黒猫の棲むところU
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#6 [イリア]



 第三話:雨音の唄



 アマオトノ ウタ

⏰:09/04/01 22:37 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#7 [イリア]



トン トン トン……



そこは暗く、少し肌寒い部屋。

窓は開き、月が顔を覗かせている。



トン トン トン……


⏰:09/04/01 22:38 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#8 [イリア]



少年は一人きりでその部屋にいた。

家具はほぼなく、嫌みなほどに広い。

ただ一つ、無造作に置かれた花瓶が
その殺風景な暗い部屋にいる
少年の孤独さを際だたせている。


⏰:09/04/01 22:39 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#9 [イリア]



トン トン トン……トン






窓辺に腰かけ、一定のリズムで
金属の枠を叩いていた少年は
手を止め、ふと扉のほうを見る。


⏰:09/04/01 22:39 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#10 [イリア]





灰色の髪、深青の瞳。


頬や衣類は、血で濡れている。


⏰:09/04/01 22:39 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#11 [イリア]




「――……凪夜(ナギヤ)?」



窓辺に座る少年が、
クスリ と笑って
扉の向こうに話しかけた。


⏰:09/04/01 22:40 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#12 [イリア]



「何してるの?入ってきなよ」


少年が言葉を続ける。

ガチャリという音がしたとき
その重い扉が開いた。


⏰:09/04/01 22:40 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#13 [イリア]





「――……失礼します、葵(アオイ)様」




入ってきた子は
その堅気な言葉使いとは違い、

葵、と呼ばれた少年より
少しだけ、幼く見える。


⏰:09/04/01 22:41 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#14 [イリア]



葵「……アハハ、様なんてやめてよ

凪夜は僕らにとって、
とっても大切な子なんだよ?」


⏰:09/04/01 22:41 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#15 [イリア]



少年は笑う。

扉の外にいた子よりは年上に見えるが
それでも16、17くらいだろう。


⏰:09/04/01 22:43 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#16 [イリア]



凪「…そう言うわけにはいきません…
葵様、その血――………ッッ??!!!」



葵という少年の体を見た瞬間、
凪夜と呼ばれた子の声色が変わる。


⏰:09/04/01 22:44 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#17 [イリア]



葵「あぁこれ?」


そう言って灰色の少年は
腕で左頬を拭(ヌグ)う。

シルクのような滑らかな衣類に
少年の頬の朱がつく。


⏰:09/04/01 22:45 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#18 [イリア]



凪「どうされたのですか…誰に…ッッ!!」






葵「凪夜」


言葉を途切らせる。


⏰:09/04/01 22:45 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#19 [イリア]



葵「違うよこれ、返り血。
僕の血じゃない」


少年が笑う。


凪「…ッッ…取り乱し…失礼しました」

息も淫らに、
凪夜は葵に、深々と頭を下げる。

葵「ううん、嬉しい」


⏰:09/04/01 22:46 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#20 [イリア]



そう言うと灰色の少年は
窓辺からゆっくり立ち上がり、

凪夜と呼ばれた子の元へ歩く。


⏰:09/04/01 22:47 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#21 [イリア]



葵「嬉しいんだよ、凪夜。
僕を心配してくれるなんて…

そんなの”ナナ”だけかと思ってた」



葵は細く白い手で
凪夜の頬に軽く触れる。


⏰:09/04/01 22:48 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#22 [イリア]









葵「有難う、凪夜。」


⏰:09/04/01 22:48 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#23 [イリア]



サ――――…………


風が吹く。

開け放たれた窓から入る風は
部屋の中の二人に冷たさを与える。


⏰:09/04/01 22:48 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#24 [イリア]



葵「寒い?」


凪「いえ…」


葵「そう?僕は寒いとか
あんまり分かんないからさ」


少年はそう言いながらも
窓辺まで戻り、静かに窓を閉めた。


⏰:09/04/01 22:50 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#25 [イリア]



凪「――…葵様…」


葵「ん?なぁに?」


凪「……この花………」


⏰:09/04/01 22:50 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#26 [イリア]



