星とぽんず
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#201 [七瀬]
「うん。まーな。
でも、それだけじゃない。

また、松田と話したかったから。」



それはどういう意味?

「じゃーな、また今度。」

『あ、うん…。』

手を振る林原に、手を振り返した。
 
 

⏰:09/03/01 23:26 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#202 [七瀬]
 
 
 
『どういうこと?』



今、問いただし中の私。
思わず目付きがきつくなる。


「ちょ、久々に会ったのに、そんな怖い顔しなくても…。」

焦るヒグマ。

⏰:09/03/01 23:30 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#203 [七瀬]
「少し、落ち着け。」 

ヒグマに促され、興奮を押さえる。




「なるほどなぁ、そーゆうこと。」

事情を話し終えた。

愉快そうに笑うヒグマを見て、かなりイラつく。

⏰:09/03/01 23:33 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#204 [七瀬]
 
 
「まぁ、そんな顔するな。ってか、言ってなかったか?
俺の知り合いがいるってこと。」




そんなの聞いてないっ!

って目をしてヒグマを睨む。


フッと笑いながら、続けるヒグマ。

⏰:09/03/01 23:36 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#205 [七瀬]
「確かに牧田は俺の同級生だ。
ってか永遠のライバルと言った方がいいかな?」



なにそれ??

「まぁ、牧田は昔っから、中途半端な技術が大っ嫌いな奴なんだ。

だからお前らを連れていかないんじゃないか?
技術室に。」


は?

⏰:09/03/01 23:41 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#206 [七瀬]
いや、でも
授業中は自分の話ばっかだよ?



疑問をぶつけるとヒグマは一人、笑いだした。

「相変わらずだなぁ、あいつも。」

いやいや、笑ってる場合じゃないし!
こっちにとっちゃ、重大問題だし!! 
 

⏰:09/03/01 23:44 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#207 [七瀬]
「昔から技術としゃべりだけは最高だった。


まぁ気にするな。俺から言っといてやるよ。
松田は俺のお墨付きの生徒だってことをな。」


その言葉に鳥肌が立つ。

ありがた迷惑だし!



もう帰ろ。

⏰:09/03/01 23:48 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#208 [七瀬]
 
 
収穫なしかぁ。



「おい、ちょっと待て!」

ヒグマの声が私を引き止める。


『はい、まだ何か?』

答える私。

⏰:09/03/01 23:51 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#209 [七瀬]
「この前、林原に会ったんだ。駅のホームで。」



林原に?

「学校の帰りだったみたいだ。
牧田のことを話すと、あいつもしつこく聞いてきた。」


なんで?
あんたは3組だし、関係ないじゃん??

⏰:09/03/01 23:54 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#210 [七瀬]
 
 
 
「あいつ、ほんと変わった奴だよなぁ。

進路だって急に変更しだしたし。
“J高は止めたい、G高に行きたい”って。
それも願書提出の前日に。」



どういうこと!?

私は頭が痛くなった。

⏰:09/03/01 23:59 📱:N703iD 🆔:v.i2gOkA


#211 [七瀬]
 
 
 
 
 
 
 
 
私は走りだした。




林原の元へ。
 
 
 
 

⏰:09/03/02 07:10 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#212 [七瀬]
 
 
 
 

昨日、林原と初めて喧嘩をした。



理由は

……分からない。



ただ、あんな林原は初めて見た。
 

⏰:09/03/02 07:12 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#213 [七瀬]
 
 
 
 
ピンポーン。

チャイムを鳴らした。



目の前には“林原”の表札。


私は、林原の家に初めて来た。
 
 

⏰:09/03/02 07:14 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#214 [七瀬]
 
中学の友達を片っ端に回って、林原の住所を聞いてたら、

もう日も暮れて、こんな時間。


突然の訪問だし、非常識かな、と思った。


けれど、どうしても確かめたいことがあった。

躊躇してるヒマはなかった。

⏰:09/03/02 17:01 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#215 [七瀬]
 
 
あれ?出ない。

留守かな?



