漆黒の夜に君と。U[BL]
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#864 [ちか]
「つーことで、よろしくー♪備品室はもう空けてあっから〜」
ヒラヒラと手を降りながら、そんな言葉を残し前田は去っていった。
「今日の俺ついてねぇ〜。とおる〜(泣)」
嘆くように透の方へ駆け寄ると、めんどくさそうに頭を撫でられた。
「なに、どしたー?」
「さっき前田に備品室の片付け頼まれたー」
「うわー、どんまい。」
どんまい、なんて言葉を選んでおきなかがら微妙に笑って見えるのは気のせいだろうか。
:11/09/26 17:25 :Android :O9JTdECU
#865 [ちか]
面白くない、と俺がふくれていると、廊下の方で透を呼ぶ声がした。
「蓮見ー、」
それを辿るように透がくるりと振り返るとクラスメイトとその隣に女の子。
「なにー?」
俺は呼ばれる方へ駆け寄っていく透の背中が見えなくなった後、さっきまで透が座っていた椅子に腰を下ろし、机に突っ伏した。
:11/09/26 22:48 :Android :O9JTdECU
#866 [ちか]
そろそろ行かなきゃなー
さっさと片付けてこよ
そんなことを思いながら、結局だらだらと突っ伏したままどれくらい経っただろうか。
透が帰ってきた。
「あ、おかえりー、」
「ん、ただいま」
「なんだったー?」
「告白された」
は?!
そんなあっさりと何を言ってんの、こいつ!!
:11/09/26 22:54 :Android :O9JTdECU
#867 [ちか]
俺のリアクションに比べ、透の顔は至ってクール。
透、オッケーしたのかな。
したらなんか…寂しいかも。
「で、返事は…」
「断った」
そうなんだ、と相槌を打ったあと、心の中でホッとしている自分がいた。
なんだよ、ホッて!ホッてなんだ、俺!
:11/09/26 22:57 :Android :O9JTdECU
#868 [ちか]
内心で自分自身にツッコミを入れ、話を続ける。
「で、でも可愛かったじゃん」
「お前は可愛かったらどんなか知らない女とも付き合うのか?」
「いや…付き合わない…です」
「だろ?」
はい…、と俺は縮こまった返事を返して仏頂面の透をチラリと見る。
幼なじみだからかあまり考えたこともなかったけど、
やっぱり透は端整な顔立ちをしている。
頭も運動神経も良いし、面倒見が良くて、人望があって、みんなにも優しくて。
考えているうちに自分が惨めになりそうなくらいだった。
:11/09/27 18:34 :Android :eqbciHTs
#869 [ちか]
たぶん高校に入ってからも何度か告白をされていた気がする。
むしろ学年の中じゃ人気もある方だ。
その人気は上級生であっても変わらない。
でも、中学の頃に一度彼女が居たことがあったけど、それっきり透に彼女が出来たなんて聞いたことがない。
よくよく考えてみれば不思議だ。
なんでだろうか?
「なに人の顔じっと見てんの。」
「えっ!!あ、いやっ…」
チラリとしか見てなかったつもりが、いつの間にか凝視してしまっていたようだ。
:11/09/27 19:06 :Android :eqbciHTs
#870 [ちか]
「よく考えたら、透、中学ん時以来彼女作らないなーって。なんでかなーって…」
俺は慌ててそらした目をもう一度透に向けて、またそらす。
見上げる姿勢のせいか、
透がいつもよりデカく頼もしい人間に見えた。
「あー、…俺好きな奴居るから。」
間があったのは一瞬。
開いた口が塞がらないとはまさにこの事。
:11/09/28 01:07 :Android :g9cV2g72
#871 [ちか]
「〜〜っ……そんなの初耳なんだけどっ!!」
「だって言ってなかったし」
衝撃のあまりしどろもどろになる俺をよそに、透は飄々と語る。
この差は端から見れば滑稽極まりない。
なんで俺ばっか焦らなきゃなんないんだよ!!
と半ば逆ギレのような感情が芽生え、この際だからいろいろ聞き出してやる、と意気込んで俺は質問を投げた。
:11/09/29 01:18 :Android :/gQR4j4Q
#872 [ちか]
「可愛い?」
「可愛いって言うよりは生意気…かなー」
「いつから好きなの?」
「だいぶ前」
「へえー、俺の知ってる人?」
「…………ひみつ。」
淡々と答えていた透がその時初めて黙った。
俺はそれに調子乗って追い討ちをかける。
「いいじゃん〜!俺も協力するって!
うちの学校?クラスは?なぁなぁ〜、教えろ…っい゛ってぇ゛!!」
どうやら調子に乗りすぎたみたいデス。
:11/09/29 20:38 :Android :/gQR4j4Q
#873 [ちか]
「なにもしばかなくてもいいだろっ?!」
本日二回目の打撃をくらった頭を擦りながら言うと、透はしれっとしながら
「ごめん、つい手が」
と言って、これ見よがしに手をヒラヒラと見せた。
「それよりお前片付け行ってこなくていいのか?」
「あ。」
透の恋愛沙汰に気をとられ、すっかり忘れていた俺は、間抜けな声でそれを思い出した。
「部活終わる頃にはお前も終わってるだろ?今日帰りどうする?」
当然のようにそう訪ねてくる透に、俺は詫びるように片手を胸の前で立てた。
:11/09/30 00:31 :Android :M6gMnZ3I
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