黒猫の棲むところU
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#238 [イリア]
七「――……うわあ」
狐「七衣ちゃんっこっちこっち〜!」
狐さんの声がして振り向くと、椅子の陰に隠れるようにして私を手招きしていた。
そういえば狐さんにも、たくさんファンの人いたっけ。笑
:09/11/30 22:17 :W61P :☆☆☆
#239 [イリア]
狐さんに手を引かれ、劇場の一番後ろに立つ。
七「ここで見るんですか?」
狐「うん、舞台の両端って、意外と見にくいんだよねえ〜だから僕は大概は一番後ろで見てる。七衣ちゃん、中入りたい?」
七「いえ、…今日はここで見ます。」
:09/11/30 22:18 :W61P :☆☆☆
#240 [イリア]
ブー―――………………
劇場内に、舞台の始まりをつげる音が鳴り響く。照明が消えた。真っ暗になる。
喋る人は、誰もいない。
:09/11/30 22:18 :W61P :☆☆☆
#241 [イリア]
パッ
舞台の一点にライトが集中する。
さっきまで誰もいなかったそこには、顔は知らないが、劇団の俳優さんが一人ひざまずいている。
:09/11/30 22:19 :W61P :☆☆☆
#242 [イリア]
『……lady's and gentleman!!今日は我がアスタリスク劇団の竜ヶ森講演にお越し戴き、誠に、誠に有難う御座います!!御来場なさって下さった美しい姫、紳士な御君全員に、夢のような時間が訪れることを祈りつつ……
――……あぁ、残念。私(ワタクシ)はそろそろ、夢から覚める時間のようです。……それでは皆様…――……後程。』
:09/11/30 22:19 :W61P :☆☆☆
#243 [イリア]
―――――ガチャッ……
そう言うと舞台の上の綺麗な男性は―…
…玩具のように、膝から崩れ落ちた。
:09/11/30 22:20 :W61P :☆☆☆
#244 [イリア]
七「…え…っ…?」
その少しの間の演技力に、私以外の観客もざわめきたつ。
また照明が消え、同時に軽やかなステップの音楽が鳴り始める。
タタタッタッタ♪タタタッタッタ♪
:09/11/30 22:20 :W61P :☆☆☆
#245 [イリア]
七「……凄い……今の人、台詞もですけど、演技力…ほんとに人形みたいでした!!それに凄く綺麗な人だし!!この劇団って、ほんと…美人さんが多いですねっ!!」
:09/11/30 22:21 :W61P :☆☆☆
#246 [イリア]
狐「あの子は劇団人気ナンバー3だからねぇ…。あ、後この舞台の演名は『カラクリ・四重奏(カルテット)』捨てられた玩具たちと、大人になれない子ども達の話だよ。ちなみに脚本は ぼ く ☆」
七「凄い凄い凄い!!」
:09/11/30 22:22 :W61P :☆☆☆
#247 [イリア]
興奮する私を横目に、狐さんが優しく笑う。
狐「……怖い思い、させちゃったね」
七「……え…?」
狐「大まかなことは、さっき狼くんから聞いたよ。あの男たちの処分は、責任持って僕がするから……」
七「……あの…っ…」
狐「?」
:09/11/30 22:23 :W61P :☆☆☆
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