そういえば、林原のこと何にも知らないんだな、私。


そんなことを考えると、
「はぁーい。」

中から女性の声。

⏰:09/03/02 17:04 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#216 [七瀬]
ガチャン。
ドアが開く。

「どなた?」

『こんな時間にすみません。私、林原…、
じゃなくって、
幸夫くんの同級生の松田と言います。
幸夫くんはご在宅でしょうか。』

緊張する。


が、
私は次の瞬間、より一層、緊張が増すことになる。

⏰:09/03/02 17:07 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#217 [七瀬]
き、きれいな人……。


私のお母さんと同じ歳くらいだろうけど、
全然違う!

こう、なんというか、
歳に合った、品のある感じ。
肌も歳相応のシワはあるものの、張りがあり、シミもあまり見当たらなかった。


昔はお嬢さまだったんだろうなぁ。

ほんと、うちのお母さんと同じ女性だと思えない!

⏰:09/03/02 17:13 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#218 [七瀬]
そういえばこの家、かなりデカい。

昔からあるような、貫禄のある家。


木造建築でまさに日本風。

松や池がある庭まで、ちゃっかり座っている。


でも修復は結構してるんだろなぁ。
どんな丈夫な家でも時間が経つと、やっぱりボロは出てくるし、
修復跡がいくつかあるのも発見した。

⏰:09/03/02 17:18 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#219 [七瀬]
 
 
 
「幸夫のお友達?
あの子、まだ帰ってきてないの。部活じゃないかしら?
とりあえず中に入って、待ってて。」



お言葉に甘え、中で待たせてもらうことにした。


玄関に頭を通すと、
木の良い香りがした。

⏰:09/03/02 17:22 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#220 [七瀬]
 
 
「ここでお待ち下さい。
今、お茶を入れてくるわ。」

林原の部屋へと案内された。

『あの、お構い無く。』

すると、林原のお母さん?は微笑んで、出ていった。
ほんと、きれいな人。



憧れる。

⏰:09/03/02 17:26 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#221 [七瀬]
 
 
 
ってか、ここが林原の部屋かぁ…。

片付いてるかと思ったら、下には、お菓子の袋が落ちてたりする。

じゃあ、散らかってるのか、と言われると
机の上は、きちんと整理整頓されている。


あいつは部屋ん中も、よく分かんないんだなあ。

少し、笑みがこぼれる。

⏰:09/03/02 17:31 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#222 [七瀬]
 
 
すると林原のお母さん?がお茶を持ってきてくれた、ちょうど、その時に

「ただいま。」

林原が帰ってきた。



また緊張が戻ってきた。
 
 

⏰:09/03/02 17:33 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#223 [七瀬]
林原のお母さん?から事情を聞いたらしく、

「どうしたの?」

と林原が部屋に入ってきた。


緊張をほぐすため、
目の前のお茶に手をのばす。


色からして緑茶だな。
湯気が立つたびに
緑茶独特の匂いが、心地よく鼻を刺激する。

⏰:09/03/02 17:38 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#224 [七瀬]
 
 
『きれーな人だね、林原のお母さん。』

まずは、別の話をしてから本題に移ろうと考えていた。



「ああ、あれおばちゃんだし。」


えぇぇっ!?

……ますます憧れる!!

