夏祭り、恋花火
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#422 [七瀬]
 
『へ!?』


「“へ”ちゃうわ。
はよ入れぇや。」

『ああ、ごめん。』


私がボンヤリしてる間に、焼き上がって
湯気の出ているカステラたち。


「お、毎年、来てくれる子やんな。」
 

⏰:09/04/02 09:36 📱:N703iD 🆔:opfWhb72


#423 [七瀬]
 
遊希が女の子に笑いかけると、その子は笑った。


「この子、毎年カステラ買いに来てくれんねん。」

うれしそうな遊希。


「いつもは、お父さんと一緒やのに…お父さんは?」

「そこ。」

女の子の指差す。

その先に目を向けると、男性が一人、軽く会釈した。

⏰:09/04/02 09:41 📱:N703iD 🆔:opfWhb72


#424 [七瀬]
「はい。」

私が、急いで詰めてる間に遊希は残ってたカステラを一つ、女の子の手に握らせた。

「ありがと。」

カステラを口一杯に頬張る女の子に遊希は


「こちらこそ、いつもありがとぉな。
また来年も来てな。」

と言った。

⏰:09/04/02 09:46 📱:N703iD 🆔:opfWhb72


#425 [七瀬]
 
 
女の子と、バイバイした後も列は続く。

遊希の汗も私の手も止まらない。

たくさんあったペットボトルも空に近づいてゆく。


3時間近く、この状況。

さすがに疲れた…


体力も限界に達する

その瞬間…

⏰:09/04/02 09:54 📱:N703iD 🆔:opfWhb72


#426 [七瀬]
 
 
 
 
ヒュー、ドーン!!


花火が上がった。

人々の目が空へと向かう。


うそ…っ

今日は、中止なんじゃ…


「お!」

遊希も店から乗り出した。

⏰:09/04/02 12:32 📱:N703iD 🆔:opfWhb72


#427 [七瀬]
「今年は天神祭に負けへんくらい、きれぇや。」

遊希のゆう通り、とても綺麗な花火だった。


今、思うと



この時から、
また私の花火は上がり始めていたのかもしれない。


以前よりも、激しさを増した恋花火が…
 

⏰:09/04/02 12:37 📱:N703iD 🆔:opfWhb72


#428 [七瀬]
 
 
パチパチパチパチ…

最後の取りを飾った、大きな花火も散っていった。


花火が終わると、
客数はより一層、増えて
詰める作業が続いた。



「お疲れ。」

そして、祭が終わる頃に
やってくるのは

いつもの幸せな時間。

⏰:09/04/02 21:56 📱:N703iD 🆔:opfWhb72


#429 [七瀬]
 
 
『お疲れ〜…フフ。』


「なに笑ってんねん。
薄気味悪い。」


『いや〜、遊希はええパパになるなあ思て。』


「なんやそれ。」

缶ジュースをクイッと飲みながら遊希は言った。
 
 

⏰:09/04/02 21:59 📱:N703iD 🆔:opfWhb72


#430 [七瀬]
 
『だって、さっきの女の子、めっちゃ遊希に懐いてたもん。
どっちがお父さんか分からんかったわ。』


「俺、そんな老けてる?」


『老けてる。』

そんな冗談を言い合う。


こういう、ほのぼのしたのっていいな。
 

⏰:09/04/02 22:03 📱:N703iD 🆔:opfWhb72


#431 [七瀬]
 
 
「初めてあの子が来たの時は、3年前でなあ…」

楽しそうに話す遊希に耳を傾ける。


「最初は、あのお父さんに肩車されて、買いに来てくれてん。
めっちゃ小さくって…
まあ、今もちっちゃいけどな。

でも一応、小学1年やねんで。
幼稚園児みたいやろ。」
 

⏰:09/04/02 22:08 📱:N703iD 🆔:opfWhb72


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