夏祭り、恋花火
最新 最初 🆕
#192 [七瀬]
 
 
 
『なあなあ、
あんた、名前なんてゆうん?』


その日、
私はいつもみたいに新人イジメのため、
わざわざ神社の中にある、“たこ焼き”まで
やって来た。



プロパンをいじりながら、新人は言った。
 

⏰:09/03/22 05:13 📱:N703iD 🆔:0553rOCs


#193 [七瀬]
 
「ハラダタカシやで。」


『ハラダタカシ?』

「野原の“原”に、
田んぼの“田”で原田。

あと、俊足の“俊”でタカシって読むねん。」


そう言われ
“原田”までは、思いついたものの、

小学2年生の私。
“俊”はカタカナのままだった。

⏰:09/03/22 05:19 📱:N703iD 🆔:0553rOCs


#194 [七瀬]
 
 
とりあえず、

ふーん
と適当に頷く。


だって、

私がに聞きたいことは、
そんなんと違うし。


相手が嫌がるような、
うっとうしくて仕方なく
感じるようなことを聞くのが

ほんまの目的。

⏰:09/03/22 05:24 📱:N703iD 🆔:0553rOCs


#195 [七瀬]
 
何歳?
 
誕生日は?

血液型は?

どこ住んでんの?


こんなんは、序の口。


ファーストキスはいつ?

どこで?

どんな風に?

好奇心だらけの質問。

⏰:09/03/22 05:27 📱:N703iD 🆔:0553rOCs


#196 [七瀬]
 
どれにも笑って答えてゆく。

なかなかやるな、コイツ。


確かな手応えを感じ始める。

そして、



『今、彼女おんの?』

と、とうとう聞いた。
 

⏰:09/03/22 05:30 📱:N703iD 🆔:0553rOCs


#197 [七瀬]
 
「ん〜、彼女ってゆうか、奥さんやな。」

『結婚してんの?』


「そぉやな。」


たこ焼きを焼き始めた手を見ると


指輪。


子どもの私でも、
その意味は理解できた。
 

⏰:09/03/22 05:34 📱:N703iD 🆔:0553rOCs


#198 [七瀬]
 
 
『ふーん。子どもは?
子どもはおんの?』


「まだ籍入れて、2ヵ月しか経ってへんし、
そんなんまだまだ先や。」

『じゃあ、まだ見ぬ赤ちゃんのために頑張りや。

ここで、さぼらんように
まつりが見張っといたるわ。』


「そりゃ、
どーもありがとぉ。」

⏰:09/03/22 05:38 📱:N703iD 🆔:0553rOCs


#199 [七瀬]
 
ほんまえらそうなガキ。


そんな私にも、笑って答えるあの人。


今の私やったら、

ガキんちょに
自分の子どものことなんか心配してほしないわっ!

ってキレてる。
 
 

⏰:09/03/22 05:41 📱:N703iD 🆔:0553rOCs


#200 [七瀬]
 
 
それから、
本当に私は見張り続けた。

とゆうより、
お邪魔し続けた。






そして私が小学6年生になった時、

“原田さんに子どもが出来た”

と聞いた。

⏰:09/03/22 05:44 📱:N703iD 🆔:0553rOCs


#201 [七瀬]
お母さんとおばあちゃんが話してるところを
盗み聞きした。



ショックやった。


なんでか分からへんけど、無性に悲しくって

イライラした。


今、思えば

出会った時から、あの人が好きやったんや。
 

⏰:09/03/22 05:47 📱:N703iD 🆔:0553rOCs


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194