね♪シバ、一緒行ってあげなよ(笑)」

真希はシバの背中をグイッと押した。

「真希も一緒に行こうよ」

⏰:09/12/17 00:54 📱:F902iS 🆔:f0gtwbQA


#46 [シバ]
「あたしはいいよ。お邪魔だからさ(笑)ね、アイリちゃん(笑)」

「はい!そうですね♪」

真希の表情が強張った。あわわわ…

小声で真希に『ごめん』と言い、アイリとシバは食堂へ向かうことになった。

「シバさん達、あと2日で帰っちゃうんですね」

⏰:09/12/17 00:58 📱:F902iS 🆔:f0gtwbQA


#47 [シバ]
アイリはボソッと呟いた。

「そうだね」

「アイリも一緒に帰ろっかな♪」

「はいはい(笑)できるもんならね」

「シバさん、アイリと離れるの寂しいでしょ(笑)」

「うん、寂しい(棒読み)」

⏰:09/12/17 01:01 📱:F902iS 🆔:f0gtwbQA


#48 [シバ]
「うわ〜、素直じゃないっすね」

「まぁね(笑)」

「…アイリ、柴崎アイリになろうかな…」

「……な〜に言ってんの(笑)」

シバは引きつってた。

「そしたら、ずっと一緒にいれるじゃないですか」

⏰:09/12/17 01:04 📱:F902iS 🆔:f0gtwbQA


#49 [シバ]
?マークを頭に浮かべながら、アイリを見た。

さっきのヘラヘラしてたアイリとは打って変わって真顔だった。

昨日、真希に言われた言葉を思いだした…

『あんたらデキてんの?』


…違う!
シバはそんなんじゃない!

⏰:09/12/17 01:10 📱:F902iS 🆔:f0gtwbQA


#50 [シバ]
しかも、よく考えてみろ!
年下のイタリアンジョークかもしれないじゃん!

もしくはその場のノリ…
いや、アメリカンジョークか?
そんなんどっちでもいいわ!
ってか、イタリアンジョークとアメリカンジョークの違いって何なんだろう?
パスタと缶コーヒー?

⏰:09/12/17 01:13 📱:F902iS 🆔:f0gtwbQA


#51 [シバ]
「シバさん!!」

ハッとして我に返った。

「ああ、何?」

「何ボーっとしてるんですか(笑)」

「別に(笑)考え事」

「そう?アイリの事?」


「別に(笑)違うことだよ」

⏰:09/12/17 01:17 📱:F902iS 🆔:f0gtwbQA


#52 [シバ]
頭ポリポリ掻いて、顔を上げた。

アイリの顔が近かった。
びっくりして、そのまま動けずにアイリの目を見ていた。


「シバさん、綺麗な顔してますね。カッコいい」

そんなことを言いながら、アイリは相変わらず真顔のままだ。

⏰:09/12/17 01:33 📱:F902iS 🆔:f0gtwbQA


#53 [シバ]
アイリはニヤリと笑った。

そして離れた。


「あ〜…おかしくなる!」

びっくりしていたシバは何も話せない。

「ねぇ、シバさん」

「…あ、何?パスタ?」

「パスタ?今日の昼ですか?(笑)」

⏰:09/12/17 01:38 📱:F902iS 🆔:f0gtwbQA


#54 [シバ]
さっきのイタリアンが尾を引いて、トンチンカンなことを言ってしまった。

「ごめん、ボーっとしてた(笑)食堂行こう」

そして食堂についた。
ご飯食べてても、頻繁にアイリと目が合う。


アイリこっち見過ぎだろ(笑)
でも、目が合うってことはシバも意識して見てしまってるってことだよなぁ?

⏰:09/12/17 01:41 📱:F902iS 🆔:f0gtwbQA


#55 [シバ]
午後からの練習では、目線がアイリに釘付けだった。

さっきまで意識してなかったから気付かなかったけど…

アイリ、バスケ上手い…足も速いし、運動能力が高い。
よく跳ぶ!
細身で背が高いから、少しダボッとした練習着がよく似合う。

無意識にアイリを目で追ってる自分がいる…

⏰:09/12/18 01:18 📱:F902iS 🆔:/uKtv91k


#56 [シバ]
ヘラヘラしてたアイリは、練習中はまったく別の人だった。
だから目が合ってもニッコリ…なんてしなかった。

だからシバの頭をよぎったのが、

『こいつ、たぶんシバのこと本気じゃねーな(笑)』

だった。
本当に好きなら、どんな場面でも好き好きアピールをするはずだから…

⏰:09/12/18 01:22 📱:F902iS 🆔:/uKtv91k


#57 [シバ]
シバの経験上、シバ自身が彼氏(好きな人)に好き好きアピールしまくりだったから、アイリと自分を比べていたんだ…


同じ女なんだから、そんな感情あるはずがない!ただ、シバさんシバさんって来てくれて、先輩として好いてくれてるんだ!

そう思ってた。

そして、その日の夜…

⏰:09/12/18 01:26 📱:F902iS 🆔:/uKtv91k


#58 [シバ]
明日でアイリ達とお別れだ。

シバは、アイリのチームの3年生とも仲良くなっていたから、お互いの連絡先を交換したり、『手紙書くからね』みたいなこと話してた。
遠征が終わることにホッとしたような、お別れでジーンと寂しさを感じるような、よく分からない気持ちでいた。

アイリは、シバのチームの1年生とワーワー騒いでいた。

⏰:09/12/18 01:33 📱:F902iS 🆔:/uKtv91k


#59 [シバ]
ほ〜らね…
アイリはやっぱり本気じゃない!

ってか、シバ1人で何勘違いしてたんだろう(笑)

そう思いながら、1人で外に出た。
シバは、夜風に当たって1人でたそがれていた。

よその学校に寝泊まりするのも、たまにはいいなぁ…
おかげで友達もいっぱいできたしね…

⏰:09/12/18 01:38 📱:F902iS 🆔:/uKtv91k


#60 [シバ]
ハミガキを終えて、歯ブラシをしまった。



「シ〜バさん(笑)」

振り向くと、そばにアイリが立っていた。
ビックリした。
…でも、なんか嬉しかった。

「もう寝ますか?」

「そうだね。明日また早いし、そろそろ…」

⏰:09/12/18 01:41 📱:F902iS 🆔:/uKtv91k


#61 [シバ]
「え〜?アイリまだ眠くないのにぃ…」

「コラ!ちゃんと寝ないと先輩に怒られるよ(笑)」

「うちの先輩、その辺テキトーっすよ。ってか、別に怒られてもいいし」

おいおい…

「シバさん、ちょっと話しません?」

「眠い(笑)」

⏰:09/12/18 01:45 📱:F902iS 🆔:/uKtv91k


#62 [シバ]
「またそんなこと言う!だって、明日にはもうお別れなんですよ?ちゃんと寝ます!寝ますから、ちょっとだけ話しましょうよ」

涙目で訴えられちゃあ、こっちも弱い。

「分かった分かった!何も泣くことないでしょ(笑)」

「マジですか?じゃあ…うちらの部室行きましょう♪」

⏰:09/12/18 01:49 📱:F902iS 🆔:/uKtv91k


#63 [シバ]
宿泊所から少し離れた場所に、部室はあった。

コンクリート造りの狭い部屋…
アイリは地面に散らかってたテーピングのゴミや空っぽのペットボトルを壁側に蹴っ飛ばした。

「汚い部室(笑)」

「そうですかぁ?一応掃除はしてるんですよ♪アイリはまだ掃除したことないけど(笑)めんどくさいし」

⏰:09/12/21 01:41 📱:F902iS 🆔:bQ5XhAtA


#64 [シバ]
「うちらが1年の時は先輩達にみっちりと掃除させられたよ(笑)」

「めんどくさいっすね(笑)」

「まぁね」


…しばらく沈黙が続いた。
シバは部室の椅子に腰掛けた。

「次はいつ会えると思います?」

⏰:09/12/21 01:44 📱:F902iS 🆔:bQ5XhAtA


#65 [シバ]
突っ立っているアイリを見上げた。

「実際、なかなか会える距離じゃないですよね…合宿って言っても、そうあるモンじゃないし…」


「そうねー…来年とか?じゃないかなぁ」

「来年って…シバさんはもういないじゃないですか(笑)」

⏰:09/12/21 01:47 📱:F902iS 🆔:bQ5XhAtA


#66 [シバ]
「…まぁね」

なんでだろう…
なんか寂しい…
明日帰る!ってリミットが近づいてくればくるほど、寂しさが増していく。
まぁ、『楽しかった』で締めくくれればいっか!


「明日なんて来なきゃいいのに…」

⏰:09/12/21 01:51 📱:F902iS 🆔:bQ5XhAtA


#67 [シバ]
アイリがぼそりと呟いた。

…そんなこと言うなよ!
せっかく気持ち切り替えれたのに…

「アイリ…やっぱりシバさんと一緒にいたい!」


真剣な表情のアイリをジッと見た。
バスケの時しか見せない表情だ。

⏰:09/12/21 01:55 📱:F902iS 🆔:bQ5XhAtA


#68 [シバ]
とりあえず作り笑いを演じてみた。
んで地面を見つめた。




ガッ!と顔を掴まれた…ビックリして顔を上げた…

アイリはなんの迷いもなく、キスしてきた。
何が起こったのか分からない…
しばらくボンヤリしてた。

⏰:09/12/21 01:59 📱:F902iS 🆔:bQ5XhAtA


#69 [シバ]
シバの唇が地味に濡れた。

どんだけの勢いでキスすんだよ…
ってか、何キスしてんだよ…


アイリはニヤリと笑った。

「チューしちゃった(笑)」

「いやいや!何してんの…」

⏰:09/12/21 02:02 📱:F902iS 🆔:bQ5XhAtA


#70 [シバ]
「嫌ですか?」


…嫌じゃない。
なんなんだ?
この気持ちは…
めちゃくちゃドキドキしてる…


「…嫌に決まってんじゃん」

「じゃあ、なんでよけなかったんですか?」

⏰:09/12/21 02:04 📱:F902iS 🆔:bQ5XhAtA


#71 [シバ]
「…分かんない。固定されたし…」

「固定しても、シバさんの馬鹿力と瞬発力ならよけれたハズですよ(笑)」


顔が熱い!
こんな気持ち初めてだ!

「シバさん、顔真っ赤(笑)」

⏰:09/12/21 02:07 📱:F902iS 🆔:bQ5XhAtA


#72 [シバ]
「アイリはさ、何がしたいの?」

恥ずかしさで口が勝手に回る。

「何がしたいって?何が?」

「なんでキスしたの?」

「え?なんでって…キスしたかったから」


曖昧な答えにイラッときた…

⏰:09/12/21 02:10 📱:F902iS 🆔:bQ5XhAtA


#73 [シバ]
「好きな人とキスしちゃダメなんですか?」

「好きな人って…アイリ、シバのこと好きなの?」

「好きですよ!だから、会った時からずっと伝えてるじゃないですか!」

「なんで好きなの?」

「知りませんよ!好きなモンは好きなんですから」

⏰:09/12/21 02:15 📱:F902iS 🆔:bQ5XhAtA


#74 [シバ]
「だって…女同士だよ?シバもアイリも…」

「分かってますよ。だから何ですか?」

「いや、だから…」

「同じ人間同士じゃないですか。人を好きになって何が悪いんですか?」

「いや…アイリは彼氏とかいないの?」

⏰:09/12/21 02:19 📱:F902iS 🆔:bQ5XhAtA


#75 [シバ]
「シバさんの言うその彼氏って、絶対に男じゃないといけないんですか?」

「そんなことは言ってないじゃん!ただ、彼氏いないのかなー?って思って」

「…いませんよ。でも、好きな人はいます」

「それならいいんだけどさ」

⏰:09/12/21 02:22 📱:F902iS 🆔:bQ5XhAtA


#76 [シバ]
「どんだけ分かってないんですか……だから、アイリの好きな人はシバさんなんです!」

「女としてシバを好きなん?それとも…」

「…人として好きです」


「それなら普通の先輩後輩でいいじゃん。友達でもいいし」

⏰:09/12/21 02:25 📱:F902iS 🆔:bQ5XhAtA


#77 [シバ]
「アイリだけの物でいてほしい…」

「は?」

「シバさんには分かんない!アイリがどれだけヤキモチ妬いてるのか」

「…ヤキモチ?妬く必要あるの?」

「だからシバさんには分かんないんですって…アイリ側の立場を経験してないから」

⏰:09/12/21 02:29 📱:F902iS 🆔:bQ5XhAtA


#78 [シバ]
「うん…ごめん」


「アイリ、今まで女の人にこんな気持ち抱いたことないんです…だから正直言って、アイリもテンパってます。ってか、テンパってました。でも、時間は待ってくれないから…明日にはシバさんと離れ離れになっちゃうから、気持ちだけは伝えないと!って思って…」


アイリはうつむいた。
こんなこと、シバも初めてだ…

⏰:09/12/21 02:34 📱:F902iS 🆔:bQ5XhAtA


#79 [シバ]
シバにはアイリの気持ちが理解できなかった。

偏見とかじゃなくて、なんでシバなの?っていう気持ちの方が強かった。

「アイリと付き合ってください」

率直だ!
率直すぎる…

「…………」

シバは返事に困って、しばらく黙り込んだ。

⏰:09/12/24 00:52 📱:F902iS 🆔:mAaZR0zs


#80 [シバ]
「アイリ…ごめん!」


アイリの目を見れない…アイリはシバの方をずっと見ていたっぽい。

「やっぱり、アイリは後輩にしか見れないよ」

シバの精一杯の答えだった。
アイリがどう受け止めるか…


「…分かりました」

⏰:09/12/24 00:56 📱:F902iS 🆔:mAaZR0zs


#81 [シバ]
アイリは何もしゃべらず、部室を出た。

シバはアイリの後ろ姿を見ていた。
何か喋ってくれるだろうって期待しながら…


足音が遠ざかっていった。
アイリは宿泊所に戻っていったみたいだ。

さっきの出来事で心臓を動かしまくったシバは、ボンヤリと椅子に座ったままでいた。

⏰:09/12/24 01:06 📱:F902iS 🆔:mAaZR0zs


#82 [シバ]
翌日…

チームメイトの輪の中に、元気な笑顔を振りまくアイリがいた。
ホッとした…

けど、目が合ってもアイリは目をそらす。

その度に、心が痛んだ。意を決して告白してくれたアイリに対して、申し訳ない気持ちと動揺がシバの中でグルグル回ってる。

⏰:09/12/24 01:10 📱:F902iS 🆔:mAaZR0zs


#83 [シバ]
合宿終了…

帰りのバスが到着した。荷物を積んで、相手チームにバイバイとか言いながら1人ずつバスに乗っていく。

シバがバスの入口に立った。
…腕を掴まれた。

「?!」

振り向くと、無表情のアイリが立っていた。

⏰:09/12/24 01:13 📱:F902iS 🆔:mAaZR0zs


#84 [シバ]
「…元気でね(笑)」

精一杯の笑顔をアイリに見せた(つもりだ)。

何かを渡された。

グッシャグシャになった紙だ…

「後で見てください」


アイリの頭をポンポンと軽く叩いて、シバはバスに乗った。

⏰:09/12/24 01:16 📱:F902iS 🆔:mAaZR0zs


#85 [シバ]
席に着いて外を見た。

アイリ泣いてるし…
アイリごめんね…


バスが出発して、校門を出た。
アイリが小さくなっていく…

角を曲がって全く見えなくなった。

さっきアイリから渡された紙を広げる…

⏰:09/12/24 01:20 📱:F902iS 🆔:mAaZR0zs


#86 [シバ]
アドレスと番号が書かれていた。
うちのバスケ部はケータイ禁止だったから、メールはできない…

電話してくれっていう意味なのか…?


「シバ!明日一緒にプリクラ撮り行こ♪」

後ろに座っていた真紀だ。
「なんでプリクラ?」
「合宿お疲れ様〜の意味をこめて(笑)」

⏰:09/12/24 01:24 📱:F902iS 🆔:mAaZR0zs


#87 [シバ]
地元に帰ってきた。
一週間の合宿は、とにかく疲れた。

家に帰りつくなり、爆睡してしまった。

それから1日1日、あっという間に過ぎていった。



1ヶ月経った頃…
同じバスケ部の男子に告られた。

⏰:09/12/24 01:29 📱:F902iS 🆔:mAaZR0zs


#88 [シバ]
シバも恋がしたかったから、この告白は嬉しかった。



…ハズだった。
でも、なんかモヤモヤする。
ときめかない…
嫌だ…

何、この気持ち…


「柴崎?」

⏰:09/12/24 01:33 📱:F902iS 🆔:mAaZR0zs


#89 [シバ]
ハッと顔を上げる。
告白してきた男子が笑っていた。

「えっと…俺のこと嫌いかな?」

嫌いじゃない!
彼はバスケ部の中でも、かなりの努力家で頑張り屋で、爽やかで…



でも、何だろう…
好きになれない!
直感でそう思った。

⏰:09/12/24 01:38 📱:F902iS 🆔:mAaZR0zs


#90 [シバ]
「ごめんなさい」

彼はビックリした顔を見せた。

「え?え?嘘だろ(笑)」

「付き合えない…ごめん」


シバは走って教室に戻った。
机に顔を伏せた。

なんか変だ!
何このモヤモヤ…

⏰:09/12/24 01:42 📱:F902iS 🆔:mAaZR0zs


#91 [シバ]
「シバ!」

真紀がシバの机の前に現れた。

「ヤス(さっきの彼)に告られたでしょ?今」

「…うん」

「なんでフッたの?」

どうやら真紀はヤスから相談を受けていたらしい…

「…好きになれない」

⏰:09/12/24 01:46 📱:F902iS 🆔:mAaZR0zs


#92 [シバ]
「なんで?(笑)付き合ってみないと分かんないじゃん!シバ、てっきりOKしてくれると思ってたし」


だからさっき、ヤスも動揺してたんだ。

なんで?って言われても…
こっちが聞きたいよ!
何これ…
モヤモヤする…
どうしちゃったんだろ…

⏰:09/12/24 01:50 📱:F902iS 🆔:mAaZR0zs


#93 [シバ]
ただ1つだけドキドキすることがある。

ヤスの告白から数日後に気付いた…




アイリだ…
アイリのことを思い出すだけで、顔が熱くなるのが分かった。
アイリの名前を聞くだけで胸がドキドキしている。

⏰:09/12/24 01:55 📱:F902iS 🆔:mAaZR0zs


#94 [シバ]
意味が分からない。
なんでドキドキしないといけない?

普通に生活していく中で、何か寂しさを感じるようになった。

そう…
アイリがいないから…

すぐに分かった。
ドキドキの原因はアイリ…
ヤスの告白を拒否ってしまった理由も、アイリの存在があったから…

⏰:09/12/24 02:00 📱:F902iS 🆔:mAaZR0zs


#95 [シバ]
アイリ…
連絡先は知ってるのに、あの合宿以来まったく連絡を取ってない。

だって、何を話せばいいか分からなかったから…

しかもケータイ持ってないし…


アイリ、今何してんだろ…
普通に授業受けてんのかな?
サボったりしてないかな?

⏰:09/12/24 02:24 📱:F902iS 🆔:mAaZR0zs


#96 [シバ]
とりあえずアイリと連絡を取りたい!


親のケータイを使ってメールすることも考えた。
だけど、

「バスケ部はケータイダメなんでしょ?あんた1人だけケータイOKとか許されないよ!だからダメ!」

断固として拒否られた。正論を言われ、結局はメールをすることをあきらめた。

⏰:09/12/27 02:59 📱:F902iS 🆔:GoN1dN4k


#97 [シバ]
家の電話なら大丈夫だろう!

そう思ったけど、よく考えたら親には聞かれたくない内容ばかりだ。

しかもシバの場合、大抵2〜3時間は余裕で話す。
だから電話代がバカにならない!って親に怒られるから無理だ…

シバは自分の部屋でいろいろ考えていた。

⏰:09/12/27 03:05 📱:F902iS 🆔:GoN1dN4k


#98 [シバ]
「ちゃんと時間を決めて電話するから!」


結局は親に頼み込むことになった。

親の答えは、

「じゃあ15分だけね」



よっしゃ!
でも内容聞かれたくないから、子機を使って部屋で電話をかけることになった。

⏰:10/01/27 23:02 📱:F902iS 🆔:7D1nYFi.


#99 [シバ]
「0…9…0…」

あいりから渡された紙には自宅の電話番号が書かれていなかった。
だからアイリのケータイに…

子機の番号をポチポチと押しながら、めちゃくちゃ緊張していた。

アイリと話すのは久しぶりだ。
だけど、何を話そうか…アイリは今どんな気持ちなのか…
ベッドに転がっては起き、転がっては起き…を繰り返して、アイリが電話に出るのを待った。

⏰:10/01/27 23:09 📱:F902iS 🆔:7D1nYFi.


#100 [シバ]
プルルルルル…
プルルルルル…
プルルルルル…

ガチャ…


「…はい、もしもし?」

「…もしもし」

「はい?」

「あの〜、アイリですか?」

「はい、そうですよ。え〜っと…誰ですかぁ?」

「シバです」

⏰:10/01/27 23:14 📱:F902iS 🆔:7D1nYFi.


#101 [シバ]
「…………」

何も言わなくなった。

アイリとの出来事を思い出し、1人でめちゃくちゃ緊張していた。
足が震えてる…
どんだけ上がり症なんだ自分…


「シバさん?…シバさんって、あのシバさん?」

どのシバさんかは分からなかったけど、とりあえず

「そうだよ(笑)」

⏰:10/01/27 23:57 📱:F902iS 🆔:7D1nYFi.


#102 [シバ]
「え〜?シバさんかぁ!えー?元気でした?」


あの時泣いてたアイリとは打って変わって元気そうだった。
元気?って、こっちが聞き返さなくても分かるくらい、アイリは元気そうだった。


「まぁ、元気だよ(笑)久しぶりだね」

「そうっすねー…シバさんに連絡先教えてたのに、今まで音沙汰なしって一体どういうことですか(笑)」

⏰:10/01/29 01:14 📱:F902iS 🆔:urptTvCo


#103 [シバ]
「ごめん!いろいろ忙しくてさ」

「本当かなぁ?どうせ、連絡するのがめんどくさかったんでしょ?」


「そんなんじゃないよ(笑)いや、マジで忙しかったんだって」

「まぁ、いいや♪とりあえず、シバさんが元気そうでよかったです」

「そりゃどうも」

⏰:10/01/29 01:17 📱:F902iS 🆔:urptTvCo


#104 [シバ]
しばらく沈黙が続いた…


「…あの、そっちはみんな元気にしてる?」

「相変わらずですよ。あ!この前、授業中に携帯ポチポチしてたのが先生にバレて部活禁止になりました(笑)」

「誰がポチポチしてたん?」

「アイリです(笑)先生と先輩達にめっちゃ怒られました」

⏰:10/01/29 01:22 📱:F902iS 🆔:urptTvCo


#105 [シバ]
「アホ(笑)」

「よく言われます(笑)今は普通に部活できてるんですけどね♪めんどくさいけど」


よかった…
普通に喋れる。
さっきまで緊張してたことが嘘のように、体はリラックスしていた。
アイリの笑い声を聞くとホッとする。

⏰:10/01/29 01:25 📱:F902iS 🆔:urptTvCo


#106 [シバ]
しばらく雑談してた。
アイリの学校生活の話、お互いの部活に関する話、チームメイトの話…



ふと時計に目をやる。

電話をかける前に確認した時、夜10時ジャスト。

今現在、11時を遥かに超えていた。

⏰:10/01/29 01:32 📱:F902iS 🆔:urptTvCo


#107 [シバ]
あらまぁ…

そう思っていると、廊下をズカズカと歩いてくる音が聞こえてくる。

その音は、あきらかにこちらへと近づいてきている。

シバは身構えた。


部屋のドアが勢い良く開いた。
勢い良くというか、怒り混じりっていうのはすぐに分かった。

⏰:10/01/29 01:35 📱:F902iS 🆔:urptTvCo


#108 [シバ]
母だった。
覚悟はしてたけど、ものすごい形相だ。

「時間…」

ゆっくりとその一言だけ口にすると、シバの部屋の時計を指差した。

その間にも、アイリはなんやかんや話してたようだったけど…

約束は約束だ…
今日は仕方ない…

⏰:10/01/29 01:39 📱:F902iS 🆔:urptTvCo


#109 [シバ]
「アイリ…ごめん。今日はもう寝ないと」

母を横目で見ながら、受話器に向かって話した。

母は怒りながらも納得したようで、部屋を出た。今度はゆっくりとドアを閉めた。


「マジですかぁ…じゃ、また明日電話かけてくださいよ」

「ああ…かけれたらね」

⏰:10/01/29 01:43 📱:F902iS 🆔:urptTvCo


#110 [シバ]
「かけれたらじゃなくて、絶対(笑)分かりました?」

「はいはい」

「………」

「………」



また沈黙が続く。
どうやって電話を切ろうか考えていた。
じゃあ、またね!って潔く切ることができればいいんだけど、シバの場合それができない。

⏰:10/01/29 01:49 📱:F902iS 🆔:urptTvCo


#111 [シバ]
相手から切り出してくれないと、なぜかその電話を終わらせることができない。

現に21歳になった今も、それは変わらない。
(こういうめんどくさい性格治したい)





「シバさん…アイリはシバさんのこと、マジメに好きです。おやすみなさい」

⏰:10/01/29 01:54 📱:F902iS 🆔:urptTvCo


#112 [シバ]
先に沈黙を破ったのはアイリ…
同時に、先に電話を切る役も引き受けてくれた。


それにしても…


まただ…
この感じ…
めちゃくちゃドキドキしてる。
マジメに好きって…
本気でその言葉…受け取っていいの?

⏰:10/01/29 01:59 📱:F902iS 🆔:urptTvCo


#113 [シバ]
翌日からは、何をしてても上の空。

授業内容なんて何一つ頭に入ってこない。




うん…
たぶん、自分はアイリのことが好きなんだ。
特別な友達とか、特別な後輩とか、そんなんじゃない。

“恋”の対象として好きなんだ…

⏰:10/01/30 02:20 📱:F902iS 🆔:Owp4Rl3E


#114 [シバ]
しかし…
これまた厄介だなぁ…

女が女を好きになるなんて…


誰にも相談できないし、1人で考えれば考えるほど混乱する。

でも、好きなもんは好きなんだ。
アイリのことを思うだけで、胸がドキドキする…

⏰:10/01/30 02:24 📱:F902iS 🆔:Owp4Rl3E


#115 [シバ]
数日後…
アイリから手紙が届いた。

プリクラも入れられていて、シバのテンションはMAX…

「(アイリの顔見るの久しぶりだなぁ…)」

女の子らしい癖のある字。
伝えたいことがたくさんあるのだろう…
まとまりのない文章がギッシリと書き尽くされている。

⏰:10/01/30 02:30 📱:F902iS 🆔:Owp4Rl3E


#116 [シバ]
それからは、約一週間置きにアイリから手紙が届くようになった。

帰宅する度に、ポストを開けるのが習慣になっていた。

「(今日は届いてないな…)」


とか思って部屋に行くと、机の上に可愛い封筒が置かれていたり…
シバ宛に、あの癖字で記されていた。

⏰:10/01/30 02:35 📱:F902iS 🆔:Owp4Rl3E


#117 [シバ]
もちろん、シバも返事を書くことを忘れない。

むしろ、返事を書くことが日頃の楽しみになっていた。

今日は何を書こうか…

とか、

昨日面白いことがあったから、一刻も早く伝えたい!

とか。

⏰:10/01/30 02:38 📱:F902iS 🆔:Owp4Rl3E


#118 [シバ]
電話することも日課になっていた。

手紙と電話とプリクラと…

これが毎日のシバのエネルギーとなっていた。


部活で多少辛いことが起こっても、家に帰ればアイリの声が聞ける…

今日の練習が終われば、またアイリの顔が見れる…

⏰:10/01/30 02:42 📱:F902iS 🆔:Owp4Rl3E


#119 [シバ]
そんなこんなで、シバの頭の中はアイリで一杯になっていた。

アイリ一色。

アイリがいるから、何でも頑張れる!
部活だって勉強だって何だって!
自分は今、最強なんだから!

大切な人、アイリ…

だからアイリの支えになりたい…

⏰:10/01/30 02:47 📱:F902iS 🆔:Owp4Rl3E


#120 [シバ]
毎日の寝る前の楽しみ…電話。

だけど、1ヶ月経った頃…


家に帰るなり、恐い顔した母が玄関先でシバを出迎えた。

「ただいま。どうしたの?」

「…これ、見てみな」

母から一枚の紙を渡された。

⏰:10/01/30 03:19 📱:F902iS 🆔:Owp4Rl3E


#121 [我輩は匿名である]
あげ!!!!

⏰:10/02/04 08:27 📱:PC 🆔:☆☆☆


#122 [まき]
更新してください
気になります

⏰:10/03/07 23:40 📱:SH05A3 🆔:ZrwbDVIM


#123 [reo]
更新楽しみにしています

⏰:10/03/09 01:47 📱:F01A 🆔:/ar4Ih3g


#124 [シバ]
匿名さん
まきさん
reoさん

放置すみません
あげていただき、温かいコメントまで…
今日からまた更新していきます!
よろしくお願いします

⏰:10/03/09 19:27 📱:F902iS 🆔:mhupUEXs


#125 [まき]
楽しみあげ

⏰:10/03/09 23:25 📱:SH05A3 🆔:G2FkUwBY


#126 [シバ]
>>125
まきさん

ホントにありがとうございます

少しずつですが更新します!

⏰:10/03/10 00:00 📱:F902iS 🆔:AE.vvLEU


#127 [シバ]
>>120



その紙を受け取って上から下まで見回した。

「1万…8000円?え?どういうこと?」

「あんたが毎晩毎晩電話してるからでしょ!そのアイリちゃんって子と…いつもは3000円くらいで済むのに。だからちゃんと考えて電話しなさいって言ったでしょ」

⏰:10/03/10 00:05 📱:F902iS 🆔:AE.vvLEU


#128 [シバ]
母さんは溜め息を何度も繰り返し、クルリと背を向けた。


…電話代の請求書だった。

こっちは自宅から…
あっちはケータイ…

そりゃあ、金額はそれなりに行くだろうなぁって思ってたけど、さすがにこれはちょっと…

⏰:10/03/10 00:08 📱:F902iS 🆔:AE.vvLEU


#129 [シバ]
その日、母さんに何度も頭を下げ、なんとかアイリに電話をさせてくれとお願いした。

母さんは、指を3本立てた。

「それ…スリーピース?」

「バカ!3分だけ!」

「分かった」

アイリに電話した。

⏰:10/03/10 00:11 📱:F902iS 🆔:AE.vvLEU


#130 [シバ]
「シバさぁん!待ってましたよ〜」

いつものテンションだったから、嫌な話を持ち出したくなかった。

「あんさ、アイリ…」

「何ですかい?」

「今日、母様から電話代の請求書見せられてさ…ちょっと今月ヤバいんだわ…」

⏰:10/03/10 00:14 📱:F902iS 🆔:AE.vvLEU


#131 [シバ]
「へぇ」

「へぇ…じゃなくて。だからこれからは電話の回数を…」

「だったらアイリん家の家電使えばいい(笑)」

「は?」

「言ってませんでしたっけ?うち、普通に家の電話ありますよ(笑)」

⏰:10/03/10 00:17 📱:F902iS 🆔:AE.vvLEU


#132 [シバ]
力が抜けた。


「なんで早く言わないの?!」

「いや、なんか、そういう習慣になってたから(笑)」

「アホ!」

「あはは、よく言われます(笑)」

⏰:10/03/10 00:20 📱:F902iS 🆔:AE.vvLEU


#133 [シバ]
怒られ損って感じがした。
いや、シバが悪いのは事実なんだけども…


「じゃあ、今日はアイリからかけますね!ちょっと待ってて」

「…うぃ」

それから余裕で2時間は喋った。
母さんは呆れた顔をしながら寝室へと戻っていった。

⏰:10/03/10 00:24 📱:F902iS 🆔:AE.vvLEU


#134 [シバ]
更に1ヶ月後…


帰宅して、いつものようにアイリからの電話を待っていた。
大体9時半過ぎくらいにはかかってくる。

身の回りの片付けや、明日の学校の準備を早々と済ませていた。


「……電話こない」

⏰:10/03/11 22:12 📱:F902iS 🆔:9/E.HIE6


#135 [シバ]
時計を見ると、11時を過ぎていた。

「明日も学校でしょ?早く寝なさいよ」

母さんは欠伸をしながら寝室へと向かっていた。


「…アイリ、今日はもう寝ちゃったのかな?」

諦めないといけないよな…
ま、しょうがないか。
でも、やっぱり寂しい…

⏰:10/03/11 22:16 📱:F902iS 🆔:9/E.HIE6


#136 [シバ]
めちゃくちゃ眠いくせに、子機を握りしめたままずっと待っていた。

12時を過ぎた。


毎朝6時には起きないといけない。
そろそろ寝ないと明日起きれない…


テンションがた落ちのまま布団に潜り込んだ。

ピリリリリリリ…

⏰:10/03/11 22:19 📱:F902iS 🆔:9/E.HIE6


#137 [シバ]
バッと起き上がって机の上の子機を見た。

着信時に光る黄色いランプが忙しくパカパカと光っていた。


「え?ちょ…(笑)」

自分でも分かるくらいニヤニヤしていた。
電話が来ない!
っていう怒りは一瞬で吹っ飛んだ。

⏰:10/03/11 22:22 📱:F902iS 🆔:9/E.HIE6


#138 [シバ]
すぐに通話ボタンを押した。

「…はい、もしもし?」

渋々〜…みたいな演技をした。
ずっと待ってたんだよ!っていう気持ちを押し殺して電話に出た。



「ヒロ〜?ゴメンね〜(笑)お仕事お疲れ様ぁ♪何してたぁ?もしかして寝てたぁ?」

⏰:10/03/11 22:26 📱:F902iS 🆔:9/E.HIE6


#139 [シバ]
ヒ…ヒロ?
ワタシハシバサキデスガ…


「………」

「もしもし〜?マジでゴメンって(笑)遅くなっちゃったけどヒロ君の声聞きたくなっちゃってさぁ(笑)ってか、何黙ってんのさ(笑)」

「…あの」

「どぉしたのぉ?(笑)」

「間違い電話じゃないですか?」

⏰:10/03/11 22:30 📱:F902iS 🆔:9/E.HIE6


#140 [シバ]
「はぁ?(笑)」

「いや…ヒロとかいう人はいないですよ、ウチには」

「え?村岡さんじゃないの?」

「はい…村岡じゃないです」

「え?ちょっと(笑)嘘…やだ〜(笑)間違ったぁ(笑)♯$☆&※*バイバーイ」

ブツッ…

⏰:10/03/11 22:35 📱:F902iS 🆔:9/E.HIE6


#141 [シバ]
なんてこった…

アイリからの電話が来ない上に、まったく知らない奴からの間違い電話…

さっき吹っ飛んでいったハズの怒りが倍になって帰ってきた。


「とりあえず寝る!クソ!」

再び布団に潜り込んだ。

⏰:10/03/11 22:38 📱:F902iS 🆔:9/E.HIE6


#142 [我輩は匿名である]
続き気になります
頑張って下さい

⏰:10/03/13 10:14 📱:S001 🆔:R4HOtDec


#143 [なつ]
一気に読ませていただきました!!!
更新応援しています!!!

⏰:10/03/14 01:18 📱:N02A 🆔:PptXOIwM


#144 [シバ]
>>142さん
>>143さん

ありがとうございます!更新頑張ります(^^)



>>141
翌日…
学校ではいつもとは違った上の空状態。

この時から変な不安みたいな、モヤモヤした勘が働いていたのかもしれない…

⏰:10/03/14 17:45 📱:F902iS 🆔:kcLJgh.I


#145 [シバ]
「シバ、おはよ」

ポンっと肩を叩いてきたのは真希。

「元気ないぞ(笑)何かあったのか〜?」

「あ、真希おはよ…あのさ…」

「何じゃらほい♪」

「…いや、やっぱ何でもない」

「何それ(笑)」

⏰:10/03/14 17:48 📱:F902iS 🆔:kcLJgh.I


#146 [シバ]
真希は一番の仲良しだ。普通の恋愛話だったらソッコー相談してる。


でも…
シバが今恋してる相手はアイリだ…
女の子だ…


仲良しとはいえ、そんな話をしちゃったら真希との関係にヒビが入る気がして、怖くて話せなかった。

⏰:10/03/14 17:52 📱:F902iS 🆔:kcLJgh.I


#147 [シバ]
結局、アイリのことを真希に相談できないまま部活の時間になった。

上の空状態で、何度も監督に怒られた。
パスが来てもキャッチミス、シュートを打っても打ってもリングに嫌われ…

いつもはアイリとの電話のために、部活終了と同時にソッコー帰る。
でも、今日は体育館の入り口に座ってボンヤリしていた。

⏰:10/03/14 17:59 📱:F902iS 🆔:kcLJgh.I


#148 [シバ]
体育館の電気が消された。
急に真っ暗になったことにビックリしながら帰る準備を始めた。







「…ただいま」

家に帰り着くなり、母さんが心配そうに出迎えた。

⏰:10/03/14 18:01 📱:F902iS 🆔:kcLJgh.I


#149 [シバ]
「おかえりー!今日は遅かったね。元気ないし…学校で何かあったの?」

「別に何もないよ。ただ疲れただけ(笑)」

シバはニッコリ笑ったつもりだったけど、引きつっていたみたいで…


「今ね、真希ちゃんから電話があったのよ」

⏰:10/03/14 18:03 📱:F902iS 🆔:kcLJgh.I


#150 [シバ]
「真希から?何で?」

「『今日シバが元気なかったから』って。心配してたよ」

「マジで?でも大丈夫だから(笑)」

「そう?あ、あと…」

母さんは何か考え始めた。
とりあえず疲れてるから中に入れてくれ…

「アイリちゃん?だっけ?ついさっき電話がきたよ」

⏰:10/03/14 18:07 📱:F902iS 🆔:kcLJgh.I


#151 [シバ]
シバはバッと母さんを見た。

「うそ…!何て?アイリ何て言ってた?」

「『また10時頃電話かけます』って」

それを聞いてシバはソッコーなんやかんや済ませた。
風呂は頭と体洗ってお湯に浸からず上がって、ご飯を詰め込んで、宿題と部日誌を終わらせた。

⏰:10/03/14 18:10 📱:F902iS 🆔:kcLJgh.I


#152 [reo]
頑張ってください\(^O^)/

⏰:10/03/15 00:48 📱:F01A 🆔:5FK9EixU


#153 [シバ]
>>152
reoさん
本当にありがとうございます(^▽^)
更新します♪



>>151
10時になるのが待ち遠しかった。
1分経つごとに時計を見てはソワソワして、まったく落ち着きがなかった。

⏰:10/03/15 20:59 📱:F902iS 🆔:G22rQU86


#154 [シバ]
プルルルルル…


き…きたぁー!



「はい、もしもし」

「あ、もしもし川田です。こんばんは!シバさんいますか?ってか、シバさんですか?」

「はいはい。シバですけど(笑)」

⏰:10/03/15 21:02 📱:F902iS 🆔:G22rQU86


#155 [シバ]
アイリの声が何だか懐かしく感じて、ジーンときた。
顔は見えないけど、元気そうだから安心した。


「ってか、昨日電話するって言ってたのに、電話しなかったよね、バカアイリ(笑)」

「いやいや。そっち通話中だったじゃないですか(笑)」

「は?通話中?」

⏰:10/03/15 21:05 📱:F902iS 🆔:G22rQU86


#156 [シバ]
「うん、通話中」

「夜中は誰も電話使わないよ。受話器がはずれてたのかな?…………って、ちょっと待って」

昨日のことを思い返してみた。



…最悪だ。
間違い電話と同時にアイリから電話がかかってきてたんだ…

⏰:10/03/15 21:09 📱:F902iS 🆔:G22rQU86


#157 [シバ]
しかも、うちの電話はキャッチホン機能を最近外したからキャッチが入ったとか分からなかったんだ…
(キャッチホン機能ってお金かかるんですよ!)


「あ〜…もしかしたら間違い電話がきた時かも」

「嘘つき(笑)誰と電話してたんですか?浮気?(笑)」

「アホ(笑)」

⏰:10/03/15 21:12 📱:F902iS 🆔:G22rQU86


#158 [シバ]
「はぁ〜?浮気だったらアイリ泣いちゃうからね」


可愛いなコイツ。


「ないない(笑)」

「絶対?」

「絶対(笑)」


「ふ〜ん…」

⏰:10/03/15 21:14 📱:F902iS 🆔:G22rQU86


#159 [シバ]
「ってか、昨日なんでそんなに遅かったのさ。電話かけてくる時間帯」

「あ〜…部活中に先生がピリピリしてて…昨日怒って帰っちゃったんですよ。んで、その後チームでミーティング…長々とめんどくさかったっす」

「あ、そうだったの」

「…うん」

この時、アイリの言葉を信じなきゃよかった…

⏰:10/03/15 21:18 📱:F902iS 🆔:G22rQU86


#160 [シバ]
「何か…ゴメン」

「何でですか?」

「チームが大変な時に電話しろ電話しろ!って…」

「いやいや(笑)約束破ったアイリが悪いですから」

「でも、電話してくれたじゃん」

「遅くなっちゃいましたけどね(笑)」

⏰:10/03/15 21:21 📱:F902iS 🆔:G22rQU86


#161 [シバ]
昨日はすれ違いだったけど…
夜疲れて帰ってきたのに、アイリがシバのことを考えてくれてた事がメチャクチャ嬉しかった。

間違い電話を憎んだけど、アイリのその気持ちが何より嬉しかった。


「あ、そうだ!シバさん…あの…」

「どした?」

⏰:10/03/15 21:25 📱:F902iS 🆔:G22rQU86


#162 [シバ]
「アイリもさっき…オカンに怒られた…」

「オカン?お母さんに?」

「うん」

「何で?」

「電話代…請求…ケータイ代…ウガァーって!」

ウガァーっの意味が分からなかったけど、とりあえず怒られたらしい。

⏰:10/03/15 21:28 📱:F902iS 🆔:G22rQU86


#163 [シバ]
「毎日電話してるもんね(笑)」

「うーん…でも、どうしよ…」

「何が?」

「だって…2人とも親に怒られたじゃないですか。来月もまた怒られるの嫌だ」


胸が痛んだ。
アイリの口からネガティブな言葉を聞いたのは初めてだったから、一瞬不安になった。

⏰:10/03/15 21:31 📱:F902iS 🆔:G22rQU86


#164 [シバ]
「じゃあ…アイリはどうしたい?」

「毎日電話したい!」

「そうじゃなくて…どうする?週に2〜3回って決めて電話しようか?」

「それはそれで寂しい」

「だって、しゃーないじゃん」

「寂しいよぉ…」

⏰:10/03/15 22:31 📱:F902iS 🆔:G22rQU86


#165 [シバ]
甘えた声出してくるから、年上として何とかしてあげないと…って思ってた。

「分かった…じゃあ、何とかするよ」

「マジですか?でも、家電はもう…」

「アイリからは掛けてこなくていいよ。シバが何とかするから」

年上のプライドを守った!