⏰:09/03/02 17:41 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#225 [七瀬]
 
 
もっとおばあちゃんのことを聞きたかった。

美の秘訣とか、




林原のお母さんは?
とか。


でも林原は、その話をさせてくれなかった。
 

⏰:09/03/02 17:44 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#226 [七瀬]
露骨に嫌な雰囲気を出すのではなく、

林原が
その話を受け付けない空気を体の全体で発した。


ほんの数秒だけど、

林原の犬のような目に、そんな光が見えたことを、
私は見逃さなかった。


今、思うと
この時から、林原の少し違った感じと、

いやな予感がしてたんだ。

⏰:09/03/02 17:51 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#227 [七瀬]
 
話題転換のため、
少し焦りつつ、私は言う。

『そういえば、林原って部活、入ってるらしーじゃん。何部なの?』

「剣道。」


そんなちっちゃい体で剣道とかするんだ。

これには素直に感心した。

でも林原はかなりご機嫌ナナメだった。

⏰:09/03/02 17:56 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#228 [七瀬]
『へ、へぇー。すごいねぇ。私なんか帰宅部だよぉ。』

余計に焦る。

なんとか、持ち上げてみるが、林原はますます、仏頂面になってゆく。

なんとかしないと!



「なぁ、松田。ほんとは俺に何を聞きに来たワケ?」

とうとう、林原の堪忍袋の緒が切れたみたい。

⏰:09/03/02 18:01 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#229 [七瀬]
 
 
少しばかりの沈黙。



どうする、柚子!?
こればかりは、ごまかせないっ!

林原の何もかもを、見透してしまう目が私に向けられている。


あーっ!
そんな目で見ないでよーっ!!

⏰:09/03/02 18:04 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#230 [七瀬]
 
 
 
なあ、
と林原の口がもう一度、開きかけた時に、


『あ、あのさ』

私は、口を開く。



林原の目は、ずっと私を睨んでいる。

一時も離さずに。

⏰:09/03/02 18:08 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#231 [七瀬]
 
 
『あ、あのさ。
その……、何でJ高を止めて、G高受けたの?』



恐る恐る、林原の顔を見上げる。





あ…れ?
 
 

⏰:09/03/02 18:36 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#232 [七瀬]
 
   
 
林原は明らか、動揺していた。


大きな目を、さらに大きく広げ、
口をへの字にして固まっている。




「な、なんで今さら、そんなこと聞くんだよ。」

力なく言う、林原。

⏰:09/03/02 18:40 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#233 [七瀬]
『なんでって……。
林原が言うから今日、会いに行ったの、ヒグマに。


それでヒグマが言ってた。
林原は願書提出の前日に、G高に変更したんだって。』



顔が青くなりだした林原。はじめっから、羨ましいほどの白い顔が
より、白くなった。

まるで豆腐のよう。

⏰:09/03/02 18:46 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#234 [七瀬]
 
 
 
 
 
「帰れ。」


え?

『今、なんて?』

「帰れっつったの。」

ボソッという林原の声は、いつもの高い声じゃなくって低く、冷たかった。

⏰:09/03/02 18:48 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#235 [七瀬]
 
『なんでっ!まだ何も聞いてない!』

少し声を荒げる。



が林原は


「帰れ!」

その何倍も声を荒げて、私に言い放った。
 
 

⏰:09/03/02 18:51 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#236 [七瀬]
 
 
誰?
あの人は誰なの??

私の知ってる林原じゃない。



私は気付いたら、走って家の前まで帰ってきていた。


まだ頭が混乱してる。

ヒグマの話を聞いた後よりも、
頭痛がひどくなっていた。

⏰:09/03/02 18:54 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#237 [七瀬]
 
 
 
 
 
……っと、こんな感じ。

こんな感じで林原と初ケンカしてしまった。


走馬灯のように思い出す。

今も、あの怖い顔した林原を鮮明に思い出せる。

思い出したくないのに。


あぁ、早く忘れたい。

⏰:09/03/02 18:58 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#238 [七瀬]
 
 
 
学校、行きたくないな。

正確に言うと林原に会いたくない。



電車に乗る。

幸い、今日は林原と同じ電車には、ならなかった。
 
 
ふぅ。
良かったぁ。

⏰:09/03/02 19:01 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#239 [七瀬]
満員電車の中、思う。
 
 

林原の家に初めて行って、初めて、部屋に入って、

念願のお母さん、
じゃなくておばあちゃんにも会って。


そして

初めて、焦ってる林原見て、



初めて、怒った顔を見た。

⏰:09/03/02 19:05 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#240 [七瀬]
 
