星とぽんず
最新 最初 🆕
#101 [七瀬]
そいつは、すぐ目を離したけれど、私はしばらく見ていた。


実技が終わり、みんな立つ。

あ、背結構、高いんだ。



名前を知ろうと思い帰り道、探したけれどたくさんの人の中、見つけられなかった。

⏰:09/02/28 15:15 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#102 [七瀬]
長い電車の中、私はドキドキが止まらなかった。

電車を降りた後も、頭の中はさっきの奴でいっぱいだった。

帰り道の1時間半。
ちっとも退屈しなかった。



『ただいま。』

「おかえりー。どうだった?」


お母さんの質問にも耳を通さず、自分の部屋へ向かった。

⏰:09/02/28 15:19 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#103 [七瀬]
しばらく、放心状態の私。


思い浮かぶ。
さっきの男の子。




あんなきれいな切れ味と
あんなきれいな顔……。



じゃなくって!!

⏰:09/02/28 15:22 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#104 [七瀬]
 
違う違う!!

顔じゃなくって!!



この気持ちはなに??


好き?
何にも知らない彼のことが?


ううん。
違う。きれいな顔してたから。それだけ。


でも、あの技術には惚れたかもなぁ。

⏰:09/02/28 15:25 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#105 [七瀬]
 
  
 
  
3月3日。
 


松田柚子、
見事に合格しましたっ!

あ、もちろんG高にね。


あぁ〜、これで受験戦争からはいち早く、抜けることが出来た。

⏰:09/02/28 16:01 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#106 [七瀬]
私はルンルン気分で登校。



でもまだ、
教室、いや学校全体は受験モードから抜け出せていなかった。

だってまだ後期選抜が残ってるしなぁ。

普通科や、前期に落ちた子は大変だな〜。

⏰:09/02/28 16:04 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#107 [七瀬]
のんきに考える。


私立や前期に受かって、喜んでいる私たちも、
命懸けの受験戦争に飲み込まれそうだ。



とはいえ、まぁ、
心の中は高校生活への期待でいっぱいだろうけど。


私もその一人だしね。

⏰:09/02/28 16:08 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#108 [七瀬]
 
 
あの男の子も受かっているていいなぁ〜。

そんなことを考えてると、林原が登校してきた。


私は緩んでいた顔が、瞬時に引き締まるを感じた。



「百面相。」

私に向かっていう林原。

⏰:09/02/28 16:12 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#109 [七瀬]
そう言う林原は、いつもみたいに無表情だけど、
どこか機嫌が良さそうだ。

あ、そうか。
林原も前期だもんね。
J高だし。

ってことは受かったのかな?


聞いてみた。
『受かったの?』

「お前は?」
またまた、聞き返された。

⏰:09/02/28 16:15 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#110 [七瀬]
『イェイ!』
Vサインをつくり
満面の笑みで答える。


「ふーん、良かったじゃん。」と林原。

『まーね。で林原は?』

「俺?俺も余裕だけど??」
ニヤニヤ答える林原。


自分の時の合格の時より、うれしかった。

⏰:09/02/28 16:20 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#111 [七瀬]
 
気付いてしまう。

これだ。
私が林原を見た瞬間、顔が引き締まった理由。



林原に他の男のことを考えて、喜んでる姿を見せたくなかったんだ。



最近の私、変だよ。

2人にドキドキしてる。

⏰:09/02/28 16:24 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#112 [七瀬]
 
林原と、



名前も知らないヤツ…。





「どうした?」
林原の声で、我にかえる。

『ん、なんでもない。』
とごまかす。

⏰:09/02/28 16:26 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#113 [七瀬]
「ふーん。なんか松田、へん。」

『そんなことないよ。』


必死にごまかすも、
林原の大きな瞳が、じっと私の目を見る。


何もかも見透かしてるような、目。



あぁ、ダメだ。
隠し通せない。

⏰:09/02/28 16:29 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#114 [七瀬]
「おーい、席に着けー。」
ヒグマが教室に入ってきた。


と同時に林原は前を向いた。



あーっ、助かったー。



バレちゃうかと思った。
私の気持ち。

⏰:09/02/28 16:32 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#115 [七瀬]
 
 
 
 

 
私の気持ち?