⏰:10/03/15 22:35 📱:F902iS 🆔:G22rQU86


#166 []
続き楽しみです

⏰:10/03/15 23:02 📱:SH05A3 🆔:z65DA5uE


#167 [シバ]
>>166さん

ありがとうございます(^^)v
これからも読んで頂けたら嬉しいです♪


>>165

…とは言ってみたものの、何をどうすればいいんだろう。
そこで、シバなりに一生懸命考えた!

⏰:10/03/16 23:16 📱:F902iS 🆔:BXIGXgPo


#168 [シバ]
公衆電話…
公衆電話だ!
もう、それしか残されていない!

財布の中身を確認した。100円玉が2枚、10円玉が2枚、5円玉が1枚、1円玉が16枚…

泣きそうになった。

お札は0だし、1円玉の使い方がヘタクソだし、電話代になるくらいのお金持ってないし…

⏰:10/03/16 23:20 📱:F902iS 🆔:BXIGXgPo


#169 [シバ]
最近、財布がポッコリしてきたなぁ〜って思ってたけど、原因は1円玉達だったのか…
解決してよかったわ♪


…じゃなくて。



どうしよう…
かっこつけてあんな事言ったけど、実際どうしようもない…

⏰:10/03/16 23:23 📱:F902iS 🆔:BXIGXgPo


#170 [シバ]
次の日の朝…

陸上部のマネージャーから、思いもしなかったプレゼントを与えられた。


テレフォンカードだ!

粗品としてもらっていたテレカがうんざりするほど家にある!との事だったので、貰えるだけ貰うことになった。

⏰:10/03/16 23:30 📱:F902iS 🆔:BXIGXgPo


#171 [受験生]
楽しみにしてます(*^□^*)大変ですががんばってください

⏰:10/03/16 23:56 📱:N01B 🆔:W3JuC9KI


#172 [シバ]
>>171
受験生さん

ありがとうございます受験されるんですか?
だとしたら、シバも受験生さんを応援しますよ♪笑
大変でしょうが頑張ってくださいね



更新します!

⏰:10/03/17 21:54 📱:F902iS 🆔:gj9iT8FE


#173 [シバ]
>>170

貰えたテレカは50度数6枚。
陸上部のマネージャーに感謝感激で、その日の部活帰りはランランだった♪


タダでアイリの声が聞ける…
しばらくは何も気にすることなく電話ができる…
嬉しくて嬉しくて、生きててよかった〜とか思えた。

⏰:10/03/17 21:58 📱:F902iS 🆔:gj9iT8FE


#174 [シバ]
部活終了まであと3時間…長い…長すぎる。


あと2時間半…
あれからまだ30分しか経ってない…イライラ

「ピピー!柴崎!ボーっとするな!ダッシュしてこい!」

スミマセン…

あと2時間…
う〜ん…

⏰:10/03/17 22:01 📱:F902iS 🆔:gj9iT8FE


#175 [シバ]
あと1時間半…
もうちょい頑張ろ…


あと1時間…
あの時計、ちゃんと動いてんの?
長いよ…


あと30分…
よしよし…


あと5分…
あ〜…
あと少しでアイリの声が聞ける。
アイリ待ってろよ♪

⏰:10/03/17 22:04 📱:F902iS 🆔:gj9iT8FE


#176 [シバ]
部活終了時刻…

「よ〜し!ストレッチ」


よっしゃぁぁ!
やっと終わった!


そして床に座ろうとした…

「シバさん。監督が呼んでます」

2つ下の後輩だった。

「は?マジ?今?」

⏰:10/03/17 22:08 📱:F902iS 🆔:gj9iT8FE


#177 [シバ]
「はぁ…たぶん…今だと思います」

挙動不審な後輩…
その態度を見ただけで、いい意味の呼び出しではないということが感じ取れた。


体育教官室のドアをノックしたが、返事なし。


「失礼します」

⏰:10/03/17 22:11 📱:F902iS 🆔:gj9iT8FE


#178 [シバ]
ドアを開けると、ドア側に背を向けたまま立っている監督がいた。

「座れ」

振り返ることなく、ぶっきらぼうに一言放った。


そこには、ボロボロになった一台のパイプ椅子が用意されていた。

⏰:10/03/17 22:15 📱:F902iS 🆔:gj9iT8FE


#179 [シバ]
静かに腰掛けたつもりだったけど、オンボロ椅子はギシギシと軋んだ。

しばらく無言…


監督は振り向き、向かい側の椅子(ソファー?)に腰掛けた。



「最近のお前の態度…何か気になるんだが」

⏰:10/03/17 22:18 📱:F902iS 🆔:gj9iT8FE


#180 [シバ]
「………」

「練習中に何か余計な事考えてるよな?」

「………」


「部活の時だけじゃない。授業中もだ。国語の原田先生も、物理の八木先生も『最近の柴崎の授業態度が気になる。聞いてるのか聞いてないのか分からない』っておっしゃってた」

⏰:10/03/17 22:25 📱:F902iS 🆔:gj9iT8FE


#181 [シバ]
ええ、そうですとも!
恋してますよ!
恋わずらいですよ!



…とか言えたらいいなぁ〜って思いながら監督の鼻を眺めた。
目合わせると緊張しちゃうから、あえて鼻。


監督の鼻から毛出てないかな〜…とか余計なこと考えてた気がする。

⏰:10/03/17 22:29 📱:F902iS 🆔:gj9iT8FE


#182 [シバ]
「このままだと、授業単位落とすぞ」

「………」

「聞いてるのか?」

「…はい」


「バスケ…やる気がないならレギュラーの座を後輩に渡すしかないな。最後の最後に応援席に立ちたいのか?」

⏰:10/03/17 22:33 📱:F902iS 🆔:gj9iT8FE


#183 [シバ]
「…いいえ」

「今2年生が伸びてきてるからな。織田あたりなんか、playも成長してきたしメンタルも強い。お前の控え…と考えていたが、今はその逆だぞ」

「…(ああ、そう)」


何も感じなかった。
3年目という大事な時期なのに…
バスケなんかよりアイリの存在の方が大きかったんだ…

⏰:10/03/17 22:40 📱:F902iS 🆔:gj9iT8FE


#184 [シバ]
この後もグダグダと監督の話は続いた。

こんな話をされたら、前のシバだったら『コノヤロー!』とか『やってやろうじゃん!』って、悔しくて燃えてた。

だけど、今は全然。
グダグダ言われてカチンときても、ローソクの火をフッと吹き消すかのように、一瞬にしてその気持ちは消えていた。
不思議なもんです。

⏰:10/03/17 22:46 📱:F902iS 🆔:gj9iT8FE


#185 [シバ]
アイリに電話できねー…早く終わってくれ。

その一心で監督の鼻を見つめ続けた。
聞いてますよ!っていう態度だけは貫き通した。


「あーだこーだ、それからなんちゃらかんちゃら………とりあえずよく考えろ。これからの行動次第で良くも悪くもなってくる。気をつけて帰れ。お疲れさん」

⏰:10/03/17 22:52 📱:F902iS 🆔:gj9iT8FE


#186 [シバ]
>>173-174

(話が飛んでますね『翌日』っていう言葉が抜けてました)

⏰:10/03/17 22:57 📱:F902iS 🆔:gj9iT8FE


#187 [受験生]
更新ありがとうございます(´∀`)受験終わって今日は合格発表ですこわいですでも、シバさんの更新を見て落ち着きました応援ありがとうございますむっちゃくちゃ嬉しいですまた、更新してくれる待ってます

⏰:10/03/18 00:51 📱:N01B 🆔:Xjz8gAnQ


#188 [シバ]
>>187
受験生さん

そうだったんですか
いい結果でありますように
シバなんかの小説で落ち着けたなんて嬉しいです(笑)

もうちょいしたら更新します!

⏰:10/03/18 18:24 📱:F902iS 🆔:GlnjqbDc


#189 [ぽん]
あげーい(・∀・)

⏰:10/03/18 18:45 📱:N02A 🆔:0diKPh2M


#190 [シバ]
>>189
ぽんさん

あげありがとうございます
更新します!



>>186
教官室を後にする。
みっちりと怒られたのに、ウキウキしていた。
やっとアイリに電話ができる!

⏰:10/03/18 21:16 📱:F902iS 🆔:GlnjqbDc


#191 [シバ]
学校近くの公衆電話へ向かった。
自分の財布から、テレフォンカードを1枚取り出した。

1つも穴の開いていないテレフォンカード…
これがあと5枚もあるなんて…
しかし、テレフォンカードとか小学校以来だなぁ。

忘れ物した時『お母さぁ〜ん』って泣きじゃくりながら電話して届けてもらったっけ?

⏰:10/03/18 21:19 📱:F902iS 🆔:GlnjqbDc


#192 [シバ]
テレカを入れ、番号を押す。


プルルルルル…
プルルルルル…

「え?もしもし?」

ビックリしたような声が聞こえた。

「『え?』って何?『え?』って(笑)」

シバが笑うと、アイリはすぐに分かったようだった。

⏰:10/03/18 21:23 📱:F902iS 🆔:GlnjqbDc


#193 [シバ]
「あ、なんだ!シバっちかぁ(笑)」

「シバっち?(笑)」

「みんなシバさんシバさん呼ぶからさぁ。何かアイリだけ違う呼び方するとVIPに聞こえません?(笑)」

「別にVIPではないけどね(笑)ま、何とでも呼んでくれ!」

すましたフリして、違う呼び方とか実はかなり嬉しかったりする…

⏰:10/03/18 21:27 📱:F902iS 🆔:GlnjqbDc


#194 [シバ]
「公衆電話からの着信とか初だからビックリしましたわ」

「だろうね。公衆電話からとかありえないよね、今時」

「もしかしてシバっちが言ってた『何とかする』って…そういうことだったワケ?」

「悩みに悩み抜いた結果だよ。少しは感謝しろよ(笑)」

⏰:10/03/18 21:30 📱:F902iS 🆔:GlnjqbDc


#195 [シバ]
アイリは鼻で笑った。
フガッて聞こえた。

「感謝してますよ。サンキューベリマ〜ッチ♪」

「はいはい。ってか今日テンション高いね。何かいい事でもあったん?」

「まぁね♪数学で初めて赤点じゃない点数を取ったんですよ♪」

⏰:10/03/18 21:36 📱:F902iS 🆔:GlnjqbDc


#196 [シバ]
「ほう…で、何点?」

「39点」

「………」

「だからサンキューベリーマッチって言ったじゃないですかぁ(笑)」


アイリの中に『危機感』という文字はないな…と思った。

「マジか(笑)成績は大丈夫なワケ?」

⏰:10/03/18 21:39 📱:F902iS 🆔:GlnjqbDc


#197 [シバ]
「あ〜…たぶんヤバいでしょうねぇ(笑)前回の中間で早速赤点取って親呼び出しだったから、今回は頑張ったつもりなんですけどね〜」


「まぁ、気にすんな。赤点じゃないことに対して笑って喜べ!思いっきり泣いて喜んでもいいよ」

「シバっちのそういう所が好きですよ。泣いても笑ってもアイリを受け止めてね」

⏰:10/03/18 21:43 📱:F902iS 🆔:GlnjqbDc


#198 [シバ]
「受け止める!」

「きゃー♪やったぁ」


いつもなら「はいはい」って軽く流すシバだけど、自分頼られてる〜!って感じだったから嬉しかった。
だからアイリの素直な気持ちに素直に答えた。


「シバっち!」
「何?」
「会いたいよぉ」

⏰:10/03/18 21:48 📱:F902iS 🆔:GlnjqbDc


#199 [シバ]
ひっきりなしに可愛い事を言ってくるアイリ…
目の前にいたらギュッと抱きしめてる。

それくらい、シバはアイリに夢中だった。
電話じゃなくて、会いたい。
次会った時は、シバのこの気持ちを伝えよう!

アイリ…
どうかシバだけのモノでいて欲しい。
一生懸命守るから…

⏰:10/03/18 21:53 📱:F902iS 🆔:GlnjqbDc


#200 [シバ]
その一週間後…

テレカ6枚を使い切った。
たった一週間で、すべてのテレカが無くなった。あっという間で、6枚目を使い切る時、孤独感みたいな寂しさみたいな感情がウワッと込み上げてきた。


これからどうしよう…
何か違う方法を考えることにした。

⏰:10/03/18 21:59 📱:F902iS 🆔:GlnjqbDc


#201 [受験生]
更新ありがとうございます高校合格できましたシバさんのおかげですまたこれからも更新待ってます

⏰:10/03/19 00:07 📱:N01B 🆔:.Dh5tgbE


#202 [マユタン]
初コメントです。
いつも読んでます次の更新が気になるぅ
楽しみにしてるので頑張って更新して下さいね

⏰:10/03/19 02:20 📱:F02A 🆔:kRHnrjLw


#203 [シバ]
>>201
受験生さん

おめでとうございますシバも嬉しいです
受験生さんが頑張った結果ですよ
これからも頑張ってね

>>202
マユタンさん

ありがとうございますまた更新しますんで是非読んでください

⏰:10/03/19 20:14 📱:F902iS 🆔:iDifsbkQ


#204 [シバ]
>>200

何をどう考えても公衆電話以外、連絡を取る方法を思いつかなかった。

あれから陸上部のマネージャーにテレカの話をした所、

「えぇ?シバもう全部使い切ったの?もうテレカ1枚もないんだよね…他の部のマネージャー達にあげちゃったんだ」

⏰:10/03/19 20:18 📱:F902iS 🆔:iDifsbkQ


#205 [シバ]
確かに部活のマネージャーってよく連絡取るからテレカは必需品だと思う。

しかもシバは6枚も貰っちゃったからこれ以上は気が引けて貰えない。
ってか、くれるハズもない。


そこで思い付いたのが、10円玉をウザいくらい集めること!
もう、これしかない…

⏰:10/03/19 20:22 📱:F902iS 🆔:iDifsbkQ


#206 [シバ]
100円とか500円とかも、すべて10円玉に替えた。

家の手伝いをしたら10円ちょうだい!って母さんと交渉して、部活から帰ってきて疲れた体にムチ打ってせっせと働いた。
皿洗いして10円、洗濯して10円…
コツコツと貯金して、豚さんの貯金箱は10円玉でいっぱいになった。

⏰:10/03/19 20:29 📱:F902iS 🆔:iDifsbkQ


#207 [シバ]
貯金し始めてからは、アイリと『電話は我慢しよう』って約束してたからアイリと連絡を取らなかった。







…それが間違ってた。
シバはアイリと出会ってから、アイリを待たせ過ぎてた。
「好き」って気持ちも伝えてなかったシバは、浮かれてた頃の自分を憎んだ。

⏰:10/03/19 20:33 📱:F902iS 🆔:iDifsbkQ


#208 [シバ]
今日からアイリと電話ができる〜♪

って日の朝…
2個下の後輩、リナと話をしてた。
リナは、あの合宿の時からアイリと仲良くなっていたみたいで、よく一緒にアイリの話・アイリのチームの話をしてた。


「シバさん、アイリにメチャメチャ気に入られてましたよね〜。みんな元気かなぁ♪」

⏰:10/03/19 20:39 📱:F902iS 🆔:iDifsbkQ


#209 [シバ]
「気に入られてたっていうか、懐かれてたって感じかな♪」

まさか『好き同士』なんて言えない…
そう思って、シバの顔はニヤニヤしてた。

「この前、アイリから手紙が届いたんですよ」

「へ〜…リナもアイリと文通してるんだ」

「文通って言っても、たま〜にですよ(笑)」

⏰:10/03/19 20:43 📱:F902iS 🆔:iDifsbkQ


#210 [シバ]
「そうなんだぁ」

「手紙の内容、ほとんどシバさんのことですよ(笑)アイリに電話した時も『シバさんシバさん』ってうるさいんですよぉ」

「アハハハ…(ニヤニヤ)」

「しかも最近は『シバっち』って呼んでるって言ってました。生意気ですね〜(笑)」

⏰:10/03/19 20:46 📱:F902iS 🆔:iDifsbkQ


#211 [シバ]
「あいつ初めて会った時から生意気だったからね(笑)気にしない気にしない♪」

「最初から馴れ馴れしかったですよね(笑)ウザい!って思ってたけど、いい奴ですよ」

「そうだね〜」


本当に何気ない会話だった。
本当に何気ない会話になるハズだった…

⏰:10/03/19 20:50 📱:F902iS 🆔:iDifsbkQ


#212 [シバ]
「あ!プリクラも入ってたんですよ♪見ますか?」

「おー!見る見る♪」

数枚のプリクラを渡された。
このプリクラは自分も持ってる!とか、このプリクラは持ってない!とか考えながら、アイリの笑顔を見てほんわかしてた。

「アイリ暇人だね(笑)プリクラ撮りすぎでしょ(笑)……あれ?」

⏰:10/03/19 20:59 📱:F902iS 🆔:iDifsbkQ


#213 [受験生]
ありがとうございます
続きかなり気になります

⏰:10/03/19 23:24 📱:N01B 🆔:.Dh5tgbE


#214 []
気になります
頑張ってください

⏰:10/03/20 02:16 📱:SH05A3 🆔:/0e9xWZw


#215 [みい]
 めちゃはまる〜
 またみにくるんで
 更新頑張って下さい


.

⏰:10/03/20 19:36 📱:N906imyu 🆔:20iQWtGI


#216 [受験生]
更新頑張ってください

⏰:10/03/21 00:13 📱:N01B 🆔:HtKMTEco


#217 [シバ]
>>213-216さん

ありがとうございます皆さんからのコメント、嬉しすぎて1人で感動しまくってるシバです(_ _)
頑張って更新します



>>212
プリクラの中に、変顔したり満面の笑みを浮かべるアイリがいた。
気になる文字が書かれていた…

⏰:10/03/21 22:28 📱:F902iS 🆔:TaG27B4I


#218 [シバ]
アイリの顔の下には、

『S』


友達の方にはKだかRだか書かれていた。
彼氏のイニシャル的な…

アイリのイニシャルはAじゃん…
何この『S』って…
アイリのAじゃないじゃん…

⏰:10/03/21 22:34 📱:F902iS 🆔:TaG27B4I


#219 [シバ]
シバの表情から何かを察したかのように、リナは口を開いた。

「この『S』って、シバさんの事じゃないですか?(笑)」


シバはこの時、どんな顔をしていたのだろう…
リナのこの一言を聞いて、一気に力が抜けたのを覚えてる。

「ま、まさかぁ(笑)」

⏰:10/03/21 22:38 📱:F902iS 🆔:TaG27B4I


#220 [シバ]
…なんて言ったけど、実はリナの一言がかなりの自信になっていた。


そうか…
そうだよ!

でも、リナにシバとアイリの関係を悟られたくなかったから、あえて否定した。

ホッとした。

⏰:10/03/21 22:41 📱:F902iS 🆔:TaG27B4I


#221 [シバ]
その後、リナと分かれて教室へと向かった。

頭の中は今日のアイリとの電話のことで一杯。


久しぶりだったから、はやる気持ちを抑えきれなかった。


授業内容は右から左にすっぽ抜けてた。
ノートは素晴らしく真っ白。
そのまま昼休み…

⏰:10/03/21 22:45 📱:F902iS 🆔:TaG27B4I


#222 [シバ]
弁当を食べ終えて、教室の中から外の景色をボンヤリと眺めてた。
景色と言っても、見慣れたただの運動場なんだけど…


「シバ太郎!」

廊下から声が聞こえた。シバの席は窓側の一番後ろ。
だから端から端。

「何〜?」

⏰:10/03/21 22:48 📱:F902iS 🆔:TaG27B4I


#223 [シバ]
真希だった。
廊下の窓のレールの所に肘をついて、前かがみの体勢でニヤニヤしている。

「ってか、そんなトコいないで教室入ってくればいいじゃん。何その不自然な体勢(笑)」

真希は黙ったまま、ニヤニヤを続けている。

気味が悪い…
ちょっとだけイラッときた。

⏰:10/03/21 22:52 📱:F902iS 🆔:TaG27B4I


#224 [シバ]
「ちょっとカモン♪」


呼び出しだ。
なんとなく…
本当になんとな〜くだったけど、嫌な予感がした。
初めて真希の不気味な笑顔を見た。


…連れていかれたのは、隣の空き教室。

⏰:10/03/21 22:55 📱:F902iS 🆔:TaG27B4I


#225 [シバ]
使われていないだけあって、シンと静まり返っている。
この雰囲気が痛い…


真希はヒョウヒョウとした表情で、古い机に腰掛けた。
(※机に座っちゃいけません)


「シバさ、最近なんか変だよね(笑)」

⏰:10/03/21 22:59 📱:F902iS 🆔:TaG27B4I


#226 [受験生]
更新ありがとうございますイニシャル愛を感じます続きもがんばって少しずつでいいのでがんばってください

⏰:10/03/22 00:18 📱:N01B 🆔:Fg/xGzxc


#227 [ゆな]
>>226
私情の事を書き込みして、催促したりしてますよね?ここの主はシバさんです。多忙ながらも小説を書いているんです。あと、雑談するなら感想板を作ってもらって雑談して下さい。
シバさん、この小説、毎日読んでいます。ゆっくりで良いので頑張って下さい。あと、感想板があればURLを貼ってくれたら嬉しいです。

⏰:10/03/22 10:23 📱:SH704i 🆔:YeXxdSeo


#228 [受験生]
ゆなさん注意ありがとうございます。確かにゆなさんのおっしゃる通りです。これから気を付けます。

⏰:10/03/22 22:32 📱:N01B 🆔:Fg/xGzxc


#229 [シバ]
>>227さん

ご指摘ありがとうございます。
雑談話を振ってしまったのはシバの方からです読んで頂きありがとうございます。
感想板建てましたのでよろしくお願いします。

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4729/

⏰:10/03/23 20:55 📱:F902iS 🆔:MqfiDiVA


#230 [シバ]
>>228さん

すみません
シバの方から雑談してしまっていたのに…
これからも読んで頂けると嬉しいです


少しですが更新します!

⏰:10/03/23 20:56 📱:F902iS 🆔:MqfiDiVA


#231 [シバ]
>>225

「変…?シバが?」

真希のストレートな発言にキョトンとしてしまった。

「うん、変。めっちゃ変(笑)」

「そこまで言うか…(笑)」

「何かあるでしょ?話したいけど話せない…みたいな事隠してない?」

⏰:10/03/23 20:59 📱:F902iS 🆔:MqfiDiVA


#232 [シバ]
こいつ…何で分かるんだ?
真希は表情1つ変えず、ジーッとシバの目を見つめている。

でも、親友の真希にアイリのことなんて話せない…

「いや(笑)何もないよ」

「絶対嘘!…ねぇ、一体何があったの?」

「何もないって!」

⏰:10/03/23 21:04 📱:F902iS 🆔:MqfiDiVA


#233 [シバ]
「あっそ!じゃあいいよ…」

「(やべ…怒ったかな?)」

こんな事で真希と喧嘩なんてしたくない!
本当は相談に乗ってほしい…
いや、しかし…
真希は親友…
アイリの事話してドン引きされたら…

いろんな思いがグルグル回ってた。

⏰:10/03/23 21:08 📱:F902iS 🆔:MqfiDiVA


#234 [シバ]
「じゃあ、勝手に予想するからYESかNOで答えてよ!」

パッと笑顔になった真希。
とりあえず、真希の機嫌が悪くないことにホッとしたからその選択を受け入れた。

「分かったよ」

「よし!じゃあ、率直に言うけど、アイリちゃんに恋してるでしょ?」

⏰:10/03/23 21:15 📱:F902iS 🆔:MqfiDiVA


#235 [シバ]
もはやYESとかNOとかのレベルじゃねぇ…
率直にって言うけど、一発目からそれかい!!



「…………」

「はい、解決!柴崎さん、顔真っ赤ですよ。あんた分かり易すぎ(笑)」

「一発目からそんな質問するからじゃん!!!…ああ、もう…畜生」

⏰:10/03/23 21:19 📱:F902iS 🆔:MqfiDiVA


#236 [シバ]
「あははは、ごめんごめん(笑)…うわぁ〜、マジ真っ赤だ。そんなに恥ずかしかった?」

「恥ずかしいっちゅーか…よく分からん」


とか言っちゃったけど、本当はめちゃくちゃ嬉しかった。
嬉しかったってか、安心した。
胸のつっかえがストンと取れた感覚を味わった。

⏰:10/03/23 21:23 📱:F902iS 🆔:MqfiDiVA


#237 [シバ]
「でも、何で分かったの?」

「え〜?…何でかなぁ(笑)なんとなくって感じ?」

「ヤス(以前告白してきたヤツ)を振ったから?」


「あー…そんなんじゃなくて、何でかな?なんか、そういう匂いがしてきたから(笑)」

「匂い?!」

⏰:10/03/23 21:26 📱:F902iS 🆔:MqfiDiVA


#238 [reo]
愛読してます(´・ω・`)
頑張ってくださいね

⏰:10/03/25 00:13 📱:F01A 🆔:RZJI6KMo


#239 [まき]
次の更新楽しみにしてます

⏰:10/03/25 12:56 📱:SH05A3 🆔:SGSaFy4M


#240 [受験生]
頑張ってください

⏰:10/03/25 13:11 📱:N01B 🆔:JlJLNtAw


#241 [シバ]
>>238-240さん

ありがとうございます
めちゃくちゃ励みになります
更新バラバラですがよろしくお願いします


>>237

「匂いっていうか、雰囲気?ノリ?って感じの方が合ってるかも(笑)」


「ごめん、意味が分からない」

⏰:10/03/26 20:08 📱:F902iS 🆔:d6YbscqY


#242 [シバ]
「別に分かんなくてもいいよ(笑)あたしの疑問が解決したから超スッキリした♪」

「こっちは超モヤモヤなんだけど」

「だろうね(笑)」

「…引いた?」

「何が?」

「アイリのことで…ドン引きしたんじゃない?」

⏰:10/03/26 20:11 📱:F902iS 🆔:d6YbscqY


#243 [シバ]
「引かないよ、そんな事で(笑)」

「そんな事でって…だって、可笑しい事でしょ」


真希の表情が変わった…

「可笑しい?何が可笑しいのさ」

「いや、だって…女が女を好きになるんだよ?」

⏰:10/03/26 20:15 📱:F902iS 🆔:d6YbscqY


#244 [シバ]
「いいじゃん別に。人が人を好きになるって素晴らしい事じゃん(笑)」

「でも、なんかなぁ…」

「別にゴリラやイノシシに恋したワケじゃないじゃん…男も女も同じ人間!みんな一緒の人間!そんな中で、みんな違ってみんないい…だよ」

「………」

「『金子みすゞ』さんの『みんな違って みんないい』って、こういう時に何か共感できない?」

⏰:10/03/26 20:21 📱:F902iS 🆔:d6YbscqY


#245 [シバ]
真希の話はサバサバしてるし、話が飛び飛びだけど妙な説得力みたいなものがあって、なぜか納得できる。

「なるほどね」

「ま、そういう事よ♪金子みすゞさんって小学校の時に習ったよね。国語の授業か♪」

「そうだよ」

「あの時、もっとちゃんと勉強しとけばよかったなぁ〜…」

⏰:10/03/26 20:38 📱:F902iS 🆔:d6YbscqY


#246 [シバ]
「何で(笑)現在の真希も頭いいじゃん」

真希は本当に頭がいい。頭の回転が早いんだろうな。
それに比べてシバは…


「頭良くねーから(笑)ってか、言い忘れてたけど、あたしもシバと一緒だよ♪」


………

………は?

⏰:10/03/26 20:45 📱:F902iS 🆔:d6YbscqY


#247 [シバ]
今何て言った…?
なんか、どさくさに紛れて凄い事言わなかった?

言葉がでなかった…


「ビックリしたでしょ(笑)」

「いやいやいやいや…今何て言った?」

「だからシバと一緒だって(笑)」

「何が?ちょっと…どういう意味?…は?」

⏰:10/03/26 20:48 📱:F902iS 🆔:d6YbscqY


#248 [シバ]
「言葉のまんま!ちょっと待って♪」

真希は持っていた鞄の中をゴソゴソと物色しだした。

「あった!これ見てみ♪」

渡された物はプリクラだった。
真希ともう1人写ってる…

「『love』って書いてるけど、これ男…じゃないよな。…女?」

⏰:10/03/26 20:53 📱:F902iS 🆔:d6YbscqY


#249 [受験生]
更新ありがとうございます頑張ってください

⏰:10/03/26 21:58 📱:N01B 🆔:.TyrFky.


#250 [我輩は匿名である]
>>249主さんはあんたの為に更新してるわけじゃないと思うし、更新の度にレスしないで欲しい
邪魔だから

⏰:10/03/27 00:01 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#251 [受験生]
確かに私もそう思います。指摘ありがとうございます。

⏰:10/03/27 01:39 📱:N01B 🆔:0FNELGPw


#252 [シバ]
更新します。

>>248

真希は少し恥ずかしそうに笑って、

「それ…あたしの彼氏(笑)」

と言った。
え…?
真希とシバって同じなワケ?

「女の人…だ…よね?」

⏰:10/03/27 22:36 📱:F902iS 🆔:BFsTrTKg


#253 [シバ]
首を傾げて聞いてみた。首の骨がゴキンッてなって更にビックリした。

「女だよ(笑)」

真希は照れながらも話を続けた。

「A高校(仮)のバスケ部だったよ。うちらの1個上」

「A高校?」

「知らない?あ〜、知らないよね。めっちゃ弱小チームだったからね(笑)」

⏰:10/03/27 22:41 📱:F902iS 🆔:BFsTrTKg


#254 [シバ]
「分かんないけど…でも、この人…カッコいいね」

「マジで?何か嬉しいわ♪」

真希のホッペが赤くなった。

「…でもさー」

真希は続ける。

「シバとあたし一緒って言ったけど…相手の見方が違うよね」

⏰:10/03/27 22:43 📱:F902iS 🆔:BFsTrTKg


#255 [シバ]
「…見方?どういう事?」

「あたしも女、彼氏も女。お互い女同士だけど、あたしは彼氏の事を『男』として見てる。…だから相手はあたしの『彼氏』」

「………?」

「シバも女、アイリちゃんも女…アイリちゃんはシバの事を『男』として見てる。シバはアイリちゃんの事を『彼氏』にしたいって思わないでしょ?」

⏰:10/03/27 22:49 📱:F902iS 🆔:BFsTrTKg


#256 [シバ]
よく分かんない…

「分かんないって顔してるね(笑)う〜ん…何て言えばいいかなぁ?………じゃあ、シバはさ。アイリちゃんと付き合う事になったとして、アイリちゃんをどういう目で見る?」

「どういう目って言われても…」

「自分の『彼氏』として見る?それとも自分の『彼女』として見る?どっちかと言ったら、どっち?」

⏰:10/03/27 22:54 📱:F902iS 🆔:BFsTrTKg


#257 [シバ]
真面目な顔して聞いてくるもんだから、シバも必死になって考えた。

お互い女…
シバはアイリの事が好き…
じゃあ、どんな『好き』…?
アイリは可愛いし、生意気で強がったりするけど、すぐ泣くし弱い面を見ると守ってやりたくなるし…

だから答えは、

「…彼女」

⏰:10/03/27 22:59 📱:F902iS 🆔:BFsTrTKg


#258 [シバ]
真希は微笑んだ。

「いいと思う(笑)そしてシバ、顔真っ赤(笑)」

「また?!」

真希に鏡を渡され、そこに映った自分の顔はまさに茹でダコ…
スーパーの鮮魚コーナーに並んでも、まったく違和感はないだろうな〜とか考えてた。
そういうしょうもない事はどんな場面でも考えられる。

⏰:10/03/27 23:05 📱:F902iS 🆔:BFsTrTKg


#259 [シバ]
真希と話をした事によって…
ってか、真希と彼氏(女)の事を聞いて、何故か自信が湧いてきた。

アイリに気持ちを伝えてみようかな…


じゃあ、今日の部活が終わったらアイリに電話を…

「でもねシバ!」

⏰:10/03/27 23:08 📱:F902iS 🆔:BFsTrTKg


#260 [シバ]
また真面目な顔になる真希…
今度は一体何なんだ?


「よく考えるんだよ!」

「え?どうしたの急に(笑)」


「『善は急げ』で行動しちゃダメだからね!」

「また難しい言葉遣う(笑)シバにそんな事言っても伝わんないって(笑)」

⏰:10/03/27 23:15 📱:F902iS 🆔:BFsTrTKg


#261 [シバ]
「あたしも分かんないけど、何となく!」

「何それ(笑)」

「さっき国語の辞書見てたら書いてたから使ってみたのよ!意味はそこまで分かんないけど、たぶんこういう時に遣うんじゃないかって思って!」

「どうでもいいけど声がデカいって!落ち着け(笑)」

⏰:10/03/27 23:19 📱:F902iS 🆔:BFsTrTKg


#262 [シバ]
「今2人は両想いなんでしょ?だからって、すぐ気持ちを伝えよう!…なんて思ったらダメだからね!」


ドキッとした。

「あ〜…まだ伝えないよ(笑)でも、なんで?」

「後々の事も考えとかないとダメだからね。まだ付き合う前なのに、最初っからこんな事言いたくないんだけどさ…」

⏰:10/03/27 23:23 📱:F902iS 🆔:BFsTrTKg


#263 [シバ]
また意味が分からない…

「え?(笑)」

「言いたくないけど、もしもの時の事考えて欲しい」

「もしもって何の事?」

「別れた時の事」


「……何言ってんの(笑)」

⏰:10/03/28 23:16 📱:F902iS 🆔:zV7eI1IQ


#264 [シバ]
馬鹿げてる。
まだ付き合ってもないのに(笑)


…みたいな事ばかり頭の中をグルグル回ってたけど、真希の話から耳を離せなかった。


「女同士で付き合って、『一件落着〜♪』じゃないんだよ?それで一生2人で生きていく!ってお互いで決めて、それを守れるんだったら何も言わない」

⏰:10/03/28 23:20 📱:F902iS 🆔:zV7eI1IQ


#265 [シバ]
真希はシバの目をジッと見ながら話を続けた。

「でもね、シバ…最悪別れたとして、アイリちゃんと付き合う前みたいな関係を続けられると思う?」

話が難しすぎて、シバは混乱した。

「…そんな事、付き合ってみないと分かんないじゃん」

ボソリと呟いてみた。

⏰:10/03/28 23:23 📱:F902iS 🆔:zV7eI1IQ


#266 [シバ]
「もしアイリちゃんから別れを告げてきて、シバは『また会おうね』なんて笑って言える?シバには未練があって、アイリちゃんの事が好きで好きでたまらないのに…逆にアイリちゃんから『また会おうね』なんて言われたとしたら、それって拷問並にキツい事だよ」


「そんな事ばっか言うけどさぁ…」


ちょっと反抗してみた。ちょっと頑張った!

⏰:10/03/28 23:27 📱:F902iS 🆔:zV7eI1IQ


#267 [シバ]
「じゃあ言わせてもらうけど、真希はその女の人?彼氏と付き合う前に、そんな小難しい事ゴチャゴチャと考えられたワケ?」

「考えられるワケないじゃん。まさか自分が同性と付き合う事になるなんて考えもしなかったし」


「ほら!だから何か説得力ないし、シバだって同性のアイリを好きになるなんて考えもしなかったし…」

⏰:10/03/28 23:32 📱:F902iS 🆔:zV7eI1IQ


#268 [シバ]
あ〜…
頑張って強気に出たはいいけど、混乱してて何言っていいのか分かんないわ…


「だから実際、真希にそんな事言われても…ゴニョゴニョ…ボソボソ」


真希は表情1つ変えず、

「あたしが経験してるから言えるの!」

⏰:10/03/28 23:36 📱:F902iS 🆔:zV7eI1IQ


#269 [シバ]
「経験してる?その彼氏と別れたって事?」

「ちーがーう!前の彼氏!」

「あ〜…男?」

「…女」

「は?今の人が初めてじゃないの?」

「違うよ…めっちゃ好きだったのに振られた」

⏰:10/03/28 23:39 📱:F902iS 🆔:zV7eI1IQ


#270 [シバ]
「ちょい待って!真希の恋愛履歴がよく分かんない(笑)中学の時は男と付き合ってたよね?ってか高1の時も…」

「そうだよ。その頃はそれが当たり前だって思ってたからね。人間の恋愛は『男×女』っていうセットが普通なんだ!って思ってた」


「あのさ、ちょっと聞いていい?」

「何?」

⏰:10/04/01 22:35 📱:F902iS 🆔:GpH2QvWY


#271 [シバ]
「いつからなの?」

「何が?(笑)」


「だから、女を好きになる事…いつから同性に興味を持つようになったワケ?」

「分っかんない(笑)気がついたら好きになってた♪人を好きになるってそんなモンでしょ。男とか女とか実際関係ないと思うよ…あたしはね(笑)」

⏰:10/04/01 22:40 📱:F902iS 🆔:GpH2QvWY


#272 [シバ]
そりゃあもう、満面の笑みで答えるモンだから、自然と真希の話に引き込まれてた。

「じゃあ、今の彼氏(女)は何人目?」

「2人目!」

「男と合わせたら何人目?」

「5人目」

「へぇ〜、そうなんだ」

⏰:10/04/01 22:43 📱:F902iS 🆔:GpH2QvWY


#273 [シバ]
「今の彼氏と付き合う前の彼氏…女なんだけどね。元カレっていうのかな?メチャクチャ好きだったのよ…」

「どっちから告ったん?」

「あ〜…告白とかは向こうから。女の人に告られたのとか初めてだったからワケ分かんなくなっちゃってさ(笑)『え?え?あたしですか?』とかバカみたいにパニクってたわ(笑)」

⏰:10/04/01 22:46 📱:F902iS 🆔:GpH2QvWY


#274 [シバ]
「それがいつ?」

「高1の秋。彼氏(男)と別れてすぐだったよ」


「ふ〜ん」


「でもさ、いきなり同性に告られるとかメッチャびびるでしょ?普通に考えて!」


「まぁね」

⏰:10/04/01 22:51 📱:F902iS 🆔:GpH2QvWY


#275 [シバ]
「だからその女の元カレと2人で会う時も、ガッチガチだったわ(笑)向こうが話とかリードしてくれてたんだけど、自分の彼氏が『女』っていうのにキョドりまくりでさ」

「うんうん」

「でも…会う回数が増えれば増えるほど、その人の事が分かってくるし、もっと知りたい!って思うようになったし…」

⏰:10/04/01 22:55 📱:F902iS 🆔:GpH2QvWY


#276 [シバ]
「うん」

「逆に会えない時とか…も〜、寂しいなんてモンじゃなくてさ(笑)『寂しいからギューッて抱きしめにきてよぉ』とか(笑)何でだろうね。男と付き合ってた時はこんな想いした事ないのに…とか色々考えてた」

「へぇ〜」

「たぶん、お互い女だったから分かり合えるモノがあったのかな〜?って思う」

⏰:10/04/01 22:59 📱:F902iS 🆔:GpH2QvWY


#277 [シバ]
真希は嬉しそうに思い出を語っていた。

「…気がついたら向こう以上に、こっちが夢中になってた。告ってきたのは向こうなんだから、あたしはドッシリ構えてていいんだ♪とか余裕ぶっこいてたんだろうね。まさか自分がフラれるなんて思ってもみなかったよ」

さっきまでの嬉しそうな雰囲気が、一瞬にして逆転した。

⏰:10/04/01 23:03 📱:F902iS 🆔:GpH2QvWY


#278 [シバ]
「フラれたんだよ、あたし(笑)告ってきたの向こうなのに…酷いよね」

「…何でフラれたん?聞いていいのか…?これ」
「いいよ(笑)あのね…一言だけ『遅い』って言われた(笑)」

「遅い?」

「うん」

「ねぇ、話が掴めないんだけど」

⏰:10/04/01 23:07 📱:F902iS 🆔:GpH2QvWY


#279 [シバ]
「うん。あたしもよく分かんない(笑)」

「え?!」

「だって告ってきたの向こうなのに、なんであたしが『遅い』とか言われないといけないの?(笑)」

「そりゃあ、そうかもしれないけど…お前それで別れる決意したワケ?理由もよく分かんないのに?」

⏰:10/04/04 20:15 📱:F902iS 🆔:do4yczIo


#280 [シバ]
「だってさぁ…しゃーないよ(笑)」

「お前なぁ…」

「その元カレによく『お前』って呼ばれてたなぁ…懐かしい」

「いや、そうじゃなくて…」

「たぶん、あたしが気持ち伝えるのが下手だったんだと思う」

笑ったり深刻な顔したり…真希の表情は忙しく変わる。

⏰:10/04/04 20:21 📱:F902iS 🆔:do4yczIo


#281 [シバ]
「最初、女同士で付き合うって事にかなり抵抗があったからさぁ…」

「ってか話それるけど、周りの友達とかには話したの?女と付き合ってるって事」

「話してないよ(笑)」

「周り気付かなかったの?」

「気付いてないと思うよ。だからダメになったんだと思う(笑)」

⏰:10/04/04 20:27 📱:F902iS 🆔:do4yczIo


#282 [シバ]
真希の話がどんどん難しくなってきた。


「ごめん…意味がいまいち分かんない」

「だから…(笑)あたしが周りに彼(女)の事話しとけば、こんな事にならなかったのよ〜…あ〜あ…」

「なんで?」

「恋バナで盛り上がる年頃なのにさぁ…」

⏰:10/04/04 20:36 📱:F902iS 🆔:do4yczIo


#283 [シバ]
またも深刻な顔になる真希…

「まぁ、あたしは男の彼氏と別れたばっかりだったからしばらく恋バナとかするつもりなかったからさ…しかも新しい相手が女だったから、そんな事友達とかに話せるハズもなく…」

「まぁ、そうだろうねぇ」

「うん。でも彼氏(女)としては、話して欲しかったみたいでね。コソコソしたくないからって…」

⏰:10/04/04 20:42 📱:F902iS 🆔:do4yczIo


#284 [シバ]
「へぇ。まぁ確かにコソコソはしたくないわな」

「彼氏(女)にとっては周りに知って欲しかったんだって。周りの理解があったらもっと上手く付き合っていけると思ってたみたいでね。あたしの事本当に好きだったんだって」

「いい彼氏じゃん」

「でしょ?だからあたしが悪かったんだよね…周りにちゃんと言っとけばよかった」

⏰:10/04/04 20:51 📱:F902iS 🆔:do4yczIo


#285 [シバ]
「真希が周りに言っとけば、何か変わってたと思う?」

「全然変わってたと思うよ。今も続いてる自信はある(笑)」

「あらまぁ…自信あるんだ(笑)」

「彼(女)にとって、あたしが周りに言わなかったのは『真希は自分の事本当に好きなんじゃないのかもしれない』って捉えられたみたいね(笑)…ってか、あれ?あたし泣いてる(笑)」

⏰:10/04/04 20:54 📱:F902iS 🆔:do4yczIo


#286 [シバ]
「…は?」

シバは顔を上げて真希の顔をジッと見つめた。
真希の目は赤くなり、両手で顔を覆って涙を流していた。

「あぁ〜…泣いたら今の彼氏に怒られる(笑)も〜…」

とか言ってシバに抱きついてきた。


「シバ〜…しばらくこのままでいさせて(笑)簡易的でいいからギュッてして(笑)」

⏰:10/04/04 20:58 📱:F902iS 🆔:do4yczIo


#287 [シバ]
真希の女の子らしい仕草を見せつけられ、勝手にドキドキしていたシバ…
真希はそのまま話を続けた。

「今分かった…あいつの言ってた『遅い』の意味がやっと分かった…うん、本当に遅かった」

「…………」

「あいつに『好き』って気持ちをちゃんとした形で伝えてないわ、あたし…」

⏰:10/04/04 21:02 📱:F902iS 🆔:do4yczIo


#288 [シバ]
「………」

「『あたし達ちゃんと上手くやっていけるかなぁ?』とか『大丈夫かなぁ?』って不安とか戸惑いしか伝えてない…『好き』ってちゃんと伝えとけばよかった。こんなに好きなのに…」

真希の泣き顔は可愛かった。
だけど…
シバの胸で泣くのはいいけど、シバの制服に鼻水つけないで…

⏰:10/04/04 21:07 📱:F902iS 🆔:do4yczIo


#289 [シバ]
「…よし!もうやめ!泣かない!」

真希はシバから離れた。真希を簡易的にギュッてする間もなく、真希は涙を拭った。
散々鼻水垂らしまくって解決したみたいだ。

「泣いたら今の彼氏に悪いよね…あたし最悪だわ(笑)ってか、シバとアイリちゃんの話してたのにゴメンね(笑)」

鼻水についての謝罪はなかった。

⏰:10/04/04 21:12 📱:F902iS 🆔:do4yczIo


#290 [我輩は匿名である]
あげ!!

