禁断って何?
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#501 [シバ]
教室に着く。
体育座りしてケータイをいじるアイリがいた。

シバに気付くと、パチンとケータイを閉じた。


「シバさん、おいで」

手招きされ、アイリの横へ。

しばらく無言でいて、アイリのケータイが鳴る。また開いて、すぐに閉じた。

「秀一かぁ?」
「うん。今日合宿から帰ってきたから遊ぼうだって。アイリも合宿だって言ったのに、バカじゃん」

⏰:10/07/16 13:00 📱:F02B 🆔:r2DDek4c


#502 [シバ]
心が痛んだ。
シバと離れたら、またいつものアイリの生活が始まる。
普通に学校に行って、バスケして帰って…またこうやって秀一とメールして…
休みの日なんかは2人で遊びに行くんだろうな…


「秀とアイリ、プリクラさえ撮った事ないんだ。だからプリクラ撮りに行きたいんだってさ」

「…は?」

「あっちはあっちでサッカー忙しいし、こっちはこっちでバスケバスケだし、学校以外ではほとんど会わないからね」

⏰:10/07/16 13:05 📱:F02B 🆔:r2DDek4c


#503 [シバ]
「あ、そうなの?」

変な安心感を感じた。
シバの表情を見て言ったのか、何となく言ったのかいまだに分からないけど…
アイリはボソッと話した。

「見る?秀の顔」

そんなもん見たくない!だけど、一目ならいいかな?
気になるし…


「見たいかも」

アイリはケータイをポチポチと操作して、秀一を探していた。

⏰:10/07/16 13:09 📱:F02B 🆔:r2DDek4c


#504 [シバ]
「4枚くらいしかないんだけど…」

そう言って、シバにも見えるようにケータイの画面を向けた。

1枚目…
体操服の2人が笑ってピース。
秀一はアイリより少し背が高いくらいで、日差しが強かったのか、眩しそうに笑っていた。
ゼッケンには『長崎』。秀一の名前は、長崎秀一。
日焼けして、小麦色に焼けた秀一は、確かにかっこよかった。

⏰:10/07/16 13:17 📱:F02B 🆔:r2DDek4c


#505 [シバ]
2枚目…

秀一が男友達とじゃれている場面だった。
どれが秀一か、言われなくてもすぐに分かった。鼻筋がスッと通ってて、クシャッと笑うあの笑顔は、誰よりも可愛くて、綺麗だったから。


3枚目…

秀一がサッカー部のユニフォームを着て、真顔で写っている。
1年生で唯一、ユニフォームを貰えたからその記念に撮ったんだとか。

⏰:10/07/16 13:22 📱:F02B 🆔:r2DDek4c


#506 [シバ]
真顔の秀一は、凛々しいなんてもんじゃない。
悔しいけど、こんなにカッコいい奴見た事がない…

4枚目…

制服姿の2人が写っている。
夜だったのだろう。
真っ暗な背景に、灯りがポツポツ。
シバはアイリの制服姿を初めて見た。
秀一は眼帯をしていた。練習中に部員の肘がもろに入ったのだという。



「こんだけ」
アイリはケータイを閉じた。

⏰:10/07/16 13:28 📱:F02B 🆔:r2DDek4c


#507 [我輩は匿名である]
頑張って

⏰:10/07/16 13:38 📱:W62H 🆔:2AczhaBI


#508 [シバ]
>>507さん

ありがとうございます(^^)v



>>506
初めてまともに秀一を見た。
こいつがアイリの彼氏…複雑というか、正直ムカついた。
シバの見えない所で、2人で一緒に帰ったり、ラブラブしたり…
想像しただけで、イライラする。

それと同時に、シバ自身にも苛立ちを覚えた。

⏰:10/07/24 22:42 📱:F02B 🆔:9e1bBfHs


#509 [シバ]
なんでシバは男じゃないんだろう…
なんで自分は女なんだろう…

それ以前に、なんでシバは女を好きになってるんだろうって疑問を持つはずなのに、それがなかった。
男になりたい訳でもないのに。

変な矛盾だらけで頭の中はパニックだった。

「シバさん」

シバはしばらく俯いていたみたいで、アイリに呼ばれてハッとした。

⏰:10/07/24 22:46 📱:F02B 🆔:9e1bBfHs


#510 [シバ]
アイリの方を向くと、アイリは心配そうな表情になっていた。

「見せない方がよかった?」

「いや、別…」

アイリの目を見れなかった。
アイリはどういう気持ちで秀一を見せてきたのか分からなかったし…

シバお得意の複雑な顔をしていたのだろう。
アイリは真顔のまま、シバに近づいてきた。

⏰:10/07/24 22:55 📱:F02B 🆔:9e1bBfHs


#511 [シバ]
「嫌な気持ちにさせちゃったならごめんね」

そう言うと、アイリはシバにキスをしてきた。
不思議と嫌な気持ちにはならなかった。

いや、むしろ求めていたのかもしれない。
目の前には、目を閉じているアイリの顔がある。

ずっと見つめていると、アイリは目を開けてシバから離れた。

「ごめんね。ってか、シバさんが嫌がらないから、つい…」

⏰:10/07/24 22:59 📱:F02B 🆔:9e1bBfHs


#512 [シバ]
少し照れくさそうな仕草を見せたアイリに、シバは言った。

「前とは違うよ。嫌がる訳ないじゃん」

真剣に話すシバを見て、アイリは微笑んでいた。

「そ?じゃ、そっちからしてよ」

「何を?」

「チュー(笑)キスって言った方がムード出るかな?(笑)」

⏰:10/07/24 23:04 📱:F02B 🆔:9e1bBfHs


#513 [シバ]
笑っているアイリにキスをした。

今度はアイリの方が目を開けていた。
自分からキスをした方が、相手の唇の感触とか、忘れられない感じがする。
そして、シバは生まれて初めて女の子にキスをした。

初めての事で、いろんな感情がこれでもか!ってくらい湧き上がってきて、涙腺が緩んだ気がした。

⏰:10/07/24 23:09 📱:F02B 🆔:9e1bBfHs


#514 [シバ]
目を開けると、今度はアイリが真顔になっていた。
真顔のまま、視線をそらしていた。

あれ?
マズい事しちゃったかな?


無言のまま、お互い視線を合わせない。
しばらくすると、アイリは言った。

「シバさん…本当にシバさんからキスしてくれるとは思ってなかった。そんな…アイリおかしくなっちゃうよ」

⏰:10/07/24 23:13 📱:F02B 🆔:9e1bBfHs


#515 [シバ]
え?
なんかごめん。


トンチンカンになった気がした。
シバの行動はまずかったのかな?
おかしくならないで…


「…アイリ本気になっちゃう」

ポツリと呟いた。
アイリは下を向いたまま、顔を伏せている。


オドオドしているシバに気づいたアイリは顔を上げた。

⏰:10/07/24 23:17 📱:F02B 🆔:9e1bBfHs


#516 [我輩は匿名である]
あげますメ

⏰:10/07/25 15:45 📱:CA004 🆔:Iq0kfHJ2


#517 [我輩は匿名である]
>>300-600

⏰:10/07/26 02:47 📱:F03A 🆔:upECO2Sc


#518 [(^_^)/]
あげます


ちょう面白い!
頑張って下さい

⏰:10/07/27 09:59 📱:P03A 🆔:PDnqEeQ6


#519 [うっちー]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

失礼しました

⏰:10/07/28 00:08 📱:SH04A 🆔:IiIdswLo


#520 [シバ]
>>516-519さん

あげ&安価ありがとうございます(・∀・)

>>518さん
ありがとうございます
もうちょいしたら更新します!

⏰:10/07/28 21:31 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#521 [シバ]
>>515

「アイリ…秀と別れる」

シバは更にオドオドした。
自分から別れろ!なんて言っておいて、実際アイリからそんな事を言われると慌てふためいてしまった。

「あ、そう?いや…でも…ああ…うん。…え?」

「だって、シバさんの事こんなに好きなのに、他の人となんて付き合えないよ」

⏰:10/07/28 21:46 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#522 [シバ]
「…………」

「…嫌ですか?」

「いや、嫌とかじゃなくて。めちゃくちゃ嬉しいよ…でも、確認するようでウザいかもしれないけど、シバは女だよ?男じゃないんだよ?」


「何度も言うけど、アイリはシバさんが好きなんです!シバさんが男でも女でも、アイリは好きなんです」

「遠距離になるんだよ?」

⏰:10/07/28 21:50 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#523 [シバ]
「そうだけど…寂しいけど、大丈夫。だからもう、離れていかないで」

心は1つ!
アイリはそう言いたかったのだろう。
真剣な表情だった。
シバもアイリのすべてを受け入れる!
秀一の事も含めて。
強くなる!

だから、シバからも言う。

「もう離れないで」

アイリは頷いた。

⏰:10/07/28 21:56 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#524 [シバ]
アイリアイリアイリ…

もうシバの中ではアイリしかいない。
めちゃくちゃ好きだ!

胸が熱くなった。
アイリが頷いた直後、シバはアイリを思い切り抱きしめた。

アイリも抱きしめてくれた。
シバの背中にアイリの長い腕がまわされる。


汗かいてるはずなのに、アイリはいい匂いがした。

⏰:10/07/28 22:00 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#525 [シバ]
目をギュッと閉じて、アイリのぬくもりを感じた。

顔を上げて、キスをした。
何度も何度も…何度も何度も。



「シバさん?」

アイリに問いかけられる。
シバは泣いた。
嬉しさとか、喜びとか、いろんな思いがこみ上げてきて、シバは泣いてしまった。

⏰:10/07/28 22:04 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#526 [シバ]
「なんで泣いてんだよ(笑)」

とか言うアイリも泣いていた。

報われた…

こんなに嬉しい思いをしたのは、ぶっちゃけ初めてじゃないかと思った。

それからは無言のまま、キスを続けた。
唇が腫れぼったい…
それでも続けた。
自然と舌を絡ませていた。
アイリがさっきまで噛んでいたガムの、ブルーベリーの甘い味がした。

⏰:10/07/28 22:13 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#527 [シバ]
今までブルーベリー嫌いだったシバ。

だけど、ブルーベリーはアイリの味。
それ以来、『ブルーベリー』というものをこよなく愛するようになった。

ガムを買う時はもちろん、ブルーベリー。
ヨーグルトを買う時もブルーベリー。
ブルーベリーブルーベリーうるさい!

