夏祭り、恋花火
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#271 [七瀬]
あの〜。
さっきから、ずっとゆうてるんですけど。
5分前に聞いた時も「後5分」
10分前に聞いた時も「後5分」……
重たい荷物に、
ガンガン照ってる太陽。
体力も限界に近づいていた。
:09/03/26 21:42 :N703iD :a//mBGPc
#272 [七瀬]
『なあ〜、
ちょっと休憩しよぉや。
ほら、そこの喫茶店で…』
「後5分やから!!」
『さっきから、5分5分ゆうて……、
もう20分近く経ってるわ!』
「そんなんゆうたって…
毎年来てるねんし、駅から遠いん、まつりも知ってるやん。」
:09/03/26 21:47 :N703iD :a//mBGPc
#273 [七瀬]
アカン。
もうアカンわ…
クラクラする。
「だいたい、あんたは…」
お母さんの小言が始まっても、
反論する力がない。
意識が朦朧としてきた。
ビニール袋を握っている手も、無意識にゆるむ。
:09/03/26 21:52 :N703iD :a//mBGPc
#274 [七瀬]
バサッ
「まつり?
まつり!」
あれ?
私、どしたんや。
私の目には、アスファルトが映る。
耳には、お母さんの
「まつり!まつり!」とゆう騒がしい声。
:09/03/26 21:55 :N703iD :a//mBGPc
#275 [七瀬]
「救急車…
そうや、救急車呼ぼ!」
救急車?
あ、そっか。
私、倒れたんか。
こんな状況なのに、
お母さんより冷静な自分がいる。
ピーポーピーポー
という音を最後に記憶は途絶えた。
:09/03/26 21:59 :N703iD :a//mBGPc
#276 [七瀬]
『…うーん、ん!?』
目をパチッとさせる。
ここどこ?
え、えぇ!?
考えろ
考えろ……
ここはどこなんや。
んー、さっぱり。
:09/03/26 22:02 :N703iD :a//mBGPc
#277 [七瀬]
軽く焦る。
だって、
真っ白な部屋で、
真っ白なベッドに横たわってんねんもん!
「あら、神野さん。
目ぇ、覚めはってんな。」
ガラッとドアが開いたと思ったら、
真っ白な服を来た女の人。
:09/03/26 22:06 :N703iD :a//mBGPc
#278 [七瀬]
あぁ、ここは病院かぁ。
で、目の前には看護士さん。
で、私は…
そう!そうや!!
倒れたんや!
なんか暑いなあ
って思たら、力が抜けてきて……
:09/03/26 22:09 :N703iD :a//mBGPc
#279 [七瀬]
それで、お母さんが……
「まつり!意識戻ってんな。
心配したわあ。」
お母さんが病室に入ってきた。
「まつり、倒れてんで。
熱中症で。」
そうなんや。
「でも良かったぁ。
ほんま良かった。」
:09/03/27 15:17 :N703iD :VBS6fHZc
#280 [七瀬]
心底、安心したように
お母さんは言った。
「明日1日だけ、安静にしていれば、退院ですよ。」
看護士さんが笑った。
『明日ってことは…』
「行かれへんよ。」
私の言葉は遮られた。
「祭には行かれへん。
おばあちゃんにはお母さんからゆうとく。」
:09/03/27 15:25 :N703iD :VBS6fHZc
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