⏰:10/04/08 23:33 📱:SH05A3 🆔:iErWNHK.


#291 [シバ]
>>290さん

あげありがとうございます!
なかなか更新できず、すみません(/_・、)
明日からまた更新させてもらいます

⏰:10/04/09 23:57 📱:F902iS 🆔:3sQqa.sc


#292 [マイル]
鼻水どんまい!

⏰:10/04/10 08:00 📱:SH02A 🆔:☆☆☆


#293 [シバ]
>>292
マイルさん

コメありがとうございます
鼻水を付けられてもあの状況では突っ込めませんでした(´・ω・`)笑


更新します!

⏰:10/04/10 15:04 📱:F902iS 🆔:1zlk7pX.


#294 [シバ]
「真希は今の彼氏(女)よりその元カレ(女)の方が好きなんじゃないの?今でもさぁ」

鼻水をつけられて、引きつったままのシバはとりあえず何か喋って鼻水の事を忘れようとした。

「うーん…たぶんそうなんだと思う(笑)」

鼻をグスグス言わせながら真希は笑って答えた。

⏰:10/04/10 15:10 📱:F902iS 🆔:1zlk7pX.


#295 [シバ]
「今のままでいいワケ?」

「うん…だって、しゃーないよ(笑)時すでに遅し(笑)」

「今の彼氏と別れたいとか思わない?」

「それはないね(笑)」

「なんで?」

シバには理解できなかった。
彼氏はいるけど、別の…ましてや元カレの事が好きなのに他の人と付き合えるなんて…

⏰:10/04/10 15:14 📱:F902iS 🆔:1zlk7pX.


#296 [シバ]
「もちろん今の彼氏の事好きだよ!だからこそ、もう後悔したくないし、大切な人を失いたくないし…相手が想ってくれてる気持ちに今度はキチンと応えたい」



ナルホド…
何となく納得できた。
真希には真希なりの考えがあるんだ。
好きとか嫌いとかのレベルじゃなくて…
ちゃんと考えてるんだ。

⏰:10/04/10 15:19 📱:F902iS 🆔:1zlk7pX.


#297 [シバ]
「あたしの事はどうでもいいのよ(笑)とにかく、今はシバとアイリちゃんの事でしょ?」

「お前がピーピー泣くから話がそれたんだろうが!」

「あは〜♪そうね(笑)…んじゃあ、今のシバとアイリちゃんの事教えてよ!」

電話してる事、手紙書いてる事、お互いがどう想っているのか…事細かく話をした。

⏰:10/04/10 15:24 📱:F902iS 🆔:1zlk7pX.


#298 [シバ]
「………とりあえず、今はこんな感じ」

話し終えると、真希は俯いた。
しばらくして、顔を上げた。

「OK!よし…シバ!気持ち伝えてみな」

「ホントに?ホントにそう思ってる?」

「うん…あ、やっぱ微妙(笑)」

「何それ」

⏰:10/04/10 15:27 📱:F902iS 🆔:1zlk7pX.


#299 [シバ]
「だってさぁ…それはシバ次第だからあたしみたいな第三者がゴタゴタ言う事じゃないじゃん(笑)まぁ、あたしは気持ち伝えてみるべきだと思うけどね♪」

「…確かにね」

気持ちを伝えた後の自分は泣いてるのか笑ってるのか、後悔するのか歓喜してるのか…

こんな気持ち初めての事だから!っていう思いもある。
だけど…

⏰:10/04/10 15:32 📱:F902iS 🆔:1zlk7pX.


#300 [シバ]
それ以上に怖い…
アイリを失うんじゃないかって気持ちが心の中で渦巻いてる。

気持ち伝えて、アイリとの今の楽しい時間が無くなるくらいなら、いっそ片思いでもこのままでいいんじゃないかって思った。

でも、今になってやっと分かった。
あの合宿の時に、アイリがシバに言った一言…

⏰:10/04/10 15:36 📱:F902iS 🆔:1zlk7pX.


#301 [シバ]
『アイリだけの物でいてほしい』

『シバさんには分かんない!アイリがどれだけヤキモチ妬いてるのか』



…あの時、シバにはその意味が分からなかった。何言ってんだコイツ…くらいに考えてたから、本当にどうでも良かった。

⏰:10/04/10 15:42 📱:F902iS 🆔:1zlk7pX.


#302 [シバ]
『だからシバさんには分かんないんですって…アイリ側の立場を経験してないから』


確かにその通りだった。
でもねアイリ…
こんな馬鹿なシバでも、やっと意味が理解できたよ。
あの時分かってやれなくて本当にゴメンね…

アイリ…シバだけの物でいてほしい…

⏰:10/04/10 15:47 📱:F902iS 🆔:1zlk7pX.


#303 [シバ]
シバの中で答えが出た。

真希はそれを察したかのように優しく笑っていた。



しばらく2人ともボンヤリしていると、昼休み終了のチャイムが鳴った。空き教室のドアを開け廊下に出る時に、真希は後ろからシバの腰をポンっと軽く叩いた。
「頑張れ」と言ってくれてるんだろう。

⏰:10/04/11 23:53 📱:F902iS 🆔:TgK0/xd.


#304 [シバ]
夕方になり、部活の時間になった。

アイリの事を考えて、どんな場面でも上の空状態だったシバ…

だけど、この日の部活は違った。
バスケット以外の事を考える事なく、練習に集中していた。

昼休みに真希と話せた事によって、心の中でモヤモヤしていた物がすっ飛んでいった気がした。

⏰:10/04/12 00:07 📱:F902iS 🆔:dB7zQ7P.


#305 [シバ]
部活終了…

シバは、高いのか低いのか良く分からないテンションのまま体育館を出た。

体が緊張してる…
胸がドキドキしてる…

呼吸が浅くなっているのは自分でも分かった。
だから何度も深呼吸を繰り返したけど、落ち着く事はできなかった。

⏰:10/04/12 00:12 📱:F902iS 🆔:dB7zQ7P.


#306 [シバ]
シバは鞄の中から大きな小銭入れ(アンパンマンのやつ)を取り出した。

異様にボコッと膨らんでいる…
この日の為に貯めてきた10円玉達だ。


シバは決心した。
この気持ちをアイリに伝えよう…
タイミング的に今でいいのか…?とか色々考えた。

⏰:10/04/12 00:17 📱:F902iS 🆔:dB7zQ7P.


#307 [シバ]
この気持ち…というか、この勇気みたいな物が萎んでしまう前に、シバはアイリに気持ちを伝えたかった。
いつまでもオロオロソワソワしてた所で、実際は何も変わらないのだから…

この最高潮に達しそうな緊張感を無駄にはできない。
これを打開して、アイリに気持ちを伝えに行こう…

⏰:10/04/12 00:22 📱:F902iS 🆔:dB7zQ7P.


#308 [シバ]
着替えて靴を履く。

真希に「行ってきます」と一言言おうと思ったけど止めた。
真希にいい報告ができればいいなぁ…

とか思っていると、少し離れた場所にいる真希は昼休みに見せた笑顔をシバに向けてくれた。
無言の中に真希の優しさと、真希からのエールみたいな物を感じる事ができた。

⏰:10/04/12 00:29 📱:F902iS 🆔:dB7zQ7P.


#309 [シバ]
真希のおかげで力んでいた体が軽くなった。

こういう時に分かる真希の優しさ…

あー、自分って真希に助けられてばっかだなぁ…とか考えながら公衆電話へと向かった。

いつもなら少し遠くに感じる距離…
今日はまったくその逆…
心に余裕がなかったのだろう。
あっという間に着いてしまった。

⏰:10/04/12 00:35 📱:F902iS 🆔:dB7zQ7P.


#310 [シバ]
小銭入れ(アンパンマン)を取り出した。
その中にはアイリの携帯番号を控えた紙が入ってる。

だけど、電話をしているうちに暗記していた為、この紙はもう必要ないな…って思って取り出さなかった。

とりあえず10円玉を10枚ほど取り出し、手に乗せた。
深呼吸を数回行ってから、10円玉をグッと握りしめた。

⏰:10/04/12 00:42 📱:F902iS 🆔:dB7zQ7P.


#311 [マユタン]
続き気になるょ〜また書いて下さい

⏰:10/04/18 11:18 📱:F02A 🆔:J0YEiBmw


#312 [シバ]
>>311
マユタンさん


ありがとうございますなかなか更新できず、すみません
今から更新しますね!

⏰:10/04/18 19:00 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#313 [シバ]
>>310


10円玉を公衆電話に入れていく。
これでもか!ってくらい入れまくると、途中で10円玉が落ちてきた。



よし…!
0…9…0…


アイリのケータイ番号をポチポチした。

⏰:10/04/18 19:04 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#314 [シバ]
しばらく沈黙が続き、数秒経ってからプルルルル…と鳴り出した。

やっぱりこの瞬間は緊張してしまう。
ドキドキの中に妙な期待とかワクワクしたような感情があって、何とも言い表せない気持ちでいた。

受話器を持ったままキョロキョロしていると、鼻の頭に何かが落ちてきた。

「あ、雨だ」

⏰:10/04/18 19:12 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#315 [シバ]
朝の天気予報では『晴れ』って言ってたじゃん!

あ、でも降水確率見てねーや…
今日1日曇ってたし、雨降っても可笑しくはないっか。
でも、雨降り出したら厄介だなぁ…
アイリ〜!!



ガチャッ…
「…もしもし」

⏰:10/04/18 19:15 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#316 [シバ]
愛しい声が聞こえる。
その声を聞いたら、自然と笑顔が出てくる。

その声がないと、今のシバは頑張れないよ…


「うぉい!アイリちゃん♪元気してましたか?(笑)」

「…あはは。シバさん」

「何してたんかい?」

「…何って…宿題?予習みたいなヤツ」

⏰:10/04/18 19:18 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#317 [シバ]
ふと思った…

今、アイリに『シバさん』って呼ばれた…?

『シバっち』とか呼んでなかったっけ?
何気ない瞬間だったけど、直感で思った。

嫌な予感がする…



「あ〜、宿題ね。ってか、アイリが宿題するとか何かウケる。意外で(笑)」

⏰:10/04/18 19:22 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#318 [シバ]
「…そうですかぁ(笑)」


そうですかぁって…

笑ってるけどお前、いつもなら『あはは。よく言われます』なんて言ってシバを笑わせてくれるじゃん。


「…あ、宿題するならまた後で電話するよ。今大変でしょ?」

「あ〜いや…大丈夫ですよ」

⏰:10/04/18 19:26 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#319 [シバ]
何かぎこちない…

年上のシバがリードしないと!

「ってか、この前リナからアイリのプリクラとか見せてもらったよ♪」

「…は?嘘…」

「いやいや、本当(笑)…え…どうしたの?」

「あ、いや…別に…」

胸のドキドキが異常だった。
緊張とかとは違う変なドキドキ…
シバ…焦ってないか?

⏰:10/04/18 19:30 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#320 [シバ]
「何何…何かあったのか?アイリ今日、元気ないね」

「う〜ん…」



何なんだよ…
何かあるなら言えよ!
次第に苛立ちを感じるようになった。


「どうしたのさ。恋の悩みか何かあるんかぁ?(笑)」

⏰:10/04/18 19:35 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#321 [シバ]
ちょっと唐突すぎたかな?
でも、シバは直感で感じた事を聞いたまで…

アイリの返事を待った。

「……………」

何も喋らなくなった。
アイリは風邪を引いているのか、受話器の向こうで鼻をグズグズ言わせている。
それしか聞こえない。

⏰:10/04/18 19:38 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#322 [シバ]
「おいって!(笑)もしも〜…」

「…はい」

「は…?」

「…そうですよ」


心臓がグワッと熱くなった。
シバは今、アイリに何を聞いた?
アイリは何て答えた…?

「…すみません」

⏰:10/04/18 19:40 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#323 [シバ]
何?
何で今謝った?

「…え?…へ?ってか…何?(笑)ごめん、何かよく分かんない(笑)」

シバのテンパり具合は最高潮に達した。

「シバさん…バカ」

「何がバカだよ(笑)」

「何となく」

「意味が分かんない(笑)」

⏰:10/04/18 19:43 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#324 [シバ]
しばらく沈黙…

しばらくってか大分…


10円玉が次々と公衆電話の餌食となっていく。シバは震える手で10円玉を入れ続けた。


こうして沈黙が続いても喋っても、10円玉はどんどん無くなっていく。
何か喋らないと…

「…アイリどうした?」

⏰:10/04/18 19:47 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#325 [シバ]
「あ…の…」

やっと喋ってくれた…とか思ってたら、アイリの様子がおかしい。

電話の向こうで泣いているようだった…
風邪なんか引いてない…

シバからの電話を取った時から泣いてたんだ。

嫌な予感は的中した…

「アイリ…彼氏が出来ました」

⏰:10/04/18 19:50 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#326 [シバ]
心臓が破裂するんじゃないかと思った…

耳が遠くなった気がした。
シバは立ち尽くした。

「…男?」

「はい…」

「え…何それ(笑)話違うじゃん(笑)」

「…何がですか?」

「アイリ…シバの事好きって…言ったよね?言ってくれたよね?」

⏰:10/04/18 19:54 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#327 [シバ]
「はい…」

「あれって嘘だった…とか?」

「…嘘なんかじゃないですよ」

「は…?じゃあ…ってか、マジで意味が分かんないんだけど」

「……………」

「何で?(笑)なんなワケ?(笑)シバからかわれてた?」

⏰:10/04/18 19:56 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#328 [シバ]
「からかってなんかない!」

電話の向こうでアイリは叫んだ。
ビックリした…

「一方的な片思いだったじゃないですか…アイリの…」

「……………」

「シバさんは気付いてないかもしれないけど、アイリ…相当辛いんですよ」

⏰:10/04/18 19:59 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#329 [シバ]
「アイリが辛い?何でアイリが辛いのさ!」


「あの合宿の時の事…覚えてますか?夜、2人で部室行ったじゃないですか」

「…忘れるワケないじゃん。覚えてるよ」

「シバさんは、アイリのキスを拒んだ」

「拒んだとかじゃなくて…ビックリしただけだよ!だっていきなり…」

⏰:10/04/18 20:02 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#330 [シバ]
「その後、あっさりフラれましたよね、アイリ…」

「…あぁ、まぁ」

「あれ、相当ショックだったんですよ…」

「…ごめん」

「アイリはずっとシバさんの事が好き…シバさんはアイリの事を友達とか後輩として見てる…そんな中、電話や手紙…複雑すぎました」

⏰:10/04/18 20:06 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#331 [シバ]
「何が複雑なのさ…」

「シバさんはアイリの事を好きでも何でもないのに、思わせぶりな態度で接してくる…こんな辛い事…もう嫌だよ…」

「電話とか手紙とか迷惑だったってワケ?」

「違う!そんなんじゃないよ…」


アイリの泣いてる顔が頭に浮かんできた…

⏰:10/04/18 20:09 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#332 [シバ]
「迷惑とかじゃなくて…嬉しかったです。冗談抜きで本当に…わがままなアイリに付き合ってくれて…」


「……………」



「これから先、シバさんにいつ会えるか分かんない…でも、会えなくても好きだ!っていう気持ちは強くなっていくばかりで…」

⏰:10/04/18 20:12 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#333 [シバ]
胸がジーンってなって、シバも泣きそうになった。

「でも、シバさんはアイリに対してそういう感情はないっていうのが分かって本当に辛くて…これ以上、シバさんに迷惑はかけられない…」

「…本当にそう思ってんの?」

「はい…だってシバさん、アイリに言ったじゃないですか…」

「何を…」

⏰:10/04/18 20:16 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#334 [シバ]
「『シバもアイリも女同士だ!』って…」

「……………」


「だから無理なんでしょ?性別はやっぱり大事ですもんね…」






「この…ボケ!アホ!あ゙〜!」

⏰:10/04/18 20:19 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#335 [シバ]
「え…?」

シバの中で何かが爆発した。
いろんな感情が湧き上がってきた。
もう、こうなりゃ自分の気持ちをウザいくらいぶつけてやるよ!
本当の気持ちを…!


「あ゙〜!もう!シバはお前の事が好きなんじゃ!女とか男とかそんなん関係ない!アイリの事が好きなんだ!」

⏰:10/04/18 20:22 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#336 [シバ]
「……………」


「そりゃ、最初はビックリしたよ!『何言ってんだコイツ』とか思ってたよ!でもな!時間が経つにつれて、どんどんお前に惹かれていったよ!最終的に『好き』になったよ!いつかこの気持ち伝えようって思ってた矢先だよ、お前の『彼氏できた』発言…」


「シバさん…」

「何さ…」

⏰:10/04/18 20:26 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#337 [シバ]
「………」

「何?何か喋れよ!」





「……遅いよぉ」

そう言うと、アイリは号泣し出した。
シバは受話器を持ったまま、アイリの泣き声を聞く事しかできなかった。

⏰:10/04/18 20:29 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#338 [シバ]
物凄い後悔の嵐が襲ってきた…
自分を責めて責めて、責めた。


何アイリのせいみたいな事言ってんだ自分…
ホント馬鹿だろ…シバ。何でもっと早く気持ちを伝えなかった…?
何余裕ぶっこいてたんだ?

考えれば考えるほど、頭の中がグルグル回っておかしくなりそうだった…

⏰:10/04/18 20:34 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#339 [シバ]
「彼氏…名前何ていうの?」

「…………」

「あは…(笑)教えたくないなら別に…」

「…秀一(しゅういち)」


ああ、やっぱりだ…
あのプリクラの『S』のイニシャルはシバの『S』じゃない…

シバは無理やり笑った。

⏰:10/04/18 20:37 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#340 [シバ]
「秀一君っていうのかぁ…シバと付き合えなかったのは、その秀一君と出会う運命だったんだよ、きっと(笑)運命は誰にも変えられないからねぇ(笑)」

この辺りからシバは泣いてた。
もちろんバレないように…




「シバさん…」

⏰:10/04/18 20:40 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#341 [シバ]
「アイリは可愛いよ。可愛いし、なんだかんだ言ってしっかりしてる!でも、わがままだよね(笑)」

「………」

「そのわがままなアイリを幸せにできるほど、シバは人間できちゃいないからなぁ〜(笑)秀一君の方がしっかりしてるかもよ(笑)おい秀一!アイリの事守ってやれよ!…なんてね(笑)」

⏰:10/04/18 20:43 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#342 [シバ]
「…ふふ(笑)」

アイリは泣きながら笑った。


「あ〜、そろそろ10円玉切れるわ…じゃあそろそろ…ね」

…本当は10円玉なんてまだまだ腐るほどあったんだ…


「まぁ、あれだ…その〜、何ていうか…負けを認めるワケじゃないけど…幸せになれよ!」

⏰:10/04/18 20:46 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#343 [シバ]
「…もね」

「え…?」

「シバっちもね。幸せになって…」


この場面でシバっちとか反則だろ〜…
一気に涙が出てきた。


「はいはい!じゃあ、またね。また会う日まで…」

「うん。シバっち、元気でね。ありがとう」

⏰:10/04/18 20:52 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#344 [シバ]
電話を切った…
ありがとうじゃねーよ…


受話器を置いた瞬間、たくさんの10円玉が出てきた。
あんた達ももう必要ないんだね…
10円ガムでも大量に買おうかな…

雨は激しく降り続けていた。
いつからこんなに激しくなったんだろ…

⏰:10/04/18 20:55 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#345 [シバ]
顔を上げたら容赦なく雨が降り注いでくる。

真希…
シバも『遅い』ってフラれたよ…

こんな中泣く事になるなんて思いもしなかったよ…
楽しかった毎日にも、これでピリオドを打ったな…


情けないけど、みっともないけど、ビショビショになりながら思いっきり泣いた。

⏰:10/04/18 21:01 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#346 [シバ]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

⏰:10/04/18 21:25 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#347 [シバ]
「おかえりー…うわっ!あんたどうしたの?ビショビショ…」

気がつくと家の玄関に立っていた。
母さんが出迎えてくれた。
バスタオルを持ってきてくれ、シバは鞄を置き、体を拭いた。


「もー、一言言ってくれれば迎えに行ったのに…」

⏰:10/04/18 21:35 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#348 [シバ]
「大丈夫だよ」

「大丈夫じゃないから言ってるんでしょ。も〜、おバカ」

「ごめんなさい」

「ほら、上がって…靴下脱いでね。すぐ脱衣所行きなさい」


ボンヤリしたまま脱衣所へ…

⏰:10/04/18 21:37 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#349 [シバ]
リビングに置いてあった洗濯物の中から、適当にTシャツと短パンを取り出して着た。

廊下の方からはご飯食べなさい的な母さんの声が聞こえた。

無視したワケじゃないけど、とりあえずボンヤリしながら自分の部屋へと向かった。
泣きすぎて目の周りが痛い…

部屋のドアを開けた…

「真希…?」

⏰:10/04/18 21:41 📱:F902iS 🆔:22c57y5w


#350 [我輩は匿名である]
あげるよん

⏰:10/04/24 22:27 📱:F02A 🆔:ZfVpRBLY


#351 [シバ]
>>350さん
あげありがとうございます!

更新します。




>>349

ドアノブを持ったまま、シバは呆然とした。
そこにいたのは真希…
制服姿で、ビショビショになった髪をタオルで拭いている所だった。

⏰:10/04/25 23:13 📱:F902iS 🆔:nqEBLkDE


#352 [シバ]
「ビショビショになっちゃったよぉ(笑)」

真希は笑った。

「…え?真希…なんで?ってか、何してんの?」

「傘忘れた(笑)」

「いやいや。アンタの家逆方向だし、真希ん家の方が近いでしょ、明らかに」

真希はタオルをシバに向かって投げた。

⏰:10/04/25 23:15 📱:F902iS 🆔:nqEBLkDE


#353 [シバ]
「それで拭きな!シバも頭ビショビショじゃん」

人ん家で偉そうにしている真希は、誰の家でも我が家のようにくつろげる。
それは昔から変わっていない。

これシバのお気に入りのブラウンのタオル…

フワフワ生地で吸水性に優れているから、シバの入浴後に小さな幸せを与えてくれるベストアイテムだったのに…

⏰:10/04/25 23:21 📱:F902iS 🆔:nqEBLkDE


#354 [シバ]
「そのタオルいいね。あたしも買おうかな♪部活中とかに使うと絶対癒される(笑)」


「…これ、シバのお気に入り」


「だろうなぁ…シバ、茶色系の物好きだもんね♪」


「………」

「………」

⏰:10/04/25 23:24 📱:F902iS 🆔:nqEBLkDE


#355 [シバ]
沈黙…



外の雨は更に激しくなっていた。
雨音しか聞こえない。
でも、この沈黙の中に音があって良かった…
シーンとしてたら絶対オロオロしてた。


シバはびしょ濡れになった小銭入れを机の上に放り投げた。

⏰:10/04/25 23:29 📱:F902iS 🆔:nqEBLkDE


#356 [シバ]
真希は小銭入れ(アンパンマンのやつ)を見つめている…

「それ、ちゃんと乾かさないとカビ生えちゃうよ」

「いいよ別に…もう使わないから」

「使わないの?」

「うん…もう、必要ない」

「そんな寂しい事言わないの!アンパンマンは顔が濡れると力が出ないんだよ!今のシバと一緒」

⏰:10/04/25 23:33 📱:F902iS 🆔:nqEBLkDE


#357 [シバ]
誰が上手い事を言えと言った?

でも、この時のシバは笑えなかった。
ってか、その言葉からして真希にはバレバレだったんだな…

フラれたって事…


「お疲れ様」

真希は笑顔を向けてくれた。
それに対してシバは無言…

⏰:10/04/25 23:36 📱:F902iS 🆔:nqEBLkDE


#358 [シバ]
ありがとう♪とか言えればなぁ〜…
多少は大人っぽい様に見られてたんだろうけど…


「あたしから『どうだった?』なんて聞かないよ。聞かないから…シバが落ち着いてからでいいから話して欲しい…嫌なら嫌って言ってね(笑)無理に話せ!なんて言わないからさ」

そう言うと、真希は立ち上がった。

⏰:10/04/25 23:41 📱:F902iS 🆔:nqEBLkDE


#359 [シバ]
目で追っていくと、真希はドアの前に立っていた。

「…もう帰るの?」

「シバが帰ってくるの待ってただけだから(笑)無事で何より♪」

「あのさ…」

「ん〜?」


本当はこのタイミングでアイリの事を話したかった。
だけど、真希と目が合った瞬間、目頭がジーンと熱くなって涙が出そうになってしまった…

⏰:10/04/25 23:45 📱:F902iS 🆔:nqEBLkDE


#360 [シバ]
「…………」

「無理しないで。今日は早く寝るんだよ♪また明日ね。オヤスミ」


真希は、シバの頭に置いてあったブラウンのフワフワタオルを優しく持ち上げた。

「あ、それ…」

「自分で使った物はちゃんと洗って返すよ(笑)これ基本♪じゃあね」

⏰:10/04/25 23:49 📱:F902iS 🆔:nqEBLkDE


#361 [シバ]
真希は優しくドアを閉めた。
廊下をトントンと歩いていく音を聞いていた。


母さんと真希の話し声がしばらく続き、玄関のドアが閉まった。

シバはベッドに寄りかかって、電話の事を思い出していた。
本当は思い出したくないのに…
でも、頭の中はその事でいっぱい…

⏰:10/04/25 23:56 📱:F902iS 🆔:nqEBLkDE


#362 [シバ]
泣きすぎて目が痛い。
気分も悪い。

ふと鏡に目をやる。


「…変な顔(笑)」

自分の泣き疲れた顔がくっきりと映っている。
プリクラ機みたいに修正がまったく効かないから、これが素の顔。

一瞬笑えた。
んで、また涙が出てきた。
ティッシュを何枚も何枚も出して、目と鼻を拭いた。

⏰:10/04/26 00:01 📱:F902iS 🆔:Xlk1up9c


#363 [シバ]
翌日…

目はボッコリと腫れ、鼻の下は赤くなり、ティッシュで擦り切れてとんでもない事になっていた。

泣きすぎて気分は悪いし、心はズキズキと痛むような変な感じだし…
最低最悪のコンディションだったけど、学校も部活も休むわけにはいかない。

とりあえず着替えて、家を出た。

⏰:10/04/27 22:11 📱:F902iS 🆔:gfQbMhcI


#364 [シバ]
玄関のドアを開ける。


歩く。


いつもと変わらない風景が続く。

あの公衆電話の前は、嫌でも通らないと学校には行けない…

公衆電話通過…

うわぁ〜涙出そう…

⏰:10/04/27 22:18 📱:F902iS 🆔:gfQbMhcI


#365 [シバ]
毎日こんな気持ちのまま、公衆電話の前を通らないといけないのか…

部活よりも遥かに憂鬱だ。
憂鬱というか、切ない。切ないっていうか、虚しい。

ネガティブな言葉しか浮かんでこない…

そんな自分に腹が立つ。でも…
このショックは大きすぎる…

⏰:10/04/27 22:21 📱:F902iS 🆔:gfQbMhcI


#366 [我輩は匿名である]
あげるよん

⏰:10/05/14 19:06 📱:F02A 🆔:LufTqZdM


#367 [我輩は匿名である]
>>100-150
>>150-200
>>200-250
>>250-300

⏰:10/05/15 04:30 📱:W61CA 🆔:vUHF1Odg


#368 [我輩は匿名である]
あげ

主さん頑張ってくださいね\(^O^)/

⏰:10/05/17 23:08 📱:N02A 🆔:c4U2fRXU


#369 [シバ]
みなさん上げありがとうございます(*^_^*)
シバです!
ケータイ変えました。

なかなか更新できずすみません
今日の夜あたりからまた更新していきます!

よろしくお願いします!

⏰:10/05/22 13:42 📱:F02B 🆔:mZlOmohk


#370 [シバ]
久々更新します!


>>365
教室に着いた。
ボーっとしてみても、溜め息を吐いてみても、心の中のショックは何も変わらない。

このまま死んでもいい…誰かシバを殺してくれないかな…


…な〜んて恐ろしい事考えてたりもした。

⏰:10/05/22 18:34 📱:F02B 🆔:mZlOmohk


#371 [シバ]
そんな時は1人でいても、マイナスなスパイラルに陥ってしまうだけだ。

心に蓋をして1人で考え込んでも、ただただ辛いだけ…

ふと真希の方に目を向ける。
さっきも「おはよ」って一言交わしただけで、今日は何も喋ってない事に気付く…

ビショビショになりながらも、心配してシバのもとに来てくれた真希…

⏰:10/05/22 18:40 📱:F02B 🆔:mZlOmohk


#372 [シバ]
「(…真希に話そう)」


そう決めた。
この前みたいに、

「真希にアイリの事話そうかな?どうしようかな?」

なんてオロオロしなかった。
即決だった。



昼休み…

「真希〜話がある!」

⏰:10/05/22 18:43 📱:F02B 🆔:mZlOmohk


#373 [シバ]
弁当箱を包んでいる最中だった真希は、一瞬ビックリしたような表情を見せた。
(多分、あの顔はビックリした顔だったと思う)


「え?あ、うん」

真希は片言で答えた。

隣の空き教室に呼び出した。


真希は黙ったまま、古い机に腰掛けた。

⏰:10/05/27 21:23 📱:F02B 🆔:Jyle7NeE


#374 [シバ]
無言の空間…
なんか痛い…この空気…


「あのね、真希」

「うん」



フラれたよ…



心の中で呟いてみる。
でもなぜか、口に出せない…
心臓が飛び出しそう。

⏰:10/05/27 21:25 📱:F02B 🆔:Jyle7NeE


#375 [シバ]
緊張みたいな、フラれた事実を認めたくないみたいな、同情されたくない!みたいな、変な感情が自分の中で渦巻いている感覚だった。

「………」

無理に笑顔を作ろうとしたら、逆に泣きそうになる。
親友の前で何強がろうとしてんだろ…
馬鹿かシバ…

真希からも何も喋ろうとはしない。

⏰:10/05/27 21:30 📱:F02B 🆔:Jyle7NeE


#376 [シバ]
その時だ…

「ぶぅぇあっくしょい!」


教室中に響き渡るようなくしゃみ…

真希だった。

真希は可愛い顔して、オッサンのような勢いのあるくしゃみをする。


シーンとした教室だったから、尚更おかしく感じた。

⏰:10/05/27 21:34 📱:F02B 🆔:Jyle7NeE


#377 [シバ]
「え?あははははは〜!ぎゃはははははは〜!ごめんちゃい♪」


シバが笑う前に笑い出す真希。
顔は可愛いのに…

「え?え?くしゃみ…ぎゃはははははははははは」

真希のくしゃみで笑わない時はない!

顔とくしゃみがマッチしていないから尚おかしい。

⏰:10/05/27 21:38 📱:F02B 🆔:Jyle7NeE


#378 [シバ]
重苦しい雰囲気が一瞬にして吹き飛んだ。

あ〜…
やっぱ真希に助けられてばっかりだ。


「あ〜可笑しい(笑)あのね、シバね、アイリにフラれたよ…」

「ごめんごめん(笑)そっかぁ…」

何この会話…


シバは無理やり笑顔を作った。

⏰:10/05/27 21:41 📱:F02B 🆔:Jyle7NeE


#379 [シバ]
「ま、でもさ!シバにしちゃあ、よく頑張ったよ。シバって小心者だからさ♪こういう経験も必要なんだよ!きっと」


笑って話してくれる真希。

「そうだね。ん〜…でも、レアだよね?こういう経験」

「そうだよ。またこれから頑張ろうよ♪」


モヤモヤが完全に消えたわけではない。
でも、なんか変なスッキリ感があった。

⏰:10/05/27 21:48 📱:F02B 🆔:Jyle7NeE


#380 [シバ]
アイリの事で、いい意味でも悪い意味でも色々と悩んでいたから、解放された気持ちになった。

でも、やっぱりフラれたっていう事実は変わらないワケであって…

立ち直るのには時間がかかりそう。

だけど、終わってしまった事はしょうがない。
だから前に進もう!

そう考えていた。

⏰:10/05/27 21:51 📱:F02B 🆔:Jyle7NeE


#381 [シバ]
それから数ヶ月が過ぎた。

夏真っ盛り。
体育館での練習は灼熱地獄と化した。
窓開けても風なんて入ってこない…
監督の話の最中に外からのセミの鳴き声…
着替えても着替えても、無駄に出てくる大量の汗…


鬼だ…
暑すぎる…

だけど…

⏰:10/05/27 21:57 📱:F02B 🆔:Jyle7NeE


#382 [シバ]
バスケに集中していた。3年生はこの時期は卒業後の進路が関わってくる。
シバはバスケで進む!
だから大学に行く!


そう決めていたくらい、バスケに夢中だった。


アイリの事を忘れようと決めたあの日から、自分で言うのもなんだけど、一回り成長できた。
人生は出会いと別れ!
そうなんだよ…うん!

⏰:10/05/27 22:03 📱:F02B 🆔:Jyle7NeE


#383 [シバ]
毎日が充実していたと思う。
キツい事もたくさんあったけど、バスケができる!っていう事に幸せを感じていた。

真夏の灼熱地獄の体育館を後にするのは、夜8時過ぎ…
その頃には外はだいぶ暗くなっている。
決して涼しいワケじゃないけど、この瞬間をシバはこよなく愛していた。

風流だなぁ〜…
夏のこの時間帯…
一句読もうかしら…

⏰:10/05/27 22:09 📱:F02B 🆔:Jyle7NeE


#384 [シバ]
そんな時、シバをどん底に陥れる出来事が起こった。

「先輩方!監督が集合だそうです!」

3年生全員で、外の部室の前で練習後の一時を楽しんでいた。
って言っても、ただ暑い暑い言いながら群がってただけだけど。


「集合?じゃあ、2年も呼んできて」

また灼熱地獄の体育館に逆戻りとなった。

⏰:10/05/27 22:14 📱:F02B 🆔:Jyle7NeE


#385 [シバ]
ムシムシする…
頑張れば茶碗蒸しくらい作れるんじゃない?

っていうくらい、暑かった。

せっかく着替えたTシャツも意味を成さない。
背中の生地がピタッと肌に触れると不快感MAX…


肝心な監督が出てこない。
クーラーガンガンの部屋でアイスでも食ってんのかい?
早くしてくれ…

⏰:10/05/27 22:18 📱:F02B 🆔:Jyle7NeE


#386 [シバ]
5分くらい経った頃、監督は出てきた。
手には数種類のプリント用紙。

それを1人1人に配り終えると、床に座るよう指示した。

暑いのに…



プリントは1人に3枚ずつ。
1つ目は、練習メニューの項目。
2つ目は、夏の対策としての食事の栄養メニューとか、水分補給とか…

⏰:10/05/27 22:23 📱:F02B 🆔:Jyle7NeE


#387 [シバ]
3つ目は…

夏休みの日程。
1日練習とか、休みとか、行事とか、登校日とか、合宿とか…


8月の頭、一週間の合宿が入っていた。
うわ〜、ハードだなぁ…


え…?




目を疑った。

⏰:10/05/27 22:27 📱:F02B 🆔:Jyle7NeE


#388 [真沙也]
自分もバイです
すごく気持ちが分かります

更新頑張って下さい

⏰:10/05/28 09:22 📱:930CA 🆔:02M4dgR2


#389 [シバ]
>>388さん

ホントですか?
なんか心強いです(^^)笑

よろしければ、感想板の方にも遊びにきてくださいね!!

⏰:10/05/28 20:02 📱:F02B 🆔:WeEmfU6s


#390 [シバ]
>>387


プリントに書かれていたのは…


『○○高校と合同合宿』


○○高校…





アイリのいるチーム…

アイリに会うって事か…?

⏰:10/05/28 20:05 📱:F02B 🆔:WeEmfU6s


#391 [シバ]
すぐ隣に真希がいる。
真希も日程表を見たまま動かない…

真希に話しかけようか…?

でも、何を話せばいい?





この後も監督の話は続いていたけど、耳に入ってこなかったのだろう。

何も記憶がない。

⏰:10/05/28 20:08 📱:F02B 🆔:WeEmfU6s


#392 [シバ]
帰り道…


後輩のリナが話かけてきた。

「シ・バ・さ・ん♪夏休みの日程表見ました?」

「え?あ〜、うん。見たよ」


「あのアイリのチームと合宿ですよ♪なんかウケますね(笑)」


何もウケないよ〜…

⏰:10/05/28 20:11 📱:F02B 🆔:WeEmfU6s


#393 [シバ]
「そうだね(笑)」

笑うしかない。
ちゃんと笑顔で話せてたかな?


「久しぶりですね、アイリに会うのって♪またシバっちシバっちうるさいんだろうなー…」


「どうだろ…(笑)あれから時間も経ってるし、もうそんなノリじゃないんじゃない?」

「え〜?だって、あのアイリですよ?(笑)」

⏰:10/05/28 20:15 📱:F02B 🆔:WeEmfU6s


#394 [シバ]
「あはははは(ハァ…)」


リナはシバとアイリの事を知らない。
だからアイリの話なんてすんな!なんて言えない。


せっかく忘れてたのに…


「あたし(リナ)が思うに、アイリはシバさんの事が好きなんだと思いますよ!」

ドキッとした。

⏰:10/05/28 20:20 📱:F02B 🆔:WeEmfU6s


#395 [シバ]
「なんて言うんだろ…あたしとか他の人に対する絡みと、シバさんに対する絡みが明らかに違いましたもん!」


「そんな事ないよ(笑)」

「いや…あれはlikeじゃなくてloveな絡みですよ〜!」


心臓がバクバクしてきた…


「あれですよ、あれ!世間で言う『レズ』!」

⏰:10/05/28 20:26 📱:F02B 🆔:WeEmfU6s


#396 [シバ]
レズ…
シバってレズなのか?



この頃は、レズとかホモとか聞いたら素で引いていた。
気持ち悪いとか、有り得ないとか…


アイリに出会うあの日まで…

アイリに出会って、180°考えが変わった。

⏰:10/05/28 20:32 📱:F02B 🆔:WeEmfU6s


#397 [シバ]
そういう恋愛もあるんだ!
悪い事じゃないんだ!って。


それ以前に、男も女も同じ人間であって、ただ世間ではそれが認められていないだけで…



リナからのレズ発言にオロオロしながらも、とりあえず否定はしておいた。

アイリには普通に男の彼氏がいるよ!と…

⏰:10/05/28 20:36 📱:F02B 🆔:WeEmfU6s


#398 [シバ]
リナは驚いた素振りを見せたけど、すぐに笑顔になった。


「え?そうなんですかぁ?(笑)」

「うん…だから…ってか、前〜にプリクラの話したじゃん?」

「あのイニシャルですか?」

「そう!あれね、シバの『S』じゃないんだよ(笑)」

「なぁんだ…そうなんだ♪」

⏰:10/05/28 20:40 📱:F02B 🆔:WeEmfU6s


#399 [シバ]
「そうそう(笑)」

「シバさんを取らないで〜!って心配してたんですよ(笑)あ、変な意味じゃなくて、シバさんを変な方向に連れて行かないで!みたいな(笑)」


ああ、なんかゴメン…ってなった。

「とりあえず、夏合宿が楽しみですね♪クソ暑いからかなりキツいんだろうけど、またみんなに会えるから楽しみだぁ♪早く8月にならないかな〜」

⏰:10/05/28 20:44 📱:F02B 🆔:WeEmfU6s


#400 [シバ]
シバ的には8月なんて来ないで頂きたい…
むしろ抹消してもらいたい…


リナと一通り話をしてから帰宅。
真希から何か連絡がくるかなー?って思ってたけど、特に何もなく…


モヤモヤが蘇ってきた。でも、過ぎた事なんだし、もう終わった事なんだ!だからもう関係ない!