って
どんな気持ち??

“林原に私が他の男のことを考えて、喜んでる姿を見せたくない”
という気持ち?


それとも




林原にひかれてる
って気持ち??

⏰:09/02/28 16:35 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#116 [七瀬]
 
 
 
 
今、自分の部屋の中。


あれから帰るまで、
ボンヤリしてた私。


だって分かんない。

林原のことが好き?
あの子のことが好き?



なにそれ。


分かんないよ。

⏰:09/02/28 16:38 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#117 [七瀬]
ただ確かなことは……、





私は2人にドキドキしてるということだけ。




 

⏰:09/02/28 16:41 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#118 [七瀬]
 
 
 
「蛍のひかーり
  窓のゆうーきー」

今、卒業式の一番、盛り上がる部分。


女子のほとんどが泣いている。
中には大粒の涙を流し、歌声になってない。
男子は目をウルっとさしているか、妙に割り切っているかのどっちかだ。



そんな私は、人間観察してるぐらいだから、
結構冷めてるのかも。

⏰:09/02/28 16:50 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#119 [七瀬]
まったく悲しくない訳でもない。




ただ実感がないんだ。


“私、卒業するんだ”、
“明日から、この学校には来ないんだ”

というイメージが湧かない。
だから泣けない。
それだけ。

⏰:09/02/28 16:54 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#120 [七瀬]
 
 
 
 
実感が湧かないくらい、
現実じゃないような卒業式だった。


歌い終わった


「3年2組、起立!」

最後に1、2年に見送られ、卒業証書を手に、
自分の教室へと戻る。

⏰:09/02/28 16:58 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#121 [七瀬]
 
教室ではヒグマが、ごっつい肩を揺らし、泣いていた。


こんなこと言うなんてホントに冷めてるのかもしれないけど




ちょっと引いた。

⏰:09/02/28 17:00 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#122 [七瀬]
でも周りを見てみると、みんなも同じ気持ちみたい。

さっきまで泣いてた子も、固まってヒグマをガン見してるし。笑



よかった。
思ったより、私は冷めていなかった。


でもヒグマも最後まで面白いなぁ。
と、しみじみする。

⏰:09/02/28 17:04 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#123 [七瀬]
そんなヒグマも最後の言葉を終え、
また教室中は悲しいに包まれた。




みんながそれぞれ最後の思い出に写真を撮っている。


私も何人かの友達と撮った。

⏰:09/02/28 17:07 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#124 [七瀬]
そして、辺りを見回す。



林原、どこだろう?

あいつは、こういうのが苦手なヤツ。
別に、嫌いなわけじゃなく、照れてるんだ。

あいつのああいう、不器用な優しさに、
何回ドキドキさせられただろう。
 

⏰:09/02/28 17:10 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#125 [七瀬]
 
あれ?
いない。


卒業式には、ちゃんといたの、見たのに。



嘘!?なんでいないのよ〜。
今じゃなくても言える。
けど今、言いたいのに。


なんで肝心な時にいないのよぉ〜!

⏰:09/02/28 17:14 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#126 [七瀬]
このままなんて、やだ! 
 
『やだやだやだ!!』





「フッ、何がやなんだよ。」

この声は……
林原!


後ろを振り向くと林原が笑っていた。

⏰:09/02/28 17:17 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#127 [七瀬]
林原…。

私はいきなりのことに、
びっくりした。



「どーしたんだよ、松田。」あの目でいう林原。


何もかも見透かしてしまうような目。
茶色くって大きな瞳。

なんか犬みたい。



そして私の大好きな目。

⏰:09/02/28 17:20 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#128 [七瀬]
「だから、どーしたの?
ぼぉーっとして、熱でもあんの?」
ともう一度、聞いてくる。

い、言わないと……。
ちゃんと自分の気持ち。


林原にぼぉーっとしてるなんて言われたくない。



……じゃなくって!!

⏰:09/02/28 17:24 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#129 [七瀬]
 
 
あぁーっ、もう!!
じれったいなぁ!


