この春ぷ。様デビューしませんか?
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#499 [ぷ。様エブリディ]
履きつぶしたスニーカーに足を入れる と、後ろから母親が追ってきた。

「ねぇ純也、私は本当に平気なんだか ら、わざわざ帰ってこなくてもいいの よ?」

おずおずと話すその口調は、説得力に欠 けるものだった。

「“平気”…?」

本当に平気な人間が、たびたび倒れたり しない。

そして病院から直接きた連絡に、心配し ない息子はいない。

何より母親の弱さは、俺が一番よく知っ ている。

「おかん、今更俺の前で強がんなくてい いよ」

⏰:13/04/28 00:34 📱:ISW11K 🆔:4fzWLTxo


#500 [ぷ。様エブリディ]
俺はもう25歳の大人。

親に守ってもらうような、弱い子供時代 はとっくに過ぎた。

…と言うより、おかんがあのクソ親父と 離婚した13年前から、俺は守ってもら うのをやめた。

逆に、精神的に参ってしまった母親を、 どうにかして守らないと、って思った。

結局家を出た俺に、そんな事を言う資格 はないけれど。

⏰:13/04/28 00:36 📱:ISW11K 🆔:4fzWLTxo


#501 [ぷ。様エブリディ]
“強がんなくていい”

と言われた母親は、少し困った顔をし た。

「でも…そんなしょっ中仕事休ませる訳 にもいかないしねぇ…カメラマンの仕 事って厳しいんでしょ?」

「…そんな事気にしなくていいんだよ。 今回はちょうど夏期休暇とぶつかって たし…それより、」

俺は少し間をあけてから、続けて話す。

「本当にいいの?一緒に住まなくて…真 由子は同居してもいいって言ってんだ し、おかんさえよければ…」

⏰:13/04/28 00:40 📱:ISW11K 🆔:4fzWLTxo


#502 [ぷ。様エブリディ]
一緒に、住もう。

そう言おうとした時、おかんの声によっ て遮られた。

「何言ってんの、嫌よ、東京なんて」

「けど、一人じゃ…。 おかん自分の身体の事分かってる?また いつ倒れるか分かんないんだよ?」

これは電話で何度も交した会話。

だけどおかんは、俺の婚約者の真由子に 遠慮してか知らないけど、

首を一度も縦に振ってくれない。

⏰:13/04/28 00:40 📱:ISW11K 🆔:4fzWLTxo


#503 [ぷ。様エブリディ]
「純也は真由子さんと二人で、自分達だ けの家庭を築きなさい」

いつも、これだ。

次におかんが何を言うか、もう分かる。

「“家庭をダメにした私が言えたセリフ じゃないけど”?」

母親が言う前に、俺が代わりに口にし た。

⏰:13/04/28 00:42 📱:ISW11K 🆔:4fzWLTxo


#504 [ぷ。様エブリディ]
母親は少し驚いた後、苦笑いを浮かべ た。

「そうよ…、私は本当に純也にはあたた かい家庭をイチから作って欲しいの。

そうしたらきっと、私の一番の幸せにな るから」

…これはたぶん、強がりではなく、おか んの本音の気持ち。

息子の俺には分かる。

そして一度言ったら100%曲げない、 頑固な性格も分かっているつもり。

俺はため息をつく。

⏰:13/04/28 00:44 📱:ISW11K 🆔:4fzWLTxo


#505 [ぷ。様エブリディ]
「分かった、任せてよ。言われた通り温 かい家庭作ってみせるよ」

そう言うと、母親は安堵の表情を浮かべ る。

「じゃあ、行ってくるわ」

玄関のドアノブに手をおいて、押し開け た。

真夏ならではの強い日差しが、全身に降 りそそぐ。

あぁ、夏だ。

単純な事を思いながら、サトルの家まで ひたすら歩く。

日陰がないせいで、めちゃくちゃ暑い。

セミの声がバカみたいにうるさい。

「――…あ、」

⏰:13/04/28 00:52 📱:ISW11K 🆔:4fzWLTxo


#506 [ぷ。様エブリディ]
なぜかこの瞬間…

美月の事をふっと思い出した。

そういえば今歩いてるこの道、よく美月 と手を繋いで歩いた道だ。

その時の光景がうっすら甦り、くすぐら れたように胸の中が懐かしくなった。

⏰:13/04/28 00:52 📱:ISW11K 🆔:4fzWLTxo


#507 [ぷ。様エブリディ]
サトルの家に着くと、挨拶もそこそこ に、写真の束を渡された。

「は?写真?」

よく見ると、中学時代の美月が写ってい る。

「返す」

「返す、って…サトルのだろ?これを俺 に渡してどうしろっていうんだよ?」

そう言って突き返そうとすると、サトル は首を横に振った。

「俺のじゃない。卒業するとき、お前が 俺に預けたんだろ?」

⏰:13/04/28 00:55 📱:ISW11K 🆔:4fzWLTxo


#508 [ぷ。様エブリディ]
「俺のじゃない。卒業するとき、お前が 俺に預けたんだろ?」

「…そうだっけ?」

まったく記憶にないけど…。

「そうだよ。だから燃やすなり保管する なり好きにしろよ。もうお前の自由だ」

そう言われても…。

写真を一枚、一枚、確認すると、俺と美 月のツーショットばかりだった。

ほとんど俺が撮ったもの。

⏰:13/04/28 00:56 📱:ISW11K 🆔:4fzWLTxo


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