漆黒の夜に君と。U[BL]
最新 最初 🆕
#701 [ちか]
もうじき僕がこの会議に参加することも無くなるのかと思うと、少し寂しい気もする。

しかしもうそういう時期なのだ、と改めて月日の早さを実感したりもした。


暖房器具のうめき声に霞んで聞こえづらい会議の内容を軽く耳に入れつつ、
ちょうど真向かいに向かう"その子"に目を向ける。

⏰:11/05/27 17:13 📱:P906i 🆔:jTVAZp2g


#702 [ちか]
この子と出会ったのも
ちょうどこの教室だった。





もう一年以上前のことになる。

⏰:11/05/27 17:23 📱:P906i 🆔:jTVAZp2g


#703 [ちか]
綺麗な顔の子だな。



それが最初の印象だった。


背も高くスラッとして
清潔感のある人だと思った。

どことなくクールそうな、そんな印象だった。

⏰:11/05/27 17:27 📱:P906i 🆔:jTVAZp2g


#704 [ちか]
直接話すことはあまり無かったものの、
その容姿に劣らずの成績優秀さと運動能力で日頃から噂は聞いていたし、自然とすぐに名前も覚えた。



話してみたいとは
思っていたが
生徒会長というのは意外に忙しく、
ましてや下級生と接することなんて無いに等しかった

⏰:11/05/27 17:35 📱:P906i 🆔:jTVAZp2g


#705 [ちか]
そんな風にして
時が過ぎていく中で、
意外な共通点があることに気づいた。






それは───‥‥

⏰:11/05/27 22:25 📱:P906i 🆔:jTVAZp2g


#706 [ちか]
― 冥 side.―


「とおるっ」


マフラーに顔を埋めながら歩くネコ毛の茶色い髪はすぐに透だと分かった。


毎年見てる後ろ姿だから。

「あ、冥。おはよ。」

少し気だるそうな挨拶も
冬になると毎朝の恒例みたいになっていた。

⏰:11/05/27 22:28 📱:P906i 🆔:jTVAZp2g


#707 [ちか]
「おはよ!相変わらず朝弱いなー(笑)」

「…冬は特にな。ベッドから出れねぇ。」


透は極度の寒がりに加えて低血圧だから、冬は毎朝大変なんだ。

普段完璧な透だから、
そういうところが微笑ましかったりする。

⏰:11/05/27 22:36 📱:P906i 🆔:jTVAZp2g


#708 [ちか]
「今日は二度寝しなかったんだ?」

「いや、したよー。けっこうギリギリまで寝てて焦った。」


あはは、と笑うと
透も眠そうな目を細めて笑う。
こういう他愛もない会話でこんな風に笑えるのは、昔から何一つ変わらない唯一の形。


「昔みたいに冥が起こしに来てくれたら俺も頑張って起きるのになー。」

廊下から差し込む朝日が透を照らして、なんだか俺からはその時の透の表情(カオ)が良く見えなかった。

⏰:11/05/28 11:33 📱:P906i 🆔:BZsW/jv2


#709 [ちか]
昼休み、
いつもなら透と食べているのだが、残念ながら今日は一人。


なんでも昼休み返上で会議があるらしい。

生徒会役員って忙しいんだな、と常々思う。


教室のガヤガヤした雰囲気の中一人で食べるのは少し気分が滅入った。

⏰:11/05/28 13:47 📱:P906i 🆔:BZsW/jv2


#710 [ちか]
昼飯を食い終わった俺は喉の乾きを覚え、ジュースでも買おうと教室を出た。


自販機から一番近い階段を使って一階に降りようと廊下を歩いていると、廊下と中庭を挟んだ向かいの窓から恭弥を見つけた。


相変わらず学校では無表情なんだな。
クールと言えばそれまでだけどさ。

⏰:11/05/28 19:43 📱:P906i 🆔:BZsW/jv2


#711 [ちか]
そんなことを思いながら角を曲がろうとしたとき、恭弥の隣にもう一人居ることに気づいた。



透だった。


(会議の関係…かな?)