なんか自分にイラついてきた。



あの日、じっくり考えたことを、そのまま言えばいいんだ!


言おう!
言うんだ、柚子!!

⏰:09/02/28 17:27 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#130 [七瀬]
『あのね、私ね……』

決意した私は言う。
恥ずかしくって、林原の顔を見れず下を向く。



『私はね、林原のことが、す、すす……

あいつは私の言葉を遮る。


「俺もだよ。俺も同じ気持ち。」

⏰:09/02/28 17:31 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#131 [七瀬]
『へ……?』

思わず耳を疑う。

同じ気持ち??
林原も?

涙が出た。
一粒だけ。気付かないくらい小さい涙。



卒業式では泣けなかったのにな…。

⏰:09/02/28 17:44 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#132 [七瀬]
 
 
『ホントに?』

「ああ、本当。」


『ホントのホント?』

「フッ、しつこいな。
ホントのホント。」

言いながらも林原は笑顔のまま。

⏰:09/02/28 17:47 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#133 [七瀬]
 
 
 
 
 


 

 
「松田は俺のすごくいいライバルだよ。」
 
 
 

⏰:09/02/28 20:05 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#134 [七瀬]
 
 
 
 
 
 
え?



ライバル??



目を大きく開いた。
 
 

⏰:09/02/28 20:06 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#135 [七瀬]
林原は続けた。

「俺、技術ではお前に1度も勝てなかったんだ。
だから高校も同じ工業科を選んだ。」



あ…、そうか
だからJ高にしたんだ。

「だからお互い、高校で頑張ろうな。」

林原は、今まで見たことない、爽やかな笑顔で言う。

⏰:09/02/28 20:11 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#136 [七瀬]
 
 
 
 
帰り道。



さっき林原に言われたことを思い出す。


私はフラれたのだろうか?

でもショックというよりも驚きが頭の中を支配している。

⏰:09/02/28 20:13 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#137 [七瀬]
林原があんなことを思ってたなんて。


やっぱり何を考えるか分かんないヤツ。







そして
私は思い出したように走りだした。
 
 

⏰:09/02/28 20:17 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#138 [七瀬]
 
 
 
 
あの公園に。




林原の言うとおり、もうあの公園は空っぽになっていた。



私はつっ立ったまま、夕焼けで赤く染まった、ただの土地を見ていた。

⏰:09/02/28 20:24 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#139 [七瀬]
 
 
 
 
 
4月に入り、今日はとうとう入学式。



私は朝から、
いや一昨日から緊張していた。


だって、あの男の子にまた、会えるかもしれないから。

⏰:09/02/28 23:36 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#140 [七瀬]
林原に告白しようと思っていたくせに、
と思うけれど。

やっぱり心臓はどくどくとうるさい。


あの子いるかなぁ…。



……いるといいな。


クラス表に目を向ける。
 

⏰:09/02/28 23:39 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#141 [七瀬]
“1ー2 松田柚子”


見っけ。

また2組かあ。
中学の時も、三年間ずっと2組だったしなぁ。






「また松田は2組だな。」

隣から懐かしい声が聞こえた。

⏰:09/02/28 23:43 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#142 [七瀬]
この声。
ほんと懐かしいなあ。


……って、





『林原ぁ!?』

「よっ。」

平然と答える林原。


なんで?
なんでなんで!?

⏰:09/02/28 23:46 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#143 [七瀬]
『なんで?どういうこと??なんでここにいんの!?』

テンパる私。


「ちょ、お前、落ち着けよ。」

そう言われ、少し息を整える。


「俺、J高、受けんの止めて、このG高にしたんだよ。」
 
 

⏰:09/02/28 23:59 📱:N703iD 🆔:p45OiH1g


#144 [七瀬]
え、そうなの!?



……でも、
それはそれで意味わかんない。


なんで賢いJ高から、遠くて、こんなG高にしたわけ?