っていうくらい、ブルーベリーを愛した。

キスを終えてしばらくボンヤリした後、アイリは準備の為、体育館へと向かった。

⏰:10/07/28 22:19 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#528 [シバ]
それから合宿中の昼休みは、ずっとあの教室へ行き、アイリとキスをした。

お互いの気持ちを確かめ合うかのように、抱き合った。
キスの最中、アイリは時折、


「…ン」

とか言う。
シバの中でドッカーンと何かが爆発したような気持ちになる。
可愛すぎだろ畜生!
このヤロー!
あぁ、もう!

⏰:10/07/28 22:26 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#529 [シバ]
あの一週間で、どれほど気持ちを確かめ合っただろうか…

「大好きだよ」
「ずっと一緒にいよう」
「離れてもずっと想ってるよ」
「将来一緒になろう」


一週間の合宿にピリオドが打たれた。
これからは離れるけど、アイリとの手紙や電話を大事にしよう。
シバが卒業したら、ケータイを買ってメールもしよう。
もちろん、アドレスにはアイリの名前を入れるよ。

⏰:10/07/28 22:30 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#530 [シバ]
ケータイも買うけど、それよりも先にアイリに会いに行きます。

車の免許だって頑張って取るし、車を買って一番にアイリを乗せるよ。

家は2人で住めるような、綺麗なマンションでもいいな。
そんな中に犬や猫もいればもっと最高になるなぁ…


高校3年でこんな夢を持って、あれから4年…

⏰:10/07/28 22:35 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#531 [シバ]
シバとアイリは一緒になる事はありませんでした。
合宿が終わって、帰りのバスの中でアイリはグシャグシャになりながら泣いていた。

「離れたくないよ…シバさん」

「いつか会いに行くよ。それまでお互い頑張ろう」

シバは無理やり笑顔を作ってアイリを送り出した。
大丈夫!っていう、何の根拠もない自信を持って。

⏰:10/07/28 22:39 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#532 [シバ]
離れてからの1ヵ月は手紙や電話のやりとりがあった。

それ以降、お互いプツリと連絡を取らなくなった。
何でなのか、いまだによく分からない。
だけどシバが思うに、お互い満足できていたのかもしれない。

合宿中の、あの昼休みの出来事…

我を忘れて、求め合って。
合宿までの数ヶ月間、ずっとお互いモヤモヤしていたから、それを晴らす事ができたから。

⏰:10/07/28 22:44 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#533 [シバ]
本当に幸せだった。
ものすごく大きな幸せだったから、一気に燃え尽きてしまった感じ。

時の流れって酷く冷たくて、残酷で、儚い。



高3で経験した、初めての愛。
相手は女の子。
こんな恋愛もあるんだ!って学んだ。
シバが愛だの恋だの語るには、まだまだ早過ぎたのかもしれない。

⏰:10/07/28 22:50 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#534 [シバ]
あれからアイリのチームと合宿をする事もなかった。
だからアイリとはまったく会えず終い。

その後の話として聞いた事…


アイリは今19歳になって、秀一とは別の彼氏ができて、お腹には赤ちゃんがいるっていう事。
近々結婚だってするでしょう。
リナから最近の写真だと送られてきた写メを見ると、髪は金髪?になっていて、少し太ったかなって感じで…

⏰:10/07/28 22:55 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#535 [シバ]
隣には微笑む男…
アイリと同級生で、生意気にも髭なんて生やして…

あの頃のアイリはもういない。
そう思うと、別に辛くもなけりゃ悲しくもならなかった。

幸せそうな顔してるアイリに言えるのは、幸せになってください。

ただそれだけ。

シバがそんな事言わなくても、十分幸せなんだろうけど。
だから、もっともっと幸せになってください。

⏰:10/07/28 22:59 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#536 [シバ]
そんな事言ってるシバだけど、2年前に新しい恋をしていました。

2年前のシバは二十歳。

高校3年生とか、かれこれ4年前の事なんですね。
懐かしい…





っていうワケで、これからは2年前のシバが経験した恋愛を語ります。
読んでくれたら喜びます。
めちゃくちゃ喜びます。

⏰:10/07/28 23:04 📱:F02B 🆔:iIM.gfE2


#537 [華]
アイリさん編??スゴィ良かったです!!

次のぉ話しも楽しみにしてますね

主さまのペースで頑張ってくださぃ

⏰:10/07/29 01:24 📱:P10A 🆔:J5S8J1IE


#538 [Sっ気]
ぜんぶ読みました!!!
次も頑張って下さい!!

⏰:10/07/29 06:39 📱:840P 🆔:IptZQHPk


#539 [我輩は匿名である]
楽しかったです
アイリちゃんと続いて
欲しかったです
次も楽しみにしてます

⏰:10/07/29 12:31 📱:SH05A3 🆔:mfZeqez2


#540 [我輩は匿名である]
面白かった〜
最後まで読みます

⏰:10/07/29 21:29 📱:P03A 🆔:l4cytRa2


#541 [福徳◆/nUhbtSemo]
面白かったあ!
お互い素直になれてて、なんか羨ましいな〜(笑)

⏰:10/07/31 01:27 📱:re 🆔:☆☆☆


#542 [シバ]
>>537-541さん
こんなに感想を貰えるなんて…(*´д`*)
シバ感動です!
よろしければ感想板にも遊びにきてくださいね

夜からまた更新しますんで、よろしくお願いします(^^)v

⏰:10/07/31 17:11 📱:F02B 🆔:7ghSDFkc


#543 [シバ]
>>536
高校卒業…
シバは進学せず、社会人になる事を決めた。

あれだけやる気に満ち溢れて燃えていた、バスケットも引退してしまえば、プツンとやる気の糸が切れてしまったようにピリオドを打った。
意外とあっさりだった。

あのまま大学に行って、バスケットを続けていたら、あの出会いはなかったと思う…

⏰:10/08/01 00:14 📱:F02B 🆔:ppVpXW/o


#544 [シバ]
高校1年時…
「シバは体育教師になる!」

高校2年時…
「シバは美容師になる!」

高校3年時…
「なんとかなる!」


なんという間抜けな3年生だったのだろう…
高校1年の時は、とにかくバスケットが大好きで大好きで、体育の道で進み、自らがバスケットを通して学んできた事を、バスケットを通して今度は自分が未来の子供達に教えていきたい!
そういう夢を持っていた。

⏰:10/08/01 00:18 📱:F02B 🆔:ppVpXW/o


#545 [シバ]
しかし…
体育教師は実技だけに限らず、保健の知識とか、その他諸々の事を教えられるようにならなければならない。
シバは口下手だ。

増してや保健の授業で『性について』なんて教えようもんなら、シバには無理がある気がした。

生徒達の前で、『セックス』とか、あんな事やこんな事を教えないといけないのだ。
セックスとか、自分より年下の子達に教えないといけないなんて、無理無理無理無理!
いやだ照れ臭い!

⏰:10/08/01 00:24 📱:F02B 🆔:ppVpXW/o


#546 [シバ]
んで、体育教師への夢を断念…

高校2年の時の夢は、『美容師』。

根拠はない。
ただ、シバの行きつけの美容室の美容師さんのハサミ裁きに胸を打たれ、シバもあんな風に格好良くチョキチョキしたい!
そんな単純な理由で目指す事を決めた。

前髪を切るだけで失敗するシバには無理な話だと分かるまでに、そう時間はかからなかった。

⏰:10/08/01 00:27 📱:F02B 🆔:ppVpXW/o


#547 [シバ]
少しだけカットする予定が、気がつけば斜めにざっくりと…

格好良く言えば、センスのないアシメントリー。悪く言えば…
もう、センスも糞もなく、美容師なんてとんでもない!っていうメッセージ。


んで、美容師の道断念。

高校3年…
理想と現実のギャップが凄すぎて、夢というより「なんとかなる!」精神で就職を考える事に。

⏰:10/08/01 00:39 📱:F02B 🆔:ppVpXW/o


#548 [シバ]
就職難の中、就職が決まった事はもの凄くありがたい事だ。
だけど、シバがやりたい事はこんな仕事じゃない!とか、不満を抱きつつも社会人になる事に…

しかし、慣れていくにつれて生きがいに感じるようになった。
仕事が楽しい!っていう気持ちが2なら、不満やストレス等は8。

生きがいっていうのは大袈裟かもしれないけど、この仕事を選んでよかった!
そう思えるようにはなれた。

⏰:10/08/01 00:44 📱:F02B 🆔:ppVpXW/o


#549 [我輩は匿名である]
アシメントリーじゃなくてアシンメトリーだよ(^^)

⏰:10/08/01 02:15 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#550 [シバ]
>>549

あ、本当だ(+_+)
入力ミスですね



>>548
そんなこんなで、卒業してからの約2年間は仕事に打ち込みまくった。

『8』ある仕事への不満は、嫌がらせとかイビリをする上司がいたり、仕事がキツ過ぎる事に対する不満だったり…
だから楽しいと思える気持ちは『2』。

⏰:10/08/01 11:04 📱:F02B 🆔:ppVpXW/o


#551 [シバ]
…そんな事言ってみても、仕事に就けただけでもありがたい事だし、『これも1つの社会勉強!』と思って踏ん張ってみれば、それなりに頑張れた。

たまに高校時代の友達が恋しくなったり、1人暮らしを始めた為、猛烈に家族が恋しくなったり、精神的な面では最初のうちはズタズタだった。

たまに電話をして、父や母の声を聞くだけで泣けてきて、うわぁ〜!とかなるけど、寂しいなんて気持ちがバレないように陽気に振る舞ってみたり。

⏰:10/08/01 11:11 📱:F02B 🆔:ppVpXW/o


#552 [シバ]
時間が経つに連れて、そういう事にも慣れてきた。
だから、2年も経てば、贅沢さえしていないが、それなりに充実した生活を送れていたハズだった。




シバには1人の姉がいる。
喧嘩も多かったけど、昔から仲良しで、シバの事をよく可愛がってくれていた。
シバもそんな姉の事が大好きだった。

⏰:10/08/01 11:19 📱:F02B 🆔:ppVpXW/o


#553 [シバ]
二十歳の夏…
そんなシバと姉の間に亀裂が入った。
と言うより、シバが亀裂が入るような事をしてしまった。


姉から冷たくされ、シバも姉に対して必要以上に会話もせず、もう『喋る』という事さえ無くなってしまっていた。



それは、ちょうど2年前の今頃の季節…

⏰:10/08/01 11:27 📱:F02B 🆔:ppVpXW/o


#554 [我輩は匿名である]
前から見てました☆
文章能力あるしほんとに読んでて楽しいしこの小説大好きでブックマークしてます!!!!
更新待ってます!シバさんのペースで頑張って下さい!

