禁断って何?
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#301 [シバ]
『アイリだけの物でいてほしい』
『シバさんには分かんない!アイリがどれだけヤキモチ妬いてるのか』
…あの時、シバにはその意味が分からなかった。何言ってんだコイツ…くらいに考えてたから、本当にどうでも良かった。
:10/04/10 15:42 :F902iS :1zlk7pX.
#302 [シバ]
『だからシバさんには分かんないんですって…アイリ側の立場を経験してないから』
確かにその通りだった。
でもねアイリ…
こんな馬鹿なシバでも、やっと意味が理解できたよ。
あの時分かってやれなくて本当にゴメンね…
アイリ…シバだけの物でいてほしい…
:10/04/10 15:47 :F902iS :1zlk7pX.
#303 [シバ]
シバの中で答えが出た。
真希はそれを察したかのように優しく笑っていた。
しばらく2人ともボンヤリしていると、昼休み終了のチャイムが鳴った。空き教室のドアを開け廊下に出る時に、真希は後ろからシバの腰をポンっと軽く叩いた。
「頑張れ」と言ってくれてるんだろう。
:10/04/11 23:53 :F902iS :TgK0/xd.
#304 [シバ]
夕方になり、部活の時間になった。
アイリの事を考えて、どんな場面でも上の空状態だったシバ…
だけど、この日の部活は違った。
バスケット以外の事を考える事なく、練習に集中していた。
昼休みに真希と話せた事によって、心の中でモヤモヤしていた物がすっ飛んでいった気がした。
:10/04/12 00:07 :F902iS :dB7zQ7P.
#305 [シバ]
部活終了…
シバは、高いのか低いのか良く分からないテンションのまま体育館を出た。
体が緊張してる…
胸がドキドキしてる…
呼吸が浅くなっているのは自分でも分かった。
だから何度も深呼吸を繰り返したけど、落ち着く事はできなかった。
:10/04/12 00:12 :F902iS :dB7zQ7P.
#306 [シバ]
シバは鞄の中から大きな小銭入れ(アンパンマンのやつ)を取り出した。
異様にボコッと膨らんでいる…
この日の為に貯めてきた10円玉達だ。
シバは決心した。
この気持ちをアイリに伝えよう…
タイミング的に今でいいのか…?とか色々考えた。
:10/04/12 00:17 :F902iS :dB7zQ7P.
#307 [シバ]
この気持ち…というか、この勇気みたいな物が萎んでしまう前に、シバはアイリに気持ちを伝えたかった。
いつまでもオロオロソワソワしてた所で、実際は何も変わらないのだから…
この最高潮に達しそうな緊張感を無駄にはできない。
これを打開して、アイリに気持ちを伝えに行こう…
:10/04/12 00:22 :F902iS :dB7zQ7P.
#308 [シバ]
着替えて靴を履く。
真希に「行ってきます」と一言言おうと思ったけど止めた。
真希にいい報告ができればいいなぁ…
とか思っていると、少し離れた場所にいる真希は昼休みに見せた笑顔をシバに向けてくれた。
無言の中に真希の優しさと、真希からのエールみたいな物を感じる事ができた。
:10/04/12 00:29 :F902iS :dB7zQ7P.
#309 [シバ]
真希のおかげで力んでいた体が軽くなった。
こういう時に分かる真希の優しさ…
あー、自分って真希に助けられてばっかだなぁ…とか考えながら公衆電話へと向かった。
いつもなら少し遠くに感じる距離…
今日はまったくその逆…
心に余裕がなかったのだろう。
あっという間に着いてしまった。
:10/04/12 00:35 :F902iS :dB7zQ7P.
#310 [シバ]
小銭入れ(アンパンマン)を取り出した。
その中にはアイリの携帯番号を控えた紙が入ってる。
だけど、電話をしているうちに暗記していた為、この紙はもう必要ないな…って思って取り出さなかった。
とりあえず10円玉を10枚ほど取り出し、手に乗せた。
深呼吸を数回行ってから、10円玉をグッと握りしめた。
:10/04/12 00:42 :F902iS :dB7zQ7P.
#311 [マユタン]
続き気になるょ〜また書いて下さい
:10/04/18 11:18 :F02A :J0YEiBmw
#312 [シバ]
>>311マユタンさん
ありがとうございます
なかなか更新できず、すみません
今から更新しますね!
:10/04/18 19:00 :F902iS :22c57y5w
#313 [シバ]
>>31010円玉を公衆電話に入れていく。
これでもか!ってくらい入れまくると、途中で10円玉が落ちてきた。
よし…!
