夏祭り、恋花火
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#80 [七瀬]
でも、

桜の咲き始めから満開まで

満開から散り始める頃まで店を出している。


だから10日間くらいしている。



学校が終わると、
ジャージに着替え、真っ先に駅へと向かう。


二駅向こうの
あの人の元へと…。

⏰:09/03/19 18:00 📱:N703iD 🆔:DKWoRP7w


#81 [七瀬]
 
 
 
でもその10日間もあっという間。


通り抜け最終日。



『ありがとうございました。』

最後まで酒を飲んで
なかなか腰を上げないサラリーマンたちも
ようやく席を立った。
 

⏰:09/03/19 18:02 📱:N703iD 🆔:DKWoRP7w


#82 [七瀬]
 
ふぅ。
やっと帰った。

疲れた身体にムチを打ち、最後の仕事をし始める。

それは洗い物。


お客さんの使った皿やら箸。
後はおでんを煮た大きな鍋など。

かなりの重労働。


大体2、3人の女の子たちとする。

⏰:09/03/19 18:11 📱:N703iD 🆔:DKWoRP7w


#83 [七瀬]
 
はずが女の子たちは、
おばあちゃんに呼ばれ、
とりあえず一人で始めることにした。


春とはいえ、まだ肌寒い季節。

冷たい水に耐え、金ダワシに洗剤をつけ、こする。



「まつり。」
 
後ろから柔らかい声。
 

⏰:09/03/19 18:14 📱:N703iD 🆔:DKWoRP7w


#84 [七瀬]
振り返ると、そこにはあの人。

「今日で最後やな。」

私はこの時、この意味がよく分からんかった。

『うん。今度は夏やな。』

これが終わると、天神祭まで祭がない。

「そやな。」

今、思うとなんで気付かんかったんやろう。

悲しそうな顔してたのに。

⏰:09/03/19 18:20 📱:N703iD 🆔:DKWoRP7w


#85 [七瀬]
 
 
『どうしたん?そんな顔して。』

「いやまた会おな。」

『なに言ってんの。』

クスクス笑う。


「また迎えに来るわ。」

『トラックで?』


その当時、私はよくトラックで送り向かいをしてもらってた。

⏰:09/03/19 19:58 📱:N703iD 🆔:DKWoRP7w


#86 [七瀬]
 
 
 
「うん、トラックで。
きっとな。」





それが最後に聞いた、あの人の言葉だった。
 
 
 

⏰:09/03/19 20:00 📱:N703iD 🆔:DKWoRP7w


#87 [七瀬]
 
中学生になって初めての、天神祭。



あの人は来なかった。


そして入れ替わるように、新しいバイトの子たちが入ってきた。


なんかあったんやろか?

と最初は思った。


けれども、もう4年。

⏰:09/03/19 20:04 📱:N703iD 🆔:DKWoRP7w


#88 [七瀬]
 
あれから4年が経った。



生きてるかどうかも分からない。


時は確実に過ぎて行ったのに、

私は置いてきぼり。


いつまでも中学生のまま。 
 
 

⏰:09/03/19 20:07 📱:N703iD 🆔:DKWoRP7w


#89 [七瀬]
 
 
 
もー、暑い!
暑い暑い!!

座ってるだけで汗が出てくる。


「まつり、ご飯食べに行こか。」

『奏君、行こか。』


天神祭二日目。

奏君と一緒にご飯を食べに行く。

⏰:09/03/19 20:25 📱:N703iD 🆔:DKWoRP7w


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