星とぽんず
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#281 [七瀬]
「柚子ー。帰って来てるのー?」


チッ。
心の中で舌打ちをする。


「柚子ー。ちょっと来てー。」

お母さんの大声は静かな家に響き渡る。


2階の自分の部屋にいたら、聞こえないフリも出来たけれど、
台所は玄関のすぐ近く。

⏰:09/03/04 12:57 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#282 [七瀬]
もう!!


エビフライに伸びていた私の手は、それにたどり着くことはなく、

お母さんの元へ。


お母さんは、すごい数のビニール袋を持っていた。

「柚子っ!やっと来た。
はい、これを台所に運んで。」

一つ一つの中身も重たい。

お母さんこれ全部、一人で運んだワケ?

さすが怪力。

⏰:09/03/04 13:03 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#283 [七瀬]
 
運び終わると、
次は「あの棚になおして。」「冷蔵庫に入れて」

と、散々コキ使われた。


「これは使うから、冷蔵庫に入れなくていいわ。」

『わかった。』

と目線を向けた。



“ゆずポン酢”

⏰:09/03/04 13:07 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#284 [七瀬]
 
 
ゆず…ポン酢。

唖然とする。



「どうしたの、柚子。」

「あの、これは……。」

「今日はゆずポンが安かったのよー。
いつもは違うのだけど、たまにはいいでしょ?」


ゆずポン酢を私は初めて見た。

⏰:09/03/04 13:12 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#285 [七瀬]
 
「もう、ママがいつもいつも、一番安いポン酢買ってるから柚子がゆずポンも知らないんだからなー。」

とお父さんが上機嫌でいう。

「だって、10円がもったいないんだものー。」

とニコニコ答えるお母さん。


この二人のラブラブぶりには、
娘の私たちはいつも恥ずかしく、寒気がする。

⏰:09/03/04 13:18 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#286 [七瀬]
この時だけは、お姉さんと以心伝心できる。
 
 
「ってゆーか、柚子はゆずポン知らなかったんだ。」

『うん。お姉さんは知ってるの?』

「昔はうちも、ゆずポンだったしねー。」


そうなんだ。

「パパが、ゆずポン派だったしね。」

⏰:09/03/04 13:22 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#287 [七瀬]
お姉ちゃんは続ける。

「でも、いつからか10円安いやつになってた。」

声を潜め、私に耳打ちするお姉ちゃん。

「お父さんは全く気付かないしね。
ほら、うちのお父さんは味オンチじゃん?」


そうだったんだ。

「柚子の名前の由来はゆずポンから来てるんだぞー。」

⏰:09/03/04 13:27 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#288 [七瀬]
 
と少し酔ってるお父さんは、いつものおっとり口調ではなく、さらりと言った。



が、私には衝撃的な事実だった。

私の名前って一体なんなのよ〜!!

「やだ、あなたったら〜!」

お母さんは笑ってる。

さっきまで以心伝心だったお姉ちゃんまでも、大笑い。

⏰:09/03/04 13:32 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#289 [七瀬]
 
 
 
そんな、ちょっと複雑な真実を知った私。

初めて食べたゆずポンの味は、いつものやつよりも濃くって、

今の私には苦かった。


あれから、お風呂にも入って、
今は髪を乾かして、クシで、とかしていた。

⏰:09/03/04 13:37 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#290 [七瀬]
 
 
鏡に写った自分を見る。

短い髪。
幼稚園の時は背中まで、あったのになあ。
でも小学校にあがってから、ずっとこのショートヘアー。



そして、少し小麦色の肌。

私には、これがコンプレックスだった。

⏰:09/03/04 13:42 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


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