0…9…0…
アイリのケータイ番号をポチポチした。
:10/04/18 19:04 :F902iS :22c57y5w
#314 [シバ]
しばらく沈黙が続き、数秒経ってからプルルルル…と鳴り出した。
やっぱりこの瞬間は緊張してしまう。
ドキドキの中に妙な期待とかワクワクしたような感情があって、何とも言い表せない気持ちでいた。
受話器を持ったままキョロキョロしていると、鼻の頭に何かが落ちてきた。
「あ、雨だ」
:10/04/18 19:12 :F902iS :22c57y5w
#315 [シバ]
朝の天気予報では『晴れ』って言ってたじゃん!
あ、でも降水確率見てねーや…
今日1日曇ってたし、雨降っても可笑しくはないっか。
でも、雨降り出したら厄介だなぁ…
アイリ〜!!
ガチャッ…
「…もしもし」
:10/04/18 19:15 :F902iS :22c57y5w
#316 [シバ]
愛しい声が聞こえる。
その声を聞いたら、自然と笑顔が出てくる。
その声がないと、今のシバは頑張れないよ…
「うぉい!アイリちゃん♪元気してましたか?(笑)」
「…あはは。シバさん」
「何してたんかい?」
「…何って…宿題?予習みたいなヤツ」
:10/04/18 19:18 :F902iS :22c57y5w
#317 [シバ]
ふと思った…
今、アイリに『シバさん』って呼ばれた…?
『シバっち』とか呼んでなかったっけ?
何気ない瞬間だったけど、直感で思った。
嫌な予感がする…
「あ〜、宿題ね。ってか、アイリが宿題するとか何かウケる。意外で(笑)」
:10/04/18 19:22 :F902iS :22c57y5w
#318 [シバ]
「…そうですかぁ(笑)」
そうですかぁって…
笑ってるけどお前、いつもなら『あはは。よく言われます』なんて言ってシバを笑わせてくれるじゃん。
「…あ、宿題するならまた後で電話するよ。今大変でしょ?」
「あ〜いや…大丈夫ですよ」
:10/04/18 19:26 :F902iS :22c57y5w
#319 [シバ]
何かぎこちない…
年上のシバがリードしないと!
「ってか、この前リナからアイリのプリクラとか見せてもらったよ♪」
「…は?嘘…」
「いやいや、本当(笑)…え…どうしたの?」
「あ、いや…別に…」
胸のドキドキが異常だった。
緊張とかとは違う変なドキドキ…
シバ…焦ってないか?
:10/04/18 19:30 :F902iS :22c57y5w
#320 [シバ]
「何何…何かあったのか?アイリ今日、元気ないね」
「う〜ん…」
何なんだよ…
何かあるなら言えよ!
次第に苛立ちを感じるようになった。
「どうしたのさ。恋の悩みか何かあるんかぁ?(笑)」
:10/04/18 19:35 :F902iS :22c57y5w
#321 [シバ]
ちょっと唐突すぎたかな?
でも、シバは直感で感じた事を聞いたまで…
アイリの返事を待った。
「……………」
何も喋らなくなった。
アイリは風邪を引いているのか、受話器の向こうで鼻をグズグズ言わせている。
それしか聞こえない。
:10/04/18 19:38 :F902iS :22c57y5w
#322 [シバ]
「おいって!(笑)もしも〜…」
「…はい」
「は…?」
「…そうですよ」
心臓がグワッと熱くなった。
シバは今、アイリに何を聞いた?
アイリは何て答えた…?
「…すみません」
:10/04/18 19:40 :F902iS :22c57y5w
#323 [シバ]
何?
何で今謝った?