 
 
初めてだらけで、
ちょっとは林原のことを知れて。


幸せなはずなのに。


後者を除いて……。
 
 
 

⏰:09/03/02 19:07 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#241 [七瀬]
 
 
 
行きたくない、とはいっても、
やはり学校には着いてしまう。




しぶしぶ4階へ、足を踏み入れる。


林原に会わないように、願いながら。

⏰:09/03/02 19:10 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#242 [七瀬]
 
 
これまた、幸いにも林原には会わず。

教室へ入る。



一瞬、林原と喧嘩したことを忘れてしまう。






アイツがいたから。
 

⏰:09/03/02 19:14 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#243 [七瀬]
 
 
少し震えながら、足を踏み出す。


これは恐怖で震えてるのではなく、

感動で震えてるのだと思う。



席に着く。

前にはアイツ。

⏰:09/03/02 19:17 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#244 [七瀬]
次、会ったら絶対に声をかけよう、
と決めていた。





どうしよう。

いざという時に、迷ってしまう。


よしっ!
決めたぞ!!

立ち上がった。

⏰:09/03/02 19:22 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#245 [七瀬]
そして深呼吸。


『あの……。』




ピンポーンパンポーン

“松田、松田。
1ー2 松田柚子ー。
大至急、職員室へ来なさい。牧田先生が呼んでいます。”

もぉー!!

⏰:09/03/02 19:26 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#246 [七瀬]
 
 
『なんですか。』

「いや、昨日な飛田から電話があったんだよー。
何年ぶりだろうなぁ。
ほんと懐かしくて、つい昔話しちまったよ。」



それから散々、ヒグマとの学生時代を聞かされるはめとなった。

興味ないしー!
やっぱ面白いけど?笑


とりあえず
ヒグマのせいだーっ!!

⏰:09/03/02 19:31 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#247 [七瀬]
 
 
しかも、
肝心の技術室のことは、全く会話に出てくることはなかった。


なんのために電話したのよ、ヒグマ。

役立たず。



疲れた表情で職員室から出る。

⏰:09/03/02 19:35 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#248 [七瀬]
 
教室へ急ごうとする。

だって早く行かないと、またアイツが、どっかに行っちゃうかも、

と不安だったから。


が、階段へ体を向けた瞬間、すでに私は反対側の階段へと、向かっていた。

⏰:09/03/02 19:39 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#249 [七瀬]
 
 
 
 
だって、

林原が登校して来てたから。


びっくりした。

林原が、こっちを見た気がしたから。


気付いてないよね?
 

⏰:09/03/02 19:41 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#250 [凛]
気になるーっ><
まじおもしろい♪

感想板ってありますか?

⏰:09/03/02 21:51 📱:N706i 🆔:FIoHv/gg


#251 [七瀬]
毎回ありがとっ(´∀`)

やる気でます↑↑

感想板って、
どうやって作るんですか? 

⏰:09/03/02 22:23 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#252 [凛]
皆さんは総合の方で
つくっておられますよ♪

⏰:09/03/02 22:27 📱:N706i 🆔:FIoHv/gg


#253 [七瀬]
 
 
教室へと戻り、
ホッと一息。


その一息は、
なんとか林原に会わずに済んだのと、

ちゃんとアイツがいたから。

やっぱり窓の外を見ている、名前も知らないアイツ。


よし!
今日は名前を知ることが目標!!

⏰:09/03/02 22:43 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#254 [七瀬]
一時限目が始まる。

まだ得意な数学だけど、長く感じた。

早く終わってよーっ!!

休み時間が待ち遠しくて仕方ない。

だって、こんな近いのに、声もかけらんない。

⏰:09/03/02 22:54 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#255 [七瀬]
凛さん、ありがとっ!!