凪夜の目線の先には
この部屋のただ一つのモノ。


無造作に置かれた花瓶の中には

一本の花。


⏰:09/04/01 22:51 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#27 [イリア]



葵「……あぁ、これ?
フフ…綺麗でしょ?
花は”ナナ”が好きなものだから」





凪「あの子は死んだ」


凪夜の声が、広い部屋に響く。


⏰:09/04/01 22:51 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#28 [イリア]



凪「―…あの子は…
あの日、死んだんでしょう?
……葵様、目を覚まして下さ…」


葵「生きてるよ」


葵が花瓶に近づき、
中の花にそっと触れる。


⏰:09/04/01 22:52 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#29 [イリア]



葵「生きてる。感じる。

……僕には分かる」




凪「……」


⏰:09/04/01 22:52 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#30 [イリア]



葵「……フフ、本当だよ。

凪夜には内緒にしてたけど、
調べて貰ってたんだ」



凪「……調べて貰ってた…?
じゃあ…あの子は本当に、
生きてるんですか…?」


⏰:09/04/01 22:53 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#31 [イリア]





葵「うん。だから、迎えに行くの。」




そう言うと葵は
嬉しそうにクスクス笑った。


⏰:09/04/01 22:53 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#32 [イリア]



凪「―…迎え…?」


葵「”ナナ”は、
僕がいないと何もできないから。

だから僕が迎えに行くんだよ。」



葵が言う。


⏰:09/04/01 22:53 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#33 [イリア]



凪「……………」


葵「ねぇ凪夜。
この花が何か知ってる?」


少年は笑って
花を花瓶から取り出す。

その花の切り口からは
水滴がこぼれ落ちた。


⏰:09/04/01 22:56 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#34 [イリア]



凪「……いえ」



葵「この花の名は、”ニコチアナ”。

花言葉は、”あなたがいれば”」


⏰:09/04/01 22:56 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#35 [イリア]



凪「…………」


葵「ねぇまるで、僕とナナのための
花言葉だ。そう思わない?」


凪「………僕は……

………私はッッ………!!」



葵「僕はナナさえいればいい」


⏰:09/04/01 22:57 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#36 [イリア]



葵の声が部屋に響く。

花瓶から取り出された花は
少しずつ元気をなくす。


⏰:09/04/01 22:57 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#37 [イリア]



葵「そしてナナには、
僕だけいればいいんだ。

ずっとそうやって生きてきた。」




少年の瞳に影がうつる。
先ほどまでの幼さは、もうない。


⏰:09/04/01 22:57 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#38 [イリア]








葵「―…ナナに近づくヒトは、
みんな僕が殺してあげる」


クスクスと笑う少年。

その近くにいる凪夜の表情に
戸惑いが表れる。


⏰:09/04/01 22:58 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#39 [イリア]



凪「……何故……そんなに…」


葵「僕の考え、たった一つの望み。

――……ねぇ凪夜、分かる?」





月が雲に隠れて、光が消える。
もう互いの顔は見えない。


⏰:09/04/01 22:59 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#40 [イリア]













葵「――……僕はナナを、守りたい」


⏰:09/04/01 22:59 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#41 [イリア]












⏰:09/04/01 22:59 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#42 [イリア]



天気は普通。

気分も普通。


緊張しがちな舞台の初日には
もってこいのコンディショ…




猫「どこがだよ」


⏰:09/04/01 23:02 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#43 [イリア]



すぐ隣で猫さんの声がした。


猫「天気はどしゃ降り。気分は最悪。
舞台は初日から満員御礼、のくせに
俺たち役者は雨が苦手で
既にヘロヘロ。」


不機嫌そうな猫さんの声。


⏰:09/04/01 23:02 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#44 [イリア]



七「いや私、声に出してませんよね?」


猫「フフン、あんたは考えてることが、
すぐ顔に出るから分かりやすい。」




なんて失礼な。

って言うわけで…


⏰:09/04/01 23:03 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#45 [イリア]



