禁断って何?
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#627 [シバ]
電車に揺られる事2時間…
理彩ちゃんの住む町に到着した。
待ち合わせ場所は、駅から20分ほど歩いた所にある大学の門の前。
そこが一番分かり易い目印だった。
先に到着したのはシバ。
しばらく理彩ちゃんを待つ事に。
30分もしないうちに、理彩ちゃんはやってきた。
「ごめんごめん。遅くなっちゃった」
「ああ、大丈夫」
:10/08/28 22:17 :F02B :WGhWU7KM
#628 [シバ]
理彩ちゃんは笑顔でシバを迎えてくれた。
だけど…
酷く疲れた顔をしている事に気付いた。
「ねぇ、リィ…今日、顔死んでるよ」
シバは、理彩ちゃんの事を『リィ』と呼ぶようになっていた。
「あは〜♪最近職場の人と飲み会が続いたからさ。でも、大丈夫♪」
「だから、毎日寝るのが遅かったの?」
:10/09/02 20:56 :F02B :d4oLifWI
#629 [シバ]
「…う〜ん、まぁね」
「本当は睡眠不足なんでしょ?『平気』とか言ってたけど、無理してたんじゃん」
「大丈夫だって♪」
「大丈夫じゃないよ…よし、予定変更!リィの家行こう」
理彩ちゃんと合流した後、適当にカラオケ行こうとか、ボーリングしようとか計画があった。
だけど、今の理彩ちゃんは理彩ちゃんじゃない…
笑顔が無理してる…
:10/09/02 21:00 :F02B :d4oLifWI
#630 [シバ]
理彩ちゃんは、申し訳なさそうに俯いて、シバの服の袖を掴んで、横にブンブンと振った。
それは、ゆーちゃんと理彩ちゃんが一緒にいる時に見せる、理彩ちゃんの行動。
拗ねてるというか、寂しいというか、そんな気持ちを表現する時の行動らしい。
「リィ…遊びたいよ」
ボソリと呟いた。
5歳児が言うようなセリフ。
「本当は眠いんでしょ?」
:10/09/02 21:06 :F02B :d4oLifWI
#631 [シバ]
「眠くないよ」
「眠いんでしょ?」
「眠くないよ」
「嘘でしょ?」
「嘘じゃないよ」
「嘘ついたら、シバ帰るから」
袖を掴んでる理彩ちゃんの腕を軽く振り払って、シバは背中を向けた。
何歩か進んで、振り返る。
「?!」
:10/09/02 21:09 :F02B :d4oLifWI
#632 [シバ]
力が抜けた。
理彩ちゃんは、俯いたまま地面にチョコンと座り、目頭を押さえている。
「泣いたフリとかバレバレだよ」
理彩ちゃんのもとに歩み寄ってみると、更に力が抜けた。
理彩ちゃんの目からは、大粒の涙が溢れていた。
え?
リィって年上だよね?
二十歳超えてるんだよね?
え?マジで泣いてる…
:10/09/02 21:13 :F02B :d4oLifWI
#633 [シバ]
色んな事を考えてオロオロしていると、理彩ちゃんは急に立ち上がり、パッチリ二重の目に涙を溜めて、シバを見上げた。
理彩ちゃんとシバの身長差は、軽く10p以上。改めて、理彩ちゃんは小柄なんだな〜って事に気付く。
「遊びたい…せっかくシバが遊び来てくれたのに…」
んで、また泣く。
幼稚園児をあやしているような光景だったと思う。
:10/09/02 21:20 :F02B :d4oLifWI
#634 [シバ]
「わかった!じゃあさ、今回はリィの家でまったりしながら遊ぼう。リィには無理させたくないし、近々また遊びに来るから」
その一言だけでは、納得するはずがない。
嫌だ!遊びたい!
そんな応えが返ってくると思っていたけど…
「…帰っちゃうの?」
理彩ちゃんは、寂しそうなキョトンとした顔でシバの目を見つめた。
:10/09/02 21:23 :F02B :d4oLifWI
#635 [シバ]
「え?いや、だから今回はリィの家で遊ぼうって…」
「帰らないよね?」
「帰らないよ」
「ホントに?」
「ホントに」
「ん〜…じゃ、リィの家行こ」
渋々とした態度と見せかけて、理彩ちゃんはニヤニヤしていた。
なんて手のかかる奴なんだ…
そう思っていたけど、この辺りからシバは、理彩ちゃんに対して少しずつ特別な感情を抱いていくようになる。
:10/09/02 21:28 :F02B :d4oLifWI
#636 [シバ]
バスケットをする時の真剣な理彩ちゃん。
プライベートで子供みたいによく笑い、よく泣く理彩ちゃん。
こういうギャップって、何か心を動かされる。
他の人が知らない事を、自分は知ってるんだ!っていう、満足感というか何というか…
バスケットをする理彩ちゃんの事だけを知っている人は、よく笑い、よく泣く理彩ちゃんを知らない。
理彩ちゃんとは、プライベートだけの付き合いだという人は、バスケットに取り組む理彩ちゃんの真剣な姿や、真剣な眼差しを知らない。
:10/09/02 21:36 :F02B :d4oLifWI
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