夏祭り、恋花火
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#345 [七瀬]
なんだか、悲しい。
「知りたいか?」
『知りたいってゆうか、
気になる!
いきなり別れろなんてゆわれて、
納得出来る人なんておらんやろ。』
「まあ…な。」
遊希は一人だけ納得している。
:09/03/29 00:39 :N703iD :raWiQQ8.
#346 [七瀬]
「じゃあ、話そっかな。」
そう言いながらも、
なかなか話し始めない遊希に苛立つ。
『遊希、言いたいことあるんやったら、はっきり…』
「泣くなよ。」
え?
「頼むから、泣かんとってくれ。」
:09/03/29 00:42 :N703iD :raWiQQ8.
#347 [七瀬]
やっぱり、良い話ではないみたい。
「約束できるか?
絶対に泣かへんって。」
そんなん、聞いてみな分からへん
そう思ったけれど
『…分かった。』
と答えた。
遊希の真剣さは、さっきよりも増したみたい。
:09/03/29 00:46 :N703iD :raWiQQ8.
#348 [七瀬]
「あのな…」
怖い
怖い怖い…
いざ聞こうと思うと、
言い知れぬ恐怖が襲ってくる。
“奏と別れるかも”
とゆう恐怖が私の心を支配する。
:09/03/29 00:50 :N703iD :raWiQQ8.
#349 [七瀬]
「あの日…
まつりが倒れた日。
実は俺、奏と一緒じゃなかった。」
少し息が荒くなる。
「俺は大竹さんと二人で
トラック乗って帰った。
もちろん最初は奏も一緒に帰るつもりやった。
でもあいつとは、一緒に帰らへんくなった。」
:09/03/29 00:56 :N703iD :raWiQQ8.
#350 [七瀬]
なぜ?
そう聞きたかったけれど、聞けない。
なにも話されへん。
遊希は続けた。
「だから俺、知らんねん。
なんで奏が電話に出られへんかったのか。
一緒におらんかったからな。」
:09/03/29 01:00 :N703iD :raWiQQ8.
#351 [七瀬]
じ、じゃあ…
奏が知って私の電話を無視したわけじゃないんや!
そう喜んだのも束の間。
「けど大体、予想はついてんで。
なんで、奏が電話に出られへんかったのか。」
心臓がどんどん加速してゆく。
:09/03/29 01:04 :N703iD :raWiQQ8.
#352 [七瀬]
『な…なんで?』
やっとの思いで口を開く。
「こんなこと言いたないけどな。」
遊希は念を押した。
「あいつには他に女がおる。」
なんとなく思ってた。
電話に出てくれなかった
あの日から、心の底のどこかで感じてた。
:09/03/29 13:51 :N703iD :raWiQQ8.
#353 [七瀬]
けど、そんなはずないと願っていたのも事実。
「でな…」
遊希は言葉を詰まらす。
「その、あんな……」
さっきよりも一層、深刻そうな顔に恐怖が倍増する。
『…なによ。』
ここで逃げたらアカン。
:09/03/29 13:58 :N703iD :raWiQQ8.
#354 [七瀬]
ピリリリリリ…
電話はもう10分近く鳴っている。
かけてきている主は遊希だと、見なくても分かる。
けれども私は、電話に出ず手にブザーを感じているだけ。
今はただ、駅へと足を急がすだけ。
:09/03/29 17:49 :N703iD :raWiQQ8.
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