林原の頭ならJ高だっていけただろうし。


ますます分からなくなってきた。

⏰:09/03/01 00:02 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#145 [七瀬]
「俺は3組だからクラスは違うけど、
また三年間よろしくなー。」


私の疑問はほったらかしにされたまま、

林原は去っていった。



まっ、いっか。

また林原と三年間、過ごせると思うと
ちょっとうれしくなった。

⏰:09/03/01 00:07 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#146 [七瀬]
4階まで長い長い階段を上った。


はぁ、疲れた〜。



これから毎日、1時間半もかけて、ここに来て、この階段を上るのかぁ……。

気が重くなった。



“1ー2”

教室の中へ入った。 
 
 

⏰:09/03/01 00:13 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#147 [凛]
おもしろいです∩・∀・∩
続き気になる♪

⏰:09/03/01 00:24 📱:N706i 🆔:hzGFLs8s


#148 [七瀬]
ありがとうございます。

頑張るねっ('∀'●)

⏰:09/03/01 01:01 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#149 [七瀬]
私は出席番号、34番。

窓際で奥の一番いい席。



ふぅ。
一息ついた。




えっ!?

うそ!うそうそっ!!
うそでしょーっ!?

⏰:09/03/01 01:05 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#150 [七瀬]
 
 
 
 
 
前にはあの男の子!!


素直にうれしい。
今はこれしか言えない。

その子は頬杖をつき、窓の外を見ている。


ほんときれいな顔。


つい、その横顔に見とれてしまった。

⏰:09/03/01 01:09 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#151 [七瀬]
 
 
 
 
 
そろそろ始業式が始まるみたい。


上履き袋を持って、廊下に並ぶ。



周りが男ばっかで、並ぶと小さい私はスッポリと埋まってしまった。

⏰:09/03/01 01:12 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#152 [七瀬]
 
 
縦も横にも大きくて、ヒグマタイプの男の子。

背が高くって、ヒョロリとした男の子。

小さいけれど、筋肉があると制服を着ていても分かる男の子。



私は完璧、浮いていた。

当たり前か、
“ほぼ”男子校だし。


不安になってきた。

⏰:09/03/01 01:16 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#153 [七瀬]
 
 
 
そんなことを考えてると、体育館に着いた。


広いなぁ。



席に着いた。

校長の話は中学の時とは違い、
あっさりとしていて聞きやすかったし、短かった。

⏰:09/03/01 01:20 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#154 [七瀬]
「えー、それでは各学年、組の担任、副担任を紹介しましょう。
まず3年1組、担任の…」


それから2年、1ー1が紹介され、

とうとう1ー2の番に。


私は身を乗り出す。
やっぱ気になるし!

⏰:09/03/01 01:24 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#155 [七瀬]
でも、見えない!!


周りは男だっかだし、
私は後ろの方の席だし。




体を少し強引に横に傾ける。
すると前の奴の頭と頭の間から小さく、見えた。



ん?

⏰:09/03/01 01:27 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#156 [七瀬]
「担任の牧田宏介先生だ。」


ん?
あの人が私の担任??


私の目の先には


今日は曇りだし、
ってか室内なのに、
サングラスをかけている、少し小太りでチビなおっさん。


なんだありゃ。

私だけでなく、他の生徒も少しびっくりして、見ている。

⏰:09/03/01 01:32 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#157 [七瀬]
するとサングラスを外し、

「これから1年間、
お前らの担任をする、牧田宏介だ。
基本は電気、機械が専門だ。まぁよろしく。」

い、いかつい。

牧田宏介(マキタコウスケ)かぁ。



ってかサングラス外すと、結構、かわいい目をしていた。笑

⏰:09/03/01 01:37 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#158 [七瀬]
 
 
 
 
担任と共に教室へと戻って行く。



ってか、さっきから
あの子、見ないなぁ…。

少し心配してしまう。



席に着く。


やっぱいない。

⏰:09/03/01 01:42 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#159 [七瀬]
そんな私の心配とは裏腹に担任は話をしだした。


「さっき校長先生がおっしゃったが
副担の長江先生だが今日は生憎、お休みだ。」


そんなこと言ってたっけ?