舞台の初日になる今日は
あいにくのどしゃ降り。


別に雨なんて
私からしたら普通だけど、

猫さんたち半妖からしたら
雨は本当に苦手なものらしい。


⏰:09/04/01 23:04 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#46 [イリア]



七「でも舞台は建物の中で
行われるんでしょ?
なら、大丈夫じゃないですか。」


猫「あんたは本当にお気楽だな。
俺たちの嗅覚(キュウカク)なめんなよ、

雨の匂いだけで倒れそうだよ。」


⏰:09/04/01 23:04 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#47 [イリア]



猫さんがそこまで言ったとき、
遠くから狐さんの声がした。


狐「はいはいはい〜
みんな大丈夫かな〜?

まぁ天気は生憎(アイニク)だけど、
今日も僕らのファンのために
精いっぱい頑張りましょ〜」


⏰:09/04/01 23:04 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#48 [イリア]



大分ちゃらけてるが、
狐さんもヘロヘロな感じ。




だ、大丈夫なのかな…………?汗


⏰:09/04/01 23:05 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#49 [イリア]



じゃあそろそろ移動するよ〜

狐さんの声。


今から講演場所まで徒歩移動らしく
大道具の人たちが傘を配っている。


⏰:09/04/02 00:04 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#50 [イリア]




七「………………あ」



私はあるものを見つけ、
近くの茂(シゲ)みにしゃがみこんだ。


⏰:09/04/02 00:05 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#51 [イリア]



猫「?」

七「…ごめんね、
一本だけちょうだいね」


ブチッ


目的のものを掴むと、
私は立ち上がった。


⏰:09/04/02 00:05 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#52 [イリア]



猫「おい、何して……」


七「はい!」



私はそう言うと
一本の花を猫さんに渡す。


⏰:09/04/02 00:05 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#53 [イリア]



猫「……何、これ?」


七「何って、花ですよ。
綺麗でしょう?

…雨だし、舞台初日だし、
緊張してるかなって。

私、花スキなんです。
見てるだけで和みません?」


⏰:09/04/02 00:06 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#54 [イリア]



猫さんは不思議そうに
私の渡した花を
クルクル回している。



猫「………」


七「………あのぉ―…
もしかして、花お嫌いですか?」


⏰:09/04/02 00:06 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#55 [イリア]





猫「―…舞台前にファンの奴らから
花を貰うことはあるけど、
…目の前で抜かれて渡されたのは
初めてだな。しかも土つきで。」


七「…………あ」


⏰:09/04/02 00:07 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#56 [イリア]



言われてみれば。



いま私の目の前にいるのは
劇団のトップスターな訳で。

花なんか、たくさん貰える訳で。


⏰:09/04/02 00:07 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#57 [イリア]



私のあげた花とか安っぽいですかー
安っぽいどころか0円ですけど。


少し恥ずかしくなる。
喜んで貰えると思ったのにな。


⏰:09/04/02 00:08 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#58 [イリア]



七「…そーですよね!
猫さんそういえば
花形俳優ですもんね!
ラッピングしてない花なんて貰っても
仕方ないですよねー!!」


猫「そういえばって、オイ」


⏰:09/04/02 00:09 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#59 [イリア]



七「何か余計なことして
すいませんでしたねー//
返してもらえます?
もういいですよ
狼さんにあげてきます。
狼さん優しいし
きっと貰ってくれ―…」


そこまで言ったとき、
猫さんは眉間に皺を寄せながら
花を自分のポケットにしまった。


⏰:09/04/02 00:34 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#60 [イリア]



七「?」


猫「いらないとまで言ってないだろ
だいたい狼は花が嫌いなんだ。
いくらあんたからでもさ、
絶対受け取らないね。
可哀想だから、俺が貰っといてあげる」


そう言ってヒラリと手を振ると、
猫さんはどこかに歩き出した。


⏰:09/04/02 00:34 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#61 [イリア]



