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#231 [我輩は匿名である]
朧ぐように、薄く悴む青の先。水に溶かしたような乳白色の隙間から零れ落ちていく純白の結晶が、一粒。
柔らかな風に吹かれて舞い踊るその一粒が、寒さで震える肩の上を視界の端で掠めていく。
それに気付いて向けられた視線をかわすように、爪先あたりへ軟着陸する。
地に溶けて消えたそれを数瞬眺め、何かを求めるように天を仰いだ。
澄んだ空へ吸い込まれていく白い吐息と交錯して、一粒。
淡く燃える冬の太陽に照らされて眩しい程に瞬きながら、また一粒。
純白の結晶が薄く覆う雲の隙間を次々と零れ落ちていく。
吹けば飛ぶほどに小さいながら然り気も無しに湛える存在感に魅せられて、舞い落ちる一粒を掬い上げるように手のひらを差し出す。
「雪だ」
ふわりとそこへ飛び込んだ一粒は、小さな冷たさを手のひらに、少しの暖かさを心に残して消え去った。
:12/02/09 03:55 :P08A3 :G8uts.rk
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