いや…しかし…but…
頭の中がゴチャゴチャしていた。

⏰:10/05/28 20:50 📱:F02B 🆔:WeEmfU6s


#401 [シバ]
風呂と食事を済ませ、部屋に戻る…

音楽でも聴こうかな〜っと思ってコンポの電源を入れた。

コンポの後ろにアンパンマンの小銭入れが落ちているのを発見した…

なんだかんだで、雨で濡れてびしょびしょになった小銭入れをキチンと干して乾燥させてたから、カビなどは生えてなかったみたいで…

⏰:10/05/29 21:57 📱:F02B 🆔:twI8aYUI


#402 [シバ]
小銭入れのアンパンマンは微笑んでいる…
そんな顔でシバを見ているような気がして、なんかイライラしてきた。


「お前フラれたのによく笑ってられるな…」

って思った。


アンパンマンを見て、またアイリの事が思い出される…
アイリの声を聞きたいがために、一生懸命10円玉を貯めた事。

⏰:10/05/29 22:01 📱:F02B 🆔:twI8aYUI


#403 [シバ]
余った10円玉で駄菓子を大人買いした事。

泣きながら、うま○棒をむさぼり食った事…

あぁ情けない…



しょうもない思い出に浸っていると、ふと思い出した。

アイリからの手紙とプリクラを封印した箱がある事を…
クローゼットの奥を探した。

⏰:10/05/29 22:05 📱:F02B 🆔:twI8aYUI


#404 [シバ]
小学校の時に使っていた絵の具セットが頭に落ちてきてイライラしながらも、箱を発見した。


「あった…」

中を見ると、あのアイリ独特の癖字で書かれた便箋が大量に出てきた。

今思うと、あの短期間でよくこんな量になったなぁと感心する。


一番最初の手紙…
アイリの自己紹介。

⏰:10/05/29 22:17 📱:F02B 🆔:twI8aYUI


#405 [シバ]
「アイリはこんな人間ですよ♪」

と、一生懸命伝えてくれてる気がして、何故か笑顔になれた。

2通目からは、敬語を遣わなくなっている事に気付いた。

4通目からは、次第に『好き』という言葉を遣う事が多くなっていた。
プリクラとアイリの写真が同封されるようになったのもこの時。

11通目には「結婚しようね」なんて書かれてた。
あら…

⏰:10/05/29 22:24 📱:F02B 🆔:twI8aYUI


#406 [シバ]
30通目かな?
31通目からかな?

「好き」って言葉が次第に減っている事に気付く。

たぶんリナに、イニシャル入りのプリクラを送ってきたのもこの辺。



そして、今に至る。



…………………。

言葉が出なかった。

⏰:10/05/29 22:27 📱:F02B 🆔:twI8aYUI


#407 [シバ]
そして、気付いた事がもう1つ…

シバ、アイリの事何も分かってやってないって事…


手紙もらって、電話して、『好き』って言ってもらって、シバは浮かれてたんだ。
アイリは本気だった…

今になってやっと分かった。
逃げていたのはシバの方。
なのに、アイリが悪いみたいな事を言ってしまった。

⏰:10/05/29 22:33 📱:F02B 🆔:twI8aYUI


#408 [シバ]
捨ててやろうと思っていた手紙達だったのに、沢山の事に気付かせてくれた。

でも、時既に遅し…

気付いた所で、もう失っているのだから…


男じゃないから?
女同士だから?
逃げていたのは自分じゃないか!
この大馬鹿野郎が…!


涙が出てきた自分の顔を思いっきり叩いた。

⏰:10/05/29 22:39 📱:F02B 🆔:twI8aYUI


#409 [シバ]
鼻水垂れ流しながら、また箱の中にしまい、クローゼットの奥に戻した。

捨てないといけないのに…
捨てれる事ができたら、どんだけ楽なんかな〜?でも、今は捨てちゃいけない気がする…

いつか捨てれる日がくることを願って、翌日を迎える。


またいつものように、「いってきます」「ただいま」の繰り返しの日々…

⏰:10/06/01 21:01 📱:F02B 🆔:FeOF/AwI


#410 [シバ]
真夏の暑さ…
体育館の灼熱地獄…
酸欠になりそうな空気…


こんな日々が続く事を考えただけでクラクラしてしまう。
だけど、アイリに会うよりはマシかもしれない。

嫌でも会わなきゃいけない日がくる。
しかも、『その日』はもう目の前まで来ている。

⏰:10/06/01 21:06 📱:F02B 🆔:FeOF/AwI


#411 [シバ]
別に会いたくないワケじゃない。
あからさまに避けるつもりもない。


だけど…


どう接しろと?
今更…


普通に『久しぶり〜』とかの絡みでいいなら、多少無理してでも笑顔は作れる。



…ハズ。

⏰:10/06/01 21:09 📱:F02B 🆔:FeOF/AwI


#412 [シバ]
そして迎えた8月…


体育館で準備をしていた。
1年生がモップをかけている時だ。
外を眺めていた1人が、ふいに笑顔になった。

数人を呼び寄せて、体育館の入り口へ走っていった。


その雰囲気に気付いたシバも、ガラス張りの入り口に目をやった。

⏰:10/06/01 21:14 📱:F02B 🆔:FeOF/AwI


#413 [シバ]
1台のバスが入ってきた。

見たことのある独特な色をしたバス…

アイリのチームのチームカラーのバス…


一瞬心臓が止まるんじゃないかと思った。
無駄にドキドキが激しくなった。

この辺では見かけない車のナンバープレート…

『懐かしい』って素直に喜べない自分が腹ただしい…

⏰:10/06/01 21:19 📱:F02B 🆔:FeOF/AwI


#414 [シバ]
大量の荷物を抱えた連中がゾロゾロと降りてくる。

懐かしい面々…

向こうも嬉しそうな表情で…
というより、照れくさそうな表情で体育館へと入ってきた。

久しぶりの再会は、多少照れてしまう。

暑さとだるさでシンとしていた体育館が一気に賑やかになった。

⏰:10/06/01 21:23 📱:F02B 🆔:FeOF/AwI


#415 [シバ]
ほんで、会いたくないバスなのに心と体は正直なもので、自然と目はアイリを探していた。


ゾロゾロ続いた行列が終わった。


アイリがいない…


アイリと仲の良いメンバーはみんな入ってきたのに、あいつだけがいない…


なんでショック受けてんだ?自分…

⏰:10/06/01 21:27 📱:F02B 🆔:FeOF/AwI


#416 [シバ]
また授業中にケータイいじったり、校則破ったり、部の規則破ったりして連れてきてもらえなかったのだろうか…?


あのクソガキならやりかねない…

心が焦ってる事に気づく。
意味が分からない…





「アイリ!急げって!」

⏰:10/06/01 21:31 📱:F02B 🆔:FeOF/AwI


#417 [シバ]
そんな声が聞こえた。
先輩から激を飛ばされていた。


…え?
アイリ?


入り口をガン見した。
最後に入ってきたのは、紛れもなくアイリ…


うわぁ…

胸の高鳴りが異常だった。
ダルそう〜にして、荷物引きずって入ってきた。

⏰:10/06/01 21:35 📱:F02B 🆔:FeOF/AwI


#418 [シバ]
時が止まったかと思った!とか、周りの声が聞こえなくなった!とか、こういう事を言うのだろうか…

不思議だ。


アイリだ…
あのアイリだ…

だけど、あの頃とは何かが違う。
髪型がショートカットになっている。
あの時は長袖を着ていたけど、今は夏真っ最中。だから、移動着の半袖ポロシャツを着ている。

⏰:10/06/03 22:21 📱:F02B 🆔:tQMAtrqk


#419 [シバ]
あの頃と違うのは、お互いの気持ちだけじゃないんだ。

服装だって容姿だって、周りを取りまく環境だって変わるんだ。


だから、あの頃と同じアイリを求めてはいけない。

それは分かってる。
分かってるつもりなんだけど…
この胸の高鳴りは一体何なんだろう…

⏰:10/06/03 22:26 📱:F02B 🆔:tQMAtrqk


#420 [シバ]
リナが走ってきた。

「シバさん!アイリがいますよ♪後で絡みに行きましょうよ!」


無理無理…



「あ〜、時間があればね。たぶん時間ないから無理だよ(笑)」

「な〜に言ってるんですか(笑)昼休みとか帰りとか、時間はいくらでもありますよ!」

⏰:10/06/03 22:30 📱:F02B 🆔:tQMAtrqk


#421 [シバ]
「あ〜、そうね。そうしようかね」

アイリ達は更衣室へと入っていった。

キャプテンの指示を出す声とか、急げ!とかの声が忙しく飛び交っているようで、着替えたメンバーは素早く出てきてバッシュの紐を結んでいた。


アイリが出てきた。
めんどくさそうにしてたけど、ちゃっかり素早く行動していたみたいで…

⏰:10/06/03 22:34 📱:F02B 🆔:tQMAtrqk


#422 [シバ]
相変わらず練習着がダボダボだ…
サイズのチョイスミスなのか?

それとも、単に細いだけ?


アイリを見て、いろんな事を考えていた。
アイリの事ばっかり考えてる。
そんな自分に腹が立つ。




忘れる!って決めたのに、未練タラタラじゃないか…

⏰:10/06/03 22:37 📱:F02B 🆔:tQMAtrqk


#423 [我輩は匿名である]
あげま

⏰:10/06/14 15:08 📱:F02A 🆔:dmztYGo2


#424 [真沙也]
頑張ってください

⏰:10/06/25 12:56 📱:930CA 🆔:VyUqrzvg


#425 [我輩は匿名である]
>>0-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500

⏰:10/06/26 14:35 📱:auKC3X 🆔:uzu8Eojo


#426 [我輩は匿名である]
>>000-100

ミスった

⏰:10/06/26 14:36 📱:auKC3X 🆔:uzu8Eojo


#427 [シバ]
皆さんありがとうございます!

しばらく更新できずすみません(>_<)
今日からまた更新していきます♪

⏰:10/06/26 15:00 📱:F02B 🆔:prxZMi5Q


#428 [シバ]
>>422


アイリのチーム全員がコートの端に立って、コートに向かって挨拶をした。

「よろしくお願いします!」

(部活をしていた人は分かると思います)


シバのチームも並んでアイリのチームと向かい合った。

「こんにちは!よろしくお願いします!」

⏰:10/06/26 18:56 📱:F02B 🆔:prxZMi5Q


#429 [シバ]
久しぶりの再会で、両チームともニヤニヤがハンパなかった。

久しぶりだね〜♪みたいな笑みを浮かべながら、チームごとに円陣を組んだ。


一瞬、アイリと目が合った。
ドキッとした。


…だけど、シバは反射的に目をそらしてしまった。
意気地なしにも程がある。

⏰:10/06/26 19:00 📱:F02B 🆔:prxZMi5Q


#430 [シバ]
今、アイリが微かに笑った気がした。
気のせいかな?


…気のせいですな。
あはははは。


リナはアイリと少しだけじゃれて円陣に入ってきた。

まぁ、いいや。
気持ち切り替えよう。

⏰:10/06/26 19:03 📱:F02B 🆔:prxZMi5Q


#431 [シバ]
練習が始まる…


「ファイトー!」
「1本1本!」
「声出してー!」


いろんな声が飛び交う灼熱地獄の体育館。
何十人といる中、やっぱりアイリの声だけはすぐに分かる。
そんな自分の微妙な賢さと、訳の分からないアイリへの感情に何とも言えない気持ちでいた。


練習に集中しないといけないって事は分かってる。

⏰:10/06/26 21:22 📱:F02B 🆔:prxZMi5Q


#432 [シバ]
だけど…
目は自然とアイリを追っている。
だから、ちょっとしたアイリの変化にすぐに気付く。

「アイリ、ドリブル上手くなったなー」

とか、

「キツくてもちゃんと走るようになったなー」

とか。


そんなシバは、アイリの目にはどう映っているのだろうか…

⏰:10/06/26 21:26 📱:F02B 🆔:prxZMi5Q


#433 [シバ]
そんなこんなで昼休み。

みんな暑い暑い言いながら、弁当を食べ始めた。暑いから食欲ないなんて言おうもんなら、マネージャーが黙っちゃいない。
だから嫌でも食べないと!


アイリのチームの3年生がシバ達の所へやってきた。


「シバ久しぶり!」
「みんな元気だった?」
「マキータ相変わらず可愛いな♪」

⏰:10/06/26 21:32 📱:F02B 🆔:prxZMi5Q


#434 [シバ]
マキータとは、真希のニックネーム。
人懐っこい真希はアイリのチームから人気があった。

そこからはダラダラしながら思い出話に耽った。
こういう瞬間があるから、シバは他校との合同合宿が好きだった。


アイリの事がなければ…アイリともこうやって笑いながら話ができていたハズだ。
複雑だ…

⏰:10/06/26 21:36 📱:F02B 🆔:prxZMi5Q


#435 [シバ]
「そりゃあそうと、シバ!うちのアイリと話したかぁ?(笑)久々の再会でしょ?」

ドキッ!なんてもんじゃない。
もう心臓が引きちぎられるんじゃないかと言わんばかりの勢いでドッコンバッコンした。

え?
みんなシバとアイリの事知ってんの?
ってか、アイリがバラした?

「アイリさぁ、シバの事大好きだったじゃん(笑)毎日毎日シバシバだったからさ♪」

⏰:10/06/26 21:40 📱:F02B 🆔:prxZMi5Q


#436 [シバ]
「え?あ、あ〜!まだ話してないよ(笑)」

あたふたしながらの返答しかできない。


「でもさ、最近はあんまり言ってなくない?」

「ちょっと前までは毎日うるさかったけどね」

「大人になったんだって。アイリも(笑)」


向こうの3年生で話が盛り上がっている中、シバは笑顔を作っている事がやっとだった。

⏰:10/06/26 21:43 📱:F02B 🆔:prxZMi5Q


#437 [シバ]
「アイリも彼氏ができたもんね♪」

その一言で心はグサッと撃ち抜かれたように痛んだ…


「あの子あの子!ほら〜、あの、サッカー部の」

「秀ちゃん♪」

「そうそう秀一君♪超カワイイ系の♪」

「カワイイ系っていうよりイケメンだよ、あれは」

⏰:10/06/26 21:48 📱:F02B 🆔:prxZMi5Q


#438 [シバ]
「ヤバいよね〜!秀一君が笑った顔見たら惚れそうになっちゃった(笑)」

「2、3年からも人気あるもんね♪あたしもあんな彼氏欲しい〜」



その秀一とかいう奴の顔すら知らないシバ…

「え〜?イケメン?いいなぁ、見たい見たい♪」

便乗して話に乗るシバのチームの3年生。
笑ってるシバだけど、心ん中はイライラと悲しみだらけ…

⏰:10/06/26 21:54 📱:F02B 🆔:prxZMi5Q


#439 [シバ]
イライラしながらも、秀一とかいう奴の顔を想像していた。

市○隼人系?
山下○久系?

勝手に架空の『秀一』を作り出してはイライラ。

もう、そんな話聞きたくねぇよ!


乙女チックな恋バナをしてる連中の目を盗んで、こっそりその場を離れた。
トイレ行こう…

⏰:10/06/26 22:00 📱:F02B 🆔:prxZMi5Q


#440 [シバ]
トイレも灼熱地獄…
灼熱トイレとか終わってる。
ただでさえ暑いのに、ゆっくりケツすら休ませられないじゃないか!

全部のトイレが使用中だった。

「あはー♪ここのトイレ流れが悪い(笑)」

なんて声が聞こえてきたから、

「う○こでもしてたんか!早く出ろや!」

って言ってやろうかと思い、また地味にイライラ…

⏰:10/06/26 22:06 📱:F02B 🆔:prxZMi5Q


#441 [シバ]
遅っ!
なんで女ってこんなにトイレが長いんだ?

まぁ、シバも女だけどさ!
トイレくらいパパっと終わらせろや!




ガチャン…
誰かがトイレに入ってきた。
誰だろうと関係ない。
近くの鏡をチラっと見た。



ドッカーン!

⏰:10/06/26 22:10 📱:F02B 🆔:prxZMi5Q


#442 [シバ]
ア、ア、アアアアアアアアアイリ…

アイリ?

アイリ〜!!


そこに立っていたのはアイリ。
体が凍りついてしまった…
こんな偶然が起こっていいものなのか?
神様ってホントに意地悪だな…
意地悪すぎる…


これは偶然なのか?運命?
シバにどうしろと?

⏰:10/06/26 22:13 📱:F02B 🆔:prxZMi5Q


#443 [シバ]
アイリはシバに気付いている…ハズ。

なのに、シバの姿を見ても何も言ってこない。

って事は、もう他人になってしまったんだ。
友達でも何でもない。

赤の他人なんだ…


こんなに近くにいるのに、こんなに悲しい事があっていいのだろうか?


だって、その距離はたったの1・2歩しかないんだぞ?

⏰:10/06/26 22:18 📱:F02B 🆔:prxZMi5Q


#444 [シバ]
もう、電話とか手紙とかのそんな距離じゃなくて、リアルにアイリがすぐそこにいるんだぞ?

手ぇ伸ばせば届くんだよ?

何度自分に問いかけた事か…



悲しさのあまり、俯いてしまったシバ。
この意気地なし!


「気付いてんのかと思った」

⏰:10/06/26 22:22 📱:F02B 🆔:prxZMi5Q


#445 [シバ]
…は?


後ろから声がした。

だけど、振り向けない。そのままジッとしていた。


「気付いてんのかと思った!ってば。ねぇ…」

誰に言ってんの?
シバに?


「相変わらずだね(笑)」

⏰:10/06/27 22:52 📱:F02B 🆔:WsJJQz56


#446 [シバ]
顔を上げると、鏡越しにアイリと目が合った。

シバはどんな表情をしていたのだろう…
アイリは真っ直ぐにシバの目を見ている。


「…気付いてるよ」


ボソボソと話してみた。んで、また俯いた。


「あっそ」

そっけないアイリの言葉。

⏰:10/06/27 22:56 📱:F02B 🆔:WsJJQz56


#447 [シバ]
お前に「相変わらずだね♪」なんて言われる覚えはねーよ…

とか、とにかく緊張とイライラがマッチして妙な気持ちでいた。


トイレが1つ開いた。
ナイスタイミングだ!


そのままトイレに直行しようと、ズカズカと歩き出してみた。


「ちょっ…!」

⏰:10/06/27 23:02 📱:F02B 🆔:WsJJQz56


#448 [シバ]
アイリは一瞬何かを言いかけた。

思わず振り向いてしまいそうだったけど、こらえた。
そんなシバを見たアイリは何を思ったのか、シバの左腕を強引に引っ張った。


「?!」


そのままトイレを出ようとするアイリ。

「いってぇ!何…おい、ちょっと!」

⏰:10/06/27 23:05 📱:F02B 🆔:WsJJQz56


#449 [シバ]
アイリに引っ張られながら、外に出た。

「いてぇよ!何してんの?!」

腕を取っ払ってやった。アイリは不満そうな表情で、シバの顔をジッと見ている。

「あそこ行こう」

アイリが指差したのは、校舎内の教室。

「は?校舎内は立ち入り禁止だから」

「そんなん関係ないし」

⏰:10/06/27 23:10 📱:F02B 🆔:WsJJQz56


#450 [シバ]
いや、お前他校の生徒だから人様の学校に入れないだろ!

「ダメだろ、普通に考えて」

「別にいいじゃん。荒らしにきたワケじゃないし。ってか、マジメな性格は相変わらずなんだね」

「悪かったね」

「別に」


あー嫌だ。こんな空気…

⏰:10/06/27 23:14 📱:F02B 🆔:WsJJQz56


#451 [シバ]
「何するつもり?今更」

皮肉っぽく言ってみた。

「別に何もないけど」

「じゃあ戻るわ。昼休みがもったいない。あ、トイレ行かなきゃ」


「…久しぶりに話がしたい!」


アイリは真剣な表情で訴えてきた。

⏰:10/06/27 23:18 📱:F02B 🆔:WsJJQz56


#452 [シバ]
「だから…今更何を話すのさ?」
「とりあえず話がしたい」

「何話すの?」
「分かんない」

「ふざけてんの?」
「ふざけてない」


「馬鹿にしてんの?」
「馬鹿にしてない」


そんなひょうひょうと答えるなよ…
余計イライラする。

⏰:10/06/27 23:21 📱:F02B 🆔:WsJJQz56


#453 [シバ]
いい加減にしろ!


次の言葉はそれだったけど、出せなかった。
なぜなら…

あの最後の電話の時…
アイリと秀一を応援するよ♪
みたいな事を話したのは、シバの方だったから。

例えそれが嘘だったとしても…

だからアイリに冷たく当たっても、それこそ『今更』だった。

⏰:10/06/27 23:26 📱:F02B 🆔:WsJJQz56


#454 [シバ]
「…………」

黙り込んでしまった。


「…行こうよ」

アイリに手を引かれながら、2階の教室目指して、階段をのぼった。



…教室は静かだった。
人がいないんだから当たり前か…

教室の一番後ろの席の影になっている所へ行き、床に座った。

⏰:10/06/27 23:31 📱:F02B 🆔:WsJJQz56


#455 [シバ]
沈黙を破るかのように、アイリはケータイを開いた。


アイリのケータイ操作の音だけが聞こえていた。メールを打っているらしい。

しばらくすると、アイリはケータイを閉じた。


「…秀一君?」

何気なく聞いてみる。

「そうだよ」

⏰:10/06/27 23:34 📱:F02B 🆔:WsJJQz56


#456 [シバ]
「順調そうだね」

「今あっちも合宿中なんだって」

シバの問いかけを無視したような答えが返ってきた。


「順調そうじゃん」

だからこんな返事を返した。


「別に…普通だよ」

「そっか」

⏰:10/06/27 23:37 📱:F02B 🆔:WsJJQz56


#457 [シバ]
外からはセミの鳴き声と、陸上部の元気なかけ声が聞こえる。

シーンとした場所にいると、そういう音や声に敏感に気付くようになる。


横をチラッと見ると、そこにはアイリがいる。
もう二度と会う事はないと思っていたアイリが一緒に肩を並べて…

尚更悲しくなる…

その時のアイリの横顔はキレイだったのを覚えてる。

⏰:10/06/27 23:43 📱:F02B 🆔:WsJJQz56


#458 [シバ]
「合宿きつい?」

話題を変えてみる。

「そうですね。移動時間も長かったし…って、まだ初日始まったばかりだけどね(笑)」


お互い向き合わずに会話を進める。

「アイリ、髪切ったんだね」

「ああ、気付いてくれたんだ(笑)」

「そりゃ気付くわ(笑)あの時は肩より長めだったからね」

⏰:10/06/27 23:48 📱:F02B 🆔:WsJJQz56


#459 [シバ]
「さっきさ、何でシカトしたの?アイリの事」
「何が?」

「トイレでさ」
「シカトってか…うん(笑)だって、話す事ないじゃん」


「冷たいんですね」
「いきなり敬語使うのやめれ」

「冷てーなぁ」
「それもやめれ」

「多少ショックだよ」
「しゃーないじゃん」

⏰:10/06/27 23:53 📱:F02B 🆔:WsJJQz56


#460 [シバ]
「何がしゃーないの?」
「…しゃーないモンはしゃーない」

「変なの」
「だろうね」

「ねぇ…何で無視したの?本気で答えてよ」
「…………」


「ねぇ…」
「フラれたから」

「え…?」
「そんだけ!以上」

アイリはしばらく体育座りのまま動かなくなった。

⏰:10/06/28 00:00 📱:F02B 🆔:iPaCEKqQ


#461 [シバ]
「シバさん…フラれたの?」

まさかの言葉だった。


「あのさ、ホントに馬鹿にしてんの?」

「え?だって…意味が分かんない」

「はぁ?」

「なんでシバさんがフラれたからって、アイリがシカトされなきゃいけないんですか?」

「お前…マジ…ありえねぇ」

⏰:10/06/28 00:04 📱:F02B 🆔:iPaCEKqQ


#462 [シバ]
イライラを通り越して力が抜けた…

「そんな事言ったって…」

「もうお前には秀一がいるでしょ?はい、解決!終了!」

「あの、シバさん…もしかして、そのフラれたってヤツ…アイリの事?」

「それ以外に何がある?」

「シバさん…何か勘違いしてません?」

「してないよ」

⏰:10/06/28 00:09 📱:F02B 🆔:iPaCEKqQ


#463 [シバ]
「いや、勘違いしてる(笑)」

アイリは意味深な表情で微かに笑った。

「アイリ…シバさんの事嫌いって言ってないですよ(笑)」



「………は?」


「だからフラれてないじゃん(笑)」

「は?意味分からん…」

⏰:10/06/28 00:13 📱:F02B 🆔:iPaCEKqQ


#464 [シバ]
「言葉のまんまっすよ!だってアイリ、シバさんの事フッた覚えないし(笑)」
「嘘つくな」

「ホントだって(笑)」
「…意味が分かんない」


アイリは可笑しそうに笑っている。
ムカつくけど、アイリから目が離せなかった。

「シバさんは、アイリの事好きだったんですか?」
「……………」

「お〜い(笑)」

⏰:10/06/28 20:11 📱:F02B 🆔:iPaCEKqQ


#465 [シバ]
「あー、そうだよ」

「そうなんだ!…いつからそんなに素直になったんですか?シバっち(笑)」

「お前、調子良すぎだろ…何なワケ?」

「だから前も言ったけど、アイリはシバさんの事好きですよ!シバさんはアイリの事、どういう『好き』で見てるの?」

「どういうって言われても…」

「単に『好き』なのか、ちょっと特別な感情の『愛』なのか…」

⏰:10/06/28 20:16 📱:F02B 🆔:iPaCEKqQ


#466 [シバ]
「言わなくても分かるだろうが」
「分かんない。だってシバさんって何考えてるのか分かんないもん(笑)」

「…愛…だと思う」
「素直だね」


「まぁ、今更だから隠しても意味ないしね(笑)」

無理やり笑ってみた。
アイリは真顔のまま、目線を落として何かを考えているようだった。

⏰:10/06/28 20:20 📱:F02B 🆔:iPaCEKqQ


#467 [シバ]
「好きだよ…シバさん」

ふいにアイリは口走った。
シバはビックリしたっていうか、は?みたいな怒りというか、その言葉を聴きたかったんだよ〜…っていう喜びみたいな感情が襲ってきた。

「いや、何…え?」

「アイリもシバさん好きだよ。忘れてないよ」

…泣きそうになった。
体が震えた。
全身がジワッと熱くなった。

⏰:10/06/29 22:47 📱:F02B 🆔:TPLahEEo


#468 [シバ]
アイリの方に顔を向ける。

アイリは身を乗り出して、シバの顔を両手で包み込んだ。
アイリの目を見続ける…

微かに潤んでいた。
そのままの体勢で、2人ともしばらく無言でいた。

セミの鳴き声も、外からの陸上部の声も聞こえなくなった。

「シバさん触るの久しぶりだなぁ(笑)」

⏰:10/06/29 22:51 📱:F02B 🆔:TPLahEEo


#469 [シバ]
「…うん」
「あの時みたいに嫌がらないの?嫌じゃないの?」

「…嫌じゃないよ」
「素直すぎて不気味なんだけど(笑)あの時は野良猫みたいに警戒しまくってたのに(笑)」

「誰が野良猫だよ(笑)」
「ごめんなさい(笑)」

「…もう会う事ないって思ってた」
「アイリも。ウケるね(笑)」

「ウケるのか?」
「ウケる(笑)」

⏰:10/06/29 22:56 📱:F02B 🆔:TPLahEEo


#470 [シバ]
「いや、ウケない」
「ウケるし。ま、どっちでもいいよ(笑)」

アイリの無邪気な笑顔を見るのは久しぶりだった。
それを見て、内心ホッとしている自分がいる。


「秀一…かぁ」
「?」

「もしシバが男だったら、アイリはシバと付き合ってた?」
「シバさんが男だったら出会ってないと思いますよ(笑)」

⏰:10/06/29 23:43 📱:F02B 🆔:TPLahEEo


#471 [シバ]
「そうかなぁ…」
「そうだよ。だって、お互い『女子バスケ部』だから、一緒に合宿できたんじゃん(笑)」

最もだ!
シバが男だったら、今頃何をしているかも分からないし、出会うハズもなかったアイリと、こうして出会えたのもバスケットを通してこそなのだから。


「ってか、アイリはね。シバさんが男でも女でもどっちでもいいんだよ。シバさんっていう人間が好きなんだから」

⏰:10/06/29 23:50 📱:F02B 🆔:TPLahEEo


#472 [シバ]
「……………」

黙ってアイリの話を聞いていた。
何より嬉しい言葉だった。

「ぶっちゃけて言うと、最初は一目惚れだったんだ…だから仲良くなりたくて絡みまくったし、どんな人なのか知りたくて仕方なかったし」

「女に一目惚れ?」
「うん。女の人に惚れたのとか初めてだったから戸惑いまくったけどね(笑)でも好きならしょうがない…みたいなね(笑)」

⏰:10/06/29 23:54 📱:F02B 🆔:TPLahEEo


#473 [シバ]
「そっか…」

「そっかって…(笑)嬉しくないの?」
「もうちょっと早く聞きたかったよ…その言葉」

「それはこっちのセリフ…シバさんからアイリの事『好き』って聞いて相当ビックリしたし」

「なんで?」

「いや、だってずっと後輩として見られてると思ってたから」

「ああ、そうね…」

⏰:10/06/29 23:59 📱:F02B 🆔:TPLahEEo


#474 [シバ]
「シバさんの馬鹿…これからシバカって呼ぶから!(笑)」

アイリは笑った。

「…じゃあ、秀一と別れろって言ったら別れられる?」

何てカッコ悪い事言ってしまったのだろう…
アイリの笑顔が消え、一気に真顔になった。

「…う〜ん。難しいね(笑)」
「なんで?」

⏰:10/06/30 00:03 📱:F02B 🆔:rwGxcRPs


#475 [シバ]
気がつくと、アイリの両手はシバから離れ、また体育座りの位置へと移動していた。

「秀…今は好きだもん」

アイリは秀一の事を『秀(シュウ)』と呼んでいるようだ。

「『今は』って…?」

「秀はね、入学してからずっとアイリの事好きだったみたいでさ。アイリとはクラスは違うけど、よく話すし、いい奴だったし…」

⏰:10/06/30 00:08 📱:F02B 🆔:rwGxcRPs


#476 [シバ]
「…そんなに好きなんだ」

「いや…うん。どうだろ」

「好きじゃなきゃ付き合わないよね…そっかそっか…」
「だからシバさんに『遅い』って言ったじゃん!シバさんからさっきの言葉もうちょっと早く言ってもらってたら秀とは仲良い友達で終わってたよ」

「嘘つけ(笑)」
「ホントだよ」

⏰:10/06/30 00:13 📱:F02B 🆔:rwGxcRPs


#477 [シバ]
「じゃあ、別れられるでしょ」
「今は無理だって(笑)」


「『今は』ってどういう意味さ?」
「アイリの事好きでいてくれてるのに、アイリから秀を振る権利はないって事!」


「アイリは秀一の事ホントに好きなの?」
「好きだよ。だから今付き合ってんじゃん(笑)嫌いだったら付き合うワケないし(笑)」

⏰:10/07/02 18:38 📱:F02B 🆔:ebsFfWeg


#478 [シバ]
頭の中がこんがらがってしまった。
じゃあ、一言で答えてほしいから…

「秀一とシバ、どっちが好き?」

漠然とした事を聞いてしまったけど、シバが一番聞きたかった事だと思ったから聞いた。
もちろん、胸の高鳴りはハンパなかった。

アイリは微笑んで、


「シバさん」


そう答えた。
心の中のシバは『よっしゃ〜!』だった。

⏰:10/07/02 18:42 📱:F02B 🆔:ebsFfWeg


#479 [シバ]
じゃあさ、だったら…

『秀一と別れてよ』


そう言いたかった。
だけど、なぜかアイリの微笑みを見るとそうとは言えなかった。


それだったら…

「シバ…アイリの事待っていいのかな?」

アイリは一瞬ビックリした表情を見せた。
そして…

「シバさんが辛くないなら待っててほしい…かな?」

⏰:10/07/02 18:46 📱:F02B 🆔:ebsFfWeg


#480 [シバ]
アイリは俯いて、

「アイリ最悪だね(笑)秀がいるのに待ってて…とか(笑)うん…でも、アイリどうしていいか分かんないや」

笑ってるけど、困ってるようにも見える。
いや…むしろ困ってる。

「アイリごめんね」
「なんでそっちが謝るのさ(笑)」

「困らせちゃって」
「困ってないし(笑)」

⏰:10/07/02 18:52 📱:F02B 🆔:ebsFfWeg


#481 [シバ]
ダボダボの練習着…
スラッと長い手足…
綺麗な横顔…

アイリに出会って、まだほんの数ヶ月…
離れてからの期間もほんの数ヶ月…

だけど、その期間はあの頃のシバにとって、それはそれは長くて…
長すぎて…


久しぶりのアイリを目の前にして、胸を締め付けられる感覚で…

人を好きになるってこんな気持ちになるんだって、自身の心に深く刻み込まれた。

⏰:10/07/02 18:57 📱:F02B 🆔:ebsFfWeg


#482 [シバ]
今すぐ抱きしめたい。
許されるならキスしたい。
アイリに触れていたい。


目の前にいる、シバが想っている相手はシバと同じ『女の子』。
同じ性別の人間…


だけど、こんなに人を想う感覚を味わったのは初めてで…
戸惑いどころか、アイリという人間に向けるシバの気持ちは一直線で。

⏰:10/07/02 19:02 📱:F02B 🆔:ebsFfWeg


#483 [シバ]
アイリはケータイを開いた。
んで、すぐに閉じた。

「シバさん、アイリそろそろ行かないと…」

「なんで?まだ休憩30分もあるよ?」

アタフタしてしまった。

「アイリ1年生だから、昼からの練習の準備があるんだ。もっと一緒にいたかったんだけど…」

アイリは立ち上がった。

⏰:10/07/02 19:06 📱:F02B 🆔:ebsFfWeg


#484 [シバ]
教室を出ようとするアイリの腕を掴んで抱き寄せて…



っていうドラマみたいな事が出来れば、自分格好いいじゃん♪ってなるけど、小心者のシバにはそんな格好いい事出来るハズもなく…

ってか、こんな場面でそんな妄想が働くなんて、シバって一体…



「…そっか。じゃ、また時間がある時に話そ!」
結局いつもこうなる…

⏰:10/07/02 19:10 📱:F02B 🆔:ebsFfWeg


#485 [シバ]
「うん♪」

そう言って教室のドアを開けるアイリ。

シバは時間差で教室を出ようと思い、まだ床に座ったまま、アイリの背中を見届けた。

アイリは立ち止まった。

「ね、シバさん」
「?」

「…大好きだからね♪」

満面の笑みだった。
恥ずかしそうに走っていくアイリ…

⏰:10/07/02 19:15 📱:F02B 🆔:ebsFfWeg


#486 [シバ]
もう、クラクラした。
あいつ可愛すぎる…

…と同時に悲しくなった。
アイリはシバのものじゃない…
どんなに大好きと言われても、アイリには『彼氏』という名のパートナーがいる。
そう考えると、素直に喜べない。

別れてほしい別れてほしい別れてほしい…

頭ん中はそればっかり。

⏰:10/07/02 19:18 📱:F02B 🆔:ebsFfWeg


#487 [我輩は匿名である]
>>300-500

⏰:10/07/03 07:40 📱:SH906i 🆔:☆☆☆


#488 [シバ]
>>487さん
安価ありがとうございます!


>>486
シバも体育館へと向かった。
先ほど3年集団が話していたアイリの彼氏トーク…秀一の事が頭によぎりながら…


だけど、なんだかスッキリした気分だ。
あの場で聞いている時はイライラと悲しみがハンパなかったのに、アイリの話を聞いてから、心は落ち着きを取り戻したみたい。

⏰:10/07/04 13:02 📱:F02B 🆔:B.NoKtlU


#489 [シバ]
ただ、『別れてほしい』っていう気持ちは渦巻いたままだったけど…


体育館に入る。
アイリは準備を終え、ストレッチを行っているようだった。
前屈をしていた所を見た。

『アイリ…体固いな』

アイリは体を倒しては起き、倒しては起きを繰り返して、痛そうな表情を浮かべながらも一生懸命ストレッチをしていた。

⏰:10/07/04 13:09 📱:F02B 🆔:B.NoKtlU


#490 [シバ]
いざ練習が始まる。

頭ん中がアイリでいっぱいになってる気がしたけど、きちんと練習モードに切り替えられていたみたいで、集中していた。

…けど、やっぱりアイリが近くに来ると意識はしてしまう。
目が合うと、お互いニヤッてしてまたすぐ走り出したり、チョンッと後ろから突っつかれたり。

話はしない。
それでいい。
それだけで、幸せを感じられるのだから。

⏰:10/07/13 20:27 📱:F02B 🆔:ppuZUcHU


#491 [シバ]
コート上では敵同士だ。

シバがボールを持つと、これまた真剣な顔してディフェンスするアイリがいて、負けず嫌いな一面を見せてくる。
シバも真剣な顔になっていたと思う。

シバがアイリからシュート決めたら、『くそムカつく!』といわんばかりにやり返してくる。

アイリのplayはシバのチームの監督から定評があった。

⏰:10/07/13 20:32 📱:F02B 🆔:ppuZUcHU


#492 [シバ]
「あの1年(アイリ)、3年になった時が楽しみだな。能力が高い」


ってシバの前で言うもんだから、シバは自分の事のように嬉しくて、ニヤニヤしちゃうワケで…



数ヶ月前までは、
「アイリに会いたくない」
「来なくていい」

なんて言ってたけど、実際にアイリを目の前にすると、こんなにも胸が高鳴る。
いつも以上に頑張れる。

⏰:10/07/13 20:35 📱:F02B 🆔:ppuZUcHU


#493 [シバ]
こんな自分、調子良すぎるかもしれない…
だけど、仕方ない。

シバはやっぱりアイリの事が好きなんだ。
大切なんだ。
失っちゃいけないんだ。


やっと気付いた。
もっと早く気付く事ができていたら、どんなに良かったのだろう…

けど、まぁいい。
時の流れに身を任せた結果が今のシバなんだ。
今日までの時間は、無駄でもなんでもなく、必要だったんだ。

⏰:10/07/13 20:39 📱:F02B 🆔:ppuZUcHU


#494 [シバ]
外はゆっくりと薄暗くなっている。
昼間の体育館は、まさに灼熱。
夜になるに連れて、この灼熱地獄の体育館にも酸素というものがあったんだな…っていう事に気付く。
微かに涼しさを感じる。
体育館の小窓から見える、昼間のジリジリしたアスファルトからも熱のモヤは見えない。
当たり前の事だけど、チラッと見えたその光景に夏の涼を感じた。

そして、合宿1日目を終える…

⏰:10/07/13 20:46 📱:F02B 🆔:ppuZUcHU


#495 [シバ]
「お疲れ様でした!」

その挨拶の後、アイリのチームはサッと帰り支度を済ませ、すぐにバスへと乗り込んだ。
一番行動の遅いアイリは、やっぱり最後の最後にバスに乗る。


シバのチームは、グッタリしながら着替えに行ったり、片付けしたりでバタバタしていた。

3年生は「暑い」だの、「疲れた」だの、グダグダ言いながら座って無言の空間を満喫していた。

⏰:10/07/13 20:52 📱:F02B 🆔:ppuZUcHU


#496 [シバ]
シバが着替えたTシャツを片付けていると、隣に真希が座った。

「今日の練習、走り過ぎでしょ〜…ってか、アイリちゃん、また上手くなってたね。もうバリバリのエースじゃん」

真希は笑いながら言う。

「そうかな?まだまだ頑張ってもらわにゃ!」

「シバ相変わらず素直じゃないね(笑)認めなよ。ってか、アイリちゃんと話したん?」

シバはタオルで顔を拭いた。

⏰:10/07/16 12:32 📱:F02B 🆔:r2DDek4c


#497 [シバ]
「話したよ」

真希は少しだけビックリした表情を見せた。

「あ、そうなの?普通だった?」
「別に普通だった…はず」

「何その意味深な答え」
「まぁ、ちょっとね」

「何笑ってんの。後で話聞こうか(笑)」
「うぃ〜」


ってな感じで、このあとはシバの家で真希に話をする事になる。

⏰:10/07/16 12:37 📱:F02B 🆔:r2DDek4c


#498 [シバ]
「流れは完璧にこっちじゃん!シバ、秀一君から取っちゃいな」

一通り話を聞いた真希は、目を輝かせていた。

「うん〜…でも、今は秀一と別れられないって事はさ、やっぱりあっちの事が好きなんだよね。しかもアイリ、秀一の事『シュウ』って呼んでた」

「そりゃ付き合ってる身だからね。でも、アイリちゃんは秀一君よりシバの事が好きって言ったんでしょ?」

「うん」

⏰:10/07/16 12:41 📱:F02B 🆔:r2DDek4c


#499 [シバ]
「今日の昼休みに話したって事でしょ?今日途中でいなくなったじゃん」

「そう。だって、秀一の話で盛り上がってる中にシバがいたら完璧awayじゃん…イケメンだの可愛いだの…これってヤキモチってやつだね。シバの方が年上なのに…カッコ悪」


「ま、いいじゃん♪合宿はまだまだ続くんだしさ。様子見てみな」

「うん」

しばらくそんな話をして、また明日…と真希は帰っていった。

⏰:10/07/16 12:46 📱:F02B 🆔:r2DDek4c


#500 [シバ]
翌日昼休み…

弁当を食べていると、アイリに小突かれた。

「シバさん。食べ終わったらソッコー昨日の教室ね。アイリ、今日も準備があるから早めに話したい」

「分かったよ」

アイリは微笑んで、ゆっくりと歩いて行った。
それからは、大好物の唐揚げやフライをゆっくり食べる主義のシバだけど、アイリに会いたいが為に無理くそかき込んで食べた。

⏰:10/07/16 12:53 📱:F02B 🆔:r2DDek4c


#501 [シバ]
教室に着く。
体育座りしてケータイをいじるアイリがいた。

シバに気付くと、パチンとケータイを閉じた。


「シバさん、おいで」

手招きされ、アイリの横へ。

しばらく無言でいて、アイリのケータイが鳴る。また開いて、すぐに閉じた。

「秀一かぁ?」
「うん。今日合宿から帰ってきたから遊ぼうだって。アイリも合宿だって言ったのに、バカじゃん」

⏰:10/07/16 13:00 📱:F02B 🆔:r2DDek4c


#502 [シバ]
心が痛んだ。
シバと離れたら、またいつものアイリの生活が始まる。
普通に学校に行って、バスケして帰って…またこうやって秀一とメールして…
休みの日なんかは2人で遊びに行くんだろうな…


「秀とアイリ、プリクラさえ撮った事ないんだ。だからプリクラ撮りに行きたいんだってさ」

「…は?」

「あっちはあっちでサッカー忙しいし、こっちはこっちでバスケバスケだし、学校以外ではほとんど会わないからね」

⏰:10/07/16 13:05 📱:F02B 🆔:r2DDek4c


#503 [シバ]
「あ、そうなの?」

変な安心感を感じた。
シバの表情を見て言ったのか、何となく言ったのかいまだに分からないけど…
アイリはボソッと話した。

「見る?秀の顔」

そんなもん見たくない!だけど、一目ならいいかな?
気になるし…


「見たいかも」

アイリはケータイをポチポチと操作して、秀一を探していた。

⏰:10/07/16 13:09 📱:F02B 🆔:r2DDek4c


#504 [シバ]
「4枚くらいしかないんだけど…」

そう言って、シバにも見えるようにケータイの画面を向けた。

1枚目…
体操服の2人が笑ってピース。
秀一はアイリより少し背が高いくらいで、日差しが強かったのか、眩しそうに笑っていた。
ゼッケンには『長崎』。秀一の名前は、長崎秀一。
日焼けして、小麦色に焼けた秀一は、確かにかっこよかった。

⏰:10/07/16 13:17 📱:F02B 🆔:r2DDek4c


#505 [シバ]
2枚目…

秀一が男友達とじゃれている場面だった。
どれが秀一か、言われなくてもすぐに分かった。鼻筋がスッと通ってて、クシャッと笑うあの笑顔は、誰よりも可愛くて、綺麗だったから。


3枚目…

秀一がサッカー部のユニフォームを着て、真顔で写っている。
1年生で唯一、ユニフォームを貰えたからその記念に撮ったんだとか。

⏰:10/07/16 13:22 📱:F02B 🆔:r2DDek4c


#506 [シバ]
真顔の秀一は、凛々しいなんてもんじゃない。
悔しいけど、こんなにカッコいい奴見た事がない…

4枚目…

制服姿の2人が写っている。
夜だったのだろう。
真っ暗な背景に、灯りがポツポツ。
シバはアイリの制服姿を初めて見た。
秀一は眼帯をしていた。練習中に部員の肘がもろに入ったのだという。



「こんだけ」
アイリはケータイを閉じた。

⏰:10/07/16 13:28 📱:F02B 🆔:r2DDek4c


#507 [我輩は匿名である]
頑張って

⏰:10/07/16 13:38 📱:W62H 🆔:2AczhaBI


#508 [シバ]
>>507さん

ありがとうございます(^^)v



>>506
初めてまともに秀一を見た。
こいつがアイリの彼氏…複雑というか、正直ムカついた。
シバの見えない所で、2人で一緒に帰ったり、ラブラブしたり…
想像しただけで、イライラする。

それと同時に、シバ自身にも苛立ちを覚えた。

⏰:10/07/24 22:42 📱:F02B 🆔:9e1bBfHs


#509 [シバ]
なんでシバは男じゃないんだろう…
なんで自分は女なんだろう…

それ以前に、なんでシバは女を好きになってるんだろうって疑問を持つはずなのに、それがなかった。
男になりたい訳でもないのに。

変な矛盾だらけで頭の中はパニックだった。

「シバさん」

シバはしばらく俯いていたみたいで、アイリに呼ばれてハッとした。

⏰:10/07/24 22:46 📱:F02B 🆔:9e1bBfHs


#510 [シバ]
アイリの方を向くと、アイリは心配そうな表情になっていた。

「見せない方がよかった?」

「いや、別…」

アイリの目を見れなかった。
アイリはどういう気持ちで秀一を見せてきたのか分からなかったし…

シバお得意の複雑な顔をしていたのだろう。
アイリは真顔のまま、シバに近づいてきた。

⏰:10/07/24 22:55 📱:F02B 🆔:9e1bBfHs


#511 [シバ]
「嫌な気持ちにさせちゃったならごめんね」

そう言うと、アイリはシバにキスをしてきた。
不思議と嫌な気持ちにはならなかった。

いや、むしろ求めていたのかもしれない。
目の前には、目を閉じているアイリの顔がある。

ずっと見つめていると、アイリは目を開けてシバから離れた。

「ごめんね。ってか、シバさんが嫌がらないから、つい…」

⏰:10/07/24 22:59 📱:F02B 🆔:9e1bBfHs


#512 [シバ]
少し照れくさそうな仕草を見せたアイリに、シバは言った。

「前とは違うよ。嫌がる訳ないじゃん」

真剣に話すシバを見て、アイリは微笑んでいた。

「そ?じゃ、そっちからしてよ」

「何を?」

「チュー(笑)キスって言った方がムード出るかな?(笑)」

⏰:10/07/24 23:04 📱:F02B 🆔:9e1bBfHs


#513 [シバ]
笑っているアイリにキスをした。

今度はアイリの方が目を開けていた。
自分からキスをした方が、相手の唇の感触とか、忘れられない感じがする。
そして、シバは生まれて初めて女の子にキスをした。

初めての事で、いろんな感情がこれでもか!ってくらい湧き上がってきて、涙腺が緩んだ気がした。

⏰:10/07/24 23:09 📱:F02B 🆔:9e1bBfHs


#514 [シバ]
目を開けると、今度はアイリが真顔になっていた。
真顔のまま、視線をそらしていた。

あれ?
マズい事しちゃったかな?


