漆黒の夜に君と。U[BL]
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#895 [ちか]
>>894 華子さま.

わりと長いシリーズなんですが
一気に読んでもらえて嬉しいです(*^^*)
こちらこそありがとうございます!
これから更新するので続きをお楽しみに♪
感想板もあるので遊びに来てくださいねっ

⏰:11/10/02 15:51 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#896 [ちか]
>>893

はぁっはぁっ…

「無駄に広いっつーの、この校舎…っ」

一気に階段をかけあがり、別館の最奥にある備品室に着く頃には既に息が上がっていた。

人気もなく、薄気味悪い。


「冥ー!!」

余っている体力から絞りように声を張り上げた。

すると、
「透?!」

紛れもない冥の声が耳を掠めた。

俺は備品室の戸を雑に叩く。

⏰:11/10/02 15:56 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#897 [ちか]
「冥?!こん中か?!」

問いかけに応えるように、内側でも戸を叩く音がする。

「なんか閉じ込められちゃって…」

いつからこうしていたのか、
すでに冥の声に覇気は無かった。

闇雲に戸を開けようとしてみたが、ビクともしない。

やはり鍵がかかっているようだ。

⏰:11/10/02 16:01 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#898 [ちか]
職員室まで鍵取りに行くか?


………いやもうめんどくさい。

それならいっそのこと、


「冥、そこ退いとけ。」

「へ?」

ガンッ

「透?!」

もう一度、ガンッと音が鳴る。

もう一度。

そして、

⏰:11/10/02 16:08 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#899 [ちか]
その瞬間けたたましい音と共に戸が室内に倒れた。
倒れた拍子に戸に嵌め込まれていたガラスが床に散らばる。

「案外、開くもんだな。」

思いっきり打ち付けた体にじんわりと痛みが滲んだ。


「冥、ケガしてない?」


目の前には涙の溜まった目を丸くした冥が突っ立っている。
俺がそう訪ねると、何度も頷いた。

よかった。無事で。

「お待たせ。」

自然と笑みが溢れる。

⏰:11/10/02 16:12 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#900 [ちか]
「本気で死ぬかと思った〜…」

半泣きのそいつを宥めるように、頭を叩いた。

「ったく、お前はほんとに心配ばっかりかけさせて…」

「ごめんなさい…」

冥は身を縮こめて謝ると、その拍子に無惨に倒れた戸の姿が目に入った。


「あれ、どうしよっか…」

責任を感じるような面持ちでソレを眺める冥。

俺がさせたいのはそんな顔じゃない。

だから、

⏰:11/10/02 20:30 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#901 [ちか]
「あれは俺が何とかしとくから。」

「え、でも、俺のせいだし、」


俺は深くため息をついて冥を見据えた。

「…大事な用事、あるんだろ?」

それでも、冥は
でも、だの、なんだの言って動こうとしない。

「あのなー、」

半乾きの髪を掻いて、冥を睨んだ。

「…どうせなら最後までかっこつけさせてくれる?」

⏰:11/10/02 20:36 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#902 [ちか]
「……ありがとうっ」






ほら、

俺がさせたかったのは

その笑顔。

⏰:11/10/02 20:39 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#903 [ちか]
そのまま走り去った冥の姿が見えなくなったのを確認して、俺は壁を背にそのまま座り込んだ。


倒した拍子で散らばったガラスに
軽く腕を切ったことに気づいた。

触れてみて
いてっ、とつい口から溢れた。

そしてふいに呆れたような笑みが出る。


「…俺のお人好し。」

―――――…………
―――…………
――………

⏰:11/10/02 20:46 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#904 [ちか]
― 恭弥side.―

時計を見る。

とうに約束の時間は過ぎ、7時を回っていた。


苦笑に近い笑いが出る。

降りだした雨が容赦なく体を打ちつけ、自分の愚かさがさらに浮き彫りになったような気分になる。


「バカみたいだ…」

⏰:11/10/02 20:52 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


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