なんでか胸が少し痛くなった。

きっと、一瞬二人が楽しそうに笑っていたから。

⏰:11/05/28 20:05 📱:P906i 🆔:BZsW/jv2


#712 [ちか]
(笑うくらい別に普通のことなのに変なの…。)





胸に引っ掛かったものを振り払うように、俺は足早に階段を降りていった。
─────────‥‥
─────‥‥
───‥

⏰:11/05/28 20:23 📱:P906i 🆔:BZsW/jv2


#713 [ちか]
― 恭弥side.―

その共通点というのは
意外なものだった。


「へぇ、やっぱり黒羽先輩は昔から優秀だったんですね。」

「君も十分優秀だったと周り聞いてるよ。」

「そんな。俺なんて全然対したこと無いですよ。」

午後の役員会議のあと、そんな他愛もない話をする。

⏰:11/05/29 11:34 📱:P906i 🆔:jA9Q9JXE


#714 [ちか]
各教室を支配する生温い風が廊下に漏れだし、僕たちの間をすり抜ける。


「いやいや、蓮見くんの優秀さは先生からよく聞かされてるよ。なんでも先生達は2年生の次期会長より君に会長を任せたいとか。」


「あはは、まさか。大袈裟ですよ。こんなの冥が聞いたらなんて言うか。」



“冥”

それが僕たちの共通点だった。

⏰:11/05/29 12:38 📱:P906i 🆔:jA9Q9JXE


#715 [ちか]
「…本当に冥と仲良いんだね。」

「まぁ、そうですね。ガキの頃からの幼なじみなんで。冥のことなら誰よりも知ってるつもりですよ。」


そう言って微笑むその顔は天使か悪魔か。


(全く、作り笑いの上手い人間だな。)

まぁ、
僕も人のこと言えないけど。

⏰:11/05/29 12:43 📱:P906i 🆔:jA9Q9JXE


#716 [我輩は匿名である]
ずっと前から待ってました!
あんまりBLは好きではないんですがやっぱりこれは格別です!キュンキュンしながら、たまには泣きながら読ませていただいていました
ゆっくりでいいので完結お願いします(できればずっと続いてほしい) 感想板に書かせていただきます

⏰:11/05/29 13:51 📱:F703i 🆔:qzSbahxA


#717 [ちか]
>>716匿名さま

待っていてくださって
ありがとうございます*

最高の誉め言葉です(T_T)
格別だなんて!
私もBLが得意じゃなかったんですが、ある人のお話を読んで好きになったので、読者様にとってこの小説がそんな存在になっていれば、本当に嬉しいし幸せです。
本当にありがとうございます(*^^*)

もう書きはじめて2、3年になりますが完結まで一生懸命書いていきますので、楽しみにしていてください**
私も終わらせたくないです(*^^*)(笑)

⏰:11/05/29 21:25 📱:P906i 🆔:jA9Q9JXE


#718 [ちか]
>>715続き

誰よりも…ねぇ。

こんな単語を使うのはわざとだと分かっている。
煽っているのだ。

僕が冥に好意を抱いているのをきっと知っているから。

そんなのは分かってる。
分かってるんだけど、…―

⏰:11/05/30 00:49 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#719 [ちか]
「先輩こそ冥とずいぶん仲良いじゃないですか。さ・い・き・ん(最近)。」


やっぱりむかつく。


この作り笑顔どうにかしてくれ。
ぶん殴りたくなる。

⏰:11/05/30 00:52 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#720 [ちか]
もともと冥と仲が良いことも知っていた。

しかし計算違いだったのは、“仲が良いだけ”だと思っていたこと。


冥と関わりはじめてやっと分かったんだ。


このクールな秀才くんが、冥に対して僕と同じ感情を抱いているということを。

⏰:11/05/30 00:54 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#721 [ちか]
「まぁね。少し縁があって。」

「へぇ、冥みたいな普通の生徒と優秀な先輩にどんな縁が?」

いちいち気に障る言い方をする奴だ。
初めて会った頃と今じゃ、印象は180゚違う。


「それは…――、」

いっそのこと僕たちの関係をバラしてしまおうか。

そう思って口を開いた時、午後の授業が近いことを知らせる予鈴が鳴った。

⏰:11/05/30 01:05 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#722 [ちか]
「あ、もう教室戻らないと。すいません、時間取らせてしまって。じゃあまた。」


そう言ってお決まりの笑顔と礼儀正しい素振りで、彼は去っていった。


冥のところに戻るのだろう。

⏰:11/05/30 01:07 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#723 [ちか]
『冥のこと傷つけたら…
   ぶっ殺しますよ。』


いつだったか
保健室で言われたあの言葉を思い出した。

口は笑ってるけど目は真剣で、言葉の一つ一つに重々しさを感じたのを覚えている。

彼は
いつから冥のことを
好きだったんだろう。…―

⏰:11/05/30 01:08 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#724 [ちか]
去っていく背中はとうに消えたというのに、僕はその場から動けないでいた。


いつか、
彼に冥を取られてしまうんじゃないか。

僕から離れていくんじゃないか。


そんなことが頭を過る。

⏰:11/05/30 01:10 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#725 [ちか]
『ガキの頃からの幼なじみですから』