ってかアンタのキャラが濃すぎて、
最後ら辺はなんも覚えてないよ。

⏰:09/03/01 01:48 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#160 [七瀬]
 
話を続ける、サングラス先生。

「あと、俺のことは
マッキーでも、コウちゃんでも、好きなように呼んでくれ。」


あ、そんな顔で冗談とか言うんだ。


「じゃあ、ヤクザ先生って呼んでいーすか?」

誰かがふざけて言う。

⏰:09/03/01 01:52 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#161 [七瀬]
ドッと笑いが起こる、


…はずだった。

が教室は冷たい空気が漂っていた。

「なぁにぃ?」
サングラス先生……。
いや、牧田先生が、その生徒を睨む。

怯えるその生徒。


そして息を呑んで見守る私たち。

⏰:09/03/01 01:56 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#162 [七瀬]
 
 
 
 
 
「お前、なかなか面白いな。」



ん?

目を丸くする私たち。

それは誉めているのかな?


ホッと胸を撫で下ろす、可哀想な生徒君。

⏰:09/03/01 02:02 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#163 [七瀬]
うん、これは誉めてるんだね、彼なりに。


そう解釈するのに時間がかかってしまった。

だって、めちゃくちゃ怖い顔してんだもん。

目はかわいーけど。笑



この日から牧田先生のあだ名はヤクザ……、
ではなくマッキーになった。

ほんとは、そう呼んでほしかったみたい。

⏰:09/03/01 02:06 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#164 [七瀬]
 
 
 
 
そんな感じで始業式を終えた。



結局、最後までアイツは現われなかった。


どこ行ったんだろ?
 
 

⏰:09/03/01 02:57 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#165 [七瀬]
 
 
 
登校2日目。


今度は来てるかな??

もうワクワクしている自分がいた。

また、あの技術が見たい!


そして、なにより


顔が見たかった。

⏰:09/03/01 03:00 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#166 [七瀬]
 
 
 
……が、
私の期待は見事に裏切られることとなる。



ヤツは来なかった。

今日だけじゃなく

明日も明後日も。


その次の日も……。

⏰:09/03/01 03:02 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#167 [七瀬]
 
 
1週間が経った。


が私は始業式以来、アイツを見ていない。

こんなに休んで、留年する気か!?


じゃっ、私も留年しちゃおっかなあ〜
とバカなことを考えた。

もちろん冗談だけど。
 
 

⏰:09/03/01 03:05 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#168 [七瀬]
 
 
 
 
授業が始まった。



つまんないし、苦手な英語の授業。



今朝、林原と話したことを思い出していた。
 
 
 

⏰:09/03/01 03:07 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#169 [七瀬]
『おーい。林原あーっ!』

たまたま電車で一緒になった。

「松田、久しぶりだな。」

ほんと久しぶり。
私たちは、高校に入ってから、
クラスが違うこともあり、全然、会わなかった。



そんな中、少しの間、沈黙が出来る。

⏰:09/03/01 03:12 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#170 [七瀬]
自分から声かけたくせに、何か話さないと。


この沈黙のワケは自分が一番、理解していた。


私が妙に緊張してるからだ。

林原は普通だ。
いつもの、ぼぉーっとした林原だ。


だって何、話したらいいか分かんない。

⏰:09/03/01 03:16 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#171 [七瀬]
 
 
この沈黙を破ったのは林原。

「なあ、松田んとこの担任、強烈だな。」


『うんっ!すごいでしょ!?こないだなんてね……』

マッキーネタのおかげで、また、いつもの私たちになった。



ありがと、マッキー!!
 
 

⏰:09/03/01 03:19 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#172 [七瀬]
 
マッキーで柔らかいだ雰囲気の中、林原が話しだした。
「あんなこの前、
俺らの技術の時間に初めて、技術室に行ってよ〜」


えっ!?
なにそれ。


私のクラスの技術は、
ただのマッキーの長い話でいつも終わっている。
まあ、面白いけど。


とりあえず技術室なんて、一度も行ったことない!

⏰:09/03/01 03:26 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#173 [七瀬]
 
 
 
その後、林原は
技術室で機械の名前や、それはどのように使うのか、学んだらしい。




うらやましいなぁ。
また近々、私のクラスも連れてってもらえるよね?