「…え?…へ?ってか…何?(笑)ごめん、何かよく分かんない(笑)」
シバのテンパり具合は最高潮に達した。
「シバさん…バカ」
「何がバカだよ(笑)」
「何となく」
「意味が分かんない(笑)」
:10/04/18 19:43 :F902iS :22c57y5w
#324 [シバ]
しばらく沈黙…
しばらくってか大分…
10円玉が次々と公衆電話の餌食となっていく。シバは震える手で10円玉を入れ続けた。
こうして沈黙が続いても喋っても、10円玉はどんどん無くなっていく。
何か喋らないと…
「…アイリどうした?」
:10/04/18 19:47 :F902iS :22c57y5w
#325 [シバ]
「あ…の…」
やっと喋ってくれた…とか思ってたら、アイリの様子がおかしい。
電話の向こうで泣いているようだった…
風邪なんか引いてない…
シバからの電話を取った時から泣いてたんだ。
嫌な予感は的中した…
「アイリ…彼氏が出来ました」
:10/04/18 19:50 :F902iS :22c57y5w
#326 [シバ]
心臓が破裂するんじゃないかと思った…
耳が遠くなった気がした。
シバは立ち尽くした。
「…男?」
「はい…」
「え…何それ(笑)話違うじゃん(笑)」
「…何がですか?」
「アイリ…シバの事好きって…言ったよね?言ってくれたよね?」
:10/04/18 19:54 :F902iS :22c57y5w
#327 [シバ]
「はい…」
「あれって嘘だった…とか?」
「…嘘なんかじゃないですよ」
「は…?じゃあ…ってか、マジで意味が分かんないんだけど」
「……………」
「何で?(笑)なんなワケ?(笑)シバからかわれてた?」
:10/04/18 19:56 :F902iS :22c57y5w
#328 [シバ]
「からかってなんかない!」
電話の向こうでアイリは叫んだ。
ビックリした…
「一方的な片思いだったじゃないですか…アイリの…」
「……………」
「シバさんは気付いてないかもしれないけど、アイリ…相当辛いんですよ」
:10/04/18 19:59 :F902iS :22c57y5w
#329 [シバ]
「アイリが辛い?何でアイリが辛いのさ!」
「あの合宿の時の事…覚えてますか?夜、2人で部室行ったじゃないですか」
「…忘れるワケないじゃん。覚えてるよ」
「シバさんは、アイリのキスを拒んだ」
「拒んだとかじゃなくて…ビックリしただけだよ!だっていきなり…」
:10/04/18 20:02 :F902iS :22c57y5w
#330 [シバ]
「その後、あっさりフラれましたよね、アイリ…」
「…あぁ、まぁ」
「あれ、相当ショックだったんですよ…」
「…ごめん」
「アイリはずっとシバさんの事が好き…シバさんはアイリの事を友達とか後輩として見てる…そんな中、電話や手紙…複雑すぎました」
:10/04/18 20:06 :F902iS :22c57y5w
#331 [シバ]
「何が複雑なのさ…」
「シバさんはアイリの事を好きでも何でもないのに、思わせぶりな態度で接してくる…こんな辛い事…もう嫌だよ…」
「電話とか手紙とか迷惑だったってワケ?」
「違う!そんなんじゃないよ…」
アイリの泣いてる顔が頭に浮かんできた…
:10/04/18 20:09 :F902iS :22c57y5w
#332 [シバ]
「迷惑とかじゃなくて…嬉しかったです。冗談抜きで本当に…わがままなアイリに付き合ってくれて…」
「……………」
「これから先、シバさんにいつ会えるか分かんない…でも、会えなくても好きだ!っていう気持ちは強くなっていくばかりで…」
:10/04/18 20:12 :F902iS :22c57y5w
#333 [シバ]
胸がジーンってなって、シバも泣きそうになった。
「でも、シバさんはアイリに対してそういう感情はないっていうのが分かって本当に辛くて…これ以上、シバさんに迷惑はかけられない…」
「…本当にそう思ってんの?」
「はい…だってシバさん、アイリに言ったじゃないですか…」
「何を…」
:10/04/18 20:16 :F902iS :22c57y5w
#334 [シバ]
「『シバもアイリも女同士だ!』って…」
「……………」
「だから無理なんでしょ?性別はやっぱり大事ですもんね…」
「この…ボケ!アホ!あ゙〜!」
:10/04/18 20:19 :F902iS :22c57y5w
#335 [シバ]
「え…?」
シバの中で何かが爆発した。
いろんな感情が湧き上がってきた。
もう、こうなりゃ自分の気持ちをウザいくらいぶつけてやるよ!
本当の気持ちを…!
「あ゙〜!もう!シバはお前の事が好きなんじゃ!女とか男とかそんなん関係ない!アイリの事が好きなんだ!」
:10/04/18 20:22 :F902iS :22c57y5w
#336 [シバ]
「……………」
「そりゃ、最初はビックリしたよ!『何言ってんだコイツ』とか思ってたよ!でもな!時間が経つにつれて、どんどんお前に惹かれていったよ!最終的に『好き』になったよ!いつかこの気持ち伝えようって思ってた矢先だよ、お前の『彼氏できた』発言…」
「シバさん…」
「何さ…」
:10/04/18 20:26 :F902iS :22c57y5w
#337 [シバ]
「………」
「何?何か喋れよ!」
「……遅いよぉ」
そう言うと、アイリは号泣し出した。
シバは受話器を持ったまま、アイリの泣き声を聞く事しかできなかった。
:10/04/18 20:29 :F902iS :22c57y5w
#338 [シバ]
物凄い後悔の嵐が襲ってきた…
自分を責めて責めて、責めた。
何アイリのせいみたいな事言ってんだ自分…
ホント馬鹿だろ…シバ。何でもっと早く気持ちを伝えなかった…?