『誰よりも知ってるつもりですよ。』


誰よりも。

ガキの頃から。


僕の知らない冥を
彼は知っている。

⏰:11/05/30 01:12 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#726 [ちか]
それはつまり、

僕の知らない冥を
彼はたくさん知っているわけで。


冥も僕に見せない顔や感情を彼には見せる…――。

と言うことなのだろうか。

⏰:11/05/30 01:14 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#727 [ちか]
「馬鹿馬鹿しい。」



こんなのは邪念だ、
と、頭の中を支配する彼の発言を消し去るようにそう呟いて、やっとの思いでその場を後にした。


─────────‥‥
──────‥‥
───‥‥

⏰:11/05/30 01:16 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#728 [ちか]
― 透 side.―


ずっと、

ずっと冥の隣は

俺のだと思っていた。




―‥高校に入るまでは。

⏰:11/05/30 11:27 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#729 [ちか]
冥とはウチが隣同士で、
お互い生まれた時から一緒に居たようなもんだった。


幼稚園も。
小学校も。
中学も高校も。


…まだ小学生だった頃、冥の両親が事故で亡くなってからはウチに一緒に住むようになって、
尚更一緒に居る時間が増えて、それが当たり前になっていた。

⏰:11/05/30 11:33 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#730 [ちか]
だけど、
中学を卒業すると同時に
一人暮らしする
って言い出してウチを出ていってしまった。


アイツのことだから
ずっと遠慮していたんだろう。

未だに両親の事故も自分のせいだ、って一人で抱え込んで。

口には絶対に出したことは無かったけど、昔から一緒に居るおかげがそこらへんの奴より冥の気持ちは分かっているし、分かってあげたかった。

⏰:11/05/30 11:37 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#731 [ちか]
もういつからアイツを好きだったのかなんて覚えてない。

気づけばもう手遅れだった。


アイツは俺を
ただの幼なじみだと思ってる。


だから俺も
それに答えなくちゃいけない。
ただの幼なじみを演じていなければいけない。

⏰:11/05/30 11:38 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#732 [ちか]
それ自体は苦じゃなかった。
アイツをすぐ隣で見ていられるのには変わりないし、アイツが喜んでくれればそれで良かったんだ。
それで。‥‥――――


一人暮らしも反対したけど、アイツがそうしたいならそれを応援してあげるのが俺の役目だと思って渋々ながら納得した。

それに一緒に住まなくなってもアイツは毎朝俺を起こしに来てくれた。

結局、アイツの隣は俺だったんだ。
俺だった、…はずなのに。

⏰:11/05/30 11:43 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#733 [ちか]
高校に入って暫くして、
アイツとの登下校はあっさり別の奴に奪われた。


アイツの隣、
俺の特別席は、

急に現れた黒羽恭弥に



奪われてしまった。

⏰:11/05/30 11:45 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#734 [ちか]
一言で言えば
ムカついた。


俺が必死で隠して
大切に作り上げて来た場所を、こうも簡単に崩されてしまったことを‥‥―――



「とおる?」

⏰:11/05/30 14:43 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#735 [ちか]
「眉間にすんごいシワ!なんかあった?」


ハッとした。

いつの間に教室まで
戻ってきてたんだろう。

目の前には
そう、俺の宝物が居る。


「いや、何でもない。会議のこと考えてた。」

笑顔を向けて淀んだ空気を取り繕ってみる。

⏰:11/05/30 14:47 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#736 [ちか]
「ふーん。大変だな!ま、おかえり!」


ああ、
どうしてコイツは
気づかないんだろう。


俺が
この屈託の無い笑顔に
どれだけ救われてきたことに。


「ただいま。」

コイツと居ると自然に笑える。
コイツの存在は俺の全てなんだ。‥‥――――

⏰:11/05/30 14:51 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#737 [ちか]
― 冥side.―


「「‥‥‥‥‥。」」




本日、
恭弥生徒会長様は
ご機嫌ナナメなようです。

⏰:11/05/30 15:09 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#738 [ちか]
学校終わって久しぶりに一緒に帰れたって言うのに、なんでか分かんないけどずっと仏頂面。


車の中は
いつに無く静まり返って
なんだか落ち着かない。



これは何があったか
聞いた方が良いのだろうか‥‥。

⏰:11/05/30 15:12 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#739 [ちか]
「きょ、恭弥?‥‥なんかあった?」


恐る恐る顔色を窺いながら問いかける。
下手に刺激したら、八つ当たりされるのは俺だし。

それなのに、意を決して聞いたわりに帰ってきた返事は

「え?」


コレ+きょとんとした顔。

当の本人はもしかして、

「自覚無し?」

⏰:11/05/30 15:58 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#740 [ちか]
「あ‥‥うん、全然気づかなかった。」


恭弥はそう言って少し困った顔をする。

なんだ。
普通じゃないか。
俺の考えすぎ?