⏰:10/08/01 17:51 📱:W63H 🆔:jWXVJYhA


#555 [シバ]
>>554さん

ありがとうございますブックマークまで…(/_・、)

匿名さんの期待に応えられるように頑張ります(^^)
長々と続いちゃいましたが、最後までお付き合いお願いします(笑)

⏰:10/08/02 23:11 📱:F02B 🆔:Fisee49s


#556 [シバ]
>>553

姉はシバの1つ年上。
小さい頃から『ゆーちゃん』と呼んでいた(由香だから)。

ゆーちゃんは頭もいいし、運動もできる。
シバがバスケットを始めたのも、ゆーちゃんが先に始めていたから。

チームで一番上手いゆーちゃんに憧れて、その背中を追うようにシバもバスケット人生を歩むことに。

(ゆーちゃんはシバの事を名前で呼ぶけど、小説の中では『シバ』って呼ぶ設定で描いていきます)

⏰:10/08/02 23:20 📱:F02B 🆔:Fisee49s


#557 [シバ]
ゆーちゃんは高校を卒業した後、社会人として働きながらもバスケットを続けている。


本当は大学に行きたかったらしいけど、ノリで社会人になったらしい。
頭がいいから、いい大学に行けたハズなのにもったいない…

シバもゆーちゃんも地元を離れ、別々の場所でお互い頑張っていた。
何かあった時は、すぐにゆーちゃんに電話をしたし、ゆーちゃんも寂しくなったらシバにメールや電話をしてくれた。

⏰:10/08/02 23:26 📱:F02B 🆔:Fisee49s


#558 [シバ]
電話の内容は、だいたいこんな感じ。

「ゆ〜ちゃん…」
「何?」

「暇すぎる!相手してよ」
「あたしは暇じゃないよ(笑)」

「え〜?何してんの?」
「漫画読んでた」

「暇人じゃんか!」
「漫画読み終わったらまた電話するわ!じゃね」

プツっ…

「…………」

⏰:10/08/02 23:30 📱:F02B 🆔:Fisee49s


#559 [シバ]
「ゆーちゃん!腹痛い…」
「あらら…う○こしておいで」


「そういう痛さじゃないんだよ…なんかこう、キリキリする」
「コーラックでも飲めば?」

「だからう○この痛さじゃないんだってば!」
「コーラック飲む時は寝る前の方がいいよ。昼間に飲むととんでもない事になるから(笑)」

「いや、だから…」
「あたし前よく飲ん…あ、誰か来た!ごめん、また後で」

プツっ…

⏰:10/08/02 23:34 📱:F02B 🆔:Fisee49s


#560 [シバ]
「……(ゆーちゃん)」



…みたいな、なんかどうでもいいような会話ばっか。
むしろ、シバの相手してくれない。
だけど、シバが悩んだ時はとことん相談を聞いてくれる。
だから、ゆーちゃんの事は昔から好きなのだ。

一緒に馬鹿もするし、お互い親身になって支え合えるし、理想の姉妹だと思う。

⏰:10/08/02 23:39 📱:F02B 🆔:Fisee49s


#561 [シバ]
そんなゆーちゃんだから、友達も多い。

どこに行ってもリーダー的存在のゆーちゃんは、シバにとって自慢の姉だった。

「シバのお姉さん格好いい!」
「あたしファンになっちゃおっかな♪」

なんて友達が言うもんだから、こちらは鼻が高い。

「シバと正反対だね」
「本当にシバは由香さんの妹なの?」

こんな事を言われる度に、高かった鼻をボキリと折られる。

⏰:10/08/02 23:47 📱:F02B 🆔:Fisee49s


#562 [シバ]
ゆーちゃんはいいなぁ…なんでゆーちゃんばっかり…


普通はそんなヤキモチを妬いてしまうだろう…
だけど、シバはゆーちゃん大好きだ!
自慢の姉だ!

だから、シバもゆーちゃんみたいな人間になろう!
とか、素直にゆーちゃんの凄さを受け入れ、目標としていた。

こんな関係が大人になっても、ずっと続く事を夢見て…

⏰:10/08/02 23:51 📱:F02B 🆔:Fisee49s


#563 [シバ]
特にゆーちゃんと仲が良かったのが、高校時代からの付き合いだという『理彩(りさ)』ちゃん。

2人は高校は別々だったけど、地元も一緒だし、バスケの試合や合宿でよく顔を合わせていたから、長い付き合いができたらしい。

シバは理彩ちゃんと会う度に、よく絡まれていた。
最初はまったくの赤の他人みたいに関わりはなかったけど、仲良しのゆーちゃんの妹っていう事で、よく弄られていた。

⏰:10/08/03 00:02 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#564 [シバ]
最初…
「由香〜!休みの日できたら教えてね!ってか、隣の子…え?妹?由香の?へぇ〜、そうなんだ♪こんにちは〜♪」

時が経ち…
「なんて呼んだらいいかな?『シバ』でいいかな?なんか照れ臭いなぁ(笑)」

更に時が経ち…
「よぉ、シバ!」



理彩ちゃんの第一印象は、『馴れ馴れしい』だった。
出会って間もないのに、呼び捨て。

⏰:10/08/03 00:07 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#565 [シバ]
それをゆーちゃんに報告した所…

「へぇ〜!よかったじゃん♪」
「何が?」

「理彩ね、初対面の人に自分から話かけない主義の子なのよ。ってか、人見知りするから絶対に自分からは話そうとはしないハズなんだけど…」
「へぇ…」

「ま、理彩と仲良くしてあげて。ああ見えて寂しがり屋さんだから(笑)」

⏰:10/08/03 00:11 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#566 [シバ]
ああ見えて…と言うのは、理彩ちゃんの容姿。

背は低いけど、なんか強そうっていうかなんていうか…
気が強そう。

んで、顔と声はめちゃくちゃ可愛い。
こんなに顔のパーツが整ってる美人が世の中にはいたのかぁ…
日本も捨てたもんじゃないな。

っていうくらい、美人さん。
パッチリ二重の綺麗な目が強く印象に残った。

⏰:10/08/03 00:14 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#567 [シバ]
確か、シバが高校に入学する前にゆーちゃんのプリクラ帳で理彩ちゃんを見た事がある。

年上だか年下だかのイケメン彼氏と2人で、海だか川だか山だか谷だか行ったみたいな事を落書きしてるやつ。

ゆーちゃんから、

「地元で有名な美男美女カップルだよ♪」

って聞いた記憶もない事はない。
何度見ても、理彩ちゃんはやっぱり可愛い。

⏰:10/08/03 21:57 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#568 [シバ]
だけど、ゆーちゃんだって普通に可愛い。
理彩ちゃんよりは背が高いけどスタイルがいいし、切れ長の目で、黒髪美人。

ゆーちゃんと理彩ちゃん2人で街を歩いているのは、なかなかの見物であるハズ。

そんなゆーちゃんの妹であるシバは、ゆーちゃんと理彩ちゃんに比べたら芋レベル。
あんた本当に由香さんの妹?って聞かれるのも無理はない。

⏰:10/08/03 22:02 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#569 [シバ]
理彩ちゃんに会うのは、ゆーちゃんと理彩ちゃんの社会人のクラブチームの試合がある時くらい。

ゆーちゃんと理彩ちゃんは別のチームだけど、シバはいつも試合の応援には行っていた。
大好きなゆーちゃんに会えるのが楽しみだからである。
理彩ちゃんとは、そこまで仲が良いってワケじゃなかったから、シバにとって理彩ちゃんに会えるのは、ゆーちゃんのオマケみたいに考えていた。

⏰:10/08/03 22:05 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#570 [シバ]
試合の日…

ゆーちゃんは試合前のアップや準備で、バタバタしていた。

「ゆーちゃんに会えるのは試合が終わってからかな?」

自販機でジュースでも買って、それまでゆっくり待とう!
体育館の玄関前のロビーの自販機に向かった。

財布を取り、小銭を入れる。

「リィ、炭酸飲みたい♪」

⏰:10/08/03 22:10 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#571 [シバ]
後ろから声がする。
振り向くと、黒い大きな椅子に、だらんともたれかかって座っている理彩ちゃんがいた。

理彩ちゃんは、自分の事を『リィ』と呼んでいる。
首にはカラフルなタオルをかけていた。

「ね、シバ!リィにも何か買って♪」

「いいけど…試合終わったんですか?」

「さっき終わった!もうすぐ由香の試合だよ♪」

⏰:10/08/03 22:14 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#572 [シバ]
ピョンっと椅子から飛び降りて、ニコニコしながらシバの方に近付いてくる。
その様子は、まるで幼い子供のよう…

「炭酸炭酸〜!試合中は甘ったるいポカリしか飲めないから、今ガンガン飲みたい気分♪」

シバは自分のサイダーを買って、理彩ちゃんの分の小銭を入れた。

「どうしよっかな〜…ペプシも飲みたいけど、やっぱコカ・コーラだね」

⏰:10/08/03 22:19 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#573 [シバ]
勢いよくボタンを押して、コーラを取り出した。

「ありがとうシバ♪座って一緒に飲もう」

シバの手を引いて走り出す様子も、幼い子供のよう。

「シバが買ってくれた初めてのコーラだから大事に飲むよ♪」


そう言って勢いよくプシュっと開け、勢いよく飲みだした。
どう見ても、大事に飲んでるようには見えないけど…

⏰:10/08/03 22:23 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#574 [シバ]
「由香の試合一緒に見ようよ!リィのチームの人みんな帰るみたいだから、1人は寂しいよ…」

泣きそうな顔を作る理彩ちゃん。

「別にいいですよ」

「ってかさぁ、敬語とか遣わなくていいよ!リィなんかに敬語遣ったってリィ、先輩に見えないでしょ?」

「確かに…でも、先輩は先輩だから」

「あ〜、そんなん全然気にしなくていいよ」

⏰:10/08/03 22:27 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#575 [シバ]
「はぁ…」

「あと、理彩ちゃんじゃなくて『リィ』でいいよ!ってか、そう呼んで♪理彩ちゃんって呼ぶ人ほとんどいないし」

「はぁ…」


圧倒された。
何に圧倒されたかというと、理彩ちゃんという人間の人柄。
よく分かんないけど、すべてが圧倒的だった。

顔は可愛いけど、多少怖そうなイメージがあった。

⏰:10/08/03 22:31 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#576 [シバ]
そんな人が、こんな子供みたいな笑顔を見せるなんて…
人間、見た目だけじゃ分からないってもんだ。


2人でしばらくまったりしていると、由香ちゃん達が体育館に入っていった。

「あ、ゆーちゃん!」

「シバ〜!来てたんだ♪また後でゆっくり話そ!」

ゆーちゃんが行ってしまうと、隣から強烈な視線を感じた。

⏰:10/08/03 22:35 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#577 [シバ]
「ホント仲良しだね、あんた達(笑)由香が来た瞬間、シバめっちゃ嬉しそうだったね」

