夏祭り、恋花火
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#201 [七瀬]
お母さんとおばあちゃんが話してるところを
盗み聞きした。
ショックやった。
なんでか分からへんけど、無性に悲しくって
イライラした。
今、思えば
出会った時から、あの人が好きやったんや。
:09/03/22 05:47 :N703iD :0553rOCs
#202 [七瀬]
それに焦った。
奥さんがおるのは、
正直なんも思わんかった。
けれど、
子どもが生まれたら、
もう私なんか相手してくれへんくなる。
そう思うと、
苦しくって苦しくって
溜まらんかった。
:09/03/22 05:50 :N703iD :0553rOCs
#203 [七瀬]
「なんか最近、冷たいやん。」
『別に。
真面目に働いてるだけ。』
私はこの頃から、1人で金魚を任されるようになった。
「そっか。
おっちゃん寂しぃわ。」
店を潰しながら、軽く言う。
:09/03/22 19:04 :N703iD :0553rOCs
#204 [七瀬]
そんなこと、思ってないくせに。
あの人は私の前では
自分のことを
“おっちゃん”とゆう。
今まで、なんとも思わんかったのに
最近は子供扱いされてるみたいで、いやや。
むしゃくしゃする。
:09/03/22 19:07 :N703iD :0553rOCs
#205 [七瀬]
あの人は、自分から
自分のことを話す人じゃない。
本人はなんも、ゆうてへんし、
お母さんらの間違いかも。
だから、ほんまは嘘なんかも。
そんな淡い期待を抱く。
『子供できたって
ほんまなん?』
:09/03/22 22:09 :N703iD :0553rOCs
#206 [七瀬]
そうであってほしかった。
お母さんらの勘違い、
もしくは私の聞き間違い。
あの人は
「ほんまやで。」
サラリと答えた。
:09/03/22 22:12 :N703iD :0553rOCs
#207 [七瀬]
それから、私は何も言わずあの人も何も話さなず。
あるのは沈黙だけ。
その夜、布団に入りながらなかなか寝付けなかった。
忙しくって疲れてるはずなのに。
私の気持ちが睡眠の邪魔をした。
:09/03/22 22:16 :N703iD :0553rOCs
#208 [七瀬]
そして、ある決心をする。
翌日。
『原田さん。』
あの人に声を掛ける。
:09/03/22 22:20 :N703iD :0553rOCs
#209 [七瀬]
「どしたんや、まつり。」
最近は
あの人が話し掛けて来ても、ほぼ無反応やったのに
しゃべって来た私に驚くあの人。
『…幸せにな。』
:09/03/22 22:27 :N703iD :0553rOCs
#210 [七瀬]
え?
とでも聞くように目を丸くするあの人。
『だからっ!
…幸せになってな
ってゆうてんねんっ!!』
照れ隠しのため、少し声を荒げる。
:09/03/22 22:30 :N703iD :0553rOCs
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