今日の透と言い、恭弥と言い、全部俺の勘違いか。

「なーんだ!!心配して損したっ。」

「心配?」

なぜか恭弥は少し間合いを狭めた。

⏰:11/05/30 16:17 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#741 [ちか]
「心配してくれたんだ?」


あらま。
さすが気分屋恭弥様。

もうニコニコしちゃってるよ。

「わ、わりぃかよ…。」


急にニコニコしながら詰め寄ってこられると、それはそれで困るって言うか、照れるって言うか…。

⏰:11/05/30 16:22 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#742 [ちか]
「嬉しい。ありがとう。」


ちゅ。



腕を引き寄せられてから
頬を触られ、
その唇が重ねられるまで、

それは一瞬の出来事だった。

⏰:11/05/30 16:25 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#743 [ちか]
「☆@%$◆℃▽〜ッ!!///」


「え、なに?足りない?」


余裕を含んだ笑顔で
そう問いかけてくる姿は
悪魔にしか見えない。


「ちっがーう!!!!///」


俺の声は車中に響いて、
それでも俺の耳を
一番支配していたのは
恥ずかしくなるくらいうるさい自分の心臓の音だった。

⏰:11/05/30 16:30 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#744 [ちか]

*感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/

これから用事があるので
また夜に更新します(*^^*)

よかったら
感想、アドバイス等
お願いします!
元気が出ます\(^o^)/
帰ったら感想板へのレスも返していきます*

誤字脱字の訂正をしたいのですが、話の間に入れたくなくて訂正出来ずにいます;
気になられたらすいませんm(__)m

ではまたあとで*

⏰:11/05/30 19:16 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#745 [ちか]
>>743続き
― 恭弥 side.―

家に着いてから
部屋に戻りベッドに仰向けに倒れこんだ。


無造作に伸ばした手が
宙をかく。

「まさか顔に出てるなんて。」

宙をかいたその手の後に、冥の心配そうな顔が浮かんだ。

⏰:11/05/31 00:01 📱:P906i 🆔:m8JJ0MGc


#746 [ちか]
冥はああ見えて
自分以外の人間に対して
すごく敏感なところがある


良く言えば
人の気持ちを察してあげる優しさがある。


…悪く言えば
顔色を常に窺ってる
ような気がしないでもない。

⏰:11/05/31 18:36 📱:P906i 🆔:m8JJ0MGc


#747 [ちか]
‥‥‥‥、僕がそうさせているいるのだろうか。



「はぁ…。」


深くため息をついたのは
このモヤモヤした何かを振り払うためか。


それとも
僕のせいじゃない、
と言い聞かせているのか。

⏰:11/05/31 18:41 📱:P906i 🆔:m8JJ0MGc


#748 [ちか]
どちらにせよ気分の良いものではなかった。
今どんな顔をしているのか、鏡を見なくても分かる気がした。


「あの子なら、冥にこんな思いさせないんだろうな。」

自ずと独り言が口から出る。

そしてどうしても引き合いに出してしまうのは、やっぱり彼で。
らしくない、と自分でも思う。

⏰:11/05/31 18:48 📱:P906i 🆔:m8JJ0MGc


#749 [ちか]
しかし、
冥のこととなると
“自分らしさ”を保つのは難しかった。


もうそれだけ冥にハマっているんだと痛いほどに思い知る。


平常心、平常心、と
自分に言い聞かせることしか出来なかった。

⏰:11/05/31 23:14 📱:P906i 🆔:m8JJ0MGc


#750 [ちか]
― 冥 side.―


やっぱりおかしい気がする。

今日の夕食は恭弥の好きな物ばっかりなのにちっとも美味しそうに食べてない。

いや、もともとそういうことを顔に出す人じゃないんだけど。この人は。

でもやっぱり、
なんか変な気がして俺まで食欲が無くなった。

⏰:11/05/31 23:18 📱:P906i 🆔:m8JJ0MGc


#751 [ちか]
「‥‥‥‥‥‥。」

「‥‥‥‥‥‥。」


フォークとナイフが黙々と動き、時間が過ぎる。



痺れを切らして
口を開いたのはやっぱり俺の方だった。

⏰:11/05/31 23:23 📱:P906i 🆔:m8JJ0MGc


#752 [ちか]
「おおお、美味しいね!今日のこれ!あ、いや、いっつも美味しいんだけど!!あの、えっと…、」


なにやってんだ俺!(泣)

