夏祭り、恋花火
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#251 [七瀬]
 
「ん?
“あと”…なんや?」


『もし、
原田さんが死んだら、私が頭おかしなるわ…。』


真剣な目付きに戻る。

『それに、私はずっと思ってた。

“この花火、原田さんも見てるんかな?”って。

天神祭の花火を見るたびに。』

⏰:09/03/24 16:46 📱:N703iD 🆔:z5682swI


#252 [七瀬]
 
 
「花火は見えへん。
俺の家からは見えへんな、残念ながら。


でも

聞こえてた。

花火がバーン!!
って弾ける音。

ほんま小さくやけどな。」


そう彼は笑った。
 

⏰:09/03/24 16:50 📱:N703iD 🆔:z5682swI


#253 [七瀬]
 
「ほんまにありがとう、まつり」
 
 
そう言って、彼は去って行った。


新たな光へと向かって。



私は、もう忘れた。

彼との記憶ではなく、

その記憶をいつまでも引きずっていた私を。
 

⏰:09/03/24 16:58 📱:N703iD 🆔:z5682swI


#254 [七瀬]
 
上を見上げる。

天神祭よりも、かなり小規模な今夜の祭の花火。


目を閉じる。

耳に神経を集中させる。


バーン!!

パチパチパチパチ…


上がった花火が、燃え尽きる音が聞こえる。
 

⏰:09/03/24 17:05 📱:N703iD 🆔:z5682swI


#255 [七瀬]
 
 
 
 
さようなら、初恋の人。




さようなら。





私の恋花火…
 
 

⏰:09/03/24 17:07 📱:N703iD 🆔:z5682swI


#256 [七瀬]
 
 
『ごめんっ!ほんまごめんなあ、麻友ちゃん!!』

「ええよ。
だって原田さんと話せたんやろ?」

『うん!おかげさまで。
けじめ、つけれた。』

「じゃあ良かったやん。
私は、まつりが原田さんとちゃんと話せたなら、別にええねん。」


『麻友ちゃん…ほんまにありがとう。』

⏰:09/03/24 19:56 📱:N703iD 🆔:z5682swI


#257 [七瀬]
今は、もう店も潰し終わったところ。


私がいなくなった後、
麻友ちゃんが金魚の店番をしてくれた。


「なに水臭いことゆうてんのよ。」

そう笑ったのも、束の間。


「まつり。」
 
深刻そうな面持ちで話し始めた。

⏰:09/03/24 20:00 📱:N703iD 🆔:z5682swI


#258 [七瀬]
『ん?』


「あんた忘れてるやろ。」

『え?何を??』


ため息をつく麻友ちゃん。

「奏君。」


『あっ!!』


アカン…。

完全に忘れてた。
 

⏰:09/03/24 20:03 📱:N703iD 🆔:z5682swI


#259 [七瀬]
 
『ごめん!!
もっかい行ってくる!』

そう言いながら、
私の足はボールへと急いでいた。


「はぁーい。
今日、まつりは給料なしやからなあー。」


遠くから、意味深な言葉を麻友ちゃんが発していたけど、
とりあえず頷いて、先へ走ってゆく。

⏰:09/03/24 20:07 📱:N703iD 🆔:z5682swI


#260 [七瀬]
 
 
 
『奏!』


「まつり?」



『あれ、遊希…

奏っ!奏は!?どこにおんの?』


「え、奏なら先、帰ったよ。
体調悪いとかゆうて。」
 

⏰:09/03/24 20:11 📱:N703iD 🆔:z5682swI


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