1時間半はあっという間に過ぎた。

⏰:09/03/01 13:55 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#174 [七瀬]
 
 
 
キーンコンカーンコン
 
2限目  技術



「よーし、始めるぞー。」

マッキーの言葉でみんな、席に着く。



あれから、電気について説明してたけど、
途中からマッキーの大学時代の話になっていた。

⏰:09/03/01 13:59 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#175 [七瀬]
 
 
 
いつもこんな感じ。


3分の1はマッキー自身の話が占めている。

まあ、そのおかげで
授業中、睡魔に襲われずにすむんだけど。


マッキーは、そういう意味では天才だなぁ。

あ、話する天才ね。


なんか自然と耳を傾けてしまうんだよなー。

⏰:09/03/01 14:03 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#176 [七瀬]
 
 
 
 
キーンコンカーンコン

2限目、終わりの合図。


「起立。」
日直が言う。

みんなが立った。


「あ、今日は5限目も技術だからな。忘れんなよー。」



そっかまた技術なんだ。

⏰:09/03/01 14:07 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#177 [七瀬]
やっぱり工業科だし、
技術の時間が多い。


ほぼ毎日あるし、
今日みたいに2時間あるところもある。

だから国、数、英、理、社はもちろん少なくなる。


しかも、今習ってることは中学生レベル。

数学は今、因数分解です。

苦手な英語、
なんか余裕だと思ったんだよね。

⏰:09/03/01 14:12 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#178 [七瀬]
 
 
 
だから、大学とかでは、ちょっとバカ扱いされる。

でもその分、機械、使わしたら誰も勝てないだろうけどね。



だから工業科の高校出身はあなどれない。

ヒグマとか、いい例だしね。
 
 

⏰:09/03/01 14:17 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#179 [七瀬]
 
 
 
 
一学期までは、みんな同じことを学ぶ。



技術という一くくりの授業。


建築についても、
機械、電気についても、
理数についても。

そして二学期から、
それぞれ興味が、あるものを選び、学んで行く。
 

⏰:09/03/01 14:21 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#180 [七瀬]
 
 
 
だから今はつまんない。



技術室にも
行ける気配ないし!


それに授業だけでなく、





学校生活も……。

⏰:09/03/01 14:23 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#181 [七瀬]
やっぱ男ばっかだし、なんか汗臭いし!!



それにチビで女の私はクラスでかなり浮いてる。


周りは私を、バカにするような目をする。

女だからって舐めんなよ!



それにアイツもこないしなぁ……。

⏰:09/03/01 15:36 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#182 [七瀬]
 
 
 
 
 
昼休みになった。

お弁当の時間だぁー!



でも楽しいようで、
悲しい。

だって1人ぼっちだし。


今日も1人で食べるのかぁ、と少し憂うつになってさまう。

⏰:09/03/01 15:39 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#183 [七瀬]
 
 
「松田、いる?」


ん?

この声は林原!!


「あ、いたいた。
一緒に食べよーぜ。」


ポカーンとしてる
私と周りの男ども。


「何やってんの?
お弁当、忘れたの?」

首をかしげる林原。

⏰:09/03/01 15:43 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#184 [七瀬]
 
 
 
いやいや、そんなワケないじゃん。


と思ってると、

「ヒューッ!!ラブラブだなぁ、お前ら。
付き合ってんの?」

クラスのお調子者が言い出す。

なっ!

『んなわけないじゃん!』

⏰:09/03/01 15:46 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#185 [七瀬]
 
 
 
「だよな。
食いしん坊のお前がお弁当、忘れるなんてありえねーよな。」

のほほんと林原。



そうじゃなくって!



こうして私と林原は一緒に食べることになった。
 

⏰:09/03/01 15:49 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#186 [七瀬]
 
 
まだ、
“ヒューッ”とか
“ラブラブー”とか、

後ろから聞こえる中、私たちは中庭に向かった。



が中庭は広いのに、
大きな体の男たちで、とても暑そうに見えた。

まだ春なのに。


こんなとこで食べても、
食欲が湧かない……。

⏰:09/03/01 15:53 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#187 [七瀬]
林原も同じみたいで、
食堂に向かう。


が食堂も同じ状態。

『んー、どうしよっか?』


「俺、あっこがいい。」


林原が指さす先は


……屋上?

