別れさせ屋
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#824 [歩美]
あれが、
陣痛・・・なんだ。

「うぅぅ」
「あぁー」
とか、陣痛に耐えながらゆっくり歩く足音と、
「もうちょっとだから」
とか、
「大丈夫か?」
って聞く旦那さん。

軽く聞こえるそのやり取りは、出産への緊張を高めた。


陣痛って痛いんだよね。
産むのも痛いんだよね。
あー私耐えれるのかな?
って考えたりしながら眠った。

⏰:11/01/27 04:18 📱:F02A 🆔:9whEP63U


#825 [歩美]
病室の外をのぞくと、
他にも3人のママたちがもうじき産まれる子供のために、
一生懸命痛みに耐えていた。

あの人たちは、
もうすぐ会えるんだ。

大切な大切な子に。

なんだか自信をもらった。
勇気がわいた。
頑張れるって思った。


翌朝、
ママたちは新生児と一緒に過ごす隣の病棟へうつった。

その病棟からは、
いつも赤ちゃんたちの泣き声が聞こえる。

⏰:11/01/28 01:46 📱:F02A 🆔:xAVreKCE


#826 [^^]
>>001-100

⏰:11/01/28 03:11 📱:W61P 🆔:YKqQg2R.


#827 [^^]
>>82-100
>>101-150
>>151-200
>>201-250
>>251-300

⏰:11/01/28 03:36 📱:W61P 🆔:YKqQg2R.


#828 [歩美]
出産に対してすごく前向きに、楽しみになれた矢先、
ショックなことがあった。

主治医の都合で、
経過診察を外来にまわって受けた日。

やっぱり慣れないあの股を広げる内診。
足を広げて内診のためのイスに座って順番待ちをしていた時。
隣の診察室からかすかに聞こえた先生と外来妊婦の会話。


「え・・・」

「残念ですが・・・」

「流産って・・・ことですか?」

⏰:11/01/29 01:27 📱:F02A 🆔:eZtdsO4.


#829 [歩美]
その言葉を聞いて、
私は固まってしまった。

赤ちゃん、
ダメだったんだ・・・


やがて妊婦さんのすすり泣く声がした。


辛すぎる。


診察を終えた妊婦さんはしばらく動けなかったのか、
私よりも後に診察室から出てきた。

目を腫らし、
携帯を握りしめていた。

⏰:11/01/29 01:29 📱:F02A 🆔:eZtdsO4.


#830 [歩美]
目があった瞬間、
とっさに自分のお腹をひざ掛けで隠した。

なんだか堂々とはできなくて。
そんな私に気付き、
彼女は睨みながら待合室に戻っていった。

彼女にとって私は憎らしいんだ。


全ての診察を終え、
病棟に戻る途中、トイレの前でさっきの妊婦さんが電話をしながら泣き崩れているのが見えた。

きっと彼か、ご主人に連絡していたんだと思う。

⏰:11/01/29 01:33 📱:F02A 🆔:eZtdsO4.


#831 [歩美]
気の毒だった。

産まれてこれない命があること・・・。

ショックが大きくて、
昼食が喉を通らなかった。

仕事を終えて来てくれた天馬に今日の妊婦さんの話をした。

天馬「なんか、産婦人科って残酷な病棟なんかもな・・・」

うん。
私もそう思った。

幸せばかりじゃない。

もしあの時、チビ天を失っていたらきっと私も妊婦さんが憎らしくなったに違いない。

⏰:11/01/29 01:37 📱:F02A 🆔:eZtdsO4.


#832 [歩美]
――6月1日――


私は2885グラムの女の子を出産した。
痛かった。
泣いた。
そして、嬉しかった。

立ち合った天馬が震える肩で我が子を抱いた。

天馬「やべー。」

天馬も泣いた。

この日を待ち望んでいた。

私の両親も
天馬の両親もかけつけ、
私たちの子供『愛実』の誕生を喜んだ。

⏰:11/01/31 15:18 📱:F02A 🆔:WyQYxbkE


#833 [歩美]
名前を決めたのは天馬だった。
天馬「あいみがいい!!」

私は自分の子供に『愛』とつけるのが嫌だった。

『愛』で私は狂った。
『愛』で私は泣いた。
『愛』がほしくて別れさせ屋をしていた。
そんな私には愛という文字が怖かった。

天馬「じゃあ、
まなみにしよ!
愛はまなとも読めるだろ?
まなみにしよう♪♪」

結局言いくるめられ、
『愛実(まなみ)』
と名付けた。

⏰:11/01/31 15:22 📱:F02A 🆔:WyQYxbkE


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