何余裕ぶっこいてたんだ?
考えれば考えるほど、頭の中がグルグル回っておかしくなりそうだった…
:10/04/18 20:34 :F902iS :22c57y5w
#339 [シバ]
「彼氏…名前何ていうの?」
「…………」
「あは…(笑)教えたくないなら別に…」
「…秀一(しゅういち)」
ああ、やっぱりだ…
あのプリクラの『S』のイニシャルはシバの『S』じゃない…
シバは無理やり笑った。
:10/04/18 20:37 :F902iS :22c57y5w
#340 [シバ]
「秀一君っていうのかぁ…シバと付き合えなかったのは、その秀一君と出会う運命だったんだよ、きっと(笑)運命は誰にも変えられないからねぇ(笑)」
この辺りからシバは泣いてた。
もちろんバレないように…
「シバさん…」
:10/04/18 20:40 :F902iS :22c57y5w
#341 [シバ]
「アイリは可愛いよ。可愛いし、なんだかんだ言ってしっかりしてる!でも、わがままだよね(笑)」
「………」
「そのわがままなアイリを幸せにできるほど、シバは人間できちゃいないからなぁ〜(笑)秀一君の方がしっかりしてるかもよ(笑)おい秀一!アイリの事守ってやれよ!…なんてね(笑)」
:10/04/18 20:43 :F902iS :22c57y5w
#342 [シバ]
「…ふふ(笑)」
アイリは泣きながら笑った。
「あ〜、そろそろ10円玉切れるわ…じゃあそろそろ…ね」
…本当は10円玉なんてまだまだ腐るほどあったんだ…
「まぁ、あれだ…その〜、何ていうか…負けを認めるワケじゃないけど…幸せになれよ!」
:10/04/18 20:46 :F902iS :22c57y5w
#343 [シバ]
「…もね」
「え…?」
「シバっちもね。幸せになって…」
この場面でシバっちとか反則だろ〜…
一気に涙が出てきた。
「はいはい!じゃあ、またね。また会う日まで…」
「うん。シバっち、元気でね。ありがとう」
:10/04/18 20:52 :F902iS :22c57y5w
#344 [シバ]
電話を切った…
ありがとうじゃねーよ…
受話器を置いた瞬間、たくさんの10円玉が出てきた。
あんた達ももう必要ないんだね…
10円ガムでも大量に買おうかな…
雨は激しく降り続けていた。
いつからこんなに激しくなったんだろ…
:10/04/18 20:55 :F902iS :22c57y5w
#345 [シバ]
顔を上げたら容赦なく雨が降り注いでくる。
真希…
シバも『遅い』ってフラれたよ…
こんな中泣く事になるなんて思いもしなかったよ…
楽しかった毎日にも、これでピリオドを打ったな…
情けないけど、みっともないけど、ビショビショになりながら思いっきり泣いた。
:10/04/18 21:01 :F902iS :22c57y5w
#346 [シバ]
:10/04/18 21:25 :F902iS :22c57y5w
#347 [シバ]
「おかえりー…うわっ!あんたどうしたの?ビショビショ…」
気がつくと家の玄関に立っていた。
母さんが出迎えてくれた。
バスタオルを持ってきてくれ、シバは鞄を置き、体を拭いた。
「もー、一言言ってくれれば迎えに行ったのに…」
:10/04/18 21:35 :F902iS :22c57y5w
#348 [シバ]
「大丈夫だよ」
「大丈夫じゃないから言ってるんでしょ。も〜、おバカ」
「ごめんなさい」
「ほら、上がって…靴下脱いでね。すぐ脱衣所行きなさい」
ボンヤリしたまま脱衣所へ…
:10/04/18 21:37 :F902iS :22c57y5w
#349 [シバ]
リビングに置いてあった洗濯物の中から、適当にTシャツと短パンを取り出して着た。
廊下の方からはご飯食べなさい的な母さんの声が聞こえた。
無視したワケじゃないけど、とりあえずボンヤリしながら自分の部屋へと向かった。
泣きすぎて目の周りが痛い…
部屋のドアを開けた…
「真希…?」
:10/04/18 21:41 :F902iS :22c57y5w
#350 [我輩は匿名である]
あげるよん
:10/04/24 22:27 :F02A :ZfVpRBLY
#351 [シバ]
>>350さん
あげありがとうございます!
