漆黒の夜に君と。U[BL]
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#890 [ちか]
「なに、どうしたー?」
当たり障りなく返事を返す。
その際に聞こえてくる騒がしさからゲーセンかカラオケに居ることは察しがついた。
自ずと聞こえやすくなるように、大きめの声量で話す。
向こうも素直に聞き取れたようで、スムーズな会話が期待できた。
その時。
『いやー、なんかさっき日下から電話あったんだけどさ、急に切れちゃって。かけ直したけど出ねーし。』
ああ、
武内にもかけてたのか。
そんな小さな嫉妬は心の隅に追いやって口や顔には出さない。
俺は至って冷静に相槌を打った。
:11/10/02 01:42 :Android :LOoeYdJY
#891 [ちか]
『でさ、なんか学校、学校言っててな、なんかすげー焦ってたみたいだから、蓮見ならなんか分かるかなーって。』
学校?
焦ってる?
嫌な予感がしなくもない。
まさか。
俺は咄嗟に下駄箱に戻った。
冥の靴は……
まだある。
:11/10/02 01:47 :Android :LOoeYdJY
#892 [ちか]
『ってあれ?蓮見?聞いてる?』
受話器の向こう側からそんな声がして咄嗟に言葉を返す。
「あ、聞いてる聞いてる。冥まだ学校みたいだから探すわ。連絡さんきゅ。」
そう言って一方的に通話を切った。
もう既に冷静を保ててはいない。
:11/10/02 01:50 :Android :LOoeYdJY
#893 [ちか]
「どこ行ったんだよ、あのバカ…っ」
焦ってる。
その言葉が妙に引っ掛かる。
校舎内に居るのは確かだ。
教室には居なかった。
この雨じゃ中庭や屋上でもないはず。
そしたらアイツの居そうな場所は……、
「………備品室…っ」
そう呟いたと同時に、
俺の足は既に走り出していた。
:11/10/02 01:56 :Android :LOoeYdJY
#894 [華子]
1から一気に読みました´ω`
面白いお話をありがとう
どうか2人が別れませんように
:11/10/02 13:05 :SH08B :yVZPv3.k
#895 [ちか]
>>894 華子さま.
わりと長いシリーズなんですが
一気に読んでもらえて嬉しいです(*^^*)
こちらこそありがとうございます!
これから更新するので続きをお楽しみに♪
感想板もあるので遊びに来てくださいねっ
:11/10/02 15:51 :Android :LOoeYdJY
#896 [ちか]
>>893はぁっはぁっ…
「無駄に広いっつーの、この校舎…っ」
一気に階段をかけあがり、別館の最奥にある備品室に着く頃には既に息が上がっていた。
人気もなく、薄気味悪い。
「冥ー!!」
余っている体力から絞りように声を張り上げた。
すると、
「透?!」
紛れもない冥の声が耳を掠めた。
俺は備品室の戸を雑に叩く。
:11/10/02 15:56 :Android :LOoeYdJY
#897 [ちか]
「冥?!こん中か?!」
問いかけに応えるように、内側でも戸を叩く音がする。
「なんか閉じ込められちゃって…」
いつからこうしていたのか、
すでに冥の声に覇気は無かった。
闇雲に戸を開けようとしてみたが、ビクともしない。
やはり鍵がかかっているようだ。
:11/10/02 16:01 :Android :LOoeYdJY
#898 [ちか]
職員室まで鍵取りに行くか?
………いやもうめんどくさい。
それならいっそのこと、
「冥、そこ退いとけ。」
「へ?」
ガンッ
「透?!」
もう一度、ガンッと音が鳴る。
もう一度。
そして、
:11/10/02 16:08 :Android :LOoeYdJY
#899 [ちか]
その瞬間けたたましい音と共に戸が室内に倒れた。
倒れた拍子に戸に嵌め込まれていたガラスが床に散らばる。
「案外、開くもんだな。」
思いっきり打ち付けた体にじんわりと痛みが滲んだ。
「冥、ケガしてない?」
目の前には涙の溜まった目を丸くした冥が突っ立っている。
俺がそう訪ねると、何度も頷いた。
よかった。無事で。
「お待たせ。」
自然と笑みが溢れる。
:11/10/02 16:12 :Android :LOoeYdJY
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