無言のまま、お互い視線を合わせない。
しばらくすると、アイリは言った。

「シバさん…本当にシバさんからキスしてくれるとは思ってなかった。そんな…アイリおかしくなっちゃうよ」

⏰:10/07/24 23:13 📱:F02B 🆔:9e1bBfHs


#515 [シバ]
え?
なんかごめん。


トンチンカンになった気がした。
シバの行動はまずかったのかな?
おかしくならないで…


「…アイリ本気になっちゃう」

ポツリと呟いた。
アイリは下を向いたまま、顔を伏せている。


オドオドしているシバに気づいたアイリは顔を上げた。

⏰:10/07/24 23:17 📱:F02B 🆔:9e1bBfHs


#516 [我輩は匿名である]
あげますメ

⏰:10/07/25 15:45 📱:CA004 🆔:Iq0kfHJ2


#517 [我輩は匿名である]
>>300-600

⏰:10/07/26 02:47 📱:F03A 🆔:upECO2Sc


#518 [(^_^)/]
あげます


ちょう面白い!
頑張って下さい

⏰:10/07/27 09:59 📱:P03A 🆔:PDnqEeQ6


#519 [うっちー]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

失礼しました

⏰:10/07/28 00:08 📱:SH04A 🆔:IiIdswLo


#520 [シバ]
>>516-519さん

あげ&安価ありがとうございます(・∀・)

>>518さん
ありがとうございます
もうちょいしたら更新します!

⏰:10/07/28 21:31 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#521 [シバ]
>>515

「アイリ…秀と別れる」

シバは更にオドオドした。
自分から別れろ!なんて言っておいて、実際アイリからそんな事を言われると慌てふためいてしまった。

「あ、そう?いや…でも…ああ…うん。…え?」

「だって、シバさんの事こんなに好きなのに、他の人となんて付き合えないよ」

⏰:10/07/28 21:46 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#522 [シバ]
「…………」

「…嫌ですか?」

「いや、嫌とかじゃなくて。めちゃくちゃ嬉しいよ…でも、確認するようでウザいかもしれないけど、シバは女だよ?男じゃないんだよ?」


「何度も言うけど、アイリはシバさんが好きなんです!シバさんが男でも女でも、アイリは好きなんです」

「遠距離になるんだよ?」

⏰:10/07/28 21:50 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#523 [シバ]
「そうだけど…寂しいけど、大丈夫。だからもう、離れていかないで」

心は1つ!
アイリはそう言いたかったのだろう。
真剣な表情だった。
シバもアイリのすべてを受け入れる!
秀一の事も含めて。
強くなる!

だから、シバからも言う。

「もう離れないで」

アイリは頷いた。

⏰:10/07/28 21:56 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#524 [シバ]
アイリアイリアイリ…

もうシバの中ではアイリしかいない。
めちゃくちゃ好きだ!

胸が熱くなった。
アイリが頷いた直後、シバはアイリを思い切り抱きしめた。

アイリも抱きしめてくれた。
シバの背中にアイリの長い腕がまわされる。


汗かいてるはずなのに、アイリはいい匂いがした。

⏰:10/07/28 22:00 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#525 [シバ]
目をギュッと閉じて、アイリのぬくもりを感じた。

顔を上げて、キスをした。
何度も何度も…何度も何度も。



「シバさん?」

アイリに問いかけられる。
シバは泣いた。
嬉しさとか、喜びとか、いろんな思いがこみ上げてきて、シバは泣いてしまった。

⏰:10/07/28 22:04 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#526 [シバ]
「なんで泣いてんだよ(笑)」

とか言うアイリも泣いていた。

報われた…

こんなに嬉しい思いをしたのは、ぶっちゃけ初めてじゃないかと思った。

それからは無言のまま、キスを続けた。
唇が腫れぼったい…
それでも続けた。
自然と舌を絡ませていた。
アイリがさっきまで噛んでいたガムの、ブルーベリーの甘い味がした。

⏰:10/07/28 22:13 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#527 [シバ]
今までブルーベリー嫌いだったシバ。

だけど、ブルーベリーはアイリの味。
それ以来、『ブルーベリー』というものをこよなく愛するようになった。

ガムを買う時はもちろん、ブルーベリー。
ヨーグルトを買う時もブルーベリー。
ブルーベリーブルーベリーうるさい!

っていうくらい、ブルーベリーを愛した。

キスを終えてしばらくボンヤリした後、アイリは準備の為、体育館へと向かった。

⏰:10/07/28 22:19 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#528 [シバ]
それから合宿中の昼休みは、ずっとあの教室へ行き、アイリとキスをした。

お互いの気持ちを確かめ合うかのように、抱き合った。
キスの最中、アイリは時折、


「…ン」

とか言う。
シバの中でドッカーンと何かが爆発したような気持ちになる。
可愛すぎだろ畜生!
このヤロー!
あぁ、もう!

⏰:10/07/28 22:26 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#529 [シバ]
あの一週間で、どれほど気持ちを確かめ合っただろうか…

「大好きだよ」
「ずっと一緒にいよう」
「離れてもずっと想ってるよ」
「将来一緒になろう」


一週間の合宿にピリオドが打たれた。
これからは離れるけど、アイリとの手紙や電話を大事にしよう。
シバが卒業したら、ケータイを買ってメールもしよう。
もちろん、アドレスにはアイリの名前を入れるよ。

⏰:10/07/28 22:30 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#530 [シバ]
ケータイも買うけど、それよりも先にアイリに会いに行きます。

車の免許だって頑張って取るし、車を買って一番にアイリを乗せるよ。

家は2人で住めるような、綺麗なマンションでもいいな。
そんな中に犬や猫もいればもっと最高になるなぁ…


高校3年でこんな夢を持って、あれから4年…

⏰:10/07/28 22:35 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#531 [シバ]
シバとアイリは一緒になる事はありませんでした。
合宿が終わって、帰りのバスの中でアイリはグシャグシャになりながら泣いていた。

「離れたくないよ…シバさん」

「いつか会いに行くよ。それまでお互い頑張ろう」

シバは無理やり笑顔を作ってアイリを送り出した。
大丈夫!っていう、何の根拠もない自信を持って。

⏰:10/07/28 22:39 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#532 [シバ]
離れてからの1ヵ月は手紙や電話のやりとりがあった。

それ以降、お互いプツリと連絡を取らなくなった。
何でなのか、いまだによく分からない。
だけどシバが思うに、お互い満足できていたのかもしれない。

合宿中の、あの昼休みの出来事…

我を忘れて、求め合って。
合宿までの数ヶ月間、ずっとお互いモヤモヤしていたから、それを晴らす事ができたから。

⏰:10/07/28 22:44 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#533 [シバ]
本当に幸せだった。
ものすごく大きな幸せだったから、一気に燃え尽きてしまった感じ。

時の流れって酷く冷たくて、残酷で、儚い。



高3で経験した、初めての愛。
相手は女の子。
こんな恋愛もあるんだ!って学んだ。
シバが愛だの恋だの語るには、まだまだ早過ぎたのかもしれない。

⏰:10/07/28 22:50 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#534 [シバ]
あれからアイリのチームと合宿をする事もなかった。
だからアイリとはまったく会えず終い。

その後の話として聞いた事…


アイリは今19歳になって、秀一とは別の彼氏ができて、お腹には赤ちゃんがいるっていう事。
近々結婚だってするでしょう。
リナから最近の写真だと送られてきた写メを見ると、髪は金髪?になっていて、少し太ったかなって感じで…

⏰:10/07/28 22:55 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#535 [シバ]
隣には微笑む男…
アイリと同級生で、生意気にも髭なんて生やして…

あの頃のアイリはもういない。
そう思うと、別に辛くもなけりゃ悲しくもならなかった。

幸せそうな顔してるアイリに言えるのは、幸せになってください。

ただそれだけ。

シバがそんな事言わなくても、十分幸せなんだろうけど。
だから、もっともっと幸せになってください。

⏰:10/07/28 22:59 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#536 [シバ]
そんな事言ってるシバだけど、2年前に新しい恋をしていました。

2年前のシバは二十歳。

高校3年生とか、かれこれ4年前の事なんですね。
懐かしい…





っていうワケで、これからは2年前のシバが経験した恋愛を語ります。
読んでくれたら喜びます。
めちゃくちゃ喜びます。

⏰:10/07/28 23:04 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#537 [華]
アイリさん編??スゴィ良かったです!!

次のぉ話しも楽しみにしてますね

主さまのペースで頑張ってくださぃ

⏰:10/07/29 01:24 📱:P10A 🆔:J5S8J1IE


#538 [Sっ気]
ぜんぶ読みました!!!
次も頑張って下さい!!

⏰:10/07/29 06:39 📱:840P 🆔:IptZQHPk


#539 [我輩は匿名である]
楽しかったです
アイリちゃんと続いて
欲しかったです
次も楽しみにしてます

⏰:10/07/29 12:31 📱:SH05A3 🆔:mfZeqez2


#540 [我輩は匿名である]
面白かった〜
最後まで読みます

⏰:10/07/29 21:29 📱:P03A 🆔:l4cytRa2


#541 [福徳◆/nUhbtSemo]
面白かったあ!
お互い素直になれてて、なんか羨ましいな〜(笑)

⏰:10/07/31 01:27 📱:re 🆔:☆☆☆


#542 [シバ]
>>537-541さん
こんなに感想を貰えるなんて…(*´д`*)
シバ感動です!
よろしければ感想板にも遊びにきてくださいね

夜からまた更新しますんで、よろしくお願いします(^^)v

⏰:10/07/31 17:11 📱:F02B 🆔:7ghSDFkc


#543 [シバ]
>>536
高校卒業…
シバは進学せず、社会人になる事を決めた。

あれだけやる気に満ち溢れて燃えていた、バスケットも引退してしまえば、プツンとやる気の糸が切れてしまったようにピリオドを打った。
意外とあっさりだった。

あのまま大学に行って、バスケットを続けていたら、あの出会いはなかったと思う…

⏰:10/08/01 00:14 📱:F02B 🆔:ppVpXW/o


#544 [シバ]
高校1年時…
「シバは体育教師になる!」

高校2年時…
「シバは美容師になる!」

高校3年時…
「なんとかなる!」


なんという間抜けな3年生だったのだろう…
高校1年の時は、とにかくバスケットが大好きで大好きで、体育の道で進み、自らがバスケットを通して学んできた事を、バスケットを通して今度は自分が未来の子供達に教えていきたい!
そういう夢を持っていた。

⏰:10/08/01 00:18 📱:F02B 🆔:ppVpXW/o


#545 [シバ]
しかし…
体育教師は実技だけに限らず、保健の知識とか、その他諸々の事を教えられるようにならなければならない。
シバは口下手だ。

増してや保健の授業で『性について』なんて教えようもんなら、シバには無理がある気がした。

生徒達の前で、『セックス』とか、あんな事やこんな事を教えないといけないのだ。
セックスとか、自分より年下の子達に教えないといけないなんて、無理無理無理無理!
いやだ照れ臭い!

⏰:10/08/01 00:24 📱:F02B 🆔:ppVpXW/o


#546 [シバ]
んで、体育教師への夢を断念…

高校2年の時の夢は、『美容師』。

根拠はない。
ただ、シバの行きつけの美容室の美容師さんのハサミ裁きに胸を打たれ、シバもあんな風に格好良くチョキチョキしたい!
そんな単純な理由で目指す事を決めた。

前髪を切るだけで失敗するシバには無理な話だと分かるまでに、そう時間はかからなかった。

⏰:10/08/01 00:27 📱:F02B 🆔:ppVpXW/o


#547 [シバ]
少しだけカットする予定が、気がつけば斜めにざっくりと…

格好良く言えば、センスのないアシメントリー。悪く言えば…
もう、センスも糞もなく、美容師なんてとんでもない!っていうメッセージ。


んで、美容師の道断念。

高校3年…
理想と現実のギャップが凄すぎて、夢というより「なんとかなる!」精神で就職を考える事に。

⏰:10/08/01 00:39 📱:F02B 🆔:ppVpXW/o


#548 [シバ]
就職難の中、就職が決まった事はもの凄くありがたい事だ。
だけど、シバがやりたい事はこんな仕事じゃない!とか、不満を抱きつつも社会人になる事に…

しかし、慣れていくにつれて生きがいに感じるようになった。
仕事が楽しい!っていう気持ちが2なら、不満やストレス等は8。

生きがいっていうのは大袈裟かもしれないけど、この仕事を選んでよかった!
そう思えるようにはなれた。

⏰:10/08/01 00:44 📱:F02B 🆔:ppVpXW/o


#549 [我輩は匿名である]
アシメントリーじゃなくてアシンメトリーだよ(^^)

⏰:10/08/01 02:15 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#550 [シバ]
>>549

あ、本当だ(+_+)
入力ミスですね



>>548
そんなこんなで、卒業してからの約2年間は仕事に打ち込みまくった。

『8』ある仕事への不満は、嫌がらせとかイビリをする上司がいたり、仕事がキツ過ぎる事に対する不満だったり…
だから楽しいと思える気持ちは『2』。

⏰:10/08/01 11:04 📱:F02B 🆔:ppVpXW/o


#551 [シバ]
…そんな事言ってみても、仕事に就けただけでもありがたい事だし、『これも1つの社会勉強!』と思って踏ん張ってみれば、それなりに頑張れた。

たまに高校時代の友達が恋しくなったり、1人暮らしを始めた為、猛烈に家族が恋しくなったり、精神的な面では最初のうちはズタズタだった。

たまに電話をして、父や母の声を聞くだけで泣けてきて、うわぁ〜!とかなるけど、寂しいなんて気持ちがバレないように陽気に振る舞ってみたり。

⏰:10/08/01 11:11 📱:F02B 🆔:ppVpXW/o


#552 [シバ]
時間が経つに連れて、そういう事にも慣れてきた。
だから、2年も経てば、贅沢さえしていないが、それなりに充実した生活を送れていたハズだった。




シバには1人の姉がいる。
喧嘩も多かったけど、昔から仲良しで、シバの事をよく可愛がってくれていた。
シバもそんな姉の事が大好きだった。

⏰:10/08/01 11:19 📱:F02B 🆔:ppVpXW/o


#553 [シバ]
二十歳の夏…
そんなシバと姉の間に亀裂が入った。
と言うより、シバが亀裂が入るような事をしてしまった。


姉から冷たくされ、シバも姉に対して必要以上に会話もせず、もう『喋る』という事さえ無くなってしまっていた。



それは、ちょうど2年前の今頃の季節…

⏰:10/08/01 11:27 📱:F02B 🆔:ppVpXW/o


#554 [我輩は匿名である]
前から見てました☆
文章能力あるしほんとに読んでて楽しいしこの小説大好きでブックマークしてます!!!!
更新待ってます!シバさんのペースで頑張って下さい!

⏰:10/08/01 17:51 📱:W63H 🆔:jWXVJYhA


#555 [シバ]
>>554さん

ありがとうございますブックマークまで…(/_・、)

匿名さんの期待に応えられるように頑張ります(^^)
長々と続いちゃいましたが、最後までお付き合いお願いします(笑)

⏰:10/08/02 23:11 📱:F02B 🆔:Fisee49s


#556 [シバ]
>>553

姉はシバの1つ年上。
小さい頃から『ゆーちゃん』と呼んでいた(由香だから)。

ゆーちゃんは頭もいいし、運動もできる。
シバがバスケットを始めたのも、ゆーちゃんが先に始めていたから。

チームで一番上手いゆーちゃんに憧れて、その背中を追うようにシバもバスケット人生を歩むことに。

(ゆーちゃんはシバの事を名前で呼ぶけど、小説の中では『シバ』って呼ぶ設定で描いていきます)

⏰:10/08/02 23:20 📱:F02B 🆔:Fisee49s


#557 [シバ]
ゆーちゃんは高校を卒業した後、社会人として働きながらもバスケットを続けている。


本当は大学に行きたかったらしいけど、ノリで社会人になったらしい。
頭がいいから、いい大学に行けたハズなのにもったいない…

シバもゆーちゃんも地元を離れ、別々の場所でお互い頑張っていた。
何かあった時は、すぐにゆーちゃんに電話をしたし、ゆーちゃんも寂しくなったらシバにメールや電話をしてくれた。

⏰:10/08/02 23:26 📱:F02B 🆔:Fisee49s


#558 [シバ]
電話の内容は、だいたいこんな感じ。

「ゆ〜ちゃん…」
「何?」

「暇すぎる!相手してよ」
「あたしは暇じゃないよ(笑)」

「え〜?何してんの?」
「漫画読んでた」

「暇人じゃんか!」
「漫画読み終わったらまた電話するわ!じゃね」

プツっ…

「…………」

⏰:10/08/02 23:30 📱:F02B 🆔:Fisee49s


#559 [シバ]
「ゆーちゃん!腹痛い…」
「あらら…う○こしておいで」


「そういう痛さじゃないんだよ…なんかこう、キリキリする」
「コーラックでも飲めば?」

「だからう○この痛さじゃないんだってば!」
「コーラック飲む時は寝る前の方がいいよ。昼間に飲むととんでもない事になるから(笑)」

「いや、だから…」
「あたし前よく飲ん…あ、誰か来た!ごめん、また後で」

プツっ…

⏰:10/08/02 23:34 📱:F02B 🆔:Fisee49s


#560 [シバ]
「……(ゆーちゃん)」



…みたいな、なんかどうでもいいような会話ばっか。
むしろ、シバの相手してくれない。
だけど、シバが悩んだ時はとことん相談を聞いてくれる。
だから、ゆーちゃんの事は昔から好きなのだ。

一緒に馬鹿もするし、お互い親身になって支え合えるし、理想の姉妹だと思う。

⏰:10/08/02 23:39 📱:F02B 🆔:Fisee49s


#561 [シバ]
そんなゆーちゃんだから、友達も多い。

どこに行ってもリーダー的存在のゆーちゃんは、シバにとって自慢の姉だった。

「シバのお姉さん格好いい!」
「あたしファンになっちゃおっかな♪」

なんて友達が言うもんだから、こちらは鼻が高い。

「シバと正反対だね」
「本当にシバは由香さんの妹なの?」

こんな事を言われる度に、高かった鼻をボキリと折られる。

⏰:10/08/02 23:47 📱:F02B 🆔:Fisee49s


#562 [シバ]
ゆーちゃんはいいなぁ…なんでゆーちゃんばっかり…


普通はそんなヤキモチを妬いてしまうだろう…
だけど、シバはゆーちゃん大好きだ!
自慢の姉だ!

だから、シバもゆーちゃんみたいな人間になろう!
とか、素直にゆーちゃんの凄さを受け入れ、目標としていた。

こんな関係が大人になっても、ずっと続く事を夢見て…

⏰:10/08/02 23:51 📱:F02B 🆔:Fisee49s


#563 [シバ]
特にゆーちゃんと仲が良かったのが、高校時代からの付き合いだという『理彩(りさ)』ちゃん。

2人は高校は別々だったけど、地元も一緒だし、バスケの試合や合宿でよく顔を合わせていたから、長い付き合いができたらしい。

シバは理彩ちゃんと会う度に、よく絡まれていた。
最初はまったくの赤の他人みたいに関わりはなかったけど、仲良しのゆーちゃんの妹っていう事で、よく弄られていた。

⏰:10/08/03 00:02 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#564 [シバ]
最初…
「由香〜!休みの日できたら教えてね!ってか、隣の子…え?妹?由香の?へぇ〜、そうなんだ♪こんにちは〜♪」

時が経ち…
「なんて呼んだらいいかな?『シバ』でいいかな?なんか照れ臭いなぁ(笑)」

更に時が経ち…
「よぉ、シバ!」



理彩ちゃんの第一印象は、『馴れ馴れしい』だった。
出会って間もないのに、呼び捨て。

⏰:10/08/03 00:07 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#565 [シバ]
それをゆーちゃんに報告した所…

「へぇ〜!よかったじゃん♪」
「何が?」

「理彩ね、初対面の人に自分から話かけない主義の子なのよ。ってか、人見知りするから絶対に自分からは話そうとはしないハズなんだけど…」
「へぇ…」

「ま、理彩と仲良くしてあげて。ああ見えて寂しがり屋さんだから(笑)」

⏰:10/08/03 00:11 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#566 [シバ]
ああ見えて…と言うのは、理彩ちゃんの容姿。

背は低いけど、なんか強そうっていうかなんていうか…
気が強そう。

んで、顔と声はめちゃくちゃ可愛い。
こんなに顔のパーツが整ってる美人が世の中にはいたのかぁ…
日本も捨てたもんじゃないな。

っていうくらい、美人さん。
パッチリ二重の綺麗な目が強く印象に残った。

⏰:10/08/03 00:14 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#567 [シバ]
確か、シバが高校に入学する前にゆーちゃんのプリクラ帳で理彩ちゃんを見た事がある。

年上だか年下だかのイケメン彼氏と2人で、海だか川だか山だか谷だか行ったみたいな事を落書きしてるやつ。

ゆーちゃんから、

「地元で有名な美男美女カップルだよ♪」

って聞いた記憶もない事はない。
何度見ても、理彩ちゃんはやっぱり可愛い。

⏰:10/08/03 21:57 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#568 [シバ]
だけど、ゆーちゃんだって普通に可愛い。
理彩ちゃんよりは背が高いけどスタイルがいいし、切れ長の目で、黒髪美人。

ゆーちゃんと理彩ちゃん2人で街を歩いているのは、なかなかの見物であるハズ。

そんなゆーちゃんの妹であるシバは、ゆーちゃんと理彩ちゃんに比べたら芋レベル。
あんた本当に由香さんの妹?って聞かれるのも無理はない。

⏰:10/08/03 22:02 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#569 [シバ]
理彩ちゃんに会うのは、ゆーちゃんと理彩ちゃんの社会人のクラブチームの試合がある時くらい。

ゆーちゃんと理彩ちゃんは別のチームだけど、シバはいつも試合の応援には行っていた。
大好きなゆーちゃんに会えるのが楽しみだからである。
理彩ちゃんとは、そこまで仲が良いってワケじゃなかったから、シバにとって理彩ちゃんに会えるのは、ゆーちゃんのオマケみたいに考えていた。

⏰:10/08/03 22:05 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#570 [シバ]
試合の日…

ゆーちゃんは試合前のアップや準備で、バタバタしていた。

「ゆーちゃんに会えるのは試合が終わってからかな?」

自販機でジュースでも買って、それまでゆっくり待とう!
体育館の玄関前のロビーの自販機に向かった。

財布を取り、小銭を入れる。

「リィ、炭酸飲みたい♪」

⏰:10/08/03 22:10 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#571 [シバ]
後ろから声がする。
振り向くと、黒い大きな椅子に、だらんともたれかかって座っている理彩ちゃんがいた。

理彩ちゃんは、自分の事を『リィ』と呼んでいる。
首にはカラフルなタオルをかけていた。

「ね、シバ!リィにも何か買って♪」

「いいけど…試合終わったんですか?」

「さっき終わった!もうすぐ由香の試合だよ♪」

⏰:10/08/03 22:14 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#572 [シバ]
ピョンっと椅子から飛び降りて、ニコニコしながらシバの方に近付いてくる。
その様子は、まるで幼い子供のよう…

「炭酸炭酸〜!試合中は甘ったるいポカリしか飲めないから、今ガンガン飲みたい気分♪」

シバは自分のサイダーを買って、理彩ちゃんの分の小銭を入れた。

「どうしよっかな〜…ペプシも飲みたいけど、やっぱコカ・コーラだね」

⏰:10/08/03 22:19 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#573 [シバ]
勢いよくボタンを押して、コーラを取り出した。

「ありがとうシバ♪座って一緒に飲もう」

シバの手を引いて走り出す様子も、幼い子供のよう。

「シバが買ってくれた初めてのコーラだから大事に飲むよ♪」


そう言って勢いよくプシュっと開け、勢いよく飲みだした。
どう見ても、大事に飲んでるようには見えないけど…

⏰:10/08/03 22:23 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#574 [シバ]
「由香の試合一緒に見ようよ!リィのチームの人みんな帰るみたいだから、1人は寂しいよ…」

泣きそうな顔を作る理彩ちゃん。

「別にいいですよ」

「ってかさぁ、敬語とか遣わなくていいよ!リィなんかに敬語遣ったってリィ、先輩に見えないでしょ?」

「確かに…でも、先輩は先輩だから」

「あ〜、そんなん全然気にしなくていいよ」

⏰:10/08/03 22:27 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#575 [シバ]
「はぁ…」

「あと、理彩ちゃんじゃなくて『リィ』でいいよ!ってか、そう呼んで♪理彩ちゃんって呼ぶ人ほとんどいないし」

「はぁ…」


圧倒された。
何に圧倒されたかというと、理彩ちゃんという人間の人柄。
よく分かんないけど、すべてが圧倒的だった。

顔は可愛いけど、多少怖そうなイメージがあった。

⏰:10/08/03 22:31 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#576 [シバ]
そんな人が、こんな子供みたいな笑顔を見せるなんて…
人間、見た目だけじゃ分からないってもんだ。


2人でしばらくまったりしていると、由香ちゃん達が体育館に入っていった。

「あ、ゆーちゃん!」

「シバ〜!来てたんだ♪また後でゆっくり話そ!」

ゆーちゃんが行ってしまうと、隣から強烈な視線を感じた。

⏰:10/08/03 22:35 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#577 [シバ]
「ホント仲良しだね、あんた達(笑)由香が来た瞬間、シバめっちゃ嬉しそうだったね」

「そうかな?」

「由香も由香で、リィの前でよくシバの話するんだよ」

「へぇ」

「なんかいいね。仲良し姉妹かぁ」


ダラダラ話しながら、体育館へと入った。

⏰:10/08/03 22:39 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#578 [シバ]
久しぶりに見るゆーちゃんのバスケ姿。

最近は仕事が忙しくて、ほとんど練習出来ていなかったらしい。
そのせいか、終盤で足が吊り、途中退場となってしまった。
その姿を見た理彩ちゃんは、隣で大爆笑。

「足吊ってるし。無理しすぎ(笑)」

ゆーちゃん大好きなシバだから、普通はこんな場面で爆笑する奴を見たら「何だコノヤロー」とか思ってしまう。

⏰:10/08/03 22:44 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#579 [シバ]
だけど、シバは知っている。

高校時代、由香ちゃん・シバのチームがAコート、理彩ちゃんのチームがBコートで試合をしていた時の事…

絶好調だった由香ちゃんが、突然膝を抱えて倒れ込んだ。
その姿を見ていたのか理彩ちゃんは、自分達も試合中だったにも関わらず、Aコートに走ってきて由香ちゃんに駆け寄ったのだ。
これには会場も騒然となった。

⏰:10/08/03 22:51 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#580 [シバ]
一番に駆け寄ってきたのが、隣で試合中の4番を着たキャプテンだったからだ。

シバはその姿をはっきりと覚えている。
怪我を負ったキャプテンに、別のチームのキャプテンが試合中に駆け寄ってくる…

病院に運ばれたゆーちゃんだったけど、軽い怪我で済んだようだ。

体育館に戻ってきたゆーちゃんに、一番に駆け寄ってきたのはやっぱり理彩ちゃんで、ゆーちゃんを見るなり泣きながら抱きついたのだ。

⏰:10/08/03 22:56 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#581 [シバ]
よかった…
よかった…

そう言いながら、小さい体でゆーちゃんに飛びついた。


その時は、シバと理彩ちゃんは、今こんな風に喋れる事が嘘のように、まったくの他人だった。

ゆーちゃんが足を吊った場面を見て、こんな事を思い出していた。

ゆーちゃんのチームは勝った。
試合が終わって、理彩ちゃんと一緒にゆーちゃんのもとへ。

⏰:10/08/03 23:00 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#582 [シバ]
「ダサすぎだよ、柴崎姉さん(笑)」

理彩ちゃんは意地悪な笑顔を浮かべながら、ゆーちゃんに絡む。

「だって、最近バスケしてなかったんだもん!ビックリしたわぁ」

そう言いながら、ゆーちゃんはストレッチをしている。

「シバ、来てくれたんだね。せっかく来てくれたのに、みっともないトコ見せちゃってごめんちゃい♪」

無邪気に笑うゆーちゃん。

⏰:10/08/03 23:04 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#583 [暇人]
>>001-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600

⏰:10/08/04 01:08 📱:936SH 🆔:AOW40T3Q


#584 [シバ]
>>583さん
安価ありがとうございます(〃▽〃)


>>582
汗をかいて髪の濡れている美人2人が揃った。
シバは、なぜか心が弾んだ。
久しぶりの再会って、何かいい。
それで、多少照れ臭いけど、自然と接せられると尚いい。

ゆーちゃんも理彩ちゃんも笑ってる。
それに釣られたように、シバも自然と笑顔になる。

⏰:10/08/05 22:02 📱:F02B 🆔:ZHvgb/hM


#585 [シバ]
ゆーちゃんのチームが解散すると、3人でご飯食べに行こう!ってなって、近くのファミレスへ。

席について、メニューを配る。

「シバ、気が効くじゃん♪」

そう笑うのは理彩ちゃん。

「でしょ?だって、シバはあたしの妹だもん♪」

なんて言うのはゆーちゃん。

⏰:10/08/05 22:05 📱:F02B 🆔:ZHvgb/hM


#586 [シバ]
たった1個しか歳は変わらないのに、2人が随分大人に見える。

メロンソーダを飲みながら、しみじみしていた。


よくよく話を聞いていると、恋バナに入った。

「理彩もいい加減、彼氏作ればいいのに」

ゆーちゃんがコーヒーを飲みながら言う。
理彩ちゃんは全く動じないと言わんばかりに笑っている。

⏰:10/08/05 22:10 📱:F02B 🆔:ZHvgb/hM


#587 [シバ]
「そういう由香だって!いい加減彼氏作りなよ♪」

「あたしはちゃんといます〜!」

「…嘘?ああ、だったね。ダイチ君だっけ?」

「違う!タイキ!」

「ああ、そう♪」


大人な2人は、大人な会話をしている…
シバは知らなかった。
ゆーちゃんに彼氏がいる事を。

「嘘!ゆーちゃん彼氏いるの?」

⏰:10/08/05 22:14 📱:F02B 🆔:ZHvgb/hM


#588 [シバ]
「いるよ(笑)まぁ、最近出来たばっかなんだけどね。シバに言ってなかったっけ?」

「言ってない!」

何かショックだった。
喜ばしいとは思ったけど、やっぱりショックだ。自分の大好きな姉に彼氏がいるのだ!
シバのゆーちゃんを取るな!って思った。

「何?シバ、妬いてんの?」

意地悪に笑う理彩ちゃん。

「妬いてない!」

⏰:10/08/05 22:17 📱:F02B 🆔:ZHvgb/hM


#589 [シバ]
何を話しても、ニヤニヤしている2人を目の前ににすると、上手く話が出来ない。
だから、大人しく黙ってる事にした。

タイキ君との出会いは〜?
付き合ってどれくらい〜?

乙女達の恋バナはまだまだ続く。
そんな中、理彩ちゃんから意味深な言葉を聞いた。

「あたしは彼氏はいらない」

⏰:10/08/05 22:21 📱:F02B 🆔:ZHvgb/hM


#590 [シバ]
カプチーノだかカフェオレだかを、グチャグチャに混ぜながら理彩ちゃんは笑う。

「だってめんどくさいもん♪」

すかさず、シバは聞く。

「前、プリクラに写ってた人は?」

「いつの話してんの、アンタ(笑)」

ゆーちゃんが言う。

「地元で有名だったっていう、美男美女カップル」

⏰:10/08/05 22:25 📱:F02B 🆔:ZHvgb/hM


#591 [シバ]
「あ〜…あたしらが高1の時のやつだ!懐かしい(笑)とっくの昔に終わったしね。ってか、そんな風に言われてたんだ(笑)」

「ごめんね理彩〜。シバって情報古いから」

グダグダだ…
KYって、シバみたいなやつの事を言うのだろう。これもまた古いけど…


理彩ちゃんは続ける。

「あたし、誰か1人の物になるっていうのが嫌。無理!だって、完璧に相手だけの所有物みたいになるじゃん」

⏰:10/08/05 22:29 📱:F02B 🆔:ZHvgb/hM


#592 [シバ]
「それって…遊びたいだけ?とか…?」

ゆーちゃんは少しビックリした表情を見せる。

「遊ぶ事もめんどくさい。男は友達って思ってる。仲良い男友達はたくさんいるけど、恋人とか結婚とか、何か嫌。あたしの場合はだけどね」

乙女チックな恋バナが、一気に冷たい空気になった。
シバはアタフタした。

「シバは彼氏いないの?」

⏰:10/08/05 22:35 📱:F02B 🆔:ZHvgb/hM


#593 [シバ]
話題を変えるかのように、理彩ちゃんが話をふってきた。

「あ〜、シバは…いない」

去年まで彼女がいました!
なんて、口が裂けても言えない。
彼女って言えるかも分かんないけど…

アイリ…


「ふぅん」

興味なさそうに、理彩ちゃんはエビグラタンを口に運ぶ。

⏰:10/08/05 22:38 📱:F02B 🆔:ZHvgb/hM


#594 [Sっ気]
あげっ!!

⏰:10/08/09 21:09 📱:840P 🆔:KTvK2yBI


#595 [真沙也]
あーげ

⏰:10/08/09 23:15 📱:930CA 🆔:LkpLKr8I


#596 [Sっ気]
あげーい

⏰:10/08/12 13:10 📱:840P 🆔:oH2pR7ns


#597 [シバ]
>>594
>>596さん

あげありがとうございます(/_・、)
後で感想板の方にも顔を出します!
いつも感謝です!


>>595さん
お久しぶりです(^^)v
あげありがとうございます



更新します〜(´_ゝ`)

⏰:10/08/12 21:02 📱:F02B 🆔:ugU6qEbc


#598 [シバ]
>>593

しばらくぼんやりしていた。
理彩ちゃんの言う、『あたしは彼氏いりません発言』が、妙に気になってしまう。

ゆーちゃんはそこまで気にしていないっぽい感じだったけど、シバは…


動揺というか、理彩ちゃんがどういう意味を込めて、その言葉を放ったのか考えまくっていた。

⏰:10/08/12 21:08 📱:F02B 🆔:ugU6qEbc


#599 [シバ]
「何かお腹空いた」

そう言ってメニューを広げる理彩ちゃん。

ゆーちゃんはギョッとしながら言う。

「あんた、今グラタン食べたばっかでしょ!まだ食べるの?」

「だってグラタンだけじゃ足りないよ。お腹に溜まらないもん」

店員を呼んで、ポテトとコロッケを注文した。

⏰:10/08/12 21:12 📱:F02B 🆔:ugU6qEbc


#600 [シバ]
「美味しそうでしょ〜♪由香も食べる?」

「いや、あたしは…」


コロッケを熱い熱い言いながら嬉しそうに頬張る理彩ちゃんは、やっぱり子供に見える。
しっかり者のゆーちゃんと、ちょっと幼い感じの理彩ちゃん。
バランスの取れたコンビなのかもしれないな〜…とか思いながら、シバはおかわりのコーラを取りに行った。

⏰:10/08/12 21:16 📱:F02B 🆔:ugU6qEbc


#601 [シバ]
「そろそろ帰ろうか」

理彩ちゃんのその言葉で、宴もたけなわ。

レジへと向かう。

「今日はあたしの奢りね。柴崎姉妹にはお世話になったし♪」

理彩ちゃんはそう言うと、財布から福沢諭吉を取り出した。

「いいっていいって!割り勘にしよう」

会計を済ませた理彩ちゃんは、そう言うゆーちゃんを外にポイポイしながら店を出た。

⏰:10/08/12 21:21 📱:F02B 🆔:ugU6qEbc


#602 [シバ]
「いいから!今日はあたしの奢り♪」

「なんか…ごめんね理彩」

「いいってば!次は由香に奢ってもらうから(笑)」

「OK!何食べに行きたい?」

「焼き肉食べ放題♪」

「おいコラ!」


そんな会話をしながら、ゆーちゃんと理彩ちゃんは同じ車で、シバは電車でそれぞれ分かれた。

⏰:10/08/12 21:25 📱:F02B 🆔:ugU6qEbc


#603 [シバ]
ゆーちゃんの試合を見れて、タダで美味しい飯を食べれて、何て幸せな1日だったのだろうか!

家に着いたシバは、早速今日の出来事の余韻に浸った。
シバも久々にバスケやりたくなってきたな〜。



そして眠りに就く。
おやすみなさい。




それから、約2週間後…

⏰:10/08/12 21:29 📱:F02B 🆔:ugU6qEbc


#604 [シバ]
仕事を終え、家に帰る。

ケータイを開くと、メールが数件。

メルマガと、職場の友達と…

『ガキンチョ!』

って一言だけ書かれた知らないアドレスからのメール。


ガキンチョメールをほったらかして、職場の友達に返信。

⏰:10/08/12 21:32 📱:F02B 🆔:ugU6qEbc


#605 [シバ]
夜になっても返信しなかった。
知らない人からメールがくるとか、1人暮らしってやっぱり物騒だね〜…

あ〜怖い怖い。


寝る前になっても返信せず。
とりあえず布団に潜ってみる。

「あのね〜、野菜ジュースのカロリーは〜♪意外に高〜い高いよ〜♪びっくらこいた、びっくらこい〜た〜♪」

⏰:10/08/12 21:36 📱:F02B 🆔:ugU6qEbc


#606 [シバ]
ケータイが鳴った。
当時、シバが電話の着信音にしていた曲だ。

ケータイを開くと知らない番号から…

さっきのメールといい、この電話といい、1人暮らしって本当に物騒…


怖いけど、ワケの分からない電話とか、怖い人からの脅しの電話とかだったら、警察に行けばいい!

