こいごころ
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#262 [向日葵]
[8]終わりの瞬間
気温は最近ついに1桁になってきた。
カイロはもちろん、マフラーは必需品。
「そーっおすーっけくーんっ。手がーさむーいんだけどなあー」
帰りの下校時間が早くなると同時に、日が暮れる時間も早くなって、辺りは真っ暗になるようになった。
当然、太陽が沈めば、また気温もグンッと下がるのだった。
手をプラプラとさせる茉里をじとっと見ながら宗助は呟く。
「……だからなに」
:09/06/29 04:03
:SO906i
:☆☆☆
#263 [向日葵]
「手っ!」
「見りゃ分かる」
「ちっがーうっ!繋ぎたいのーっ!」
「あーハイハイ」
まるでだだっ子。
しかしそんな茉里のわがままを、宗助はこの頃聞いてくれる。
普通に手を繋いだり、楽しく会話したり。
周りから見れば立派なカップルだ。
しかし未だ、茉里は仮彼女から昇格はしていない。
それでも茉里は楽しかったし、なんの不満もなかった。
:09/06/29 04:03
:SO906i
:☆☆☆
#264 [向日葵]
でもやっぱり、好きって言葉は聞きたい。
いずれ言ってくれたらいいなと思う。
こうやって、一緒に過ごせるだけでも、結構な進歩なのだから。
―――――――――…………
その日、妙に胸がざわついた。
別に自分が特別勘がいいだなんて、茉里は思った事がない。
でも悪い事というのは、意外にもよく当たるから、余計に茉里は嫌な感じがしてならなかった。
おそらく、朝からクソ親父にあったせいかもしれない。
:09/06/29 04:03
:SO906i
:☆☆☆
#265 [向日葵]
[おはよう茉里]
いつも朝は早いくせに、どうして今日だけは遅いのかと、茉里は嫌そうな顔を隠しもせずそう思った。
[そういえば、もうすぐクリスマスだけど、なにかその日予定はあるのか?]
「あってもアンタに言う訳ないでしょ」
茉里は用意を手早く済ませると、すぐに家を出た。
今日はいつも以上に寒い。
それもそのはず。雪が降っていたのだ。
そういえば、さっき少しだけ天気予報が耳に入ってきた。
:09/06/29 04:03
:SO906i
:☆☆☆
#266 [向日葵]
確か、今日は積もるんだとか。
雪合戦を宗助としたいな。
くそ親父の事を思い出すようで嫌だけど、宗助はクリスマスどうするんだろう。
一緒に過ごしてと言えば、一緒にいてくれるかな?
考えれば考えるほど、妄想が膨らんでいく。
今日訊いてみよう。
―――――――――…………
「え?覚えてないの?クリスマスの日って、確か試合があって、皆嘆いてたじゃん」
茉里は思わずムンクの叫びのように頬に手を当てて驚く。
:09/07/08 04:59
:SO906i
:☆☆☆
#267 [向日葵]
「わ……忘れてた……っ」
教室に来た宗助を、鞄を置く隙すら与えず、廊下に引っ張り出した茉里は、宗助にクリスマスの予定を訊いたとこだった。
しかし、その日は隣の市で開催される小さな大会に行くことになっていたのを、ついさっき、宗助に言われるまで忘れてたいた。
「しっかり、マネージャー……」
「そういえば、去年もあったっけ……」
「去年はクリスマスからは外れてたからな。今年は見事に」
:09/07/08 05:00
:SO906i
:☆☆☆
#268 [向日葵]
「当たっちゃったのね……」
宗助の続きを、茉里が繋げる。
茉里は心底がっかりする。
その様子を見て、宗助は眉を寄せる。
「そんなに何か楽しみにしてたのか?また部の皆でパーティーとか?」
「ちっがーう!私は宗助と過ごしたかったのっ!」
朝の廊下に高らかと茉里の声が反響する。
2回目くらいの自分の声のエコーに気づいた茉里は、ハッとして急いで口を手で塞ぐ。
廊下はひんやりとしているけれど、茉里の顔はどんどん熱くなっていく。
:09/07/08 05:00
:SO906i
:☆☆☆
#269 [向日葵]
その姿に、宗助は腕組みしながら、恥ずかしさを通り越して半ば呆れていた。
「毎日のように好きだなんだかんだ言ってたくせに、今更恥ずかしがっても意味ないだろ?」
「そ、それはそれ、これはこれな訳で……。わ、わ、私だって、恥ずかしがる事ぐらい……」
「勝手だな」
そう言っておかしそうに宗助は笑う。
「いいじゃん。結局は一緒にいるようなもんなんだから」
:09/07/08 05:00
:SO906i
:☆☆☆
#270 [向日葵]
その言葉に少し驚き、茉里はジッと宗助を見る。
「……宗助も、私と一緒にいたかったの?」
「違うっつーの」
頭をくしゃりと撫でられる。
宗助はそのまま教室に入っていってしまった。
その姿を、茉里はぼうっと見る。
こんな、温かいやりとり、初めてかもしれない。
撫でられた頭に、そっと触れる。胸がジンと、温かくなる気がした。
「なにあれ……」
:09/07/08 05:01
:SO906i
:☆☆☆
#271 [向日葵]
後ろから突然ミュシャが現れた。
その顔は、今にも口から砂を吐きそうな、うんざりした顔だった。
「なにが?」
「アイツはホントどういうつもり?私ははっきりしない男って嫌なんだけど」
その言葉に、茉里は苦笑するしかなかった。
少しでも、宗助の中の先輩に対する気持ちが、自分に向いてると嬉しい。
多分向いてくれてると信じているのは、自惚れじゃないと思うから、茉里は待つつもりだ。
:09/07/08 05:01
:SO906i
:☆☆☆
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