えーと、作ってみようと思ったんだけど、
ちょっと待たなくてはいけないみたいなので、

また明日、やってみますね(●´∀`●)/

作ったら必ずお知らせします。

とりあえず今は、更新を頑張るよーっ(o>ω<o)

⏰:09/03/02 22:58 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#256 [七瀬]
 
 
終わりのチャイムが鳴る。

「ありがとうござました。」

授業終了のあいさつでさえ、うざったく感じる。


先生が教室から出て行くと、すぐさま、アイツも席を立った。

どこいくんだろう?

⏰:09/03/02 23:02 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#257 [七瀬]
 
 
しばらく後を付いていくと、



中庭?

そいつは中庭へ向かって行く。

私も追い掛ける。

私はストーカーか?
と少し、自虐的な笑みをこぼす。

するとヤツは中庭の、一番端っこのイスに腰掛けた。

⏰:09/03/02 23:06 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#258 [七瀬]
 
 
何か見てる?

アイツは下の方を、ジッと見ている。



何を見てるんだろう。

気になる……。


気になる!
気になる!!


私は彼に近づいた。

⏰:09/03/02 23:09 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#259 [七瀬]
よほど熱心に見ているのか、私の近づく気配にまったく気付かない。


3メートルほどの距離になると、さすがに気付いたみたい。

私の方に目を移動させ、すぐに、下に戻す。


あの時と同じ。

初めて会った、入試の実技テストの時と……。

私は胸が高鳴っていくのを感じた。

⏰:09/03/02 23:14 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#260 [七瀬]
 
 
私がずっと見てるのが、気味悪いのか、
ヤツは立って中庭を出ようとした。


こっちに歩いてくる。


すれ違う。



『あのっ!』

たまらず声を掛けてしまった。

⏰:09/03/02 23:17 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#261 [七瀬]
「何?」



初めて聞く声。

深みがあって、ずっと聞いていたくなる。

そして、その深みのさらなる奧に
温かさがあるような声だった。



が、その反面、
目はかなり冷たかった。
 

⏰:09/03/02 23:20 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#262 [七瀬]
 
 
そのギャップに少し、戸惑いながら、私は聞いた。

『あの、名前…。
名前、教えて下さい!』


頑張ったぞ、私!!

と自画自賛していると、


「あのさぁ、人に名前を聞く時はさ、
まず自分から名乗るってのが常識なんじゃないの?」

⏰:09/03/02 23:25 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#263 [七瀬]
 
と、またまた冷たい目が私を惑わせる。



なんかムカつくかも。

ちょっとヤなヤツ?

いやいや、私が悪いのね?

一人、心の中で考える。


なんか思ってたのと違う。

⏰:09/03/02 23:29 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#264 [七瀬]
 
 
すると、何も言わずに立ち去ろうとする、アイツ。


待って、待って!!

『柚子っ!松田柚子!!』


あわてて言う。

すると、男は振り向いた。 
 
まぶしい。

⏰:09/03/02 23:32 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#265 [七瀬]
太陽が急に差し込んできて、視界を邪魔する。



でも見えた。

私には見えた。


太陽に負けないくらい、まぶしい彼の笑顔が。

冷たい目とは、全然違っていて、

声と比例するほど温かい笑顔。

⏰:09/03/02 23:35 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#266 [七瀬]
 
 
 
そんな温かすぎる笑顔で、

「ふーん、よろしくな。


ぽんずちゃん。」

と意地悪く言って、去って行く背中を

ただただ見つめていた。
呆然と立ち尽くして。
 

⏰:09/03/02 23:38 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#267 [七瀬]
 
 
ぽんず……ちゃん?

ぽんずって何?

あぁ、あの酸っぱくて、醤油とはまた違った奴かぁ。

豆腐サラダにかけると美味しいよね〜。


……じゃなぁーいっ!