そんな地味な勇気を持って、通話ボタンをポチッとな。

⏰:10/08/12 21:40 📱:F02B 🆔:ugU6qEbc


#607 [シバ]
「…もしもし」
「もしもし?」

「はい」
「シバ?」

「はい」
「何で返信してくれないの〜?泣くぞ!」

「はい?」
「泣くぞ!」

「え…はい?」
「もしかして分かんない?」

「あぁ、はい」
「悲しいな…」

⏰:10/08/12 21:44 📱:F02B 🆔:ugU6qEbc


#608 [シバ]
「悲しい?」
「うん(笑)」

向こうでクスクス笑い声が聞こえる。


「あの、シバですけど…」
「本当に分かんないの?あたしだよ(笑)」

「………あはは」
「理彩だけども♪」

「…え?」
「リィだよ!」


「理彩ちゃん?」
「そうだよ」

⏰:10/08/12 21:48 📱:F02B 🆔:ugU6qEbc


#609 [シバ]
一気に目が醒めた。

「理彩ちゃんんん?」
「そだよ♪シバ何してんの?」

「何って…寝ようかなって思って」
「もう寝るの?早くない?」

時計を見ると、もう0時前。

「だって、もう夜中だよ」
「リィはいつも2時過ぎくらいまで起きてるよ♪暇すぎてさ〜。シバ遊びに来て」

⏰:10/08/12 21:52 📱:F02B 🆔:ugU6qEbc


#610 [シバ]
「無理ですよ〜」
「だから敬語遣うなっての!」

「あ、ごめんなさい」
「ねぇ〜、会いに来てよ!暇すぎてさ〜。由香に電話したけど出ないし…あんたら寝るの早すぎ」

「いや、理彩ちゃんが遅すぎるんじゃ…」
「だからリィって呼べっての」

「あ、はい」
「リィ1人じゃつまんないよ〜…遊び来てよ」

⏰:10/08/12 21:58 📱:F02B 🆔:ugU6qEbc


#611 [シバ]
「明日また仕事だもん」
「シバ真面目すぎ(笑)仮病でも使って休めば♪」

「無理っす。ってか、理彩ちゃん…リィ、明日仕事は?」
「仕事?普通にあるよ」


「キツくないの?」
「別に。いつもほとんど寝ないし」

「凄いね」
「普通でしょ」

「普通じゃないよ」
「シバが寝るの早すぎなんだってば(笑)…やっぱり無理?」

⏰:10/08/13 23:11 📱:F02B 🆔:wvjnDuco


#612 [シバ]
『やっぱり無理?』っていう言葉の所で、やたら甘えた口調になる理彩ちゃん。
妙にトロトロしている。断固として断り続けたシバだったけど、その甘えた口調で調子が狂った。

「…分かったよ」
「え♪マジ?」

「でも、明日は流石に無理だよ。仕事はちゃんとしないと」
「…そっか」

『…そっか』の所で、妙に寂しい口調になる。
更に調子が狂う。

⏰:10/08/13 23:14 📱:F02B 🆔:wvjnDuco


#613 [シバ]
「今週の土日で良かったら遊びに行くけど」
「マジ♪ホントに?」

「うん」
「やったぁ♪じゃあ、泊まりだね♪」

「泊まり〜?」
「何で?嫌?」

「いや、嫌じゃないけど」
「ならいいじゃん♪」

「…うん」
「じゃあ、色々準備して待っとくね♪」

あっさりとお泊まりの約束をしてしまった。
ゆーちゃんごめんなさい…の出来事を巻き起こす火蓋が切られた瞬間だった。

⏰:10/08/13 23:20 📱:F02B 🆔:wvjnDuco


#614 [我輩は匿名である]
>>1ー100
>>101ー200
>>201ー300
>>301ー400
>>401ー500
>>501ー600
>>601ー700

⏰:10/08/14 03:07 📱:F01A 🆔:UienNjaU


#615 [由衣]
あげっ

⏰:10/08/23 03:44 📱:840P 🆔:ssXSrcMw


#616 [我輩は匿名である]
あげます

⏰:10/08/26 15:07 📱:SH05A3 🆔:JBP2250o


#617 [我輩は匿名である]
あげ(´∀`)

⏰:10/08/26 16:49 📱:N02A 🆔:84Km1Xb2


#618 [我輩は匿名である]
>>300-600

⏰:10/08/26 22:18 📱:P10A 🆔:KjlgoK0E


#619 [シバ]
皆さんお久しぶりです!
あげ&安価ありがとうございます
最近仕事が多忙のため、なかなか更新できませんでした
明日からまた更新していきます!

また読んで頂けると飛び跳ねて喜びます(笑)
感想板の方も明日顔を出します。
よろしくお願いします

⏰:10/08/26 23:52 📱:F02B 🆔:X7jpIftQ


#620 [名前が無い名前]
僕の本名と姉の彼氏の名前が一緒で吹きましたw明日からまた楽しみに読ましていただきますw

⏰:10/08/27 01:42 📱:SH03B 🆔:RbYKcuog


#621 [シバ]
>>620さん
ホントですか?
偶然ってあるもんなんですね
何かいい事ありそう(笑)


>>613
約束通り、その週の土日は理彩ちゃんのもとへ。それまでの期間は、仕事中にも関わらず、何かがありそうな予感がしてワクワクしたような、理彩ちゃんと2人っきりという事で妙に緊張している感じだった。

⏰:10/08/27 21:15 📱:F02B 🆔:k0c0fDdA


#622 [シバ]
土曜日の昼過ぎ…
理彩ちゃんの家へ行くために駅へと足を運ぶ。

途中、電話が鳴った。

「もしもし〜?今何してんの?」

ゆーちゃんだった。

「暇だったら遊び来ないかなぁって思って♪」

やたらテンションが高いゆーちゃん。
嬉しかった。
けど…
これから、別の約束がある。

⏰:10/08/27 21:56 📱:F02B 🆔:k0c0fDdA


#623 [シバ]
「行きたいんだけど…これから別の所に遊び行くんだ」

「そうなの?あたしからの誘い断るとか、いい度胸してるね(笑)嘘嘘♪…で、どこ行くの?」


理彩ちゃんの家…
言いたかったけど、言えなかった。
普通に言っとけば、後々困らなかったかもしれないのに…
別に教えたって何もおかしくないのに、何で教えなかったんだろう…

⏰:10/08/27 22:06 📱:F02B 🆔:k0c0fDdA


#624 [七氏]
>>1-300
>>300-600
>>600-900

⏰:10/08/28 05:50 📱:D705i 🆔:TdahdMfM


#625 [シバ]
「友達のトコ。久しぶりに会えるから楽しみだわ♪」

「あ、そうなの?じゃあ来れないね。しょうがない!また暇になったら教えてよ♪休みの日なら基本的にあたしは暇だから(笑)」

「了解。ゆーちゃんごめんね。また誘って」

「いいよ。んじゃ、またねん♪」


別に理彩ちゃんとは何もないのに、ゆーちゃんに対して後ろめたい気持ちがあった。

⏰:10/08/28 19:49 📱:F02B 🆔:WGhWU7KM


#626 [シバ]
電話を切り、しばらく電車を待つ事に。
電車待ちは、シバと挙動不審なオッサンの2人だけ…

シバと目が合うと、オッサンは小刻みに顔を震わせながら逆を向く。
泣きたくなった…


電車が到着。
急いで乗り込んだ。
なぜかオッサンも走って乗り込んできた。
意味が分からなかった。

⏰:10/08/28 22:10 📱:F02B 🆔:WGhWU7KM


#627 [シバ]
電車に揺られる事2時間…
理彩ちゃんの住む町に到着した。
待ち合わせ場所は、駅から20分ほど歩いた所にある大学の門の前。
そこが一番分かり易い目印だった。
先に到着したのはシバ。
しばらく理彩ちゃんを待つ事に。
30分もしないうちに、理彩ちゃんはやってきた。

「ごめんごめん。遅くなっちゃった」

「ああ、大丈夫」

⏰:10/08/28 22:17 📱:F02B 🆔:WGhWU7KM


#628 [シバ]
理彩ちゃんは笑顔でシバを迎えてくれた。

だけど…

酷く疲れた顔をしている事に気付いた。

「ねぇ、リィ…今日、顔死んでるよ」

シバは、理彩ちゃんの事を『リィ』と呼ぶようになっていた。

「あは〜♪最近職場の人と飲み会が続いたからさ。でも、大丈夫♪」

「だから、毎日寝るのが遅かったの?」

⏰:10/09/02 20:56 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#629 [シバ]
「…う〜ん、まぁね」

「本当は睡眠不足なんでしょ?『平気』とか言ってたけど、無理してたんじゃん」

「大丈夫だって♪」

「大丈夫じゃないよ…よし、予定変更!リィの家行こう」


理彩ちゃんと合流した後、適当にカラオケ行こうとか、ボーリングしようとか計画があった。
だけど、今の理彩ちゃんは理彩ちゃんじゃない…
笑顔が無理してる…

⏰:10/09/02 21:00 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#630 [シバ]
理彩ちゃんは、申し訳なさそうに俯いて、シバの服の袖を掴んで、横にブンブンと振った。
それは、ゆーちゃんと理彩ちゃんが一緒にいる時に見せる、理彩ちゃんの行動。

拗ねてるというか、寂しいというか、そんな気持ちを表現する時の行動らしい。

「リィ…遊びたいよ」

ボソリと呟いた。
5歳児が言うようなセリフ。

「本当は眠いんでしょ?」

⏰:10/09/02 21:06 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#631 [シバ]
「眠くないよ」
「眠いんでしょ?」

「眠くないよ」
「嘘でしょ?」

「嘘じゃないよ」
「嘘ついたら、シバ帰るから」


袖を掴んでる理彩ちゃんの腕を軽く振り払って、シバは背中を向けた。

何歩か進んで、振り返る。


「?!」

⏰:10/09/02 21:09 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#632 [シバ]
力が抜けた。
理彩ちゃんは、俯いたまま地面にチョコンと座り、目頭を押さえている。

「泣いたフリとかバレバレだよ」

理彩ちゃんのもとに歩み寄ってみると、更に力が抜けた。

理彩ちゃんの目からは、大粒の涙が溢れていた。

え?
リィって年上だよね?
二十歳超えてるんだよね?
え?マジで泣いてる…

⏰:10/09/02 21:13 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#633 [シバ]
色んな事を考えてオロオロしていると、理彩ちゃんは急に立ち上がり、パッチリ二重の目に涙を溜めて、シバを見上げた。

理彩ちゃんとシバの身長差は、軽く10p以上。改めて、理彩ちゃんは小柄なんだな〜って事に気付く。

「遊びたい…せっかくシバが遊び来てくれたのに…」


んで、また泣く。
幼稚園児をあやしているような光景だったと思う。

⏰:10/09/02 21:20 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#634 [シバ]
「わかった!じゃあさ、今回はリィの家でまったりしながら遊ぼう。リィには無理させたくないし、近々また遊びに来るから」

その一言だけでは、納得するはずがない。
嫌だ!遊びたい!

そんな応えが返ってくると思っていたけど…

「…帰っちゃうの?」

理彩ちゃんは、寂しそうなキョトンとした顔でシバの目を見つめた。

⏰:10/09/02 21:23 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#635 [シバ]
「え?いや、だから今回はリィの家で遊ぼうって…」
「帰らないよね?」

「帰らないよ」
「ホントに?」

「ホントに」
「ん〜…じゃ、リィの家行こ」


渋々とした態度と見せかけて、理彩ちゃんはニヤニヤしていた。
なんて手のかかる奴なんだ…
そう思っていたけど、この辺りからシバは、理彩ちゃんに対して少しずつ特別な感情を抱いていくようになる。

⏰:10/09/02 21:28 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#636 [シバ]
バスケットをする時の真剣な理彩ちゃん。
プライベートで子供みたいによく笑い、よく泣く理彩ちゃん。

こういうギャップって、何か心を動かされる。
他の人が知らない事を、自分は知ってるんだ!っていう、満足感というか何というか…

バスケットをする理彩ちゃんの事だけを知っている人は、よく笑い、よく泣く理彩ちゃんを知らない。

理彩ちゃんとは、プライベートだけの付き合いだという人は、バスケットに取り組む理彩ちゃんの真剣な姿や、真剣な眼差しを知らない。

⏰:10/09/02 21:36 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#637 [シバ]
理彩ちゃんと並んで歩く。

理彩ちゃんとシバが2人っきりになるっていう事は今までなかったから、お互い照れくさい気がして、向かい合って話をする事ができなかった。

理彩ちゃんとシバとゆーちゃん…
この3人で1つみたいになってたから、今回の理彩ちゃん宅のお泊まりは、何かがある気がして止まなかった。

増してや、理彩ちゃんからのお誘いという事もあったし…

⏰:10/09/02 21:42 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#638 [シバ]
理彩ちゃんの住むアパートは、待ち合わせ場所から歩いて約10分の所にあった。

特別に綺麗!ってワケではなかったけど、1人暮らしには不便しない広さで、ちょっと洒落たロフトみたいな物も付いていた。

理彩ちゃんの部屋は、バリバリ女の子の部屋。
人形があって、色もピンクとか白とか、明るい感じ。

理彩ちゃんのフワフワした部屋は、CDや写真が散乱していたけど、割と綺麗に片付いていた。

⏰:10/09/02 21:48 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#639 [シバ]
「へぇ〜!綺麗にしてるじゃん。お邪魔します♪」

靴を脱いで、荷物を下ろす。
静かだな〜と思って、玄関の方を振り向くと、理彩ちゃんは縮こまったように背中を丸くして、キョトンとした顔でシバを見ていた。

「え?どうしたの(笑)」

「リィの部屋、散らかってるな〜って思ったでしょ」

「え?別に」

⏰:10/09/02 21:53 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#640 [シバ]
「ちゃんと掃除しとけばよかった…ごめんね」

「リィ、何かいつもと違う」

「いつもと一緒だよ」

「いや、いつものリィだったら、そんなネガティブな事言わないもん。『散らかってるでしょー?あは〜♪ごめんね〜♪』』とか言うはずなのに」

「リィ、どんな目で見られてんの(笑)」

「とにかく、ちょっと寝なさい!睡眠不足とか、近々ぶっ倒れるぞ!」

⏰:10/09/02 21:58 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#641 [シバ]
言われなくても、相当眠かったようで、布団に横になった。
理彩ちゃんは、ベッドより布団を敷いた方が好きだという。

「シバ!」

呼ばれて理彩ちゃんの横に座る。

腕を引っ張られて、潤んだ目で見つめられる。

「シバ…リィが寝てる時に帰ったりしないでね。横にいてね」

「いるから(笑)大丈夫」

⏰:10/09/02 22:03 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#642 [シバ]
笑顔を見せた理彩ちゃんは、ゆっくり目を閉じた。
寝息を立てるまで、そんなに時間はかからなかった。
とりあえず、シバはホッとした。
理彩ちゃんは疲れていたのか、定期的に体がピクッと動く。

しばらくはケータイをいじったり、ボンヤリしてみたり、部屋の中を見回したりしたけど、暇すぎた。

⏰:10/09/02 22:11 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#643 [シバ]
目が覚めたのは、2時間後。
横にいたハズの理彩ちゃんがいない…

「おはよ」

そう言って、シバの顔を覗き込む理彩ちゃん。
今度は、シバが理彩ちゃんの布団の中にいた。
可愛いタオルケットがかけられていた。
無意識のうちに、シバ寝てたんだ…
ってか、理彩ちゃんがあまりにも気持ちよさそうに寝るもんだから、釣られてシバも寝てしまったんだ。

⏰:10/09/02 22:16 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#644 []
Blogは更新しないんですか?(´`)

⏰:10/09/04 11:24 📱:N01B 🆔:rm0EorSY


#645 [シバ]
>>644さん

シバ、ブログはやってませんよ(^^)v
ブログとかGREEとかそういう系はしない派です!

感想板の方にもなかなか顔を出せずすみません(>_<)


少しだけ本編更新します

⏰:10/09/06 23:22 📱:F02B 🆔:AtR5vW5c


#646 [シバ]
>>643

体を起こす。
喉がカラカラだった。
寝ぼけまなこのシバを見た理彩ちゃんは、ボンヤリとシバを見つめていた。

「あんた、よく寝たね」

理彩ちゃんが笑う。

「…今、何時?」

理彩ちゃんはケータイの横のボタンを押して、時間を確認する。

「(夜の)8時過ぎ。シバがもうちょっと早く起きたら晩御飯食べに行こうと思ってたんだ」

⏰:10/09/07 00:04 📱:F02B 🆔:76JwvqSk


#647 [シバ]
理彩ちゃんは立ち上がり、散らかっているCDをガサガサと片付け始めた。

「リィいつ起きたの?」

「シバが起きる1時間前くらい。暇だったからケータイいじってた」

「ごめんね。リィが寝てるトコ見たら、なんかこっちまで眠くなっちゃって…気がついたら布団の中だった」

「そっか。でも、寝れたおかげでなんかスッキリした♪」

⏰:10/09/07 00:09 📱:F02B 🆔:76JwvqSk


#648 [シバ]
理彩ちゃんはキッチンへ向かい、1.5リットルの三ツ矢サイダーと2つのグラスを持って戻ってきた。
洒落たグラスだった。


「喉乾いた。シバも飲むでしょ?」

「うん。ちょうど何か飲みたかったんだ」

グラスに注ぎ終わると、サイダーを一気に飲み干した。
喉がカーッと熱くなる感じがたまらない。

⏰:10/09/07 00:15 📱:F02B 🆔:76JwvqSk


#649 [シバ]
「寝起きの三ツ矢サイダーって、なんかよくない?」

理彩ちゃんはニヤリと笑った。

「リィはC.C.Lemon派!ビタミン取れた!って感じで幸せな気持ちになれる♪」

「幸せな気持ちになれるとか…可愛いトコあるね」

理彩ちゃんは2杯目のサイダーを注ぎながら、可愛いという言葉に大きな反応を示した。

⏰:10/09/07 00:20 📱:F02B 🆔:76JwvqSk


#650 [シバ]
「な〜んか、シバってさぁ。年下って感じがしないんだけど(笑)」

「そうかな?」

「落ち着いてるっていうか、なんていうか…」

「リィが落ち着いてないだけでしょ。実際、リィってシバより年下に感じる」

「ガキっぽいって事?」

「うん」

「うわー…じゃあ、大人にならなきゃ」

⏰:10/09/07 00:24 📱:F02B 🆔:76JwvqSk


#651 [我輩は匿名である]
 

更新いつも楽しみにしてます
(。・∀・。)
主さんのペースでこれからもファイトです

 

⏰:10/09/07 00:26 📱:PC 🆔:HMKRjA6s


#652 [シバ]
無邪気な理彩ちゃん。
笑った顔がものすごく可愛かった。


「ってか、うちらさぁ。こうやって2人で話すのって初じゃない?」

「うん。いつもはゆーちゃんがいるもんね」

「そう!しかも、高校の時とかまったくの他人だったのに、いきなり距離縮まり過ぎでしょ(笑)」

「確かに!ってか今日、ゆーちゃん呼んじゃう?せっかくだし」

⏰:10/09/07 00:29 📱:F02B 🆔:76JwvqSk


#653 [シバ]
>>651さん
ありがとうございます(〃▽〃)
更新バラバラなのに、読んで頂けて光栄です(´_ゝ`)


>>652

そうだね!
由香に連絡してみようか!

そんな答えを待っていたけど、理彩ちゃんは黙り込み、髪をいじり、シバから視線をそらした。

「いや…由香がいてくれたらメッチャ楽しいと思うけど…今日はいいや」

⏰:10/09/07 00:34 📱:F02B 🆔:76JwvqSk


#654 [我輩は匿名である]

>>300

⏰:10/09/07 14:18 📱:P10A 🆔:UqghI33I


#655 [我輩は匿名である]
 
>>1-200
>>201-400
>>401-600
>>601-700

安価失礼します(*^ω^*)
 

⏰:10/09/09 00:30 📱:L04A 🆔:fuU5kJvc


#656 [我輩は匿名である]
 
あげとく

⏰:10/09/13 20:57 📱:PC 🆔:3JCjgKz2


#657 [シバ]
安価&あげありがとうございます(*^_^*)

少し更新します!



>>653
ビックリした。
シバといきなり2人っきりっていうのは、さすがの理彩ちゃんでも照れくさかったりするんじゃないかな?とか思ったのに…
仲良しのゆーちゃんがいた方が、気が楽になるんじゃないかな〜?とか思ったのに。

⏰:10/09/14 18:29 📱:F02B 🆔:dMFCM/1s


#658 [シバ]
でも、シバもゆーちゃんの誘いを断った身だ。
ゆーちゃんに連絡した所で、「理彩の所にいたんかい!」とか言われて何かおかしい事になりそうだし…


「あ…別に由香の事が嫌とか、そんなんじゃないよ」

理彩ちゃんは笑って、口を開いた。

「2人っきりになるとか、滅多にないしさ。また別の機会に由香も誘おう♪」

⏰:10/09/14 18:34 📱:F02B 🆔:dMFCM/1s


#659 [シバ]
理彩ちゃんは、再びキッチンへと向かった。

冷蔵庫を開けて、何やらゴソゴソしているよう。

「あ〜…お腹空いたね」

理彩ちゃんは戻ってきた。

「何か食べたくない?」

「食べたい」

「冷蔵庫ん中、何も入ってなかった(笑)何食べたい?定食とか寿司とか、ビビンバとかでいいなら、遅くまでやってる店あるよ」

⏰:10/09/14 18:40 📱:F02B 🆔:dMFCM/1s


#660 [シバ]
「何でもいいよ。美味しい所なら何でも食べれる」

「リィさぁ…ハンバーガーが食べたいんだけど」

じゃあ何で定食とか寿司とかビビンバを勧めてきたの?!
そう思ったけど口には出せず…

「じゃあ、マック行こうよ」

「ホントに?!シバはハンバーガーでいいの?」

「最近マック行ってなかったし、久々食べたいかも。こんな時間だし、軽く食べれるモノがいい」

⏰:10/09/14 18:45 📱:F02B 🆔:dMFCM/1s


#661 [☆]
更新頑張ってください(^^)

⏰:10/09/16 04:41 📱:SH05A3 🆔:XASNxOWI


#662 [我輩は匿名である]
 
続き楽しみにしてます
(*^o^*)

⏰:10/09/17 02:05 📱:PC 🆔:QYXU0rV.


#663 [シバ]
>>661-662さん
ありがとうございます(*^_^*)


>>660
身支度を済ませ、理彩ちゃんの車に乗り込む。
ピンクが大好きな理彩ちゃんだから、車もピンクで可愛い人形なんかがたくさん置かれてるんじゃないかって思ってたけど、意外な事に物凄くシンプルで、芳香剤とミラーに小さな雑貨みたいなやつがぶら下がっているだけだった。

「リィ、車はシンプルが好きなんだ♪シンプル・イズ・ベスト!」

⏰:10/09/18 22:15 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#664 [シバ]
そう言いながら、ニヤニヤしながら少しぎこちない手つきでハンドルを握る理彩ちゃん。

「リィの部屋がゴッチャゴチャだから、車の中くらいはスッキリさせたくてさ。それに、車に人形とか置いてたらブレーキ踏んだ時に全部倒れるし(笑)」

どんだけの勢いでブレーキを踏むのだろうか…

少し心配だったけど、運転は順調だった。
15分くらい走っていくと、マックに着いた。
車を降りて、2人で何を食べるか決めながら店に入る。

⏰:10/09/18 22:21 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#665 [シバ]
「…いらっしゃいませ」

少々やる気のない店員にシバは少しイラッときたけど、理彩ちゃんはお構いなしにベーコンレタスバーガーセットを注文した。
シバも続いて、ダブルチーズバーガーセットを注文。

店内には、若いカップルが一組だけ。

シバの地元のマックは、夜になるとヤンキーぶった連中がウヨウヨしてる。
ここのマックは落ち着いた印象が残った。

⏰:10/09/18 22:27 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#666 [シバ]
品物を受け取り、車へ戻る。
たった15分の…往復30分の間に理彩ちゃんといろいろな話をした。
昼間とは違って、夜の理彩ちゃんはなんとなく大人しい感じがする。
外からの光はあるものの、車内は暗い。
その雰囲気のせいなのか、おっとりとした口調と、普段は話せないような事をしみじみ語った。

シバにとって、この30分の時間というのは、物凄く楽しいというか、貴重というか…
この時間がもうちょっと続いてほしいな〜…っていう時に、理彩ちゃんのアパートが見えてきた。

⏰:10/09/18 22:33 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#667 [シバ]
なんとなく名残惜しい気持ちを残したまま、マックの袋を持って車を降りる。

部屋に着いてからは、テレビをつけて2人でマックを食べた。
ピクルス嫌いのシバは、ピクルスを取り除こうと思ってパウンダーを持ち上げると、ピクルスが4枚も入っていて愕然とした。

「シバ、ピクルス嫌いなんだ〜!お子ちゃまね♪」

なんていう理彩ちゃんにピクルスを渡すと、

「いらない。リィもピクルス嫌いだもん♪」

⏰:10/09/18 22:37 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#668 [シバ]
「じゃあ、そっちもお子ちゃまじゃん」

「うん♪お子ちゃま同士、仲良くしましょ♪」

とか、しょうもない馬鹿話やくだらない冗談を言い合って、笑いの絶えない空間ができた。
さっきの車内の理彩ちゃんが嘘のように、子供のように笑っている。

毎日仕事に追われてる2人にとって、こういう時間っていうのはとても大事である。
だから、真面目な話は一言も出ないまま、笑い続けた。

「あ〜、可笑しい♪…よし、リィ風呂入ってくる」

⏰:10/09/18 22:44 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#669 [シバ]
笑い疲れて、一通り話が尽きた所で理彩ちゃんは立ち上がった。

「シバ、一緒に入ろ♪」

ギョッとした。
笑いが覚めた。

「嫌だよ!何言ってんの」

「リィ、由香とはよく一緒に入るよ♪この前由香が泊まりに来た時も入ったし♪由香の胸触りまくった(笑)」

「ちょっと!人の姉ちゃんに何てことしてくれんの!」

「由香嫌がらなかったよ(笑)あたしも揉まれたし」

⏰:10/09/18 22:54 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#670 [シバ]
触るだの揉むだの…
ガールズトークにはよく出てくる言葉だ。

「あららららら」

それ以外、言葉が出てこなかった。

「何照れてんの(笑)か〜わいい♪」

「あの…リィが風呂あがったら…ワタクシ…ハイリマス」

自分が一気に小さくなった気がした。

「え〜?本当に一緒に入らないの?」

「…ハイ」

「え〜?寂しい…分かったぁ。じゃ、入ってくる」

⏰:10/09/18 22:58 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#671 [シバ]
ホッとしながら理彩ちゃんの寂しそうな背中を見送った。
本当に寂しそうだった。

シャワーの音が聞こえて、本格的に安心した。
また1人になったシバは、暇すぎてベランダに出てみた。

夜空を見上げて、気付いた事がある。

「雨が降るワケでもないのに、星が出てない」

シバの地元は田舎だから、星がびっしりと夜空に浮かんでいる。
夜景なんて見に行かなくても、ちょっと外に出て顔を上げるだけでいいのだ。

⏰:10/09/18 23:04 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#672 [シバ]
赤とか青とか黄色とか緑とか、完璧な夜景を求めるのであれば、ちょっと車を走らせればいい事。

ちょっとメルヘンかもしれないけど、シバは夜空を見るのが好きなのだ!人が作った完璧な夜景はいらない。
自然で、本当に自然でありのままの星を見るのが好きなんです…はい。


心地良い風が吹いていて、深呼吸なんかすると本当に気持ちがいい。
星がないのは残念だけど。

⏰:10/09/18 23:11 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#673 [シバ]
ケータイをポケットに入れたまま、しばらく外の風に当たり、自然からの癒やしをもらった。
風呂上がりにもう一度、ここに来よう。
きっと最高の気分になれる。

部屋に戻ると、理彩ちゃんは脱衣場でゴソゴソしているようだった。

シバも着替えの準備を…

鞄の中をもぞもぞしていると、ドアが開いた。



「ギャー」

⏰:10/09/18 23:16 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#674 [シバ]
悲鳴を上げたのはシバ。
理彩ちゃんは、頭にターバンのようにタオルを巻いて、顔から下は産まれたままの姿だった。

いわゆる、素っ裸…


「何照れてんのアンタ(笑)」

「リィ…タオル巻く場所間違えてるよ!頭じゃなくて、下に巻きなさい」

「えー?リィいつも風呂上がりはこういうファッションなんだけど」

⏰:10/09/18 23:20 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#675 [シバ]
服着てない時点で、ファッションも糞もない。
なんてこった…

「リィさ〜、何かおっぱい小さくなった気がする」

とか言って自分の胸を鷲掴みにして、ゆさゆさと…

ギャー!


「シバ、風呂入っておいでよ♪」

言われなくても、その場をさっさと離れた。
予想外の理彩ちゃんの行動にびっくりしながらシバもシャワーを浴びた。

⏰:10/09/18 23:25 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#676 [シバ]
シャワー浴びて、多少冷静さを取り戻したシバは、部屋のドアをゆっくり開けた。

まだ裸だったりして…

そんな事はなかった。
ドライヤーで髪を乾かす理彩ちゃんは、バスケの時に着る黒のTシャツと、ピンクに白ラインの入ったプラクティスのバスパンを履いていた。

さすがの理彩ちゃんも、本格的な裸族ではない事に地味な安心感を覚えた。

「あ、シバ上がったんだ」

⏰:10/09/18 23:32 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#677 [シバ]
「うん」

そう言って、またベランダに出てみる。
やっぱり心地良い。
もう少し、ここでゆっくりしよう。

「どうしたの?」

理彩ちゃんもベランダに出てきた。
不思議そうな顔で、こちらを見ている。

「何か気持ち良くてさ。さっきもちょっと出てきたんだ」

「あ〜、確かに!涼しいね」

理彩ちゃんはニヤリと笑った。

⏰:10/09/18 23:37 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#678 [シバ]
「さっきはごめんね」

理彩ちゃんからの謝罪の言葉に、ん?という疑問の顔を作ってみせた。

「リィがさ、一緒に風呂入ろうとか、すっぽんぽんで部屋に入ってきたとか…」

「あー(笑)別に。ただ単にびっくりしただけ!でも、よく考えてみたらリィの事だから別にびっくりする事でもないな〜とか思って」

「どういう意味よ(笑)」

とか、声を小さめにまた笑いながら話をした。

⏰:10/09/18 23:45 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#679 [ちやん]
>>325ー500

⏰:10/09/24 18:54 📱:P906i 🆔:dD6sYJ6g


#680 [シバ]
室内に戻り、布団の上に転がった。

「あ〜!たまにはお泊まりもいいかもね」

ゴロゴロしているシバの横に理彩ちゃんは座った。
布団のすぐ近くに置いてあるコンポの電源を入れ、赤っぽいMDをセットする。

聴き慣れない曲が再生される。

「これ、洋楽だね」

シバの一言に、当たり!とか言って理彩ちゃんは音量を少しだけ上げた。

⏰:10/09/24 22:58 📱:F02B 🆔:SLFw2uv6


#681 [シバ]
「由香が最近、洋楽にハマったらしくてさ。オススメだからって、リィにもMDくれた」

そういえば、ゆーちゃんはケータイの着信音とか車の中で聴く音楽全部が洋楽だ。
英語を喋るのは苦手だけど、英語の歌を聴くのが好きらしい。

中学の時はポ○ノグラフィティ、高校の時はEX○LEに夢中だったのに、好みがまったく変わってしまったみたいだ。

理彩ちゃんは、オススメだという曲を次々とシバに聴かせてくれた。

⏰:10/09/24 23:06 📱:F02B 🆔:SLFw2uv6


#682 [シバ]
何だか幸せな気持ちになった。
その時聴いていた曲名こそ忘れたけど、おっとりとした優しい曲調で、一度聴いたら何か大きな物が心に残るような感じの曲。

洋楽と聞いたら、激しくて、盛り上がって、カッコ良くて、勢いのある…っていうイメージがあった。

洋楽とかゆーちゃんの車に乗らない限り聴くことのないモノだったから、酷く新鮮に感じた。

⏰:10/09/24 23:12 📱:F02B 🆔:SLFw2uv6


#683 [シバ]
あの女性シンガーは誰だったんだろう…
あの時、理彩ちゃんに聞いておけばよかった。



曲が終わると、また現実の世界へと戻される。
大袈裟なようだけど、音楽って人の心を掴んだり、気持ちを動かしたりっていう、物凄くパワーのある物だと思う。


何とも言えない気持ちで、コンポの方を見つめるシバに、理彩ちゃんはとんでもない事を言い出した。

「シバってさ、女の子に恋愛感情抱いた事ある?」

⏰:10/09/24 23:19 📱:F02B 🆔:SLFw2uv6


#684 [我輩は匿名である]
きゃーきになるー

⏰:10/09/25 13:59 📱:CA004 🆔:rTNs2sE.


#685 [我輩は匿名である]
同じく気になる!

⏰:10/09/28 15:10 📱:SH05A3 🆔:lHDD3zKY


#686 [我輩は匿名である]
気になる!(´・ω・`)

⏰:10/09/30 20:37 📱:W61SA 🆔:AMcPpFOY


#687 [シバ]
皆さんありがとうございます(´・ω・`)
更新します!



>>683

「…え?!」

固まってしまった。
何を言い出すのか、この人は…
理彩ちゃんは不思議そうな、珍しい物でも見るような顔で、シバの顔をジッと見ている。

「変な事聞いちゃったかな…でも、なんか…どうなのかなーって思って」

⏰:10/10/02 21:46 📱:F02B 🆔:/Sa.bspw


#688 [シバ]
タオルケットを腰まで掛けて、寝転がってるシバは口をポカンと開けたままだった。

起き上がって、理彩ちゃんと目線を合わせる。


「あー…どうかなぁ(笑)」

動揺を隠せないシバに、理彩ちゃんは怯まなかった。

「リィ、そういうのに偏見とか持たないよ。シバが女の子を好きだとしても、シバを見る目変わらないし」

⏰:10/10/02 22:25 📱:F02B 🆔:/Sa.bspw


#689 [シバ]
「何で、そう思ったの?」

「なんとなく」

女の勘って、本当に鋭い。
否定した所で、何も変わらないし…
むしろ、本当のシバを知ってほしいとも思った。だから言った。

「…女の子を好きっていうか、女の子と付き合った?事はある」

理彩ちゃんは目を見開いた。
シバは、理彩ちゃんの方を見るのが怖かった。

⏰:10/10/02 22:29 📱:F02B 🆔:/Sa.bspw


#690 [シバ]
理彩ちゃんは立ち上がり、部屋の電気を消した。

キョドっていると、理彩ちゃんは布団まで戻ってきた。

「暗い方が、何か落ち着かない?」

「まぁ…ね」

シバの隣に座ると、深呼吸した。

「やっぱりなぁ(笑)」

「軽蔑した?」

「だから、そういうのはないってば(笑)」

⏰:10/10/02 22:34 📱:F02B 🆔:/Sa.bspw


#691 [シバ]
「…………」

「心配しなくていいよ。誰にも言わないし。むしろ、教えてくれてありがとう」

そう言うと、シバの肩に寄りかかってきた。
いきなりの行動にびっくりしたけど、そのままでいた。


「だってシバさ、歳の割には女の子の格好しないじゃん。高校卒業したら、みんな可愛い格好とかしてるじゃん。シバ、昔からボーイッシュな感じだし。そういう単純な理由(笑)」

⏰:10/10/02 22:38 📱:F02B 🆔:/Sa.bspw


#692 [シバ]
「そんな人、他にもたくさんいるじゃん」

「うん。あとね…」

理彩ちゃんは視線を下に向けたまま、話を続けた。

「さっきの事で、何となくピンときた。理彩の体見て、物凄く焦ってたじゃん」

「だって、いきなり裸って、そりゃビックリするよ」


「そうだけど、何か他の人と違ったし。もしかしたらって思って。嫌な思いさせちゃったなら謝る。ごめん」

⏰:10/10/02 22:43 📱:F02B 🆔:/Sa.bspw


#693 [シバ]
「じゃあ、リィはそういうのないの?」

「何が?」

「シバみたいに、女の子の事〜…とか」

「どうかな(笑)」



…え?
理彩ちゃんは、意味深な言葉を放った。

「ない事もないよ」

理彩ちゃんは笑った。
外からの光もあって、暗闇に目が慣れるのに時間はかからなかった。

理彩ちゃんは続ける。

⏰:10/10/02 22:48 📱:F02B 🆔:/Sa.bspw


#694 [シバ]
「リィはきっと、バイなんだと思う」

理彩ちゃんのいきなりのカミングアウトに、シバは益々動揺した。

「リィ、去年の今頃は普通に彼氏がいたんだ。でも、何かとだらしない所に冷めてしまって、別れようって言った。そしたら、『分かった。じゃあ、最後にHしよう』って。リィ、好きでもない相手とそんな事できないから、ふざけんなって言って別れた」


更に続く。

⏰:10/10/02 22:54 📱:F02B 🆔:/Sa.bspw


#695 [シバ]
「その前の彼氏は、物凄くリィの理想のタイプだった。でも、お互い冷めて別れたのね…だけど、しばらくして、会う約束したんだ。ただ『遊ぼう』って事で」


シバは理彩ちゃんから目線をそらせなかった。
ずっと黙って聞いていた。

「そしたらさ、いきなり豹変して…ラブホ連れて行かれてさ。着いていったリィも悪いんだけど。半分は軽い気持ちだったんだけど、相手は真剣に飢えてたみたいでね」

⏰:10/10/02 22:59 📱:F02B 🆔:/Sa.bspw


#696 [我輩は匿名である]
>>1-10
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700

⏰:10/10/02 23:00 📱:SA001 🆔:☆☆☆


#697 [我輩は匿名である]
>>10-100

⏰:10/10/02 23:01 📱:SA001 🆔:☆☆☆


#698 [シバ]
「物凄く激しくされた。気持ち良いどころか、痛いし、気持ち悪いし、リィが泣いてるのもお構いなしにずっと行為を続けられて…止めてって言っても押さえつけられて」

シバは、次第に怒りが増してきた。

「やっとの事で突き飛ばして、着替えようとした。そしたら手で口を塞がれて、『分かったよ。じゃあ、俺がイクまで舐めろ。じゃないと、一生返さない』って言われて。シカトして着替えようとしたけど、殴られた」

⏰:10/10/02 23:03 📱:F02B 🆔:/Sa.bspw


#699 [シバ]
もう話さなくていい…
そうとも言えず、ただ黙って聞いていた。

「結局は言われるがまま…んで、行為が終わると相手はさっさと着替えて部屋を出て行った。そんな嫌な経験があるからさ、男が嫌いなんだ。男なんて、結局は体が目当てなんだよ。あ〜、ずっと閉じ込めてたのに、つい喋っちゃった(笑)ごめんね、長々と」


理彩ちゃんの無理やりな笑顔が切なかった。
だからあの時、ゆーちゃんと3人でファミレスに行った時、あんな話をしたんだと理解できた。

⏰:10/10/02 23:12 📱:F02B 🆔:/Sa.bspw


#700 [シバ]
それと同時に、下を向く理彩ちゃんを抱きしめていた。

初めて理彩ちゃんに触れた。
風呂上がりの、シャンプーの真新しい匂いと、理彩ちゃんの肌の匂い。

理彩ちゃんが可哀想…とか、そんなんじゃなくて、瞬間的に抱きしめたくなったんだ。


シバの鎖骨あたりに、理彩ちゃんの顔が当たる。理彩ちゃんの呼吸を感じながら、シバは目を閉じて懸命に理彩ちゃんを抱きしめた。
理彩ちゃんも、シバの背中に手を回した。

⏰:10/10/02 23:19 📱:F02B 🆔:/Sa.bspw


#701 [シバ]
そのままの姿勢で、理彩ちゃんが泣いている事に気付く。

「シバは優しいね…」

そう言いながら、探るように背中の手を上下に動かす。

「シバこそ、こんな話聞いてリィの事軽蔑しないの?」

理彩ちゃんの声は優しかった。
いつもの子供で元気な理彩ちゃんの声じゃなくて、甘えた女性の声…

「軽蔑しないよ。辛い経験したんだね」

それ以上は何も言えず、黙って理彩ちゃんの体温を感じた。

⏰:10/10/02 23:26 📱:F02B 🆔:/Sa.bspw


#702 [シバ]
なんでシバの話から、理彩ちゃんのこういう話になったんだろう…って考えながら、なんとなく感じた事がある。

その男が最低なだけで、男の人全員がそんな最低な奴ばっかりってわけじゃない。
でも、理彩ちゃんにとって最悪な過去として残ってしまったのだ。

たぶん理彩ちゃんは、そんな過去があったから、女の人に好意を持つようになったのかもしれない…
そして、女の人と過去に何らかの関係を持ったのかもしれない…

色々考えていた。

⏰:10/10/02 23:42 📱:F02B 🆔:/Sa.bspw


#703 [シバ]
顔を動かさず、目だけで理彩ちゃんを見る。

澄んだような、悲しそうな目…
よっぽど辛かったのだろう。
よっぽど思い出したくなかったんだろう。

いつも笑っている人間でも、心の底はどうなっているのか分からない。
たまたまこんな話をする機会があっただけだけど、理彩ちゃんに申し訳ないことをしてしまった。

「ごめんね、リィ」

「何が?」

⏰:10/10/02 23:47 📱:F02B 🆔:/Sa.bspw


#704 [シバ]
「シバが変な事聞いちゃったから、嫌な事思い出させちゃって…」

「先に変な事聞いたのはリィだよ(笑)それに、いつかは誰かに聞いてほしかった。誰にも話してないから、1人で考えて頭がおかしくなりそうだった。もちろん、親にも親友の由香にも言えなかった」


「…そっか」

「本当に信頼できて、自分にとって大切で、好きな人じゃないと言えない。由香の事信頼してないとかじゃないよ!ただ…うん。何て言ったらいいのか分かんないけど」

⏰:10/10/02 23:52 📱:F02B 🆔:/Sa.bspw


#705 [たな]
うぅ、ずっと読んでます(¨、)

がんばってください、応援してます(Pω`、)

⏰:10/10/03 22:30 📱:F706i 🆔:cBozP/JU


#706 [シバ]
>>705 たなさん
ありがとうございます(^^)v
元気出ます(´_ゝ`)
少し更新しますね!