貰ってくれた…
何だかんだ言っても
優しいよね猫さん。

でも

狐「一言多いよねーネコくん。」


七「そうそう一言多い…
…って、狐さん??!!」


いつの間にか横に立っていた狐さんに
驚いて声をあげる。


⏰:09/04/02 00:34 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#62 [イリア]



狐「どうせ貰うなら、
黙って受け取ればいいのにー!!
ネコくん本当、素直じゃないよね」


七「……はぁ……」


⏰:09/04/02 00:35 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#63 [イリア]



狐「七衣ちゃんがこぉんなに、
ネコくんのこと好きで
心配してるのにねぇ?」


七「……はぁ……って、え?//
いや!//違いますから//
何言ってんですか!!///

雨だし体調の心配はしてるけど
好きとか…そんなんじゃ…//」


⏰:09/04/02 00:35 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#64 [イリア]



狐「照れなくていいのにぃ☆
七衣ちゃんさ、昨日森で
ネコくんに『俺が守る』って
言われてたとき、
顔真っ赤っかだったんだよ?
そんとき僕さー
あーこの二人もしや?って
思った訳だよ!!
いゃあ若いっていいねー☆☆」


七「…わ、私の気持ちは置いといても
釣り合ってませんしね!!///
分かってますから!!//」


⏰:09/04/02 00:38 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#65 [イリア]



狐「七衣ちゃん、恋愛の
天秤(テンビン)には、
気持ちしか乗せられないよ♪
確かにネコくん顔はいいけど、
そんなの関係なっしんぐ♪

……それに僕、ネコくんも
まんざらでもない気がするなぁ。
そりゃ、色々あるだろうけど。」


七「……?どういう意味ですか?」


⏰:09/04/02 00:38 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#66 [イリア]



狐「うん?例えば昨日、
君がロウくんつれて走ってった後、
あきらかにファンに対する
ネコくんの態度変わってたし。

――…それにロウくん、
花って確か好きだったし」


⏰:09/04/02 00:39 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#67 [イリア]



七「――……?狼さんが花好き?
でも猫さんは嫌いって……ん?
どういう意味ですか?」


狐さんは一瞬驚いた顔をし、
すぐにニヤッと笑った。


⏰:09/04/02 00:39 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#68 [イリア]



狐「さぁ?どういうことだろう?
あー本当若いっていいな!!
僕もまだまだ若いけど!!

…時に七衣ちゃん。
本題なんだけど、お使い頼んでいい?」


七「お使い?」


⏰:09/04/02 00:40 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#69 [イリア]



狐「そうそう、舞台が終わったら
少しだけサイン会があるんだけど、
サインペン切れてるの忘れててさぁ〜

大道具の人たちも雨でダウンしてるし
良かったら……」


七「行きますよ!!
私、雨とか全然平気なんで!!」


初めての仕事だ!!


⏰:09/04/02 00:40 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#70 [イリア]



狐「クス、そう?有難う。
はいじゃあこれ、お金と地図ね。

僕らはこのまま講演場所に向かうから
買えたら直接あっちに行って。
気をつけてね」


七「はい!!じゃあ行ってきます!!」


⏰:09/04/02 00:41 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#71 [イリア]



第三話:雨音の唄
>>6-70

安価
>>3

†黒猫の棲むところ†
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/10148/

†感想板†
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4322/
感想・アドバイス
お待ちしてます(゚∀゚)★


⏰:09/04/02 00:43 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#72 [由姫]
アゲヾ(´ω`=´ω`)ノアゲ

⏰:09/04/02 05:14 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#73 [乃愛]
待ってました(笑)あげます

⏰:09/04/02 11:36 📱:F01A 🆔:☆☆☆


#74 [鼻]
こっちにレス失礼m(__)m

見ずらくならない様に書き終わったら感想板のURL貼ってくれてるのに、こっちに感想を書くのはどうかと思います。
読んでるのは貴方達だけじゃないんだから、マナーを守って下さい。

