夏祭り、恋花火
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#380 [七瀬]
「いつまでも奏を振り回して…
ええ加減にしてよ!」
初めて、麻友ちゃんは声を荒げた。
大きな目が吊り上がり気味に私を見ている。
「私はまつりとは違う!
まつりみたいに
奏を初恋の人と重ねて見たりしてない!!」
:09/03/30 01:19 :N703iD :gYBu1X56
#381 [七瀬]
ズキン…
麻友ちゃんの言葉が
胸を傷める。
「私の方が奏を幸せに出来る。
一人の男として見れる!
私の方が…
奏を愛してる!!」
それでも、
容赦なく降り掛かってくる言葉。
:09/03/30 01:23 :N703iD :gYBu1X56
#382 [七瀬]
確かにそうかもしれない。
私は奏とあの人を重ねてた。
「私は、ずっと前から奏が好きやった。
まつりが悪いんやで。」
麻友ちゃんは店を出た。
私はポツリと、麻友ちゃんの言い残した言葉の重みを感じていた。
:09/03/30 11:38 :N703iD :gYBu1X56
#383 [七瀬]
祭があるまでの、この四日間。
すごくすごく考えた。
こんなに頭を使ったのは、人生初かもしれへん。
今日は雨がザーザー降ってじめじめしていた。
余りにも、すごい雨やから祭は中止に、なりかけけどセーフだった。
でも、花火は中止のようだった。
:09/03/30 11:47 :N703iD :gYBu1X56
#384 [七瀬]
傘をさして、カステラへと向かう。
今日は、大竹さんがお休みなので、
遊希がカステラを焼いて、私は前場をすることになった。
金魚は麻友ちゃんがするみたい。
少し安心した。
奏も来てるみたいだけど、会う元気と勇気はすっかりなくしてしまった。
:09/03/30 11:51 :N703iD :gYBu1X56
#385 [七瀬]
「ちょっと、まつり。
これ、金魚に持っていって。」
お母さんが、最悪な仕事を持って来て、自分の店に帰っていった。
金魚…
麻友ちゃん。
「俺が持って行くわ。」
遊希は、なにかを察して
気を使ってくれた。
:09/03/30 11:55 :N703iD :gYBu1X56
#386 [七瀬]
『ううん…遊希は粉練らなあかんし、私が行くわ。』
遊希にいつまでも迷惑かけたらあかん。
もう一度、
傘を広げ、金魚へと足を運ばせた。
パシャパシャパシャ
歩くたびに、水溜まりが足に跳ねて、冷たい。
金魚の約10メートル前で
立ち止まる。
:09/03/30 11:59 :N703iD :gYBu1X56
#387 [七瀬]
麻友ちゃんと奏が
キスしてた。
まるで、あの日みたい。
たくさんの金魚たちに見守られて…
そう、2年前の天神祭。
:09/03/30 12:02 :N703iD :gYBu1X56
#388 [七瀬]
ボォーっと、2人を眺めていると、
麻友ちゃんが私に思えてきた。
私と奏が、そこにいるように錯覚してきた。
早く、こっから立ち去らないと…
身体の危険信号が黄色になっていた。
:09/03/30 12:05 :N703iD :gYBu1X56
#389 [七瀬]
奏と目が合う。
時間が止まったみたい。
奏と麻友ちゃんは向かい合っていて、
私には麻友ちゃんの背中と、奏の大きく見開かれた目しか見えない。
危険信号はすでに、赤に変わっているはずなのに
なぜか客観的に見てる自分がいた。
:09/04/01 11:11 :N703iD :VvI5HsyM
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