「そうかな?」

「由香も由香で、リィの前でよくシバの話するんだよ」

「へぇ」

「なんかいいね。仲良し姉妹かぁ」


ダラダラ話しながら、体育館へと入った。

⏰:10/08/03 22:39 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#578 [シバ]
久しぶりに見るゆーちゃんのバスケ姿。

最近は仕事が忙しくて、ほとんど練習出来ていなかったらしい。
そのせいか、終盤で足が吊り、途中退場となってしまった。
その姿を見た理彩ちゃんは、隣で大爆笑。

「足吊ってるし。無理しすぎ(笑)」

ゆーちゃん大好きなシバだから、普通はこんな場面で爆笑する奴を見たら「何だコノヤロー」とか思ってしまう。

⏰:10/08/03 22:44 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#579 [シバ]
だけど、シバは知っている。

高校時代、由香ちゃん・シバのチームがAコート、理彩ちゃんのチームがBコートで試合をしていた時の事…

絶好調だった由香ちゃんが、突然膝を抱えて倒れ込んだ。
その姿を見ていたのか理彩ちゃんは、自分達も試合中だったにも関わらず、Aコートに走ってきて由香ちゃんに駆け寄ったのだ。
これには会場も騒然となった。

⏰:10/08/03 22:51 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#580 [シバ]
一番に駆け寄ってきたのが、隣で試合中の4番を着たキャプテンだったからだ。

シバはその姿をはっきりと覚えている。
怪我を負ったキャプテンに、別のチームのキャプテンが試合中に駆け寄ってくる…

病院に運ばれたゆーちゃんだったけど、軽い怪我で済んだようだ。

体育館に戻ってきたゆーちゃんに、一番に駆け寄ってきたのはやっぱり理彩ちゃんで、ゆーちゃんを見るなり泣きながら抱きついたのだ。

⏰:10/08/03 22:56 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#581 [シバ]
よかった…
よかった…

そう言いながら、小さい体でゆーちゃんに飛びついた。


その時は、シバと理彩ちゃんは、今こんな風に喋れる事が嘘のように、まったくの他人だった。

ゆーちゃんが足を吊った場面を見て、こんな事を思い出していた。

ゆーちゃんのチームは勝った。
試合が終わって、理彩ちゃんと一緒にゆーちゃんのもとへ。

⏰:10/08/03 23:00 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#582 [シバ]
「ダサすぎだよ、柴崎姉さん(笑)」

理彩ちゃんは意地悪な笑顔を浮かべながら、ゆーちゃんに絡む。

「だって、最近バスケしてなかったんだもん!ビックリしたわぁ」

そう言いながら、ゆーちゃんはストレッチをしている。

「シバ、来てくれたんだね。せっかく来てくれたのに、みっともないトコ見せちゃってごめんちゃい♪」

無邪気に笑うゆーちゃん。

⏰:10/08/03 23:04 📱:F02B 🆔:8mVFIB7c


#583 [暇人]
>>001-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600

⏰:10/08/04 01:08 📱:936SH 🆔:AOW40T3Q


#584 [シバ]
>>583さん
安価ありがとうございます(〃▽〃)


>>582
汗をかいて髪の濡れている美人2人が揃った。
シバは、なぜか心が弾んだ。
久しぶりの再会って、何かいい。
それで、多少照れ臭いけど、自然と接せられると尚いい。

ゆーちゃんも理彩ちゃんも笑ってる。
それに釣られたように、シバも自然と笑顔になる。

⏰:10/08/05 22:02 📱:F02B 🆔:ZHvgb/hM


#585 [シバ]
ゆーちゃんのチームが解散すると、3人でご飯食べに行こう!ってなって、近くのファミレスへ。

席について、メニューを配る。

「シバ、気が効くじゃん♪」

そう笑うのは理彩ちゃん。

「でしょ?だって、シバはあたしの妹だもん♪」

なんて言うのはゆーちゃん。

⏰:10/08/05 22:05 📱:F02B 🆔:ZHvgb/hM


#586 [シバ]
たった1個しか歳は変わらないのに、2人が随分大人に見える。

メロンソーダを飲みながら、しみじみしていた。


よくよく話を聞いていると、恋バナに入った。

「理彩もいい加減、彼氏作ればいいのに」

ゆーちゃんがコーヒーを飲みながら言う。
理彩ちゃんは全く動じないと言わんばかりに笑っている。

⏰:10/08/05 22:10 📱:F02B 🆔:ZHvgb/hM


#587 [シバ]
「そういう由香だって!いい加減彼氏作りなよ♪」

「あたしはちゃんといます〜!」

「…嘘?ああ、だったね。ダイチ君だっけ?」

「違う!タイキ!」

「ああ、そう♪」


大人な2人は、大人な会話をしている…
シバは知らなかった。
ゆーちゃんに彼氏がいる事を。

「嘘!ゆーちゃん彼氏いるの?」

⏰:10/08/05 22:14 📱:F02B 🆔:ZHvgb/hM


#588 [シバ]
「いるよ(笑)まぁ、最近出来たばっかなんだけどね。シバに言ってなかったっけ?」

「言ってない!」

何かショックだった。
喜ばしいとは思ったけど、やっぱりショックだ。自分の大好きな姉に彼氏がいるのだ!
シバのゆーちゃんを取るな!って思った。

「何?シバ、妬いてんの?」

意地悪に笑う理彩ちゃん。

「妬いてない!」

⏰:10/08/05 22:17 📱:F02B 🆔:ZHvgb/hM


#589 [シバ]
何を話しても、ニヤニヤしている2人を目の前ににすると、上手く話が出来ない。
だから、大人しく黙ってる事にした。

タイキ君との出会いは〜?
付き合ってどれくらい〜?

乙女達の恋バナはまだまだ続く。
そんな中、理彩ちゃんから意味深な言葉を聞いた。

「あたしは彼氏はいらない」

⏰:10/08/05 22:21 📱:F02B 🆔:ZHvgb/hM


#590 [シバ]
カプチーノだかカフェオレだかを、グチャグチャに混ぜながら理彩ちゃんは笑う。

「だってめんどくさいもん♪」

すかさず、シバは聞く。

「前、プリクラに写ってた人は?」

「いつの話してんの、アンタ(笑)」

ゆーちゃんが言う。

「地元で有名だったっていう、美男美女カップル」

⏰:10/08/05 22:25 📱:F02B 🆔:ZHvgb/hM


#591 [シバ]
「あ〜…あたしらが高1の時のやつだ!懐かしい(笑)とっくの昔に終わったしね。ってか、そんな風に言われてたんだ(笑)」

「ごめんね理彩〜。シバって情報古いから」

グダグダだ…
KYって、シバみたいなやつの事を言うのだろう。これもまた古いけど…


理彩ちゃんは続ける。

「あたし、誰か1人の物になるっていうのが嫌。無理!だって、完璧に相手だけの所有物みたいになるじゃん」

⏰:10/08/05 22:29 📱:F02B 🆔:ZHvgb/hM


#592 [シバ]
「それって…遊びたいだけ?とか…?」

ゆーちゃんは少しビックリした表情を見せる。

「遊ぶ事もめんどくさい。男は友達って思ってる。仲良い男友達はたくさんいるけど、恋人とか結婚とか、何か嫌。あたしの場合はだけどね」

乙女チックな恋バナが、一気に冷たい空気になった。
シバはアタフタした。

「シバは彼氏いないの?」

⏰:10/08/05 22:35 📱:F02B 🆔:ZHvgb/hM


#593 [シバ]
話題を変えるかのように、理彩ちゃんが話をふってきた。

「あ〜、シバは…いない」

去年まで彼女がいました!
なんて、口が裂けても言えない。
彼女って言えるかも分かんないけど…

アイリ…


「ふぅん」

興味なさそうに、理彩ちゃんはエビグラタンを口に運ぶ。

⏰:10/08/05 22:38 📱:F02B 🆔:ZHvgb/hM


#594 [Sっ気]
あげっ!!

⏰:10/08/09 21:09 📱:840P 🆔:KTvK2yBI


#595 [真沙也]
あーげ

⏰:10/08/09 23:15 📱:930CA 🆔:LkpLKr8I


#596 [Sっ気]
あげーい

⏰:10/08/12 13:10 📱:840P 🆔:oH2pR7ns


#597 [シバ]
>>594
>>596さん

あげありがとうございます(/_・、)
後で感想板の方にも顔を出します!
いつも感謝です!


>>595さん
お久しぶりです(^^)v
あげありがとうございます



更新します〜(´_ゝ`)

⏰:10/08/12 21:02 📱:F02B 🆔:ugU6qEbc


#598 [シバ]
>>593

しばらくぼんやりしていた。
理彩ちゃんの言う、『あたしは彼氏いりません発言』が、妙に気になってしまう。

ゆーちゃんはそこまで気にしていないっぽい感じだったけど、シバは…


動揺というか、理彩ちゃんがどういう意味を込めて、その言葉を放ったのか考えまくっていた。

⏰:10/08/12 21:08 📱:F02B 🆔:ugU6qEbc


#599 [シバ]
「何かお腹空いた」

そう言ってメニューを広げる理彩ちゃん。

ゆーちゃんはギョッとしながら言う。

「あんた、今グラタン食べたばっかでしょ!まだ食べるの?」

「だってグラタンだけじゃ足りないよ。お腹に溜まらないもん」

店員を呼んで、ポテトとコロッケを注文した。

⏰:10/08/12 21:12 📱:F02B 🆔:ugU6qEbc


#600 [シバ]
「美味しそうでしょ〜♪由香も食べる?」

「いや、あたしは…」


コロッケを熱い熱い言いながら嬉しそうに頬張る理彩ちゃんは、やっぱり子供に見える。
しっかり者のゆーちゃんと、ちょっと幼い感じの理彩ちゃん。
バランスの取れたコンビなのかもしれないな〜…とか思いながら、シバはおかわりのコーラを取りに行った。

⏰:10/08/12 21:16 📱:F02B 🆔:ugU6qEbc


#601 [シバ]
「そろそろ帰ろうか」

理彩ちゃんのその言葉で、宴もたけなわ。

レジへと向かう。

「今日はあたしの奢りね。柴崎姉妹にはお世話になったし♪」

理彩ちゃんはそう言うと、財布から福沢諭吉を取り出した。

「いいっていいって!割り勘にしよう」

会計を済ませた理彩ちゃんは、そう言うゆーちゃんを外にポイポイしながら店を出た。

⏰:10/08/12 21:21 📱:F02B 🆔:ugU6qEbc


#602 [シバ]
「いいから!今日はあたしの奢り♪」

「なんか…ごめんね理彩」

「いいってば!次は由香に奢ってもらうから(笑)」

「OK!何食べに行きたい?」

「焼き肉食べ放題♪」

「おいコラ!」


そんな会話をしながら、ゆーちゃんと理彩ちゃんは同じ車で、シバは電車でそれぞれ分かれた。

⏰:10/08/12 21:25 📱:F02B 🆔:ugU6qEbc


#603 [シバ]
ゆーちゃんの試合を見れて、タダで美味しい飯を食べれて、何て幸せな1日だったのだろうか!