更新します。
>>349ドアノブを持ったまま、シバは呆然とした。
そこにいたのは真希…
制服姿で、ビショビショになった髪をタオルで拭いている所だった。
:10/04/25 23:13 :F902iS :nqEBLkDE
#352 [シバ]
「ビショビショになっちゃったよぉ(笑)」
真希は笑った。
「…え?真希…なんで?ってか、何してんの?」
「傘忘れた(笑)」
「いやいや。アンタの家逆方向だし、真希ん家の方が近いでしょ、明らかに」
真希はタオルをシバに向かって投げた。
:10/04/25 23:15 :F902iS :nqEBLkDE
#353 [シバ]
「それで拭きな!シバも頭ビショビショじゃん」
人ん家で偉そうにしている真希は、誰の家でも我が家のようにくつろげる。
それは昔から変わっていない。
これシバのお気に入りのブラウンのタオル…
フワフワ生地で吸水性に優れているから、シバの入浴後に小さな幸せを与えてくれるベストアイテムだったのに…
:10/04/25 23:21 :F902iS :nqEBLkDE
#354 [シバ]
「そのタオルいいね。あたしも買おうかな♪部活中とかに使うと絶対癒される(笑)」
「…これ、シバのお気に入り」
「だろうなぁ…シバ、茶色系の物好きだもんね♪」
「………」
「………」
:10/04/25 23:24 :F902iS :nqEBLkDE
#355 [シバ]
沈黙…
外の雨は更に激しくなっていた。
雨音しか聞こえない。
でも、この沈黙の中に音があって良かった…
シーンとしてたら絶対オロオロしてた。
シバはびしょ濡れになった小銭入れを机の上に放り投げた。
:10/04/25 23:29 :F902iS :nqEBLkDE
#356 [シバ]
真希は小銭入れ(アンパンマンのやつ)を見つめている…
「それ、ちゃんと乾かさないとカビ生えちゃうよ」
「いいよ別に…もう使わないから」
「使わないの?」
「うん…もう、必要ない」
「そんな寂しい事言わないの!アンパンマンは顔が濡れると力が出ないんだよ!今のシバと一緒」
:10/04/25 23:33 :F902iS :nqEBLkDE
#357 [シバ]
誰が上手い事を言えと言った?
でも、この時のシバは笑えなかった。
ってか、その言葉からして真希にはバレバレだったんだな…
フラれたって事…
「お疲れ様」
真希は笑顔を向けてくれた。
それに対してシバは無言…
:10/04/25 23:36 :F902iS :nqEBLkDE
#358 [シバ]
ありがとう♪とか言えればなぁ〜…
多少は大人っぽい様に見られてたんだろうけど…
「あたしから『どうだった?』なんて聞かないよ。聞かないから…シバが落ち着いてからでいいから話して欲しい…嫌なら嫌って言ってね(笑)無理に話せ!なんて言わないからさ」
そう言うと、真希は立ち上がった。
:10/04/25 23:41 :F902iS :nqEBLkDE
#359 [シバ]
目で追っていくと、真希はドアの前に立っていた。
「…もう帰るの?」
「シバが帰ってくるの待ってただけだから(笑)無事で何より♪」
「あのさ…」
「ん〜?」
本当はこのタイミングでアイリの事を話したかった。
だけど、真希と目が合った瞬間、目頭がジーンと熱くなって涙が出そうになってしまった…
:10/04/25 23:45 :F902iS :nqEBLkDE
#360 [シバ]
「…………」
「無理しないで。今日は早く寝るんだよ♪また明日ね。オヤスミ」
真希は、シバの頭に置いてあったブラウンのフワフワタオルを優しく持ち上げた。
「あ、それ…」
「自分で使った物はちゃんと洗って返すよ(笑)これ基本♪じゃあね」
:10/04/25 23:49 :F902iS :nqEBLkDE
#361 [シバ]
真希は優しくドアを閉めた。
廊下をトントンと歩いていく音を聞いていた。
母さんと真希の話し声がしばらく続き、玄関のドアが閉まった。
シバはベッドに寄りかかって、電話の事を思い出していた。
本当は思い出したくないのに…
でも、頭の中はその事でいっぱい…
:10/04/25 23:56 :F902iS :nqEBLkDE
#362 [シバ]
泣きすぎて目が痛い。
気分も悪い。
ふと鏡に目をやる。
「…変な顔(笑)」
自分の泣き疲れた顔がくっきりと映っている。
プリクラ機みたいに修正がまったく効かないから、これが素の顔。
一瞬笑えた。
んで、また涙が出てきた。
ティッシュを何枚も何枚も出して、目と鼻を拭いた。
:10/04/26 00:01 :F902iS :Xlk1up9c
