漆黒の夜に君と。U[BL]
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#786 [ちか]
聞き覚えのあるその声の方に振り返ると、
そこに立っていたのは透だった。


「と……おる‥‥、」



突然のことで混乱した俺の頬をずっと我慢していた涙の一粒が筋を通して伝った。

⏰:11/06/15 01:11 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#787 [ちか]
ぎゅ…っ



それとほぼ同時に
何かに包まれる感覚を感じた。

それは暖かくて強くて、
馴染みのある匂いがした。


透の腕が俺を包み込む。

⏰:11/06/15 01:14 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#788 [ちか]
「…もういい加減にしてくれませんか。」



重みのある、
怒りの混じった声が
頭に響いた。

ちょうど頭一つ分でかい透の声が、
この密着のせいでちょうど俺の頭を通っていくのだ。

⏰:11/06/15 01:16 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#789 [ちか]
「冥、行こう。」



そう言って右手を強く引かれる。

歩いてきたのであろうことはその手の冷たさで分かった。


その力に促されるように、俺の足も同じ方向を向く。

⏰:11/06/15 01:20 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#790 [ちか]
「冥‥‥‥‥ッ、」






そう呼ばれ、
思わず振り返って見た、

アイツの悲しそうな表情(カオ)を残して。‥‥────

⏰:11/06/15 01:22 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#791 [ちか]

*感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/

一区切り着いたので
今日の更新終わります^^

感想、アドバイス、雑談など、
何かしらコメント頂けると励みになります(*^^*)!
よろしくお願いします**

⏰:11/06/15 01:25 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#792 [ちか]
強く握られた手が痛い。


まるで怒りが伝わってくるみたいだ。

いたたまれなくなって俺は思わずその手を解いた。


「あ、ごめん。」

力んでることに初めて気づいたのか振り向いて謝られたけど、まだ自分の目が潤んでいるのを見られたくなくて視線を外した。

⏰:11/06/15 19:02 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#793 [ちか]
まだ体には抱き締められたときの感触が残っている。


知らず知らずのうちに俺は右腕を擦っていた。

まるでその感触を確かめるように。


「急に抱き締めたりなんかしてごめんな。」

「え?…あ、いや、別に…」


変な空気が俺たちを取り巻いて、気まずさは増すばかり。

⏰:11/06/16 00:30 📱:P906i 🆔:8oj82JQ.


#794 [ちか]
「あの人になんかされた?」


透が言うあの人とは、きっと恭弥のことだろう。


「あ、いや別に何も…、」

話したくても話せない。
事情が複雑過ぎる。

必死に回答をそらそうとするが、それに伴うように体は緊張で熱くなる。


「何も無くて泣いたりしないだろ、お前。」

こういうとき、
透は核心を衝いた質問しかしてこないから余計に。

⏰:11/06/16 00:35 📱:P906i 🆔:8oj82JQ.


#795 [ちか]
取り繕う言葉を頭の中のボキャブラリーという棚から片っ端に探し回っても、適当な言葉は見つからず、ただただ口がもごつくだけ。


「…ま、無理して聞きはしないから。元気だせよ。」


ふわりと大きな手が俺の頭を優しく撫でた。

そうだった。
透は俺が落ち込んだとき、いつもこうやって慰めてくれていた。

俺はそれに幾度となく救われてきたし、それが好きだった。

⏰:11/06/16 00:39 📱:P906i 🆔:8oj82JQ.


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