家に着いたシバは、早速今日の出来事の余韻に浸った。
シバも久々にバスケやりたくなってきたな〜。



そして眠りに就く。
おやすみなさい。




それから、約2週間後…

⏰:10/08/12 21:29 📱:F02B 🆔:ugU6qEbc


#604 [シバ]
仕事を終え、家に帰る。

ケータイを開くと、メールが数件。

メルマガと、職場の友達と…

『ガキンチョ!』

って一言だけ書かれた知らないアドレスからのメール。


ガキンチョメールをほったらかして、職場の友達に返信。

⏰:10/08/12 21:32 📱:F02B 🆔:ugU6qEbc


#605 [シバ]
夜になっても返信しなかった。
知らない人からメールがくるとか、1人暮らしってやっぱり物騒だね〜…

あ〜怖い怖い。


寝る前になっても返信せず。
とりあえず布団に潜ってみる。

「あのね〜、野菜ジュースのカロリーは〜♪意外に高〜い高いよ〜♪びっくらこいた、びっくらこい〜た〜♪」

⏰:10/08/12 21:36 📱:F02B 🆔:ugU6qEbc


#606 [シバ]
ケータイが鳴った。
当時、シバが電話の着信音にしていた曲だ。

ケータイを開くと知らない番号から…

さっきのメールといい、この電話といい、1人暮らしって本当に物騒…


怖いけど、ワケの分からない電話とか、怖い人からの脅しの電話とかだったら、警察に行けばいい!

そんな地味な勇気を持って、通話ボタンをポチッとな。

⏰:10/08/12 21:40 📱:F02B 🆔:ugU6qEbc


#607 [シバ]
「…もしもし」
「もしもし?」

「はい」
「シバ?」

「はい」
「何で返信してくれないの〜?泣くぞ!」

「はい?」
「泣くぞ!」

「え…はい?」
「もしかして分かんない?」

「あぁ、はい」
「悲しいな…」

⏰:10/08/12 21:44 📱:F02B 🆔:ugU6qEbc


#608 [シバ]
「悲しい?」
「うん(笑)」

向こうでクスクス笑い声が聞こえる。


「あの、シバですけど…」
「本当に分かんないの?あたしだよ(笑)」

「………あはは」
「理彩だけども♪」

「…え?」
「リィだよ!」


「理彩ちゃん?」
「そうだよ」

⏰:10/08/12 21:48 📱:F02B 🆔:ugU6qEbc


#609 [シバ]
一気に目が醒めた。

「理彩ちゃんんん?」
「そだよ♪シバ何してんの?」

「何って…寝ようかなって思って」
「もう寝るの?早くない?」

時計を見ると、もう0時前。

「だって、もう夜中だよ」
「リィはいつも2時過ぎくらいまで起きてるよ♪暇すぎてさ〜。シバ遊びに来て」

⏰:10/08/12 21:52 📱:F02B 🆔:ugU6qEbc


#610 [シバ]
「無理ですよ〜」
「だから敬語遣うなっての!」

「あ、ごめんなさい」
「ねぇ〜、会いに来てよ!暇すぎてさ〜。由香に電話したけど出ないし…あんたら寝るの早すぎ」

「いや、理彩ちゃんが遅すぎるんじゃ…」
「だからリィって呼べっての」

「あ、はい」
「リィ1人じゃつまんないよ〜…遊び来てよ」

⏰:10/08/12 21:58 📱:F02B 🆔:ugU6qEbc


#611 [シバ]
「明日また仕事だもん」
「シバ真面目すぎ(笑)仮病でも使って休めば♪」

「無理っす。ってか、理彩ちゃん…リィ、明日仕事は?」
「仕事?普通にあるよ」


「キツくないの?」
「別に。いつもほとんど寝ないし」

「凄いね」
「普通でしょ」

「普通じゃないよ」
「シバが寝るの早すぎなんだってば(笑)…やっぱり無理?」

⏰:10/08/13 23:11 📱:F02B 🆔:wvjnDuco


#612 [シバ]
『やっぱり無理?』っていう言葉の所で、やたら甘えた口調になる理彩ちゃん。
妙にトロトロしている。断固として断り続けたシバだったけど、その甘えた口調で調子が狂った。

「…分かったよ」
「え♪マジ?」

「でも、明日は流石に無理だよ。仕事はちゃんとしないと」
「…そっか」

『…そっか』の所で、妙に寂しい口調になる。
更に調子が狂う。

⏰:10/08/13 23:14 📱:F02B 🆔:wvjnDuco


#613 [シバ]
「今週の土日で良かったら遊びに行くけど」
「マジ♪ホントに?」

「うん」
「やったぁ♪じゃあ、泊まりだね♪」

「泊まり〜?」
「何で?嫌?」

「いや、嫌じゃないけど」
「ならいいじゃん♪」

「…うん」
「じゃあ、色々準備して待っとくね♪」

あっさりとお泊まりの約束をしてしまった。
ゆーちゃんごめんなさい…の出来事を巻き起こす火蓋が切られた瞬間だった。

⏰:10/08/13 23:20 📱:F02B 🆔:wvjnDuco


#614 [我輩は匿名である]
>>1ー100
>>101ー200
>>201ー300
>>301ー400
>>401ー500
>>501ー600
>>601ー700

⏰:10/08/14 03:07 📱:F01A 🆔:UienNjaU


#615 [由衣]
あげっ

⏰:10/08/23 03:44 📱:840P 🆔:ssXSrcMw


#616 [我輩は匿名である]
あげます

⏰:10/08/26 15:07 📱:SH05A3 🆔:JBP2250o


#617 [我輩は匿名である]
あげ(´∀`)

⏰:10/08/26 16:49 📱:N02A 🆔:84Km1Xb2


#618 [我輩は匿名である]
>>300-600

⏰:10/08/26 22:18 📱:P10A 🆔:KjlgoK0E


#619 [シバ]
皆さんお久しぶりです!
あげ&安価ありがとうございます
最近仕事が多忙のため、なかなか更新できませんでした
明日からまた更新していきます!

また読んで頂けると飛び跳ねて喜びます(笑)
感想板の方も明日顔を出します。
よろしくお願いします

⏰:10/08/26 23:52 📱:F02B 🆔:X7jpIftQ


#620 [名前が無い名前]
僕の本名と姉の彼氏の名前が一緒で吹きましたw明日からまた楽しみに読ましていただきますw

⏰:10/08/27 01:42 📱:SH03B 🆔:RbYKcuog


#621 [シバ]
>>620さん
ホントですか?
偶然ってあるもんなんですね
何かいい事ありそう(笑)


>>613
約束通り、その週の土日は理彩ちゃんのもとへ。それまでの期間は、仕事中にも関わらず、何かがありそうな予感がしてワクワクしたような、理彩ちゃんと2人っきりという事で妙に緊張している感じだった。

⏰:10/08/27 21:15 📱:F02B 🆔:k0c0fDdA


#622 [シバ]
土曜日の昼過ぎ…
理彩ちゃんの家へ行くために駅へと足を運ぶ。

途中、電話が鳴った。

「もしもし〜?今何してんの?」

ゆーちゃんだった。

「暇だったら遊び来ないかなぁって思って♪」

やたらテンションが高いゆーちゃん。
嬉しかった。
けど…
これから、別の約束がある。

⏰:10/08/27 21:56 📱:F02B 🆔:k0c0fDdA


#623 [シバ]
「行きたいんだけど…これから別の所に遊び行くんだ」

「そうなの?あたしからの誘い断るとか、いい度胸してるね(笑)嘘嘘♪…で、どこ行くの?」


理彩ちゃんの家…
言いたかったけど、言えなかった。
普通に言っとけば、後々困らなかったかもしれないのに…
別に教えたって何もおかしくないのに、何で教えなかったんだろう…

⏰:10/08/27 22:06 📱:F02B 🆔:k0c0fDdA


#624 [七氏]
>>1-300
>>300-600
>>600-900

⏰:10/08/28 05:50 📱:D705i 🆔:TdahdMfM


#625 [シバ]
「友達のトコ。久しぶりに会えるから楽しみだわ♪」

「あ、そうなの?じゃあ来れないね。しょうがない!また暇になったら教えてよ♪休みの日なら基本的にあたしは暇だから(笑)」

「了解。ゆーちゃんごめんね。また誘って」

「いいよ。んじゃ、またねん♪」


別に理彩ちゃんとは何もないのに、ゆーちゃんに対して後ろめたい気持ちがあった。

⏰:10/08/28 19:49 📱:F02B 🆔:WGhWU7KM


#626 [シバ]
電話を切り、しばらく電車を待つ事に。
電車待ちは、シバと挙動不審なオッサンの2人だけ…

シバと目が合うと、オッサンは小刻みに顔を震わせながら逆を向く。
泣きたくなった…


電車が到着。
急いで乗り込んだ。
なぜかオッサンも走って乗り込んできた。
意味が分からなかった。

⏰:10/08/28 22:10 📱:F02B 🆔:WGhWU7KM


#627 [シバ]
電車に揺られる事2時間…
理彩ちゃんの住む町に到着した。
待ち合わせ場所は、駅から20分ほど歩いた所にある大学の門の前。
そこが一番分かり易い目印だった。
先に到着したのはシバ。
しばらく理彩ちゃんを待つ事に。
30分もしないうちに、理彩ちゃんはやってきた。

「ごめんごめん。遅くなっちゃった」

「ああ、大丈夫」

⏰:10/08/28 22:17 📱:F02B 🆔:WGhWU7KM


#628 [シバ]
理彩ちゃんは笑顔でシバを迎えてくれた。

だけど…

酷く疲れた顔をしている事に気付いた。

「ねぇ、リィ…今日、顔死んでるよ」

シバは、理彩ちゃんの事を『リィ』と呼ぶようになっていた。

「あは〜♪最近職場の人と飲み会が続いたからさ。でも、大丈夫♪」

「だから、毎日寝るのが遅かったの?」

⏰:10/09/02 20:56 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#629 [シバ]
「…う〜ん、まぁね」

