こいごころ
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#366 [向日葵]
今朝、茉里が沢口と話していた時のことだろう。

「……お前に、関係ないだろう」

「あるよ。僕は加賀さんに好意があるし」

治ったはずの痛みがまた復活しそうで、宗助は頭をおさえた。

「認めたくないんだ……」

小さい声は、沢口に届いたのだろうか。
沢口は片方の眉をひそめて、怪訝そうな顔をする。

他に向くほど、自分の気持ちが軽かったのかと、認めたくなどなかった。

そうだ。そんな自分勝手な気持ちが、彼女を追い詰めたのだ。

⏰:09/10/12 03:28 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#367 [向日葵]
最低だなんて、わかっているんだ。
そうやって責められても、まだ足りないと思うほどに……。

「こらー。私の可愛い後輩をいじめないでくれるかなー」

流れている空気を無視するように、聞き慣れた声が茶化して入ってきた。

その方をみると、千早先輩がそこに立っていた。

制服ではなく、今日は私服だ。

そんな先輩を見ても、宗助の胸が高鳴ることはない。
しかし、そんな自分に宗助は気づいていない。

「沢口くんだっけ?」

⏰:09/10/12 03:28 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#368 [向日葵]
2人の間に入るように、それでいて当たり障りないように微笑みながら、宗助を助ける。

「あんまり責めないでやって。この子それでなくても自分追い詰めちゃう子だから」

その笑顔に、引き下がるべきだと感じた沢口も、少しだけ作ったような笑顔を見せてからその場を去った。

「まったく。アンタは何を落ち込んでんだか」

千早先輩は、宗助の頭を軽く叩く。
されるがままの宗助は、さらに悲しい顔をする。

⏰:09/10/12 03:29 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#369 [向日葵]
「先輩……、俺……」

「ん?」

「……先輩が、好きです」

先輩は口に笑みを浮かべたまま、宗助の頭から手を下ろした。

「……うん、わかってる。でもね宗助、その好きはどんな好きだろう?」

宗助は小さく「え……」と呟く。

そんなの、決まっているじゃないか。

「1人の女の人としてです」

「そうかな」

⏰:09/10/12 03:29 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#370 [向日葵]
訊かれて、ますます宗助の頭にハテナが舞う。

「最初は確かにそうだったかもね。宗助の想いを否定はしないよ。でもね、慕っているっていうのと、好きって気持ちを間違えちゃダメだよ」

慕っている……。

「目をけらしてよく見てみなさい。大切にしたいのは……笑顔がみたいのは、誰?」

自分でも驚くぐらい、その笑顔を浮かべるのは早かった。

彼女の心からの笑顔を、ここ最近見れていない。
宗助の瞼の裏に映った、彼女の新しい記憶での顔は、泣いている。

⏰:09/10/12 03:30 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#371 [向日葵]
「宗助は優しいから、慕ってくれてる私の事を気にしてくれてたんだよね。そのせいで、見つけるべきものを見つけられずにいたね。……それは、私のせいだ」

そう言われて、改めて考えた。

彼氏とケンカした先輩を見たとき、自分はどう思った?

――早く元気になって、彼氏と仲直りしてくださいと思った。

彼氏と別れた時、あれほど泣いている先輩を見て、どう思った?

――大丈夫。また新しい恋が出来るはずだと思った。

どうして、先輩に自分が彼氏になると、守ると、思わなかったんだ。そして、言わなかったんだ。

⏰:09/11/01 17:29 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#372 [向日葵]
そこでもうわかってしまった。
霧は晴れた。

そこにあるのは……。

宗助の様子に、千早先輩は頭を撫でた。

「大丈夫、わかったならまだ間に合う。精一杯、伝えれば、きっと願いは叶うから」

試合頑張れ。そう言って、先輩は回れ右をした。

―――――――――…………

この人はよく現れるな、と思う。

さすがに今回の試合は地元から離れているから、来ないと思って射たのに。

⏰:09/11/01 17:30 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#373 [向日葵]
昼休憩にはいり、後輩が群がる原因の人物を見て、茉里はそう思った。
その光景を遠めで見ながら、茉里は午後からの試合の為の準備をする。

外に置いてあるヤカンに用があったので、外に出ると、しばらくして声がかけられた。

「大変だね、手伝おうか?」

手を止めて、ゆっくり顔を上げれば、それと同時に千早先輩がしゃがみこみ、茉里と目線を合わせた。

ニコニコしている先輩に、茉里は思わず戸惑う。

「……いえ」

「ごめんね」

⏰:09/11/01 17:30 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#374 [向日葵]
唐突に謝られて驚くが、この間のことだということはよくわかった茉里も完璧に作業をとめて、先輩に向き直る。

「私も、手を出しました……。ごめんなさい……」

「いいの。おかげで目が覚めたでていうかねっ」

ぺたりとコンクリートの2、3段ほどしかない階段に座る。
茉里もその隣に座ることにした。

「ねえ、茉里ちゃんから見てさ、私ってどんな性格?」

「えっと……。しっかりものっていうか、潔いっていうか……」

「そう、そのイメージが1番強いでしょ?だからさ、どうしても誰にも寄りかかることって出来なかったのよ。それは私のわがままで、どうしても、皆の求めてる自分でいたかったっていうか、ね」

⏰:09/11/01 17:30 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#375 [向日葵]
先輩は空を見上げる。

寒いが、その寒さゆえか、空はとても澄んでいて綺麗だ。
ときどきトンビなんかが微かに翼を動かして飛んでいるのが微かに見えるくらいの高さで見える。

そんな空を見上げる先輩は、どこか清々しい感じがして、綺麗で、茉里は少し悔しくなる。

神様は平等じゃない、と。

「……でも、それを見抜いたのは、宗助だった」

その名前を出されて、反応してしまう。
しかし先輩は気づいた様子もなく、ただ淡々と話す。

⏰:09/11/01 17:31 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


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