⏰:09/03/01 15:56 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#188 [七瀬]
『え、あそこ?』



「うん。」

楽しそうにする林原に何も言えなかった。


仕方なく屋上へ移動。




思った通り、誰もいない。

⏰:09/03/01 15:59 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#189 [七瀬]
 
 

 
私は食欲がまったく湧かなかった。

さっきの男集団のせいと、


林原と二人っきりだから。

ドキドキが止まらない。
 
 

⏰:09/03/01 16:01 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#190 [七瀬]
今までは二人っきりでも、なんとも思わなかった。



…ただ!!

あんな冷やかされたら、
嫌でも意識してしまうではないか!

あーっ、あいつらのバカ!私のバカっ!!




そんな私の気持ちとは裏腹に林原は相変わらずだ。

⏰:09/03/01 16:04 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#191 [七瀬]
 
 
 
『屋上は日が差し込んでて気持ちーね。』

気を紛らわすため、林原に話し掛ける。


『ん、そーだな。
ってか、さっきのことなんだけどさぁ。』



さっきのこと!?

⏰:09/03/01 20:06 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#192 [七瀬]
 
 
『い、いや全然、気にしてないから!
ホントに全く気にしてな……』



「俺は気にしてるよ。」


え?





「朝の電車でのこと。」

⏰:09/03/01 20:08 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#193 [七瀬]
 
 
 
 
はぁ。
なんだ、朝のことね。


卒業式での勘違い事件以来、私は林原の
思わせ振り?発言には
なれてしまった。


ま、私が勝手に勘違いしてるだけで
林原にそんな気はないだろうけど。

⏰:09/03/01 20:11 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#194 [七瀬]
とりあえず、私の緊張は、ほぐれた。



「お前んとこは、まだ技術室も行ってないんだよなぁ。」 

『うん。そうだよ。
林原が羨ましい。』

「1組も俺たちのとこも行ったし、
2組だけだろ?行ってないの。」


そーなんだよね。

⏰:09/03/01 20:15 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#195 [七瀬]
 
 
ぼんやり考えてると、なぜか林原のお弁当が目に入った。



かわいい。

たこさんウィンナーに
色とりどりの野菜たち。

たわら型のおにぎりは、ふりかけで着飾っている。

冷凍食品らしきものも
見当たらない。


手作り感で溢れている。

⏰:09/03/01 22:00 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#196 [七瀬]
 
 
 
林原のお母さんって、
どんな人なんだろう。


こんなかわいいお弁当を作れて、
こんなヤツを育てた人。



会ってみたいな。

っていうか、長い付き合いなのに、林原のことは、何も知らないんだな、私。

⏰:09/03/01 22:05 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#197 [七瀬]
 
 
林原の家族。

趣味、特技。


恋人
……は、多分いないと思うけど。


とりあえず何も知らない。

知ってるのは、
変わったヤツだということだけ。


なんか悲しい。

⏰:09/03/01 22:09 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#198 [七瀬]
 
 
そんなことを思っていると、
「ってかさぁ、松田んとこの担任、牧田宏介だっけ?
ヒグマの同級生らしいな。」

と、いきなりのびっくり発言。

『そうなの!?』


「うん。」

卵焼きを突きながら、林原は言う。

⏰:09/03/01 23:14 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#199 [七瀬]
 
「だからさ、ヒグマに聞けば分かるんじゃないの?」

『なにが?』

「技術室に連れてってくんない理由。」


あっ、そうか!


林原、勘良い!!

⏰:09/03/01 23:18 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#200 [七瀬]
 
そんなことを話してる内に林原は食べおわった。

「悪ぃけど、俺は先に行くわ。
やらなきゃなんない、課題あるし。」


え?

『あっありがと。
ってか、それだけのために、お弁当誘ってくれたの?』


また心臓が激しくなる気配。

⏰:09/03/01 23:22 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#201 [七瀬]
「うん。まーな。
でも、それだけじゃない。

また、松田と話したかったから。」



それはどういう意味?

「じゃーな、また今度。」

『あ、うん…。』

手を振る林原に、手を振り返した。
 
 

⏰:09/03/01 23:26 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194