ぽんずちゃんの

“ぽんず”がポン酢ということを理解するのには、
かなり時間がかかった。

⏰:09/03/02 23:43 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#268 [七瀬]
どうも、お待たせしました。
七瀬の感想板ができましたヽ(´▽`)/

また感想ちょーだいね!

ごめんなさい(*с*)
貼り方が分かりません。

総合の方で
“七瀬 感想板”で検索していただけると、見つかると思います。

これからも長いお付き合いをお願いしますm(__)m

⏰:09/03/02 23:52 📱:N703iD 🆔:krcqc4nw


#269 [凛]
貼れるか微妙やけど…

↓感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4276/

⏰:09/03/02 23:56 📱:N706i 🆔:FIoHv/gg


#270 [七瀬]
 
あくびが出る。


そんな今は、
2時間目の社会。

あくびで涙目になりながら、前のアイツを見る。

さっきの意地悪顔に似合わず、
マジメにノートをとっている。

そんな私は、アイツとは正反対。

先生は耳をするりと、
通り抜けてゆく。

⏰:09/03/03 18:48 📱:N703iD 🆔:Fiiu.ZXI


#271 [七瀬]
 
私の頭の中は、謎でぎゅうぎゅうだった。



なんで、ポン酢ちゃん?

あと、


あなたの名前は?


こんなことが、ぐるぐると脳裏を回っている。

あれから
ずっと、だ。

⏰:09/03/03 18:52 📱:N703iD 🆔:Fiiu.ZXI


#272 [七瀬]
 
マジメな姿を見ていると、無性に邪魔をしたくなってきた。


悪魔が私の心に芽生えた。

“ねぇ、ねえ。”
とでも、言うように
私はシャーペンでアイツの背中をつつく。



あれ、
ムシですか。

⏰:09/03/03 18:59 📱:N703iD 🆔:Fiiu.ZXI


#273 [七瀬]
まるで、何も知らないように、ノートを書き続けている。


気付いてないのかな?


いいや、そんなはずはない。

もっと強く押してみる。

知らんぷりしてるな、こいつ。

腹が立ってきた。 
 

⏰:09/03/03 19:01 📱:N703iD 🆔:Fiiu.ZXI


#274 [七瀬]
 
粘り続けること、約5分。

まだ知らん顔するアイツ。


そろそろ、手も疲れてきた。

もう諦めよ。
また休み時間に声かけよ。



すると、

スッとアイツの手が後ろに伸びてきて、
私の机に何かを置いた。

⏰:09/03/03 19:06 📱:N703iD 🆔:Fiiu.ZXI


#275 [七瀬]
なんだろ?


すると、そこにはノートの切れ端をクシャクシャに丸めたものがあった。



それを開いてみる。

“まだ何か用?”

と、それだけ。
 

さっそく返事を書く私。

手紙を書いてくれただけのに、心は笑っていた。

⏰:09/03/03 19:10 📱:N703iD 🆔:Fiiu.ZXI


#276 [七瀬]
“名前、教えてよ。”

“ひつけーな。ぽんずちゃんには関係ないだろ?”

“ぽんずじゃないし!なんで教えてくんないの?”

“個人情報保護法に基づいて。
てかそんなに名前、知りたがるなんて、俺のこと好きなの?”

“ぜんっぜん!!”

“またまた、強がっちゃってー。”
 

⏰:09/03/03 19:15 📱:N703iD 🆔:Fiiu.ZXI


#277 [七瀬]
こんな、やりとりが続く。
はぁ、だめだこりゃ。


すぐ話題を反らそうとするアイツ。

そして、それに流されてしまう私。


これじゃキリないよ。
教えてもらえる空気じゃないし。



そんなうちに、2時限目も終了。

⏰:09/03/03 19:20 📱:N703iD 🆔:Fiiu.ZXI


#278 [七瀬]
 
 
『ねぇ!なんで教えてくんないの、名前。』


「ん、そのほうが面白いでしょ。」



こいつは私以上に悪魔が心に住み着いていた。

もう、あの温かい目はしないのかな?