カミカミじゃねーか!
こういうの本当に俺下手くそだぁ〜…。


張り詰めた空気にトドメをさすような自分の失態に思わず泣きそうになった。

⏰:11/05/31 23:27 📱:P906i 🆔:m8JJ0MGc


#753 [ちか]
チラリと向かい側に視線をやると、呆れられているような、なんだか上手く読み取れない表情を向けられてるのが見て取れた。


「あ、あの、だから…「冥ってさ。」


必死に間を取り持とうとした矢先、会話を遮られ俺はパチパチと瞬きを繰り返す。

「な、なに?」

⏰:11/05/31 23:35 📱:P906i 🆔:m8JJ0MGc


#754 [ちか]
「……いや、やっぱり良い。」

「なんだよそれ!言いかけたなら最後まで言えよー!気になるじゃんか。」


そんなやり取りをして
恭弥はバツが悪そうな顔で再び話始めた。


「冥はいつから蓮見くんと仲良かったの?」

⏰:11/05/31 23:40 📱:P906i 🆔:m8JJ0MGc


#755 [ちか]
意表をつかれた質問に一瞬黙る俺。

なんでそんなこと聞くんだろう?


「いつ…っていうか、生まれる前から親同士が大学からの友達かなんかで仲良かったから、生まれたときから‥‥かな?」


疑問に思いながらも、
不確かな記憶を辿りつつ、それでも一番正しそうな答えを返してみせた。

⏰:11/05/31 23:43 📱:P906i 🆔:m8JJ0MGc


#756 [ちか]
しかし恭弥は「ふうん。」と気のない返事しかしない。

なんだよ、真面目に答えてやってんのにさ。


相変わらずの無表情で
さらなる質問が飛んでくる

「じゃあ何でも話せたりする?」

相変わらず変な質問。

⏰:11/05/31 23:47 📱:P906i 🆔:m8JJ0MGc


#757 [ちか]
「まぁ、…そうだなー。
ガキの頃からずっと一緒だったから今さら秘密とか無いし…。」


そこまで言って
自分が嘘をついていることに気づいた。

だって透には、恭弥と暮らしてることも関係があることも秘密にしている。

なんだか少し罪悪感にかられ、俺は饒舌になった。

⏰:11/05/31 23:51 📱:P906i 🆔:m8JJ0MGc


#758 [ちか]
「と、とにかく一緒に居て落ち着くっていうか、癒しっていうか!あー俺のことよく分かってくれてるなーって思うよ!うん、そう!言わばパートナー?!みたいな!あは、あははは…」

我ながらこういうときの饒舌さはすごいと思う。
動揺丸出しのしゃべり方とか…。


無駄に疲れたような気がしてすっかり項垂れていると、向かいから席を立つ音がした。

⏰:11/05/31 23:57 📱:P906i 🆔:m8JJ0MGc


#759 [ちか]
「あ、そう。」



スッと立ち上がりそう呟いた恭弥は俯いているせいで前髪が顔にかかり俺からは表情がよく見えない。

そしてそのまま自分の部屋がある方へスタスタと帰って行ってしまった。


変なやつ。
せっかく答えたのにさ。
なんなんだよ、全く。


俺は余っていたステーキの一切れをパクリと口に放り込んだ。

⏰:11/06/01 00:01 📱:P906i 🆔:.456fBjw


#760 [ちか]

*感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/

一区切り着いたところで
今日の更新はココまでです(*^^*)

読んでいてくださる方なんて居るのでしょうか…
なんだか不安で仕方ないです(;_;)

⏰:11/06/01 00:14 📱:P906i 🆔:.456fBjw


#761 [まあ]
読んでますよ頑張って下さい

⏰:11/06/01 22:59 📱:N906imyu 🆔:nVjMsqi2


#762 [ちか]
>>761まあさま

ありがとうございます(*^^*)
がんばります

⏰:11/06/07 21:53 📱:P906i 🆔:Y1A3UEmw


#763 [ちか]
>>759続き

翌朝になっても
恭弥の異様なよそよそしさは変わらないようだった。


それは、寝入ってる俺を襲うように起こしにきている毎朝の恒例でも感じることができた。


「‥‥‥‥ん、恭弥‥?」

額に冷たい手の感覚を感じて目が覚めた。

⏰:11/06/07 22:03 📱:P906i 🆔:Y1A3UEmw


#764 [ちか]
「おはよう。」


心なしか微笑む恭弥の顔は悲しそうだ。


「お、おはよ!なんだよ、たまには普通に起こせるんじゃん!なんか調子狂うっつーのっ」


憎たらしい言葉でしか表現出来ない自分に、苛立ちすら感じる。

こんな風に言いたいワケじゃないのに…。

⏰:11/06/07 22:07 📱:P906i 🆔:Y1A3UEmw


#765 [ちか]
「いつもみたいにキスしてほしかった?」


そう言って恭弥は俺の嫌みに気づいていてか気づかずにか、いつものように妖艶な笑みを浮かべ、間合いを詰める。


その瞬間、
一気に身体が熱くなるのが分かった。


「なな、んなわけねーだろっ!!!///
ていうか恭弥が勝手にしてくるだけで俺は別に…っ!!」

⏰:11/06/10 23:01 📱:P906i 🆔:TrDYP092


#766 [ちか]
“別にしてほしくなんかない”

