夏祭り、恋花火
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#235 [七瀬]
“まもなく”とゆうても、あの人が神野商会を辞めて3年が経っていた頃。
私が中2の時だった。
私が奏と出会って1年が過ぎてた時期。
あの人の奥さんに癌が見つかった。
乳ガンだった。
:09/03/24 09:05 :N703iD :z5682swI
#236 [七瀬]
心の病は、癒されても
体はどんどん蝕まれてゆく。
手術を受けた。
結果は一応、成功。
でも1年後、転移した新たな癌が見つかったらしい。
医者には、“手遅れ”と言われた。
それから抗がん剤だけの治療が始まった。
:09/03/24 09:09 :N703iD :z5682swI
#237 [七瀬]
髪は抜け落ち、
頬は痩せこけ…
癒えた心の傷も、また開きだす。
あの人は頑張った。
だけど
とうとう先月
彼女は屋上から飛び降りた。
:09/03/24 09:12 :N703iD :z5682swI
#238 [七瀬]
飛び降りようが、しなかろうが、もう長くはなかっただろう
と医者は言ったとゆう。
「彼女……由利は最後の力を振り絞ってでも、
少しでも早く…
楽になりたかったんやな。」
遠くを見ながらあの人は言った。
:09/03/24 09:16 :N703iD :z5682swI
#239 [七瀬]
今度は同情して、何も言われへんかった。
「葬式はあっとゆう間やった。
あれ、不思議なもんで
葬式中は慌ただしくって悲しみも忘れてまうのに、
終わったら、普通の何倍も悲しくなる。」
そう笑うあの人に胸がキュッと締め付けられた。
:09/03/24 09:24 :N703iD :z5682swI
#240 [七瀬]
「俺も死んじゃおっかなーって思た時、
まつりの顔が浮かんで、
会いたなった。
だから今日、会いに来た。」
そうゆうと、真っすぐに私を見つめた。
『…死なんといて。』
:09/03/24 09:29 :N703iD :z5682swI
#241 [七瀬]
気が付けば、私の手と頬は涙でグッショリ。
『死んだらアカン。
死んだら…』
涙で詰まる。
「ありがとう。」
そう涙をすくってくれる。
これじゃ、どっちが慰めてんのか分からん。
:09/03/24 09:33 :N703iD :z5682swI
#242 [七瀬]
「でもな、まつり。
俺…許されへんねん。
由利が。
なんで自分から命を断ってしまったのか。
さっき、まつりがゆうたやろ?
“忘れられへんから、許されへん”って。
俺もそうや。
由利のこと愛してた。
だからこそ許されへんねん。
なんで俺を置いてってしまったんや…。
それに……」
:09/03/24 15:49 :N703iD :z5682swI
#243 [七瀬]
『それに…?』
「それに、俺自身も許されへん。
なんで、もっと由利を支えられなかったんや。
子供も守られへんかった。
もし、あの時……
流産なんかしてなかったら由利も俺も人生変わってた。
もっともっと頑張れた。」
:09/03/24 15:53 :N703iD :z5682swI
#244 [七瀬]
頑張れた?
人生変わってた?
彼の言うとおり、
流産してなかったら、違う運命やったやろうな。
私も彼と、離れなくて済んだ。
みんなみんな幸せやったんや…。
『…そやけどっ!』
:09/03/24 16:04 :N703iD :z5682swI
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