また、してよ。

⏰:09/03/04 12:43 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#279 [七瀬]
 
 
 
結局、教えてもらえないまま学校が終わってしまった。

林原とも、会わなかった。



が、私の謎は思わぬ所で解消されることになる。


家に到着。 
 

⏰:09/03/04 12:47 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#280 [七瀬]
ただいま、
と言おうとしたけれど、
下を見ると、お母さんの靴がない。

買い物でも言ってるのかな?

お姉さんはまだ学校だな。



これはチャンス!!

昨日の夕飯のおかずを、
つまみ食いしようとキッチンへ

ガチャ

⏰:09/03/04 12:51 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#281 [七瀬]
「柚子ー。帰って来てるのー?」


チッ。
心の中で舌打ちをする。


「柚子ー。ちょっと来てー。」

お母さんの大声は静かな家に響き渡る。


2階の自分の部屋にいたら、聞こえないフリも出来たけれど、
台所は玄関のすぐ近く。

⏰:09/03/04 12:57 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#282 [七瀬]
もう!!


エビフライに伸びていた私の手は、それにたどり着くことはなく、

お母さんの元へ。


お母さんは、すごい数のビニール袋を持っていた。

「柚子っ!やっと来た。
はい、これを台所に運んで。」

一つ一つの中身も重たい。

お母さんこれ全部、一人で運んだワケ?

さすが怪力。

⏰:09/03/04 13:03 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#283 [七瀬]
 
運び終わると、
次は「あの棚になおして。」「冷蔵庫に入れて」

と、散々コキ使われた。


「これは使うから、冷蔵庫に入れなくていいわ。」

『わかった。』

と目線を向けた。



“ゆずポン酢”

⏰:09/03/04 13:07 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#284 [七瀬]
 
 
ゆず…ポン酢。

唖然とする。



「どうしたの、柚子。」

「あの、これは……。」

「今日はゆずポンが安かったのよー。
いつもは違うのだけど、たまにはいいでしょ?」


ゆずポン酢を私は初めて見た。

⏰:09/03/04 13:12 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#285 [七瀬]
 
「もう、ママがいつもいつも、一番安いポン酢買ってるから柚子がゆずポンも知らないんだからなー。」

とお父さんが上機嫌でいう。

「だって、10円がもったいないんだものー。」

とニコニコ答えるお母さん。


この二人のラブラブぶりには、
娘の私たちはいつも恥ずかしく、寒気がする。

⏰:09/03/04 13:18 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#286 [七瀬]
この時だけは、お姉さんと以心伝心できる。
 
 
「ってゆーか、柚子はゆずポン知らなかったんだ。」

『うん。お姉さんは知ってるの?』

「昔はうちも、ゆずポンだったしねー。」


そうなんだ。

「パパが、ゆずポン派だったしね。」

⏰:09/03/04 13:22 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#287 [七瀬]
お姉ちゃんは続ける。

「でも、いつからか10円安いやつになってた。」

声を潜め、私に耳打ちするお姉ちゃん。

「お父さんは全く気付かないしね。
ほら、うちのお父さんは味オンチじゃん?」


そうだったんだ。

「柚子の名前の由来はゆずポンから来てるんだぞー。」

⏰:09/03/04 13:27 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#288 [七瀬]
 
と少し酔ってるお父さんは、いつものおっとり口調ではなく、さらりと言った。



が、私には衝撃的な事実だった。

私の名前って一体なんなのよ〜!!