そう言いかけて
思わず口ごもった。

一瞬恭弥が悲しそうな表情をしたように見えたから。


沈黙を挟んで
気まずさが増す。


「冥、僕は、」


そこまで言って
再び目をそらした恭弥がそれ以上言葉を続けることはなかった。

⏰:11/06/10 23:09 📱:P906i 🆔:TrDYP092


#767 [ちか]
「いや、なんでもない。」


そんな言葉とバタンという音を残して部屋を出ていく背中を見つめ、呼び止めようともしなかった。



ただ最近の恭弥は
やっぱりおかしいなとか
そんな風にしか
思わなかったんだ。

⏰:11/06/10 23:11 📱:P906i 🆔:TrDYP092


#768 [ちか]
結局恭弥は朝食を取らなかった。

こんなことは俺がココに来てから初めてのことで、朝とは思えないほどの豪華な朝食を1人で食べるとなんだかすごく味気ない。


空いた空席を目の前にため息をこぼす。


(俺があんなこと言ったから悲しそうな顔したのかな。)

⏰:11/06/14 19:52 📱:P906i 🆔:VFPspA9I


#769 [ちか]
いやいやいや!!


そもそも本当に悲しい顔したか分かんないし!

俺の勘違いかもしれねーし!


自分の考えを打ち消すようにブンブンと頭を横に振った。

なんか俺も変だ。

なんて思いながら、
松山さんに促されて車に乗り込んだ。

⏰:11/06/14 19:55 📱:P906i 🆔:VFPspA9I


#770 [ちか]
中には既に恭弥が居た。


静かに走り出したことは、窓からの景色が動き出してようやく気づいた。



車内は外の寒さを忘れるような暖かさで、
自然と目が微睡んでくる。

⏰:11/06/14 19:58 📱:P906i 🆔:VFPspA9I


#771 [ちか]
「冥、」



車が動き出してどれくらい経ったのだろうか。

急に名前を呼ばれてやっと、自分がうっかり船を漕いでいたことに気づく。


寝ぼけ眼のまま、
かすれた声で返事をする。

「ん…?なに?」

ぼんやりと見えた恭弥は悲しみと虚無を感じさせる複雑な表情をしていた。

⏰:11/06/14 20:03 📱:P906i 🆔:VFPspA9I


#772 [ちか]
見据えられた目の冷ややかさに思わず唾を飲んだ。



ピンと張る空気。


鋭い視線。



それはやがて斜め下へと流され、代わりに閉じていた口が開かれた。

⏰:11/06/14 20:11 📱:P906i 🆔:VFPspA9I


#773 [ちか]
「家(ウチ)を出ていってく
 れないかな」








一瞬、
世界が止まったと思った。

⏰:11/06/14 20:12 📱:P906i 🆔:VFPspA9I


#774 [ちか]
「は‥‥?」


なんの冗談‥‥、
そう思って恭弥の顔を見たけれどそこに冗談を言ったような顔は無かった。


「なに言って…、」


なんで目すら合わせてくれないんだよ。

なんで俺を見てくれないんだよ。


募る感情が言葉を詰まらせる。

⏰:11/06/14 22:01 📱:P906i 🆔:VFPspA9I


#775 [ちか]
刺さる視線が痛い。
それでも窓の外は確実に景色を変えていく。



「なんで急にそんな‥‥」

鼓動は着実に早くなっていくのに感情は遅れていくばかり。


「…………僕なりに考えたんだ。」


ドクンと胸が跳ねる。

⏰:11/06/14 22:36 📱:P906i 🆔:VFPspA9I


#776 [ちか]
「なんだよ僕なりって…、お、俺の意見とか無視なのかよ…っ」


膝の上で強く拳を握った。

なんとも言えない感情が俺の体を震わせる。

上手く呂律が回らなく、挙動不審と思われてもおかしくないだろう。




だけど、

⏰:11/06/14 22:43 📱:P906i 🆔:VFPspA9I


#777 [ちか]
「これは冥のためを思って…、」




そう言われた瞬間、



何かが切れた。

⏰:11/06/14 22:44 📱:P906i 🆔:VFPspA9I


#778 [ちか]
「分かったよ!!!!ていうか、かえって清々するし!?言われなくても出ていってやる!!!」


急に立ち上がってもぐらつかない車内は、いかにその機能が高性能かを物語っていた。


拳は体の横で強く握ったまま、これでもかと言わんばかりに目の前の人間を睨み付ける。


今にも泣き出しそうな目で。

⏰:11/06/14 23:20 📱:P906i 🆔:VFPspA9I


#779 [ちか]
なにを言ってもビクともしないこの人間に痺れを切らして、さらに言葉を走らせた。


「今日から、いや、今からでも出ていってやるよ…!!もとから荷物だってないんだしっ…!!
そうだ、透の家にでも居候させてもら……、」

そこで初めて目があった。


「それはダメ。」


頭に上った血は最高潮に達した。

⏰:11/06/14 23:27 📱:P906i 🆔:VFPspA9I


#780 [ちか]
「ここで降ろしてくださいッ!!!!」


力任せに叫んだ後、
止まった車のドアを乱暴に開けた。


「ちょっ…、冥、僕は…ッ、」


まだ車内に余っていた左手を咄嗟に掴まれた。

その力は強い。

⏰:11/06/15 00:51 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#781 [ちか]