>>704

「ゆーちゃんにも言えなかったって事は、ずっと悩んでたんだね。シバなんかでいいなら、話聞くよ」

理彩ちゃんはシバから離れた。
二重の目からは、小さな涙の粒がこぼれていた。それを、理彩ちゃんは小さな手で拭った。

⏰:10/10/04 21:08 📱:F02B 🆔:CFaJVrVQ


#707 [シバ]
理彩ちゃんの指は、意外にゴツゴツしていた。
バスケで突き指を繰り返したのだろう。
人差し指と薬指は、少しだけ変形していた。

ただ、元の手は物凄く綺麗だったと思う。
色白だし、手の甲はスッキリとして、スベスベしているのだ。
爪も綺麗に手入れされている。

「年下から励まされるとか、リィってホントにガキだね(笑)みっともないね(笑)」

近くに置いていたタオルを手に取り、目頭を押さえた。

⏰:10/10/04 21:15 📱:F02B 🆔:CFaJVrVQ


#708 [シバ]
「みっともなくないよ。今までの辛かった事、全部話していいよ。言いたくない事とかあったとしても、無理には聞かないし」

理彩ちゃんはタオルを枕の方にポイッと放り投げて、体育座りをした。
シバも、自然と理彩ちゃんと同じ格好になる。

体育座りで話を聞くとか、ちょっと前の事を思い出す。
高3の、ジリジリとした夏の、あの合宿中の出来事…

あの時とはまったく状況が違うけど、ふいに昔を思い出していた。

⏰:10/10/04 21:22 📱:F02B 🆔:CFaJVrVQ


#709 [シバ]
しばらく沈黙…

部屋が暗かったから、変に冷静な自分がいた。
理彩ちゃんが口を開く。

「あのね…」


沈黙…

やっぱり喋りたくないのだろうか。

「男の話は、もう終わり。ここから先は、絶対に人に喋らないって決めてた。これから先、誰かと一緒になっても、リィが死ぬまで絶対に、絶っ対に喋らないって思ってたんだ」

⏰:10/10/04 21:35 📱:F02B 🆔:CFaJVrVQ


#710 [シバ]
鼻をグスグスさせながら、理彩ちゃんは笑った。

「死んだ先でも、絶対に言わないって決めてたんだけど(笑)ってか、死んだらどこ行くんだろうね(笑)」

シバも少しだけ笑った。

「マジ…ね。リィもいろんな恋愛と出会ってきたんだよ」

理彩ちゃんは、表情を変えずに語り始めた。

⏰:10/10/04 21:41 📱:F02B 🆔:CFaJVrVQ


#711 [シバ]
「リィ…先月まで女の子と付き合ってたんだ」

バッと顔を上げて、理彩ちゃんを見た。
照れくさそうな顔…
その顔を見て、心がズキンと痛んだ。
この瞬間は、何で心が痛んだのか分からなかったけど…


「…………」

「軽蔑した?(笑)」

「あ、いや…」

「さっきのシバの真似。『軽蔑した?』って(笑)」

「軽蔑はしないけど…なんか…意外」

⏰:10/10/04 21:51 📱:F02B 🆔:CFaJVrVQ


#712 [シバ]
「意外かな?だって、色々あったんだもん」

「そうなんだ…」

間を空けず、理彩ちゃんは続ける。


「その相手はね、高校の時からリィの追っかけだったらしい…所謂、ファンみたいな」

「うん」

「高校卒業してから、地元の映画館で偶然会ったんだ。後ろから声かけられて、『吉岡さんですよね?』って」

⏰:10/10/04 22:28 📱:F02B 🆔:CFaJVrVQ


#713 [シバ]
ちなみに『吉岡』は、理彩ちゃんの名字。

「『あ、はい』って答えたら、めちゃくちゃ笑顔になってさ。それがめちゃくちゃ可愛くて。その子は超ボーイッシュだったから、幼い子供みたいで、癒される〜♪って感じで」


また心がズキン…

「せっかく会ったからって事で、近くの喫茶店に入って色々話してさ。そうこうしてるうちに、そういう機会が増えて、連絡先交換して」

⏰:10/10/04 23:10 📱:F02B 🆔:CFaJVrVQ


#714 [真沙也]
久しぶりです
更新頑張って下さい
この小説にはいつも元気をもらいます、勇気をくれます
あなたのペースで頑張って下さい

⏰:10/10/04 23:26 📱:930CA 🆔:KBuSfMPU


#715 [我輩は匿名である]
更新待ってます∩^ω^∩

⏰:10/10/16 21:59 📱:W61SA 🆔:psArAMlw


#716 [我輩は匿名である]
>>1-300
>>301-600
>>601-900
>>901-1000

⏰:10/10/17 07:50 📱:F03A 🆔:C/35yzp.


#717 [シバ]
真沙也さん
匿名さん

ありがとうございます(´_ゝ`)
そう言ってもらえると本当に嬉しいです!

ちょっと更新します



>>713

そうしていく内に、そういう関係になってしまったんだ♪

理彩ちゃんは、そのファンだったという相手と性別という壁を超えて、恋愛関係に発展した。
そう続けた。

⏰:10/10/18 23:07 📱:F02B 🆔:9Y/WWEKk


#718 [シバ]
そんな話を受けて、シバは黙り込んでしまった。
いきなりのカミングアウト…
まさかの展開…

シバは笑顔を作って聞いていたけど、心の中はとんでもない事になっていた。

別に理彩ちゃんの事、何とも思ってないはずなのに…
やっぱり、心って正直だ。




完璧にヤキモチやいてる自分がいる…

⏰:10/10/18 23:10 📱:F02B 🆔:9Y/WWEKk


#719 [シバ]
少し俯いて、照れくさそうに笑う理彩ちゃんを見たくなかった。

そんなシバを見て、理彩ちゃんは一言…


「あ、こんな話しちゃってごめんね」

いやいや、と慌てて返事をしたけど、自分の顔から笑顔が消えていた事に気付く。

「ねぇ…」

理彩ちゃんはシバの顔を覗き込んだ。

⏰:10/10/18 23:14 📱:F02B 🆔:9Y/WWEKk


#720 [シバ]
「シバ、ヤキモチ妬いてる?」

真顔でもない、笑顔でもない理彩ちゃんの表情…

好奇心…
と言った方が正しいのだろうか?
理彩ちゃんの表情から、何も捉える事ができない。
だから黙り込んだまま。


「シバ…」

小さな声で呼びかけられる。

⏰:10/10/18 23:18 📱:F02B 🆔:9Y/WWEKk


#721 [シバ]
「ヤキモチとか、妬いてない!」

シバは言い張った。

「…そう」

理彩ちゃんは俯いて、そのまま布団に寝転んだ。
何で素直に『ヤキモチ妬いてるよ』って言えないんだろう…
でも、それで良かった。


「ヤキモチ…妬いて欲しかったな」

理彩ちゃんは呟いた。
小さな声だったけど、その一言はとても衝撃的だった。

⏰:10/10/18 23:22 📱:F02B 🆔:9Y/WWEKk


#722 [シバ]
理彩ちゃんを見る。
仰向けに寝て、腕を顔の前に持ってきて、顔を隠すような体勢だった。

その奥の理彩ちゃんは、どんな表情をしていたのだろう。

シバは固まってしまった。
その一言に、理彩ちゃんはどんな意味を込めたのだろうか?

いろんな疑問を持った。

「リィさ、その子の事、本当に好きだったのか今でも分からないんだ」

⏰:10/10/18 23:27 📱:F02B 🆔:9Y/WWEKk


#723 [シバ]
ふーん…とも言えず、そのままお互いバラバラの体勢で話が続く。

「その子の笑顔は可愛かったし、一緒にいて癒されてたし、一緒に笑って楽しかったのに、付き合うってなった日から何も分からなくなった」

シバは窓を見た。
雨が降るワケでもない、星一つないさっきと同じ空。


「付き合ったからって、一体何が変わるんだろう…そんな疑問ばっか」

⏰:10/10/18 23:32 📱:F02B 🆔:9Y/WWEKk


#724 [シバ]
理彩ちゃんは起き上がって、後ろからシバに抱きついた。

「どうしたの?!」

びっくりしたシバは、情けない言葉をポツリ。

「う〜ん…分かんない。でも何か、シバと一緒にいたら…落ち着くんだ。あの人にこんな事してみても、変に緊張してたっていうか、その場の空気を読んでの行動だった…みたいな」

理彩ちゃんの顔が、シバの背中にあたる。

⏰:10/10/18 23:37 📱:F02B 🆔:9Y/WWEKk


#725 [シバ]
「ファンって言ってたから、バスケしてるリィに憧れみたいなもの持っててくれてたんだろうな〜って思ってたけど、最初からそんなんじゃなかったみたい」

理彩ちゃんの腕に力が入る。

「最初から、あっちは男目線でリィの事見てた。分かるかな?」

「うん…なんとなく」

「自分の彼女にしたい…ただそれだけ。んで、実際自分の物になったら、所有物になる」

⏰:10/10/18 23:42 📱:F02B 🆔:9Y/WWEKk


#726 [シバ]
今気付いた。
さっきの理彩ちゃんの照れくさそうな笑顔は、照れくさいでも何でもなく、複雑な笑顔。

それに気付かなかったシバはホント大馬鹿者。



「話が難しくなっちゃうから簡単に言うと、相手にとって念願の彼氏彼女の関係に発展!勝手に束縛して、勝手に満足して、相手は色々楽しかったんだろうね。リィの気持ちなんてお構いなしに勝手に恋愛ごっこしてただけ。そんな感じ」

⏰:10/10/18 23:49 📱:F02B 🆔:9Y/WWEKk


#727 [シバ]
なんとなく理解できた。

結局は、最初だけいい顔して理彩ちゃんの気を惹いて、自分の物にして満足して終わり…
そりゃ、理彩ちゃんだって付き合う意味が分からなかっただろうよ。

本当に好きでもないのに、付き合うなんて無理な話だ。

理彩ちゃんの腕から力が抜けた。
何してるんだろう?って思って、背中側に意識を集中する。
その集中は、一瞬にして破られた。

「シバ、キスして」

⏰:10/10/18 23:55 📱:F02B 🆔:9Y/WWEKk


#728 [我輩は匿名である]
わ〜続き気になる

⏰:10/10/19 19:22 📱:SH05A3 🆔:4aZxZMSs


#729 [シバ]
>>728さん
ありがとうございます!少し更新します(^^)


>>727

理彩ちゃんの腕をゆっくりと振りほどいて、理彩ちゃんの方を向く。
理彩ちゃんは俯いて、体育座りして小さくなっていた。
シバは理彩ちゃんからの衝撃発言にびっくりしなかった。
この人はビックリ箱のような人だから、いつも想像できないような事を簡単にポツリと呟くのだ。

⏰:10/10/24 12:00 📱:F02B 🆔:uDg/62RY


#730 [シバ]
シバは理彩ちゃんにキスをする事を躊躇いまくった。
この人にキスをしたら、これから何が始まるというんだろう…

シバは理彩ちゃんの事が好きだ。
その感情も、友人に抱くような物ではなく、本当に特別な『愛』なのだ。性別なんて、今更気にしない。

だけど…
この人は、自分の大好きな姉の大親友なのだ…
ゆーちゃん…

今、この瞬間をゆーちゃんが知ってしまったら…

⏰:10/10/24 12:05 📱:F02B 🆔:uDg/62RY


#731 [シバ]
ゆーちゃんはどんな行動を取るだろうか。

シバの事をひっぱたくだろうか。
理彩ちゃんと絶交するだろうか。
それとも、「何してんのあんたら。酒でも飲んだの?」とか言って、呆れつつも笑って許してくれるだろうか。


頭がおかしくなりそうだった。
シバにとって理彩ちゃんは、ゆーちゃんあっての理彩ちゃんなんだ…

⏰:10/10/24 12:10 📱:F02B 🆔:uDg/62RY


#732 [我輩は匿名である]
頑張ってください

⏰:10/11/02 18:35 📱:SH05A3 🆔:tqldacbU


#733 [我輩は匿名である]
あげます(´・ω・`)

⏰:10/11/09 16:23 📱:S001 🆔:sqrjiobI


#734 [我輩は匿名である]
あげ(・3・)

⏰:10/11/12 18:53 📱:SH05A3 🆔:vkLKv.u.


#735 [我輩は匿名である]
 
書いてください(><)

⏰:10/11/16 20:41 📱:W64SH 🆔:29poXn0k


#736 [シバ]
皆さんありがとうございます
またまた更新できずすみません

今日からまた更新します!

⏰:10/11/20 12:05 📱:F02B 🆔:RDQQMxi2


#737 [我輩は匿名である]
頑張ってください

⏰:10/11/23 19:38 📱:SH05A3 🆔:ZDvmEz1M


#738 [我輩は匿名である]
もお更新するつって3日たってるのに主、来ない…更新しないなら辞めちまえよ

⏰:10/11/25 13:29 📱:P906i 🆔:O05ne80I


#739 [我輩は匿名である]
辞めないでください
主さんのペースで書いて
くださいね(^-^)

⏰:10/11/25 15:05 📱:SH05A3 🆔:nJvxS9Hk


#740 [シバ]
仕事が忙しくてなかなか更新できなくて…


後で更新できたらします

⏰:10/11/25 20:16 📱:F02B 🆔:ib35JjuM


#741 [我輩は匿名である]
理由は、解ったよ
けど言った事を実行出来なかったなら先に謝罪すべきじゃないのか?
忙しいから更新が遅くなるって事に怒ってるんじゃないよ!
定期的に上げてくれてる人、ブックマークして毎日チェックしてくれてる人、応援レスくれた人あなたの話しに共感してくれた人を裏切ったんだぞ!
gdgdでやるなら辞めたがいい。
最低限言った事を守る。
守れなかったら一言レスしに来るくらいはしないと文字だけのやり取りなんだし支援してくれてる人にも失礼だぞ!解ったなら今後はエロシーンの回想を大目で頼みます。

やる夫

⏰:10/11/25 22:40 📱:P906i 🆔:O05ne80I


#742 [あむ]


書いてほしいから
あげときます★!

主さん頑張って(^^)!

⏰:10/12/07 14:05 📱:SH04A 🆔:NK4iRt9.


#743 [我輩は匿名である]
あげます( ^∀^)

⏰:10/12/12 20:26 📱:SH05A3 🆔:oeHIEjg2


#744 [シバ]
皆さんご迷惑おかけしました

忙しくてなかなか更新できなかったのは事実なのですが、有言実行しなかったことに申し訳ない気持ちでいっぱいです
すみません


また更新していきますのでよろしくお願いします

⏰:10/12/20 19:59 📱:F02B 🆔:WbhDASoI


#745 [我輩は匿名である]
更新待ってます。
頑張って下さい(^O^)

⏰:10/12/23 13:14 📱:SH01B 🆔:ZaxuI.yA


#746 [シバ]
>>745さん
ありがとうございます


>>731
理彩ちゃんの目を見る。自分の気持ちがよく分からないまま、理彩ちゃんの唇に触れてみた。

『チュッ』

っていう音も何もない、ただ触れるだけのキス。
理彩ちゃんの反応を待った。


しーん…

⏰:10/12/26 04:20 📱:F02B 🆔:7kmTMsZ.


#747 [シバ]
暗闇…
だけど、外からの青白い光で理彩ちゃんの顔は見える。

目をそらして、何かを考えているような顔。
何も喋らない理彩ちゃん。

そんな沈黙が、シバには痛かった。

「…え?あ、ごめん…ホントにチューしちゃった(笑)」

アタフタしている自分…
タオルケットを投げ飛ばして、その場から逃げ出したかった。

⏰:10/12/26 04:26 📱:F02B 🆔:7kmTMsZ.


#748 [シバ]
その時のシバは、理彩ちゃんの上に乗っかってたと思う。

ってか、乗っかってた。
キスして…なんて言うもんだから、とりあえずその体勢に入るため、上から理彩ちゃんを眺める形になっていた。



理彩ちゃんと目が合う…



…その瞬間が、始まりと終わりの関係を招くことになる。

⏰:10/12/26 04:31 📱:F02B 🆔:7kmTMsZ.


#749 [シバ]
目が合った瞬間、理彩ちゃんはすぐに目を閉じた。

一瞬力が抜けたシバの首に、理彩ちゃんの両手が回された。
顔を引き寄せられて、理彩ちゃんの唇に触れた。

さっきのように『チュッ』みたいな、音が云々…じゃない。

もう、これでもか!ってくらい激しいキスをした。

理彩ちゃんの顔を盗み見てみる…

⏰:10/12/26 04:37 📱:F02B 🆔:7kmTMsZ.


#750 [シバ]
目をギュッと閉じて、微かに声を漏らす。
片手はシバの首に、もう片方の手は背中に…


だんだん息が荒くなる理彩ちゃんを見ていて、少しずつ呼吸が乱れてくる自分に気付いた。

…だけど、変な冷静さを保っている自分がいる。

そうだ…
理彩ちゃんとゆーちゃんは親友…
こんな関係になって、この2人が離れてしまう事があったら…

⏰:10/12/26 04:43 📱:F02B 🆔:7kmTMsZ.


#751 [シバ]
そんな事になったら…

それが怖くて、ストップをかけようと唇を離した。

理彩ちゃんは目を開けていた。
うつろな目で、シバを見る。


話さないと…


「…シバ」

こんなタイミングで名前を呼ばれ、ビクッとなった。
でも、話さないと…
あんたとシバの姉は親友でしょ?

⏰:10/12/26 04:49 📱:F02B 🆔:7kmTMsZ.


#752 [シバ]
そう言わないと…

一方で、また別の自分がいる事に気付く。

『自分は理彩ちゃんの事が好きなんだ。何も悪い事じゃない』


んで、止まってしまった。


数秒間、理彩ちゃんと目が合ったまま。


次の理彩ちゃんからの一言で、シバは完全に理性を失ってしまう。

⏰:10/12/26 04:53 📱:F02B 🆔:7kmTMsZ.


#753 [シバ]
「…好きかも」


理彩ちゃんの唇から漏れたのは、こんな言葉。
一瞬、理解できなかった。
心の奥底まで響いてくるのが、自分でも分かる。

理彩ちゃんは視線を合わそうとはしない。
横を向こうと顔を背けた。
シバの方を向いて目を開けた時には、もう遅かった。

自身の理性が、思いっきり飛んでしまった。

⏰:10/12/30 04:09 📱:F02B 🆔:Izj9qmvg


#754 [シバ]
シバは夢中になって、理彩ちゃんにキスをしていた。
理彩ちゃんが口を開いて、舌を絡めてくる。


口を唾液まみれにさせながら、しばらくはお互いのキスを求め合った。



シバの背中に回された理彩ちゃんの腕に、力が入る。


「シバ…服脱がせて」

⏰:10/12/30 04:32 📱:F02B 🆔:Izj9qmvg


#755 [シバ]
理彩ちゃんは、着ていたTシャツの中でモゾモゾと動き出した。



え…?
やっぱりそうなるか…

だけど、シバもそれを求めていたのかもしれない。
何も喋らず、理彩ちゃんのTシャツを脱がせる。
理彩ちゃんの胸が露わになる。
さっきは恥ずかしくてワーワー言ってしまったけど、今は違う。

暗闇の力って凄い。

⏰:10/12/30 04:36 📱:F02B 🆔:Izj9qmvg


#756 [真沙也]
明けましておめでとうございます
自分のペースで頑張って下さい
人生山あり谷あり
って感じっすよ
こんなに応援してくれる人も
たくさんの方が読んでますから
中途半端には止めず
自分のペースで最後まで
書いて下さいm(__)m

⏰:11/01/02 05:46 📱:930CA 🆔:2eXh./z6


#757 [我輩は匿名である]
>>325-800
すみません

⏰:11/01/02 16:02 📱:P02A 🆔:Yu5xxx0Q


#758 [uraganai]
>>500-800

⏰:11/01/09 02:00 📱:D705i 🆔:gy0QnHNo


#759 [uraganai]
>>700-800

⏰:11/01/09 02:00 📱:D705i 🆔:gy0QnHNo


#760 [我輩は匿名である]
あげます

私も同性愛者なので応援しています

⏰:11/01/13 13:05 📱:F01B 🆔:zkFFbmfI


#761 [シバ]
>>756さん
>>760さん

ありがとうございます!更新遅くて本当にすみません
少し更新します!

⏰:11/01/16 21:47 📱:F02B 🆔:b9icmHsI


#762 [シバ]
>>755

理彩ちゃんの胸を触ってみる。
理彩ちゃんの口から小さな声が洩れる。

「もっと強く…」
とか、
「揉んで」
とか!

母親以外の乳を触るとか…

ガールズトークの中で、よく『あんた胸大きいね!触らせて』とか、よく耳にする。

だけど、この状況は色んな意味で諸々違う。

⏰:11/01/16 21:52 📱:F02B 🆔:b9icmHsI


#763 [シバ]
普通に、お互い愛情を込めての行動。

ただ、シバは脱がない。女である自分の体を、相手に見られたくないから…

しばらく胸を弄っていると、理彩ちゃんの手がシバの右手を取った。
ゆっくりとその手は下に降りていく。

理彩ちゃんのパンツは、予想以上に濡れている。
…というか、お漏らしした?

「あ…リィね、相当感度が高いから(笑)すぐ濡れるんだ」

⏰:11/01/16 21:57 📱:F02B 🆔:b9icmHsI


#764 [シバ]
恥ずかしそうに笑いながら、理彩ちゃんはシバの目を見た。

そんな理彩ちゃんを見ていると、シバの理性は更にぶっ飛んだ。

理彩ちゃんの足を広げて、シバは顔を近づけてみた。

「ちょ!待って」

理彩ちゃんは思いっきり力を込めて足を閉じた。シバの頭はガツンと挟まれた。

「どうしたの?!」

「いや…ごめん。なんか…恥ずかしい(笑)」

⏰:11/01/16 22:01 📱:F02B 🆔:b9icmHsI


#765 [シバ]
「え?今更?(笑)」

「うん、今更(笑)ってか、だって…びしょ濡れだし」

足を閉じて、上半身裸の理彩ちゃんは両手で顔を覆っていた。
その両足に挟まれているシバの頭。

なんとも微妙な体勢…

逆にこっちが恥ずかしい。

けど…

「そんなの気にしないよ。むしろ、可愛い」

⏰:11/01/16 22:05 📱:F02B 🆔:b9icmHsI


#766 [シバ]
理彩ちゃんは顔を覆ったまま、

「え…じゃあ…して(笑)」

なんていうもんだから、理彩ちゃんの足おっ広げて、あんなことやこんなこと…

簡単に言えば、舌や指使って、色々。

何分経っただろうか?

「シバ!ストップ!待って!」

理彩ちゃんが再び足を閉じた。
ヘロヘロになったシバの頭は、再び理彩ちゃんからの両足ガツン…

⏰:11/01/16 22:17 📱:F02B 🆔:b9icmHsI


#767 [シバ]
「どう…したの?」

理彩ちゃん並にヘロヘロフラフラなシバ。
あんだけ手や口動かせば、さすがに…


「あのね…真っ最中には言わなかったんだけど…リィ、すでに3回はイッたっぽい(笑)」

なんと!
本当に感度が高いのね。

しばらく2人で横になって、余韻に浸ってた。
チラッと時計を見る。

もう日付変わってるし、むしろ明け方5時前。

⏰:11/01/16 22:26 📱:F02B 🆔:b9icmHsI


#768 [シバ]
色々語って、イチャイチャして、あんなことやこんなことして…

そりゃ、時間経つのは早いわな。
ってか、夢中になってる時って、本当に時間経つの早いわ!


横を見ると、理彩ちゃんは服を着ることもなく、スヤスヤ寝ていた。

シバはタオルケットを理彩ちゃんにかけて、理彩ちゃんのオデコにチューした。
理彩ちゃんは起きてたのかな?
目を閉じたまま、シバに抱きついて離れなかった。

⏰:11/01/16 22:33 📱:F02B 🆔:b9icmHsI


#769 [シバ]
シバの左腕をもぞもぞと動かして、自分の腕枕にしていた。
そんな姿があまりにも可愛くて…
シバは本当に、理彩ちゃんのことが好きなんだと感じた。

シバもクタクタだったから、そのまま熟睡していた。




んで、起きたのは夕方4時前…
よく考えたら、明日からまた仕事。

ってか、今日こそは理彩ちゃんとどこそこ行って、思い出作りたかったのに…

⏰:11/01/16 22:38 📱:F02B 🆔:b9icmHsI


#770 [シバ]
なんて、しみじみ思いながらまだ横でぐっすり寝てる理彩ちゃんを見た。
そろそろ帰らないと…


可哀想だけど、起きてください。

「リィ、シバ…そろそろ帰らないと」

「……ん…嘘…もう帰るの?」

「明日仕事だからね。また来るから」

「うん…いつでもおいで……ギャッ」

タオルケットを取ろうとした理彩ちゃんは、またすぐに被った。

「リィ、裸だったんだ(笑)」

⏰:11/01/16 22:45 📱:F02B 🆔:b9icmHsI


#771 [シバ]
「は…?」

「待って!布団取らないで(笑)服着るから!」

理彩ちゃんはタオルケットを被って座り込んだ。

「リィ昨日は普通にスッポンポンで部屋中歩き回ってたじゃん(笑)何の恥じらいもなく」

「夜にあんなことしたんだから、なんか照れくさいよ(笑)」

そんなこと言う理彩ちゃんは、本当に恥ずかしそうだった。

⏰:11/01/22 21:43 📱:F02B 🆔:wzscST0I


#772 [シバ]
そんな姿にキュンときた。

「分かった。ってか、シバも着替えるから脱衣場行ってくる。その間に着替えといて」

「分かった」

お互い別々の場所で身支度を済ませ、また理彩ちゃんの部屋に戻った。

まともな会話が出ないまま、帰る時刻がやってきた。


「あ〜、明日から仕事だね。土日が相当楽しかったから、なんかやる気出ないや…家に帰りつくまでが長すぎる」

⏰:11/01/22 21:48 📱:F02B 🆔:wzscST0I


#773 [シバ]
シバがボヤいて、荷物の鞄を肩にかけ、玄関に向かおうと理彩ちゃんに背を向ける。

理彩ちゃんはシバの手を引いて、再び理彩ちゃんの部屋に戻った。


「リィ、どうしたの?」

理彩ちゃんはモジモジしながら少し背伸びして、とてもとても濃厚なキスをしてきた。

「どうしたの?」

2回も同じことを聞いてしまった。
たぶん、自分自身が物凄くビックリしてたんだと思う。

⏰:11/01/22 21:52 📱:F02B 🆔:wzscST0I


#774 [シバ]
しばらくキスが続いた。

理彩ちゃんはシバから視線をそらして、

「だって…しばらく会えないんだよ?寂しいよ」

なんて呟いた。

そんな理彩ちゃんが本当に可愛くて、そんな風に思っていてくれたなんてまったく気付かなくて、嬉しすぎて…

シバは理彩ちゃんを抱きしめた。
理彩ちゃんも小さな体に力を込めて、強く抱きしめてくれた。

⏰:11/01/22 21:56 📱:F02B 🆔:wzscST0I


#775 [シバ]
駅に着いた。
理彩ちゃんは見送りに来てくれて、改札口で別れることに。

「また近々来るから。ってか、来週でもいいし」

「ホント?来て来て!リィもたぶん用事ないし。でも、再来週は友達と買い物行くんだ…なんか寂しいけど」

「そりゃ、先に約束した友達優先しないと。とりあえず、着いたらまた連絡する」

そう言って、理彩ちゃんの頭をポンポンっと軽く叩いてシバはホームに向かった。

⏰:11/01/22 22:01 📱:F02B 🆔:wzscST0I


#776 [シバ]
それから約2ヶ月後…


理彩ちゃんとシバの仲は順調だった。

順調どころか、前にも増してお互いのことが分かってきて、電話やメールで喧嘩もしたし、週1ペースで会いに行ったし、不意打ちで手紙なんかも送られてきて喜んで、そんなやりとりが続いた。

会えない時や寂しい時は、理彩ちゃんは電話の向こうで泣いていたし、そんな時は夜だろうが次の日が仕事だろうがお構いなしに電車に飛び乗って理彩ちゃんのもとへ行ったし、とにかくお互いの中でお互いが特別な存在になっていた。

⏰:11/01/22 22:09 📱:F02B 🆔:wzscST0I


#777 [シバ]
だけど、1つ気になることがあった。

ずっとモヤモヤしていたこと…


『これって、付き合ってるのかな?』

っていうこと。

シバは理彩ちゃんに付き合おうって言った訳でもないし、理彩ちゃんから言われた訳でもない。

じゃあ、この関係は一体何なんだろう…

ただ寂しいから?
理彩ちゃんの過去を忘れさせるため?
それとも、自然と『付き合う』っていう形になった?

⏰:11/01/22 22:15 📱:F02B 🆔:wzscST0I


#778 [シバ]
そんな曖昧な気持ちのまま、理彩ちゃんとはいつも通りに接していた。

理彩ちゃんからも、『付き合ってる』っていう言葉は出てこない。

理彩ちゃんは何を思ってシバを見ているのだろう…
シバと一緒にいると落ち着くとか、好きかもしれないっていう言葉をくれた理彩ちゃん。

だけど、実際はどうなんだろうか…

考えれば考えるほど、自分自身が無理をしていることや、辛い気持ちになっている自分に気付いた。

⏰:11/01/22 22:22 📱:F02B 🆔:wzscST0I


#779 [c a]
あげます

⏰:11/02/02 21:38 📱:F01B 🆔:6HJlnuJE


#780 [我輩は匿名である]
あげます(>_<)

⏰:11/02/14 20:34 📱:PC 🆔:r99gjIbI


#781 [我輩は匿名である]
あげます(`・ω・´)

⏰:11/02/19 20:06 📱:SH05A3 🆔:YH5Fn68Y


#782 [シバ]
皆さん、あげありがとうございます(^^)
亀さんの更新で本当に申し訳ないです(T^T)

更新します!

⏰:11/02/21 19:58 📱:F02B 🆔:84lwKmgE


#783 [シバ]
>>778

理彩ちゃんの答えを聞くのは怖い。
…でも、このままの微妙な関係もきつい。

自分の気持ちは、完璧に理彩ちゃんの事を好いている。
友達だとか、ゆーちゃん繋がりだとか、そんな中途半端な形は嫌だ。

理彩ちゃんを誰にも取られたくない。

シバは女で、理彩ちゃんも女。

関係ない!

シバは理彩ちゃんと『恋人』っていう形になりたいんだ!

⏰:11/02/21 20:05 📱:F02B 🆔:84lwKmgE


#784 [シバ]
そう決めたその日の夜…

仕事を終え、いつも通りの流れ。
先に仕事の終わった方が『仕事終わった♪』のメール。

今日は理彩ちゃんの方が早かった。

『終わったよ〜ん♪今からナナ(理彩ちゃんの友達)と香水のお店行ってくる!』

とのメールが。

それを見て『いってらっしゃい』の返信を送る。

ってことは、真面目な話をするのは寝る前だろう。

⏰:11/02/21 20:13 📱:F02B 🆔:84lwKmgE


#785 [シバ]
どれに転ぶのだろう…

恋人、友達、最悪は他人…
だけど、こんなに好きなのに友達の関係に戻るなんて難しい。
っていうか、無理。

いっそのこと、他人に戻った方がお互いの為になるだろうっていうのが、シバのこの時の考え。

でも、気持ちを伝えるからには、やっぱりいい結果を聞きたい。

理彩ちゃんが帰ってきたのは夜10時過ぎ。
理彩ちゃんが入浴を済ませた後に、話をする事に。

⏰:11/02/21 20:22 📱:F02B 🆔:84lwKmgE


#786 [シバ]
「もしもし♪シバ?何してた?」
「風呂入ったり飯食べたり」

「普通だね(笑)」
「いつも通りだよ」

「なんか、シバいつもと違う〜!」
「…あははは」

「何かあったの?」
「いや、別に普通だよ」

「ふ〜ん」
「………」


馬鹿みたいに緊張する!自分が自分じゃないみたいに、変な汗かいて、うわ〜って叫びたくなる。

⏰:11/02/21 20:28 📱:F02B 🆔:84lwKmgE


#787 [シバ]
「あんね、今日シバが使ってた香水見に行ったんだ!リィは使うつもりなかったんだけど、何かノリで買っちゃった(笑)」

「なんで?(笑)」

「え〜?だってさぁ、シバの匂いだよ♪匂ってたらキュンキュンしてきちゃって(笑)」


何それ!
そんな事言われたら、こっちがキュンキュンしてくるわ!


「次はいつ会えるかなぁ?シバの匂い嗅いでたら、なんか会いたくなってきた♪」

⏰:11/02/21 20:34 📱:F02B 🆔:84lwKmgE


#788 [シバ]
「あのさ、ちょっとお話が…」
「何何?」

「…シバってどんな匂い?」


勇気を振り絞ってみたけど、どうやら振り絞れてなかったみたい。

そりゃそうだ。
これは告白なのだから。

「シバの匂い?リィが一番好きな匂い(笑)香水じゃなくても、風呂上がりとか、寝る前の肌の匂いとか、全部好き(笑)」


理彩ちゃんからの『好き』っていう言葉が、シバの心に火をつけた。

⏰:11/02/21 20:42 📱:F02B 🆔:84lwKmgE


#789 [シバ]
「シバとリィって、どういう関係なの?」
「関係?」

「友達なの?それとも付き合ってるの?」
「う〜んとね…(笑)」

「なんか、中途半端なのって嫌なんだよね」
「中途半端…だけど、分かんない(笑)」



分かんないって…

あ〜、ダメだこりゃ。
終わったな…


「そうなんだ…期待して損しちゃったな」
「期待?」

⏰:11/02/21 20:48 📱:F02B 🆔:84lwKmgE


#790 [シバ]
「期待っちゅーか、なんていうか…」
「…………」

「だって…ね?」
「…………」


理彩ちゃんは何も喋ろうとはしない。
あ〜、そうか。

やっぱりシバが1人で勝手に舞い上がって勘違いして、好きっていう言葉の捉え方を間違ってたんだ…

そうかそうか…

「あのさ…」

⏰:11/02/24 20:00 📱:F02B 🆔:9rWx0P.M


#791 [シバ]
理彩ちゃんが急に喋りだしてビックリした&もうこの場の空気に耐えられなくなって、シバは電話を切ってしまった。

根性無し!
チキン!
間抜け!
馬鹿!


自分を罵り出した数分後、理彩ちゃんからメールがきた。

『なんで電話切っちゃうかなぁ?シバの言いたい事、なんとなく分かるよ。リィもその事について結構考えてたから。とりあえず話しようよ。電話切るとか、それって逃げじゃない?』

⏰:11/02/24 20:06 📱:F02B 🆔:9rWx0P.M


#792 [シバ]
理彩ちゃんからのメールの文章が、心の奥まで染みてきた。

ベッドに転がって気持ちを落ち着かせてから、理彩ちゃんに電話した。


「いきなり切るからビックリしたよ(笑)」
「…ごめん」

「ま、いいや」
「………」

「………」
「………」


無言になったり、どちらかがよいしょ!とか言ったり、はぁ〜…とか言ったり。

⏰:11/02/24 20:14 📱:F02B 🆔:9rWx0P.M


#793 [シバ]
「シバは…さ。リィの事が好きだよ」

チキンのくせに、頑張って『好き』の一言が言えた!

「リィも好き」


え?
じゃあ…

「ただ、リィとシバが付き合うってなったら1つ大きな問題が出てくるよ」
「何?」
「…由香」

ゆーちゃん?


「なんで?」

⏰:11/02/24 20:19 📱:F02B 🆔:9rWx0P.M


#794 [シバ]
「なんでって(笑)普通に分かるでしょ」
「ゆーちゃんに内緒にしとけばいいんじゃない?」

「それは無理でしょ(笑)だってこれから先、由香とは長い付き合いしていきたいし」
「シバよりゆーちゃんを取るって事?」

「いや、そうじゃないけど…むしろ、リィはシバの方が好きだよ。でも、由香はリィにとって大事な友達だから…」
「そっか…」

⏰:11/02/24 20:23 📱:F02B 🆔:9rWx0P.M


#795 [シバ]
もう無理だな…って思いかけた時…

「でも、シバ?リィはシバと一緒にいたいっていう気持ちの方が強いみたい」

「…じゃあシバと付き合おうよ」



って言ったら電話が切れた。
あら?
結局ダメなんかい…
もうワケ分からん!ってケータイを閉じたら理彩ちゃんからの着信。

⏰:11/02/24 20:28 📱:F02B 🆔:9rWx0P.M


#796 [シバ]
「ごめん(笑)恥ずかしかったってかなんか、嬉しくてつい(笑)」
「え?」

「なんか改まると照れくさいね(笑)」
「今更?」

「うん(笑)」
「…で、さっきのお返事は?」

「言わなくても分かるでしょ(笑)」
「分かるけど、ちゃんと聞きたいよ」


恥ずかしそうに笑う理彩ちゃんは一言…

「いっぱい愛してくれるならいいよ」

⏰:11/02/24 20:32 📱:F02B 🆔:9rWx0P.M


#797 [我輩は匿名である]
頑張って下さい

⏰:11/03/05 16:33 📱:SH05A3 🆔:G0ScO8Tc


#798 [ゆー]
書かないんですか?

⏰:11/03/21 18:52 📱:840P 🆔:CIjHZHCo


#799 [マユタン]
続き書いてほしぃなぁ〜

⏰:11/04/09 09:09 📱:SH08B 🆔:Z.v2tFaI


#800 [我輩は匿名である]
続きお願いします!

⏰:11/04/23 22:29 📱:SH05A3 🆔:.m.NXRV.


#801 [シバ]
お久しぶりです!
更新出来なくてすみません…
皆様、地震の方大丈夫だったでしょうか?

シバの方は…はい



今日から完結に向けて頑張っていきます!更新遅れて本当に申し訳ありません

⏰:11/05/10 23:48 📱:F02B 🆔:NRiVRra6


#802 [シバ]
>>796

なんと言うか、もう…
嬉しかった!
の一言。

友達から恋人に変わる瞬間って、本当に可笑しくなるくらい心が弾む!
電話だったからリアルな感じがしなかったっていう思いと共に、シバはウハウハだった。


その日から、毎日理彩ちゃんとメール、電話、メール、電話
生意気にも好きとか愛してるとか言ってみたり(笑)

⏰:11/05/10 23:54 📱:F02B 🆔:NRiVRra6


#803 [シバ]
遠距離ってわけではないけど、なかなか簡単には会いに行けない距離だから月に2回くらいだったかな?
会いに行ってたのは…

会って何をするってワケでもないけど、とりあえず一緒にいたかった!
ゆっくりして理彩ちゃんが手料理作って一緒に食べて、ブラブラして、夜営んで…みたいな感じっす(笑)

自分の目の前に大切な人がいるって、こんなにも温かくて幸せなことなんだ…
シミジミしてるシバは理彩ちゃんのことで頭がいっぱい。

⏰:11/05/11 00:01 📱:F02B 🆔:SRWnbjwg


#804 [シバ]
幸せ…
イコール幸せとは限らないものだ。

幸せ=壁

こんなに早くぶち当たることになるなんて…

⏰:11/05/11 00:06 📱:F02B 🆔:SRWnbjwg


#805 [シバ]
理彩ちゃんと付き合うことになって、2ヶ月経ったくらいだろうか…

ゆーちゃんが高校3年生の時にその代の先輩達が卒業製作か何かで作った文集がある。
シバは久しぶりに引っ張り出してそれを読んでいた。
ゆーちゃんの文章能力に驚きながら、久しぶりに昔話をしたくなって夜8時くらいにゆーちゃんに電話をかけた。

…出ない。

可笑しいな…
いつもならすぐに出てくれるのに。

⏰:11/05/11 00:13 📱:F02B 🆔:SRWnbjwg


#806 [シバ]
すぐにメールがきた。
ゆーちゃんから。

『お疲れ!ごめん、今電話出れない。ってか、聞きたいことがあるんだけど、後で電話していい?』

ゆーちゃんから、こんな冷たい?冷めたような感じのメールを送られてきたのは初めてだった。
絵文字なしのメールが初めてだったから不安になった感じ。
どうしたんだろう?っていう思いが出てくる前に、猛烈な寒気がした。

聞きたいことって…?
まさか…理彩ちゃんとのこと?

⏰:11/05/11 20:44 📱:F02B 🆔:SRWnbjwg


#807 [りか]
更新されてて嬉しいです!シバさんのペースで結末まで頑張って下さいね

⏰:11/05/15 00:28 📱:N01B 🆔:☆☆☆


#808 [シバ]
りかさん
ありがとうございます!
完結させますんで最後までよろしくお願いします!

>>806
その日の夜、シバは妙に落ち着かなかった。
理彩ちゃんとのことを聞かれたらどうしよう…
素直に付き合ってるよって伝えるべきだろうか?
それとも黙っていようか?

