夏祭り、恋花火
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#150 [七瀬]
料理が運ばれて来た。
食べ始める。
さっきより空気が重い。
押し潰されそう。
「まつり。」
この沈黙の中、
奏君が声を発した。
:09/03/20 10:54 :N703iD :bKNl0Pwo
#151 [七瀬]
『ん?』
「ついてる。」
『へ?』
「口の周り。
ハンバーグソース。」
自分の口の周りを指して、奏君は言った。
うそっ!
私は慌てて、ティッシュを取り出す。
:09/03/20 10:58 :N703iD :bKNl0Pwo
#152 [七瀬]
そんな私を見て、奏君は
「ほんま面白いわ。
朝のことといい、
今のことといい。
なあ、そう思わんか?
遊希。」
「んあ?」
奏君の挑むような目に、
遊希の目付きは、一層キツくなる。
:09/03/20 11:04 :N703iD :bKNl0Pwo
#153 [七瀬]
ちょっとお二人さん?
『遊…希?』
「ほんまや。
ほんまにコイツはアホや。」
そう言って、また食べ始めた遊希。
なんやったんや、今の雰囲気…。
:09/03/20 11:06 :N703iD :bKNl0Pwo
#154 [七瀬]
よう分からん雰囲気のまま、
私はアホ呼ばわりされたまま、
ファミレスを後にする。
金魚に戻る。
「じゃあ、後で奏か遊希に金魚たち持って行かすわ。」
大竹さんの言葉に
わかった
と返事して、準備にとりかかる。
:09/03/20 11:23 :N703iD :bKNl0Pwo
#155 [七瀬]
店を組み始める。
この二日間、私はどうなるんやろか。
不安と期待が入り交じる。
「金魚、持って来たで。」
:09/03/20 11:36 :N703iD :bKNl0Pwo
#156 [七瀬]
『それはどうも。』
「ってか。
動揺し過ぎや、まつり。」
『それは、奏君があんなことゆうからやろ!
突然……』
「突然?」
『いきなり耳元でささやいたり、
遊希を挑発するようなことゆうたり、
それに……』
:09/03/20 11:41 :N703iD :bKNl0Pwo
#157 [七瀬]
「それに?」
知ってるくせに。
わざとやな。
分かってても、奏君の思うツボ。
『…それに
突然、キス……したり。』
言った。
小さくって消えてしまいそうな声で。
:09/03/20 11:44 :N703iD :bKNl0Pwo
#158 [七瀬]
「したよ。
確かに俺はまつりにキスした。
あの日に。
でもな、突然じゃない。
俺はずっとキスしたかった。
まつりと。」
うれしい。
私も分かってても、聞いてしまう。
:09/03/20 11:48 :N703iD :bKNl0Pwo
#159 [七瀬]
『キス出来るなら誰でも良かったん?』
「アホか。そんなわけないやろ。
お前だけや。
好きやで。」
たくさんの金魚たちに見届けられながら、
私たちはもう一度、唇を交わした。
今度は両思いのまま。
:09/03/20 11:53 :N703iD :bKNl0Pwo
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