夏祭り、恋花火
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#72 [七瀬]
それから、祭に行きたい私は働きだす。
と言っても、10歳になったばかり。
初めの内は、お母さんと一緒にした。
お金をもらって、お釣りを渡すだけの役。
でも、ドッと疲れた。
:09/03/19 14:22 :N703iD :DKWoRP7w
#73 [七瀬]
しゃべる暇なんてない。
一歩も動かず、同じことを繰り返すだけ。
それでも私はうれしかった。
“また会える。
あの人に会える。”
そう思いながら頑張る。
あの人には前ほどは会えなくなったけど、
祭が始まる前と終わった後には
少しだけ話せた。
:09/03/19 14:26 :N703iD :DKWoRP7w
#74 [七瀬]
それだけで十分やった。
それに働くことで、
働くことの気持ち良さ
を知った。
ますます祭が好きになっていく。
…はずやったのに。
:09/03/19 14:29 :N703iD :DKWoRP7w
#75 [七瀬]
時は進んでゆく。
中学1年生になったばかりの春休み。
造幣局の通り抜け。
よくテレビでも放送されたりする。
この通り抜けには、
毎年、桜見物にたくさんの人が来る。
1メートル歩くだけでも、大変。
特に土日は押し潰されそうなくらい混雑する。
:09/03/19 14:34 :N703iD :DKWoRP7w
#76 [七瀬]
そこには神野商会、唯一の茶店(チャミセ)を出す。
茶店を出してるのはここだけ。
私は茶店が大好き。
だって、あの人と長くおれるもん!
茶店の仕事は主に、
お客さんの注文を聞いて、料理、飲み物を届けて、
お金を貰う。
:09/03/19 14:43 :N703iD :DKWoRP7w
#77 [七瀬]
一つの茶店に注文を聞く人が5、6人。
その他におでんを入れる人。
焼そばや焼き鳥を焼く人。
味噌汁を作る人。
とか、それぞれ役割分担する。
だから、
普段は屋台をしてる人も、茶店に一斉動員するというわけ。
:09/03/19 14:48 :N703iD :DKWoRP7w
#78 [七瀬]
ってことは、
わざわざ屋台に遊びに行かんでも、
あの人は茶店におる。
やっぱ茶店は大好きや!
あの人は焼そばを焼いてる。
私は注文聞き係。
「焼そば一つ。」
と言われるたびにうれしくって、つい声が高くなる。
:09/03/19 15:27 :N703iD :DKWoRP7w
#79 [七瀬]
『焼そば一つでーすっ!』
そしてあの人の傍で
焼そばが焼きあがるのを
待つ。
幸せな時間。
そんなことをしていると
時間はあっという間に過ぎてゆく。
通り抜けは夏祭りと違って終わるのが早い。
遅くて8時くらいまで。
:09/03/19 15:31 :N703iD :DKWoRP7w
#80 [七瀬]
でも、
桜の咲き始めから満開まで
満開から散り始める頃まで店を出している。
だから10日間くらいしている。
学校が終わると、
ジャージに着替え、真っ先に駅へと向かう。
二駅向こうの
あの人の元へと…。
:09/03/19 18:00 :N703iD :DKWoRP7w
#81 [七瀬]
でもその10日間もあっという間。
通り抜け最終日。
『ありがとうございました。』
最後まで酒を飲んで
なかなか腰を上げないサラリーマンたちも
ようやく席を立った。
:09/03/19 18:02 :N703iD :DKWoRP7w
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