⏰:09/04/02 13:23 📱:W53S 🆔:☆☆☆


#75 [かな]
書かないんですか

⏰:09/04/03 22:11 📱:D903i 🆔:☆☆☆


#76 [イリア]


>>72由姫様
>>73乃愛様
>>74鼻様
>>75かな様

あげて頂き有難うございます(;_;)
鼻様、本当に貴重な意見
嬉しいです(´;д;`)

あげて頂けるのは
涙が出るくらい嬉しいのですが(←)
感想は見にくいという方もいるので
もし良ければ感想板に
遊びにきて下さいね(^∀^)☆

⏰:09/04/03 22:27 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#77 [イリア]


あと更新ペース悪くて
ほんまにごめをなさい。
最近何かと忙しくて(;_;)
春休みの課題が(;_;)(;_;)←

当分このペースかもですが、
必ず最後まで書きます!!!!
イライラするかもしれませんが
気長にお付き合い下さると
有り難いです(´;ω;`)

勝手ばかりですいません(´`)
コメ有難うございました!

⏰:09/04/03 22:27 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#78 [イリア]



>>70から


⏰:09/04/04 01:11 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#79 [イリア]










⏰:09/04/04 01:11 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#80 [イリア]



傘を片手に、地図の通りに歩く。
坂道を駆け上ると、街が見えた。


七「うわー…
こんな近くに街があったんだ…

なら、何でわざわざ
森にテントなんか建てるんだろ?」


⏰:09/04/04 01:12 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#81 [イリア]



ファンの追っかけが、
鬱陶(ウットウ)しいから。


猫さんにそう聞くのは、

まぁもう少し先の話。


⏰:09/04/04 01:13 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#82 [イリア]



地図通りに歩く。
雨は心なしか、大分ましになってきた。


七「良かったー!!
だいぶ小雨になってきた…っていうか
昨日も今日も、よく雨降るよね…ん?」


⏰:09/04/04 01:13 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#83 [イリア]



独り言を言いながら考える。

そういえば私、雨原一族だっけ?


狐さんが言うには、
確かこの一族の人たちは
雨に関する何らかの力を持ってて…

雨を呼んだりできるから、
妖や半妖たちは雨原一族を嫌ってる。


それで私は、雨原一族…


⏰:09/04/04 01:14 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#84 [イリア]



……もしかしてこの雨って私のせい?


いやいや、でも何も覚えてないし。


そもそも私が本当に雨原一族なのかも
私からしたらよく分かんないし。


⏰:09/04/04 01:14 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#85 [イリア]




足をとめ、空を仰(アオ)ぐ。



⏰:09/04/04 01:15 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#86 [イリア]



…私は何で、
劇団に入れてもらえたんだろ。

私が本当に雨原一族なら、
そこに帰ったほうがいいのかな?

それに、どうして妖と半妖は
仲が悪いんだろ。





――……あの、夢の中の私は何だろう。


⏰:09/04/04 01:15 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#87 [イリア]



深い闇と、甘い血の香り。

そんな中で幼い私は、
確かに微笑んでいた。


隣にいた男の子は誰だろう…
小さい手を繋いで、
楽しそうにあの唄を歌っていた。


⏰:09/04/04 01:17 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#88 [イリア]







――……僕は君を、守りたい。




男の子の声が頭に響く。
顔はぼやけていて思い出せない。


⏰:09/04/04 01:17 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#89 [イリア]



夢と現実は繋がってる―……

猫さんの言った通りなら、
夢の中の男の子は
今どこにいるんだろう?




