夏祭り、恋花火
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#161 [七瀬]
今日は2周年の記念日。
そして久しぶりのデート。
最近、
二人共、忙しくって
忙しくって…。
なかなか会えなかった。
私は今、大学生。
19歳。
奏は21歳。
:09/03/20 22:43 :N703iD :bKNl0Pwo
#162 [七瀬]
『おめでとぉ。
また1年間よろしくな。』
「こちらこそ、よろしく、まつり。」
チンッ
乾杯して、グラスを口に運ぶ。
『でも、淋しいなあ。
2年前、私と奏が付き合った祭が
今年からなくなってしもたなんて。』
:09/03/20 22:49 :N703iD :bKNl0Pwo
#163 [七瀬]
「まあな。
でも、そのおかげで
今ここで、まつりと過ごせるわけやん。
ほんまの2周年を。」
『そうゆわれたら、そぉやけど。
去年は2日、ズラしてしたよな、1周年は。』
ほんま懐かしい。
今でも、もちろん祭には欠かさず行っている。
:09/03/20 22:53 :N703iD :bKNl0Pwo
#164 [七瀬]
でも17歳の私とは大きく違っているところがある。
それは、
私はあの人ではなく、
“奏のため”に行くようになった。
祭に行くたび、奏に会えてうれしい。
昔の傷は癒えた。
あの人のことを思い出すことも少なくなっている。
:09/03/20 22:57 :N703iD :bKNl0Pwo
#165 [七瀬]
確実に前に進んでいる。
中学生で止まったままの
記憶も流れてゆく。
恋花火は、もう聞こえない。
聞こえるのは、
奏の優しい声だけ。
今、私は幸せなんや。
:09/03/20 23:01 :N703iD :bKNl0Pwo
#166 [七瀬]
「まつり!まつりっ!!」
『どうしたん?麻友ちゃん。
そんな血相変えて…。』
今は、
祭で一番、忙しい時間帯。
麻友ちゃん、
こんな忙しい時に、どしたんやろか。
:09/03/20 23:07 :N703iD :bKNl0Pwo
#167 [七瀬]
息を整え、
麻友ちゃんは言った。
「あんな、まつり。
落ち着いて聞いてや。」
頷く。
「…来てんねん。
ハラダタカシが、ここに来てんねん!」
ハラダ…タカシ……。
:09/03/20 23:12 :N703iD :bKNl0Pwo
#168 [七瀬]
呼吸が荒くなる。
苦しい。
ハラダタカシ
ハラダタカシ
ハラダタカシ…
原田俊(ハラダタカシ)。
あの人。
私の初恋の人……。
:09/03/20 23:15 :N703iD :bKNl0Pwo
#169 [七瀬]
『…うそ。うそやっ!
来てるわけない……。
そんなん嘘やっ!』
私は完全に混乱している。
お客さんがおるのも忘れ
一人、取り乱す。
「ううん。嘘やない。
嘘ちゃうねん、まつり。」
麻友ちゃんは落ち着いた口調で言う。
:09/03/20 23:19 :N703iD :bKNl0Pwo
#170 [七瀬]
なんで?
なんで今さら。
せっかく忘れかけてたのに。
昨日は奏との記念日であんなに楽しかったのに、
今は苦しくって仕方ない。
:09/03/20 23:21 :N703iD :bKNl0Pwo
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