しかしそんなことは知ったものか。

俺もその手を力ずくで振り払う。

「冥…ッ、」


名前を呼ばれて
くるりと恭弥の方に向き直った。

涙が出そうになるのを必死に押さえながら。

「あのさぁ!!!!
この際だから言っとくけど、」

⏰:11/06/15 00:55 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#782 [ちか]
「僕は、とか、そうやってなんでもかんでも自分の気持ちばっかり押し付けてくるのうんざりなんだよ!!アレはダメ、コレはダメって…っ!!!!」


募っていた言葉が
滝のように溢れ出してくる。

止めようにも止まらない。

道端で朝から叫び倒すこの姿は他人の目にどう映るのだろうか。

幸い、降りた場所はまだ学校から遠く、うちの学校の生徒は前後に見当たらなかった。

⏰:11/06/15 01:00 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#783 [ちか]
一度遮断するものが無くなると、
歯止めが効かなくなるのは俺の悪いクセだ。




分かってる。

分かってるけど…っ

⏰:11/06/15 01:03 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#784 [ちか]
「俺はあんたの物じゃない!!
透は俺の親友なんだよっ、口出ししてくるな!!!!

もう…ッ、
もういい加減
迷惑なんだよ!!」


はぁはぁ…ッ

息も吸わずに吐き出したもんだから、言い終わる頃には肩で息をしていた。

⏰:11/06/15 01:05 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#785 [ちか]
ふと見上げると、
その漆黒の目は確かに俺を映していた。


そんな風に見るなよ。

なんでそんな悲しそうな目するんだよ。

酷いのは
どっちだと思って…ッ


もう涙を堪えるのも
限界に達していたその時、


「あれ、冥?」

⏰:11/06/15 01:08 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#786 [ちか]
聞き覚えのあるその声の方に振り返ると、
そこに立っていたのは透だった。


「と……おる‥‥、」



突然のことで混乱した俺の頬をずっと我慢していた涙の一粒が筋を通して伝った。

⏰:11/06/15 01:11 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#787 [ちか]
ぎゅ…っ



それとほぼ同時に
何かに包まれる感覚を感じた。

それは暖かくて強くて、
馴染みのある匂いがした。


透の腕が俺を包み込む。

⏰:11/06/15 01:14 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#788 [ちか]
「…もういい加減にしてくれませんか。」



重みのある、
怒りの混じった声が
頭に響いた。

ちょうど頭一つ分でかい透の声が、
この密着のせいでちょうど俺の頭を通っていくのだ。

⏰:11/06/15 01:16 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#789 [ちか]
「冥、行こう。」



そう言って右手を強く引かれる。

歩いてきたのであろうことはその手の冷たさで分かった。


その力に促されるように、俺の足も同じ方向を向く。

⏰:11/06/15 01:20 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#790 [ちか]
「冥‥‥‥‥ッ、」






そう呼ばれ、
思わず振り返って見た、

アイツの悲しそうな表情(カオ)を残して。‥‥────

⏰:11/06/15 01:22 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#791 [ちか]

*感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/

一区切り着いたので
今日の更新終わります^^

感想、アドバイス、雑談など、
何かしらコメント頂けると励みになります(*^^*)!
よろしくお願いします**

⏰:11/06/15 01:25 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#792 [ちか]
強く握られた手が痛い。


まるで怒りが伝わってくるみたいだ。

いたたまれなくなって俺は思わずその手を解いた。


「あ、ごめん。」

力んでることに初めて気づいたのか振り向いて謝られたけど、まだ自分の目が潤んでいるのを見られたくなくて視線を外した。

⏰:11/06/15 19:02 📱:P906i 🆔:YxB7aKMQ


#793 [ちか]
まだ体には抱き締められたときの感触が残っている。


知らず知らずのうちに俺は右腕を擦っていた。

まるでその感触を確かめるように。


「急に抱き締めたりなんかしてごめんな。」

「え?…あ、いや、別に…」


変な空気が俺たちを取り巻いて、気まずさは増すばかり。

⏰:11/06/16 00:30 📱:P906i 🆔:8oj82JQ.