まぁ守ってくれるったって…


⏰:09/04/04 01:17 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#90 [イリア]



――……俺が、守る。


初めて逢ったとき、
初めて助けて貰ったとき、
森の中で、猫さんに言われた。






七「……私は、猫さんに
守ってもらうんだけどね」


⏰:09/04/04 01:18 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#91 [イリア]




カァ―――――………////




言った途端、恥ずかしくなる。


⏰:09/04/04 01:19 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#92 [イリア]



七「いや別に!!
守ってもらわなくても
大丈夫ですケド!!///

いやさ、妖たち来たら
流石にやばいけど…

守ってもらうほど、
弱くないもんね私!!!!////」


⏰:09/04/04 01:19 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#93 [イリア]



次々に疑問が生まれ、不安になる。

考えても仕方ないことだと
分かってても、考えてしまう。


⏰:09/04/04 01:19 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#94 [イリア]



だけど最後にはいつも
猫さんの声が頭に響く。

猫さんの声は優しくて、安心する。


⏰:09/04/04 01:20 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#95 [イリア]



そんなことを考えてる間に、
狐さんに貰った地図の場所まで来た。

ここでペンだけ買って…
早く私もホールに行きたい。

猫さんや狼さん、
麗さんの演技がみたい。


⏰:09/04/04 01:21 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#96 [イリア]



―…っていうか、
麗さん体調大丈夫かな…

…うん、舞台始まる前に
もう一回話しかけたい。

急いで行こう!


⏰:09/04/04 01:21 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#97 [イリア]



七「……すいませーん!!
サインペンってどこですか?!」


店員「サインペン?
あーお嬢ちゃんもアレかい?
この街に一週間くらいいるっていう
何ちゃら劇団のファンかい?」


⏰:09/04/04 01:21 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#98 [イリア]



七「…あ…ま、まぁそんなとこです」


店「はいよ、何本だい?

でもサイン会なら
あっちがペンくらい持ってるだろうに。
みんな舞い上がっちゃってさ〜

まぁ私も見に行くけどね、
明日の午後の部。
お嬢ちゃんはいつ行くんだい?」


⏰:09/04/04 01:22 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#99 [イリア]



七「あ、え?私は…「辞めてよ!!」」







え…?


返事をしようとしたとき、
店の外から誰かの声がした。


⏰:09/04/04 01:23 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#100 [イリア]



「離してって言ってるでしょ!!
時間がないのよ!!早く離して!!!!!」




この声――…………


⏰:09/04/04 01:23 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#101 [イリア]



店「あー誰だろね。
この街さ、結構治安悪いしね。
お嬢ちゃんは近寄っちゃだめだよ」


七「――……麗さん…?」


店「はぃ?」


⏰:09/04/04 01:24 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#102 [イリア]



七「……今の声……麗さん…?
でもまさか…すいません、
いま何時ですか??!!!」


言いながら、時計を探す。
私の真後ろに大きな時計があった。


⏰:09/04/04 01:26 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#103 [イリア]



店「9時28分だね。
どうしたんだい、そんなに慌てて?」


9時半――……?

午前の舞台って確か、
10時からだったよね?

何でこんなとこに
麗さんがいるの?


⏰:09/04/04 01:26 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#104 [イリア]



脳裏に昨日のことが浮かび上がる。
麗さんと、大道具の人たち。


痣を(アザ)内緒にしてた、麗さんのこと。





七「――…………ッッ!!!!!」


⏰:09/04/04 01:27 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#105 [イリア]



店の出口まで走る。
麗さんの姿はない。

どこに行ったんだろう。
近くの人に尋(タズ)ねる。


七「すいません!!いまここで…
離してッて叫んでた、
女の人いましたよね?

どこに行ったか分かりますか??!!」


⏰:09/04/04 01:27 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#106 [イリア]



「は?…あぁ、あの子…
何人かの男に連れられて、
あっちに真っ直ぐ行ったけど…

あんた知り合い?
やっぱまずいかな。
ここらへん通行人少ないし、
俺しか見てなかったし…
警察って連絡したほうがい…」


七「今すぐ連絡して下さい!!早く!!
どこ行ったんだろ……
有難うございました!!」


⏰:09/04/04 01:28 📱:W61P 🆔:☆☆☆


#107 [イリア]



教えてもらった方角に走る。
傘はささない。
雨はまた、少しずつ降ってきた。




後ろから店員さんの声がしたけど
そのときの私には聞こえなかった。


⏰:09/04/04 01:28 📱:W61P 🆔:☆☆☆


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