「本当は睡眠不足なんでしょ?『平気』とか言ってたけど、無理してたんじゃん」

「大丈夫だって♪」

「大丈夫じゃないよ…よし、予定変更!リィの家行こう」


理彩ちゃんと合流した後、適当にカラオケ行こうとか、ボーリングしようとか計画があった。
だけど、今の理彩ちゃんは理彩ちゃんじゃない…
笑顔が無理してる…

⏰:10/09/02 21:00 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#630 [シバ]
理彩ちゃんは、申し訳なさそうに俯いて、シバの服の袖を掴んで、横にブンブンと振った。
それは、ゆーちゃんと理彩ちゃんが一緒にいる時に見せる、理彩ちゃんの行動。

拗ねてるというか、寂しいというか、そんな気持ちを表現する時の行動らしい。

「リィ…遊びたいよ」

ボソリと呟いた。
5歳児が言うようなセリフ。

「本当は眠いんでしょ?」

⏰:10/09/02 21:06 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#631 [シバ]
「眠くないよ」
「眠いんでしょ?」

「眠くないよ」
「嘘でしょ?」

「嘘じゃないよ」
「嘘ついたら、シバ帰るから」


袖を掴んでる理彩ちゃんの腕を軽く振り払って、シバは背中を向けた。

何歩か進んで、振り返る。


「?!」

⏰:10/09/02 21:09 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#632 [シバ]
力が抜けた。
理彩ちゃんは、俯いたまま地面にチョコンと座り、目頭を押さえている。

「泣いたフリとかバレバレだよ」

理彩ちゃんのもとに歩み寄ってみると、更に力が抜けた。

理彩ちゃんの目からは、大粒の涙が溢れていた。

え?
リィって年上だよね?
二十歳超えてるんだよね?
え?マジで泣いてる…

⏰:10/09/02 21:13 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#633 [シバ]
色んな事を考えてオロオロしていると、理彩ちゃんは急に立ち上がり、パッチリ二重の目に涙を溜めて、シバを見上げた。

理彩ちゃんとシバの身長差は、軽く10p以上。改めて、理彩ちゃんは小柄なんだな〜って事に気付く。

「遊びたい…せっかくシバが遊び来てくれたのに…」


んで、また泣く。
幼稚園児をあやしているような光景だったと思う。

⏰:10/09/02 21:20 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#634 [シバ]
「わかった!じゃあさ、今回はリィの家でまったりしながら遊ぼう。リィには無理させたくないし、近々また遊びに来るから」

その一言だけでは、納得するはずがない。
嫌だ!遊びたい!

そんな応えが返ってくると思っていたけど…

「…帰っちゃうの?」

理彩ちゃんは、寂しそうなキョトンとした顔でシバの目を見つめた。

⏰:10/09/02 21:23 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#635 [シバ]
「え?いや、だから今回はリィの家で遊ぼうって…」
「帰らないよね?」

「帰らないよ」
「ホントに?」

「ホントに」
「ん〜…じゃ、リィの家行こ」


渋々とした態度と見せかけて、理彩ちゃんはニヤニヤしていた。
なんて手のかかる奴なんだ…
そう思っていたけど、この辺りからシバは、理彩ちゃんに対して少しずつ特別な感情を抱いていくようになる。

⏰:10/09/02 21:28 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#636 [シバ]
バスケットをする時の真剣な理彩ちゃん。
プライベートで子供みたいによく笑い、よく泣く理彩ちゃん。

こういうギャップって、何か心を動かされる。
他の人が知らない事を、自分は知ってるんだ!っていう、満足感というか何というか…

バスケットをする理彩ちゃんの事だけを知っている人は、よく笑い、よく泣く理彩ちゃんを知らない。

理彩ちゃんとは、プライベートだけの付き合いだという人は、バスケットに取り組む理彩ちゃんの真剣な姿や、真剣な眼差しを知らない。

⏰:10/09/02 21:36 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#637 [シバ]
理彩ちゃんと並んで歩く。

理彩ちゃんとシバが2人っきりになるっていう事は今までなかったから、お互い照れくさい気がして、向かい合って話をする事ができなかった。

理彩ちゃんとシバとゆーちゃん…
この3人で1つみたいになってたから、今回の理彩ちゃん宅のお泊まりは、何かがある気がして止まなかった。

増してや、理彩ちゃんからのお誘いという事もあったし…

⏰:10/09/02 21:42 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#638 [シバ]
理彩ちゃんの住むアパートは、待ち合わせ場所から歩いて約10分の所にあった。

特別に綺麗!ってワケではなかったけど、1人暮らしには不便しない広さで、ちょっと洒落たロフトみたいな物も付いていた。

理彩ちゃんの部屋は、バリバリ女の子の部屋。
人形があって、色もピンクとか白とか、明るい感じ。

理彩ちゃんのフワフワした部屋は、CDや写真が散乱していたけど、割と綺麗に片付いていた。

⏰:10/09/02 21:48 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#639 [シバ]
「へぇ〜!綺麗にしてるじゃん。お邪魔します♪」

靴を脱いで、荷物を下ろす。
静かだな〜と思って、玄関の方を振り向くと、理彩ちゃんは縮こまったように背中を丸くして、キョトンとした顔でシバを見ていた。

「え?どうしたの(笑)」

「リィの部屋、散らかってるな〜って思ったでしょ」

「え?別に」

⏰:10/09/02 21:53 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#640 [シバ]
「ちゃんと掃除しとけばよかった…ごめんね」

「リィ、何かいつもと違う」

「いつもと一緒だよ」

「いや、いつものリィだったら、そんなネガティブな事言わないもん。『散らかってるでしょー?あは〜♪ごめんね〜♪』』とか言うはずなのに」

「リィ、どんな目で見られてんの(笑)」

「とにかく、ちょっと寝なさい!睡眠不足とか、近々ぶっ倒れるぞ!」

⏰:10/09/02 21:58 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#641 [シバ]
言われなくても、相当眠かったようで、布団に横になった。
理彩ちゃんは、ベッドより布団を敷いた方が好きだという。

「シバ!」

呼ばれて理彩ちゃんの横に座る。

腕を引っ張られて、潤んだ目で見つめられる。

「シバ…リィが寝てる時に帰ったりしないでね。横にいてね」

「いるから(笑)大丈夫」

⏰:10/09/02 22:03 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#642 [シバ]
笑顔を見せた理彩ちゃんは、ゆっくり目を閉じた。
寝息を立てるまで、そんなに時間はかからなかった。
とりあえず、シバはホッとした。
理彩ちゃんは疲れていたのか、定期的に体がピクッと動く。

しばらくはケータイをいじったり、ボンヤリしてみたり、部屋の中を見回したりしたけど、暇すぎた。

⏰:10/09/02 22:11 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#643 [シバ]
目が覚めたのは、2時間後。
横にいたハズの理彩ちゃんがいない…

「おはよ」

そう言って、シバの顔を覗き込む理彩ちゃん。
今度は、シバが理彩ちゃんの布団の中にいた。
可愛いタオルケットがかけられていた。
無意識のうちに、シバ寝てたんだ…
ってか、理彩ちゃんがあまりにも気持ちよさそうに寝るもんだから、釣られてシバも寝てしまったんだ。

⏰:10/09/02 22:16 📱:F02B 🆔:d4oLifWI


#644 []
Blogは更新しないんですか?(´`)

⏰:10/09/04 11:24 📱:N01B 🆔:rm0EorSY


#645 [シバ]
>>644さん

シバ、ブログはやってませんよ(^^)v
ブログとかGREEとかそういう系はしない派です!

感想板の方にもなかなか顔を出せずすみません(>_<)


少しだけ本編更新します

⏰:10/09/06 23:22 📱:F02B 🆔:AtR5vW5c


#646 [シバ]
>>643

体を起こす。
喉がカラカラだった。
寝ぼけまなこのシバを見た理彩ちゃんは、ボンヤリとシバを見つめていた。

「あんた、よく寝たね」

理彩ちゃんが笑う。

「…今、何時?」

理彩ちゃんはケータイの横のボタンを押して、時間を確認する。

「(夜の)8時過ぎ。シバがもうちょっと早く起きたら晩御飯食べに行こうと思ってたんだ」

⏰:10/09/07 00:04 📱:F02B 🆔:76JwvqSk


#647 [シバ]
理彩ちゃんは立ち上がり、散らかっているCDをガサガサと片付け始めた。

「リィいつ起きたの?」

「シバが起きる1時間前くらい。暇だったからケータイいじってた」

「ごめんね。リィが寝てるトコ見たら、なんかこっちまで眠くなっちゃって…気がついたら布団の中だった」

「そっか。でも、寝れたおかげでなんかスッキリした♪」

⏰:10/09/07 00:09 📱:F02B 🆔:76JwvqSk


#648 [シバ]
理彩ちゃんはキッチンへ向かい、1.5リットルの三ツ矢サイダーと2つのグラスを持って戻ってきた。
洒落たグラスだった。


「喉乾いた。シバも飲むでしょ?」

「うん。ちょうど何か飲みたかったんだ」

グラスに注ぎ終わると、サイダーを一気に飲み干した。
喉がカーッと熱くなる感じがたまらない。

⏰:10/09/07 00:15 📱:F02B 🆔:76JwvqSk


#649 [シバ]
「寝起きの三ツ矢サイダーって、なんかよくない?」

理彩ちゃんはニヤリと笑った。

「リィはC.C.Lemon派!ビタミン取れた!って感じで幸せな気持ちになれる♪」

「幸せな気持ちになれるとか…可愛いトコあるね」

理彩ちゃんは2杯目のサイダーを注ぎながら、可愛いという言葉に大きな反応を示した。

⏰:10/09/07 00:20 📱:F02B 🆔:76JwvqSk


#650 [シバ]
「な〜んか、シバってさぁ。年下って感じがしないんだけど(笑)」

「そうかな?」

「落ち着いてるっていうか、なんていうか…」

「リィが落ち着いてないだけでしょ。実際、リィってシバより年下に感じる」

「ガキっぽいって事?」

「うん」

「うわー…じゃあ、大人にならなきゃ」

⏰:10/09/07 00:24 📱:F02B 🆔:76JwvqSk


#651 [我輩は匿名である]
 

更新いつも楽しみにしてます
(。・∀・。)
主さんのペースでこれからもファイトです

 

⏰:10/09/07 00:26 📱:PC 🆔:HMKRjA6s


#652 [シバ]
無邪気な理彩ちゃん。
笑った顔がものすごく可愛かった。


「ってか、うちらさぁ。こうやって2人で話すのって初じゃない?」

「うん。いつもはゆーちゃんがいるもんね」

「そう!しかも、高校の時とかまったくの他人だったのに、いきなり距離縮まり過ぎでしょ(笑)」

「確かに!ってか今日、ゆーちゃん呼んじゃう?せっかくだし」

⏰:10/09/07 00:29 📱:F02B 🆔:76JwvqSk


#653 [シバ]
>>651さん
ありがとうございます(〃▽〃)
更新バラバラなのに、読んで頂けて光栄です(´_ゝ`)


>>652

そうだね!
由香に連絡してみようか!