#794 [ちか]
「あの人になんかされた?」


透が言うあの人とは、きっと恭弥のことだろう。


「あ、いや別に何も…、」

話したくても話せない。
事情が複雑過ぎる。

必死に回答をそらそうとするが、それに伴うように体は緊張で熱くなる。


「何も無くて泣いたりしないだろ、お前。」

こういうとき、
透は核心を衝いた質問しかしてこないから余計に。

⏰:11/06/16 00:35 📱:P906i 🆔:8oj82JQ.


#795 [ちか]
取り繕う言葉を頭の中のボキャブラリーという棚から片っ端に探し回っても、適当な言葉は見つからず、ただただ口がもごつくだけ。


「…ま、無理して聞きはしないから。元気だせよ。」


ふわりと大きな手が俺の頭を優しく撫でた。

そうだった。
透は俺が落ち込んだとき、いつもこうやって慰めてくれていた。

俺はそれに幾度となく救われてきたし、それが好きだった。

⏰:11/06/16 00:39 📱:P906i 🆔:8oj82JQ.


#796 [ちか]
撫でた頭にほのかな暖かみを残して、その手は俺の前で揺れている。

その少し後ろをとぼとぼ歩く。

心配してくれてるのに、
事情も説明出来ないのは
理不尽すぎないかな。

そんなことを考えながら、
数歩前を歩く自分より広く頼もしい背中を眺めた。

⏰:11/07/06 15:41 📱:Android 🆔:W50FArGo


#797 [ちか]
「あの、透…、」

「ん?」

呼び掛けられて振り向いた透をまだまっすぐには見れない。

「いや…、なんでもない。」

喉まで来ていた言葉を
寸前で飲み込む。

やっぱり自分と恭弥の関係を思いきって言う気にはなれない。

普通ではないことは自分が一番よく分かっているから。
それをあえて第三者から指摘されるのは、やっぱりツラい。
それが透だとなおさら。

⏰:11/07/06 15:50 📱:Android 🆔:W50FArGo


#798 [ちか]
もう半ば呆れられているのか透は苦笑とも言える精一杯の優しい表情(カオ)で笑うだけだった。

「後ろじゃなくてこっち来いよ。」

それでも透はやさしいのだ、と
こんなときに思い知らされる。
そして、それに比べて俺は、と言う皮肉が必ずついてくる。

俯いたまま、返事をすることもなく小走りで駆け寄り横に並んだ。

「…寒いな。」

頭一つ分高い透の顔は、
もうマフラーが半分程覆ってよく見えなかった。

⏰:11/07/06 16:08 📱:Android 🆔:W50FArGo


#799 [ちか]
勢いで出ていくとは言ったものの、
心にはぽっかり穴が空いてるみたいだった。


何かしたんだろうか。

…飽きられたんだろうか。


考えてみれば、
ふと頭を過ったのは昨日と今朝の恭弥の様子。

明らかにいつもとは違った。

⏰:11/07/08 01:13 📱:Android 🆔:oC0bKfsc


#800 [ちか]
そういえば、
やたら透のことを気にかけていた。


「もしかして、」

思わず口から出た言葉の続きを慌てて飲み込んだ。


もしかして、
恭弥は透のことが好きなんじゃ…

そんな想像が脳裏を過る。

⏰:11/07/08 01:21 📱:Android 🆔:oC0bKfsc


#801 [ちか]
だってそれなら辻褄が合う。

昨日、廊下で楽しそうに話してたことも、夕食のときやたら透のこと聞いてきたことも、今朝透の家に泊まるって言ったらダメだって突っ掛かってきたことも。…


ポタ…ポタ…

気づけば頬を伝って
幾つもの水滴が溢れだしていた。


午後の授業の真っ最中、
もうすでに教師の張り上げる声など耳に入れる余裕は無い。


必死に擦ってもなかなかその涙は止まらない。


俺は机に上半身を突っ伏して、バレないようにするのに必死だった。

⏰:11/07/08 23:07 📱:Android 🆔:oC0bKfsc


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194