#363 [シバ]
翌日…
目はボッコリと腫れ、鼻の下は赤くなり、ティッシュで擦り切れてとんでもない事になっていた。
泣きすぎて気分は悪いし、心はズキズキと痛むような変な感じだし…
最低最悪のコンディションだったけど、学校も部活も休むわけにはいかない。
とりあえず着替えて、家を出た。
:10/04/27 22:11 :F902iS :gfQbMhcI
#364 [シバ]
玄関のドアを開ける。
歩く。
いつもと変わらない風景が続く。
あの公衆電話の前は、嫌でも通らないと学校には行けない…
公衆電話通過…
うわぁ〜涙出そう…
:10/04/27 22:18 :F902iS :gfQbMhcI
#365 [シバ]
毎日こんな気持ちのまま、公衆電話の前を通らないといけないのか…
部活よりも遥かに憂鬱だ。
憂鬱というか、切ない。切ないっていうか、虚しい。
ネガティブな言葉しか浮かんでこない…
そんな自分に腹が立つ。でも…
このショックは大きすぎる…
:10/04/27 22:21 :F902iS :gfQbMhcI
#366 [我輩は匿名である]
あげるよん
:10/05/14 19:06 :F02A :LufTqZdM
#367 [我輩は匿名である]
:10/05/15 04:30 :W61CA :vUHF1Odg
#368 [我輩は匿名である]
あげ
主さん頑張ってくださいね\(^O^)/
:10/05/17 23:08 :N02A :c4U2fRXU
#369 [シバ]
みなさん上げありがとうございます(*^_^*)
シバです!
ケータイ変えました。
なかなか更新できずすみません
今日の夜あたりからまた更新していきます!
よろしくお願いします!
:10/05/22 13:42 :F02B :mZlOmohk
#370 [シバ]
久々更新します!
>>365教室に着いた。
ボーっとしてみても、溜め息を吐いてみても、心の中のショックは何も変わらない。
このまま死んでもいい…誰かシバを殺してくれないかな…
…な〜んて恐ろしい事考えてたりもした。
:10/05/22 18:34 :F02B :mZlOmohk
#371 [シバ]
そんな時は1人でいても、マイナスなスパイラルに陥ってしまうだけだ。
心に蓋をして1人で考え込んでも、ただただ辛いだけ…
ふと真希の方に目を向ける。
さっきも「おはよ」って一言交わしただけで、今日は何も喋ってない事に気付く…
ビショビショになりながらも、心配してシバのもとに来てくれた真希…
:10/05/22 18:40 :F02B :mZlOmohk
#372 [シバ]
「(…真希に話そう)」
そう決めた。
この前みたいに、
「真希にアイリの事話そうかな?どうしようかな?」
なんてオロオロしなかった。
即決だった。
昼休み…
「真希〜話がある!」
:10/05/22 18:43 :F02B :mZlOmohk
#373 [シバ]
弁当箱を包んでいる最中だった真希は、一瞬ビックリしたような表情を見せた。
(多分、あの顔はビックリした顔だったと思う)
「え?あ、うん」
真希は片言で答えた。
隣の空き教室に呼び出した。
真希は黙ったまま、古い机に腰掛けた。
:10/05/27 21:23 :F02B :Jyle7NeE
#374 [シバ]
無言の空間…
なんか痛い…この空気…
「あのね、真希」
「うん」
フラれたよ…
心の中で呟いてみる。
でもなぜか、口に出せない…
心臓が飛び出しそう。
:10/05/27 21:25 :F02B :Jyle7NeE
#375 [シバ]
緊張みたいな、フラれた事実を認めたくないみたいな、同情されたくない!みたいな、変な感情が自分の中で渦巻いている感覚だった。
「………」
無理に笑顔を作ろうとしたら、逆に泣きそうになる。
親友の前で何強がろうとしてんだろ…
馬鹿かシバ…
真希からも何も喋ろうとはしない。
:10/05/27 21:30 :F02B :Jyle7NeE
#376 [シバ]
その時だ…
「ぶぅぇあっくしょい!」
教室中に響き渡るようなくしゃみ…
真希だった。
真希は可愛い顔して、オッサンのような勢いのあるくしゃみをする。
シーンとした教室だったから、尚更おかしく感じた。
:10/05/27 21:34 :F02B :Jyle7NeE
#377 [シバ]
「え?あははははは〜!ぎゃはははははは〜!ごめんちゃい♪」
シバが笑う前に笑い出す真希。
顔は可愛いのに…
「え?え?くしゃみ…ぎゃはははははははははは」
真希のくしゃみで笑わない時はない!