そんな答えを待っていたけど、理彩ちゃんは黙り込み、髪をいじり、シバから視線をそらした。

「いや…由香がいてくれたらメッチャ楽しいと思うけど…今日はいいや」

⏰:10/09/07 00:34 📱:F02B 🆔:76JwvqSk


#654 [我輩は匿名である]

>>300

⏰:10/09/07 14:18 📱:P10A 🆔:UqghI33I


#655 [我輩は匿名である]
 
>>1-200
>>201-400
>>401-600
>>601-700

安価失礼します(*^ω^*)
 

⏰:10/09/09 00:30 📱:L04A 🆔:fuU5kJvc


#656 [我輩は匿名である]
 
あげとく

⏰:10/09/13 20:57 📱:PC 🆔:3JCjgKz2


#657 [シバ]
安価&あげありがとうございます(*^_^*)

少し更新します!



>>653
ビックリした。
シバといきなり2人っきりっていうのは、さすがの理彩ちゃんでも照れくさかったりするんじゃないかな?とか思ったのに…
仲良しのゆーちゃんがいた方が、気が楽になるんじゃないかな〜?とか思ったのに。

⏰:10/09/14 18:29 📱:F02B 🆔:dMFCM/1s


#658 [シバ]
でも、シバもゆーちゃんの誘いを断った身だ。
ゆーちゃんに連絡した所で、「理彩の所にいたんかい!」とか言われて何かおかしい事になりそうだし…


「あ…別に由香の事が嫌とか、そんなんじゃないよ」

理彩ちゃんは笑って、口を開いた。

「2人っきりになるとか、滅多にないしさ。また別の機会に由香も誘おう♪」

⏰:10/09/14 18:34 📱:F02B 🆔:dMFCM/1s


#659 [シバ]
理彩ちゃんは、再びキッチンへと向かった。

冷蔵庫を開けて、何やらゴソゴソしているよう。

「あ〜…お腹空いたね」

理彩ちゃんは戻ってきた。

「何か食べたくない?」

「食べたい」

「冷蔵庫ん中、何も入ってなかった(笑)何食べたい?定食とか寿司とか、ビビンバとかでいいなら、遅くまでやってる店あるよ」

⏰:10/09/14 18:40 📱:F02B 🆔:dMFCM/1s


#660 [シバ]
「何でもいいよ。美味しい所なら何でも食べれる」

「リィさぁ…ハンバーガーが食べたいんだけど」

じゃあ何で定食とか寿司とかビビンバを勧めてきたの?!
そう思ったけど口には出せず…

「じゃあ、マック行こうよ」

「ホントに?!シバはハンバーガーでいいの?」

「最近マック行ってなかったし、久々食べたいかも。こんな時間だし、軽く食べれるモノがいい」

⏰:10/09/14 18:45 📱:F02B 🆔:dMFCM/1s


#661 [☆]
更新頑張ってください(^^)

⏰:10/09/16 04:41 📱:SH05A3 🆔:XASNxOWI


#662 [我輩は匿名である]
 
続き楽しみにしてます
(*^o^*)

⏰:10/09/17 02:05 📱:PC 🆔:QYXU0rV.


#663 [シバ]
>>661-662さん
ありがとうございます(*^_^*)


>>660
身支度を済ませ、理彩ちゃんの車に乗り込む。
ピンクが大好きな理彩ちゃんだから、車もピンクで可愛い人形なんかがたくさん置かれてるんじゃないかって思ってたけど、意外な事に物凄くシンプルで、芳香剤とミラーに小さな雑貨みたいなやつがぶら下がっているだけだった。

「リィ、車はシンプルが好きなんだ♪シンプル・イズ・ベスト!」

⏰:10/09/18 22:15 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#664 [シバ]
そう言いながら、ニヤニヤしながら少しぎこちない手つきでハンドルを握る理彩ちゃん。

「リィの部屋がゴッチャゴチャだから、車の中くらいはスッキリさせたくてさ。それに、車に人形とか置いてたらブレーキ踏んだ時に全部倒れるし(笑)」

どんだけの勢いでブレーキを踏むのだろうか…

少し心配だったけど、運転は順調だった。
15分くらい走っていくと、マックに着いた。
車を降りて、2人で何を食べるか決めながら店に入る。

⏰:10/09/18 22:21 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#665 [シバ]
「…いらっしゃいませ」

少々やる気のない店員にシバは少しイラッときたけど、理彩ちゃんはお構いなしにベーコンレタスバーガーセットを注文した。
シバも続いて、ダブルチーズバーガーセットを注文。

店内には、若いカップルが一組だけ。

シバの地元のマックは、夜になるとヤンキーぶった連中がウヨウヨしてる。
ここのマックは落ち着いた印象が残った。

⏰:10/09/18 22:27 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#666 [シバ]
品物を受け取り、車へ戻る。
たった15分の…往復30分の間に理彩ちゃんといろいろな話をした。
昼間とは違って、夜の理彩ちゃんはなんとなく大人しい感じがする。
外からの光はあるものの、車内は暗い。
その雰囲気のせいなのか、おっとりとした口調と、普段は話せないような事をしみじみ語った。

シバにとって、この30分の時間というのは、物凄く楽しいというか、貴重というか…
この時間がもうちょっと続いてほしいな〜…っていう時に、理彩ちゃんのアパートが見えてきた。

⏰:10/09/18 22:33 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#667 [シバ]
なんとなく名残惜しい気持ちを残したまま、マックの袋を持って車を降りる。

部屋に着いてからは、テレビをつけて2人でマックを食べた。
ピクルス嫌いのシバは、ピクルスを取り除こうと思ってパウンダーを持ち上げると、ピクルスが4枚も入っていて愕然とした。

「シバ、ピクルス嫌いなんだ〜!お子ちゃまね♪」

なんていう理彩ちゃんにピクルスを渡すと、

「いらない。リィもピクルス嫌いだもん♪」

⏰:10/09/18 22:37 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#668 [シバ]
「じゃあ、そっちもお子ちゃまじゃん」

「うん♪お子ちゃま同士、仲良くしましょ♪」

とか、しょうもない馬鹿話やくだらない冗談を言い合って、笑いの絶えない空間ができた。
さっきの車内の理彩ちゃんが嘘のように、子供のように笑っている。

毎日仕事に追われてる2人にとって、こういう時間っていうのはとても大事である。
だから、真面目な話は一言も出ないまま、笑い続けた。

「あ〜、可笑しい♪…よし、リィ風呂入ってくる」

⏰:10/09/18 22:44 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#669 [シバ]
笑い疲れて、一通り話が尽きた所で理彩ちゃんは立ち上がった。

「シバ、一緒に入ろ♪」

ギョッとした。
笑いが覚めた。

「嫌だよ!何言ってんの」

「リィ、由香とはよく一緒に入るよ♪この前由香が泊まりに来た時も入ったし♪由香の胸触りまくった(笑)」

「ちょっと!人の姉ちゃんに何てことしてくれんの!」

「由香嫌がらなかったよ(笑)あたしも揉まれたし」

⏰:10/09/18 22:54 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#670 [シバ]
触るだの揉むだの…
ガールズトークにはよく出てくる言葉だ。

「あららららら」

それ以外、言葉が出てこなかった。

「何照れてんの(笑)か〜わいい♪」

「あの…リィが風呂あがったら…ワタクシ…ハイリマス」

自分が一気に小さくなった気がした。

「え〜?本当に一緒に入らないの?」

「…ハイ」

「え〜?寂しい…分かったぁ。じゃ、入ってくる」

⏰:10/09/18 22:58 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#671 [シバ]
ホッとしながら理彩ちゃんの寂しそうな背中を見送った。
本当に寂しそうだった。

シャワーの音が聞こえて、本格的に安心した。
また1人になったシバは、暇すぎてベランダに出てみた。

夜空を見上げて、気付いた事がある。

「雨が降るワケでもないのに、星が出てない」

シバの地元は田舎だから、星がびっしりと夜空に浮かんでいる。
夜景なんて見に行かなくても、ちょっと外に出て顔を上げるだけでいいのだ。

⏰:10/09/18 23:04 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#672 [シバ]
赤とか青とか黄色とか緑とか、完璧な夜景を求めるのであれば、ちょっと車を走らせればいい事。

ちょっとメルヘンかもしれないけど、シバは夜空を見るのが好きなのだ!人が作った完璧な夜景はいらない。
自然で、本当に自然でありのままの星を見るのが好きなんです…はい。


心地良い風が吹いていて、深呼吸なんかすると本当に気持ちがいい。
星がないのは残念だけど。

⏰:10/09/18 23:11 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#673 [シバ]
ケータイをポケットに入れたまま、しばらく外の風に当たり、自然からの癒やしをもらった。
風呂上がりにもう一度、ここに来よう。
きっと最高の気分になれる。

部屋に戻ると、理彩ちゃんは脱衣場でゴソゴソしているようだった。

シバも着替えの準備を…

鞄の中をもぞもぞしていると、ドアが開いた。



「ギャー」

⏰:10/09/18 23:16 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#674 [シバ]
悲鳴を上げたのはシバ。
理彩ちゃんは、頭にターバンのようにタオルを巻いて、顔から下は産まれたままの姿だった。

いわゆる、素っ裸…


「何照れてんのアンタ(笑)」

「リィ…タオル巻く場所間違えてるよ!頭じゃなくて、下に巻きなさい」

「えー?リィいつも風呂上がりはこういうファッションなんだけど」

⏰:10/09/18 23:20 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#675 [シバ]
服着てない時点で、ファッションも糞もない。
なんてこった…

「リィさ〜、何かおっぱい小さくなった気がする」

とか言って自分の胸を鷲掴みにして、ゆさゆさと…

ギャー!


