夏祭り、恋花火
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#65 [七瀬]
また新しい人が来た。
最初はいつものように、
そう思ってた。
『なあなあ〜。
アンタ名前は〜?』
あの頃の私はバイトの子が入る度に
男だろうが、女だろうが、話し掛けてた。
そして質問攻めにする。
:09/03/19 13:03
:N703iD
:DKWoRP7w
#66 [七瀬]
『何才なん?』
『どこ住んでんの?』
『なんで、ここで働いてるん?』
『彼女おんの?』
今、思えば
かなりウザいガキ。
子供嫌いな私やったら、
多分キレてた。
お母さんにも、よく怒られた。
“邪魔したらアカン”って
:09/03/19 13:09
:N703iD
:DKWoRP7w
#67 [七瀬]
最初はニコニコと答えてた子たちも、
忙しくなってきたり、
隅々まで聞かれたり。
段々、うっとうしくなってくる。
当たり前やわな。
そんなことをするのが私は面白くって溜まらんかった。
ほんまひねくれてるガキ。
:09/03/19 13:13
:N703iD
:DKWoRP7w
#68 [七瀬]
で、いつものように質問しまくる。
でも、あの人は
いつもの私の逆のポジションにおった。
いつも、バイトの子を
質問して、うっとうしがってる顔を見て楽しんでる私。
私が質問しまくる姿を見て楽しんでるあの人。
:09/03/19 13:16
:N703iD
:DKWoRP7w
#69 [七瀬]
質問に答えながらも、ニヤニヤ笑ってる。
なんか負けた気がした。
負けず嫌いな私は、
ムキになってさらに質問する。
そんな私を見て楽しんでる。
あの人は“大人”やった。
“子供なんて、どうってこない”
って感じやった。
:09/03/19 13:20
:N703iD
:DKWoRP7w
#70 [七瀬]
それからというもの、
私はずっと祭に行ってる。
お母さんにたまに、ついていってただけやったのを、
“祭”と聞いたら
ついてゆく。
もちろん、あの人に会うために。
めっちゃ楽しい。
あの人としゃべることが。
あの人は子供の私にも真剣にしゃべってくれた。
最初は適当やったくせに。
:09/03/19 13:26
:N703iD
:DKWoRP7w
#71 [七瀬]
でも、そんなことが
ずっとは続かへん。
私が小学4年生になろうとする前、
「祭に来たいなら働き!」
とお母さんに言われた。
いつか言われるなあ
とは思ってた。
だって、
あの人のところで
ずっとしゃべってたら
そう言われるよな。
:09/03/19 13:33
:N703iD
:DKWoRP7w
#72 [七瀬]
それから、祭に行きたい私は働きだす。
と言っても、10歳になったばかり。
初めの内は、お母さんと一緒にした。
お金をもらって、お釣りを渡すだけの役。
でも、ドッと疲れた。
:09/03/19 14:22
:N703iD
:DKWoRP7w
#73 [七瀬]
しゃべる暇なんてない。
一歩も動かず、同じことを繰り返すだけ。
それでも私はうれしかった。
“また会える。
あの人に会える。”
そう思いながら頑張る。
あの人には前ほどは会えなくなったけど、
祭が始まる前と終わった後には
少しだけ話せた。
:09/03/19 14:26
:N703iD
:DKWoRP7w
#74 [七瀬]
それだけで十分やった。
それに働くことで、
働くことの気持ち良さ
を知った。
ますます祭が好きになっていく。
…はずやったのに。
:09/03/19 14:29
:N703iD
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