顔とくしゃみがマッチしていないから尚おかしい。
:10/05/27 21:38 :F02B :Jyle7NeE
#378 [シバ]
重苦しい雰囲気が一瞬にして吹き飛んだ。
あ〜…
やっぱ真希に助けられてばっかりだ。
「あ〜可笑しい(笑)あのね、シバね、アイリにフラれたよ…」
「ごめんごめん(笑)そっかぁ…」
何この会話…
シバは無理やり笑顔を作った。
:10/05/27 21:41 :F02B :Jyle7NeE
#379 [シバ]
「ま、でもさ!シバにしちゃあ、よく頑張ったよ。シバって小心者だからさ♪こういう経験も必要なんだよ!きっと」
笑って話してくれる真希。
「そうだね。ん〜…でも、レアだよね?こういう経験」
「そうだよ。またこれから頑張ろうよ♪」
モヤモヤが完全に消えたわけではない。
でも、なんか変なスッキリ感があった。
:10/05/27 21:48 :F02B :Jyle7NeE
#380 [シバ]
アイリの事で、いい意味でも悪い意味でも色々と悩んでいたから、解放された気持ちになった。
でも、やっぱりフラれたっていう事実は変わらないワケであって…
立ち直るのには時間がかかりそう。
だけど、終わってしまった事はしょうがない。
だから前に進もう!
そう考えていた。
:10/05/27 21:51 :F02B :Jyle7NeE
#381 [シバ]
それから数ヶ月が過ぎた。
夏真っ盛り。
体育館での練習は灼熱地獄と化した。
窓開けても風なんて入ってこない…
監督の話の最中に外からのセミの鳴き声…
着替えても着替えても、無駄に出てくる大量の汗…
鬼だ…
暑すぎる…
だけど…
:10/05/27 21:57 :F02B :Jyle7NeE
#382 [シバ]
バスケに集中していた。3年生はこの時期は卒業後の進路が関わってくる。
シバはバスケで進む!
だから大学に行く!
そう決めていたくらい、バスケに夢中だった。
アイリの事を忘れようと決めたあの日から、自分で言うのもなんだけど、一回り成長できた。
人生は出会いと別れ!
そうなんだよ…うん!
:10/05/27 22:03 :F02B :Jyle7NeE
#383 [シバ]
毎日が充実していたと思う。
キツい事もたくさんあったけど、バスケができる!っていう事に幸せを感じていた。
真夏の灼熱地獄の体育館を後にするのは、夜8時過ぎ…
その頃には外はだいぶ暗くなっている。
決して涼しいワケじゃないけど、この瞬間をシバはこよなく愛していた。
風流だなぁ〜…
夏のこの時間帯…
一句読もうかしら…
:10/05/27 22:09 :F02B :Jyle7NeE
#384 [シバ]
そんな時、シバをどん底に陥れる出来事が起こった。
「先輩方!監督が集合だそうです!」
3年生全員で、外の部室の前で練習後の一時を楽しんでいた。
って言っても、ただ暑い暑い言いながら群がってただけだけど。
「集合?じゃあ、2年も呼んできて」
また灼熱地獄の体育館に逆戻りとなった。
:10/05/27 22:14 :F02B :Jyle7NeE
#385 [シバ]
ムシムシする…
頑張れば茶碗蒸しくらい作れるんじゃない?
っていうくらい、暑かった。
せっかく着替えたTシャツも意味を成さない。
背中の生地がピタッと肌に触れると不快感MAX…
肝心な監督が出てこない。
クーラーガンガンの部屋でアイスでも食ってんのかい?
早くしてくれ…
:10/05/27 22:18 :F02B :Jyle7NeE
#386 [シバ]
5分くらい経った頃、監督は出てきた。
手には数種類のプリント用紙。
それを1人1人に配り終えると、床に座るよう指示した。
暑いのに…
プリントは1人に3枚ずつ。
1つ目は、練習メニューの項目。
2つ目は、夏の対策としての食事の栄養メニューとか、水分補給とか…
:10/05/27 22:23 :F02B :Jyle7NeE
#387 [シバ]
3つ目は…
夏休みの日程。
1日練習とか、休みとか、行事とか、登校日とか、合宿とか…
8月の頭、一週間の合宿が入っていた。
うわ〜、ハードだなぁ…
え…?
目を疑った。
:10/05/27 22:27 :F02B :Jyle7NeE
#388 [真沙也]
自分もバイです
すごく気持ちが分かります
更新頑張って下さい
:10/05/28 09:22 :930CA :02M4dgR2
#389 [シバ]
>>388さん
ホントですか?