「シバ、風呂入っておいでよ♪」

言われなくても、その場をさっさと離れた。
予想外の理彩ちゃんの行動にびっくりしながらシバもシャワーを浴びた。

⏰:10/09/18 23:25 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#676 [シバ]
シャワー浴びて、多少冷静さを取り戻したシバは、部屋のドアをゆっくり開けた。

まだ裸だったりして…

そんな事はなかった。
ドライヤーで髪を乾かす理彩ちゃんは、バスケの時に着る黒のTシャツと、ピンクに白ラインの入ったプラクティスのバスパンを履いていた。

さすがの理彩ちゃんも、本格的な裸族ではない事に地味な安心感を覚えた。

「あ、シバ上がったんだ」

⏰:10/09/18 23:32 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#677 [シバ]
「うん」

そう言って、またベランダに出てみる。
やっぱり心地良い。
もう少し、ここでゆっくりしよう。

「どうしたの?」

理彩ちゃんもベランダに出てきた。
不思議そうな顔で、こちらを見ている。

「何か気持ち良くてさ。さっきもちょっと出てきたんだ」

「あ〜、確かに!涼しいね」

理彩ちゃんはニヤリと笑った。

⏰:10/09/18 23:37 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#678 [シバ]
「さっきはごめんね」

理彩ちゃんからの謝罪の言葉に、ん?という疑問の顔を作ってみせた。

「リィがさ、一緒に風呂入ろうとか、すっぽんぽんで部屋に入ってきたとか…」

「あー(笑)別に。ただ単にびっくりしただけ!でも、よく考えてみたらリィの事だから別にびっくりする事でもないな〜とか思って」

「どういう意味よ(笑)」

とか、声を小さめにまた笑いながら話をした。

⏰:10/09/18 23:45 📱:F02B 🆔:pqA5iSpw


#679 [ちやん]
>>325ー500

⏰:10/09/24 18:54 📱:P906i 🆔:dD6sYJ6g


#680 [シバ]
室内に戻り、布団の上に転がった。

「あ〜!たまにはお泊まりもいいかもね」

ゴロゴロしているシバの横に理彩ちゃんは座った。
布団のすぐ近くに置いてあるコンポの電源を入れ、赤っぽいMDをセットする。

聴き慣れない曲が再生される。

「これ、洋楽だね」

シバの一言に、当たり!とか言って理彩ちゃんは音量を少しだけ上げた。

⏰:10/09/24 22:58 📱:F02B 🆔:SLFw2uv6


#681 [シバ]
「由香が最近、洋楽にハマったらしくてさ。オススメだからって、リィにもMDくれた」

そういえば、ゆーちゃんはケータイの着信音とか車の中で聴く音楽全部が洋楽だ。
英語を喋るのは苦手だけど、英語の歌を聴くのが好きらしい。

中学の時はポ○ノグラフィティ、高校の時はEX○LEに夢中だったのに、好みがまったく変わってしまったみたいだ。

理彩ちゃんは、オススメだという曲を次々とシバに聴かせてくれた。

⏰:10/09/24 23:06 📱:F02B 🆔:SLFw2uv6


#682 [シバ]
何だか幸せな気持ちになった。
その時聴いていた曲名こそ忘れたけど、おっとりとした優しい曲調で、一度聴いたら何か大きな物が心に残るような感じの曲。

洋楽と聞いたら、激しくて、盛り上がって、カッコ良くて、勢いのある…っていうイメージがあった。

洋楽とかゆーちゃんの車に乗らない限り聴くことのないモノだったから、酷く新鮮に感じた。

⏰:10/09/24 23:12 📱:F02B 🆔:SLFw2uv6


#683 [シバ]
あの女性シンガーは誰だったんだろう…
あの時、理彩ちゃんに聞いておけばよかった。



曲が終わると、また現実の世界へと戻される。
大袈裟なようだけど、音楽って人の心を掴んだり、気持ちを動かしたりっていう、物凄くパワーのある物だと思う。


何とも言えない気持ちで、コンポの方を見つめるシバに、理彩ちゃんはとんでもない事を言い出した。

「シバってさ、女の子に恋愛感情抱いた事ある?」

⏰:10/09/24 23:19 📱:F02B 🆔:SLFw2uv6


#684 [我輩は匿名である]
きゃーきになるー

⏰:10/09/25 13:59 📱:CA004 🆔:rTNs2sE.


#685 [我輩は匿名である]
同じく気になる!

⏰:10/09/28 15:10 📱:SH05A3 🆔:lHDD3zKY


#686 [我輩は匿名である]
気になる!(´・ω・`)

⏰:10/09/30 20:37 📱:W61SA 🆔:AMcPpFOY


#687 [シバ]
皆さんありがとうございます(´・ω・`)
更新します!



>>683

「…え?!」

固まってしまった。
何を言い出すのか、この人は…
理彩ちゃんは不思議そうな、珍しい物でも見るような顔で、シバの顔をジッと見ている。

「変な事聞いちゃったかな…でも、なんか…どうなのかなーって思って」

⏰:10/10/02 21:46 📱:F02B 🆔:/Sa.bspw


#688 [シバ]
タオルケットを腰まで掛けて、寝転がってるシバは口をポカンと開けたままだった。

起き上がって、理彩ちゃんと目線を合わせる。


「あー…どうかなぁ(笑)」

動揺を隠せないシバに、理彩ちゃんは怯まなかった。

「リィ、そういうのに偏見とか持たないよ。シバが女の子を好きだとしても、シバを見る目変わらないし」

⏰:10/10/02 22:25 📱:F02B 🆔:/Sa.bspw


#689 [シバ]
「何で、そう思ったの?」

「なんとなく」

女の勘って、本当に鋭い。
否定した所で、何も変わらないし…
むしろ、本当のシバを知ってほしいとも思った。だから言った。

「…女の子を好きっていうか、女の子と付き合った?事はある」

理彩ちゃんは目を見開いた。
シバは、理彩ちゃんの方を見るのが怖かった。

⏰:10/10/02 22:29 📱:F02B 🆔:/Sa.bspw


#690 [シバ]
理彩ちゃんは立ち上がり、部屋の電気を消した。

キョドっていると、理彩ちゃんは布団まで戻ってきた。

「暗い方が、何か落ち着かない?」

「まぁ…ね」

シバの隣に座ると、深呼吸した。

「やっぱりなぁ(笑)」

「軽蔑した?」

「だから、そういうのはないってば(笑)」

⏰:10/10/02 22:34 📱:F02B 🆔:/Sa.bspw


#691 [シバ]
「…………」

「心配しなくていいよ。誰にも言わないし。むしろ、教えてくれてありがとう」

そう言うと、シバの肩に寄りかかってきた。
いきなりの行動にびっくりしたけど、そのままでいた。


「だってシバさ、歳の割には女の子の格好しないじゃん。高校卒業したら、みんな可愛い格好とかしてるじゃん。シバ、昔からボーイッシュな感じだし。そういう単純な理由(笑)」

⏰:10/10/02 22:38 📱:F02B 🆔:/Sa.bspw


#692 [シバ]
「そんな人、他にもたくさんいるじゃん」

「うん。あとね…」

理彩ちゃんは視線を下に向けたまま、話を続けた。

「さっきの事で、何となくピンときた。理彩の体見て、物凄く焦ってたじゃん」

「だって、いきなり裸って、そりゃビックリするよ」


「そうだけど、何か他の人と違ったし。もしかしたらって思って。嫌な思いさせちゃったなら謝る。ごめん」

⏰:10/10/02 22:43 📱:F02B 🆔:/Sa.bspw


#693 [シバ]
「じゃあ、リィはそういうのないの?」

「何が?」

「シバみたいに、女の子の事〜…とか」

「どうかな(笑)」



…え?
理彩ちゃんは、意味深な言葉を放った。

「ない事もないよ」

理彩ちゃんは笑った。
外からの光もあって、暗闇に目が慣れるのに時間はかからなかった。

理彩ちゃんは続ける。

⏰:10/10/02 22:48 📱:F02B 🆔:/Sa.bspw


#694 [シバ]
「リィはきっと、バイなんだと思う」

理彩ちゃんのいきなりのカミングアウトに、シバは益々動揺した。

「リィ、去年の今頃は普通に彼氏がいたんだ。でも、何かとだらしない所に冷めてしまって、別れようって言った。そしたら、『分かった。じゃあ、最後にHしよう』って。リィ、好きでもない相手とそんな事できないから、ふざけんなって言って別れた」


更に続く。

⏰:10/10/02 22:54 📱:F02B 🆔:/Sa.bspw


#695 [シバ]
「その前の彼氏は、物凄くリィの理想のタイプだった。でも、お互い冷めて別れたのね…だけど、しばらくして、会う約束したんだ。ただ『遊ぼう』って事で」


シバは理彩ちゃんから目線をそらせなかった。
ずっと黙って聞いていた。

「そしたらさ、いきなり豹変して…ラブホ連れて行かれてさ。着いていったリィも悪いんだけど。半分は軽い気持ちだったんだけど、相手は真剣に飢えてたみたいでね」

⏰:10/10/02 22:59 📱:F02B 🆔:/Sa.bspw


#696 [我輩は匿名である]
>>1-10
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700

⏰:10/10/02 23:00 📱:SA001 🆔:☆☆☆


#697 [我輩は匿名である]
>>10-100

⏰:10/10/02 23:01 📱:SA001 🆔:☆☆☆


#698 [シバ]
「物凄く激しくされた。気持ち良いどころか、痛いし、気持ち悪いし、リィが泣いてるのもお構いなしにずっと行為を続けられて…止めてって言っても押さえつけられて」

シバは、次第に怒りが増してきた。

「やっとの事で突き飛ばして、着替えようとした。そしたら手で口を塞がれて、『分かったよ。じゃあ、俺がイクまで舐めろ。じゃないと、一生返さない』って言われて。シカトして着替えようとしたけど、殴られた」

⏰:10/10/02 23:03 📱:F02B 🆔:/Sa.bspw


#699 [シバ]
もう話さなくていい…
そうとも言えず、ただ黙って聞いていた。

「結局は言われるがまま…んで、行為が終わると相手はさっさと着替えて部屋を出て行った。そんな嫌な経験があるからさ、男が嫌いなんだ。男なんて、結局は体が目当てなんだよ。あ〜、ずっと閉じ込めてたのに、つい喋っちゃった(笑)ごめんね、長々と」


理彩ちゃんの無理やりな笑顔が切なかった。
だからあの時、ゆーちゃんと3人でファミレスに行った時、あんな話をしたんだと理解できた。

⏰:10/10/02 23:12 📱:F02B 🆔:/Sa.bspw


#700 [シバ]
それと同時に、下を向く理彩ちゃんを抱きしめていた。

初めて理彩ちゃんに触れた。
風呂上がりの、シャンプーの真新しい匂いと、理彩ちゃんの肌の匂い。

理彩ちゃんが可哀想…とか、そんなんじゃなくて、瞬間的に抱きしめたくなったんだ。


シバの鎖骨あたりに、理彩ちゃんの顔が当たる。理彩ちゃんの呼吸を感じながら、シバは目を閉じて懸命に理彩ちゃんを抱きしめた。
理彩ちゃんも、シバの背中に手を回した。

⏰:10/10/02 23:19 📱:F02B 🆔:/Sa.bspw


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