ソワソワしてテレビをつけたり消したり、水を飲んだり雑誌を広げたり閉じたり…

⏰:11/05/16 19:02 📱:F02B 🆔:dmJhr3CI


#809 [シバ]
日付が変わってすぐ、ゆーちゃんから着信が…
寝たふりでもしようか?
でも、逃げたっていつかはぶつかる壁…
ってか、もしかしたら別の用事かもしれないし…

「…もしもし?」

普通通りに接することを決め、通話ボタンを押した。

「あ、シバ?ごめん。寝てた?」
「いや、寝てないけどうつらうつらと」

本当は眠さが吹っ飛ぶくらいゆーちゃんからの電話を恐れてオドオドしてた。

だけど…

⏰:11/05/16 19:12 📱:F02B 🆔:dmJhr3CI


#810 [シバ]
めちゃくちゃ普通だった。
拍子抜けして、さっきの昔話まで出来てしまう始末。

なんだ!
変な勘違いだったんだ!
ゆーちゃんもゆーちゃんで、野菜ジュースをたくさん貰ったからあんたに送ろうか?飲める?とか、主婦みたいな事を聞く為にシバに電話しようとしてたらしい。

よかった〜。






…と見せかけて、ゆーちゃんから本題があるとの事…
妙な空気になった。

⏰:11/05/16 19:17 📱:F02B 🆔:dmJhr3CI


#811 [シバ]
「昨日ね、母さんと久しぶりに電話したのね?」
「うん」
「あんた達、結構頻繁に会ってるらしいね」
「あんた達?」
「あんたと理彩」

うわ…


「頻繁って訳じゃないけど…」
「あたしが電話した時、友達と会うって言ってたけど理彩に会ってたみたいだね。なんで理彩と会うって言ってくれなかったの?」
「…別に深い意味はないけど」

理彩ちゃんに初めて会いに行った時の事だ…
バレてしまった。

⏰:11/05/16 19:30 📱:F02B 🆔:dmJhr3CI


#812 [シバ]
「それなら、あたしを呼んでくれとは図々しいから言えないけど、何かさぁ…」
「まぁ、理彩ちゃんと会ったけど普通に遊んだだけだよ」

「…ふーん」
「何なの?何で?」

「別に…だってあんた達この間まで普通に他人みたいな感じだったじゃん。いつからそんなに2人きりで会うくらい仲良くなったの?しかも、あたしに秘密にする事なんてあるの?」
「だから深い意味はないってば」

「…ま、いいや。そんだけ。ごめん…あたしの勘違いならそれでいいんだけど。遅くにごめんね。おやすみ」

⏰:11/05/16 19:34 📱:F02B 🆔:dmJhr3CI


#813 [シバ]
一方的に電話を切られた。
ゆーちゃんの言葉はいつも遠回しに鋭い。気付いたのかな?

いつまでも隠してたって、いつかは分かってしまうことだとは分かってる。
親友が自分の妹と付き合ってるなんて、ゆーちゃんは絶対に認めてくれない。
女同士なんて、尚更認めてくれない。

シバが男として生まれていて、ゆーちゃんの弟だとしたら、ゆーちゃんは快く交際を認めてくれていたのだろうか?

究極な選択肢を与えられた気分になった。
大事な家族であるゆーちゃんを取るか。
大事なゆーちゃんの親友で、自分と同性の理彩ちゃんを取るか。

⏰:11/05/20 21:53 📱:F02B 🆔:DoUtbR6w


#814 [シバ]
ゆーちゃんとの一件以来、理彩ちゃんとは普通にラブラブ過ごしていた。
ゆーちゃんは理彩ちゃんに何も聞かなかったのだろう。
親友としての信頼みたいなものなのか?
もしくはそこまで深く考えていないのだろうか?

シバもシバで、理彩ちゃんにはゆーちゃんとの電話のことを話さなかった。


…怖かった。


シバは最低だ。
ゆーちゃんよりも理彩ちゃんを失うことが怖かったのだ。
理彩ちゃんに話してしまったら、理彩ちゃんは絶対にゆーちゃんを選ぶ。
なんとなく、そんな結果になるだろうと心の奥底では分かっていたんだ。
例え、毎日メールや電話をしてラブラブだったとしても…

⏰:11/05/20 21:59 📱:F02B 🆔:DoUtbR6w


#815 [我輩は匿名である]
また止まっちゃった

⏰:11/05/27 10:37 📱:CA004 🆔:Be/Z/LpY


#816 [我輩は匿名である]

放置はよくないって

⏰:11/06/14 18:25 📱:CA004 🆔:QRXwUQS6


#817 [シバ]
お久しぶりです

長い間更新出来ず、本当に申し訳ありませんでした
放置…というよりは更新出来ない状況に置かれてしまい…

それは、これから更新していく中でお伝えしていけたらなぁ…と思っております
以前、感想板の方にも事情を説明させて頂きました

度々止まることがあると思いますが、よろしくお願い致します
本当に申し訳ありませんでした

⏰:12/02/26 19:40 📱:F02B 🆔:mXaZW6fM


#818 [ゆー]
待ってました

⏰:12/02/28 19:56 📱:840P 🆔:IfFvQHew


#819 [シバ]
ゆーさん、ありがとうございます!

少しだけ更新します。

>>814

ゆーちゃんの言葉達は、洗礼にシバの心に残っていた。
理彩ちゃんとの電話やメールの内容が、自分でも分かるくらいギクシャクしていた。変に勘違いさせたくないから、メールはで一文一文、しっかりと考え、見直して送信。
電話は電話で、テンションを上げて仕事での出来事や友達との事を面白おかしく話しまくった。



それが逆効果だったのか、そこから「幸せ」という言葉が少しずつ「不幸」の二文字に変わり、剥がれ落ちていくことになる。

⏰:12/03/11 01:37 📱:F02B 🆔:jwzXrseE


#820 [シバ]
仕事に行く朝一、休憩時間、合間を見計らって仕事中、夜は夜でまったりメールをすることが、シバと理彩ちゃんの時間だった。
その瞬間が、何よりも幸せだった。
本当に…


何がきっかけっていうのは、シバもあまり覚えていない。
あの時は必死で必死で、藁にも縋る思いで追いかけて、幸せになりたくて幸せにしたくて…
1人の人間を愛し続けたくて…
悲しくて、いろんな気持ちが飛び交っていたのに…

時の流れって本当に残酷だ。
「過去」として、心の隅にポツンと残ってしまったような感覚。
悲しいけど、これが現実。

⏰:12/03/11 01:45 📱:F02B 🆔:jwzXrseE


#821 [シバ]
朝、シバが仕事場へ向かう時のことだった。
いつものように、何も変わり映えしない日常の中の1日。






理彩ちゃんからのメールが来ない。
おはようメールって、大体は理彩ちゃんから送ってくれていた。
それに応えるように、シバも送信。
この時は、「まだ寝てんのかな?」的な、ほんの疑問程度にしか取れなかった。
シバもシバで、朝は超低血圧人間。
職場へ向かうのも、朝礼ギリギリだった。だから頭がボーっとして、そこまで深く捉えていなかったんだと思う。


特に気にすることもなく、ケータイをポケットにしまい、朝礼に出た。

⏰:12/03/11 01:53 📱:F02B 🆔:jwzXrseE


#822 [りか]
更新楽しみにしてます
シバさんのペースで無理なさらずお願いします

⏰:12/03/23 23:32 📱:N01B 🆔:☆☆☆


#823 [シバ]
りかさん
ありがとうございます♪
バラバラの更新ですみません(つд`)
今なら少し更新出来るので、少しだけ更新します!

>>821
仕事が始まって、ポケットからケータイを覗かせる程度引っ張り出して理彩ちゃんからのメールを確認する。
…来てない。
理彩ちゃんからのメールと着信はピンク色に光る。
それ以外の人は(家族含め)、グリーン。
ピンク色に光ってくれない。
仕事は仕事!で気持ち切り替えようとしても、テンションはガタ落ち。
シバは声にも表情にも出てしまうから、すぐ周りにバレてしまう…

⏰:12/04/09 00:20 📱:F02B 🆔:Nem9Ng3I


#824 [シバ]
「シバちゃん、今日元気ねぇな。朝飯食ってこなかったのか?(笑)」

当時、仲の良かった係長さんだ。

「朝は食べないですよ、自分」

「あ、そーなの?倒れるなよ(笑)今日、死にそうな顔してんぞ」


そんなつもりはないよ…
シバだっていつも通りに仕事したいよ。
いつも通りに朝一の幸せ感じたいよ。
シバの、一番大切な人からのメール読みたいよ…
あんたは当たり前のように奥さんに弁当作ってもらって、当たり前に家を出たんでしょ?
シバはそれが出来ないからメールなんだよ〜…
理彩ちゃんとの、この距離が憎いよ。


…どんだけ一途なんだ、シバって。

⏰:12/04/09 00:30 📱:F02B 🆔:Nem9Ng3I


#825 [シバ]
やっと1人になれた(>_<)
更新します!

距離…
この時は、この言葉のせいにしていた自分がいたのかもしれない。
自分だって、毎日一緒にいたかったのだから。


仕事中、まったくといっていい程、上の空。
気持ちの切り替えが下手くそなのは、今現在も変わらない。
リアルタイムなことを少し書かせて頂くと、人を信じることが怖いです。
シバは信じる気持ちが、人より強いみたい。
その結果、嘘、嘘、嘘…

…が、今のシバに与えられた試練みたい。どうして自分が?
早く今のシバをここに記したい。

けど、思い出を先に書き綴りたい…

⏰:12/06/07 05:38 📱:F02B 🆔:rBj10EoI


#826 [シバ]
昼休みになり、相変わらず鳴らないケータイとにらめっこ。
この時間まで、どれだけ長かったことか。

弁当の半分以上を食べきれず、昼寝の体勢を取って、ただ時間が過ぎるのを待つことに。
今思えば、自分からメールしてもよかったんじゃない?って地味に後悔してるかなぁ?
…まぁ、どっちにしても結果は同じだったけど。


昼休憩が終わっても、理彩ちゃんからのメールはなかった。




…が、次の休憩時間にピンク色に光るイルミネーションが見えた。

⏰:12/06/07 05:45 📱:F02B 🆔:rBj10EoI


#827 [シバ]
それは、シバのテンションが0からMAXになる瞬間だった。

『遅くなってごめんね。おはよう…な時間でもないね(笑)』

(本当は理彩ちゃん独特の可愛い絵文字や顔文字が使われています)


うわー!うわー!


浮かれてしまい、返信の為、う○こだと言いトイレへ駆け込んだ。


『まぁ、一応おはようだね(笑)返信ないから心配だったよ』

だけ送り、しばらく待つことに。

ニヤニヤが止まらない自分がいて、次の返信でニヤニヤを知らない自分になる。

⏰:12/06/07 05:52 📱:F02B 🆔:rBj10EoI


#828 [シバ]
『今ね、ゆかと一緒にいるんだ…』



ゆーちゃん?
2人は親友なんだから、ごく普通のメールなんだと捉える…ハズだった。


なんでゆーちゃんを優先して、シバにはメール1つ寄越さないんだ?
っていう考えの後、すぐに嫌な予感は的中した。

理彩ちゃんからのメールは続いていた。

『今ね、ゆかと一緒にいるんだ…話し込んでたらメール出来なかった…ごめん。(この辺あまり覚えてないけど、何か食べたとか面白かったとか無茶ぶりな会話を入れてた)…ってか、話ある』

また唐突な内容のメールだ。
けど、最後の一文は、いつか絶対言われる言葉だったと、何となくだけど分かってたよ。

⏰:12/06/07 06:02 📱:F02B 🆔:rBj10EoI


#829 [シバ]
何か食べたとか面白かったとか、無茶ぶりなメールは敢えて無視して、

『話って何?』

だけしか送れなかった。
理彩ちゃんも辛かっただろうに、少しも気を遣ってやれない、大人になれないシバに腹が立つ。

返信は早かった。

『りぃとシバ、付き合ってるじゃん?けど、付き合うって何?これから先、何か変わっていくの?』

変わっていくの?って…
何を期待してたの?
2人で築いていくんじゃないの?


そのままの言葉を返信。

⏰:12/06/07 06:08 📱:F02B 🆔:rBj10EoI


#830 [シバ]
『りぃはシバ、好きだよ。でも、ゆかも好き。周りの友達も、みんな好き。やっぱり「恋人」っていう固定はりぃには難しい。ゆかは親友だよ?りぃはシバもゆかも、どっちも大事なんだ。こんな考えって可笑しい?』


愕然とした。
言い方はかなり悪いけど、いつかはゆーちゃんという存在が邪魔をする事を、最初から知っていた。
だから驚く程の感情はなくてもよかったけど、遠まわしでも、いざ「別れ」という言葉を突きつけられると、ショックはデカい。

シバは理彩ちゃんが好き、ゆーちゃんも好き。
理彩ちゃんはシバもゆーちゃんも好き。

そうなったら、誰が誰を取るとか、ズルい感情はいらない。

でも、シバは本当に幼かった。

『シバはりぃが好き!りぃを取る!』

⏰:12/06/07 06:17 📱:F02B 🆔:rBj10EoI


#831 [我輩は匿名である]
>>300-500
>>501-700
>>701-900

⏰:12/06/09 19:17 📱:P02A 🆔:t/6q1ssQ


#832 [我輩は匿名である]
更新お願いします(>_<)

⏰:13/06/18 22:19 📱:iPhone 🆔:scV91eWo


#833 [シバ]
1年も経ってしまいました。

以前ネタバレとして書かせて頂きました通り、今一緒にいる女のせいで人生めちゃくちゃ&この『禁断って何?』の存在を知ってたのか、仕事以外ではケータイを取り上げられてまして、からの最悪な詐欺に合いました。
スマホに買い替えることも出来ない状況を作られてしまった。


これから這い上がりたい!
最近は同じ屋根の下にいても別居状態になれたので、これからは更新し放題です!

長くなってしまったけど、出来る限り更新して完結させます。
そして、自分の過去にけじめと整理をつける為にも、書かせてください!

更新していきます!

⏰:13/06/22 10:56 📱:F02B 🆔:gy2YmbyQ


#834 [シバ]
>>830

理彩ちゃんからの返事が止まってしまった。
終わるなんて考えたくない。
会い会いに行ったら、何か変わるかもしれない!
先のことを考えてみても、最終的には理彩ちゃんを失いたくない結論に至る。
この時は、何があっても失うなんてことはないだろうって思ってたんだ。

恋愛はやっぱりフィーリング!
メールや電話じゃなくて、一度会うだけで人の心は変わる。
ドラマみたいな恋愛を信じてる自分はまさにメルヘン。
しかし、こんな状況では、ドラマを信じるしかない!


その後も理彩ちゃんとのギスギスした関係は続いた。

シバは理彩ちゃんに会いに行く突撃訪問計画を勝手に立てた。

⏰:13/06/22 11:52 📱:F02B 🆔:gy2YmbyQ


#835 [シバ]
理彩ちゃんに、今この状況で会いたいなんて言おうもんなら、絶対に拒絶される。
だったら、突撃するしかない。
それが当時のシバの最終手段。子供だなって思うよ。
ドラマを信じた結果なのか、最悪の結末を迎えることになる。

メルヘンもクソもない、アンハッピーエンド。






ギスギス言われても、いつも通り理彩ちゃんとメールしてた。
もうすぐ会いに行くんだから、変に刺激しないようにって感じのやり取りをしながらも、シバは駅のホームにいた。
途中、田舎道を走ってるせいか電波が悪くてメールを送れない場面もあった。
やましいことをしてるのかよく分からなかったけど、緊張の嵐で変にメールを送らなきゃ!っていう義務?みたいなのが頭にあったみたいで、電波障害でめちゃくちゃ焦ってしまった。

それでも、電車の景色はいつも優しかった。
理彩ちゃんに会いに行く時にいつも見てた光景。
状況がどうであれ、ホッとするものがあったのだ。
涙は出ない。
窓に頭を押し付けて、ただ呆然と見つめてた。

理彩ちゃんは、シバのこの行動を知ったら怒るだろうな。
はたまた、少しでも喜びを見せてくれるかもしれない。
シバが愛したバスケットボールと似た状況。

結果がすべて!

シバは結果をこの目で見ないと納得もクソもいかないだろう。

⏰:13/06/22 18:00 📱:F02B 🆔:gy2YmbyQ


#836 [シバ]
理彩ちゃんの住む街へ到着したのは夜の9時を回っていた。
泊まる場所とか着替えとか、なんにもなかった。
ってか、財布とケータイだけをポケットにぶち込んできただけ。

遊びに行く訳じゃないんだから、余計なものは何もいらない。

理彩ちゃんの気持ちを動かしたい!
その一心だけでここまで来た。
でも、ダメなら納得のいく答えが欲しい。
また昔みたいにゆーちゃん、理彩ちゃん、シバの3人で一緒に何かする!っていうのがなくなるとしても…


理彩ちゃんの家は、小さな陸橋が目印。
そこを抜けると、静かな住宅地に出て、大学があって公園がある。
そこの狭い変な道が2つに別れてて、右に行くとまったく知らない場所に出ちゃうから必ず左を行く。

すると、アパートが3つ並んでるから、一番奥の2階。


いつも軽い足取りでここまで来てたのに、今日は拳に力が入り、手汗がヤバい。
好きな人が住んでる場所は、いつだって特別だ。
特別の中に、今日は悪魔が潜んでいる。

何かを考え出すと足が竦んでしまう。
だから、ここまで来たらどうにでもなれ精神がないと、きっと切り抜けられない。

さっさと階段を上がって呼び鈴を鳴らした。

⏰:13/06/22 18:15 📱:F02B 🆔:gy2YmbyQ


#837 [シバ]
ピンポーン!

…しーん



え、いないの?
あと2回ほど鳴らしたけど、物音すら聞こえてこない。
シバだけど、いないの?

今度は声に出して呼んでみたけど、返事も足音も聞こえない。

呆然としちゃって、理彩宅のドアに寄りかかった。
なんで。
ってか、タイミングすら合わないんだ…シバとりぃって。

折れつつある心をなんとか立ち直らせようと、しばらくすれば帰ってくる精神で待つことに決めた。

階段から見える景色は、住宅ばかり。
そこに自分の知らない人間が、チャリに乗ってどこかに向かってるだとか、変わった色の車が通るだとか、どうでもいいことまで視界に入ってくる。
無意識のつもりだけど、ぼんやりと脳は働いていたみたい。

りぃは毎日、こんな光景を見て生活してるんだな。
いや、この土地の住人だから、そんなの当たり前の光景なんだろう。
ただの『他人』って感じで、無意識のうちにすれ違ったりしてるんだろう。
りぃは明るい子だから、挨拶とかしてるんかな?

究極の場(自分の中で追い詰められたけど、でもまだ分からないっていう中途半端などん底)になると、焦ってる割には適度に冷静な自分がいる。

寄りかかってるけど、立ちっぱなしのせいか、ふくらはぎ辺りがピリピリとダルくなってきた。
とりあえず、変質者と思われないように気をつけながらその場にしゃがみこんだ。

⏰:13/06/26 23:27 📱:F02B 🆔:NXEAkN/s


#838 [シバ]
1時間は経ったかな?
帰ってくる気配がまったくない。

すると、メールが入ってきた。

『シバっぽい子見たんだけど(笑)』


りぃの同級生からのメール。
今までの更新で省いてきたけど、りぃと出会ってからはりぃの友達とも仲良くなったので、一応連絡先を交換してました。
シバとりぃの関係を知ってる人と知らない人、様々だけど、今回メールをくれた人は、知ってる人。
ちなみに、ゆーちゃんとも仲良しである。


(理彩ちゃん?りぃ?話の中で呼び方が変わっちゃうことがありますが、同一なんでよろしくお願いします)


理彩ちゃんが住んでるアパートと真逆の方向に住んでる明子先輩からだった。
仲良くなってから『あっちゃん』って呼ぶようになったので、親しみはある。
ちなみに、あっちゃんのことを『あっちゃん』って呼び出してからは、理彩ちゃんはヤキモチのオンパレードだった。

「必要以上に仲良くはしないでね。りぃのシバなんだから」

そんなことを、りぃが裏であっちゃんに伝えてた事実を知った時は、なんとも言えない優越感に浸ったものだ。
そこまでシバのことを好きでいてくれてるんだな!

そんなことが多々あったものだから、理彩ちゃんとはこれから先もずっと恋人同士でいれる!

そんな自信がいい意味でも悪い意味でも、無駄にシバを勇気付けてくれていた。

⏰:13/06/26 23:40 📱:F02B 🆔:NXEAkN/s


#839 [シバ]
そんなあっちゃんからのメールは、意味深なものだった。
何かを探ってる?

でも、どっちにしろ理彩ちゃんのことを聞けるかもしれないし、好都合かもしれない。

『どこで?笑』

とだけ送って、また立ち上がってドアに寄りかかる。
すぐに返事がきた。

『公園の近く!りぃの家の近くだからもしかしたらって思って』

あっちゃんも理彩ちゃんのことをりぃと呼ぶ。
理彩ちゃんの友達で、りぃって呼ばない人はそうそういない。たぶん、りぃとあんまり仲良しでない人たちは理彩ちゃんって呼んでたはず。


いつ?何時くらい?
とかしつこく送るまでもなく、見られていたのなら正直に話すしかない…ってことで、あっちゃんの番号を選んで発信ボタンを押した。

『あっちゃん?シバです』

『はいよ。で、どうした?』

『どうしたじゃなくて(笑)シバ、今りぃの家の前にいるんだけど』

『え?なんで?りぃ何も言ってなかったよ』

相当びっくりした感じの反応だった。
そりゃそうだ。
だって約束のない突発的なシバの行動なんだから。

⏰:13/06/26 23:51 📱:F02B 🆔:NXEAkN/s


#840 [シバ]
『あはは。だって、りぃは知らないんだもん。シバの勝手な突撃訪問なんだ』

笑って話したけど、それを聞いたあっちゃんは黙り込んで、しばらく考えていた。

そこから、運命って言葉はこの世には存在しません!って叫びたくなるほどの事実を突きつけられる。

『いやね、なんていうか…りぃ、さっき地元に帰るって言って電車の時間調べてたんだよね』

『え?』

『髪切りたいとか久々に実家帰りたいとか、ちょっと前から言ってたから。んで、さっきってか、昼過ぎね。あたし、りぃとご飯食べに行ってて、準備しないと何とかかんとかってバタバタしてたんだよね。あたしの考えが間違ってなければ、たぶん帰っちゃったと思う』


絶句…ってなったらあっちゃんを困らせてしまうから、何とか陽気に喋るよう努めてみた。

『あ、そうなんだ。まいったね、これ(笑)じゃあ、シバと入れ違いだぁ』

『うーん…りぃはシバに何も言わなかったの?』

『うん。さっきまでメールしてたけど、返ってこないし』

『どうすんの?』

どうしようもない。

『帰るしかないよね(笑)』

あっちゃんはまた何か考え込んで、冷静に答えてくれた。

『とりあえず、うちに来る?』

⏰:13/06/27 00:07 📱:F02B 🆔:S22wC6RA


#841 [シバ]
歳の差はたったの2個なのに、どうしてこんなに大人に見えてしまうのだろうか。

『いや、それは迷惑だからやめとく』

『別に迷惑じゃねーし(笑)だって夜通しそこにいても、行き先変わってきちゃうよ』

ハテナ?って感じでシバが答えに困ると、

『お巡りさん家行きってこと!シバはよく知らない土地なんだから、ここは。変にウロウロさせたくないし、来ちゃったもんは仕方ないじゃん』

目頭が熱くなる。
どうしてそんなに優しいの、あなたは…
プラス、理彩ちゃんの帰省話を聞いたせいっていうのもあるけど、それからの優しさだから、自分みっともないし惨めだしで涙を誘われる。

『うん…ありがとう。行きます、あっちゃん邸』

『あっちゃん邸って名前はありがたいけど、普通のアパートだから(笑)期待しないでよ。ちなみに、うち分かる?』

『分かんない』

『んー、じゃあさ。大学の前にセブンイレブンあるでしょ。そこは分かる?』

『分かる』

『今からそこに向かってくれたら、ちょうどいい感じで合流出来ると思うから!うちとりぃん家の中間がちょうどそのセブンイレブンだから。歩かせちゃうけど、よろしく』

『分かった』

シバはイエスかノーしか答えてないのに、会話を進めるあっちゃんの優しさと行動力は凄い。
シバは理彩ちゃんの家をしばらく見つめてから、階段を降りた。

⏰:13/06/27 00:22 📱:F02B 🆔:S22wC6RA


#842 [我輩は匿名である]
失礼
>>500

⏰:13/06/28 07:22 📱:P02B 🆔:q2PtCNG.


#843 [我輩は匿名である]
>>600

⏰:13/06/28 07:24 📱:P02B 🆔:q2PtCNG.


#844 [シバ]
安価ありがとうございます(*^_^*)


肩を落としかけたけど、あっちゃんに会える。
なんだかんだで久しぶりだった。
理彩ちゃんのことをグチグチ言うつもりはないし、言ったところで理彩ちゃんに罪はない。
とりあえず、あっちゃんに会いたい…







「シバ!」

車と街灯の光の中、あっちゃんは現れた。
このあっちゃんの笑顔というのが、憎らしいほど可愛い。
口角がキュッと上がって、頬にえくぼができる。
長い髪をいつも上げて、うなじをくっきりと見せる。首が細くて長めなのだ。
あっちゃんが座って、俯きながらこちらを見上げて笑うたびに、シバは目を逸らさないととてもじゃないけど、あっちゃんの笑顔に…あっちゃんに引き込まれそうになるのだ。
そこに恋愛感情なんてないんだけど、照れるもんは照れる。

ちなみにあっちゃんの身長は168センチ。
例えるなら、『ギャルあがりの和風美人』…これが一番似合うだろう。
ちなみに理彩ちゃんとあっちゃんは軽い幼なじみ。中学が一緒で、就職先の土地がたまたま一緒っていう、運命的な友情が成り立っていた。

「あっちゃん!久しぶり!」

「久しぶりー♪元気そうだけど、超元気そうでもないねアンタ(笑)せっかくセブン来たんだから何か買ってこうか」

⏰:13/07/04 22:06 📱:F02B 🆔:8cCmD54.


#845 [シバ]
シバです。
人生グチャグチャになりました(笑)
それまでの経緯を書いていきますが、ちょっといろいろ問題だらけでして度々止まると思います…
勝手に完結まで突っ走らせて頂きます。
完結させる…よし!
同性に恋をされてる方へのメッセージを…
途中でリィの年齢差が2つになってるっていう打ち間違いがあるのですが、正しくは1つです。
修正申し訳ありません。


(続き)
あっちゃんと店内に入るなり、じゃがりこを2つ持って走ってきたあっちゃん。

「サラダとチーズ。あたし、じゃがりこメチャクチャ大好き。あたしの血液はじゃがりこで出来てるって言っても過言じゃない」

また笑う。
リィみたいに無邪気に笑う人もいれば、ゆっくりと口角をあげて綺麗に笑うあっちゃんもいる。
シバのこのどうでもいい顔が作り出す笑顔は、どちらに属しているんだろうと考える。
答えが分からないまま、あっちゃんは買い物魂に火がついたのかカゴにじゃがりこを入れ、ササッと歩き出す。

「シバー、飲み物選びな。今日はお姉さんが奢ってあげる」

あっちゃんの横顔をガン見した。
ゆーちゃんに、リィ、そしてあっちゃん。
シバの周りには美人さんが勢揃いだな。
シバがその輪に入ると完璧に浮いてる(悲しいけど)。

⏰:14/03/26 00:51 📱:F02B 🆔:51ePH.6s


#846 [シバ]
シバの視線を無視して、中腰のまま飲み物を手に取るあっちゃん。
100%果汁のオレンジジュース。

「シバは?…ってか、さっきから何ボーっとしてんのよ(笑)ほら、どれがいい?」

「炭酸かなぁ…ってか、奢ってもらうのは悪いから自分のは自分で買うよ」

あっちゃんは一瞬、何か言いたげな顔をして動きが止まった。

「まどろっこしい(笑)適当にバサバサ入れてくから、好きなの取って飲んでよ。お菓子持っておいで…って言ってもシバは同じこと言うだろうから、これも適当にバンバン入れてくからね」

圧倒された。
なんて大人なんだ、この姉さんは。
調子出てきたのか、アルコールまでカゴに入れやがった。

何食わぬ顔してレジに並ぶ、あっちゃんの横に行く。

「買い過ぎじゃない?大丈夫?」

年下なりに気を遣ったつもりだった。
あっちゃんはニコリと笑顔を見せると、前を向いた。
コンビニ高いよー…
軽く3000円いっちゃって余計テンパるシバ。
あっちゃんは鼻歌でも歌いそうな涼しい顔して会計を済ませていた。
店員さんへの「ありがとうございます」っていう言葉もしっかりと伝え、シバの背中を押して外に出た。

⏰:14/03/26 01:04 📱:F02B 🆔:51ePH.6s


#847 [シバ]
セブンイレブンからあっちゃん邸まで、そう遠くはなかった。
初めてきたあっちゃん邸。
リィの家とは違って、ちょっと男っぽい部屋だなっていう印象が残った。
キチッと整理はされてるんだけど、色合いとかが。
リィがピンクだの可愛い系を好むのに対して、あっちゃんは青とかのクール系。

「適当に座ってねー。あ、テレビつけて。あたし洗濯物干してきちゃうから」

「バタバタさせてごめんね」

「何言ってんの(笑)真面目過ぎると可愛くないぞ!お菓子とか適当に準備してて」

そう言うと、あっちゃんはベランダへと足を進めた。
シバもやっと落ち着いた感じがして、だらんと足を伸ばして座った。
窓の向こうで、ハンガーをカチャカチャ言わせる音がする。
テレビをつけるけど、変な疲れで眠さがあるのか瞼の奥が変にジンジンと痛んだ。
音だけ聞いて、テレビ画面からは目を離す。

5分後くらいに、あっちゃんは戻ってきた。

「準備しとけっつったのに、貴様…(笑)」

すっかり忘れてた。
目の奥が痛いとかって言って、買い物袋を放置してた。

「うわ、ごめんごめん」

買い物袋をサッと持ち上げたのはあっちゃん。
言葉の通り、本当に適当にいろんな物をズラズラとテーブルに並べて、じゃがりこを開封する。

⏰:14/03/26 01:21 📱:F02B 🆔:51ePH.6s


#848 [シバ]
カリッカリポリッポリ言わせながら、あっちゃんはじゃがりこを食べている。
「シバも食べていいからね。遠慮したらベランダで寝てもらうから」

「え…?」

「ん?食べろっつってんの」

あっちゃんのギャップだ。
綺麗なお姉さんがあぐらかいて、シバにじゃがりこを進めてくる姿はオッサン混じりで笑えてくる。
シバが反応した部分を、あっちゃんはちゃんと分かっていた。

「今日は泊まっていきな。あんた、かなり疲れた顔してる」

「…ありがとう」

「キツくなったら言いなよ。いつでも寝れる準備はしてるから。あたしのベッドしかないけど、嫌じゃないなら隣であたしも寝るし」

早速アルコールを口にするあっちゃん。
シバも酎ハイに手を伸ばす。

「お、シバってアルコールいける子だっけ?あれ?あんた二十歳超えてるよね?」

「とっくに超えてます(笑)いただきます」

喉が渇いてたから、ジュース感覚でグイッと半分以上を飲み干した。

「おー、酎ハイはジュースってか?シバって酒強い方?」

「いや、メチャクチャ弱い」

あっちゃんは一瞬ショートしたかのように、シバに問いかける。

⏰:14/03/26 01:34 📱:F02B 🆔:51ePH.6s


#849 [シバ]
「ちょっと待て!あんた、ご飯食べたの?」

シバは体育座りをして、あっちゃんの言葉を聞いていた。

「あー、バタバタしてこっち来たから何も食べてないよ」

あっちゃんは微妙な半笑いみたいな表情を浮かべて、その場に立ち上がる。

「早く言え(笑)酒弱いのに胃の中カラッポで酒飲んだら胃が荒れちゃうよバカ!ちょっとアルコールストップ!ストップ!アルコール!」

とかなんだか言いながら、すぐにキッチンへと向かった。
あー、本当にシバって酒弱いんだなー…熱いわー…とか考えながら、体が変な汗かいてることに気付いた。
疲れ、寝不足、空腹の三拍子が揃った中での酒一気飲みはダメっすねー。
熱いんだけど寒い。
これがまたたちの悪いアルコールパワー。
まただらんと足伸ばしてボーっとしてると、ジュージューと音がする中、なんかいい匂いがしてくる。

「おい、シバ!起きてるー?」

あっちゃんの声だ。
ちょっと大きめの声だった。

「起きてるよ〜」

「焼きそば作ってるから、食べなよ。食べるまで絶対寝かせないから(笑)。ってか、美味しそうだからあたしも食べよう♪」

とか何とか聞こえてきて数分後、2つの皿を持ったあっちゃんが登場した。

「ほれ、キャベツたっぷり焼きそば!とりあえず今すぐよく噛んで食べな」

⏰:14/03/26 01:49 📱:F02B 🆔:51ePH.6s


#850 [シバ]
あっちゃんと2人きりになったのはこれが初めてだ。
リィとあっちゃんとシバの3人の時は、あっちゃんはリィに対して今みたいな接し方をする。
3人となると、シバに対してはやんわりとした関係というか、遠慮がちというか、そんな接し方をしていた。
悪く言うと、本当に『他人』に対する感じ?

こうして2人きりになってみると、あっちゃんっていう人間のことがよく分かって面白い。
まぁ、事情が事情だけに『あっちゃんと仲良くなれた〜』なんて浮かれてる場合じゃないけど。

あっちゃん特製の焼きそばは大変美味でした。
キャベツがシャキシャキで、丁寧に豚肉ともやしとにんじんも入ってた。
あっちゃんも美味しそうに食べていた。

「シバに作ったつもりだったのにさ、匂い嗅いでたら食べたくなって具材と麺足しちゃった(笑)。ほら、この時間の麺類って特に美味しいし」

とか言って、2人でモリモリ食べた。
ヤバい、また食べたいってことを伝えると、

「嬉しいこと言ってくれるじゃない(笑)。こんなのでいいならいつでも作ってあげるわ」

って言葉をいただきました。
そして、アルコールの力恐るべし。
酔っ払いはしないものの、めったに飲まないってだけあって、体中が赤くなってフラフラだった。

「ダメだー、ちょっと横になっていいかな?」

足震えてて涙目。なんとまぁ、みっともない。
あっちゃんに散々迷惑かけたのに、そのあっちゃんの手を借りて立ち上がろうとするも力が入らず断念。

⏰:14/03/26 02:07 📱:F02B 🆔:51ePH.6s


#851 [シバ]
「ちょっと待ってて」

急に優しい声で話しかけた後、あっちゃんは立ち上がってどこかへ行ってしまう。
シバは土下座する体勢でペタンと床に引っ付いた。
心臓の音が早くて自分でもビックリしてしまう。

土下座の体勢のままで会話が始まる。

「何その体勢(笑)。どんだけ酒弱いの。おいで、膝枕してあげる」

「…なんですと?」

「え?背中さすってあげるから。布団持ってきたし、ちょっと休みな」

「いや〜、そりゃちょっとマズいんじゃないか」

「何で照れてんのよ(笑)。可愛いとこあるね、意外にも(笑)。そのままが楽ならそれでいいけど、土下座と膝枕どっちがいい?」

年上の綺麗なお姉さんってズルいですね。
不覚にもキュンとしてしまいました。

「…膝枕」

土下座のシバをズリズリ引っ張って、あっちゃんの膝にシバの頭をコテンと置いてくれた。

「よくできました…よいしょ。疲れてるんだよ。リィに話したいことあるだろうけど、今は自分のことだけ考えればいいの。あんたが落ち着いたら話聞くから」

そう言って背中スリスリしてくれる。
メチャクチャ落ち着きました。
あっちゃんの太ももは細かった。だから痛いんじゃないかと心配すると、今は自分のことだけ考えろって怒られました。

⏰:14/03/26 02:24 📱:F02B 🆔:51ePH.6s


#852 [シバ]
横になったシバに、あっちゃんは布団をかけてくれた。
しばらくは胃の中でアルコールがドタバタ暴れてて気持ち悪かった。
焼きそばのお陰で、心なしか楽ではあったけど頭ぐわんぐわんするし、心拍数早いし(あっちゃんの膝枕のせいもあるかも)、気持ち悪いし…
うぇ〜とかオェ〜とかバカな声出してると、あっちゃんは背中をポンポン叩き始めた。
赤ちゃんを寝かしつけるようなリズムの、あの叩き方。
あっちゃんと2人きりの空間で多少緊張してたシバだけど、あっちゃんマジックは凄かった。
リラックス感ハンパなくて、頭撫でられるとここから記憶が飛ぶまで時間はかからなかった。



パッと目が醒めると、あっちゃんの太ももの上だった。

「あれ、もう起きた?」
あっちゃんをボンヤリと見上げる。
「あんた、猫みたい。丸くなってスースー寝るんだもん(笑)」

おでこがヒンヤリした。
どこからか持ってきた冷えピタが貼られていることに気付く。
「いっぱい汗かいてたから、勝手に貼っちゃった。大丈夫?」

スッキリ感はないけど、1時間は寝てたのか起き上がれる気力は余裕であった。

「汚い汗かきまくってごめんよ、明子先輩」

「寝起き早々で申し訳ないけど、今更明子先輩とかキモいからやめれ(笑)。普通にあっちゃんか明子って呼べ」

⏰:14/03/27 00:44 📱:F02B 🆔:V1O6Amk6


#853 [シバ]
あっちゃんは笑いながら、濡れたタオルをテーブルにポイッと置いた。
どうやら、冷えピタだけじゃ間に合わないくらいシバの体が熱を持っていたらしく、わざわざタオルを濡らして汗を拭いてくれてたらしい。
行き当たりばったりでここまで来て、無計画が無計画を呼んで一匹狼になったシバに救いの手を伸べ、かつ酔っ払いの介護までしてくれたことに酷く自分の行動を反省した。

「ありがとね、なんか色々…」

そう言って起き上がると、あっちゃんは足をピーンと伸ばした。

「いえいえ。アイタタタタ…痺れたわ。よく考えたら久しぶりに正座したかも(笑)。まぁ、お目覚めってことでこれでも飲めや。酔いも醒めるかもよ」

そう言って烏龍茶を渡してくれた。
喉が渇いてたからゴクゴク飲んだ。

「こんだけの量しか飲んでないのに、こんなにフラフラになるって情けないね」

あっちゃんにそう話した。

「別に飲めなくてもいいじゃん?むしろ、酎ハイで酔える方が飲み会とかで変に飲まされないから楽だと思うけど」

「そうかな?結構、上司とかには笑われちゃうんだよね(笑)」

「シバみたいに体中が赤くなっちゃうのってさ、体に合わないってことだと思うし、あんまり飲まない方がいいかもね」

大先輩の経験談みたいに語るあっちゃんは、涼しい顔して焼酎をお湯で割って飲んでいた。

⏰:14/03/27 01:00 📱:F02B 🆔:V1O6Amk6


#854 [シバ]
そして、立ち上がって窓を開け、タバコをくわえて戻ってきた。

「あれ?あっちゃんってタバコ吸うっけ?!」

この時の純粋なシバは『煙草』というモノに対して、ヤンキーとかおっさんとか、飲み屋の姉ちゃんとか、そういう人達が嗜むモノだと思ってたから、あっちゃんがタバコに火を点けるのをガン見しながら素朴な疑問を投げかけた。
後にタバコには世話になるワケだけど…

「あたし?吸うよ(笑)。何で?」

「いや〜、意外だな〜と…」

透明の灰皿をテーブルに置きながら、あっちゃんはまたあぐらをかいて床に座る。

「シバの周りの子が吸わないからでしょ?リィも由香も吸わないもんね」

煙を吐きながら、淡々と語るあっちゃん。
あれはマイルドセブン(現・メビウス)の8ミリだったはず!
(そして前にも書いたけど、あっちゃんは姉・ゆーちゃんとも仲良しです)

灰皿に灰を落とすなり、あっちゃんは別のお菓子を開封してシバとあっちゃんの真ん中に置いた。

「もう目は醒めた?あー、赤み引いたじゃん(笑)」

シバの顔を覗きこむなり、また笑う。
ねぇねぇ、どうしたらそんな風に綺麗に笑えるの?っていうくだらない質問を言いかけてやめた。

⏰:14/03/27 01:15 📱:F02B 🆔:V1O6Amk6


#855 [シバ]
タバコをグシグシと揉み消して、あっちゃんはお湯割りを飲む。グラスを持つその手は、リィと違って細くて長い指だった。

「で…本題に入ろうか。これからどうするよ?」

突発的な質問だった。
そうだ!そうなんですよ!
それを解決させるためにこっちに来たんだから!

「リィからちょっとは聞いてたんだけどさ。第三者のあたしが入り込んで解決できることじゃないから、とりあえず見守ってたけど…」

シバは烏龍茶を飲み干していた。
それに気付いたあっちゃんは、もうこれしかないって言って三ツ矢サイダーをくれた。
お礼を伝え、意を決して口を開く。

「電話もメールも、態度がどんどん変わってるなーっていうのは気付いてた。別れを考えたけど、シバはリィのこと好きだから手放したくないって思っちゃって、あえてそこは突っ込まず様子見てた」

「うんうん…」

あっちゃんは2本目のタバコに火を点ける。

「ゆーちゃんはシバの大事な姉。リィはシバの大事な彼女。でも、そんな2人が親友だって考えると、もうどうしていいか分からなくなって…それでもシバはゆーちゃんじゃなくて、リィを選んだ。失いたくないのはリィだ!って決めつけて…だから今日、ハッキリさせるためにここに来たんだけど…」

⏰:14/03/27 01:34 📱:F02B 🆔:V1O6Amk6


#856 [シバ]
「その肝心なリィがいなかったってワケね」

「そう」

頷くことしかできなかった。伝えたいことなんて山ほどあったのに。
あっちゃんにはノロケ話さえしたことがなかったから、いつかリィとのおのろけを聞いてもらう日がくると思ってたけど、順番が逆だった。
今更、順番もクソもないんだけども…

あっちゃんはテレビをつけた。
シバが寝てる時に消してくれてたみたい。ケータイでも弄ってたのだろう。
トーク番組っぽい感じのものが流れてた気がする。


「シバって優しすぎるって言われない?」

あっちゃんからの突発的な言葉だった。
リィもそうだけど、いきなり話がぶっ飛んだり、看板破り!とでも言わんばかりの勢いでドカンと質問を投下してくる。

「言われないこともないけど、何で?」

「シバって真面目な子なんだろうなーって思う。リィも言ってたけど」

リィにそう思われてたのか。
サボってた神経が一気に目覚めた感じで、あっちゃんの言葉たちに敏感になる。

⏰:14/03/29 02:10 📱:F02B 🆔:7LT/iRcA


#857 [(^_^)]
あげます!

⏰:14/06/22 11:10 📱:iPhone 🆔:Z/1Yfu.s


#858 [我輩は匿名である]
あげ!

⏰:15/02/01 19:01 📱:iPhone 🆔:S.ktijkQ


#859 [我輩は匿名である]
あげ!

⏰:17/05/09 06:23 📱:iPhone 🆔:IVlmOuZQ


#860 [我輩は匿名である]
あげます!

⏰:20/09/18 11:23 📱:iPhone 🆔:W3agUnD2


#861 [ん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑

⏰:22/10/29 09:51 📱:Android 🆔:ww1G8DfI


#862 [我輩は匿名である]
あげます!!

⏰:24/02/03 10:37 📱:iPhone 🆔:aEkM9La.


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