なんか心強いです(^^)笑
よろしければ、感想板の方にも遊びにきてくださいね!!
:10/05/28 20:02 :F02B :WeEmfU6s
#390 [シバ]
>>387プリントに書かれていたのは…
『○○高校と合同合宿』
○○高校…
アイリのいるチーム…
アイリに会うって事か…?
:10/05/28 20:05 :F02B :WeEmfU6s
#391 [シバ]
すぐ隣に真希がいる。
真希も日程表を見たまま動かない…
真希に話しかけようか…?
でも、何を話せばいい?
この後も監督の話は続いていたけど、耳に入ってこなかったのだろう。
何も記憶がない。
:10/05/28 20:08 :F02B :WeEmfU6s
#392 [シバ]
帰り道…
後輩のリナが話かけてきた。
「シ・バ・さ・ん♪夏休みの日程表見ました?」
「え?あ〜、うん。見たよ」
「あのアイリのチームと合宿ですよ♪なんかウケますね(笑)」
何もウケないよ〜…
:10/05/28 20:11 :F02B :WeEmfU6s
#393 [シバ]
「そうだね(笑)」
笑うしかない。
ちゃんと笑顔で話せてたかな?
「久しぶりですね、アイリに会うのって♪またシバっちシバっちうるさいんだろうなー…」
「どうだろ…(笑)あれから時間も経ってるし、もうそんなノリじゃないんじゃない?」
「え〜?だって、あのアイリですよ?(笑)」
:10/05/28 20:15 :F02B :WeEmfU6s
#394 [シバ]
「あはははは(ハァ…)」
リナはシバとアイリの事を知らない。
だからアイリの話なんてすんな!なんて言えない。
せっかく忘れてたのに…
「あたし(リナ)が思うに、アイリはシバさんの事が好きなんだと思いますよ!」
ドキッとした。
:10/05/28 20:20 :F02B :WeEmfU6s
#395 [シバ]
「なんて言うんだろ…あたしとか他の人に対する絡みと、シバさんに対する絡みが明らかに違いましたもん!」
「そんな事ないよ(笑)」
「いや…あれはlikeじゃなくてloveな絡みですよ〜!」
心臓がバクバクしてきた…
「あれですよ、あれ!世間で言う『レズ』!」
:10/05/28 20:26 :F02B :WeEmfU6s
#396 [シバ]
レズ…
シバってレズなのか?
この頃は、レズとかホモとか聞いたら素で引いていた。
気持ち悪いとか、有り得ないとか…
アイリに出会うあの日まで…
アイリに出会って、180°考えが変わった。
:10/05/28 20:32 :F02B :WeEmfU6s
#397 [シバ]
そういう恋愛もあるんだ!
悪い事じゃないんだ!って。
それ以前に、男も女も同じ人間であって、ただ世間ではそれが認められていないだけで…
リナからのレズ発言にオロオロしながらも、とりあえず否定はしておいた。
アイリには普通に男の彼氏がいるよ!と…
:10/05/28 20:36 :F02B :WeEmfU6s
#398 [シバ]
リナは驚いた素振りを見せたけど、すぐに笑顔になった。
「え?そうなんですかぁ?(笑)」
「うん…だから…ってか、前〜にプリクラの話したじゃん?」
「あのイニシャルですか?」
「そう!あれね、シバの『S』じゃないんだよ(笑)」
「なぁんだ…そうなんだ♪」
:10/05/28 20:40 :F02B :WeEmfU6s
#399 [シバ]
「そうそう(笑)」
「シバさんを取らないで〜!って心配してたんですよ(笑)あ、変な意味じゃなくて、シバさんを変な方向に連れて行かないで!みたいな(笑)」
ああ、なんかゴメン…ってなった。
「とりあえず、夏合宿が楽しみですね♪クソ暑いからかなりキツいんだろうけど、またみんなに会えるから楽しみだぁ♪早く8月にならないかな〜」
:10/05/28 20:44 :F02B :WeEmfU6s
#400 [シバ]
シバ的には8月なんて来ないで頂きたい…
むしろ抹消してもらいたい…
リナと一通り話をしてから帰宅。
真希から何か連絡がくるかなー?って思ってたけど、特に何もなく…
モヤモヤが蘇ってきた。でも、過ぎた事なんだし、もう終わった事なんだ!だからもう関係ない!
いや…しかし…but…
頭の中がゴチャゴチャしていた。
:10/05/28 20:50 :F02B :WeEmfU6s
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