「やだ、あなたったら〜!」

お母さんは笑ってる。

さっきまで以心伝心だったお姉ちゃんまでも、大笑い。

⏰:09/03/04 13:32 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#289 [七瀬]
 
 
 
そんな、ちょっと複雑な真実を知った私。

初めて食べたゆずポンの味は、いつものやつよりも濃くって、

今の私には苦かった。


あれから、お風呂にも入って、
今は髪を乾かして、クシで、とかしていた。

⏰:09/03/04 13:37 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#290 [七瀬]
 
 
鏡に写った自分を見る。

短い髪。
幼稚園の時は背中まで、あったのになあ。
でも小学校にあがってから、ずっとこのショートヘアー。



そして、少し小麦色の肌。

私には、これがコンプレックスだった。

⏰:09/03/04 13:42 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#291 [七瀬]
だって、お母さんもお父さんもお姉ちゃんも、みんな真っ白な肌。


私だけ。

小学生の時、おじいちゃんに聞いたことがある。

『どうして私の肌はお母さん達と違うの?』

「柚子は、わしに似たんだなぁ。」


おじいちゃんは、小麦色の顔で優しく言った。

⏰:09/03/04 13:50 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#292 [七瀬]
この話には続きがある。

この後、おじいちゃんは

「それに柚子とわしの肌はなぁ、太陽をたくさん浴びた証拠なんだよ。
たから、ちっとも恥ずかしがることはない。」

と言った。

これで私のコンプレックスは消えた。


……はずなのに。

またあの当時の、苦しい気持ちが蘇ってきてる。

⏰:09/03/04 13:56 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#293 [七瀬]
 
なんでだろう。



「どしたの?柚子。
鏡ばっかり見て、好きな子でも出来たの?」

いきなりお姉ちゃんが現れた。

『もう!からかわないでよ!!』



私は、部屋に戻り、ベッドに倒れこんだ。

⏰:09/03/04 14:01 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#294 [七瀬]
 
 
さっきのお姉ちゃんの言葉が耳を離れない。

“好きな子でも出来たの?”




ふと、アイツのことを思い出す。

アイツもきれいな小麦色だったなあ。
 

⏰:09/03/04 14:05 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#295 [七瀬]
 
 
今度こそ!
今度こそ、名前を知る!!

固く決心して、元気良く、家を出る。

んー、朝の空気が清々しいなあ。

駅へと、私の足はルンルンと歩いて行く。


アイツのことを考えると、自然と楽しくなる。
 

⏰:09/03/04 14:32 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#296 [七瀬]
 
 
が、 
私の気持ちは、一気に暗くなった。

だって、






駅に林原がいたから。
 
 

⏰:09/03/04 14:34 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#297 [七瀬]
切符を買っているらしい林原は、私には気付いていない。


なんか懐かしい。

一昨日、会ったのになぁ。


私が2日前に見た林原は、普段の林原じゃなかった。


だから今見てる、いつもの林原がとても懐かしく感じたかな。

息が苦しくなった。

⏰:09/03/04 14:38 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#298 [七瀬]
私はやっぱり林原に声をかけられず仕方なく一本、後の電車に乗った。




「おーい、遅刻だぞ。」

教室に着くころには、1時限目の授業を5分、過ぎたところだった。

技術の授業だったみたいでマッキーの声が私に向けられる。

『すいません。』

私は席に着いた。

⏰:09/03/04 14:45 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#299 [七瀬]
私はボンヤリと朝のことを考えていた。


前にアイツがいるのに、ちっとも、心は弾まない。

どうしちゃったんだろ、私?

自分でもわからない。



マッキーの話は相変わらずなのに
私は全然、頭に入ってこない。

⏰:09/03/04 14:49 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#300 [七瀬]
“どうかしたのか?”

そんな手紙が前から、送られてきた。

アイツが私を見ている。
あの温かい目で。


なんでもないよ、
という風に首を振った。

心配してくれてるのかな?


ちょっぴり元気が出た。

⏰:09/03/04 14:53 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


#301 [七瀬]
マジメに授業を受けよう。

不謹慎だけど、
アイツのおかげで、そう思えた。

ノートを開く。


シャーペンで、マッキーの乱雑な字を移し始める。

あ、間違えた。

消しゴムを出そうと、筆箱をさぐる。


あれ?

⏰:09/03/04 14:57 📱:N703iD 🆔:xIwV6ta2


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