こいごころ
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#182 [向日葵]
怖いくせに無理して、誘われて有頂天になって、冷たいからって怒って、意地になって迷子になって、怪我までして……。
帰ろう。きっと帰れる。
怖くない。だってここまで来れたのだから。
……歌でも唄って、意識をどこかにやればきっと出れる。
足だって、そんなに痛くないかも。
もしかしたら痛いって思い込んでるだけかもしれないし。
「こんな馬鹿なこと、二度とやらないようにしよう……」
「まったくだ」
:09/05/26 01:31
:SO906i
:☆☆☆
#183 [向日葵]
驚いて、顔を上げる。
急な光に、一瞬視界を奪われるが、少しそれが別の方へ向けば、懐中電灯を持った宗助が見えた。
あれ?
でも懐中電灯なんて、行く時は持ってなかったのに。
「急にいなくなって、とうとう幽霊にでも連れ去られたかって思った。」
宗助の息が、少し荒い気がするのは、気のせいだろうか。
「……残念ね」
茉里は呟く。
「なにが?」
:09/05/26 01:31
:SO906i
:☆☆☆
#184 [向日葵]
「連れ去られてれば、ギャーギャーうるさい私は、宗助の前から消えてたのに」
反省したばかりのくせに、茉里はまだ素直にはなれなかった。
しばらく沈黙が流れる。
やがて呆れたように長いため息を吐いて、宗助は茉里の前に膝をつく。
「懐中電灯、一旦戻って取りに行った。うるさい奴でも心配してたからだ」
「……」
「……ごめん。怖がってたのに、ろくな対応しなくて」
そう言って、宗助は手を差し出す。
:09/05/26 01:31
:SO906i
:☆☆☆
#185 [向日葵]
なんなのかと、茉里は宗助をじっと見る。
「怖いんだろ?だからせめて手を……。おい、その足どうした?」
たまたま光に照らされた茉里の足は、赤く腫れていた。
「昼にひねって、痛くなかったから忘れてたら、さっきまたひねった……」
また沈黙が流れる。
明らかに、宗助が呆れているのが分かった。
でもその空気が、なんだかアホっぽくて、茉里はついつい笑ってしまった。
「笑える立場かアンタは」
:09/05/26 01:32
:SO906i
:☆☆☆
#186 [向日葵]
「はいっ、ごめんなさいっ」
ふざけて敬礼のポーズをとれば、宗助がまたため息を吐く。
「仕方ない、おふざれ……」
「え、でも……」
「早く。皆待ってんだから」
宗助の懐中電灯を持って、茉里はそろりと宗助の肩に触れる。
かたいなあ……。
抱きついた事すらないのに、こんな状態になるなんてと、茉里は不謹慎にも嬉しくなった。
宗助が立ち上がる。
体が密着する。
:09/05/26 01:32
:SO906i
:☆☆☆
#187 [向日葵]
心臓の音、絶対聞こえてる。
そのくせに、もっとドキドキしてしまうことを言いたくなってしまう。
「宗助、大好き……」
「は、はあ……っ?」
「心配してくれて、ありがとう……」
宗助は、冷たい時は確かにあるが、本当はとても優しいことを思い出した。
そんな宗助だから、茉里は好きになった。
宗助の首に回している腕に、少しだけ力を入れる。
そして彼の耳元に、頭を押しつけた。
:09/05/26 01:32
:SO906i
:☆☆☆
#188 [向日葵]
そうやることで、茉里の髪の毛が首元をくすぐるから、宗助はいままでになくドキドキしていた。
後ろにある重みが、少しいとおしく感じるのは、どうしてなんだろう……。
――――――私の重み。
私は文字通り、ただのお荷物だったね……。
:09/05/27 02:19
:SO906i
:☆☆☆
#189 [向日葵]
[6]勘違い
あの夏合宿。
少しだけ気持ちが近づいた気がした、と思った茉里は、宗助に言ってみた。
「夏休みの課題、一緒にしない?」
かと。
もちろん茉里は宗助の性格や言動はだいぶ把握してきたから、どんな返事が返ってくるかも予想していた。
でももしかしたらという、彼女のいつものポジティブシンキングで言ってみた。
しかし、返事は驚くものだった。
「いいよ、別に」
思わず茉里は、喜ぶのを忘れて言葉を無くした。
:09/05/27 02:19
:SO906i
:☆☆☆
#190 [向日葵]
そんなわけで、宗助との勉強会が始まった。
「なにそれ、彼氏きどり?」
決まったとうかれて、親友であるミュシャを家に呼んだ茉里は、合宿と勉強会についてのいきさつを全部話した。
「まさか。宗助は先輩がまだ好きだもん」
「でも今の話から言えば、笹部は茉里を好きかもしれないんでしょ?」
「そこまでは言ってないよ」
今までに比べれば、いい感じかな?というだけで、まだそこまでには発展はしていない。
「笹部もさっさとおちればいいのに」
:09/05/27 02:19
:SO906i
:☆☆☆
#191 [向日葵]
「いいの。一途は悪いことじゃないもの」
茉里はそう思う。
しかしミュシャは、そういう彼女に呆れてもいたが、しっかりと茉里の申し出を断らず、まるで弄んでいるような宗助の態度に怒りを感じていた。
茉里は、ただ苦しんでいるだけのような気がする。
あまりにも、彼女に対する扱いが、不相応だと。
「苦しい思いをしてまで笹部がいいなんて、相当なMだね茉里は」
それでも、どう言おうと彼女は彼を悪く言わない。
:09/05/27 02:20
:SO906i
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